JP2017137423A - 物品の製造方法および接着剤 - Google Patents
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Abstract
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本発明の物品の製造方法は、部材上、または2つの上記部材の間に、シート状の接着剤を配置し、200℃以下の温度で上記接着剤を硬化する接着工程を有し、上記接着剤は、1液型のエポキシ樹脂接着剤であり、さらに、上記接着剤は、上記接着剤を40℃の温度条件下で保存試験を行った際に、保存開始から28日後の剪断強度が、保存開始時の剪断強度を維持する接着剤であることを特徴とする方法である。
図1(a)〜(c)は、本発明の物品の製造方法の一例を示す概略工程図である。本発明の物品の製造方法は、図1(a)に示すように、部材2上にシート状の接着剤1を配置し、図1(b)に示すように、200℃以下の温度でシート状の接着剤1を硬化する接着工程を有する。これにより、シート状の接着剤は、図1(c)に示すように接着層1’となり、物品10を得ることができる。また、このとき用いられる接着剤は、接着剤を40℃の温度条件下で保存試験を行った際に、保存開始から28日後の剪断強度が、保存開始時の剪断強度を維持する接着剤であることを特徴とする。
まず、常温の環境下において反応の進行を抑制し、良好なポットライフを保つためには、常温環境下では反応を開始せず、高温(250℃以上)環境下において反応を開始する硬化剤を用いる必要がある。しかしながら、物品の製造工程において接着剤を用いる場合、作業性の改善やタクト時間の短縮のためには、高温環境下ではなく、せめて200℃以下の環境下において反応を開始する接着剤を用いることが求められている。一方、200℃以下の環境下において反応を開始する硬化剤を用いた1液型のエポキシ樹脂接着剤の場合、常温の環境下での反応の進行を抑えることが困難となり、常温よりも低い低温の環境下での保存が必要となる。低温の環境下での保存が必要な場合、例えば、作業現場において、接着剤を冷却保存する設備が必要となる等、温度管理に手間がかかってしまうという問題がある。
本発明における接着工程は、部材上、または2つの上記部材の間に、シート状の接着剤を配置し、200℃以下の温度で上記接着剤を硬化する工程である。すなわち、本発明においては、接着工程により、シート状の接着剤を硬化して接着層とすることができる。
本発明におけるシート状の接着剤について図を参照しながら説明する。なお、以後、シート状の接着剤を接着シートという場合がある。
本発明において用いられる接着剤組成物は、接着シートを構成する材料である。
以下、接着剤組成物に含まれる材料について説明する。
本発明において用いられるエポキシ樹脂は、硬化剤との併用により架橋重合反応を起こして硬化する材料であれば良く、特に限定されない。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等が挙げられ、またフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂等のフェノール樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。中でも、本発明においては、ビフェニル骨格、ビスフェノール骨格、スチルベン骨格などの剛直構造を主鎖に持つエポキシ樹脂を用いることが好ましく、特に、ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることが好ましく、その中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
本発明において用いられる硬化剤は、上述したエポキシ樹脂と併用した際に、200℃以下の温度で架橋重合反応を起こして硬化させることができる材料であれば良い。また、接着剤を40℃の温度条件下で保存試験を行った際に、保存開始から28日後の剪断強度が、保存開始時の剪断強度を維持することができる材料であれば良い。すなわち、本発明において用いられる硬化剤は、常温の環境下において、エポキシ樹脂との反応の進行を抑えて良好なポットライフを保つことができるとともに、エポキシ樹脂との反応を開始する硬化温度を200℃以下とすることが可能な硬化剤であれば良い。
本発明において用いられる接着剤組成物は、上述したエポキシ樹脂および硬化剤の他にも、通常はアクリル系樹脂を含む。アクリル系樹脂を含むことにより、乾燥させた接着剤組成物をシート状とすることができる。
なお、ここでの「アクリル系樹脂」とは、一般的なアクリル樹脂と同様である。
なお、ここでのアクリル酸メチル、アクリル酸エチル等の「アクリル酸」には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の「メタクリル酸」も含まれる。
本発明において用いられる接着剤組成物は、製造時には通常、溶剤を含むが、当該溶剤は、接着剤組成物を乾燥させて接着シートとする際に揮発して除去される。本発明において用いられる溶剤としては、一般的な接着剤組成物に用いられる材料であれば良く、特に限定されないが、例えば、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。また、接着剤組成物に含まれる溶剤の含有量は、接着剤組成物の塗布方法に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、残留溶媒量の観点から、接着剤組成物中に10質量%〜70質量%の範囲内で配合されていることが好ましい。
本発明において用いられる接着剤組成物は、上述したエポキシ樹脂、硬化剤、アクリル系樹脂等の他にも、必要に応じてその他の材料を含んでいても良い。例えば、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、例えば、滑剤、可塑剤、充填剤、フィラー、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤等を含んでいても良い。その他にも、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などのカップリング剤を含んでいても良い。これにより接着シートと被着体である部材との密着性を向上させることができる。
本発明において用いられる接着剤組成物を調製する方法としては、例えば、各成分を混練、分散する方法が挙げられる。混練または分散方法としては、例えば、通常の混練分散機、具体的には、二本ロールミル、三本ロールミル、ペブルミル、トロンミル、ツェグバリ(Szegvari)アトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、デスパー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、デスパーザー、ホモジナイザー、および超音波分散機等を用いる方法が挙げられる。硬いエポキシ樹脂として複数種を用いる場合は、先にこれらを混合撹拌し、次に硬化剤を混合撹拌し、溶媒で希釈した後に、軟かいエポキシ樹脂を混合撹拌し、次いで、アクリル系樹脂を混合撹拌することが好ましい。
本発明において用いられる接着剤組成物は、所定の粘度を有することが好ましい。具体的には、硬化前の接着シートを所望の大きさや形状に切断することが可能な程度の粘度を有することが好ましい。接着剤組成物の粘度は、例えば、1センチストークス〜20000センチストークス(25℃)の範囲内であることが好ましく、中でも1センチストークス〜2000センチストークスの範囲内であることが好ましい。また、接着剤組成物を芯材に含浸する場合には、粘度が低い方が好ましく、例えば、1センチストークス〜1000センチストークスの範囲内であることが好ましい。
本発明における接着シートは、接着剤組成物を、第1離型紙の離型面に配置し、乾燥させた後、接着剤組成物を介して第1離型紙と対向するように第2離型紙を貼り合せることにより、接着シートを得ることができる。
離形層は、離形層成分を分散または溶解した塗液を、離型紙用基材フィルムの片面に塗布し、加熱乾燥等により硬化させることで得ることができる。塗液の塗布方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、スプレーコート等が挙げられる。また、離形層は、必要に応じて、基材フィルムの少なくとも片面の、全面または一部に形成していても良い。
本発明における接着シートを用いた接着方法は、被着体となる部材の種類等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。例えば、接着シートから第1離型紙および第2離型紙のいずれか一方を剥離し、その面を被着体となる部材に貼合して、その後、残りの離型紙を剥離し、最後に200℃以下の温度で接着シートを硬化させる方法が挙げられる。
本発明における部材は、本発明により得られる物品を構成する部材であり、物品の種類に応じて適宜選択されるものである。本発明における部材は、例えば、金属材料、無機材料、有機材料、またはこれらを組み合わせた複合材料、積層材料から構成されていても良い。また、本発明の部材の形態としては、例えば、層状であっても良く、フィルム状であっても良く、表面に凹凸形状を有していても良い。さらに、本発明の部材は、表面に接着シートが配置された単体であっても良く、間に接着シートが挟持された複数体であっても良い。部材が単体である場合には、接着シートにより部材の表面を覆い、接着シートを保護層や平坦化層として用いることができる。なお、本発明における部材が、表面に凹凸形状を有する場合には、接着シートにより当該凹凸形状を平坦化することができるという効果を奏する。
本発明の接着剤は、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含み、上記硬化剤が、下記一般式(1)で表わされる構造を有することを特徴とする材料である。
この理由については、次のようなことが推測される。
以下、本発明の接着剤について詳細に説明する。
本発明における硬化剤は、上記一般式(1)で表わされる構造を有する。
本発明において用いられるエポキシ樹脂は、上述した硬化剤との併用により架橋重合反応を起こして硬化する材料であれば良く、特に限定されない。
なお、エポキシ樹脂の具体的な説明については、上述した「A.物品の製造方法 1.シート状の接着剤 (1)接着剤組成物 (a)エポキシ樹脂」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明の接着剤は、アクリル系樹脂を含んでいても良い。本発明の接着剤がアクリル系樹脂を含む場合、シート状の接着剤とすることができる。
なお、アクリル系樹脂およびシート状の接着剤の具体的な説明については、上述した「A.物品の製造方法 1.シート状の接着剤」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明の接着剤は、少なくとも上述した硬化剤およびエポキシ樹脂を含んでいれば良いが、必要に応じてその他の材料を含んでいても良い。
なお、本発明の接着剤に含まれるその他の材料については、上述した「A.物品の製造方法 1.シート状の接着剤 (1)接着剤組成物 (e)その他の材料」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(接着剤組成物の調製)
表1に示す成分を混合して接着剤組成物を調製した。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるJER1009(三菱樹脂社製 固形分100%品を酢酸エチルで固形分43%に希釈したもの)185g、およびJER828(三菱樹脂社製 固形分100%)120gに対して、アクリル系樹脂である変性メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートの3元共重合体(変性PMMA−BA−PMMA、アルケマ社製 M22N、固形分100%品を酢酸エチルで固形分40%に希釈したもの)75g、および硬化剤である2−フェニルー4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(2PHZ−PW、四国化成社製 固形分100%)7gを混合し、接着剤組成物を調製した。
得られた接着剤組成物を、第1離型紙としてシリコーン剥離処理を施したPETキャリアフィルム(ニッパ社製 厚み:50μm)に、コーターを用いて塗布した。次いで、50℃×1.5min、70℃×1.5min、110℃×1.5minの条件下で接着剤組成物を乾燥させた。その後、第2離型紙としてシリコーン剥離処理を施した他のPETキャリアフィルム(ニッパ社製 厚み:50μm)を用いて、接着剤の表面をラミネートし、接着シートを作成した。
表1に示すように、硬化剤として2,4−ジアミノー6−[2’−メチルイミダゾリルー(1’)]−エチルーs−トリアジン イソシアヌル酸付加物(2MAOK−PW、四国化成社製 固形分100%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして接着シートを作成した。
表1に示すように、硬化剤として2−エチルー4−メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成社製 固形分100%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして接着シートを作成した。
表1に示すように、硬化剤として2−メチルイミダゾール(2MZ−H、四国化成社製 固形分100%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして接着シートを作成した。
1.保存試験
得られた接着シートを、温度23℃、湿度50%の恒温室、および温度40℃の恒温室に所定日数保存した。その後、恒温室から接着シートを取り出し、第1離型紙を剥離して、接着剤の表面を指で押圧して、下記のように評価した。
「○」:保存前と同様に、接着剤の表面に指跡が残る場合
「△」:接着剤の表面に指跡が残るものの、保存前に比べて指跡が減少した場合
「×」:接着剤の表面に指跡が残らない場合
得られた接着シートを25mm×12.5mmに切断し、第1離型紙を剥離して、SUSに圧着した。その後、第2離型紙を剥離して、もう1つの試験片と圧着し、N=3の荷重を加えたまま温度180℃、硬化時間30minの条件下で硬化させ、常温(23℃)にて放冷することにより、測定用試料を作成した。そして、引張試験機(製品名:RTA−1T,A&D社製を用いて、室温での剪断試験(JIS K6850に準拠、引張り速度10mm/min)を行った。
1.保存試験
表2に示すように、実施例では、恒温室1、2のいずれにおいても良好な保存性を得ることができた。一方、比較例1では、日数の経過とともに保存性が低下し、比較例2、3では、保存性を得ることができなかった。したがって、実施例では、良好なポットライフを保てることが分かった。
表3に示すように、実施例では、恒温室(温度40℃条件下)で保存したとき、保存開始時と保存開始から4weeks(28日)経過後とで、剪断強度が同じであることが確認された。したがって、実施例では、良好なポットライフを保てるとともに、200℃以下の温度での硬化が可能であることが分かった。一方、比較例1〜3では、保存開始時と保存開始から4weeks(28日)経過後とで、所定の剪断強度を保つことができなかった。
1’ … 接着層
1” … 接着剤組成物
2 … 部材
3a … 第1離型紙
3b … 第2離型紙
4 … 芯材
10 … 物品
20 … 接着シート
Claims (3)
- 部材上、または2つの前記部材の間に、シート状の接着剤を配置し、200℃以下の温度で前記接着剤を硬化する接着工程を有し、
前記接着剤は、1液型のエポキシ樹脂接着剤であり、
さらに、前記接着剤は、前記接着剤を40℃の温度条件下で保存試験を行った際に、保存開始から28日後の剪断強度が、保存開始時の剪断強度を維持する接着剤であることを特徴とする物品の製造方法。 - エポキシ樹脂と、硬化剤とを含み、
前記硬化剤が、下記一般式(1)で表わされる構造を有することを特徴とする接着剤。
- さらにアクリル系樹脂を含み、シート状であることを特徴とする請求項2に記載の接着剤。
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