JP2017136717A - 構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
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しかしながら、パイプの外周面の少なくとも一部が樹脂で覆われた構造体の従来の製造方法では、パイプに接触する高熱の溶融樹脂が冷却する過程において、樹脂の収縮に起因してパイプを軸回りに回転させる力が生じ、それによって構造体が完成した時点でパイプの軸回りの回転方向の位置が設計上の位置からずれてしまうことがある。
以下、本発明の一実施形態である樹脂ボードの構造について説明する。実施形態に係る樹脂ボードは、収納式多目的シートの座面を構成する部材である。
図1は、実施形態に係る収納式多目的シート100の斜視図である。収納式多目的シート100は、樹脂ボード1と収納部5を含む。
樹脂ボード1には、主として座面として多目的に使用される樹脂積層体2と、樹脂積層体2に取り付けられたパイプ3とを含む。パイプ3はその一部が樹脂積層体2に覆われている。パイプ3のうち樹脂積層体2に覆われずに露出した部分は、収納部5に取り付けられ、それによって樹脂ボード1の樹脂積層体2がパイプ3の軸回りに回動可能に構成されている。なお、樹脂ボード1のパイプ3と収納部5の連結構造は図示しないが、収納部5と適切に連結するために、パイプ3の軸回りの回転方向の位置について高い精度が求められている。
図3に示すように、樹脂積層体2は、おもて側に形成される第1の樹脂シート21と、主として裏側に形成される第2の樹脂シート22と、第1の樹脂シート21と第2の樹脂シート22の間に介在する芯材23とからなる積層構造を有している。第1の樹脂シート21は、収納式多目的シート100の座面となるシートである。
パイプ3の右端部3Rおよび左端部3Lの断面形状は、連結先の収納部5の形状に応じて適宜設計される。
パイプ3の少なくとも一方の端部には、樹脂積層体2を成形するときにパイプ3の軸回りの回転を規制するための切欠きが設けられているが、この点については後述する。
図4の段階S1〜S3は、成形後の樹脂積層体2を基に樹脂ボード1を組み立てるときの各段階を順に示している。図4の段階S1は、樹脂ボード1の樹脂積層体2の成形直後の状態を示している。樹脂積層体2の成形直後では、第2の樹脂シート22は、第1の樹脂シート21に対して、樹脂ボード1の長辺が延びる方向において長く形成されており、その長く形成された第2の樹脂シート22の端部を折り返すことでパイプ3の中央部3Cを樹脂積層体2に内蔵する。
最後に、図4の段階S3に示すように、孔221からリベットR(図1に示すように樹脂ボード1全体として2箇所)を挿入する。それによって第2の樹脂シート22のシート端部22aが第1の樹脂シート21に固定され、樹脂ボード1が完成する。
次に、本実施形態の樹脂ボード1の製造方法について説明する。
先ず、樹脂ボード1を製造するにあたって、成形前の準備工程について図5〜11を参照して説明する。図5は、実施形態に係る樹脂ボード1の製造に用いられる製造装置の一部を示す図である。図6は、保持部材60R,60Lの動作を説明する図である。図7は、パイプ3が分割金型51に挿入される前後において、分割金型51の一部を拡大して示す拡大斜視図である。図8は、パイプ3が分割金型51に挿入される前後において、ボールプランジャ(後述する)の動作を説明する図である。図9は、実施形態に係る樹脂ボード1に含まれるパイプ3について、図6の矢視G,Hから見た図である。図10は、一方の保持部材60Rについて図6の矢視G,Iから見た図である。図11は、パイプ3と一方の保持部材60Rの係合動作を説明する図である。
図5は、一方の分割金型51の成形面51aに直交する方向から見た図であり、パイプ3が保持部材60R,60Lによって保持された状態を示している。パイプ3が保持部材60R,60Lによって保持された状態では、保持部材60R,60Lはそれぞれパイプ3の右端部3R,左端部3Lを覆うように構成されている。
分割金型51には、パイプ3を支持するためのパイプ支持部40が設けられている。
なお、図6に示す例では、パイプ3の軸方向の概ね全域に対応して磁石Mが埋め込まれているが、この例に限られない。磁石Mによってパイプ3を仮保持できる限り、パイプ3の一部の領域(例えば、中央部3Cに対応する領域のみ)に対応して磁石Mが埋め込まれていてもよい。
パイプ支持部40はパイプ3を支持する部分であり、分割金型51に設けられている。図7に示すように、パイプ支持部40は、パイプ3の一端である右端部3Rの端面に当接する端面44R(当接面の一例)と、右端部3Rの他端である左端部3Lの端面から端面44Rに向かう方向に、左端部3Lの端面を付勢する付勢手段と、を備えてもよい。付勢手段の一例として、以下の説明では、ボールプランジャ48を挙げる。
また、パイプ3の右端部3Rが、その連結先である収納部5の連結部分(図示せず)との間で高い取り付け精度が要求されるときに、パイプ3の軸方向の長さの精度が高くない場合であってもパイプ3の右端部3Rの端面が確実に端面44Lに押し付けられるため、完成後の樹脂ボード1において、パイプ3の右端部3Rの端面の軸方向の位置決めの精度を高くすることができる。
なお、パイプ3の左端部3Lの端面の軸方向の位置決めの精度を高くするときには、上述した場合とは逆に、ボールプランジャ48等の付勢手段をパイプ支持部40の右側に内蔵し、パイプ3をパイプ挿入領域41の左側の端面44Lに押し付ける構成とすればよい。
図9には、パイプ3の右端部3Rの端の形状の一部が示されている。図9に示すように、パイプ3の右端部3Rの端には、2箇所の切欠き3aが設けられている。
図10には、保持部材60Rの形状が示されている。図10に示すように、保持部材60Rは、断面U字形の壁部601と、保持部材60Lに近い側の端面近傍に設けられた係合ピン602とを備える。係合ピン602は、壁部601の内壁に溶接または圧入により固定される。係合ピン602の直径は、パイプ3の切欠き3aの幅よりも僅かに小さくなっている。
なお、壁部601の断面は、図10に例示するU字形に限られず、円形または楕円形であってもよい。
図11に示すように、段階S10から段階S11へ移行するときには、保持部材60Rの壁部601が、分割金型51の成形面51aに固定されているパイプ3の右端部3Rを覆うように移動する。そして、保持部材60Rの壁部601の内壁に固定されている係合ピン602が、パイプ3の右端部3Rの切欠き3aに挿入された位置で、保持部材60Rの移動が停止するように制御される。それによって、パイプ3の分割金型51に対する変位が規制されるとともに、パイプ3の中心軸回りの回転が規制される。
準備工程の後に成形工程が行われる。図12〜17は、それぞれ、実施形態に係る樹脂ボード1の成形工程を説明する図である。各図では、分割金型51,52の中央部での断面で示しており、また、成形される樹脂ボード1の縦横比は必ずしも図1〜3に示したものと一致しない。
図12に示すように、樹脂ボード1の成形工程では、樹脂ボード1の樹脂積層体2の形状に応じた一対の分割金型51,52を用意する。すなわち、分割金型51の成形面51aは第1の樹脂シート21に応じた形状であり、分割金型52の成形面52aは第2の樹脂シート22に応じた形状である。上述した準備工程によって、パイプ3が分割金型51の成形面51aに固定されている。
分割金型51には摺動部511,512が設けられ、分割金型52には摺動部521,522が設けられている。摺動部511および摺動部521は互いに対向する方向に摺動可能であり、摺動部512および摺動部522は互いに対向する方向に摺動可能である。
図示しないが、分割金型51,52にはそれぞれ真空チャンバが内蔵され、当該真空チャンバと成形面51a,52aの間には真空吸引のための連通路が設けられている。そして、真空チャンバによって連通路から密閉空間内の空気を吸引する。この吸引により、図14の段階S22に示すように、一対の溶融樹脂シートP,Pがそれぞれ成形面51a,52aに押圧させられ、成形面51a,52aに沿った形状に成形(賦形)される。このとき、図6に示したように、パイプ3の中央部3Cの外周面に対向する分割金型51には引き込み孔DPが形成され、引き込み孔DPから密閉空間内の空気が吸引される。そのため、分割金型51の成形面51aとパイプ3の中央部3Cの外周面との間の狭まった領域に溶融樹脂を効果的に引き込むことができる。
分割金型51,52の外周には、分割金型51,52の成形面51a,52aを取り囲むようにピンチオフ部(図示せず)が設けられており、型締めによって溶融樹脂シートP,Pがピンチオフ部において一対の溶融樹脂シートP,Pの周縁が溶着させられ、パーティングライン(図示せず)が形成される。
図18に示すように、段階S10から段階S11へ移行するときには、保持部材60Aが、分割金型51の成形面51aに固定されているパイプ3Aの端部を覆うように移動させられる。そして、保持部材60Aに設けられている切欠き60Aaが、パイプ3Aの端部の係合ピン32を受け入れた位置で、保持部材60Aの移動が停止するように制御される。それによって、パイプ3Aの分割金型51に対する変位が規制されるとともに、パイプ3Aの中心軸回りの回転が規制される。
図19に示すように、段階S10から段階S11へ移行するときには、保持部材60Bが、分割金型51の成形面51aに固定されているパイプ3の端部を覆うように移動させられる。そして、保持部材60Bの平板部が、パイプ3の右端部3Rの切欠き3aに挿入された位置で、保持部材60Bの移動が停止するように制御される。それによって、パイプ3の分割金型51に対する変位が規制されるとともに、パイプ3の中心軸回りの回転が規制される。
なお、図19に示すように、保持部材は必ずしもパイプ3の端部を覆わなくてもよいが、後の樹脂の成形工程においてパイプ3の端部の外周面に樹脂が付着するため、必要に応じて、樹脂の成形後にパイプ3の端部に付着した樹脂を除去する。
また、上述した実施形態に係る樹脂ボード1の製造方法では、シート状の溶融樹脂シートP,Pを分割金型51,52の間に垂下させる場合について説明したが、環状の溶融樹脂(環状パリソン)を分割金型51,52の間に垂下させて樹脂成形を行うようにしてもよい。
Claims (6)
- パイプの外周面の少なくとも一部が樹脂で覆われた構造体の製造方法であって、
金型の成形面に前記パイプの外周面の少なくとも一部を接触させ、かつ前記パイプの軸回りの回転が規制されるようにして、保持部材に前記パイプを保持させ、
溶融樹脂シートを前記成形面および前記パイプの外周面に押圧させることによって前記樹脂を成形することを特徴とする、
構造体の製造方法。 - 前記保持部材は、前記構造体において樹脂で覆われていない前記パイプの外周面の
少なくとも一部を覆うように構成されていることを特徴とする、
請求項1に記載された構造体の製造方法。 - 前記保持部材は、前記パイプの外周面の前記少なくとも一部を覆わない第1位置と、前記パイプの外周面の前記少なくとも一部を覆う第2位置との間で、前記パイプの軸方向に移動可能であることを特徴とする、
請求項2に記載された構造体の製造方法。 - 前記パイプの外周面のうち樹脂で覆われている部分の断面は、非円形の形状であることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれかに記載された構造体の製造方法。 - 前記パイプは強磁性体からなり、
前記金型には、前記パイプの外周面の前記少なくとも一部と接触する前記成形面の近傍に、磁石が配置されていることを特徴とする、
請求項1〜4のいずれかに記載された構造体の製造方法。 - 前記金型は、前記パイプを支持するパイプ支持部を含み、
前記パイプ支持部は、前記パイプの一端に当接する当接面と、前記パイプの他端から前記当接面に向かう方向に前記パイプの他端を付勢する付勢手段と、を備えたことを特徴とする、
請求項1〜5のいずれかに記載された構造体の製造方法。
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