JP2017131055A - グロメット - Google Patents

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Abstract

【課題】拡径筒部の過大な変形を阻止して、大径筒部の、車体パネル等の固定部材からの離脱を効果的に防止することができる、新規な構造のグロメットを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス16の外周面に固定される小径筒部18と、固定部材12の貫通孔14に固定される大径筒部20と、小径筒部18と大径筒部20の間を連結する拡径筒部22とを備えたグロメット10において、拡径筒部22の小径筒部18側の端部に、所定の軸方向厚さを有し、径方向で小径筒部18の外方に離隔して配設された当接壁部34が設けられている一方、当接壁部34と小径筒部18が、それらの間に配設されて当接壁部34よりも薄肉の可撓性連結部44を介して連結され、且つ可撓性連結部44が当接壁部34の軸方向内方側の端部から延び出している。
【選択図】図4

Description

本発明は、ワイヤハーネスに外装された状態で、車体パネル等の固定部材に形成された貫通孔に装着されるグロメットに関するものである。
従来から、自動車に配索されるワイヤハーネスが、エンジンルームなどの車室外と車室内を仕切る車体パネル等の固定部材を跨いで配索される場合には、グロメットが、ワイヤハーネスに外装された状態で、車体パネルに形成された貫通孔に装着される。このグロメットは、例えば特開2009−247123号公報(特許文献1)に示されているように、ワイヤハーネスの外周面に密接して固定される小径筒部と、車体パネルの貫通孔に密嵌固定される大径筒部と、それらの間を連結する拡径筒部が一体的に設けられた構造とされており、貫通孔を通じた車室外から車室内への水の浸入などが防止されるようになっている。
ところで、かかるグロメットは、小径筒部においてワイヤハーネスの外周面に密接固定されていることから、ワイヤハーネスが挿通されたグロメットを車体パネルに取り付けた後、ワイヤハーネスを車両の適所に配索する作業などでワイヤハーネスに引張力が加えられると、小径筒部を介してグロメット全体に引張力が及ぼされることとなる。それゆえ、グロメットの拡径筒部は、変形可能に構成されており、拡径筒部の変形によりワイヤハーネスから小径筒部を介して伝達される引張力が吸収されるようになっている。その結果、引張力が大径筒部に及ぶことを阻止して、グロメットの車体パネルへの取り付け状態が保持できるようになっている。
ところが、ワイヤハーネスが大径筒部側へ過大な力で引っ張られると、特許文献1の図3(C)に示されているように、拡径筒部の径方向内方への倒れ変形が過大となって大径筒部が車体パネルから外れる方向に変形されて、グロメットが車体パネルから離脱するおそれがあった。そこで、特許文献1では、拡径筒部における大径筒部側の厚肉部分の外面に開口する軸線方向に延びるスリットを設け、拡径筒部の変形が大径筒部に及ばないようにする構造が提案されている(特許文献1の図1参照)。
しかしながら、特許文献1に示される構造でも、一層過大な力でワイヤハーネスが大径筒部側に引っ張られた場合に、拡径筒部の径方向内方への変形による大径筒部の変形を阻止することは困難であった。その他、拡径筒部の過大な変形を阻止するために、拡径筒部の板厚を増大させて変形剛性を向上させることも考えられるが、重量やコストが増加するだけでなく、グロメットの車体パネルの貫通孔への装着が困難となるおそれもあり、有効な対策とは言い難かった。
特開2009−247123号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、拡径筒部の過大な変形を阻止して、大径筒部の、車体パネル等の固定部材からの離脱を効果的に防止することができる、新規な構造のグロメットを提供することにある。
本発明の第一の態様は、ワイヤハーネスの外周面に固定される小径筒部と、固定部材の貫通孔に固定される大径筒部と、前記小径筒部と前記大径筒部の間を連結する拡径筒部とを備えたグロメットにおいて、前記拡径筒部の前記小径筒部側の端部に、所定の軸方向厚さを有し、径方向で該小径筒部の外方に離隔して配設された当接壁部が設けられている一方、前記当接壁部と前記小径筒部が、それらの間に配設されて前記当接壁部よりも薄肉の可撓性連結部を介して連結され、且つ該可撓性連結部が前記当接壁部の軸方向内方側の端部から延び出しているものである。
本態様に従う構造とされたグロメットによれば、小径筒部は、薄肉の可撓性連結部を介して拡径筒部の当接壁部に連結されていることから、ワイヤハーネスが大径筒部側に引っ張られる場合には、小径筒部の全体が大径筒部側に引っ張られると共に、可撓性連結部が大径筒部側に引っ張られるように優先的に変形させられる。しかも、可撓性連結部が当接壁部の軸方向内方側の端部から延び出していることから、可撓性連結部の大径筒部側への引張りの後に、拡径筒部の小径筒部側の端部に設けられた当接壁部が径方向内方に向かって変位される。その結果、最終的に可撓性連結部を間に挟むことなく、当接壁部が小径筒部に当接することで拡径筒部の径方向内方への変形が制限されるようになっている。
すなわち、当接壁部は、可撓性連結部よりも厚肉の軸方向厚さを有しており、かかる当接壁部が径方向内方に変位して小径筒部に軸直方向で当接されることから、当接壁部の剛性や当接壁部と小径筒部との摩擦抵抗とが相まって、拡径筒部の径方向内方へのこれ以上の変位が有利に阻止されるのである。それゆえ、拡径筒部の径方向内方への過大な変形とそれに伴う大径筒部の変形をより確実に阻止することができ、大径筒部の固定部材からの離脱を効果的に防止することが可能となる。
また、本態様に係る構造を採用することにより、グロメットの板厚の増大のみに頼ることなく、グロメットの車体パネル等の固定部材への保持力が向上されることから、グロメットの重量やコストの増大を抑制しつつ、保持力の強化を図ることができる。
さらに、従来構造のグロメットでは、ワイヤハーネスの延出方向がグロメットの小径筒部の中心軸方向と異なる場合には、小径筒部の中心軸方向を拡径筒部や大径筒部の中心軸方向と異ならせたグロメットを別途製造する必要があった。しかしながら、本態様のグロメットでは、小径筒部が拡径筒部に対して可撓性連結部で連結されていることから、車体パネル等の固定部材に対する小径筒部の中心軸方向を任意に調節することができて、汎用性を向上させることができる。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るグロメットにおいて、前記当接壁部が、前記小径筒部の外周面と平行に延出して該小径筒部の外周面に対向する当接面を有しているものである。
本態様に従う構造とされたグロメットによれば、当接壁部が小径筒部の外周面に平行に延出する当接面を有していることから、当接壁部と小径筒部の接触面積を安定して確保することができ、当接壁部の小径筒部に対する当接による拡径筒部の変形阻止をより安定して実現することができる。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るグロメットにおいて、前記可撓性連結部が全体として略U字状断面を有しており、該U字状断面の内周側の側壁が前記挿通筒部の周壁と一体化されているものである。
本態様に従う構造とされたグロメットによれば、可撓性連結部の長さが不必要に長くなることがなく、グロメットの構造が簡単なものとされる。また、可撓性連結部の長さを短くすることにより、ワイヤハーネスの引張力をより容易に当接壁部に及ぼすことができて、当接壁部を更に安定して径方向内方側へ変形させて小径筒部に当接させることができる。
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れかの態様に係るグロメットにおいて、前記拡径筒部では、前記小径筒部側の端部において、前記当接壁部が所定の径方向寸法をもって広がって設けられているものである。
本態様に従う構造とされたグロメットによれば、拡径筒部の小径筒部側の端部において、当接壁部が所定の径方向寸法で広がっていることから、当接壁部の剛性が確保されており、当接壁部の小径筒部に対する軸直方向での当接状態をより安定して保持することができる。
本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の何れかの態様に係るグロメットにおいて、前記拡径筒部の板厚寸法が径方向で変化させられており、該拡径筒部の板厚寸法が径方向中間部分で最大となるようにされているものである。
本態様に従う構造とされたグロメットによれば、拡径筒部の径方向中間部分において板厚寸法が大きくされていることから、当該拡径筒部の径方向中間部分における変形剛性が向上され得る。これにより、ワイヤハーネスを大径筒部側に強く引っ張った際にも、拡径筒部の変形が、板厚寸法が大きくされている部分よりも径方向内方に制限されて、拡径筒部よりも径方向外方に位置する大径筒部の変形が回避され得る。この結果、大径筒部の、車体パネルなどの固定部材からの脱落が効果的に防止され得る。
本発明の第六の態様は、前記第五の態様に係るグロメットにおいて、前記拡径筒部が径方向中間部分において外方に凸となる屈曲部分を有していると共に、該屈曲部分の板厚方向内方に補強部が設けられていることにより、前記拡径筒部の板厚寸法が径方向中間部分の前記屈曲部分で最大となるようにされているものである。
本態様に従う構造とされたグロメットによれば、拡径筒部が外方に凸となる屈曲部分を有していることから、当該屈曲部分の板厚方向内方に補強部が設けられる際にも、補強部のグロメット内部への突出を小さく抑えることができる。これにより、例えばグロメットに挿通されるワイヤハーネスがグロメットの中心軸に対して傾斜するような場合でも、補強部とワイヤハーネスとが当接してワイヤハーネスの配索が妨げられたりするおそれが低減され得る。なお、かかる補強部は、例えば薄板状のリブとされてもよいし、屈曲部分を内方に増肉することで板厚寸法を大きくしてもよい。
本発明の第七の態様は、前記第一〜第六の何れかの態様に係るグロメットにおいて、前記小径筒部が、前記大径筒部の外方まで突出して延び出しており、前記当接壁部に対して傾斜自在とされているものである。
本態様に従う構造とされたグロメットによれば、小径筒部が大径筒部よりも軸方向外方まで延びていることから、十分に小径筒部の長さを確保することができて、より安定してワイヤハーネスと小径筒部とを相互に固定させることができる。かかる構造とされた小径筒部であっても、可撓性連結部で当接壁部に連結されることにより、当接壁部に対して傾斜自在とされて、汎用性の向上が図られ得る。
本発明に従う構造とされたグロメットによれば、ワイヤハーネスに固定される部分と車体パネルに固定される部分とを変形し易い可撓性連結部で連結することにより、ワイヤハーネスが引っ張られても車体パネルに固定される部分における変形が抑制される。それ故、車体パネルからのグロメットの脱落が効果的に防止され得る。
本発明の1実施形態としてのグロメットの全体を示す斜視図。 図1に示されるグロメットの平面図。 図1に示されるグロメットの底面図。 図3におけるIV−IV断面図。 図3におけるV−V断面図。 図1に示されるグロメットにおいてワイヤハーネスが大径筒部側に引っ張られた状態を説明するための説明図であって、図5に対応する縦断面図。 図1に示されるグロメットにおいて小径筒部を当接壁部に対して傾斜させた状態を説明するための説明図であって、図4に対応する縦断面図。 本発明の別の態様としてのグロメットの要部を拡大して示す縦断面図。 本発明の更に別の態様としてのグロメットの要部を拡大して示す縦断面図。 本発明の更に別の態様としてのグロメットの要部を拡大して示す縦断面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1〜5には、本発明の1実施形態としてのグロメット10が示されている。このグロメット10は、例えばエンジンルームなどの車室外と車室内とを仕切る固定部材としての車体パネル12に、当該車体パネル12に設けられた貫通孔14を通じてワイヤハーネス16が挿通される場合に、ワイヤハーネス16に外装された状態で、車体パネル12の貫通孔14に装着されるようになっている。これにより、車体パネル12の貫通孔14を通じての水の浸入が防止されるようになっている。なお、以下の説明において、軸方向とは、グロメット10の中心軸方向となる図4中の上下方向を言う一方、径方向とは、中心軸に直交する方向である図4中の左右方向を言う。また、上方とは、グロメット10の車体パネル12の貫通孔14への挿入方向先端側である図4中の上方を言う一方、下方とは、グロメット10において車体パネル12に取り付けられる側である図4中の下方を言う。
より詳細には、グロメット10は、ワイヤハーネス16の外周面に固定される小径筒部18と車体パネル12の貫通孔14に固定される大径筒部20とを備えており、これら小径筒部18と大径筒部20とが、大径筒部20側に向かって軸方向で次第に大径となる拡径筒部22で接続されている。
この小径筒部18は軸方向に延びており、本実施形態では、大径筒部20よりも軸方向外方まで延びている。これにより、小径筒部18の軸方向長さが十分に確保されて、小径筒部18にワイヤハーネス16が挿通される際に、ワイヤハーネス16が安定して保持される。また、小径筒部18の軸方向両端部分には、外周側に突出するテープ止めリブ24,24が形成されており、これらテープ止めリブ24,24が設けられた箇所において小径筒部18とワイヤハーネス16とをテープ固定することにより、ワイヤハーネス16が小径筒部18に、より強固に固定され得る。さらに、小径筒部18の下端における内周面には、内周側に突出する内方突出リブ26が設けられており、当該内方突出リブ26がワイヤハーネス16に対して食い込むように当接することで、ワイヤハーネス16が小径筒部18に一層強固に固定されるとともに、小径筒部18を通じての水の浸入が防止され得る。
一方、大径筒部20は、小径筒部18よりも大きな径寸法をもって軸方向に延びる略円筒状の周壁部28と、当該周壁部28の下端から外周側に円環状に広がるフランジ部30とから構成されている。なお、本実施形態において、フランジ部30は、外周側になるにつれて次第に肉厚寸法が大きくなるように上面が傾斜しており、当該フランジ部30の上面には、上方に突出する略環状の弾性突起32が設けられている。かかる弾性突起32が、グロメット10が車体パネル12に取り付けられた際に車体パネル12により押圧変形させられることで、車室外からの車室内への水の浸入が一層防止され得る。
そして、これら小径筒部18と大径筒部20とがそれぞれの中心軸を略等しくされて配設されている。要するに、大径筒部20の径方向内方に小径筒部18が挿通されており、さらに、小径筒部18の外周面と周壁部28の上端部とが拡径筒部22により接続されている。本実施形態の拡径筒部22は、径方向に所定寸法をもって広がる円環状の当接壁部34と、径方向に対する傾斜角度が小さな第一傾斜筒部36と、当該第一傾斜筒部36よりも径方向に対する傾斜角度が大きくされた第二傾斜筒部38とを含んで構成されている。すなわち、小径筒部18の外周面が当接壁部34に接続されるとともに、当接壁部34の外周端部から第一傾斜筒部36が延び出して、さらに、第一傾斜筒部36の外周端部から延びる第二傾斜筒部38が、周壁部28の上端部に接続されている。したがって、本実施形態の拡径筒部22は、径方向中間部分において、第一傾斜筒部36と第二傾斜筒部38とが相互に接続する部分で外方に凸となるような屈曲部分39をもって構成されている。
また、第二傾斜筒部38における外周端部(周壁部28と接続される側の端部)は、周壁部28よりも外周側に位置しており、かかる第二傾斜筒部38における周壁部28よりも外周側に突出する部分が、周方向の全周に亘って延びる係止突部40とされている。すなわち、かかる係止突部40と周壁部28とフランジ部30とにより、外周側に開口して周方向の全周に亘って延びる環状凹溝41が構成されている。なお、この係止突部40の外径寸法は、車体パネル12の貫通孔14の内径寸法よりも大きくされている。
さらに、これら大径筒部20や当接壁部34、第一および第二傾斜筒部36,38の板厚寸法は何等限定されるものではないが、本実施形態では、第二傾斜筒部38の板厚寸法が最も小さくされている一方、当接壁部34および周壁部28の板厚寸法が第二傾斜筒部38よりも大きくされており、当接壁部34がある程度の板厚寸法(軸方向寸法)をもって形成されている。また、第一傾斜筒部36は、第二傾斜筒部38側から当接壁部34側に向かって次第に板厚寸法が大きくなるようにされている。
かかる形状とされた拡径筒部22における屈曲部分39の板厚方向内方には、補強部42が設けられている。本実施形態では、補強部42が、拡径筒部22の径方向内面において、当接壁部34の外周端部と周壁部28の上端部を接続する薄板状(リブ状)とされており、6つの補強部42が周方向で略等間隔に設けられている。なお、かかる補強部42の形状は何等限定されるものではないが、本実施形態では、補強部42の内面により、当接壁部34の内面と周壁部28の内面とが直線的に接続されている。これにより、本実施形態では、拡径筒部22の板厚寸法が径方向で異ならされており、拡径筒部22の板厚寸法は、径方向中間部分に設けられた屈曲部分39における板厚寸法T(図5参照)が最も大きくされている。かかる補強部は、例えば周方向の全周に亘って連続して設けることも可能であるが、周方向で部分的に設けることにより、グロメットの軽量化とコストダウンが図られ得る。
以上の如き構造とされた拡径筒部22における当接壁部34は、可撓性連結部44を介して小径筒部18の外周面に連結されている。この可撓性連結部44は、板厚寸法が十分に小さくされて薄膜状とされており、全体として上方に開口する略U字状断面をもって周方向の全周に亘って形成されている。すなわち、可撓性連結部44は、湾曲する底壁部46と、当該底壁部46の両端から上方に突出する一対の側壁部を備えている。そして、内周側の側壁部が小径筒部18の周壁と一体とされているとともに、外周側の側壁部が、小径筒部18から径方向外方に離隔した位置で略軸方向に延びる縦壁部48とされており、当該縦壁部48が当接壁部34の内周端における軸方向内方側の端部に接続されている。すなわち、拡径筒部22において小径筒部18側の端部とされた当接壁部34は、小径筒部18に対して径方向外方に離隔して位置している。それとともに、可撓性連結部44の内周端部は、当接壁部34よりも軸方向内方の位置で小径筒部18の外周面に接続されている。
また、本実施形態では、かかる縦壁部48の内周面または当接壁部34の内周端面をもって、小径筒部18の外周面と略平行に延びて、後述するようにワイヤハーネス16が下方に引っ張られた際に小径筒部18と当接する当接面50が構成されている。このように、小径筒部18が当接壁部34に対して可撓性連結部44を介して連結されることにより、小径筒部18が当接壁部34に対して傾斜自在とされている。
なお、以上の如き構造とされたグロメット10は、例えばEPDM(エチレンプロピレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、SI(シリコンゴム)などのゴム材料によって一体的に形成されることが好適である。特に、本実施形態では、当接面50が軸方向に延びていることから、成形型の引抜きも容易とされる。
ここで、かかるグロメット10の小径筒部18にはワイヤハーネス16が挿通されて、小径筒部18の軸方向両端においてテープ固定を行うことで、ワイヤハーネス16にグロメット10が固定される。そして、グロメット10がワイヤハーネス16に外装固定された状態でグロメット10を車体パネル12の貫通孔14に挿入することにより、環状凹溝41に貫通孔14の開口周縁部が嵌め入れられて係止突部40とフランジ部30との軸方向間で挟持される。これにより、グロメット10が車体パネル12に装着されて、貫通孔14を通じて車体パネル12にワイヤハーネス16が挿通される。
なお、係止突部40とフランジ部30との軸方向間距離は、車体パネル12の板厚寸法よりも僅かに小さくされており、係止突部40とフランジ部30との間で車体パネル12を挟持することにより、フランジ部30の上面が圧縮変形させられて貫通孔14の開口周縁部とフランジ部30の上面とが密着することから、車体パネル12の貫通孔14を通じた水の浸入が防止され得る。また、グロメット10による車体パネル12の貫通孔14への挿入に際しては、例えばワイヤハーネス16または小径筒部18を挿入方向先端側(上方)へ引っ張ることにより、グロメット10の略全体に引張方向の変形が生じることから、係止突部40が内周側へ縮径変形して、係止突部40の外径寸法を貫通孔14の内径寸法より小さくすることができる。これにより、グロメット10の貫通孔14への挿入が可能となる。
このようにして車体パネル12に挿通されたワイヤハーネス16が、車両に配索されるなどの際に大径部20側(下方)に引っ張られる場合には、図6に示されているように、ワイヤハーネス16と共に小径筒部18が下方に引っ張られる。ここにおいて、可撓性連結部44は当接壁部34よりも薄肉とされていることから、可撓性連結部44では下方へ引っ張られる変形が優先的に発生させられる。それとともに、当接壁部34はある程度の軸方向および径方向寸法を有していることから、十分な変形剛性が確保されて、その形状を維持しつつ径方向内方へ変形される。これにより、当接面50が小径筒部18に当接して、それ以上の変形が制限される。その結果、拡径筒部22における外周端部(係止突部40)や大径筒部20が大きく変形して、車体パネル12からグロメット10が脱落するおそれが低減され得る。特に、当接壁部34の小径筒部18に当接する当接面50が小径筒部18の外周面に平行に延出していることから、小径筒部18と当接面50の接触面積を確保して当接状態を安定して維持することにより、拡径筒部22の更なる変形を有利に阻止することができる。
特に、本実施形態では、拡径筒部22の内面に補強部42が設けられており、拡径筒部22における屈曲部分39、すなわち第一傾斜筒部36と第二傾斜筒部38との接続部分が実質的に最も肉厚とされている。それ故、仮に、ワイヤハーネス16が下方側へ更に強い力で引っ張られて、当接壁部34が下方へ変形した場合でも、第一傾斜筒部36も当接壁部34に引っ張られて径方向内方および下方へ変形するが、第二傾斜筒部38は略変形せず、第二傾斜筒部38の端部に設けられた係止突部40と大径筒部20のフランジ部30とによる車体パネル12の保持状態が維持されるようになっている。要するに、拡径筒部22における屈曲部分39のように変形し難い部分を設けることにより、ワイヤハーネス16の引張力がそれより径方向外方へは及ばないようにすることができる。これにより、グロメット10において、ワイヤハーネス16の引張りにより変形し易い部分(屈曲部分39より径方向内方の部分)と変形し難い部分(屈曲部分39より径方向外方の部分)とが相互に独立して設けられることとなり、ワイヤハーネス16が大径筒部20側に引っ張られても、グロメット10が車体パネル12から脱落するおそれが更に低減され得る。
すなわち、本実施形態のグロメット10に係る構造を採用することにより、グロメット10による車体パネル12の保持力が向上され得る。従って、車体パネル12の保持力が向上された分だけ、車体パネル12を保持する周壁部28やフランジ部30などを薄肉にすることも可能となり、グロメット10の軽量化とコストダウンが図られ得る。
また、本実施形態では、可撓性連結部44が全体として略U字状断面を有していることから、可撓性連結部44の長さが不必要に長くならず、小径筒部18と当接壁部34との連結構造も簡単なものとされる。特に、可撓性連結部44が短くされることにより、小径筒部18が下方に引っ張られた際の引張力が当接壁部34に伝達され易く、当接壁部34が径方向内方および下方に倒れ込む変形が容易に発生させられる。これにより、一層早い段階で当接壁部34の当接面50が小径筒部18に当接して、それ以上の変形が制限されることから、グロメット10が車体パネル12から脱落するおそれも一層低減され得る。
さらに、小径筒部18が可撓性連結部44により当接壁部34に連結されていることから、図7に示されているように、小径筒部18の中心軸方向が当接壁部34に対して任意に調節可能とされている。それ故、車体パネルに対してワイヤハーネスが傾斜して配索される場合にも、当該傾斜方向に合わせて小径筒部を当接壁部に対して傾斜させたグロメットを別途製造する必要はなく、本実施形態のグロメット10が汎用的に使用され得る。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良などを加えた態様で実施可能である。
たとえば、図8には、本発明の別の態様としてのグロメット52の要部が示されている。本態様のグロメット52のように、小径筒部18の下端部は、可撓性連結部44の内周端部に直接連結されていてもよい。その際、小径筒部18や可撓性連結部44以外の構造は、前記実施形態のグロメット10と同様の構造が採用されてもよいし、特開2004−187353号公報に記載のグロメットのように、大径筒部から径方向内方に円環板形状の連結部が延び出して、当該連結部の中央開口部から軸方向外方に延びる小径のハーネス固定筒部が設けられてもよい。
また、前記実施形態では、当接壁部34の内周端面が当接面50とされて小径筒部18の外周面と平行に軸方向に延びていたが、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、図8に示されているように、当接面54は、上方になるにつれて径方向内方に傾斜するように設けられていてもよい。かかる当接面54を採用することにより、ワイヤハーネス16および小径筒部18が下方に引っ張られた際に、当接面54の上端部と小径筒部18の外周面とが一層早期に当接して、グロメット52の変形が更に効果的に制限され得る。尤も、当接面は、例えば上方になるにつれて径方向外方に傾斜するように設けられてもよい。
さらに、前記実施形態では、当接壁部34が所定の径方向寸法を有しており、略円環のブロック形状とされていたが、かかる態様に限定されない。すなわち、当接壁部は、所定の板厚寸法をもって径方向に対して傾斜していてもよいし、図8に示される当接壁部56のように、全体として湾曲して径方向外方に延び出していてもよい。また、前記実施形態では、拡径筒部22が、二箇所の屈曲部分(当接壁部34と第一傾斜筒部36の接続部分および第一傾斜筒部36と第二傾斜筒部38の接続部分39)を有していたが、拡径筒部の具体的な形状は何等限定されるものではなく、全体として略直線状に延びていてもよいし、全体として略湾曲する形状とされていてもよい。
更にまた、前記実施形態では、拡径筒部22における屈曲部分39において、板厚方向内方にリブ状(薄板状)の補強部42を設けることで、屈曲部分39における板厚寸法Tが大きくなるようにしていたが、補強部はリブ状に限定されず、単に屈曲部分39を増肉して板厚寸法を大きくしてもよいし、拡径筒部22の外面に設けてもよい。さらに、補強部を設ける箇所も屈曲部分の板厚方向内方には限定されず、例えば第一傾斜筒部36や第二傾斜筒部38の長さ方向中間部分でもよい。また、補強部の形状や個数、大きさなどは何等限定されるものではなく、拡径筒部の形状やグロメットの材質などによって設計、変更され得る。さらに、前記実施形態では、6つの補強部42が周方向で等間隔に設けられていたが、補強部は、例えば全周に亘って連続して形成されてもよい。
また、前記実施形態では、可撓性連結部44は全体が略U字状断面を有するように形成されていたが、可撓性連結部の形状は限定されるものではない。すなわち、例えば、全体の断面形状が略W字状や蛇腹形状とされてもよいし、直線状とされてもよい。さらに、図9に示されるグロメット58のように、可撓性連結部60が上方に向かって延びていてもよい。これにより、本態様では、可撓性連結部60が、当接壁部34よりも上方で小径筒部18の外周面に連結されている。なお、何れの場合も、可撓性連結部が当接壁部34よりも薄肉とされるとともに、当接壁部34の軸方向内方端部から延び出すことにより、ワイヤハーネス16が大径筒部20側に引っ張られて小径筒部18が下方に変位する際には、当接面50の上端部が小径筒部18の外周面に当接して、それ以上の変形が制限される。また、小径筒部18の軸方向長さ寸法は特に限定されるものではなく、前記実施形態のように大径筒部20の軸方向外方まで延びていてもよいし、本態様のように当接壁部34まで至っていなくてもよい。
更にまた、前記実施形態では、可撓性連結部44が、当接壁部34の内周端部と小径筒部18の外周面とを連結していたが、図10に示されるグロメット62のように、可撓性連結部64は、当接壁部の径方向中間部分に設けられてもよい。すなわち、図10に示される態様では、当接壁部が外周側当接壁部66と内周側当接壁部68に径方向で分割されており、可撓性連結部64が外周側当接壁部66と内周側当接壁部68の軸方向内方端部に接続されている。かかる態様では、ワイヤハーネス16が大径筒部20側に引っ張られた際に、小径筒部18と共に内周側当接壁部68が下方へ変位して可撓性連結部64が優先的に変形させられることで、外周側当接壁部66の内周端面である当接面70の上端部と小径筒部18とが当接して、それ以上の変形が制限される。なお、本態様では、グロメットにおける中央の筒状体と内周側当接壁部68とにより小径筒部が構成されると共に外周側当接壁部66により拡径筒部の小径筒部側の端部が構成されると考えることで、拡径壁部の内周端(当接筒部)から延びる可撓性連結部が小径筒部の外周面に連結されると把握することもできる。
10,52,58,62:グロメット、12:車体パネル(固定部材)、14:貫通孔、16:ワイヤハーネス、18:小径筒部、20:大径筒部、22:拡径筒部、34,56:当接壁部、39:屈曲部分、42:補強部、44,60,64:可撓性連結部、50,54,70:当接面、66:外周側当接壁部、68:内周側当接壁部

Claims (7)

  1. ワイヤハーネスの外周面に固定される小径筒部と、固定部材の貫通孔に固定される大径筒部と、前記小径筒部と前記大径筒部の間を連結する拡径筒部とを備えたグロメットにおいて、
    前記拡径筒部の前記小径筒部側の端部に、所定の軸方向厚さを有し、径方向で該小径筒部の外方に離隔して配設された当接壁部が設けられている一方、
    前記当接壁部と前記小径筒部が、それらの間に配設されて前記当接壁部よりも薄肉の可撓性連結部を介して連結され、且つ該可撓性連結部が前記当接壁部の軸方向内方側の端部から延び出している
    ことを特徴とするグロメット。
  2. 前記当接壁部が、前記小径筒部の外周面と平行に延出して該小径筒部の外周面に対向する当接面を有している請求項1に記載のグロメット。
  3. 前記可撓性連結部が全体として略U字状断面を有しており、該U字状断面の内周側の側壁が前記小径筒部の周壁と一体化されている請求項1又は2に記載のグロメット。
  4. 前記拡径筒部では、前記小径筒部側の端部において、前記当接壁部が所定の径方向寸法をもって広がって設けられている請求項1〜3の何れか1項に記載のグロメット。
  5. 前記拡径筒部の板厚寸法が径方向で変化させられており、該拡径筒部の板厚寸法が径方向中間部分で最大となるようにされている請求項1〜4の何れか1項に記載のグロメット。
  6. 前記拡径筒部が径方向中間部分において外方に凸となる屈曲部分を有していると共に、該屈曲部分の板厚方向内方に補強部が設けられていることにより、前記拡径筒部の板厚寸法が径方向中間部分の前記屈曲部分で最大となるようにされている請求項5に記載のグロメット。
  7. 前記小径筒部が、前記大径筒部の外方まで突出して延び出しており、前記当接壁部に対して傾斜自在とされている請求項1〜6の何れか1項に記載のグロメット。
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