JP2017131279A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】体液の縦方向の拡散性、吸収速度、漏れ防止性能、液戻り性、フィット性がいずれも改善された吸収性物品を提供すること。【解決手段】トップシートと、バックシートと、吸収体とを有する吸収性物品であって、吸収体は、長手方向に沿って延びる直線状の複数の凸型立体形状部を有し、凸型立体形状部は、吸収体の幅方向両端部のそれぞれに、少なくとも1本ずつ配置されて、防漏壁を形成し、凸型立体形状部は、その幅方向の寸法が3mm以上30mm以下、高さが2mm以上10mm以下であり、長さが、吸収体の長手方向の全長に対して80%以上であり、凸型立体形状部は、幅方向に隣り合う凸部同士が10mm以上離間して配置されている、吸収性物品。【選択図】図1

Description

本発明は、体液の漏れが抑制され、フィット性の改善された吸収性物品に関する。
一般的に大人用紙おむつには、テープ止めタイプ、尿取りパッド、パンツタイプ等があり、これらの紙おむつは着用対象者の排泄における介護の必要度に応じて適宜選択されて使用される。これらの吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、両シートの間に配置された吸収体と、で構成されている。このような構成を採用することにより、尿等の体液は、吸収性物品のトップシートを透過して吸収体に吸収され、バックシートにより外部へ漏れないようになっている。
ところで、テープ止めタイプやパンツタイプの紙おむつは、それ自体を単独で使用する場合と、その内側に尿取りパッドを併用する場合があるが、現在は、尿取りパッドと併用し、吸収性物品である尿取りパッドを、トップシート上に重ねて使用する場合がほとんどである。これは、紙おむつ1枚当たりのコストが高いためで、テープ止めタイプやパンツタイプの紙おむつに比して安価な尿取りパッドで排泄物を吸収して保持した後、尿取りパッドのみを交換することで、排泄後においても、よりコストの高いテープ止めタイプやパンツタイプの紙おむつを交換せずに済み、経済的に低いコストで紙おむつを使用できるためである。
ここで、パンツタイプの紙おむつと併用される尿取りパッドについては、その全体を紙おむつの内装パッドの立体ギャザーの内側に収める必要があるため、尿取りパッドの長さ、幅、面積ともに、テープ止めタイプの紙おむつと併用される尿取りパッドよりも小さくせざるを得ない。そして、尿取りパッドのサイズが小さいために、吸収した尿が広がりやすく、尿取りパッドの前後左右端部から漏れやすいという問題点があった。このような漏れの問題や、吸収性能の改善の問題に対処した発明としては、例えば、以下の発明が開示されている。
例えば、特許文献1には、長手方向と幅方向を有する吸収性物品であって、少なくとも体液排出部を含む領域に、吸収性物品の長手方向に沿って所定の凸部及び凹部が連続する波状加工が施された吸収性物品が開示されている。また、特許文献2には、トップシートが、吸収体から上方へ隆起して幅方向に延びるとともに、長手方向に所定寸法離間して並ぶ複数条の凸部と、この凸部の間を幅方向に延びる複数条の凹部とを有し、トップシートに、厚み方向に貫通する多数の開口部が形成された吸収性物品が開示されている。さらに、特許文献3には、吸収体に、相対的に坪量が高く、バックシート側に凸となる、所定の複数の凸部、及び各凸部を囲んで相対的に坪量が低く、バックシート側からトップシート側に向かって凹んだ溝部からなるブロック構造が縦方向に複数配置されたブロック領域を有する吸収性物品が開示されている。
特開2002−306533号公報 特開2007−175515号公報 特開2013−255562号公報
しかしながら、特許文献1から3に記載の吸収性物品のいずれも、吸収体における体液の縦方向の拡散性、吸収速度、漏れ防止性能、液戻り性、フィット性の全てを満足するものではない。したがって、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、体液の縦方向の拡散性、吸収速度、漏れ防止性能、液戻り性、フィット性がいずれも改善された吸収性物品を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、吸収体に長手方向に沿って延びる直線状の複数の所定の凸型立体形状部を設けることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の態様は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体とを有する吸収性物品であって、前記吸収体は、長手方向に沿って延びる直線状の複数の凸型立体形状部を有し、前記凸型立体形状部は、吸収体の幅方向両端部のそれぞれに、少なくとも1本ずつ配置されて、防漏壁を形成し、前記凸型立体形状部は、その幅方向の寸法が3mm以上30mm以下、高さが2mm以上10mm以下であり、長さが、吸収体の長手方向の全長に対して80%以上であり、前記凸型立体形状部は、幅方向に隣り合う凸部同士が10mm以上離間して配置されている、吸収性物品である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の吸収性物品であって、前記トップシートが、前記凸型立体形状部の外表面と接触して、前記吸収体の上面とホットメルト接着剤により接合されていることを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(1)に記載の吸収性物品であって、前記トップシートが、前記凸型立体形状部の凸部頂面と接触して、前記凸部頂面とホットメルト接着剤により接合されていることを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記凸型立体形状部の左右両端部における最外縁は、立体ギャザーの固定部よりも内側に配置されていることを特徴とするものである。
(5)本発明の第5の態様は、(1)から(4)のいずれかに記載の吸収性物品であって、長手方向の寸法が300mm以上600mm以下であり、幅方向の寸法が100mm以上200mm以下であることを特徴とするものである。
(6)本発明の第6の態様は、(1)から(5)のいずれかに記載の吸収性物品であって、パンツタイプの紙おむつと併用されるパンツ用尿取りパッドであることを特徴とするものである。
本発明の吸収性物品は、吸収体が長手方向に沿って延びる直線状の複数の凸型立体形状部を有しているので、体液の縦方向の拡散性が改善されて体液の吸収速度が向上し、漏れ等も効果的に防止することができるとともに、液戻り性も改善することができる。また、上記の凸型立体形状部は、所定の長手方向及び幅方向の寸法、及び高さを有しているので、吸収性物品のフィット性も良好に維持される。
本発明の吸収性物品の平面図を示す図面である。 図1におけるX−X断面図を示す図面である。 実施例2の吸収性物品の平面図を示す図面である。 図3におけるX−X断面図を示す図面である。 実施例3の吸収性物品の平面図を示す図面である。 図5におけるX−X断面図を示す図面である。
<吸収性物品>
本明細書の説明において、吸収性物品1の着用時とは、吸収性物品1の装着時及び装着後の少なくとも一方をいう。吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後に亘る方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。さらに、身体側表面とは、吸収体23等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、衣類側表面とは、吸収体23等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。体液とは、尿、血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。さらに、吸収性物品1の用途は、特に限定されるものではなく、一般には、幼児又は成人用を問わず、テープ止めタイプの使い捨ておむつ、パンツタイプの使い捨ておむつ、尿取りパッド、軽失禁パッド、生理用品等であってもよいが、本発明は、パンツタイプの使い捨ておむつと併用される尿取りパッドに好適に適用される。本発明の吸収性物品1は、長手方向の長さが300mm以上600mm以下、幅方向の長さが100mm以上200mm以下である吸収性物品に、特に好適に適用することができる。
図1、図3、及び図5は、本発明の吸収性物品の平面図を示す図面であり、図2、図4、及び図6は、ぞれぞれ、図1、図3、及び図5におけるX−X断面図、X−X断面図、及びX−X断面図を示す図面である。吸収性物品1は、身体側表面に配された液透過性のトップシート21と、トップシート21に対向して配置された液不透過性のバックシート22と、トップシート21とバックシート22との間に少なくとも1層配置された吸収体23と、を備えている。
また、図2に示すように、吸収性物品1には、使用者の排泄した体液の横漏れを防止するため、吸収性物品1の長手方向に沿って、トップシート21上に、立体ギャザー用弾性部材24aを有する一対の立体ギャザー24を備えていてもよい。吸収性物品1の幅方向における立体ギャザー24の外端は、バックシート22に固定され、その内端はトップシート21に固着され、その中央はトップシート21に固定されない自由端となるように、立体ギャザーシート24bが配される。立体ギャザー用弾性部材24aを長手方向に沿って設けることで、立体ギャザー24が起立性を有し、着用者の体型に合わせて変形可能なものとなる。立体ギャザー用弾性部材24aとしては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状又は帯状の天然ゴム等が使用され、立体ギャザーシート24bとしては、疎水性繊維にて形成された撥水性又は不透液性の不織布、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布等が使用される。
[トップシート]
トップシート21は、体液が吸収体へと移動するような液透過性を備えた基材から形成すればよく、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、これらを積層した複合シートといった材料から形成される。また、トップシート21には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート21には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。さらに、強度及び加工性の点から、トップシート21の坪量は、18g/m以上40g/m以下であることが好ましい。トップシート21の形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体23へと誘導するために必要とされる、吸収体23を覆う形状であればよい。
図2に示すように、トップシート21は、後述する凸型立体形状部231の身体側表面と接触して、吸収体23の上面である身体側表面とホットメルト接着剤により接合されていることが好ましい。また、図4及び図6に示すように、本発明の別の態様においては、トップシート21は、後述する凸型立体形状部231の凸部頂面と接触して、この凸部頂面及び吸収体23の幅方向両端部とホットメルト接着剤により接合されていてもよい。このような構成を採用することにより、吸収体23上に排泄された体液が、より前後方向に拡散しやすくなるとともに漏れが抑制され、吸収性物品1のフィット感も良好に維持される。
[バックシート]
バックシート22は、吸収体23が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成すればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
強度及び加工性の点から、バックシート22の坪量は、15g/m以上40g/m以下であることが好ましい。また、装着時の蒸れを防止するため、バックシート22は、通気性を持たせることが好ましい。バックシート22に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート22にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
[吸収体]
吸収体23は、基材としての吸収性繊維と、高吸収性ポリマー(SAP)と、を含有することが好ましい。吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。斯かるフラッフパルプとしては、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体23の吸収性繊維は、吸収性能及び肌触りを損なわないよう、100g/m以上800g/m以下の坪量とすることが好ましい。
吸収体23の高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン−アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。吸収体23のSAP量は、吸収性能及び肌触りを損なわないよう、50g/m以上500g/m以下の坪量とすることが好ましく、15質量%以上50質量%以下の含有量とすることが好ましい。
吸収体23において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したもの、あるいは、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートとしたものであることが好ましい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体23の形状の安定化の目的から、吸収体23をキャリアシートに包むことが好ましい。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。キャリアシートを複数備える場合は、キャリアシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。
吸収体23は、上層吸収体と下層吸収体とを積層してなるものであることが好ましい。この場合、上層吸収体と下層吸収体の長手方向及び幅方向の長さは、上層吸収体の長さが下層吸収体の長さより長くてもよく、上層吸収体の長さが下層吸収体の長さと同じであってもよく、上層吸収体の長さが下層吸収体の長さより短くてもよい。
(凸型立体形状部)
本発明の吸収性物品1において、吸収体23は、長手方向に沿って延びる直線状の複数の凸型立体形状部231を有している。この凸型立体形状部231は、吸収体23の幅方向両端部のそれぞれに、少なくとも1本ずつ配置されて、少なくとも1対の防漏壁を形成している。凸型立体形状部231は、具体的には、図1及び3に示すように、吸収体23の長手方向に沿って、4本の凸型立体形状部231を平行に配置してもよいし、図5に示すように、吸収体23の長手方向に沿って、4本の凸型立体形状部231を平行に配置し、さらに、これらの凸型立体形状部231と直交する方向に延びる凸型立体形状部231を、吸収体23の長手方向両端部に設けてもよい。幅方向に延びる凸型立体形状部231を設けることにより、体液の背漏れ及び腹漏れが防止される。なお、凸型立体形状部231の本数は、4本に限定されず、凸型立体形状部231の寸法に関する所定の要件を充足する範囲内で、これよりも少なくてもよく、これよりも多くてもよい。このような凸型立体形状部231を有していることにより、体液の縦方向の拡散性が改善されて体液の吸収速度が向上し、漏れ等も効果的に防止することができるとともに、液戻り性も改善することができる。
凸型立体形状部231は、その幅方向の寸法が3mm以上30mm以下、高さが2mm以上10mm以下であり、長手方向の寸法が、吸収体23の長手方向の全長に対して80%以上である。凸型立体形状部231の寸法がこのようなものであることにより、凸型立体形状部231が体液の横漏れを防止する防漏壁としての機能を十分に果たしつつも、吸収性物品1のフィット性を良好に維持することができる。幅方向の寸法は、5mm以上20mm以下であることが好ましく、高さは3mm以上6mm以下であることが好ましく、長手方向の寸法は、吸収体23の長手方向の全長に対して85%以上であることが好ましい。凸型立体形状部231は、幅方向に隣り合う凸部同士が10mm以上離間しており、20mm以上離間していることが好ましい。凸型立体形状部231同士がそのような距離で離間していることにより、体液の前後方向への拡散性や吸収性物品1のフィット性が良好に維持される。
凸型立体形状部231の左右両端部における最外縁は、立体ギャザー24のトップシート21への固定部よりも内側に配置されていることが好ましい。凸型立体形状部231の配置位置をこのように調整することにより、排泄された体液の横漏れを効果的に防止することができる。
本発明の吸収性物品1は、長手方向の寸法が300mm以上600mm以下、幅方向の寸法が100mm以上200mm以下のものであることが好ましい。また、吸収性物品1の形態は、尿取りパッドであることが好ましく、特にパンツタイプの使い捨て紙おむつと併用されるパンツ用尿取りパッドであることが好ましい。
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品1の製造方法は、周知の方法を採用することができ、例えば、(A)吸収性繊維を高吸収性ポリマーとともに積繊して吸収体マットを作成し、吸収体23を形成する工程、(B)トップシート21と立体ギャザー24をホットメルト系接着剤で固定・一体化する工程、(C)トップシート21、立体ギャザー24、及びバックシート22の内側にホットメルト系接着剤を塗工する工程、(D)集合ドラムにおいて、吸収体23の上部にトップシート21を、吸収体23の下部にバックシート22を配置し、各構成部材を固定・一体化する工程、(E)吸収性物品1の半製品をカッター装置により製品寸法でカットし、個々の吸収性物品1を切り離す工程、を有する製造方法等を挙げることができる。そして、本発明において吸収性物品1の吸収体23を成形する際には、吸収体23のトップシート21側に、所定の凸型立体形状部231を形成すればよい。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
(吸収体の作製)
パルプシートを粉砕して解繊したフラッフパルプ20gと、高吸収性ポリマー6gとをともに積繊した吸収体マットを準備し、長さ400mm、幅120mmにカットし、トップシート側に、表1に示すような凸型立体形状部を形成した吸収体を用意した。この吸収体を用いて、長さ450mm、幅160mmの尿取りパッドを作製し、実施例1のサンプルとした。なお、トップシートとしては、エアスルー不織布(坪量22g/m)を用い、バックシートとしては、通気性ポリエチレンフィルム(坪量35g/m)を用いると共に、トップシート、バックシート、吸収体を一体化する際に、ホットメルト接着剤を用いてトップシートと吸収体上面とを接合した。得られた尿取りパッドの吸収速度、液戻り量、液拡散長を以下に従って測定・評価すると共に、モニターテストの官能評価により、横漏れし難さ、背漏れ及び腹漏れし難さ、股下部のフィット性を評価した。得られた結果を表1に示す。
(吸収速度)
外径80mmの円柱の中央に内径30mmの穴が開いており、重さ2kgとした測定冶具を、トップシートを上に向けた状態で、尿取りパッドの長手方向、かつ幅方向の中央部の上に置き、上部の穴から生理食塩水150mlを投下し、生理食塩水が尿取りパッドに接触した時点から、測定治具中央円内の円周に生理食塩水が完全に吸い込まれるまでを終点として時間を計測し、吸収速度とした。
(液戻り量)
吸収性物品の中央に生理食塩水300mlを注入し、10分経過後に、予め重量を測定したろ紙(ADVANTEC社製No.2ろ紙、直径55mm)を注入部の中心に置き、ろ紙の上に687gの錘を載せた(圧力;35gf/cm)。錘を載せてから1分経過後に、ろ紙の重量を測り、試験前後のろ紙の重量差(g)を液戻り量とした。液戻り量は、N=10サンプルについて行ったものの平均値とした。液戻り量が少ないほど吸収性能に優れる。
(液拡散幅及び液拡散長)
吸収性物品を、トップシートを上に向けた状態で生理食塩水300mLlを注水し、10分後にトップシート上の液が到達した部位の最大幅と最大長さを測定した。
(横漏れし難さ)
20名のパネラーにより、吸収性物品の着用時の横漏れについて、「横漏れがある」または「横漏れがない」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。
◎:「横漏れがない」が16人以上20人以下のとき
○:「横漏れがない」が11人以上15人以下のとき
△:「横漏れがない」が6人以上10人以下のとき
×:「横漏れがない」がいないか、1人以上5人以下のとき
(背漏れ・腹漏れし難さ)
20名のパネラーにより、吸収性物品の着用時の背漏れ・腹漏れについて、「背漏れ、腹漏れがある」または「背漏れ、腹漏れがない」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。
◎:「背漏れ、腹漏れがない」が16人以上20人以下のとき
○:「背漏れ、腹漏れがない」が11人以上15人以下のとき
△:「背漏れ、腹漏れがない」が6人以上10人以下のとき
×:「背漏れ、腹漏れがない」がいないか、1人以上5人以下のとき
(フィット性)
20名のパネラーにより、吸収性物品の着用時のフィット性について、「フィット性がよい」、「どちらでもない」、「フィット性がわるい」の何れか選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。
◎:「フィット性がよい」が16人以上20人以下のとき
○:「フィット性がよい」が11人以上15人以下のとき
△:「フィット性がよい」が6人以上10人以下のとき
×:「フィット性がよい」がいないか、1人以上5人以下のとき
<実施例2及び3、並びに比較例1>
吸収体とトップシートを接合するにあたり、凸型立体形状部の頂面及び吸収体の幅方向両端部とトップシートとをホットメルト接着剤で接合して吸収体の溝部を接合せず(実施例2)、さらに、凸型立体形状部の配置を変更し(実施例3)、又は凸型立体形状部を形成しなかった(比較例1)点以外は、実施例1と同様にして吸収性物品を作成し、実施例1と同一の試験・評価を行った。なお、実施例2及び3の吸収性物品の平面図及び断面図を図3から6に示した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2017131279
表1に示すように、実施例1の吸収性物品では、凸型立体形状部を設けなかった比較例1と比較して、吸収速度、液戻り性、液拡散性、横漏れし難さ、フィット性がいずれも改善されたものとなっている。さらに、幅方向に沿って凸型立体形状部を設けた実施例3では、これに対応して背漏れ及び腹漏れが改善された。したがって、本発明の吸収性物品は、体液の縦方向の拡散性、吸収速度、漏れ防止性能、液戻り性、フィット性がいずれも改善されていることが分かった。
1 吸収性物品
21 トップシート
22 バックシート
23 吸収体
231 凸型立体形状部
24 立体ギャザー
24a 立体ギャザー用弾性部材
24b 立体ギャザーシート
Y 長手方向
X 幅方向

Claims (6)

  1. 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体とを有する吸収性物品であって、
    前記吸収体は、長手方向に沿って延びる直線状の複数の凸型立体形状部を有し、
    前記凸型立体形状部は、吸収体の幅方向両端部のそれぞれに、少なくとも1本ずつ配置されて、防漏壁を形成し、
    前記凸型立体形状部は、その幅方向の寸法が3mm以上30mm以下、高さが2mm以上10mm以下であり、長さが、吸収体の長手方向の全長に対して80%以上であり、
    前記凸型立体形状部は、幅方向に隣り合う凸部同士が10mm以上離間して配置されている、吸収性物品。
  2. 前記トップシートが、前記凸型立体形状部の外表面と接触して、前記吸収体の上面とホットメルト接着剤により接合されている、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記トップシートが、前記凸型立体形状部の凸部頂面と接触して、前記凸部頂面とホットメルト接着剤により接合されている、請求項1に記載の吸収性物品。
  4. 前記凸型立体形状部の左右両端部における最外縁は、立体ギャザーの固定部よりも内側に配置されている、請求項1から3のいずれかに記載の吸収性物品。
  5. 長手方向の寸法が300mm以上600mm以下であり、幅方向の寸法が100mm以上200mm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の吸収性物品。
  6. パンツタイプの紙おむつと併用されるパンツ用尿取りパッドである、請求項1から5のいずれかに記載の吸収性物品。
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Citations (12)

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