JP2009256588A - 半導体封止用フィルム状接着剤、半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体封止用フィルム状接着剤、半導体装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体装置の封止用に用いた場合に作業性に十分優れており、300℃以上に加熱した場合であってもボイドの発生を十分に抑制し、接続信頼性と絶縁信頼性とに十分優れた半導体装置を製造可能な半導体封止用フィルム状接着剤を提供すること。
【解決手段】本発明の半導体封止用フィルム状接着剤は、(a)エポキシ樹脂と(b)硬化促進剤とを含有する。そして、(b)硬化促進剤が120℃以上の融点を有し、(b)硬化促進剤の活性領域が120℃以上であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体封止用フィルム状接着剤、半導体装置及びその製造方法に関する。
従来、半導体チップと基板とを接続するには金ワイヤなどの金属細線を用いるワイヤボンディング方式が広く用いられてきた。しかし、最近、半導体装置は、小型化、薄型化及び高機能化することが要求される。このような要求に対応するため、半導体装置の製造プロセスとして、半導体チップにバンプと呼ばれる導電性突起を形成して、半導体チップと基板の電極とを直接接続するフリップチップ接続方式が採用されるようになってきている。
フリップチップ接続方式によるバンプと電極との接続方法としては、はんだやスズを用いて金属接合する方法、超音波振動を印加して金属接合する方法、樹脂の収縮力によって機械的接触を保持する方法などが知られている。これらの接続方法のうち、接続部の信頼性に優れていることから、はんだやスズを用いて金属接合させる方法が主流となっている。
最近、小型化、高機能化が進展している液晶表示モジュールは、上述のフリップチップ接続方式を採用したCOF(Chip On Film)と呼ばれる半導体装置が用いられている。そのような半導体装置では、スズめっき配線を形成したポリイミド基板上に金バンプを形成した液晶駆動用半導体チップが搭載されており、金バンプとスズめっき配線とは、金−スズ共晶の金属接合で接続されている。
このCOFの接続では、金−スズ共晶を形成するために、接続部を共晶温度である278℃以上に加熱する必要がある。一方で、生産性向上の観点から、接続時間は例えば5秒間以内と短い時間で接続できることが求められている。このように、短時間で共晶温度(278℃)以上に加熱する必要があるために、製造装置の設定温度は300〜400℃の高温になる。
ところで、COFでは、通常、半導体チップと基板との間の空隙部に封止樹脂を充填して、接続部を外部環境から保護し外部応力が接続部に集中することを防止するとともに、狭ピッチ配線間の絶縁信頼性を確保している(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−188573公報
現在、封止樹脂の充填方法としては、半導体チップと基板とを接続した後に、液状樹脂を毛細管現象によって注入して樹脂硬化させる方法が一般的である。しかしながら、COFの狭ピッチ接続化に伴ってチップ−基板間の空隙部が小さくなっているために、上述の方法では、液状樹脂の注入に長時間を要することが問題となってきている。このため、チップ−基板間の空隙部が小さい場合でも、生産性に十分優れる封止樹脂の形成方法が求められている。
そのような封止樹脂の形成方法として、チップ又は基板に接着剤を供給した後、チップと基板とを接続する方法が挙げられる。しかし、この方法は、上述の通りCOFでは300℃以上の高温に加熱して接続を行うため、接着剤に含まれる揮発成分等の発泡やスプリングバック等によるボイド(気泡)が発生することが懸念される。このようなボイドは、狭ピッチ配線間の絶縁信頼性を低下させる原因になる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、半導体装置の封止用に用いた場合に作業性に十分優れており、高温加熱に伴うボイドの発生を十分に抑制することができるとともに、接続信頼性と絶縁信頼性とに十分優れた半導体装置を製造可能な半導体封止用フィルム状接着剤及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。また、封止樹脂中のボイドの量が十分に低減されており、接続信頼性と絶縁信頼性とに十分優れる半導体装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、(a)エポキシ樹脂と(b)硬化促進剤とを含有しており、(b)硬化促進剤は120℃以上の融点を有し、(b)硬化促進剤の活性領域が120℃以上である半導体封止用フィルム状接着剤を提供する。
本発明の半導体封止用フィルム状接着剤は、(b)硬化促進剤が120℃以上の融点を有するとともに、120℃以上に活性領域があるために、半導体封止用フィルム状接着剤の製造時など、半導体チップ実装前において、硬化反応の進行を十分に抑制することができ、粘度の増大を抑制することができる。そして、半導体チップの実装時に、120℃以上に加熱されて(b)硬化促進剤の活性領域に達し、半導体封止用フィルム状接着剤が即硬化性を発揮して溶融粘度が増大し、良好な埋め込み性や初期導通を確保することが可能となる。また、スプリングバック等に伴うボイドの発生を抑制することができる。したがって、本発明の半導体封止用フィルム状接着剤は、半導体装置の封止用に用いた場合に作業性に十分優れるとともに接続信頼性と絶縁信頼性(耐HAST性)に十分優れた半導体装置を製造することができる。
本発明の半導体封止用フィルム状接着剤は、(c)重量平均分子量10000以上の高分子成分を含有することが好ましい。
また、本発明の半導体封止用フィルム状接着剤は、(d)ポリイミド樹脂を含有することが好ましい。これによって、半導体封止用フィルム状接着剤の形成時におけるフィルム形成性を良好にすることができる。
また、本発明の半導体封止用フィルム状接着剤における(d)ポリイミド樹脂は、30000以上の重量平均分子量を有し、且つ100℃以下のガラス転移温度を有することが好ましい。これによって、半導体封止用フィルム状接着剤の形成時におけるフィルム形成性を一層良好にすることができる。
また、本発明の半導体封止用フィルム状接着剤における(b)硬化促進剤が、イミダゾール類を含有することが好ましい。これによって、例えば300℃程度に加熱した場合に(a)エポキシ樹脂の硬化反応が一層円滑に進行し接続信頼性を一層向上させることができる。
上記(b)硬化促進剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。

(上式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、アルキル基、フェニル基又はヒドロキシアルキル基を示す。)
また、上記一般式(1)で表される化合物におけるRが水素であり、R及びRの少なくとも一方がヒドロキシアルキル基であることが好ましい。通常、エポキシ樹脂とイミダゾール類の反応は、窒素が有する電子対がエポキシ基をアタックし、酸素アニオンを発生させ、この酸素アニオンがさらにエポキシ基と反応を起こして硬化反応が進行すると考えられる。ここで、R、Rがヒドロキシアルキル基(ヒドロキシル基)である場合、ヒドロキシル基部分も反応に関与し、立体障害の原因となる可能性がある。このため、活性領域が、R〜Rがヒドロキシアルキル基(ヒドロキシル基)ではない化合物に比べて高くなると考えられる。したがって、半導体装置実装時の加熱によって大きな増粘が得られ、ボイドの発生を一層抑制することが可能となる。また、分子内の水素結合等の分子内結合により活性領域が高温側にシフトし、半導体チップ実装時の加熱によって大きな増粘が得られることも上記効果が得られることの要因の一つと考えられる。
本発明では、(a)エポキシ樹脂が、室温(1気圧、25℃)で固形であることが好ましい。
本発明ではまた、バンプを有する半導体チップと金属配線を有する基板とを備える半導体装置の製造方法であって、半導体チップと基板とを、上述の半導体封止用フィルム状接着剤を介してバンプと金属配線とが互いに対向するように配置し、半導体チップと基板とを対向する方向に加圧するとともに加熱して半導体封止用フィルム状接着剤を硬化させ、バンプと金属配線とを電気的に接続する接続工程を有する製造方法を提供する。
この製造方法では、上記特徴を有する半導体封止用フィルム状接着剤を用いて半導体チップと基板とを接続しているため、半導体装置の製造時における作業性を十分優れたものとすることができる。また、ボイドの発生を十分に抑制することができるため、接続信頼性に十分優れる半導体装置を製造することが可能となる。
本発明の半導体装置の製造方法における接続工程では、半導体チップと基板とを対向する方向に加圧するとともに300℃以上に加熱して、金を含有するバンプとスズめっき層を有する金属配線との間に金−スズ共晶を形成し、バンプと金属配線とを電気的に接続することが好ましい。これによって、一層接続信頼性に優れる半導体装置を製造することが可能となる。
本発明によれば、半導体装置の封止用に用いた場合に作業性に十分優れており、300℃以上に加熱した場合であってもボイドの発生を十分に抑制することができるとともに、接続信頼性と絶縁信頼性とに十分優れた半導体装置を製造可能な半導体封止用フィルム状接着剤及び半導体装置の製造方法を提供することができる。また、封止樹脂中のボイドの量が十分に低減されており、接続信頼性に十分優れる半導体装置を提供することができる。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図面において、同一または同等の要素には同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。以下、フィルム状接着剤に含まれる各成分の詳細について以下に説明する。
[(a)エポキシ樹脂]
(a)エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましい。例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ナフタレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、フェノールアラルキル型、ビフェニル型、トリフェニルメタン型、ジシクロペンタジエン型、各種多官能エポキシ樹脂などが好ましい。これらのエポキシ樹脂の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビスフェノールA型やビスフェノールF型の液状エポキシ樹脂は、5%熱重量減少温度が250℃以下であるため、高温加熱時に分解して揮発成分が発生する恐れがある。このため、室温(1気圧、25℃)で固形のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。なお、5%熱重量減少温度は、TG−DTA法により、セイコーインスツルメンツ社製のTG−DTA−6200(昇温速度:10℃/分)を用いて測定することができる。
本実施形態の半導体封止用フィルム状接着剤は、粘度や硬化物の物性を制御するためにフェノール樹脂を含有していてもよい。フェノール樹脂は、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有するものが好ましく、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールナフトールホルムアルデヒド重縮合物、トリフェニルメタン型多官能フェノール樹脂、各種多官能フェノール樹脂などを使用することができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。エポキシ樹脂とフェノール樹脂との当量比(水酸基/エポキシ基)は、硬化性や接着性、保存安定性などの観点から0.4〜1.2であることが好ましく、0.4〜1.0であることがより好ましく、0.5〜1.0であることがさらに好ましい。該当量比が0.4未満の場合、フィルム状接着剤の硬化性が低下し、接着力が低下する傾向がある。一方、該当量比が1.2を超えると、未反応のフェノール性水酸基が過剰に残存し、吸水率が高くなって絶縁信頼性が低下する傾向がある。
[(b)硬化促進剤]
(b)硬化促進剤は、120℃以上の融点を有し、120〜400℃に活性領域を有するものであることが好ましい。すなわち、活性領域の温度範囲の下限が120℃以上であり、活性領域の温度範囲の上限が400℃以下であることが好ましい。活性領域が400℃を超える場合、半導体チップ実装時のフィルム状接着剤の硬化反応が十分に進行しない傾向がある。なお、活性領域とは、エポキシ樹脂と硬化促進剤とを混ぜ合わせ、昇温した時の発熱ピーク温度であり、例えば、TG−DTA法により、セイコーインスツルメンツ社製のTG−DTA−6200(昇温速度:10℃/分)によって測定することができる。120〜400℃に活性領域を有するものは、半導体チップの実装時の温度領域において優れた硬化促進能力を発揮するため、一層優れた接続安定性を有する半導体装置を製造することができる。
(b)硬化促進剤は、半導体封止用フィルム状接着剤の組成に応じて、350℃以上での溶融粘度が250Pa・s以下であり、350℃で5秒間以上圧着した際のボイド発生率が5%以下を示すように選定することが好ましい。なお、ボイド発生率とは、圧着部分において、半導体チップやポリイミド基板などの部材とフィルム状接着剤との接触部分の面積全体に対する、ボイドが発生した面積の比率として求めることができる。
具体的には、(b)硬化促進剤はイミダゾール類を含有することが好ましい。イミダゾール類としては、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、エポキシ樹脂とイミダゾール類の付加体などが挙げられる。
これらのうち、硬化性や保存安定性、耐HAST性の観点から、上記一般式(1)で表されるイミダゾール類のR〜Rの少なくとも一つがヒドロキシアルキル基である2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが好ましく、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールがより好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらをマイクロカプセル化して潜在性を高めたものを用いてもよい。
また、一層優れた硬化性や保存安定性、耐HAST性を得る観点から、上記一般式(1)で表されるイミダゾール類のRが水素であり、R及びRの両方がヒドロキシアルキル基であることが好ましい。
(b)硬化促進剤の配合量としては、質量比で(a)エポキシ樹脂に対して、0.001〜0.1であることが好ましく、0.001〜0.05であることがより好ましく、0.001〜0.03であることがさらに好ましい。該質量比が0.001未満の場合、十分優れた硬化性が損なわれる傾向があり、0.1を超える場合、金−スズ共晶による接続部が形成される前にフィルム状接着剤が硬化して接続不良の発生が十分に抑制し難くなる傾向がある。
[(c)重量平均分子量10000以上の高分子成分]
本実施形態のフィルム状接着剤は、(c)重量平均分子量10000以上の高分子成分(以下、便宜上「(c)高分子成分」という。)を含むことが好ましい。(c)高分子成分は、(a)エポキシ樹脂とは異なる樹脂であり、例えば、(a)エポキシ樹脂とは異なるエポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、アクリルゴム等が挙げられる。その中でも、耐熱性及びフィルム形成性に優れるフィルム状接着剤を得る観点から、(a)エポキシ樹脂とは異なるエポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリカルボジイミド樹脂等が好ましく、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、(a)エポキシ樹脂とは異なるポリイミド樹脂がより好ましい。これらの高分子成分は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて、或いは2種以上の共重合体として使用することができる。
[(d)ポリイミド樹脂]
(d)ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。より具体的には、有機溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを等モルの比率又はほぼ等モルの比率で配合し(各成分の添加順序は任意)、80℃以下、好ましくは0〜60℃の温度で付加反応させる。反応が進行するにつれて反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成する。なお、フィルム状接着剤の諸特性の低下を抑えるため、上記のテトラカルボン酸二無水物は無水酢酸で再結晶精製処理を施しておくことが好ましい。
生成したポリアミド酸は、50〜80℃の温度で加熱して解重合させることによって、その分子量を調整することができる。ポリイミド樹脂は、上述の反応物すなわちポリアミド酸を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環は、加熱処理する熱閉環法と、脱水剤を使用する化学閉環法とで行うことができる。
ポリイミド樹脂の原料として用いられるテトラカルボン酸二無水物に特に制限はなく、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ−〔2,2,2〕−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2、−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
また、下記一般式(I)及び(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
上記一般式(I)中、rは2〜20の整数を示す。
上記一般式(I)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、例えば、無水トリメリット酸モノクロライド及び対応するジオールから合成することができる。具体的には1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)等が挙げられる。
これらの中でも、フィルム状接着剤に優れた耐湿信頼性を付与できる点から、下記一般式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物が好ましい。これらのテトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物の配合量は、テトラカルボン酸二無水物全体に対して40モル%以上であることが好ましく、50モル%以上があることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましい。該配合量が、40モル%未満の場合、上記式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物を使用したことによる耐湿信頼性の効果を十分に得ることが困難になる傾向がある。
ポリイミド樹脂の原料に用いられるジアミンとしては特に制限はなく、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンを用いることができる。
ジアミンとしては、下記一般式(III)で表される脂肪族エーテルジアミン、下記一般式(IV)で表される脂肪族ジアミン又は下記一般式(V)で表されるシロキサンジアミンも用いることができる。
上記一般式(III)中、Q、Q及びQは各々独立に炭素数1〜10のアルキレン基を示し、sは2〜80の整数を示す。
上記一般式(IV)中、kは5〜20の整数を示す。
上記一般式(V)中、Q及びQは各々独立に炭素数1〜5のアルキレン基又は置換基を有してもよいフェニレン基を示し、Q、Q、Q、及びQは各々独立に炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基を示し、pは1〜5の整数を示す。
上述したジアミンのうち、優れた低応力性、ラミネート性、低温接着性を有するフィルム状接着剤を得る観点から、上記一般式(III)、又は(IV)で表されるジアミンが好ましい。また、良好な低吸水性、低吸湿性を有するフィルム状接着剤を得る観点から、上記一般式(V)で表されるジアミンが好ましい。これらのジアミンは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。この場合、上記一般式(III)で表される脂肪族エーテルジアミンがジアミン全体の1〜50モル%、上記一般式(IV)で表される脂肪族ジアミンがジアミン全体の20〜80モル%、または上記一般式(V)で表されるシロキサンジアミンがジアミン全体の20〜80モル%であることが好ましい。上記各ジアミンが上記モル%の数値範囲外である場合、良好な低温ラミネート性、低吸水性が得られ難くなる傾向がある。
また、上記一般式(III)で表される脂肪族エーテルジアミンとしては、具体的には、式(III−1)〜(III−5)の脂肪族エーテルジアミンを挙げることができる。なお、一般式(III−4)及び(III−5)中、nは1以上の整数を表す。
上記一般式(III−4)で表される脂肪族エーテルジアミンの重量平均分子量は、例えば、350、750、1100又は2100であることが好ましい。また、上記一般式(III−5)で表される脂肪族エーテルジアミンの重量平均分子量は、例えば230、400又は2000であることが好ましい。
上記脂肪族エーテルジアミンのうち、低温ラミネート性と有機レジスト付き基板に対する良好な接着性とを確保できる点で、下記一般式(VI)で表される脂肪族エーテルジアミンがより好ましい。
上記一般式(VI)中、mは2〜80の整数を示す。
上記一般式(VI)で表される脂肪族エーテルジアミンとしては、具体的には、サン テクノケミカル株式会社製のジェファーミン D−230,D−400,D−2000,D−4000,ED−600,ED−900,ED−2001及びEDR−148(以上、商品名)、並びにBASF製ポリエーテルアミンD−230,D−400及びD−2000(以上、商品名)等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミンが挙げられる。
また、上記一般式(IV)で表される脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカンが好ましい。
上記一般式(V)で表されるシロキサンジアミンとしては、例えば、一般式(V)中、<pが1のとき>、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノブチル)ジシロキサン、1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサン等が挙げられる。
また、<pが2のとき>、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン等が挙げられる。
上記ポリイミド樹脂は1種を単独で又は必要に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(d)ポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)は、基板や半導体チップへの貼付性に一層優れるフィルム状接着剤を得る観点から、100℃以下であることが好ましく、75℃以下であることがより好ましい。該ガラス転移温度が100℃を超える場合、半導体チップに形成されたバンプや基板に形成された電極や配線パターンなどの凹凸を、フィルム状接着剤に十分に埋め込むことが困難になる傾向がある。このため、形成した接続部に気泡が残存して、ボイド発生の原因となる場合がある。
上記ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱分析、パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7型)を用いて、サンプル量:10mg、昇温速度:5℃/min、測定雰囲気:空気の条件で測定される値である。
(d)ポリイミド樹脂の重量平均分子量は、良好なフィルム形成性を有するものとするために、ポリスチレン換算で30000以上であることが好ましく、40000以上であることがより好ましく、50000以上であることがさらに好ましい。該重量平均分子量30000未満の場合、フィルム状接着剤を形成する際に、良好なフィルム形成性が損なわれる傾向がある。なお、上述の重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、商品名:C−R4A)を用いて、ポリスチレン換算で測定される値である。
(d)ポリイミド樹脂の含有量は特に制限されない。ただし、フィルム形状の保持性を向上させる観点から、(d)ポリイミド樹脂に対する(a)エポキシ樹脂の質量比率が0.01〜4であることが好ましく、0.1〜4であることがより好ましく、0.1〜3であることがさらに好ましい。該質量比率が0.01未満の場合、フィルム状接着剤の硬化性が低下して、優れた接着力が損なわれる傾向があり、4を超える場合、フィルム状接着剤の形成時におけるフィルム形成性が低下する傾向がある。
本実施形態の半導体封止用フィルム状接着剤は、粘度や硬化物の物性を制御するために(e)フィラーを含有してもよい。(e)フィラーとしては、絶縁性無機フィラーやウィスカー、樹脂フィラーを用いることができる。絶縁性無機フィラーとしては、例えば、ガラス、シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック、マイカ、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの中でも、シリカ、アルミナ、酸化チタン、窒化ホウ素等が好ましく、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素がより好ましい。
ウィスカーとしてはホウ酸アルミニウム、チタン酸アルミニウム、酸化亜鉛、珪酸カルシウム、硫酸マグネシウム、窒化ホウ素等が挙げられる。樹脂フィラーとしては、ポリウレタン、ポリイミドなどを用いることができる。これらのフィラーおよびウィスカーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(e)フィラーの形状、粒径、および配合量は、特に制限されない。
本実施形態のフィルム状接着剤は、上述の(a)〜(e)成分の他に、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、レベリング剤、酸化防止剤、又はイオントラップ剤などの添加剤を含有していてもよい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。配合量については、各添加剤の効果が発現するように調整すればよい。
本実施形態の半導体封止用フィルム状接着剤の製造方法を以下に説明する。まず、エポキシ樹脂及び硬化促進剤と、必要に応じてポリイミド樹脂、フェノール樹脂及び/又は添加剤(フィラーなど)とを有機溶媒中に加え、攪拌混合、混錬などにより、溶解または分散させて、樹脂ワニスを調製する。離型処理を施した基材フィルム上に、調製した樹脂ワニスをナイフコーター、ロールコーター又はアプリケーターを用いて塗布した後、加熱により有機溶媒を除去して、基材フィルム上にフィルム状接着剤を形成する。なお、ポリイミド樹脂を配合する場合、ポリイミド樹脂を合成した後に単離することなく、ポリイミド樹脂を含むワニスの状態でそのまま使用し、このワニス中に各成分を加えて樹脂ワニスを調製してもよい。
樹脂ワニスの調製に用いる有機溶媒としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有するものが好ましい。そのような有機溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。樹脂ワニス調製の際の混合や混錬等は、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ホモディスパー等を用いて行うことができる。
基材フィルムとしては、有機溶媒を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであるものを用いることができる。このような基材フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、メチルペンテンフィルム等が挙げられる。基材フィルムは、上述のフィルム材料の1種のみからなる単層フィルムに限られず、2種以上のフィルム材料が積層された多層フィルムであってもよい。
基材フィルムに塗布された樹脂ワニスから有機溶媒を揮発させる際の条件は、有機溶媒が十分に揮発する条件とすることが好ましく、具体的には、50〜200℃の温度で0.1〜90分間の加熱を行うことが好ましい。この際の加熱温度は、硬化反応があまり進行しない程度の温度とすることが好ましい。
次に、半導体封止用フィルム状接着剤を用いた半導体装置の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体チップと基板との間に、上述の半導体封止用フィルム状接着剤を介在させ、半導体チップ上のバンプと基板上の金属配線とが互いに対向するように配置して仮接続する第1工程と、半導体チップと基板とをバンプと金属配線とが対向する方向に加圧するとともに加熱して半導体封止用フィルム状接着剤を硬化させ、バンプと金属配線とを電気的に接続する第2工程とを有する。各工程の詳細について、以下に説明する。
(第1工程)
図1は、本発明の好適な実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1工程を模式的に示す工程断面図である。第1工程では、まず、半導体チップ14と基板16との間に、半導体封止用フィルム状接着剤12を介在させる。
半導体チップ14の一面上にはバンプ15が形成されている。半導体チップ14に形成されているバンプ15の材質は特に制限されないが、金、低融点はんだ、高融点はんだ、ニッケル、スズ等を含むものが挙げられる。これらの中でも、COFの場合には金を含有することが好ましい。
基板16の一面上には金属配線18が形成されている。基板16の材質は特に制限されず、セラミックなどの無機基板やエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂などの有機基板を用いることができる。中でも、COFの場合には、ポリイミド樹脂が好適である。
金属配線18の材質としては、銅、アルミ、銀、金、ニッケルなどが挙げられる。配線は、エッチングまたはパターンめっきによって形成される。金属配線18は、金、ニッケル、スズ等でめっき処理を施すことによって、表面にめっき層を有していてもよい。COFの場合には、スズめっき処理によって表面にスズめっき層を有する銅配線が好適に用いられる。
なお、半導体封止用フィルム状接着剤12は所定の大きさに切り出した後、基板16に貼り付けてもよいし、半導体チップ14のバンプ15形成面に貼り付けた後、ダイシングして個片化することによって、半導体封止用フィルム状接着剤12が貼り付いた半導体チップ14を作製してもよい。半導体封止用フィルム状接着剤12の面積や厚みは、半導体チップ14のサイズやバンプ15の高さなどによって適宜設定される。
第1工程では、基板16の金属配線18と半導体チップ14のバンプ15との位置合わせを行い、金属配線18とバンプ15とが対向する方向(矢印A,B方向)に、半導体チップ14及び基板16を加圧ヘッド30及びステージ32を用いて加圧する。これによって、バンプ15が半導体封止用フィルム状接着剤12内に圧入される。
図2は、本発明の好適な実施形態に係る半導体装置の製造方法の第2工程を模式的に示す工程断面図である。第2工程では、加圧ヘッド30及びステージ32によって、バンプ15と金属配線18とが対向する方向(矢印A,B方向)に加圧するとともに、300〜450℃の接続温度で0.5〜5秒間加熱する。これによって、バンプ15と金属配線18とが直接接触して電気的に導通するとともに、半導体封止用フィルム状接着剤12は硬化して硬化樹脂22となる。なお、加圧圧力(継続荷重)は、バンプの数、バンプの高さやそのばらつき、バンプ変形量等を考慮して適宜調製することができる。
上述のとおり、半導体チップ14及び金属配線18は、それぞれ300〜450℃に加熱されることから、半導体チップ14が金を含有するとともに、金属配線18の表面にスズめっき層がある場合は、金とスズとが反応して、バンプ15と金属配線18との接触部分に金−スズ共晶が形成される。これによって、バンプ15と金属配線18との接合が一層強固なものとなり、接続信頼性を一層向上することができる。
半導体封止用フィルム状接着剤12は、300〜450℃の高温で加熱されても、ボイドが発生し難い材料で構成されているため、絶縁信頼性を十分に維持することができる。上記実施形態の製造方法によって得られる半導体装置のボイド発生率は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。ボイド発生率が5%より大きいと、狭ピッチ配線間にボイドが残存し、絶縁信頼性が低下するおそれがある。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、半導体装置の製造方法においては、上記第2工程でバンプ15と金属配線18とを電気的に接続した後に、半導体装置全体をオーブン中などで加熱する加熱処理工程をさらに行ってもよい。
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<(d)ポリイミド樹脂の合成>
温度計、攪拌機及び塩化カルシウム管を備えた300mlフラスコに、1,12−ジアミノドデカン2.10g(0.035モル)、ポリエーテルジアミン(BASF製、ED2000〈分子量:1923〉)17.31g(0.03モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名:LP−7100)2.61g(0.035モル)、及びN−メチル−2−ピロリドン(関東化学株式会社製)150gを仕込んで攪拌を行い、溶液を得た。
その後、フラスコを氷浴中で冷却しながら、当該溶液に、無水酢酸で再結晶精製した4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸二無水物)(ALDRICH製、商品名:BPADA)15.62g(0.10モル)を少量ずつ添加した。
室温(25℃)で8時間反応させた後、キシレン100gを加え、窒素ガスを吹き込みながら180℃で加熱して水と共にキシレンを共沸除去し、合成ポリイミド樹脂の溶液を得た。合成ポリイミド樹脂のTgは22℃,重量平均分子量は47000、SP(溶解度パラメータ)値は10.2であった。
<原材料の準備>
次に、フィルム状接着剤製造用の原材料として、以下の化合物を準備した。
(a)エポキシ樹脂
・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名:YDCN−702)
・多官能特殊エポキシ樹脂(株式会社プリンテック製、商品名:VG3101L)
(b)硬化促進剤
・2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名:2PHZ−PW、融点:240℃、活性領域:155〜175℃)
・2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名:2P4MHZ−PW、融点:193℃、活性領域:140〜150℃)
・2−フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名:2PZ−PW、融点:140℃、活性領域:100〜125℃)
・2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名:2P4MZ−PW、融点:180℃、活性領域:110〜125℃)
・2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体(四国化成工業株式会社製、商品名:2MAOK−PW、融点:260℃、活性領域:130〜145℃)
フェノール樹脂
・クレゾールナフトールホルムアルデヒド重縮合物(日本化薬株式会社製、商品名:カヤハードNHN、重量平均分子量:730)
(e)フィラー
・窒化ホウ素[水島合金鉄株式会社製、商品名:HPP1−HJ(平均粒子径:1.0μm、最大粒子径:5.1μm)]
・シリカフィラー(日本アエロジル株式会社製、商品名:R972〈平均粒径20nm〉)
<半導体封止用フィルム状接着剤の作製方法>
ガラス製スクリュー管20mlに、(c)合成ポリイミド樹脂1.62g、エポキシ樹脂(商品名:YDCN−702)0.18g、エポキシ樹脂(商品名:VG3101L)を0.18g、シリカフィラー(商品名:R972)0.11g、窒化ホウ素(商品名:HPP1−HJ)0.70g、硬化促進剤0.0036g、N−メチル−2−ピロリドン(関東化学株式会社製)4.4gを仕込み、撹拌・脱泡装置AR−250(株式会社シンキー製、商品名)で撹拌・脱泡を行って樹脂ワニスを得た。
得られた樹脂ワニスを、基材フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名:ピューレックスA53)に、塗工機PI1210FILMCOATER(テスター産業株式会社製、商品名)で塗工し、クリーンオーブン(エスペツク株式会社製)で乾燥(80℃で30分間及び120℃で30分間乾燥)して、半導体封止用フィルム状接着剤を作製した。
得られたフィルム状接着剤の評価試験を以下の通りにして行った。
<溶融粘度の測定>
図3は、溶融粘度測定用の試料Aの作製方法を説明するための説明図である。まず、作製したフィルム状接着剤12を、所定のサイズ(直径6mm、厚み約0.1mm)に切断して厚み0.7mmのガラスチップ11(サイズ:15mm×15mm)上に貼付した。その後、図3に示すように、厚み0.12〜0.17mmのカバーガラス13(サイズ:18mm×18mm)を被せて、ガラスチップ11、フィルム状接着剤12及びカバーガラス13が順次積層された試料Aを作製した。
次に、試料Aをフリップチップボンダー(松下電器産業株式会社製、商品名:FCB3)を用いて、加熱温度350℃、加圧圧力1MPa、加熱加圧時間0.5秒間の条件で圧着させて、圧着体を作製した。そして、圧着前後のフィルム状接着剤の体積変化を測定した。平行板プラストメータ法により、測定した体積変化から下記の粘度算出式により溶融粘度(粘度)を算出した。結果を表1に示す。
μ=8πFtZ /[3V(Z −Z)]
μ:溶融粘度(Pa・s)
F:荷重(N)
t:加熱加圧時間(秒)
:初期厚み(m)
Z:加圧後厚み(m)
V:樹脂体積(m
<接続抵抗(初期導通)の評価>
図4(A)は接続抵抗の評価に用いた半導体装置を上方(半導体チップ側)から撮影した写真であり、図4(B)は接続抵抗の評価に用いた半導体装置の断面を撮影した写真である。接続抵抗評価用の半導体装置は次の通りにして作製した。
作製したフィルム状接着剤を所定のサイズ(2.5mm×15.5mm×厚み0.03mm)に切断し、ポリイミド基板16(株式会社日立超LSIシステムズ製、商品名:JKIT COF TEG_30−B、ポリイミド基材の厚み:38μm、銅配線の厚み:8μm、配線スズめっきの厚み:0.2μm)上に貼付した。
上述のフリップチップボンダーを用いて、ポリイミド基板上に貼付したフィルム状接着剤の該ポリイミド基板とは反対側の面上に、金バンプ15が形成されたチップ14(株式会社日立超LSIシステムズ製、商品名:JTEG PHASE6_30、チップサイズ:1.6mm×15.1mm×厚み0.4mm、バンプサイズ:20μm×100μm×高さ15μm、バンプ数726)を圧着して実装した。圧着条件は、ヘッド温度:350℃、ステージ温度:100℃、圧着時間:1秒間、圧着圧力:50Nとした。これによって、図4(A)及び(B)に示すようなポリイミド基板16と金バンプ付きチップ14とがデイジーチェーン接続された半導体装置を得た。
得られた半導体装置のデイジーチェーン接続における接続抵抗値を、マルチメーターを用いて測定した。フィルム状接着剤を用いずに作製した半導体装置のデイジーチェーン接続における接続抵抗値が160Ω前後であったことから、接続抵抗値が120〜190Ωの場合を「A」、120Ω未満又は190Ωを超える場合を「B」と評価した。評価結果を表1に示す。
<ボイド発生率の測定>
図5は、ボイド発生率測定用の試料Bの作製方法を説明するための説明図である。作製したフィルム状接着剤を所定のサイズ(5mm×5mm×厚み0.03mm)に切断し、図5に示すように、フィルム状接着剤12をガラスチップ11(15mm×15mm×厚み0.7mm)上に貼付した。フィルム状接着剤12の上に、金バンプ15が形成されたチップ14(4.26mm×4.26mm×厚み0.27mm、バンプ高さ:0.02mm)を被せて、試料Bを作製した。
試料Bをフリップチップボンダー(松下電器産業株式会社製、商品名:FCB3)を用いて、所定の条件(ヘッド温度:350℃、ステージ温度:100℃、圧着時間:5秒間、圧着圧力:1MPa)で圧着させて、圧着体を得た。
圧着体のボイド発生率を、圧着部分における金バンプ付チップ14面積全体に対する、ボイドが発生した面積の比率として算出した。結果を表1に示す。
<絶縁信頼性試験(HAST試験:Highly Accelerated Sto
rage Test)>
図6は、絶縁信頼性試験に用いた試料Cを上方から撮影した写真である。試料Cは以下の通りにして作製した。
上記の通り作製したフィルム状接着剤12(厚み30μm)を、ポリイミド基板16上にスズめっきされた銅配線18を有するくし型電極評価TEG(30μmピッチ)の外銅配線18を有する面上に貼付した。貼付後、クリーンオーブン(エスペツク株式会社製)中に入れて、180℃、1時間の条件で硬化させて図6に示すような試料Cを得た。
クリーンオーブンから試料Cを取り出し、加速寿命試験装置(株式会社平山製作所製、商品名:PL−422R8、110℃、85%RH、100時間)に設置し、絶縁抵抗を測定した。
100時間の測定期間中、10Ω以上の絶縁抵抗を維持できた場合を「A」、維持できなかった場合を「B」として評価した。評価結果を表5に示す。
(実施例2及び比較例1〜4)
使用した原材料の組成を下記の表1に示したように変更したことを除いては、実施例1の半導体封止用フィルム状接着剤の作製方法と同様にして、半導体封止用フィルム状接着剤を作製し、各評価を行った。半導体封止用フィルム状接着剤の原材料の配合量(質量部)と評価結果とを纏めて表1に示す。
本発明の好適な実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1工程を模式的に示す工程断面図である。 本発明の好適な実施形態に係る半導体装置の製造方法の第2工程を模式的に示す工程断面図である。 溶融粘度測定用の試料Aの作製方法を説明するための説明図である。 接続抵抗の評価に用いた半導体装置の写真である。 ボイド発生率測定用の試料Bの作製方法を説明するための説明図である。 絶縁信頼性試験に用いた試料Cを上方から撮影した写真である。
符号の説明
11…ガラスチップ、12…半導体封止用フィルム状接着剤(フィルム状接着剤)、13…カバーガラス、14…チップ(半導体チップ)、15…金バンプ(バンプ)、16…基板(ポリイミド基板)、18…金属配線(銅配線)、22…硬化樹脂、30…加圧ヘッド、32…ステージ。

Claims (12)

  1. (a)エポキシ樹脂と(b)硬化促進剤とを含有しており、
    前記(b)硬化促進剤は120℃以上の融点を有し、
    前記(b)硬化促進剤の活性領域が120℃以上である半導体封止用フィルム状接着剤。
  2. (c)重量平均分子量10000以上の高分子成分を含有する請求項1記載の半導体封止用フィルム状接着剤。
  3. (d)ポリイミド樹脂を含有する請求項1又は2記載の半導体封止用フィルム状接着剤。
  4. 前記(d)ポリイミド樹脂は、30000以上の重量平均分子量を有し、且つ100℃以下のガラス転移温度を有する請求項3記載の半導体封止用フィルム状接着剤。
  5. 前記(b)硬化促進剤がイミダゾール類を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体封止用フィルム状接着剤。
  6. 前記(b)硬化促進剤が、下記一般式(1)で表される化合物を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体封止用フィルム状接着剤。

    (上式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、アルキル基、フェニル基又はヒドロキシアルキル基を示す。)
  7. 前記一般式(1)で表される前記化合物における前記Rが水素である請求項6に記載の半導体封止用フィルム状接着剤。
  8. 前記一般式(1)で表される前記化合物における前記R及びRの少なくとも一方がヒドロキシアルキル基である請求項6又は7に記載の半導体封止用フィルム状接着剤。
  9. 前記(a)エポキシ樹脂が、室温(1気圧、25℃)で固形である請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体封止用フィルム状接着剤。
  10. バンプを有する半導体チップと金属配線を有する基板とを備える半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体チップと前記基板とを、請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体封止用フィルム状接着剤を介して前記バンプと前記金属配線とが互いに対向するように配置し、
    前記半導体チップと前記基板とを対向する方向に加圧するとともに加熱して前記半導体封止用フィルム状接着剤を硬化させ、前記バンプと前記金属配線とを電気的に接続する接続工程を有する製造方法。
  11. 前記接続工程では、前記半導体チップと前記基板とを対向する方向に加圧するとともに300℃以上に加熱して、金を含有する前記バンプとスズめっき層を有する前記金属配線との間に金−スズ共晶を形成し、前記バンプと前記金属配線とを電気的に接続する請求項10記載の製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の製造方法によって得られる半導体装置。

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