JP2017136987A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルトの回転速度が大きくなりすぎることを抑制できるステアリング装置を提供する。
【解決手段】ベルト43における駆動プーリ41に接触する部分の外周に対向して、制動部材50が設けられている。制動部材50は、ベルト43の回転速度が大きくなり、ベルト43が駆動プーリ41から浮き上がったときにベルト43に接触する複数のニードル51と、摩擦を伴った状態でニードル51を回転可能に支持する半円筒形状の保持器52とを有している。保持器52は、ボルト54により減速機ハウジング17bに固定される。ベルト43とニードル51との間には隙間が設けられている。ベルト43とニードル51との間の隙間は、保持器52の円弧の端部に設けられたニードル51から中心に設けられたニードル51に向かうにつれて、大きくなるように設定されている。
【選択図】図3
【解決手段】ベルト43における駆動プーリ41に接触する部分の外周に対向して、制動部材50が設けられている。制動部材50は、ベルト43の回転速度が大きくなり、ベルト43が駆動プーリ41から浮き上がったときにベルト43に接触する複数のニードル51と、摩擦を伴った状態でニードル51を回転可能に支持する半円筒形状の保持器52とを有している。保持器52は、ボルト54により減速機ハウジング17bに固定される。ベルト43とニードル51との間には隙間が設けられている。ベルト43とニードル51との間の隙間は、保持器52の円弧の端部に設けられたニードル51から中心に設けられたニードル51に向かうにつれて、大きくなるように設定されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、ステアリング装置に関する。
従来、ボールねじ機構によって、転舵シャフトであるラックシャフトに軸方向の推力を与えることにより、運転者のステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置(EPS)が知られている。例えば、特許文献1のEPSは、ラックシャフトと平行にモータが取り付けられ、歯付きベルトを介してモータからボールねじ機構へ伝達される回転トルクを、ボールねじ機構が当該ラックシャフトの直接運動に変換することによって、運転者のステアリング操作を補助する。
ところで、縁石乗り上げなどに伴う大きな逆入力(荷重)がラックシャフトに作用した場合、ラックシャフトが軸方向に急速に動かされた後、ラックシャフトの可動範囲の末端に達するエンド当てが生じる。エンド当てにより、回転していた従動プーリおよびナットの回転が急激に止められてしまう。この直前に、ベルトが高速で回転していると、遠心力が大きくなる分、ベルトが浮き上がってしまうため、ベルトの歯飛びが生じるおそれがある。このため、ベルトとプーリとの間の噛み合いが悪化するほどにベルトの回転速度が増大することを抑制する方法が求められていた。
本発明の目的は、ベルトの回転速度が大きくなりすぎることを抑制できるステアリング装置を提供することにある。
上記目的を達成しうるステアリング装置は、回転軸を有するモータと、外周にねじ溝を有し、軸方向に往復移動する転舵シャフトと、前記ねじ溝に複数のボールを介して螺合された円筒状のナットを有し、前記ナットの回転に基づき前記転舵シャフトの軸方向の力を付与するボールねじ機構と、前記ナットと一体回転可能に固定されて、その外周面に複数のプーリ歯が設けられる従動プーリと、前記モータの回転軸と一体回転可能に固定されて、その外周面に複数のプーリ歯が設けられる駆動プーリと、前記従動プーリと前記駆動プーリとの間に巻き掛けられ、前記プーリ歯と噛み合うベルト歯が設けられるベルトと、を有する減速機と、前記転舵シャフト、前記ボールねじ機構、および前記減速機を収容するハウジングと、前記ベルトにおける前記駆動プーリまたは前記従動プーリに接触する部分の外周との間に、隙間を介して配置される制動部材と、を備えている。前記制動部材は、前記ハウジングに固定される保持器と、前記保持器に回転可能に支持される複数のニードルと、を有し、前記複数のニードルは、前記駆動プーリまたは前記従動プーリに沿って一列に並んでいる。
この構成によれば、ベルトの回転速度が小さい場合、ベルトと制動部材とは接触していないが、ベルトの回転速度が大きい場合、遠心力によってベルトがニードルに接触するため、ベルトとニードルとの間の摩擦抵抗によって、ベルトの回転速度が抑制される。また、ベルトと接触するニードルが回転可能に支持されることにより、ベルトの摩耗も抑制される。
上記のステアリング装置において、前記ベルトと前記複数のニードルとの間の隙間は、前記駆動プーリまたは前記従動プーリの軸方向から見て、前記駆動プーリの中心と前記従動プーリの中心とを通る直線と前記保持器とが交わる部分に近付くほど、大きく設定されていることが好ましい。
この構成によれば、ベルトの回転速度が増すにつれて、ベルトにおける駆動プーリの中心と従動プーリの中心とを通る直線と保持器とが交わる部分から離れた位置に対応して設けられるニードルから順にベルトに接触する。そして、さらにベルトの回転速度が増すと、ベルトにおける駆動プーリの中心と従動プーリの中心とを通る直線と保持器とが交わる部分に対応して設けられるニードルもベルトに接触する。このため、ベルトの回転速度が増すにつれて、ベルトとニードルとの間の摩擦抵抗が徐々に増大するため、さらにベルトの回転速度が大きくなりすぎることが抑制される。
上記のステアリング装置において、前記ニードルの端部が前記保持器の孔に係合することにより、前記ニードルは前記保持器に回転可能に支持されており、前記駆動プーリまたは前記従動プーリの軸方向から見て、前記駆動プーリの中心と前記従動プーリの中心とを通る直線と前記保持器とが交わる部分に近付くほど、前記端部と前記孔との間の隙間は小さく設定されていてもよい。
この構成によれば、ベルトの回転速度が大きいとき、ニードルと保持器との間の隙間が小さいニードルからニードルと保持器との間の隙間が大きいニードルの順番でニードルとベルトとの間が押し当てられる。このため、ベルトの回転速度が増すにつれて、ベルトとニードルとの間の摩擦抵抗が徐々に増大するので、ベルトの回転速度が大きくなりすぎることがさらに抑制される。
上記のステアリング装置において、前記ニードルと前記保持器との間の摩擦抵抗は、前記ベルトにおける前記駆動プーリの中心と前記従動プーリの中心とを通る直線と前記保持器とが交わる部分に近付くほど、小さく設定されていてもよい。
この構成によれば、ベルトの回転速度が大きいとき、ニードルと保持器との間の摩擦抵抗が大きい部分からニードルと保持器との間の摩擦抵抗が小さいニードルの順番で、ニードルとベルトとの間が押し当てられる。このため、ベルトの回転速度が増すにつれて、ベルトとニードルとの間の摩擦抵抗が徐々に増大するので、ベルトの回転速度が大きくなりすぎることがさらに抑制される。
上記のステアリング装置において、前記ベルトと前記複数のニードルとの間の隙間は、前記ベルトのベルト歯の歯たけより小さく設定されていることが好ましい。
この構成によれば、ベルトの回転速度が大きいとき、ベルトが駆動プーリから浮き上がる量をベルトと複数のニードルとの間の距離程度に抑えることができるため、ベルト歯が歯飛びすることを抑制できる。
この構成によれば、ベルトの回転速度が大きいとき、ベルトが駆動プーリから浮き上がる量をベルトと複数のニードルとの間の距離程度に抑えることができるため、ベルト歯が歯飛びすることを抑制できる。
本発明のステアリング装置によれば、ベルトの回転速度が大きくなりすぎることを抑制できる。
以下、ステアリング装置の一実施形態にかかるEPSについて説明する。
図1に示すように、EPS1は運転者のステアリングホイール10の操作に基づいて転舵輪16を転舵させる操舵機構2、および運転者のステアリング操作を補助するアシスト機構3を備えている。
図1に示すように、EPS1は運転者のステアリングホイール10の操作に基づいて転舵輪16を転舵させる操舵機構2、および運転者のステアリング操作を補助するアシスト機構3を備えている。
操舵機構2は、ステアリングホイール10およびステアリングホイール10と一体回転するステアリングシャフト11を備えている。ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール10と連結されたコラムシャフト11aと、コラムシャフト11aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト11bと、インターミディエイトシャフト11bの下端部に連結されたピニオンシャフト11cとを有している。ピニオンシャフト11cの下端部はラックアンドピニオン機構13を介して、転舵シャフトであるラックシャフト12に連結されている。ピニオンシャフト11cの下端部(ピニオン歯)は、ラックシャフト12(ラック歯)に噛み合わされている。したがって、ステアリングシャフト11の回転運動は、ピニオンシャフト11cの先端に設けられたピニオン歯とラックシャフト12に設けられたラック歯からなるラックアンドピニオン機構13を介して、ラックシャフト12の軸方向X(図1の左右方向)の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動は、ラックシャフト12の両端にそれぞれ連結されたラックエンド14を介してタイロッド15に伝達される。これらタイロッド15の運動が左右の転舵輪16にそれぞれ伝達されることにより、転舵輪16の転舵角が変更される。ラックシャフト12はラックハウジング17に収容されている。ラックハウジング17の両端とタイロッド15との間には、蛇腹筒状体のラックブーツ18がそれぞれ配置されている。
アシスト機構3は、ラックシャフト12の周囲に設けられている。アシスト機構3は、アシスト力の発生源であるモータ20と、ラックシャフト12の周囲に一体的に取り付けられたボールねじ機構30と、モータ20の回転軸21の回転力をボールねじ機構30に伝達する減速機40からなる。アシスト機構3は、モータ20の回転軸21の回転力を、減速機40およびボールねじ機構30を介してラックシャフト12の軸方向Xの力に変換することにより、運転者のステアリング操作を補助する。
ボールねじ機構30、減速機40、ピニオンシャフト11c、およびラックシャフト12は、ラックハウジング17により覆われている。ラックハウジング17には、ラックシャフト12が挿通される挿通部17aが軸方向Xにおいて貫通して設けられている。また、ラックハウジング17はラックシャフト12の延びる方向に対して交わる方向(図1中の下方)へ突出する部分である減速機ハウジング17bを有している。減速機ハウジング17bの内部には、減速機40の一部が収容される。減速機ハウジング17bの壁面(図1中の減速機ハウジング17bの右側壁)には、貫通孔23が設けられている。モータ20の回転軸21は、減速機ハウジング17bに設けられた貫通孔23を通じて減速機ハウジング17bの内部に延びている。回転軸21はラックシャフト12に対して平行となるように、モータ20はボルト22により減速機ハウジング17bに固定されている。挿通部17aとラックシャフト12との間には、ラックシャフト12の径方向にわずかに隙間が設けられている。
つぎに、アシスト機構3について詳細に説明する。
図2に示すように、ボールねじ機構30は、ラックシャフト12に複数のボール32を介して螺合する円筒状のナット31を備えている。ナット31は、円筒状の軸受34を介してラックハウジング17の内周面に対して回転可能に支持されている。ラックシャフト12の外周面には、螺旋状のねじ溝12aが設けられている。ナット31の内周面には、ラックシャフト12のねじ溝12aに対応する螺旋状のねじ溝33が設けられている。ナット31のねじ溝33とラックシャフト12のねじ溝12aとにより囲まれる螺旋状の空間は、ボール32が転動する転動路Rとして機能する。また、図示しないが、ナット31には、転動路Rの2箇所に開口して、当該2箇所の開口を短絡する循環路が設けられている。したがって、ボール32はナット31内の循環路を介して転動路R内を無限循環することができる。
図2に示すように、ボールねじ機構30は、ラックシャフト12に複数のボール32を介して螺合する円筒状のナット31を備えている。ナット31は、円筒状の軸受34を介してラックハウジング17の内周面に対して回転可能に支持されている。ラックシャフト12の外周面には、螺旋状のねじ溝12aが設けられている。ナット31の内周面には、ラックシャフト12のねじ溝12aに対応する螺旋状のねじ溝33が設けられている。ナット31のねじ溝33とラックシャフト12のねじ溝12aとにより囲まれる螺旋状の空間は、ボール32が転動する転動路Rとして機能する。また、図示しないが、ナット31には、転動路Rの2箇所に開口して、当該2箇所の開口を短絡する循環路が設けられている。したがって、ボール32はナット31内の循環路を介して転動路R内を無限循環することができる。
減速機40は、モータ20の回転軸21に一体的に取り付けられた駆動プーリ41、ナット31の外周に一体的に取り付けられた従動プーリ42、ナット31の外周に一体的に取り付けられた従動プーリ42、および駆動プーリ41と従動プーリ42との間に巻き掛けられたベルト43を備えている。減速機ハウジング17bの内部空間には、モータ20の回転軸21と、回転軸21に取り付けられた駆動プーリ41と、ベルト43の一部が配置される。また、ベルト43は、たとえば芯線を含むゴム製の歯付きベルトが採用される。
このような構成からなるアシスト機構3では、モータ20の回転軸21が回転すると、回転軸21と一体となって駆動プーリ41が回転する。駆動プーリ41の回転は、ベルト43を介して従動プーリ42に伝達されて、これにより従動プーリ42は回転する。このため、従動プーリ42と一体的に取り付けられたナット31も一体回転する。ナット31はラックシャフト12に対して相対回転するため、ナット31とラックシャフト12との間に介在される複数のボール32は双方から負荷を受けて転動路R内を無限循環する。ボール32が転動路R内を転動することにより、ナット31に付与された回転トルクがラックシャフト12の軸方向Xに付与される力に変換される。このため、ラックシャフト12はナット31に対して軸方向Xに移動する。このラックシャフト12に付与される軸方向Xの力がアシスト力となり、運転者のステアリング操作を補助する。
また、図2に示すように、減速機ハウジング17bの内部には、制動部材50が設けられている。制動部材50は、ベルト43における駆動プーリ41に接触する部分の外面との間に若干の隙間を空けて設けられている。図3に示すように、制動部材50は、駆動プーリ41の外周面に沿った半円筒形状の形状を有している。
制動部材50は、ベルト43の回転速度が大きいときに接触する複数のニードル51と、ニードル51を回転可能に支持する保持器52と、を有している。
保持器52は全体的に、ベルト43(駆動プーリ41)に沿うような半円筒形状を有している。保持器52は、半円筒形の本体部61に加え、本体部61の軸方向の両端に円弧状の側壁62を有している。側壁62は平板であり、側壁62は本体部61に垂直である。保持器52の本体部61の軸方向における一方の端部にはフランジ部53が設けられている。保持器52は、そのフランジ部53にボルト54を貫通させ、そのボルト54を減速機ハウジング17bのボルト孔17cに締め付けることにより、減速機ハウジング17bに対して固定されている。保持器52において、駆動プーリ41の軸線に沿った方向において互いに対向する2つの円弧状の側壁62には、それぞれニードル51と同数(ここでは、7つ)の孔52aが設けられている。これら孔52aは、壁の円弧形状に沿って一列に並んでいる。2つの側壁62に設けられた各孔52aは、駆動プーリ41の軸線に沿った方向から見て、互いに同位置にある。
保持器52は全体的に、ベルト43(駆動プーリ41)に沿うような半円筒形状を有している。保持器52は、半円筒形の本体部61に加え、本体部61の軸方向の両端に円弧状の側壁62を有している。側壁62は平板であり、側壁62は本体部61に垂直である。保持器52の本体部61の軸方向における一方の端部にはフランジ部53が設けられている。保持器52は、そのフランジ部53にボルト54を貫通させ、そのボルト54を減速機ハウジング17bのボルト孔17cに締め付けることにより、減速機ハウジング17bに対して固定されている。保持器52において、駆動プーリ41の軸線に沿った方向において互いに対向する2つの円弧状の側壁62には、それぞれニードル51と同数(ここでは、7つ)の孔52aが設けられている。これら孔52aは、壁の円弧形状に沿って一列に並んでいる。2つの側壁62に設けられた各孔52aは、駆動プーリ41の軸線に沿った方向から見て、互いに同位置にある。
各ニードル51の2つの端部51aは、駆動プーリ41の軸線に沿った方向において互いに対向する2つの孔52aを1組とする各組(本実施形態では、7組)の孔52aに挿入されている。また、ニードル51は、駆動プーリ41(回転軸31)の軸線と平行に設けられている。ニードル51の2つの端部51aの外径は、ニードル51におけるベルト43と接触する部分の外径よりも小さく設定されている。ニードル51は、ベルト43が静止している(回転速度がゼロ)とき、隙間を介してベルト43(駆動プーリ41)に沿うように一列に並んで設けられている。また、図3では目視で判別できるように極端に図示したが、ニードル51の端部51aと保持器52の孔52aとの間には、わずかに隙間が設けられている。なお、ニードル51と保持器52との間の接触を減らすために、ニードル51におけるベルト43に接触する部分の端面と保持器52の側壁62との間に、ニードル51の軸方向における隙間が設けられることが好ましい。
図4(a),(b)に示すように、ベルト43とニードル51との間の隙間は、駆動プーリ41の軸方向から見て、保持器52の円弧形状の端部に設けられたニードル51(以下、端部ニードル100)から、保持器52の周方向における中央(従動プーリ42の回転中心と駆動プーリ41の回転中心とを通る直線と、保持器52とが交わる部分)に設けられたニードル51(以下、中央ニードル200)に向かうにつれて、大きく設定されている。すなわち、中央ニードル200とベルト43との間の隙間(距離A1)は、端部ニードル100とベルト43との間の隙間(距離A2)よりも大きく設定されている。また、保持器52とニードル51とは、中央から端部に向かうにつれて、ニードル51がベルト43に近接するように設けられている。さらに、端部ニードル100とベルト43との間の隙間も、中央ニードル200とベルト43との間の隙間も、ベルト43のベルト歯43aの歯たけより小さく設定されている。なお、端部ニードル100の端部51aの外周面と保持器52の孔52aの内周面との間の隙間B1は、中央ニードル200の端部51aの外周面と保持器52の孔52aの内周面との間の隙間B2と同程度に設定されている。すなわち、ベルト43が端部ニードル100に接触した場合と、ベルト43が中央ニードル200に接触した場合とは、それぞれ同様の条件(摩擦によって生じるトルクが等しい等)でベルト43を制動するようになっている。
本実施形態の作用および効果について説明する。なお、ここでは、回転速度が大きいか小さいかは、一例としては、ベルト43のベルト歯43aと駆動プーリ41のプーリ歯41aとの噛み合いが外れそうになるほど、ベルト43に遠心力が作用する程度の回転速度を基準とする。
ベルト43(回転軸21)の回転速度が小さいとき、ベルト43に作用する遠心力が小さいために、ベルト43は駆動プーリ41からほとんど離れていない(浮き上がっていない)。このため、ベルト43はニードル51に接触せず、ベルト43は制動されない。従って、ベルト43、駆動プーリ41、および回転軸21の回転速度も抑制されない。
ベルト43(回転軸21)の回転速度が大きいとき、ベルト43に作用する遠心力が大きくなるために、ベルト43は駆動プーリ41から離れて(浮き上がって)しまう。ベルト43はニードル51に接触することとなり、ベルト43の回転が抑制される。
ここで、制動部材50によるベルト43の制動について、詳しく説明する。
ベルト43の回転速度が大きい程、ベルト43に作用する遠心力Fは大きくなる。そして、遠心力Fが大きくなるのに伴って、ベルト43は駆動プーリ41から離れる方向(回転軸21の径方向外側)に向けて移動しようとする。
ベルト43の回転速度が大きい程、ベルト43に作用する遠心力Fは大きくなる。そして、遠心力Fが大きくなるのに伴って、ベルト43は駆動プーリ41から離れる方向(回転軸21の径方向外側)に向けて移動しようとする。
図5(a)に示すように、ベルト43の回転速度が大きいと、まず各ニードル51のうち端部ニードル100にベルト43が接触する。端部ニードル100は、各ニードル51の中で最もベルト43と近接した状態で設けられているためである。そして、ベルト43が端部ニードル100に接触することにより、ベルト43の回転速度が抑制(制動)される。ベルト43が端部ニードル100に接触することにより、端部ニードル100を回転させながら回転する必要がある分、ベルト43が回転する際の摩擦抵抗が増大するためである。
図5(b)に示すように、ベルト43の回転速度がさらに大きくなると、ベルト43にはさらに大きな遠心力が作用することとなる。ベルト43に作用する遠心力が大きくなるのに伴って、ベルト43は端部ニードル100のみならず、他のニードル51にも接触し始め、最終的に中央ニードル200にも接触する。ベルト43に接触するニードル51の数が増える分、ベルト43の回転(回転速度が大きくなりすぎること)はさらに抑制される。すなわち、ベルト43の回転速度に応じて、徐々に制動部材50とベルト43との間の摩擦抵抗が増大するため、さらにベルト43の回転速度が抑制されるようになる。また、各ニードル51とベルト43との間の隙間がベルト43のベルト歯43aの歯たけより小さく設定されているため、ベルト43の高速回転により、ベルト43が駆動プーリ41から浮き上がる量を一定値以下(各ニードル51とベルト43との間の距離程度)に抑えることができる。このため、ベルト43の浮き上がりに伴って、ベルト歯43aが歯飛びしやすくなる現象を抑制できる。
そして、ベルト43の回転速度が低減されるにつれて、ベルト43に作用する遠心力も低減されるので、ベルト43は中央ニードル200から順に、各ニードル51と離れることとなる。これにより、ベルト43の回転速度が低減されるにつれて、制動部材50によるベルト43の制動作用は弱まり、最終的には制動作用が解除される。
なお、ベルト43がニードル51に接触した場合、ニードル51が回転することによってベルト43とニードル51との間の滑りが抑えられる。このため、ベルト43とニードル51との間の相対的な滑りによってベルト43が摩耗することが抑制される。また、ベルト43の回転速度が増すにつれて、駆動プーリ41および回転軸21の回転速度が大きくなることも抑制される。
なお、ベルト43がニードル51に接触することにより、ニードル51の端部51aの外周面は保持器52の孔52aの内周面に押し付けられる。このため、端部51aと孔52aとの間の摩擦抵抗によって、ニードル51は回転しづらくなり、ベルト43とニードル51との間の摩擦抵抗が増大する。さらに、端部51aの外周面および孔52aの内周面の表面粗さを粗くすることにより、端部51aと孔52aとの間の摩擦抵抗を増大させることが可能である。なお、本実施形態では、端部ニードル100の端部51aと孔52aとの間の摩擦抵抗は、中央ニードル200の端部51aと孔52aとの間の摩擦抵抗と同程度に設定されている。
ところで、縁石乗り上げ等に伴う大きな逆入力(荷重)がラックシャフト12に作用した場合には、ラックシャフト12がラックハウジング17の端部に当接する、いわゆるエンド当てが生じることがある。これにより、ラックシャフト12はそれ以上、同じ方向へ移動できなくなってしまう。これに伴って、ナット31もボール32を介してラックシャフト12に螺合しているため、ナット31が回転することも規制される。ナット31の回転が止められると、従動プーリ42や軸受34の内輪の回転も止められる。これに対し、モータ20の回転軸21、および回転軸21に固定された駆動プーリ41は慣性により回転し続けようとするため、ベルト43の歯に(従動プーリ42の歯にも)歯飛びや摩耗が生じるおそれがある。
特に、ベルト43の回転速度が大きいほど、回転軸21および駆動プーリ41の回転エネルギーが大きくなるため、ベルト43の回転が止まろうとする際にベルト43の歯にはより大きな荷重が加わることとなる。このため、ベルト43の歯に歯飛びや摩耗が生じやすくなる。
この点、本実施形態では、ベルト43の回転速度が大きくなったとき、ベルト43にニードル51(制動部材50)が接触することにより、ベルト43、回転軸21、および駆動プーリ41の回転速度が低減される。ベルト43の回転速度が低減される分、ベルト43、回転軸21、および駆動プーリ41の回転エネルギーも小さくなるので、ベルト43の歯飛びが抑制される。
また、逆入力によって、モータ20に逆起電力が発生することもあるが、ベルト43の回転速度が小さくなる分、逆起電力の電圧値も低減する。このため、逆起電力によるモータ20の制御装置への影響も抑制される。
なお、逆入力が作用したときにEPS1の各部に与える影響をより低減するには、エンド当て時のラックシャフト12の加速度(衝撃荷重)を低減するエンドダンパの大型化、ボールねじ機構30および減速機40の慣性モーメントの低減、および減速比の低減などが上げられるが、これらの対策はEPS1の各部の設計をやり直す必要があり、手間がかかる。この点、本実施形態では、EPS1の各部の設計をやり直さずとも、制動部材50を設けることによって、ベルト43の回転速度を小さくできる。このため、EPS1の各部の再設計の手間が低減される。
なお、本実施形態は次のように変更してもよい。以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
・本実施形態では、ベルト43とニードル51との間の隙間は、保持器52の周方向中央に近付くほど(端部ニードル100から中央ニードル200に向かうにつれて)、大きく設定されたが、これに限らない。たとえば、端部ニードル100において、ベルト43とニードル51との間の隙間を最も大きく設定してもよい。また、ベルト43と端部ニードル100との間の距離A1を、ベルト43と中央ニードル200との間の距離A2と同程度に設定してもよい。この場合、ベルト43とニードル51との間の摩擦抵抗を徐々に増大させることは困難だが、ベルト43の回転速度を低減することができる。
・本実施形態では、ベルト43とニードル51との間の隙間は、保持器52の周方向中央に近付くほど(端部ニードル100から中央ニードル200に向かうにつれて)、大きく設定されたが、これに限らない。たとえば、端部ニードル100において、ベルト43とニードル51との間の隙間を最も大きく設定してもよい。また、ベルト43と端部ニードル100との間の距離A1を、ベルト43と中央ニードル200との間の距離A2と同程度に設定してもよい。この場合、ベルト43とニードル51との間の摩擦抵抗を徐々に増大させることは困難だが、ベルト43の回転速度を低減することができる。
また、ベルト43とニードル51との間の隙間を制動部材50(保持器52)の周方向位置に応じて変えることによって、徐々にベルト43とニードル51との間の摩擦抵抗を増大させたが、これに限らない。たとえば、ベルト43とニードル51との間の隙間を一定にして、端部ニードル100の端部51aの外周面と孔52aの内周面との間の隙間B1を、中央ニードル200の端部51aの外周面と孔52aの内周面との間の隙間B2よりも小さく(大きく)設定してもよい(図4(b)参照)。この場合、端部ニードル100から中央ニードル200へと向かう順番で、ベルト43がニードル51に押し当てられる。このため、ベルト43の回転速度が増大するのに伴って、ベルト43とニードル51との間の摩擦抵抗が増大するので、ベルト43の回転が抑制される。また、端部ニードル100の端部51aの外周面と孔52aの内周面との間の摩擦抵抗を、中央ニードル200の端部51aの外周面と孔52aの内周面との間の摩擦抵抗よりも大きく設定してもよい。
・本実施形態では、制動部材50は、ニードル51および保持器52を有していたが、これに限らない。たとえば、保持器52を設けずに、ニードル51を減速機ハウジング17bに直接回転可能に支持してもよい。
・本実施形態では、制動部材50をベルト43における駆動プーリ41に接触する部分の外面に対向して設けたが、制動部材50をベルト43における従動プーリ42に接触する部分の外面に対向して設けてもよい。
・本実施形態では、ステアリング操作に連動するラックシャフト12の直線運動を、モータ20の回転力を利用して補助する電動パワーステアリング装置を例に挙げたが、ステアバイワイヤ(SBW)に適用してもよい。なお、SBWに具体化する場合には、前輪操舵装置としてだけでなく、後輪操舵装置あるいは4輪操舵装置(4WS)として具体化することもできる。
1…EPS、2…操舵機構、3…アシスト機構、10…ステアリングホイール、11…ステアリングシャフト、11a…コラムシャフト、11b…インターミディエイトシャフト、11c…ピニオンシャフト、12…ラックシャフト(転舵シャフト)、12a…ねじ溝、13…ラックアンドピニオン機構、14…ラックエンド、15…タイロッド、16…転舵輪、17…ラックハウジング(ハウジング)、17a…挿通部、17b…減速機ハウジング、18…ラックブーツ、20…モータ、21…回転軸、22…ボルト、23…貫通孔、30…ボールねじ機構、31…ナット、32…ボール、33…ねじ溝、34…軸受、40…減速機、41…駆動プーリ、42…従動プーリ、43…ベルト、50…制動部材、51…ニードル、51a…端部、52…保持器、52a…孔、53…フランジ部、54…ボルト、R…転動路。
Claims (5)
- 回転軸を有するモータと、
外周にねじ溝を有し、軸方向に往復移動する転舵シャフトと、
前記ねじ溝に複数のボールを介して螺合された円筒状のナットを有し、前記ナットの回転に基づき前記転舵シャフトの軸方向の力を付与するボールねじ機構と、
前記ナットと一体回転可能に固定されて、その外周面に複数のプーリ歯が設けられる従動プーリと、前記モータの回転軸と一体回転可能に固定されて、その外周面に複数のプーリ歯が設けられる駆動プーリと、前記従動プーリと前記駆動プーリとの間に巻き掛けられ、前記プーリ歯と噛み合うベルト歯が設けられるベルトと、を有する減速機と、
前記転舵シャフト、前記ボールねじ機構、および前記減速機を収容するハウジングと、
前記ベルトにおける前記駆動プーリまたは前記従動プーリに接触する部分の外周との間に、隙間を介して配置される制動部材と、を備え、
前記制動部材は、前記ハウジングに固定される保持器と、前記保持器に回転可能に支持される複数のニードルと、を有し、
前記複数のニードルは、前記駆動プーリまたは前記従動プーリに沿って一列に並んでいるステアリング装置。 - 請求項1に記載のステアリング装置において、
前記ベルトと前記複数のニードルとの間の隙間は、前記駆動プーリまたは前記従動プーリの軸方向から見て、前記駆動プーリの中心と前記従動プーリの中心とを通る直線と前記保持器とが交わる部分に近付くほど、大きく設定されているステアリング装置。 - 請求項1または2に記載のステアリング装置において、
前記ニードルの端部が前記保持器の孔に係合することにより、前記ニードルは前記保持器に回転可能に支持されており、
前記駆動プーリまたは前記従動プーリの軸方向から見て、前記駆動プーリの中心と前記従動プーリの中心とを通る直線と前記保持器とが交わる部分に近付くほど、前記端部と前記孔との間の隙間は小さく設定されているステアリング装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のステアリング装置において、
前記ニードルと前記保持器との間の摩擦抵抗は、前記ベルトにおける前記駆動プーリの中心と前記従動プーリの中心とを通る直線と前記保持器とが交わる部分に近付くほど、小さく設定されているステアリング装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のステアリング装置において、
前記ベルトと前記複数のニードルとの間の隙間は、前記ベルトのベルト歯の歯たけより小さく設定されているステアリング装置。
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JP2016019848A JP2017136987A (ja) | 2016-02-04 | 2016-02-04 | ステアリング装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20210105051A (ko) * | 2020-02-18 | 2021-08-26 | 현대모비스 주식회사 | 조향 반력 장치 |
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-
2016
- 2016-02-04 JP JP2016019848A patent/JP2017136987A/ja active Pending
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KR102667922B1 (ko) | 2020-02-18 | 2024-05-22 | 현대모비스 주식회사 | 조향 반력 장치 |
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