JP2017137235A - カバーガラス及びガラス積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、反りが低減され、かつ耐擦傷性に優れ、かつ低反射性で光学特性にも優れたカバーガラス及びガラス積層体を提供する。【解決手段】本発明によれば、高屈折率材料からなる膜と低屈折率材料からなる膜を交互に所定量積層することにより、ガラスの反りを低減し、該耐擦傷性の効果を維持し、かつ低反射性で光学特性にも優れたカバーガラス及びガラス積層体を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、反りを低減し、かつ耐擦傷性に優れたカバーガラス及びガラス積層体に関する。
デジタルカメラ、携帯電話または携帯情報端末PDA(Personal Digital Assistants)等に用いられるフラットパネルディスプレイ装置やタッチパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護および美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。ガラスは理論強度が高いものの、傷が付くことで強度が大幅に低下するため、強度が求められるカバーガラスには、イオン交換等によりガラス表裏面に圧縮応力層を形成した化学強化ガラスが用いられている。
カバーガラスの表面に高い硬度や耐擦傷性が求められる場合、耐衝撃性を有する層がその最表層に成膜されることがある。例えば、強化ガラスの表面に非対称耐衝撃性を有するコーティングを備えた強化ガラス積層体が知られている(特許文献1)。
特表2015−507588号公報
特許文献1に記載の強化ガラス積層体は自動車又は航空機の窓への応用を想定しており、厚いガラス板が用いられる。一方で、該強化ガラス積層体を、例えばデジタルカメラ、携帯電話または携帯情報端末PDAといった電子端末用カバーガラスに適用しようとすると、ガラスの厚みを薄くする必要があり、得られる強化ガラス積層体には反りが生じてしまう。
そこで本発明では、耐擦傷性に優れるだけでなく、反りも低減されたカバーガラス及びガラス積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研鑽を積んだ結果、薄いガラス板であっても、該ガラス板の少なくとも一方の表面に、高屈折率材料からなる膜と低屈折率材料からなる膜を交互に複数層積層することにより、反りが低減され、かつ耐擦傷性に優れたカバーガラス及びガラス積層体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記<1>〜<19>に関するものである。
<1>ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の表面に積層された無機膜とを含むカバーガラスであって、前記ガラス板は厚みが1mm以下であり、前記無機膜は波長632nmにおける屈折率が1.80以上の高屈折率材料からなる膜と、前記屈折率が1.80未満の低屈折率材料からなる膜とが交互に6層以上積層され、前記高屈折率材料からなる膜及び前記低屈折率材料からなる膜は、それぞれ単膜の厚みが5〜250nmであり、前記6層以上積層された合計の厚みが850〜6000nmの積層膜であり、かつ前記ガラス板単独の反り量と、前記無機膜が積層されたカバーガラスの反り量との反り変化量が30%以下であるカバーガラス。
<2>ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の表面に積層された無機膜とを含むカバーガラスであって、前記ガラス板は厚みが1mm以下であり、前記無機膜は波長632nmにおける屈折率が1.80以上の高屈折率材料からなる膜と、前記屈折率が1.80未満の低屈折率材料からなる膜とが交互に6層以上積層され、前記高屈折率材料からなる膜及び前記低屈折率材料からなる膜は、それぞれ単膜の厚みが5〜250nmであり、前記無機膜の合計厚みが850〜6000nmであり、かつ水平な定盤上に、前記カバーガラスの一方の主平面が接するように載置して、前記カバーガラスの浮き上がりである前記カバーガラスの四隅における定盤からの反り量を、隙間ゲージを用いて、20℃で測定した際、反り量の平均値が400μm以下であるカバーガラス。
<3>前記高屈折率材料が窒化ケイ素である、<1>又は<2>に記載のカバーガラス。<4>前記低屈折率材料が酸化ケイ素である、<1>〜<3>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<5>前記低屈折率材料からなる膜の単膜の厚みが、前記高屈折率材料からなる膜の単膜の厚みよりも薄い、<1>〜<4>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<6>前記ガラス板の最表面に前記低屈折率材料からなる膜を介して前記高屈折率材料からなる膜が積層された、<1>〜<5>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<7>前記無機膜の合計厚みが850〜3000nmである、<1>〜<6>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<8>前記ガラス板が、表層に圧縮応力層を有する化学強化ガラス板である、<1>〜<7>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<9>前記無機膜の表面にさらに防汚膜を備える、<1>〜<8>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<10>電子端末用である、<1>〜<9>のいずれか1に記載のカバーガラス。
<11>ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の表面に積層された無機膜とを含むガラス積層体であって、前記無機膜は波長632nmにおける屈折率が1.80以上の高屈折率材料からなる膜と、前記屈折率が1.80未満の低屈折率材料からなる膜とが交互に6層以上積層され、前記高屈折率材料からなる膜及び前記低屈折率材料からなる膜は、それぞれ単膜の厚みが5〜250nmであり、前記無機膜の合計厚みが850〜6000nmであり、かつ前記無機膜の合計厚みと前記無機膜の合計応力値とを掛け合わせた値の絶対値が220×10nm・MPa以下であるガラス積層体。
<12>ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の表面に積層された無機膜とを含むガラス積層体であって、前記無機膜は波長632nmにおける屈折率が1.80以上の高屈折率材料からなる膜と、前記屈折率が1.80未満の低屈折率材料からなる膜とが交互に6層以上積層され、前記高屈折率材料からなる膜及び前記低屈折率材料からなる膜は、それぞれ単膜の厚みが5〜250nmであり、前記無機膜の合計厚みが850〜6000nmであり、かつ前記無機膜の合計応力値の絶対値が80MPa以下であるガラス積層体。
<13>前記高屈折率材料からなる膜の応力値の絶対値は、前記低屈折率材料からなる膜の応力値の絶対値よりも小さい<11>又は<12>に記載のガラス積層体。
<14>前記高屈折率材料からなる膜の応力値は、前記低屈折率材料からなる膜の応力値よりも大きい<11>〜<13>のいずれか1に記載のガラス積層体。
<15>前記無機膜の合計厚みと前記無機膜の合計応力値とを掛け合わせた値の絶対値が100×10nm・MPa以下である<11>〜<14>のいずれか1に記載のガラス積層体。
<16>前記高屈折率材料からなる膜はそれぞれ単膜の応力値の絶対値が30〜250MPaである、<11>〜<15>のいずれか1に記載のガラス積層体。
<17>前記低屈折率材料からなる膜はそれぞれ単膜の応力値の絶対値が100〜300MPaである、<11>〜<16>のいずれか1に記載のガラス積層体。
<18>前記無機膜の合計応力値の絶対値が35MPa以下である、<11>〜<17>のいずれか1に記載のガラス積層体。
<19>前記無機膜の合計応力値の絶対値が25MPa以下である、<11>〜<18>のいずれか1に記載のガラス積層体。
本発明によれば、高屈折率材料からなる膜と低屈折率材料からなる膜を交互に所定量積層することにより、ガラスの反りを低減し、該耐擦傷性の効果を維持し、かつ低反射性で光学特性にも優れたカバーガラス及びガラス積層体を提供することができる。
図1は、従来のガラス積層体の構造を示す断面図である。 図2は、本発明に係るカバーガラスの一態様として、高屈折率材料からなる膜と低屈折率材料からなる膜とが交互に9層積層された構造を示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
また本明細書において数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
<カバーガラス・ガラス積層体>
本発明のカバーガラス及びガラス積層体は、ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の表面に積層された無機膜とを含む。
前記ガラス板は厚みが1mm以下である。
前記無機膜は高屈折率材料からなる膜と低屈折材料からなる膜とが交互に6層以上積層されており、高屈折率材料とは波長632nmにおける屈折率が1.80以上であり、低屈折率材料とは前記屈折率が1.80未満の材料である。
前記高屈折率材料からなる膜及び前記低屈折率材料からなる膜は、それぞれ単膜の厚みが5〜250nmであり、前記6層以上積層された合計の厚みが850〜6000nmの積層膜である。
本発明のカバーガラスは、前記無機膜が積層される前の前記ガラス板単独の反り量と、前記無機膜が積層されたカバーガラスの反り量との反り変化量は30%以下である。
また、本発明のカバーガラスは、水平な定盤上に、カバーガラスの一方の主平面が接するように載置して、カバーガラスの浮き上がりであるカバーガラスの四隅における定盤からの反り量を、隙間ゲージを用いて、20℃で測定した際、反り量の平均値が400μm以下である。
さらに、本発明のガラス積層体は、前記無機膜の合計厚みと前記無機膜の合計応力値とを掛け合わせた値の絶対値が220×10nm・MPa以下であり、前記無機膜の合計応力値の絶対値が80MPa以下である。
(ガラス板)
本発明に係るカバーガラス及びガラス積層体を構成するガラス板は、ガラス板の厚みが1mm以下である。厚みが1mm超となると、ガラス板そのものの剛性が高く、そもそも反りが生じにくい。ガラス板の厚みは、カバーガラスの重量を低減できるだけでなく、無機膜のコーティング等による反り変化量の低減効果を得やすい点から0.8mm以下が好ましい。
また下限は0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。
ガラス板の種類は特に限定されないが、化学強化(イオン交換)処理を行い、表面に圧縮応力層を有する化学強化ガラス板とすることが好ましい。イオン交換を行う場合、ガラス板はリチウム及びナトリウムの少なくともいずれか一方を含むことが好ましく、ナトリウムを含むことがより好ましい。これは、化学強化処理におけるイオン交換する工程において、ガラスの表面をイオン交換し、圧縮応力が残留する表面層を形成させるためである。
具体的には、ガラス転移点以下の温度でイオン交換によりガラス板表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(Liイオン、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(Naイオン、Kイオン)に置換する。これにより、ガラスの表面に圧縮応力が残留し、ガラス板の面強度が向上する。
ガラス板のガラス組成は特に限定されないが、例えばアルミシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス又はソーダライムガラス等を好ましく用いることができる。
具体的なガラス組成を以下に示す。
(i)酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを2〜25%、LiOを0〜10%、NaOを0〜18%、KOを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrOを0〜5%を含むガラス、
(ii)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiOを50〜74%、Alを1〜10%、NaOを6〜14%、KOを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrOを0〜5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が75%以下、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス、
(iii)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiOを68〜80%、Alを4〜10%、NaOを5〜15%、KOを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrOを0〜1%含有するガラス、
(iv)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiOを67〜75%、Alを0〜4%、NaOを7〜15%、KOを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrOを0〜1.5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が71〜75%、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス、
(v)酸化物基準の質量%で表示した組成が、SiOを65〜75%、Alを0.1〜5%、MgOを1〜6%、CaOを1〜15%含有し、NaO+KOが10〜18%であるガラス、
(vi)酸化物基準の質量%で表示した組成が、SiOを65〜72%、Alを3.4〜8.6%、MgOを3.3〜6%、CaOを6.5〜9%、NaOを13〜16%、KOを0〜1%、TiOを0〜0.2%、Feを0.01〜0.15%、SOを0.02〜0.4%含有し、(NaO+KO)/Alが1.8〜5.0であるガラス、
(vii)酸化物基準の質量%で表示した組成が、SiOを60〜72%、Alを1〜10%、MgOを5〜12%、CaOを0.1〜5%、NaOを13〜19%、KOを0〜5%含有し、RO/(RO+RO)が0.20以上、0.42以下(式中、ROとはアルカリ土類金属酸化物、ROはアルカリ金属酸化物を示す。)であるガラス。
ガラス板の製造方法は特に限定されず、所望のガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を好ましくは1500〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。
なお、ガラスの成形には種々の方法を採用することができる。例えば、ダウンドロー法(例えば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウン法およびリドロー法等)、フロート法、ロールアウト法およびプレス法等の様々な成形方法を採用することができる。
(高屈折率材料)
本発明に係るカバーガラス及びガラス積層体は、前記ガラス板の少なくとも一方の表面に無機膜が積層されている。
無機膜は高屈折率材料からなる膜と低屈折率材料からなる膜が交互に6層以上積層された膜であるが、高屈折率材料とは、波長632nmにおける屈折率が1.80以上であればよく、1.85以上が好ましく、1.90以上がより好ましく、1.92以上がさらに好ましく、1.95以上がことさらに好ましく、1.97以上が光学調整の点から特に好ましい。
高屈折率材料としては、Si、Al、Ti、Ta、Hf及びZrからなる群より選ばれる1以上の窒化物、酸窒化物および酸化物が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
中でも、硬度が高く、得られるカバーガラスの耐擦傷性が向上することから窒化ケイ素(SiN)がより好ましい。なお、窒化ケイ素の波長632nmにおける屈折率は1.95である。なお、本発明における屈折率はエリプソメトリー法により測定することができる。
高屈折率材料からなる膜(高屈膜)は、単膜で厚み5〜250nmの膜であり、3層以上積層される。高屈膜の単膜の厚みは、断面SEM観察により測定することができる。
高屈膜の成膜方法は特に制限されず、例えばスパッタ法や後反応スパッタ法等を用いることができる。後反応スパッタ法としては、例えば、ラジカルアシストスパッタ法(米国特許第6103320号明細書参照)やメタモード法(特許第5783613号公報参照)等が挙げられる。後反応スパッタ法だと、単膜ごとに応力の種類(圧縮応力、引張応力)や該応力の大きさを調整できることからより好ましい。
例えば窒化ケイ素膜を成膜する場合には、シリコンターゲットとしてp−Siを用い、窒素雰囲気下でスパッタリングを行う。スパッタリングの成膜時間やスパッタ電力、ガス流量、基板温度等を変えることにより、得られる膜の膜厚や結晶構造、特性等が変化するので、適宜調整して最適な条件にて行う。
(低屈折率材料)
低屈折率材料からなる膜(低屈膜)は低反射特性に寄与する。また、高屈膜と低屈膜の界面で傷の進行を止めることも可能であることから、カバーガラスの耐擦傷性の一層の向上の点からも好ましい。
低屈折率材料は波長632nmにおける屈折率が、前記高屈折率材料よりも小さければよいことから1.80未満となるが、該屈折率は1.50以下が光学特性調整の点から好ましく、1.48以下がより好ましく、1.45以下がさらに好ましく、1.40以下がことさらに好ましく、1.35以下が特に好ましい。
低屈折率材料としては、Si、Al及びZrからなる群より選ばれる1以上の酸化物が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
中でも、得られるカバーガラスの反射率をより低下できることから酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)がより好ましい。なお、酸化ケイ素の波長632nmにおける屈折率は1.47であり、酸化アルミニウムの波長632nmにおける屈折率は1.67である。
低屈膜は、単膜での厚みが5〜250nmの膜が3層以上積層される。低屈膜の単膜の厚みは高屈膜の単膜の厚みよりも薄いことが、反りをより低減できることから好ましい。低屈膜の単膜の厚みは、単膜だけであれば、接触式膜厚計や断面SEM観察、積層の場合は、エリプソメトリー法による測定等により測定することができる。
低屈膜の成膜方法は特に制限されず、例えばスパッタ法や後反応スパッタ法等を用いることができる。後反応スパッタ法だと、単膜ごとに応力の種類(圧縮応力、引張応力)や該応力の大きさを調整できることからより好ましい。
例えば酸化ケイ素膜を成膜する場合には、シリコンターゲットとしてp−Siを用い、酸素雰囲気下でスパッタリングを行う。スパッタリングの成膜時間やスパッタ電力、ガス流量、基板温度等を変えることにより、得られる膜の膜厚や結晶構造、特性等が変化するので、適宜調整して最適な条件にて行う。
また、後反応スパッタ法を用いて、例えば高屈膜を引張応力層とし、低屈膜を圧縮応力層として成膜することにより、該高屈膜の引張応力と該低屈膜の圧縮応力とが互いに相殺され、反りを顕著に抑えたカバーガラス及びガラス積層体を得ることができ、反りが一切ないカバーガラス及びガラス積層体を得ることも可能であると考えられる。
(無機膜)
高屈膜と低屈膜は交互に積層される(図2参照)。これにより、積層された界面で傷の進行が止まりやすく耐擦傷性が向上する。さらに、ガラス板の最表面に低屈膜を積層し、これを介して高屈膜が積層されることが、膜の密着性が良好となることから好ましい。
高屈膜及び低屈膜の単膜の膜厚(単膜の厚み)が250nm超であると、単膜当たりの圧縮応力又は引張応力が大きくなり、ガラス板に反りが生じやすくなる。一方、単膜の膜厚を250nm以下とすると、単膜当たりの圧縮応力又は引張応力は小さくなり、それら単膜が複数層積層されても、ガラス板に反りが生じにくい。すなわち、厚み250nm以下の単膜を複数積層して総厚みを所定の厚みにした場合の積層膜全体の圧縮応力又は引張応力の値と、単膜(1層)で同じ所定の厚みにした場合(図1参照)の高屈膜又は低屈膜の圧縮応力又は引張応力の値とでは、複数層積層した本発明における無機膜の方が格段に小さな値となり、ガラス板の反りを減少する、または反りをなくすことができる。
また、例えば低屈膜が圧縮応力層である場合には、高屈膜を引張応力層とすることによって、互いの応力を打ち消すような力が働き、カバーガラスの反りをさらに低減できることからより好ましい。
無機膜は、単膜を6層以上積層し、合計の膜厚(無機膜の合計厚み)が850〜6000nmの積層膜である。かかる膜数と膜厚にすることにより、優れた耐擦傷性を得ることができる。
高屈膜と低屈膜の合計の積層数は、界面による傷進展抑制効果の点から20層以上(高屈膜と低屈膜がそれぞれ10層以上)が好ましく、40層以上(高屈膜と低屈膜がそれぞれ20層以上)がより好ましい。また上限は通常100層以下(高屈膜と低屈膜がそれぞれ50層以下)である。
また、本発明に係るカバーガラスの最表面又は無機膜の最表面は高屈膜でも低屈膜でもよいが、より透過率の高いカバーガラスを得る観点から低屈膜が好ましい。また、積層膜の表面、すなわちカバーガラスの最表面に撥油性や親油性の少なくとも一つの特性を持つ防汚膜がさらに形成される場合には、前記防汚膜との密着性の観点からも、無機膜の最表面は低屈膜が好ましい。すなわち、ガラス板の最表面に低屈膜を積層し、これを介して高屈膜を積層し、かつ、カバーガラスの最表面又は無機膜の最表面を低屈膜とすることがより好ましく、その場合、無機膜における高屈膜と低屈膜の合計の積層数は奇数となる。
合計の膜厚は850nm以上であればよいが、1000nm以上が強度確保の点から好ましく、1500nm以上がより好ましい。また上限は光学特性の点から6000nm以下であり、3000nm以下が好ましく、2500nm以下がより好ましい。例えば、合計の膜厚の組み合わせとして、850〜3000nmがより好ましい。なお、積層された無機膜の厚みとは、高屈膜と低屈膜の単膜の厚みの総和である。
高屈膜と低屈膜の単膜の膜厚はそれぞれ5〜250nmであればよいが、高屈膜の単膜の合計の厚みは低屈膜の単膜の合計の厚みよりも厚いことが好ましい。
例えば、無機膜としての合計の膜厚が2000nmである場合、高屈膜の合計の厚みは1200nm以上が好ましく、1500nm以上がより好ましい。また、無機膜としての合計の膜厚が3000nmである場合、高屈膜の合計の厚みは1800nm以上が好ましく、2000nm以上がより好ましい。
高屈膜及び低屈膜において、各単膜の厚みはそれぞれ同じ厚みでも異なる厚みであってもよい。また、各単膜を構成する高屈折率材料や低屈折率材料は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
ガラス板に積層した無機膜の表面、すなわち、カバーガラスの最表面には、さらに防汚膜を備えることがより好ましい。防汚膜は防汚性、撥水性、撥油性及び親油性からなる群より選ばれる少なくともいずれか一の特性を持つ膜であればよく、例えば、フッ素含有有機化合物が挙げられる。より具体的には、含フッ素有機ケイ素化合物や、加水分解性を有する含フッ素有機化合物等が挙げられる。
防汚膜をカバーガラスの最表面に形成することによって、例えば指紋跡や汗、埃など様々な汚れの付着を抑える、汚れを拭き取りやすくする、汚れを目立ちにくくする等の機能を有し、表示面をきれいに保つことができる。また、タッチパネル操作の際にひっかかりのないスムーズな指滑り性を得ることも可能となる。
<カバーガラス及びガラス積層体の製造方法>
本発明に係るカバーガラス及びガラス積層体は、ガラス板の少なくとも一方の表面に、無機膜を設けることにより製造することができる。
ガラス板は表層に圧縮応力層を有する化学強化ガラス板であることが好ましく、化学強化処理は従来公知の方法により行うことができる。化学強化ガラスは、例えば下記(a)〜(c)の工程を行うことにより製造される。
(a)ナトリウムを含むガラス板を、KCO、NaCO、KHCO及びNaHCOからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩と硝酸カリウムとを含む無機塩に接触させ、前記ガラス板中のナトリウムと前記無機塩中のカリウムとをイオン交換する工程、(b)イオン交換された前記ガラス板を酸に接触させる工程、(c)酸に接触された前記ガラス板をアルカリに接触させる工程。
上記工程(a)〜(c)の間に適宜、洗浄や乾燥を行う工程を含んでいてもよい。
(溶融塩の調製)
硝酸カリウムの融点は330℃であり、化学強化を行うガラスの歪点(通常500〜600℃)以下に融点を有している。また、KCO、NaCO、KHCO、NaHCOといった塩(以下、「融剤」と称することもある。)は、Si−O−Si結合に代表されるガラスのネットワークを切断する性質を有する。化学強化処理を行う温度は数百℃と高いので、その温度下でガラスのSi−O間の共有結合は適度に切断され、後述する低密度化処理が進行しやすくなる。
なお、共有結合を切断する度合いはガラス組成や用いる塩(融剤)の種類、化学強化処理を行う温度、時間等の化学強化処理条件によっても異なるが、Siから伸びている4本の共有結合のうち、1〜2本の結合が切れる程度の条件を選択することが好ましいものと考えられる。
ガラス表面のNaイオン(又はLiイオン)と無機塩中のKイオン(又はNaイオン)とがイオン交換されることで高密度な圧縮応力層が形成される。無機塩にガラスを接触させる方法としては、ペースト状の無機塩を塗布する方法、無機塩の水溶液をガラスに噴射する方法、融点以上に加熱した溶融塩の塩浴にガラスを浸漬させる方法などが可能であるが、これらの中では、溶融塩に浸漬させる方法が望ましい。
融剤の添加量は表面水素濃度制御の点から0.1mol%以上が好ましく、0.5mol%以上がさらに好ましく、1mol%以上がより好ましく、2mol%以上が特に好ましい。また生産性の観点から各塩の飽和溶解度以下が好ましい。過剰に添加するとガラスの腐食につながるおそれがある。例えば、融剤としてKCOを用いる場合には、24mol%以下が好ましく、12mol%以下がより好ましく、8mol%以下が特に好ましい。
無機塩は、硝酸カリウム及び融剤の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の化学種を含んでいてもよく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等のアルカリ塩化塩やアルカリホウ酸塩などが挙げられる。これらは単独で添加しても、複数種を組み合わせて添加してもよい。
溶融塩は公知の工程により製造することができる。すなわち、硝酸カリウム溶融塩を調製し、次いで該硝酸カリウム溶融塩へ融剤を添加することで得ることができる。また、別の方法として、硝酸カリウムと融剤を混合し、次いで該硝酸カリウムと融剤との混合塩を溶融することで得ることができる。
(工程(a):イオン交換する工程)
次に、調製した溶融塩を用いて化学強化処理を行う。化学強化処理は、ガラス板を溶融塩に浸漬し、ガラス中のNaイオン(又はLiイオン)を、溶融塩中のKイオン(又はNaイオン)とイオン交換(置換)することで行われる。このイオン交換によってガラス板表面の組成を変化させ、ガラス板の表面が高密度化した圧縮応力層を形成することができる。このガラス板表面の高密度化によって圧縮応力が発生することから、ガラス板を強化することができる。
なお実際には、化学強化ガラス板の密度は、ガラス板の中心に存在する中間層(バルク)の外縁から圧縮応力層表面に向かって徐々に高密度化してくるため、中間層と圧縮応力層との間には、密度が急激に変化する明確な境界はない。ここで中間層とは、ガラス板中心部に存在し、圧縮応力層に挟まれる層を表す。この中間層は圧縮応力層とは異なり、イオン交換がされていない層である。
本発明における化学強化処理(イオン交換する工程)は、具体的には以下の手順で行うことができる。
まずガラス板を予熱し、先述した溶融塩を、化学強化を行う温度に調整する。次いで予熱したガラス板を溶融塩中に所定の時間浸漬したのち、ガラス板を溶融塩中から引き上げ、放冷する。なお、ガラス板には、化学強化処理の前に、用途に応じた形状加工、例えば、切断、端面加工および穴あけ加工などの機械的加工を行うことが好ましい。
ガラス板の予熱温度は、溶融塩に浸漬する温度に依存するが、一般に100℃以上であることが好ましい。
化学強化温度は、被強化ガラスの歪点(通常500〜600℃)以下が好ましく、より高い圧縮応力層深さ(DOL)を得るためには特に350℃以上が好ましく、処理時間の短縮及び圧縮応力層の深さ(DOL)を深くしすぎないために450℃以上がより好ましく、470℃以上がさらに好ましい。
ガラス板の溶融塩への浸漬時間は1分〜10時間が好ましく、5分〜8時間がより好ましく、10分〜4時間がさらに好ましい。かかる範囲において、強度と圧縮応力層の深さのバランスに優れた化学強化ガラス板を得ることができ、好ましい。
本発明に係る製造方法では、イオン交換する工程の後にガラス板を洗浄することが好ましい。洗浄する工程では工水、イオン交換水等を用いてガラスの洗浄を行う。工水は必要に応じて処理したものを用いる。中でもイオン交換水が好ましい。
洗浄の条件は用いる洗浄液によっても異なるが、イオン交換水を用いる場合には0〜100℃で洗浄することが付着した塩を完全に除去させる点から好ましい。
洗浄する工程では、イオン交換水等が入っている水槽に化学強化ガラス板を浸漬する方法や、ガラス板表面を流水にさらす方法、シャワーにより洗浄液をガラス板表面に向けて噴射する方法等、様々な方法を用いることができる。
(工程(b):酸に接触させる工程)
本発明に係る製造方法では、前記洗浄する工程の後にガラス板を酸に接触させる工程(酸処理工程)を行う。
ガラス板の酸処理とは、酸性の溶液中に、化学強化処理後のガラス板を浸漬させることによって行い、これにより化学強化処理後のガラス板表面のNa及び/又はKをHに置換することができる。すなわち、ガラス板表面には圧縮応力層の表層が変質した、具体的には低密度化された、低密度層をさらに有することとなる。
溶液は酸性であれば特に制限されずpH7未満であればよく、用いられる酸が弱酸であっても強酸であってもよい。具体的には塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、炭酸及びクエン酸等の酸が好ましい。これらの酸は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
酸処理を行う温度は、用いる酸の種類や濃度、時間によっても異なるが、100℃以下で行うことが好ましい。
酸処理を行う時間は、用いる酸の種類や濃度、温度によっても異なるものの、10秒〜5時間が生産性の点から好ましく、1分〜2時間がより好ましい。
酸処理を行う溶液の濃度は、用いる酸の種類や時間、温度によって異なるものの、容器腐食の懸念が少ない濃度が好ましく、具体的には0.1重量%〜20重量%が好ましい。
低密度層は、後述するアルカリ処理により除去されるため、低密度層が厚いほどガラス板表面が除去されやすい。低密度層の厚みは先述したとおりであるが、ガラス板表面除去量の観点から300nm以上が好ましく、500nm以上がより好ましく、600nm以上がさらに好ましい。
低密度層の密度はガラス板表面除去性の観点から、イオン交換された圧縮応力層よりも深い領域(バルク)の密度に比べて低いことが好ましい。
低密度層の厚みはX線反射率法(X−ray−Reflectometry:XRR)によって測定した周期(Δθ)から求めることができる。
低密度層の密度はXRRによって測定した臨界角(θc)により求めることができる。
なお、簡易的には走査型電子顕微鏡(SEM)でガラスの断面を観察することによって、低密度層の形成と層の厚みを確認することも可能である。
(工程(c):アルカリに接触させる工程)
本発明の製造方法では、酸に接触させる工程を経た後、アルカリに接触させる工程(アルカリ処理工程)を行う。酸処理の後、アルカリ処理の前に、工程(a)における洗浄と同様のガラス板を洗浄する工程を経てもよい。
アルカリ処理とは、塩基性の溶液中に、酸処理後の化学強化ガラス板を浸漬させることによって行い、これにより低密度層の一部又は全部を除去することができる。
溶液は塩基性であれば特に制限されずpH7超であればよく、弱塩基を用いても強塩基を用いてもよい。具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の塩基が好ましい。これらの塩基は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ処理を行う温度は、用いる塩基の種類や濃度、時間によっても異なるが、0〜100℃が好ましく、10〜80℃がより好ましく、20〜60℃が特に好ましい。かかる温度範囲であればガラス板が腐食するおそれがなく好ましい。
アルカリ処理を行う時間は、用いる塩基の種類や濃度、温度によっても異なるものの、10秒間〜5時間が生産性の点から好ましく、1分間〜2時間がより好ましい。
アルカリ処理を行う溶液の濃度は、用いる塩基の種類や時間、温度によって異なるものの、ガラス板表面除去性の観点から0.1重量%〜20重量%が好ましい。
上記アルカリ処理により、Hが侵入した低密度層の一部又は全部が除去され、これにより面強度が向上した化学強化ガラス板を得ることができる。なお、アルカリ処理の後にも、先と同様の方法で洗浄する工程を経ることが好ましい。
(無機膜の形成)
上記で得られたガラス板、又は化学強化ガラス板の少なくとも一方の表面に無機膜を設ける。無機膜の詳細については先述したとおりであるが、高屈膜としては、Si、Al、Ti、Ta、Hf及びZrからなる群より選ばれる1以上の窒化物、酸窒化物、もしくは酸化物がより好ましく、SiNがさらに好ましい。また、低屈膜としては、Si、Al、及びZrからなる群より選ばれる1以上の酸化物がより好ましく、SiOがさらに好ましい。
ガラス板又は化学強化ガラス板の少なくとも一方の表面に低屈膜を設け、該低屈膜を介して高屈膜を設けることが、積層膜のガラス板又は化学強化ガラス板への密着性向上の点からより好ましい。また、無機膜の最表面には低屈膜を設けることが、光学的特性の点や積層膜の表面、すなわちカバーガラスの最表面に形成される防汚膜との密着性の点からより好ましい。
高屈膜と低屈膜の合計の厚みは850〜6000nmであるが、該厚みの膜を1層で設けるのではなく、厚み5〜250nmの高屈膜又は低屈膜からなる単膜を交互に6層以上積層していき、合計の厚みを上記範囲の厚みにする。これにより、高屈膜による耐擦傷性を維持しつつ、得られるカバーガラスの反りを低減することができると共に低屈膜による低反射特性が付与でき、かつ高屈膜と低屈膜との界面で傷の進行を食い止めることができる。
高屈膜はスパッタ法や後反応スパッタ法により形成することができ、後反応スパッタ法がより好ましい。
低屈膜はスパッタ法や後反応スパッタ法により形成することができ、後反応スパッタ法がより好ましい。
積層した高屈膜と低屈膜との合計の積層数は20層以上(高屈膜と低屈膜がそれぞれ10層以上)が好ましく、100層以下(高屈膜と低屈膜がそれぞれ50層以下)が好ましい。また、高屈膜と低屈膜とを積層した積層膜の合計の膜厚は1500nm以上が好ましく、3000nm以下が好ましい。
高屈膜の合計の膜厚と低屈膜の合計の膜厚は、高屈膜の合計の膜厚の方が厚いことが好ましい。
(防汚膜の形成)
防汚膜の形成方法としては、フッ素含有有機化合物等を真空槽内で蒸発させて、無機膜表面に付着させる真空蒸着法(乾式法)や、フッ素含有有機化合物等を有機溶剤に溶解させ、所定の濃度になるように調整し、無機膜の表面に塗布する方法(湿式法)等を利用できる。
乾式法としては、イオンビームアシスト蒸着法、イオンプレート法、スパッタ法、プラズマCVD法等が挙げられる。また、湿式法としては、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、スリットコート法、スプレー法等から適宜選択できる。
乾式法、湿式法のどちらも使用できるが、耐擦傷性の観点からは、乾式の成膜方法を用いることが好ましい。
防汚膜の構成材料は、防汚性、撥水性、撥油性及び親油性からなる群より選ばれる少なくとも1の特性を付与できるフッ素含有有機化合物等から適宜選択できる。具体的には、含フッ素有機ケイ素化合物や、加水分解性の含フッ素有機化合物が挙げられるが、防汚性、撥水性、撥油性及び親油性の前記特性を付与するものであれば、特に制限されず使用できる。
カバーガラスの最表面として、通常、無機膜の表面にさらに形成される防汚膜の膜厚は、特に制限されないが、2〜20nmであることが好ましく、2〜15nmであることがより好ましく、3〜10nmであることがさらに好ましい。
膜厚を2nm以上とすることにより、防汚膜によってカバーガラスの最表面が密着性よく均一に覆われた状態となり、耐擦傷性の高い実用により耐えるものとなることから好ましい。また、膜厚が20nm以下とすることにより、防汚膜が積層された状態での光学特性が非常に良好となることから好ましい。
<カバーガラスの評価方法>
本発明に係るカバーガラスは、デジタルカメラや携帯電話、携帯情報端末PDA等のフラットパネルディスプレイ装置やタッチパネルディスプレイ装置におけるカバーガラスに好適に用いることができる。特に携帯電話や携帯情報端末PDAといった電子端末用のカバーガラス等、薄いカバーガラスにより好適に用いることができる。
(単膜の応力値)
ガラス板又は化学強化ガラス板の少なくとも一方の表面に低屈膜と高屈膜が設けられる。カバーガラスの反り量を抑える観点から、高屈折率材料からなる膜の応力値の絶対値は、低屈折率材料からなる膜の応力値の絶対値よりも小さいことが好ましい。また、高屈折率材料からなる膜の応力値は、低屈折率材料からなる膜の応力値よりも大きいことが好ましい。また、高屈膜の単膜の応力値の絶対値が30〜250MPaであることが好ましく、50〜250MPaであることがより好ましい。低屈膜の単膜の応力値の絶対値が100〜300MPaであることが好ましい。
高屈膜と低屈膜それぞれの単膜の応力値は、以下に示す測定方法により測定することができる。
洗浄された直径100mm、厚さ0.525mmのシリコンウエハの鏡面となっている面を、薄膜応力成膜装置(KLA Tencor社 FLX−2320)を使いシリコンウエハの中心を通る直径部を90mmにわたってシリコンウエハの表面形状測定し記録する。次に、測定したシリコンウエハの表面形状の測定部でない箇所の幅5mm長さ10mmにカプトンテープでマスクを行い、表面形状の測定面に薄膜が成膜されるようにシリコンウエハを成膜装置に設置し、単膜を3μmの厚さ目標にし成膜を実施する。成膜後、マスクしたカプトンテープをはがし、カプトンテープの粘着物質をエタノールで除去し、触診式膜厚測定装置(BRUKER社製 DEKTAK 6M)を使いマスク部と非マスク部の段差を測定することで成膜した膜の厚さを測定する。次に成膜されたシリコンウエハを、再度、薄膜応力成膜装置で成膜前の測定と同じ個所の表面形状と曲率半径を測定する。薄膜応力成膜装置に、シリコンウエハの厚み、ヤング率、薄膜の膜厚を入力し、成膜前後の曲率半径から膜の内部応力を算出する。
(無機膜の合計応力値)
厚み5〜250nmの高屈膜又は低屈膜からなる単膜を交互に6層以上積層していき、合計の厚みが850〜6000nmである無機膜を成膜する。
カバーガラスの反り量を抑える観点から、無機膜の合計応力値は、80MPa以下であり、35MPa以下が好ましく、25MPa以下がより好ましい。
無機膜の合計応力値は、以下の測定方法により測定することができる。
(測定条件)
洗浄された直径100mm、厚さ0.525mmのシリコンウエハの鏡面となっている面を、薄膜応力成膜装置(KLA Tencor社 FLX−2320)を使いシリコンウエハの中心を通る直径部を90mmにわたってシリコンウエハの表面形状測定し記録する。次に、測定したシリコンウエハの表面形状の測定部でない箇所の幅5mm長さ10mmにカプトンテープでマスクを行い、表面形状の測定面に薄膜が成膜されるようにシリコンウエハを成膜装置に設置し、成膜を実施する。成膜後、マスクしたカプトンテープをはがし、カプトンテープの粘着物質をエタノールで除去し、触診式膜厚測定装置(BRUKER社製 DEKTAK 6M)を使いマスク部と非マスク部の段差を測定することで成膜した膜の厚さを測定する。次に成膜されたシリコンウエハを、再度、薄膜応力成膜装置で成膜前の測定と同じ個所の表面形状と曲率半径を測定する。薄膜応力成膜装置に、シリコンウエハの厚み、ヤング率、薄膜の膜厚を入力し、成膜前後の曲率半径から膜の内部応力を算出する。
(耐擦傷性)
カバーガラスの耐擦傷性はトラバース式摩耗試験機を用いて、以下に示す試験条件にて成膜したサンプルの成膜面を擦り、目視で傷を観察することで評価することができる。観察の結果、傷は3本以下が好ましく、傷がないことがより好ましい。
(試験条件)研磨布:G#320(JIS R6251:2006規格適合品)、荷重:100g、ストローク幅:40mm、ストローク数:50往復、摩耗面積:1cm
(反り量 評価1)
カバーガラスの反り量は、三次元形状測定機(例えば、三鷹光器株式会社製)、または、表面粗さ・輪郭形状測定機(例えば、株式会社東京精密製)で測定することができる。
無機膜が積層されていないガラス板単独の反り量と、無機膜が積層された本発明に係るカバーガラスの反り量との反り変化量は30%以下であり、20%以下がより好ましい。
ここで、ガラス板単独の反り量、無機膜が積層されたカバーガラスの反り量は共に、{(ガラスの反り量)/(ガラスの厚み)}(%)で表され、その差が、本発明における「反り変化量(%)」に相当する。
(反り量 評価2)
本発明のカバーガラスは、水平な定盤上に、カバーガラスの一方の主平面が接するように載置して、カバーガラスの浮き上がりであるカバーガラスの四隅における定盤からの反り量を、隙間ゲージを用いて、20℃で測定した際、反り量の平均値が400μm以下であり、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<評価方法>
本実施例における各種評価は以下に示す分析方法により行った。
(耐擦傷性)
カバーガラスの表面の硬度の評価として、耐擦傷性の評価をトラバース式摩耗試験機を用いて行った。具体的には、先述した(試験条件)に則って評価した。すなわち、研磨布(G#320(JIS R6251:2006規格適合品))を貼り付けた試験子と試料との間に接触荷重を与えて往復運動摩擦を行い、膜表面への傷の有無を確認した。往復の幅は40mmで往復させる速度は20mm/min.、往復回数は50回、荷重は100g、摩耗面積は1cmとして実施した。
耐擦傷性評価において、評価後の膜表面に傷が生じないことが好ましい。評価後の膜表面に傷が生じないことにより、十分な耐擦傷性の効果を維持することができる。
(反り量 評価1)
無機膜を成膜する前のガラス板(100mm×100mm、0.56mmt)のガラスを3枚準備し、反り量をサーフコム表面粗さ・輪郭形状測定機(株式会社東京精密製)で測定した。次いで、無機膜を積層した。それら基板の100mm角ガラスの中心と同じ中心をもち、かつ、各辺が100mm角のガラスと平行である90mm角ガラスの2本の対角線の反りをそれぞれ、成膜前のガラス板と同様にサーフコム表面粗さ・輪郭形状測定機(株式会社東京精密製)で測定した。3枚の基板の反りの平均を、無機膜が積層されたカバーガラスの反り量とした。反り量の評価(評価1)において、無機膜積層前後におけるガラスの反り変化量が30%以下であることが好ましく、反り変化量が20%以下であることがより好ましい。該ガラスの反り変化量を30%以下であることにより、十分に反りを低減できたカバーガラスとして用いることができる。
(反り量 評価2)
無機膜を積層したカバーガラス(100mm×100mm、0.56mmt)を3枚準備し、水平な定盤上に、カバーガラスの一方の主平面が接するように載置して、カバーガラスの浮き上がりである反り量を、隙間ゲージを用いて、20℃で測定し、3枚のカバーガラスの四隅における反り量の平均値をカバーガラスの反り量とした。
該隙間ゲージ法による隙間の測定は、次のようにして行われた。まず、測定対象である略多角形状の表面を有するカバーガラスを、反りの存在しない平坦かつ水平な定盤上に載置した。次に、ガラスの略多角形状の頂点にあたる部分(以下、コーナー部という)と該定盤との隙間の距離を隙間ゲージにより測定した。ガラス隙間ゲージはJIS B7524:2008の規格に適合したものであれば任意のものを利用可能であり、0.01mmを最小単位として隙間を測定した。反り量の評価(評価2)において、該反り量の平均値が400μm以下であることが好ましく、該反り量の平均値が300μm以下であることがさらに好ましい。該反り量の平均値が400μm以下であることにより、十分に反りを低減できたカバーガラスとして用いることができる。
(高屈折率材料からなる膜及び低屈折率材料からなる膜の特性評価)
カバーガラスに積層された高屈折率材料からなる膜及び/又は低屈折率材料からなる膜の単膜の厚み及び積層数は走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、S−3400NX)による断面観察により測定した。また、該膜の合計の厚みは、各単膜の厚みの総和とした。
<実施例1>
(化学強化ガラスの準備)
ステンレススチール(SUS)製のカップに硝酸カリウム9700g、炭酸カリウム890g、硝酸ナトリウム400gを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して、炭酸カリウム濃度が6mol%、ナトリウム濃度が10000重量ppmの溶融塩を調製した。
100mm×100mm×0.56mmのアルミノシリケートガラスA(比重2.48)を用意し、200〜400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に2時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。得られた化学強化ガラスは水洗いし、次の工程に供した。
ガラス組成(酸化物基準のモル%表示):SiO 64.4%、Al 8.0%、NaO 12.5%、KO 4.0%、MgO 10.5%、CaO 0.1%、SrO 0.1%、BaO 0.1%、ZrO 0.5%
次いで6.0重量%の硝酸をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。前記化学強化工程で得られたガラスを、調製した硝酸中に120秒間浸漬させ、酸処理を行った。その後、該ガラスは水洗いした。
次に、4.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。酸に接触させる工程の後に洗浄したガラスを、調製した水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬させ、アルカリ処理を行った。その後、該ガラスは水洗した。その後、エアブローにより乾燥した。
以上により、化学強化ガラス板を得た。
(無機膜の形成)
次いで、得られた化学強化ガラス板の一方の表面上に後反応スパッタ法により窒化ケイ素膜と酸化ケイ素膜の積層成膜を実施した。なお、ガラス板の最表面には酸化ケイ素膜を成膜した。得られた各単膜の窒化ケイ素膜、及び、酸化ケイ素膜の波長632nmにおける屈折率は、それぞれ1.95、及び1.47であった。
窒化ケイ素膜の各単膜の厚みは6〜162nmとし、酸化ケイ素膜の各単膜の厚みは5〜42nmとした。酸化ケイ素膜と窒化ケイ素膜の成膜を複数回交互に行い、これらが交互に成膜された、酸化ケイ素膜45層、窒化ケイ素膜45層からなる合計の膜厚が3000nmの無機膜が積層されたカバーガラスを得た。
高屈折率材料からなる膜(窒化ケイ素膜)成膜時の後反応スパッタ条件は下記のとおりであり、得られた高屈膜は圧縮応力層となった。
後反応スパッタ装置:アルバック社製、商品名 ULDis・ターゲット:p−Siターゲット・成膜ガス:Ar(流量50sccm)・スパッタ電力:6kW・窒化源ガス:N(流量100sccm)・窒化源電力:1kW・基板温度:常温・成膜レート:0.2nm/min.
低屈折率材料からなる膜(酸化ケイ素膜)成膜時の後反応スパッタ条件を下記に示す。
ターゲット:p−Siターゲット・成膜ガス:Ar(流量40sccm)・スパッタ電力:6kW・酸化源ガス:O(流量100sccm)・酸化源電力:1kW・基板温度:常温・成膜レート:0.3nm/min.
得られた高屈膜の応力は低い圧縮応力で、全膜厚に対して高屈折率膜の膜厚が厚く、基板の反りは抑えられていた。このとき、耐擦傷性は良好であった。
<実施例2>
実施例1と同様にして化学強化ガラス板を作製し、総膜厚2000nmの無機膜が積層されたカバーガラスを作製した。無機膜における単膜の膜厚及び積層数は表1に示すとおりである。
得られた高屈膜の応力は低い圧縮応力で、全膜厚に対して高屈折率膜の膜厚が厚く、基板の反りは抑えられていた。このとき、耐擦傷性は良好であった。
<実施例3>
窒化ケイ素膜の成膜を以下の条件で行った以外は実施例1と同様にして、総膜厚3000nmの無機膜が積層されたカバーガラスを作製した。無機膜における単膜の膜厚及び積層数は表1に示すとおりである。
高屈折材料からなる膜(窒化ケイ素膜)成膜時の後反応スパッタ条件は下記のとおりであり、得られた高屈膜は引張応力層となった。
後反応スパッタ装置:アルバック社製、商品名 ULDis・ターゲット:p−Siターゲット・成膜ガス:Ar(流量100sccm)・スパッタ電力:6kW・窒化源ガス:N(流量100sccm)・窒化源電力:1kW・基板温度:常温・成膜レート:0.2nm/min.
得られた高屈膜の応力は引張応力で、酸化ケイ素膜(低屈膜)の圧縮応力を打ち消すように応力が働き基板の反りはさらに低減した。このとき、耐擦傷性は良好であった。
<比較例1>
実施例1における高屈折率材料からなる膜の成膜条件を変えて、化学強化ガラス板上に、単膜の厚みが3000nmの窒化ケイ素膜1層のみからなる無機膜を成膜したカバーガラスを得た。このとき、耐擦傷性は良好であったが、基板の反りが大きかった。
<比較例2>
実施例1と同様な方法で準備した化学強化ガラス板上に、低屈膜であるSiOと高屈膜であるNbを交互に2層ずつ、合計4層積層した構成{ガラス板/Nb(10nm)/SiO(10nm)/Nb(100nm)/SiO(80nm)}の無機膜をガラス板上に成膜した。SiO膜の成膜条件は実施例1におけるSiO膜と同様にした。なお、Nbの波長632nmにおける屈折率は2.25である。
高屈折材料からなる膜(Nb)の成膜時の後反応スパッタ条件は下記のとおりである。
後反応スパッタ装置:アルバック社製、商品名 ULDis・ターゲット:Nbターゲット・成膜ガス:Ar(流量100sccm)・スパッタ電力:4kW・酸化源ガス:O(流量100sccm)・酸化源電力:1kW・基板温度:常温・成膜レート:0.3nm/min.
膜厚が薄いため得られた基板の反りは抑えられていたが、耐擦傷性は低かった。
<比較例3>
実施例1と同様にして化学強化ガラス板を作製し、総膜厚415nmの無機膜が積層されたカバーガラスを作製した。無機膜における単膜の膜厚及び積層数は表1に示すとおりである。なお、ガラス板表面には低屈膜である酸化ケイ素膜を成膜し、無機膜の最表面も低屈膜である酸化ケイ素膜を成膜した。
膜厚が薄いため得られた基板の反りは抑えられていたが、耐擦傷性は低かった。
<実施例4>
実施例1と同様な方法で準備した化学強化ガラス板上に、低屈膜であるSiOと高屈膜であるSiNを交互に45層ずつ、合計90層積層した構成の無機膜をガラス板上に成膜した。SiO膜の成膜条件は実施例1におけるSiO膜と同様にした。高屈折材料からなる膜の引張応力が強くなるよう成膜をし、総膜厚3000nmの無機膜が積層されたカバーガラスを作製した。無機膜における単膜の膜厚及び積層数は表1に示すとおりである。高屈折材料からなる膜(SiN)の成膜時の後反応スパッタ条件は下記のとおりである。
後反応スパッタ装置:アルバック社製、商品名 ULDis・ターゲット:p−Siターゲット・成膜ガス:Ar(流量150sccm)・スパッタ電力:6kW・窒化源ガス:N(流量100sccm)・窒化源電力:1kW・基板温度:常温・成膜レート:0.18nm/min.
得られた高屈膜の応力は引張応力で、酸化ケイ素膜(低屈膜)の圧縮応力を打ち消すように応力が働き基板の反りはさらに低減した。このとき、耐擦傷性は良好であった。
<実施例5>
実施例1と同様な方法で準備した化学強化ガラス板上に、低屈膜であるAlと高屈膜であるSiNを交互に45層ずつ、合計90層積層した構成の無機膜をガラス板上に成膜した。SiN膜の成膜条件は実施例4におけるSiN膜と同様にした。高屈膜の引張応力が強くなるよう成膜をし、総膜厚3000nmの無機膜が積層されたカバーガラスを作製した。なお、Alの波長632nmにおける屈折率は1.67である。無機膜における単膜の膜厚及び積層数は表1に示すとおりである。
低屈折材料からなる膜(Al)の成膜時の後反応スパッタ条件は下記のとおりである。
後反応スパッタ装置:アルバック社製、商品名 ULDis・ターゲット:Alターゲット・成膜ガス:Ar(流量50sccm)・スパッタ電力:6kW・酸化源ガス:O(流量100sccm)・酸化源電力:1kW・基板温度:常温・成膜レート:0.18nm/min.
得られた高屈膜の応力は引張応力で、低屈膜の圧縮応力を打ち消すように応力が働き基板の反りはさらに低減した。このとき、耐擦傷性は良好であった。
<比較例4>
実施例1と同様な方法で準備した化学強化ガラス板上に、後反応スパッタ法を用いず、反応性スパッタ法を用い、ターゲット近傍に酸素、窒素などの反応性ガスとアルゴン、ネオンなどの希ガスを混合したガスを導入して、低屈膜であるSiOと高屈膜であるSiNを交互に45層ずつ、合計90層積層した構成の無機膜をガラス板上に成膜し、総膜厚3000nmの無機膜が積層されたカバーガラスを作製した。具体的にはアルバック社製、商品名 ULDis・ターゲット:Siターゲットを配置し、ターゲット近傍に、成膜ガス:Ar 流量50sccmとOガス100sccmの混合ガスを導入し、スパッタ電力:6kW,常温・成膜レート:0.05nm/minで酸化ケイ素を成膜し、同様にSiターゲット近傍に成膜ガス:Ar 流量50sccmとNガス100sccmの混合ガスを導入し、スパッタ電力:6kW,常温・成膜レート:0.06nm/minで窒化ケイ素を成膜した。
得られた高屈膜の応力は圧縮応力であり、得られた基板の耐擦傷性は良好であったが、基板の反りが大きかった。
<比較例5>
実施例1と同様な方法で準備した化学強化ガラス板上に、後反応スパッタ法を用いず、反応性スパッタ法を用いて、低屈膜であるAlと高屈膜であるSiNを交互に45層ずつ、合計90層積層した構成の無機膜をガラス板上に成膜し、総膜厚3000nmの無機膜が積層されたカバーガラスを作製した。反応性スパッタ条件は下記のとおりであり、得られた高屈膜は引張応力層となった。具体的には、アルバック社製、商品名 ULDis・ターゲット:Alターゲットを配置し、ターゲット近傍に、成膜ガス:Ar 流量50sccmとOガス100sccmの混合ガスを導入し、スパッタ電力:6kW,常温・成膜レート:0.05nm/minで酸化アルミニウムを成膜し、同様にSiターゲット近傍に成膜ガス:Ar 流量50sccmとNガス100sccmの混合ガスを導入し、スパッタ電力:6kW,常温・成膜レート:0.06nm/minで窒化ケイ素を成膜した。
得られた高屈膜の応力は引張応力であり、得られた基板の耐擦傷性は良好であったが、基板の反りが大きかった。
上記で得られたカバーガラスについて各種評価を行なった。カバーガラスにおける高屈折率材料からなる膜及び/又は低屈折率材料からなる膜の構成及び評価結果を表1に示す。
表1中、耐擦傷性において「○」とは評価後の膜表面に傷が生じなかったことを表し、「×」とは傷が生じたことを表す。また、表1中、反り量(評価1)が「◎」とは無機膜積層前後におけるガラスの反り変化量が20%以下であったことを表し、「○」とは該反り変化量が20%超30%以下であったことを表し、「×」とは該反り変化量が30%超であったことを表す。また、表1中、反り量(評価2)が「◎」とは反り量の平均値が300μm以下であったことを表し、「○」とは該反り量の平均値が300μm超400μm以下であったことを表し、「×」とは該反り量の平均値が400μm超であったことを表す。
無機膜の合計厚みと前記無機膜の合計応力値とを掛け合わせた値の絶対値を表1に示す。無機膜の合計膜厚と無機膜の合計応力値とを掛け合わせた値の絶対値が所定の範囲にあることによってガラス板の反り量を抑えることができる。該掛け合わせた値の絶対値が、220×10nm・MPa以下であることが好ましく、100×10nm・MPa以下であることがより好ましく、70×10nm・MPa以下がさらに好ましく、50×10nm・MPa以下が特に好ましい。
上記で得られたカバーガラス及びガラス積層体によれば、ガラス板に対する反り量を顕著に低減し、耐擦傷性に優れ、かつ低反射性で光学特性に優れたカバーガラス及びガラス積層体を得ることができた。
本発明によれば、電子端末用等の薄いカバーガラスであっても、積層膜による優れた耐擦傷性を維持したまま、基板の反りが低減されたカバーガラスを得ることができる。
1 ガラス板
2 高屈折率材料からなる膜
3 低屈折率材料からなる膜

Claims (19)

  1. ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の表面に積層された無機膜とを含むカバーガラスであって、
    前記ガラス板は厚みが1mm以下であり、
    前記無機膜は波長632nmにおける屈折率が1.80以上の高屈折率材料からなる膜と、前記屈折率が1.80未満の低屈折率材料からなる膜とが交互に6層以上積層され、
    前記高屈折率材料からなる膜及び前記低屈折率材料からなる膜は、それぞれ単膜の厚みが5〜250nmであり、前記6層以上積層された合計の厚みが850〜6000nmの積層膜であり、かつ
    前記ガラス板単独の反り量と、前記無機膜が積層されたカバーガラスの反り量との反り変化量が30%以下であるカバーガラス。
  2. ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の表面に積層された無機膜とを含むカバーガラスであって、
    前記ガラス板は厚みが1mm以下であり、
    前記無機膜は波長632nmにおける屈折率が1.80以上の高屈折率材料からなる膜と、前記屈折率が1.80未満の低屈折率材料からなる膜とが交互に6層以上積層され、
    前記高屈折率材料からなる膜及び前記低屈折率材料からなる膜は、それぞれ単膜の厚みが5〜250nmであり、前記無機膜の合計厚みが850〜6000nmであり、かつ
    水平な定盤上に、前記カバーガラスの一方の主平面が接するように載置して、前記カバーガラスの浮き上がりである前記カバーガラスの四隅における定盤からの反り量を、隙間ゲージを用いて、20℃で測定した際、反り量の平均値が400μm以下であるカバーガラス。
  3. 前記高屈折率材料が窒化ケイ素である、請求項1又は2に記載のカバーガラス。
  4. 前記低屈折率材料が酸化ケイ素である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカバーガラス。
  5. 前記低屈折率材料からなる膜の単膜の厚みが、前記高屈折率材料からなる膜の単膜の厚みよりも薄い、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカバーガラス。
  6. 前記ガラス板の最表面に前記低屈折率材料からなる膜を介して前記高屈折率材料からなる膜が積層された、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカバーガラス。
  7. 前記無機膜の合計厚みが850〜3000nmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカバーガラス。
  8. 前記ガラス板が、表層に圧縮応力層を有する化学強化ガラス板である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカバーガラス。
  9. 前記無機膜の表面にさらに防汚膜を備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載のカバーガラス。
  10. 電子端末用である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のカバーガラス。
  11. ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の表面に積層された無機膜とを含むガラス積層体であって、
    前記無機膜は波長632nmにおける屈折率が1.80以上の高屈折率材料からなる膜と、前記屈折率が1.80未満の低屈折率材料からなる膜とが交互に6層以上積層され、
    前記高屈折率材料からなる膜及び前記低屈折率材料からなる膜は、それぞれ単膜の厚みが5〜250nmであり、前記無機膜の合計厚みが850〜6000nmであり、かつ
    前記無機膜の合計厚みと前記無機膜の合計応力値とを掛け合わせた値の絶対値が220×10nm・MPa以下であるガラス積層体。
  12. ガラス板と、前記ガラス板の少なくとも一方の表面に積層された無機膜とを含むガラス積層体であって、
    前記無機膜は波長632nmにおける屈折率が1.80以上の高屈折率材料からなる膜と、前記屈折率が1.80未満の低屈折率材料からなる膜とが交互に6層以上積層され、
    前記高屈折率材料からなる膜及び前記低屈折率材料からなる膜は、それぞれ単膜の厚みが5〜250nmであり、前記無機膜の合計厚みが850〜6000nmであり、かつ
    前記無機膜の合計応力値の絶対値が80MPa以下であるガラス積層体。
  13. 前記高屈折率材料からなる膜の応力値の絶対値は、前記低屈折率材料からなる膜の応力値の絶対値よりも小さい請求項11又は12に記載のガラス積層体。
  14. 前記高屈折率材料からなる膜の応力値は、前記低屈折率材料からなる膜の応力値よりも大きい請求項11〜13のいずれか1項に記載のガラス積層体。
  15. 前記無機膜の合計厚みと前記無機膜の合計応力値とを掛け合わせた値の絶対値が100×10nm・MPa以下である請求項11〜14のいずれか1項に記載のガラス積層体。
  16. 前記高屈折率材料からなる膜はそれぞれ単膜の応力値の絶対値が30〜250MPaである、請求項11〜15のいずれか1項に記載のガラス積層体。
  17. 前記低屈折率材料からなる膜はそれぞれ単膜の応力値の絶対値が100〜300MPaである、請求項11〜16のいずれか1項に記載のガラス積層体。
  18. 前記無機膜の合計応力値の絶対値が35MPa以下である、請求項11〜17のいずれか1項に記載のガラス積層体。
  19. 前記無機膜の合計応力値の絶対値が25MPa以下である、請求項11〜18のいずれか1項に記載のガラス積層体。
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