JP2017138174A - 処理ヘッド並びに分析用チップの処理装置および処理方法 - Google Patents

処理ヘッド並びに分析用チップの処理装置および処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アレイ部が多数ある分析用チップで、小面積のアレイ部ごとに個別に高い品質で効率的な洗浄と、気体の流れを活用しない洗浄液の除去を実現し、高いSN比での蛍光レベル検出と、洗浄液使用量ならびに洗浄と洗浄液除去に要する処理時間の極小化と、が可能な、処理ヘッド並びに処理装置および処理方法を提供する。【解決手段】複数のアレイ部を有し、アレイ部内に被検物質と結合する選択結合物質が多数固定化された検出部を備える分析用チップを処理する処理ヘッドであって、下向きにした検出部に所定間隔をもって対面し、かつ検出部に対応して区画されている処理面を備え、さらに処理面には、上向きに洗浄液を供給可能な供給口と、端部にそこから下向きに延びて洗浄液を排出する排出溝と、が設けられている処理ヘッド。【選択図】図1

Description

本発明は、分析用チップのアレイ部の洗浄を、ハイブリダイゼーションや蛍光標識反応後に行なう処理ヘッドと、本処理ヘッドを用いた分析用チップの処理装置および処理方法に関する。
分析用チップは、被検物質と選択的に結合する物質である選択結合性物質(核酸、タンパク質、脂質、糖など)がガラス、金属、樹脂製の基板上に固定化された検出部を多数備えて区画したアレイ部からなるものである。このアレイ部内の選択結合性物質と被検物質を通常溶液中でハイブリダイゼーション反応させて、その反応結果から被検物質(サンプル)に含まれる物質の、存在の有無、状態または量などを分析することが行われる。
分析用チップの一態様として、たとえば数十〜数万という多数の遺伝子発現を同時に測定することを目的として、基板上にDNA、蛋白質、糖鎖などの分子を高密度に配置した、マイクロアレイと呼ばれるものがある。マイクロアレイを使用することによって、例えば各種疾患動物モデルや細胞生物学現象における体系的かつ網羅的な遺伝子発現解析を行うことができる。そのような遺伝子発現解析が行なえるように一つのアレイ部を構成し、これを同じあるいは異なる解析が行なえる複数のアレイ部を一枚の基板上に備えたものがマルチマイクロアレイであり、多サンプルに対する同一遺伝子発現解析や、多種の遺伝子発現解析を効率的に行うのに用いられている。
そのような分析用チップのうち、DNAマイクロアレイ(DNAチップ)は、核酸/核酸間ハイブリダイゼーション反応に基づく核酸の検出・定量等に用いられる。DNAチップとして、例えば、ガラス基板の表面や、樹脂基板の凹型くぼみで区画した部分に多数配置した柱状物の頂上面に、多数のDNA断片が高密度に整列固定化されたものが用いられている。このようなDNAチップに、対象細胞の発現遺伝子等を蛍光色素等で標識したサンプルを平面基板上でハイブリダイゼーションさせることで、互いに相補的な核酸(DNA又はRNA)同士が結合する。そして、その結合箇所での蛍光レベルを、光学的に高解像度検出装置(スキャナー)で高速に読み取ったり、電気化学反応にもとづく電流値等で検出することにより、サンプル中の各遺伝子を検出してその量を測定することが可能となる。
このようなDNAチップで、蛍光レベルをスキャナーで効率的に高いSN比で読み取るには、実際にDNA断片が固定化されて蛍光レベル検出が行なわれる検出部を多数備えるアレイ部から、ハイブリダイゼーション後の洗浄によってノイズ成分を除去することが必要となる。
ところで、蛍光色素をサンプル(検体)に標識するのに、ハイブリダイゼーションによって互いに相補的な核酸(DNA又はRNA)同士を結合させてから染色によって行なう方法もある。この場合は、汚れや非結合の核酸に含まれる余剰の蛍光色素等の不要物(「汚れ粒子」と総称)を、ハイブリダイゼーション後と染色による蛍光標識反応後の洗浄によって、アレイ部から排除することで、スキャナー読み取り時のノイズ成分を除去することができる。しかしながら、いかなる場合でも洗浄が過度に行なわれると、DNAチップから、結合した核酸や標識されている蛍光色素も除去されるので、常に適切に洗浄が行える手段が求められている。さらに、洗浄後に洗浄液が完全に除去されて、すぐにスキャナーでの蛍光レベル検出が行なえると、待ち時間がなく効率的に多数の解析を行なうことができる。この場合、洗浄液に含まれる塩が洗浄液の蒸発等によって析出することなく、洗浄液を除去できれば、さらにノイズ成分が除去された、SN比の高い蛍光レベル検出が行える。
このような洗浄、乾燥を一連の処理システムにして、洗浄の高品質化や処理時間短縮による効率化を図ることが近年すすめられている。(例えば特許文献1〜4)特許文献1の手段では、DNAチップを専用の槽に入れ、これに洗浄液を供給して洗浄を行い、洗浄液の排出後に気体を供給して洗浄液の除去を行わせている。それに対し特許文献2の手段では、密閉空間内で斜めに立てかけたDNAチップの表面に、流体注入口(ノズル)から洗浄液を吹き付けて洗浄を行い、その後にガス注入口から気体をDNAチップ表面に吹き付けて洗浄液の除去を行っている。さらに特許文献3の手段では、DNAチップを専用のホルダーに縦向きに装着し、ホルダーとDNAチップ間に形成される空間に洗浄液を充填して洗浄を行い、その後に洗浄液を回収して洗浄を完了させている。また特許文献4の手段では、スライド上にDNA断片を固定化した多数の検出部のあるアレイ部だけを密閉化するチャンバーをアレイ部ごとに個別に形成し、このチャンバーの片側端部から反対側端部に向けてスライド面と平行して洗浄液や不活性ガスを流して、アレイ部内だけの洗浄と洗浄液の除去を行なわせている。
特開2003−57257号公報 特開2005−351894号公報 特開2006−3349号公報 特開2006−84459号公報
特許文献1〜3に記載されている手段では、いずれも洗浄が最も必要な検出部(DNA断片固定化部分)のあるアレイ部を含むDNAチップ全体が洗浄液と接するので、不必要に多くの洗浄液を消費することになる。さらに、必要な部分以外も洗浄液で濡らされるので、それをすべて除去するのには、遠心機を活用するか、乾燥する等を行うことになり、より一層の時間と手間がかかることになる。特許文献4に記載されている手段では必要なアレイ部内のみの洗浄と乾燥が可能である。しかし、洗浄液のチャンバーへの流入口や流出口の大きさに対して、かなり拡幅したチャンバー内で洗浄液を流すことになるので、滞留部分が発生して、汚れた洗浄液を押し出して新たな洗浄液に更新するのに、相当の液量が必要となる。また密閉したチャンバー内に洗浄液を充満させて、スライド面(基板表面)と平行に洗浄液を流すので、検出部のある面上での流速はゼロに近い値となって、その近辺にある汚れ粒子や液体が移動しにくい。そのためにチャンバー内に流入させる洗浄液の単位時間当たりの流量を大きくして、スライド面上での流速をできるだけ大きくすることになるが、そのために多くの洗浄液を消費することになる。これを回避するには、チャンバーの内容積を極めて小さくすることが必要になる。チャンバーを極めて小さくすることは、アレイ部が多数ある分析用チップに対応するためにも必要であるが、特許文献4に示される装置構成では、相当困難である。
また上記の公知の手段では、残留した洗浄液を気体の流れによって除去させているが、この場合、洗浄液の移動と同時に洗浄液の乾燥が行われる。また小さな液滴になって検出部に付着していると、もはや気体の流れでは除去できず、乾燥によって液滴の消滅を図ることになる。いずれの場合も洗浄液の乾燥が行われるので、検出部に洗浄液に含まれる塩等が析出し、スキャナー読み取り時のノイズ成分となって、SN比の高い蛍光レベル検出を阻害するという不都合もある。
本発明は、上記課題を解決するもので、アレイ部が多数ある分析用チップで、小面積のアレイ部ごとに個別に高い品質で効率的な洗浄と、気体の流れを活用しない洗浄液の除去を実現し、高いSN比での蛍光レベル検出と、洗浄液使用量ならびに洗浄と洗浄液除去に要する処理時間の極小化と、を可能にすることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の処理ヘッドは、基板の片側の一平面内に区画された複数のアレイ部を有し、該アレイ部内に被検物質と結合する選択結合物質が複数の検出面に多数固定化された検出部を備える分析用チップを処理する処理ヘッドであって、下向きにした上記検出部の検出面に所定間隔をもって対面し、かつ上記アレイ部に対応して区画されている複数の処理面を備え、さらに上記処理面には、上向きに洗浄液を供給可能な供給口と、端部にそこから下向きに延びて洗浄液を下向きに排出可能な排出溝と、が設けられていることを特徴とする。
ここで、上記処理面より上側で洗浄液と接する線状端部と、上下方向に洗浄液を案内可能な面である案内面とを有する保持案内部材が、上記供給口内に挿入されていること、が好ましい。
本発明の分析用チップの処理装置は、上記の処理ヘッドと、上記処理ヘッドの処理面に、上記分析用チップの下向きにした検出部の検出面が所定間隔をもって対面するように分析用チップを保持する保持部と、上記処理ヘッドの供給口に洗浄液を供給するとともに、上記供給口から洗浄液を回収する洗浄液供給・回収手段と、上記排出溝で排出される洗浄液を回収する排出洗浄液回収手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の分析用チップの処理方法は、上記の分析用チップの処理装置を用いた分析用チップの処理方法であって、上記処理ヘッドの処理面と分析用チップの検出部の検出面を含むアレイ部との間にある対面空間に、上記処理ヘッドの供給口から洗浄液を供給して貯液する工程と、上記対面空間に洗浄液を貯液した状態を一定時間維持する工程と、さらに上記処理ヘッドの供給口から洗浄液を供給して、上記対面空間に貯液した洗浄液を上記排出溝で排出する工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、さらに上記供給口から、上記対面空間に貯液した洗浄液を回収する工程を含む こと、が好ましい。
本発明の処理ヘッドは、アレイ部が多数ある分析用チップのアレイ部の面積と位置に対応した上向きの処理面をアレイ部と同数備えており、その処理面を、アレイ部内の下向きにした検出部の検出面と所定間隔をもって対面させ、個別の小さな対面空間を形成できるようにした。この個別の小さな対面空間に、(1)処理ヘッドの処理面の供給口から洗浄液を一定量供給して貯液すること、(2)洗浄液を供給しつづけて対面空間内の洗浄液を押し流して更新すること、を行うようにしたので、ノイズとなる汚れが貯液した洗浄液に拡散して検出部から分離し、それを貯液した洗浄液とともに排出することが容易に行え、高品質の洗浄が実現する。また多数あるアレイ部に対応して、個別に形成した上記の対面空間の容積は非常に小さくなるので、それに比例して洗浄液使用量も非常に小さくなるとともに、洗浄液の貯液や押し流しに要する時間も非常に小さくなる。すなわち本発明の処理ヘッドは、アレイ部に対応した大きさの処理面と、処理面内に洗浄液を供給する供給口を設けた非常に簡素な構成であるので、小さなアレイ部が多数あっても、それに対応して個別の対面空間を形成でき、その結果アレイ部ごとに個別の洗浄を行わせることできる。しかもその個別の洗浄を、洗浄液使用量と処理時間を極小化して高効率に、しかも高い品質で行わせることができる。
また処理ヘッドの処理面内に設けた供給口から、対面空間内の洗浄液を吸引して回収できるようにしたので、気体の流れを活用しないでも、対面空間内に残存している洗浄液を容易に除去することができる。また小容積の対面空間に残存している洗浄液を吸引するだけなので、その処理時間も容易に極小化できる。さらにこの手段は、気体を使用しないで実行できるので、気体による洗浄液蒸発(乾燥)時に発生する塩等の発生が皆無となる。このように塩のようなノイズ成分が除去できるので、SN比の高い蛍光レベル検出が行える。
以上の優れた本発明の処理ヘッドを使用した分析用チップの処理装置および処理方法を用いれば、高い品質での洗浄と洗浄液除去が、分析用チップのアレイ部ごとに極めて少ない洗浄液使用量と短い時間で個別に効率的に行なえる結果、どのアレイ部でも同じ高いSN比での蛍光レベル検出が実現でき、複数のサンプル(検体)に対して個々に信頼性の高い検出結果を短時間で、しかも低コストでもたらすことが可能となる。
本発明になる処理ヘッド4を用いた処理装置1の概略正面断面図である。 分析用チップ2の概略図である 処理ヘッド4の概略斜視図である。 処理ヘッド4と分析用チップ2との洗浄液の付着状況を示す説明面である。 本発明になる分析用チップの処理方法をステップ的に示す説明図である。 処理ヘッドの別の実施態様を示す部分拡大斜視図である。
本発明を図1〜3を参照しながら説明する。図1は、本発明になる処理ヘッド4を用いた処理装置1の概略正面断面図、図2は分析用チップ2の概略図、図3は処理ヘッド4の概略斜視図、である。
まず図1を参照すると、本発明になる処理装置1が示されている。処理装置1は、分析用チップ2の処理装置であり、処理ヘッド4により、分析用チップ2の洗浄等を行うものである。この処理装置1は、処理ヘッド4と、分析用チップ2の検出面である頂上面25を下向きにして、処理ヘッド4の処理面43にすきま量Cだけ離れて対面するように分析用チップ2を保持するチップ保持部3と、処理ヘッド4を支持するヘッド支持部5と、処理ヘッド4の供給口42に洗浄液を供給するとともに、供給口42から洗浄液を吸引して回収する洗浄液供給・回収部8と、処理ヘッド4の処理面43から排出される洗浄液を回収する排出洗浄液回収部6と、を備えて構成されている。そして、洗浄等の動作は、図示されていないコンピュータからなる制御装置により制御される。
なお分析用チップ2の詳細は図2に示されている。図2(a)は分析用チップ2の正面断面図、図2(b)は図2(a)の分析用チップを下側から見た平面図である。図2(b)で、分析用チップ2には、スライドガラスと同様な板状の基板である本体20の片側となる一平面の上面21に、9個に区画された領域であるアレイ部22がある。図2(a)を見るとアレイ部22は、本体20の上面21で開口している凹形形状のくぼみになっている。それぞれのアレイ部22の底面23には6個の柱状体24が備えられている。すなわち分析用チップ2は、基板である本体20の片側の一平面内に区画された複数のアレイ部22を有している。柱状体24の最下部となる頂上面25には、被検物質と結合する選択結合性物質が多数固定化されている。この頂上面25に固定化された選択結合性物質に被検物質がハイブリダイゼーションによって結合すると、被検物質に標識された蛍光色素も同時に結合するので、頂上面25がスキャナーで蛍光色素を検出できる検出面となる。そして検出面を備える柱状体24のすべてで、検出部を構成する。すなわち、分析用チップ2はアレイ部22内に被検物質と結合する選択結合物質が複数の検出面である頂上面25に多数固定化された検出部が備えられている。
次に、処理装置1を構成する各部分の詳細について、順に説明する。
再び図1を見ると、分析用チップ2を保持するチップ保持部3は、分析用チップ2の4隅でX方向とY方向に位置決めしながら、上下方向であるZ方向に分析用チップ2を支持する位置決め支持体31と、位置決め支持体を支持するフレーム32と、から構成される。これよりチップ保持部3は、処理ヘッド4の処理面43に、分析用チップ2の下向きにした検出部の検出面である頂上面25が所定間隔であるすきま量Cをもって対面するように分析用チップ2を保持する保持部である。なおフレーム32は、紙面に直交するY方向に紙面の奥側まで延びて、図示されていない共通ベース上に立つ支柱に固定されている。
次に分析用チップ2の下には、分析用チップ2を処理する処理ヘッド4が配置されている。処理ヘッド4の処理面43は、分析用チップ2の下向きにした検出面である頂上面25に、すきま量Cだけ離れて対面する位置に配置されており、アレイ部22とおなじく9個ある。そして検出部となる全ての頂上面25を含むアレイ部22と、処理面43の対面により囲まれる空間が対面空間Sとなる。なお真上から見て、処理面43は、分析用チップ2のアレイ部22にほぼ重なる位置に配置されている。すなわち処理ヘッド4は、下向きにした検出部の検出面である頂上面25に所定間隔であるすきま量Cもって対面し、かつアレイ部22に対応して区画されている複数の処理面43を備えている。
その他、処理ヘッド4の詳細については、図3を用いて説明する。図3で、処理ヘッド4は、処理面43を備えた柱状本体40が、分析用チップ2のアレイ部22と同じ9個だけ、ベース板41上に林立する構成をしている。9個ある柱状本体40の配置位置は、分析用チップ2のアレイ部22に対応させている。ほぼ直方体形状の柱状本体40の頂上面である処理面43のX方向両端部には、処理面43から下向きに延びて、ベース板41上まで達する対称形の排出溝45L、45Rが設けられている。上側から排出溝45L、45Rを見ると、半円形状の溝となっている。この排出溝45L、45Rは、処理面43上の洗浄液を処理面43外に排出するために設けられている。処理面43上の洗浄液は、排出溝45L、45Rで上下方向(Z方向)の下向きに流れて排出される。すなわち処理面43には、端部にそこから下向きに延びて洗浄液を下向きに排出可能な排出溝45L、45Rが、設けられている。さらに処理面43には、中央部に上向きに洗浄液を供給可能な供給口42が設けられている。この供給口42は、処理面43からベース板41の底面44まで上下方向(Z方向)に延びて貫通している貫通孔46(破線で表示)が、処理面43で開口したものである。供給口42内および貫通孔46内には、保持案内部材70が挿入されている。保持案内部材70は、厚さ(Y方向寸法)がTで、Y方向に見て長方形の板状物となっている。そしてそのZ方向長さの1/3が長さLとなって処理面43より上にあり、Z方向長さの2/3が処理面43より下、すなわち供給口42および貫通孔46の内部にある。保持案内部材70のX方向両端にある線状の端部である線状端部71L、71Rは、貫通孔46の内面と接することで固定化されている。また長方形の面である板面72A、72Bと貫通孔46の内面との間にはY方向に十分なすきまがあるので、そのすきまを洗浄液が通過することができる。また板面72A、72Bは、上下方向であるZ方向に洗浄液を案内する面である案内面となる。線状端部71L、71Rの処理面43より上側にある長さLは、処理面43と分析用チップ2の頂上面25との間のすきま量Cの、好ましくは30%以上、90%以下にする。処理面43上に洗浄液がある場合は、線状端部71L、71Rの処理面43より上側にある部分が洗浄液と接し、洗浄液の表面張力により、洗浄液の塊が供給口42から離れていかないように洗浄液を保持できるようになる。すなわち保持案内部材70は、処理面43より上側で洗浄液と接する線状端部71L、71Rと、上下方向に洗浄液を案内可能な面である案内面となる板面72A、72Bとを有する。
再び図1を見ると、処理ヘッド4は、ヘッド支持部5を構成する門型フレーム52の上側にある支持面53で支持されている。すなわち、支持面53上に処理ヘッド4の底面44が接することで、処理ヘッド4が支持されている。そして門型フレーム52そのものは、これまたヘッド支持部5を構成する昇降台51上に固定されている。なお昇降台51は、図示されていない昇降駆動装置により、上下方向(Z方向)に自在に昇降される。これによって、昇降台51に門型フレーム52を介して搭載されている処理ヘッド4も、上下方向に自在に昇降し、処理面43と分析用チップ2の頂上面25との間のすきま量Cを自在に調整できる。なお図示されていない昇降装置は、フレーム32と同じく、図示されていない共通ベース上に支持、固定されている。
昇降台51上にはまた、排出洗浄液回収部6を構成するトレイ61も固定されている。処理ヘッド4の処理面43上の洗浄液の大半は、排出溝45L、45Rを伝わって落下することで排出されるが、処理面43からあふれて柱状本体40の側面を伝わって落下するものもある。いずれの場合でも処理面43から排出された洗浄液は、門型フレーム52の支持面53の端部に固定された排出案内板62に案内されて、トレイ61に回収される。排出案内板62も構成部材に含む排出洗浄液回収部6は、処理面43上の洗浄液で大半となる、排出溝45L、45Rで排出される洗浄液を回収する排出洗浄液回収手段となるが、処理面43から直接もれ出す洗浄液も回収できる。なおトレイ61は、上側から見ると「回」の字形状(すなわち、2重矩形)をしていて、図1に示される2箇所ある液溜め部は連通している。すなわち、トレイ61の液溜め部が、処理ヘッド4とそれを支持する門型フレーム52の周囲を取り囲む構成となっている。そのため、トレイ61に溜まった洗浄液は、1箇所だけ設置された図示されていない排出管を通って落下し、これまた図示されていないメイントレイに最終的に回収される。
さて処理ヘッド4の貫通孔46の底面44での開口には、洗浄液供給・回収部8が接続されている。洗浄液供給・回収部8は、上流側から、洗浄液を貯蔵する貯蔵タンク81と、貯蔵タンク81とポンプ83の入口側を接続する入口配管82と、洗浄液を一定量送液することと吸引することができるポンプ83と、ポンプ83の出口側に接続されている出口配管84と、出口配管84の9か所で分岐して処理ヘッド4の9個ある貫通孔46の底面44での開口にそれぞれ接続される分岐管85と、9個の分岐管85のそれぞれに1個とりつけられて、ポンプ83からの送液・吸引/遮断を律するバルブ86より構成される。洗浄液供給・回収部8は以上の構成によって、バルブ86を開にしてポンプ83を正転させれば、貯蔵タンク81の洗浄液を処理ヘッド4の供給口42に供給して、供給口42から処理面43上に吐出することができる。同じ状況でポンプ83を逆転させれば、処理面43上の洗浄液を供給口42から吸引して回収し、貯蔵タンク81まで戻すことができる。すなわち洗浄液供給・回収部8は、処理ヘッド4の供給口42に洗浄液を供給するとともに、供給口42から洗浄液を回収する洗浄液供給・回収手段である。
次に図4を参照しながら、以上説明した処理装置1を用いた洗浄のために、洗浄液を対面空間Sに供給して保持させる状況について説明する。
図4(a)は、対面空間Sに洗浄液を充満させて分析用チップ2の上側から透視してみた透視平面図、図4(b)は同じ状況をY方向に見た正面断面図である。図4(a)、(b)ともに、細い破線は分析用チップ2を、細い実線は処理ヘッド4を表している。また太い破線は、対面空間Sに洗浄液が充満して、その容積が最大限に拡張する時の境界位置を示し、太い実線はその容積が逆に最小限に縮小する時の境界位置を示している。なお図4(a)で示される太い破線と太い実線の位置は、対面空間Sで充満している洗浄液の分析用チップ2上での境界位置を示している。
まず図4(b)で、洗浄液供給・回収部8のポンプ83を駆動して、洗浄液を供給口42に供給すると、供給口42から吐出された洗浄液は処理面43上を左右に広がって行きながら上下方向に積み上がって行き、アレイ部22の頂上面25はもちろんのこと、底面23に付着してから、対面空間S内でさらに左右に太い破線で示す境界位置まで広がる。そして洗浄液が排出溝45L、45Rの真上にきてから、洗浄液を排出溝45L、45Rに沿って落下させる洗浄液の排出が始まる。供給口42からの洗浄液の供給が続くと、洗浄液の供給速度Usと、排出溝45L、45Rでの洗浄液の排出速度Ueとの関係によって、太い破線で示す境界位置は次のようになる。図4(a)、(b)を参照して、(1)Us>Ueでは、洗浄液は分析用チップ2の上面21上を拡張する方向に移動し、太い破線の上面21との交点が供給口42から離れる方向に移動する、(2)Us=Ueでは、バランスがとれて太い破線で示す境界位置は変わらない、(3)Us<Ueでは、洗浄液は対面空間S内での容積を縮小する方向に移動し、太い破線で示す境界位置は太い実線で示す境界位置に向かって移動する。一方、供給口42からの洗浄液の供給が停止すると、排出溝45L、45Rの直上位置に洗浄液がなくなるまで洗浄液の排出が続く。これに伴い対面空間S内の洗浄液はその容積を減じていき、最終的に太い実線の位置を境界位置として、洗浄液は対面空間S内で保持される。すなわち貯液される。太い実線で示す位置は、X方向には排出溝45L、45Rの端部にほぼ重なる位置となり、Y方向には処理面43のY方向端部よりもやや外側の位置となる。境界位置を示す太い破線、太い実線ともに、洗浄液がその縁部と接触する処理面43上よりも、面(上面21)と接する分析用チップ2上の方が、洗浄液がより広がる位置にある。このように対面空間S内で洗浄液が保持、すなわち貯液される時には、分析用チップ2のアレイ部22は洗浄液に接していることが好ましい。そのために図4(a)で、アレイ部22のX方向長さLCxに対して、処理面43上での排出溝45L、45Rの端部間のX方向寸法Lxは、好ましくは±1mm以下、より好ましくは±0.5mmの以下の相違となるよう設定する。同様に、アレイ部22のY方向長さLCyに対して、処理面43のY方向長さLyは、好ましくは±1mm以下、より好ましくは±0.5mmの以下の相違となるように設定する。
以上のように本発明の処理ヘッド4を用い、処理面43の大きさ設定と、排出溝45L、45Rの配置を適切に行えば、9個の処理面43とアレイ部22に対応して形成される9個の対面空間Sのそれぞれで、個別に、相互干渉することなく、洗浄液を保持して貯液することができる。なお、対面空間Sでの洗浄液の貯液は、洗浄液供給・回収部8のバルブ86を閉にする(洗浄液の流通を遮断する)ことで、そのままの状態で維持することができる。このように対面空間Sで洗浄液を貯液して、しばらく放置すると、アレイ部22にある汚れが洗浄液の方に拡散し、貯液している洗浄液に汚れが含まれることになる。この状態で供給口42から洗浄液を供給すると、貯液されていた洗浄液は左右に押し流されて、排出溝45L、45Rから排出され、汚れも一緒に排出される。そして最終的には対面空間Sの洗浄液を新たな洗浄液に完全に更新する。以上の対面空間S内での貯液と、対面空間S内の洗浄液の排出/更新、を繰り返すことにより、洗浄が行われることになる。さらに対面空間Sの容積も小さいので、その洗浄に使用される洗浄液量も小さくなる。
なお図4の、太い破線で示される対面空間Sで洗浄液が広がる最大限の境界位置は、上記したように、供給口42からの洗浄液の供給速度Us、供給量と、排出溝45L、45Rでの洗浄液の排出速度Ueとのバランスで定まる。隣り合う対面空間Sで太い破線の位置が重ならないように、供給口42からの洗浄液の供給速度と供給量を適切に設定することが好ましい。
次に、図5を参照して、分析用チップの処理装置である処理装置1を用いた本発明の分析用チップの処理方法である、分析用チップ2のアレイ部22の洗浄と洗浄液の除去について説明する。図5(a)〜(f)には、図1で示される処理装置1の、処理ヘッド4と分析用チップ2の一部とその周囲を取り出して拡大して示す正面断面図(Y方向に見た図)が配置されている。またステップST0〜ST5が図5(a)〜(f)に対応していて、それぞれのステップの時の状況や各部の動作の結果が、対応する図に示される。ステップSTは数字の大きい方が時間的に後になる。さらに図5(b1)と(b2)では、(b2)の方が時間的に後になる。アルファベットが変わっても、数字の大きい方が時間的に後になるのは同様である。図5にその実行状況が示されるステップSTを実施することによって、処理ヘッド4の処理面43と分析用チップ2の検出部の検出面である頂上面25を含むアレイ部22との間にある対面空間Sに、処理ヘッド4の供給口42から洗浄液を供給して貯液する工程と、対面空間Sに洗浄液を貯液した状態を一定時間維持する工程と、さらに処理ヘッド4の供給口42から洗浄液を供給して、対面空間Sに貯液した洗浄液を排出溝45L、45Rで排出する工程と、を含む分析用チップの処理方法を実行することになる。それに加えて、さらに供給口42から、対面空間Sに貯液した洗浄液を回収する工程を含む分析用チップの処理方法も実行することになる。
以下、図5に状況が示されるステップSTを、順をたどって説明する。
(ステップST0)(図5(a)の状況)
分析用チップ2のアレイ部22の洗浄の準備ステップである。ハイブリダイゼーションを終了して、アレイ部22に汚れDiが付着している分析用チップ2は、検出面である頂上面25を下向きにして、チップ保持部3の位置決め支持体31に取付けて、位置決めされる。設置された分析用チップ2の直下の離れた位置で待機していた処理ヘッド4を、昇降台51を駆動して上昇させることで、分析チップ2に近接するように移動させる。そして、処理ヘッド4の処理面43と頂上面25との間の間隔がすきま量Cとなる位置で、昇降台51を停止させる。これによって、処理面43と頂上面25を含むアレイ部22との間に、対面空間Sが形成される。この時、バルブ86は閉であり、洗浄液は、貯蔵タンク81から、入口配管82、ポンプ83、出口配管84、分岐管85のバルブ86まで充満しており、バルブ86を開にして、ポンプ83を駆動すれば、いつでも洗浄液を処理ヘッド4に送液できる状態にある。
(ステップST1)(図5(b1)、(b2)の状況)
対面空間Sに洗浄液を供給して充填するステップである。ポンプ83を駆動し、バルブ86を開にしてから、洗浄液を所定流量Q1(単位時間当たりの液体量=供給速度)にて一定の液体量V1(容積)だけ、ポンプ83から送液する。これによって、処理ヘッド4の供給口42から、対面空間Sに洗浄液が供給される。上記したように、供給された洗浄液で対面空間Sは充満し、最大に拡張した境界位置まで洗浄液は左右に広がる(図5(b1)で示される状態)。ポンプ83からの送液を終了した時点で、バルブ86を閉にする。供給口42からの洗浄液の供給が終了した時点で、排出溝45L、45Rでの洗浄液の排出により、対面空間S内の洗浄液は供給口42に向かって移動する。そして対面空間S内の洗浄液の境界位置が、排出溝45L、45Rの端部位置に来た時に洗浄液の排出も終了して、その位置で洗浄液が表面張力の作用によって保持されて、対面空間S内に貯液される(図5(b2)で示される状態)。なお排出溝45L、45Rで排出された洗浄液は、ベース板41、排出案内板62を伝わって流れ、トレイ61に回収される。
(ステップST2)(図5(c)の状況)
洗浄ステップ1(汚れDiのノズル面25を含むアレイ部22からの分離)である。バルブ86を閉のままにしておくと、対面空間Sで洗浄液が充満して貯液されている状態は維持される。この洗浄液充満状態(貯液)を、時間t1だけ維持する。この時間t1の間に、洗浄液に接触している汚れDiには、(1)液体状の汚れDiは洗浄液に混ざりこんで薄められる(洗浄液に含有される)、(2)乾燥固化物となっている汚れDiは、溶解して洗浄液中に含まれる、(3)乾燥固化物となっている汚れDiで、完全に溶解しないが頂上面25やその他のアレイ部22の部分への付着は解かれて、洗浄液中に浮遊する、ということが起こる。すなわち、何らかの形態で、汚れDiのアレイ部22からの分離が行われる。
(ステップST3)(図5(d1)、(d2)の状況)
洗浄ステップ2(アレイ部22から分離した汚れDiの除去)である。再びポンプ83を駆動し、バルブ86を開にしてから、洗浄液を所定流量Q2にて一定の液体量V2だけ、ポンプ83から送液して、供給口42から洗浄液を対面空間Sに追加供給する。この送液を一定時間間隔でN回繰り返す。このような洗浄液の間欠供給を行うのは、排出溝45L、45Rの洗浄液排出能力が、排出溝45L、45RのZ方向長さによるヘッド差で定まるために、排出速度を高くできないことによる。すなわち、連続して洗浄液を供給口42から供給すると、排出溝45L、45Rでの洗浄液排出量が追従せず(上記の供給速度Us>排出速度Ueの場合)、対面空間S内の洗浄液は、その容積を拡大するようにX方向とY方向に広がって行き、ついには隣の対面空間Sの洗浄液と接触して、分離できなくなってしまう。それに対して間欠供給であれば、対面空間S内の洗浄液の最大に拡張する境界位置を制限することができる。すなわち、供給口42からの洗浄液の間欠供給を行うことによって、対面空間S内の汚れDiを含む洗浄液の拡張を制限しつつ、毎回の供給量分だけ対面空間S内の洗浄液を排出溝45L、45Rを介して外部に排出することができる。これによって、対面空間Sに充満していた汚れDiを含む洗浄液は、新たに送液された洗浄液に確実に置きかえられる。この対面空間Sから排出された汚れDiを含む洗浄液は、排出溝45L、45R、ベース板41、排出案内板62を伝わって流れ、トレイ61に回収される。以上の結果として、汚れDiがアレイ部22を含む対面空間Sから除去される(図5(d1)で示される状態)。供給口42からの洗浄液の間欠供給を終了した時点で、バルブ86を閉にする。このあとも、更新された洗浄液の排出溝45L、45Rを介しての排出は少しつづき、更新された洗浄液の境界位置が排出溝45L、45Rの端部より供給口42の方に少し移動した時点で、洗浄液の排出は終了し、更新された洗浄液はその位置で保持される。すなわち、対面空間Sに更新された洗浄液が貯液される((図5(d2)で示される状態)
(ステップST4)(図5(e1)、(e2)の状況)
洗浄液の回収ステップである。ポンプ83を逆側に駆動し、バルブ86を開にしてから、所定流量Q3(単位時間当たりの液体量=吸引速度)にて一定の液体量V3だけ、供給口42から、対面空間S内の洗浄液を吸引する。これによって、対面空間S内の洗浄液は、処理面43とアレイ部22に接触しながら供給口42の方に移動し、対面空間S内で占める容積を次第に小さくしていく(図5(e1)で示される状態)。液体量V3だけ洗浄液を吸引することが完了すれば、バルブ86を閉にする。これによって対面空間Sに充満していた洗浄液がすべて回収され、同時に分析用チップのアレイ部22からも洗浄液は除去される(図5(e2)で示される状態)。なお液体量V3は、対面空間Sに充満した洗浄液を全量回収できるように、適切に設定することが好ましい。また保持案内部材70は、処理面43より上側にある線状端部71L、Rが、洗浄液を供給口42の所で保持するので、洗浄液の供給口42からの吸引を手助けする。すなわち保持案内部材70は、供給口42からの洗浄液の回収がすすんで、対面空間S内の洗浄液がその容積を減じていく時に、保持案内部材70が供給口42の周りに洗浄液を収束させるように作用する。それゆえ、対面空間S内の洗浄液を確実に全量回収できる。それに対し、排出溝45L、45Rでは、保持案内部材70のように洗浄液を引き寄せるものがないので、対面空間S内の洗浄液をすべて排出することはない。
(ステップST5)(図5(f)の状況)
終了ステップである。対面空間Sから全ての洗浄液を回収できており、昇降台51を下降させて、処理ヘッド4も下限位置に移動させて、洗浄と洗浄液除去が終了した分析用チップ2を取り出す。
つづいて、ハイブリダイゼーションが終了し、汚れDiがアレイ部に付着した分析用チップ2がくれば、同様にステップST0〜ST5を繰り返し、アレイ部22から汚れDiを除去する洗浄と、その洗浄液の除去を行う。
それ以降をつづけて行う場合、1番目の分析用チップ2の処理終了後に、2番目の分析用チップ2の処理をそのまま継続して行ってもよいし、1番目の分析用チップ2の最後に回収した洗浄液をすべて排出してから、2番目の分析用チップ2の処理を開始してもよい。
また上記の処理方法で、ステップST2(汚れDiの分離)とステップST3(分離した汚れDiの除去と洗浄液の更新)については、適宜繰り返してよい。例えば2回繰り返す場合は具体的に、ステップST0→ST1→ST2→ST3→ST2→ST3→ST4→ST5、のようにする。これによって分離に時間がかかる汚れDiも除去することが可能となり、より洗浄性が向上する。また、ステップST3を省略して、ステップST0→ST1→ST2→ST4→ST5のようにしてもよい。この場合、アレイ部22から分離した汚れDiは、供給口42から吸引されて、処理ヘッド4内部から分岐管85やその上流まで達する可能性がある。そのため、ステップST5終了後に、回収した液量以上に供給口42からの吐出を行って、汚れDiを処理ヘッド4の外部に排出することが必要となる。
さらに洗浄液については、汚れDiを溶解したり、アレイ部22から分離できるもので、DNAに影響を与えないものが好ましく、食塩水、水等に、表面活性剤を付加したものが好適に用いられる。処理ヘッドの材質については、洗浄液に塩が含まれることが多いので、それへの耐性を有するものであることが好ましく、合成樹脂、セラミックス、ステンレス鋼(SUS316)等が好適に用いられる。
また、処理ヘッド4の処理面43とアレイ部22の頂上面25との間の間隔であるすきま量Cについては、好ましくは0.1mm以上、2mm以下、より好ましくは0.3mm以上、1mm以下にする。この範囲であれば、供給口42から洗浄液が供給される時に、洗浄液は貯液空間S内で容易に充満することができる。また充満させた状態(貯液された状態)を安定して保持することもできる。
なお、洗浄液を送液する洗浄液供給・回収部8のポンプ83については、シリンジポンプ、モーノポンプ等が適用できるが、密閉性があって計量性が高いとともに、少量の間欠供給が容易に行えるシリンジポンプ、ダイヤフラムポンプ、ベロフラムポンプ等の間欠型定量ポンプを使用するのが好ましい。
保持案内部材70については、線状端部71L、71Rは、貫通孔46の内面に接触させて固定しているが、接触していなくてもよく、その場合でも保持案内部材70の作用には変化はない。また保持案内部材70のY方向に見た形状については、線状端部71L、71Rが連続形状(いわゆる一筆書きができる形状)で、供給口42や貫通孔46の内部に挿入できるものならいかなるものでもよく、長方形の他、三角形、台形、多角形、円状、楕円状等でもよい。特に三角形、台形等で、保持案内部材70の処理面43より上にある部分が、供給口42の直径より大きくなっていても、線状端部71L、71Rが上記の条件を満たしていれば、その作用には変化はない。線状端部71L、71Rが連続形状であることが好ましいのは、ここにも液体が伝わって供給口42や貫通孔46の内部に案内されるためである。また保持案内部材70の貫通孔46内でのZ方向長さについては、特に制約はないが、洗浄液が伝わって流れる長さがあることと設置のしやすさから、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上にする。
さらに、保持案内部材70を上下方向に上側から見た形状(XY平面内の形状)については、線状、半円状、楕円状、3角形を含む多角形、U字状、V字状、Y字状、I字状、H字状、L字状、井桁状等、線状端部がある形状ならいかなる形状でもよい。また保持案内部材70を、供給口42内に複数設置してもよい。図6に、上から見てU字状の別の保持案内部材75を、1つの柱状本体40の供給口42に挿入したものを示す。図6は、処理ヘッドの別の実施態様を示す部分拡大斜視図である。
また排出溝45L、45Rの溝の上下方向に上側から見た形状については、半円の他、三角形状、スリット、凹型形状、台形形状、アリ溝形状等、溝を形成できるならいかなる形状でもよいが、洗浄液の排出能力が高い小さな半径の半円や、三角形状が好ましい。図6に、三角形状の溝を備える排出溝48L、48Rを処理ヘッドに適用した態様を示す。
本発明の処理ヘッド並びに分析用チップの処理装置および処理方法は、DNAチップ等の分析用チップのハイブリダイゼーションや蛍光標識反応後の洗浄と洗浄液の除去に利用することができる。効率的で高い品質の処理によって、高いSN比での蛍光検出が可能となる結果、本発明は、臨床現場や検査センターにおける迅速な疾患の診断・診察等に有益に利用することができる。
1 処理装置
2 分析用チップ
3 チップ保持部
4 処理ヘッド
5 ヘッド支持部
6 排出洗浄液回収部
8 洗浄液供給・回収部
20 本体
21 上面
22 アレイ部
23 底面
24 柱状体
25 頂上面
31 位置決め支持体
32 フレーム
40 柱状本体
41 ベース板
42 供給口
43 処理面
44 底面
45L、45R 排出溝
46 貫通孔
48L、48R 排出溝
51 昇降台
52 門型フレーム
53 支持面
61 トレイ
62 排出案内板
70 保持案内部材
71L、71R 線状端部
72A、72B 板面
75 保持案内部材
81 貯蔵タンク
82 入口配管
83 ポンプ
84 出口配管
85 分岐管
86 バルブ
C すきま量
Di 汚れ
L 長さ
S 対面空間
T 厚さ(保持案部材70の)

Claims (5)

  1. 基板の片側の一平面内に区画された複数のアレイ部を有し、該アレイ部内に被検物質と結合する選択結合物質が複数の検出面に多数固定化された検出部を備える分析用チップを処理する処理ヘッドであって、下向きにした前記検出部の検出面に所定間隔をもって対面し、かつ前記アレイ部に対応して区画されている複数の処理面を備え、さらに前記処理面には、上向きに洗浄液を供給可能な供給口と、端部にそこから下向きに延びて洗浄液を下向きに排出可能な排出溝と、が設けられていることを特徴とする処理ヘッド。
  2. さらに、前記処理面より上側で洗浄液と接する線状端部と、上下方向に洗浄液を案内可能な面である案内面とを有する保持案内部材が、前記供給口内に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の処理ヘッド。
  3. 請求項1または2に記載の処理ヘッドと、前記処理ヘッドの処理面に、前記分析用チップの下向きにした検出部の検出面が所定間隔をもって対面するように分析用チップを保持する保持部と、前記処理ヘッドの供給口に洗浄液を供給するとともに、前記供給口から洗浄液を回収する洗浄液供給・回収手段と、前記排出溝で排出される洗浄液を回収する排出洗浄液回収手段と、を備えることを特徴とする分析用チップの処理装置。
  4. 請求項3に記載の分析用チップの処理装置を用いた分析用チップの処理方法であって、前記処理ヘッドの処理面と分析用チップの検出部の検出面を含むアレイ部との間にある対面空間に、前記処理ヘッドの供給口から洗浄液を供給して貯液する工程と、前記対面空間に洗浄液を貯液した状態を一定時間維持する工程と、さらに前記処理ヘッドの供給口から洗浄液を供給して、前記対面空間に貯液した洗浄液を前記排出溝で排出する工程と、を含むことを特徴とする分析用チップの処理方法。
  5. さらに前記供給口から、前記対面空間に貯液した洗浄液を回収する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の分析用チップの処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110814658A (zh) * 2019-11-15 2020-02-21 深圳市佳鑫一帆科技有限公司 一种高精密度的洗板头的制作方法
CN115382832A (zh) * 2022-09-29 2022-11-25 深圳华大智造科技股份有限公司 清洗芯片、测序仪的清洗装置以及测序仪
CN115382832B (zh) * 2022-09-29 2024-06-04 深圳华大智造科技股份有限公司 清洗芯片、测序仪的清洗装置以及测序仪

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