JP2017130917A - 差動通信装置、測定方法 - Google Patents

差動通信装置、測定方法 Download PDF

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洋平 関谷
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寛之 森
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浩規 慶野
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Abstract

【課題】車載イーサネットのように、信号線に流れる信号周波数が高速化した場合であっても、サージ対策と電磁ノイズ対策の両立を図ることが可能な差動通信装置を提供する。
【解決手段】差動信号を用いる差動通信装置1であって、外部の信号線と接続するコネクタ10と、コネクタ10と一対の信号線で接続される通信IC20と、コネクタと通信ICとの間の一対の信号線上に設けられるコモンモードチョークコイル30と、コモンモードチョークコイルと通信ICとの間の一対の信号線のそれぞれと、基準電位点との間に設けられる静電気保護素子40を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、差動信号を用いる差動通信装置等に関する。
従来から、車両に搭載される差動通信装置は、サージ対策の効果を確認するための静電気放流試験に合格する必要がある。静電気放流試験は、プローブを介して被試験対象の信号線に対して、例えば、−5kV〜+5kVの範囲から−25kV〜+25kVの範囲までの静電気を印加するイミュニティ試験である。
そのため、コネクタと通信IC(Integrated Circuit)との間の一対の信号線のそれぞれと、基準電位点との間にツェナーダイオード等の静電気保護素子を設ける場合が多い。また、静電気放流試験における合格の観点に加えて、コネクタから通信ICまでの間に介装される部品の全てを静電気から保護する観点から、静電気保護素子は、コネクタ近傍(コネクタの直後)の信号線と基準電位点との間に設けられる場合が多い。
一方、昨今、車両に搭載される差動通信装置は、サージ対策の効果を確認するための静電気放流試験に加えて、電磁波ノイズ対策の効果を確認するためのEMC(Electromagnetic Compatibility)試験の双方に合格することを求められる。EMC試験としては、通常、周知のBCI(Bulk Current Injection)試験が採用される。BCI試験は、プローブを介して被試験対象の信号線に対して、例えば、1MHz〜400MHz程度の周波数範囲の高周波妨害電流を注入するイミュニティ試験である。
ここで、コネクタ近傍の信号線と基準電位点との間に静電気保護素子を介装する構成を採用すると、静電気放流試験では、良好な結果が得られるものの、BCI試験では、通信エラーが発生し、良好な結果が得られない可能性が高いことが分かっている。これは、静電気保護素子を介して接続される各信号線と基準電位点との間のインピーダンスに差があると、通信ICが受信するコモンモード電圧に差が生じ、一対の信号線間にノイズ電圧が表れるからである。即ち、受信信号のコモンモード成分の一部がディファレンシャル成分に変換され、通信ICに受信されることにより通信エラーが発生する可能性が高くなるからである。
かかる前提において、コネクタと通信IC(レシーバ)とを繋ぐ信号線上のコネクタ近傍点と基準電位点との間に、ツェナー電圧が58V〜66Vの範囲にあるツェナーダイオードを設けたCAN(Controller Area Network)通信装置が知られている。具体的には、コネクタと通信IC(CANトランシーバ素子)との間にチョークコイルを設けると共に、コネクタとチョークコイルの間を接続する一対の信号線(CANバスライン)のそれぞれのコネクタ近傍点と基準電位点との間に、ツェナーダイオードを設けている。
かかる構成によれば、ツェナーダイオードの作用により静電気放流試験において良好な結果が得られると共に、ツェナーダイオードのツェナー電圧の範囲を58V〜66Vの範囲とすることで、BCI試験においても良好な結果を得ることができることが分かっている。
特開2014−83932号公報
しかしながら、車両に搭載される差動通信装置における信号周波数が高速化しており、例えば、車載イーサネット(Ethernet:登録商標)による差動通信装置の場合、信号周波数が数10Mbps〜数100Mbpsに達する。かかる場合、ツェナーダイオードに高速で正負が反転する信号が入ることにより生じる逆回復時間にばらつきが生じ、ツェナー電圧の範囲に依らず、通信エラーが生じてしまう可能性がある。
そこで、上記課題に鑑み、例えば、車載イーサネットのように、信号線に流れる信号周波数が高速化した場合であっても、サージ対策と電磁ノイズ対策の両立を図ることが可能な差動通信装置等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一実施態様において、
差動信号を用いる差動通信装置であって、
外部の信号線と接続するコネクタと、
コネクタと一対の信号線で接続される通信ICと、
前記コネクタと前記通信ICとの間の前記一対の信号線上に設けられるコモンモードチョークコイルと、
前記コモンモードチョークコイルと前記通信ICとの間の前記一対の信号線のそれぞれと、基準電位点との間に設けられる静電気保護素子を備える、
差動通信装置が提供される。
本発明の一実施態様によれば、差動通信装置は、コモンモードチョークコイルと通信ICとの間の一対の信号線のそれぞれと、基準電位点との間に静電気保護素子が設けられる。従って、静電気保護素子の作用により、静電気放流試験において良好な結果を得ることができる。また、コモンモードチョークコイルの作用により、コネクタを介して差動通信装置に入力される信号のうちのコモンモードノイズ成分が大きく減衰され、コモンモードチョークコイルと通信ICとの間の信号線に流れる信号のコモンモードノイズ成分の絶対量を少なくすることができる。そのため、静電気保護素子を介して接続される各信号線と、基準電位点との間のインピーダンスに差があっても、コモンモードノイズ成分の絶対量が非常少なくなるため、信号周波数に依らず、通信エラーの発生を大きく抑制し、BCI試験において、良好な結果を得ることができる。即ち、信号線に流れる信号周波数が高速化した場合であっても、サージ対策と電磁ノイズ対策の両立を図ることができる。
本実施の形態によれば、例えば、車載イーサネットのように、信号線に流れる信号周波数が高速化した場合であっても、サージ対策と電磁ノイズ対策の両立を図ることが可能な差動通信装置等を提供することができる。
差動通信装置の構成の一例を概略的に示す構成図である。 比較例に係る差動通信装置におけるコモンモードからディファレンシャルモードへの変換特性を表す図である。 本実施形態に係る差動通信装置におけるコモンモードからディファレンシャルモードへの変換特性を表す図である。 静電気保護素子の搭載条件と、静電気放流試験及びBCI試験の結果との関係を表す図である。 ミックスト・モードSパラメータモデルにおける差動通信装置の等価回路を表す図である。 差動通信装置におけるコモンモードのノイズに対する差動電圧を測定する測定装置の構成の一例を示す図である。 本実施形態に係る測定装置を差動通信装置に適用した場合のSQI値を示す図である。 本実施形態に係る測定装置を差動通信装置に適用した場合のノイズのコモンモード電圧の上限値(通信の正常状態からエラー状態に遷移する限界値)を示す図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る差動通信装置1の構成の一例を概略的に示す構成図である。差動通信装置1は、車両に搭載され、例えば、車載イーサネット等、高速通信が可能な通信装置である。差動通信装置1は、ツイストペアケーブル2を介して、外部の対象(他の差動通信装置)と接続され、かかる他の差動通信装置との間で、差動信号を用いた双方向通信を行う。また、差動通信装置1は、基板3を含み、当該基板3上に搭載される構成要素として、コネクタ10、ペア信号線(一対の信号線)15、通信IC20、コモンモードチョークコイル(Common-Mode Choke coil)30、バリスタ(Voltage variable resistor)40を含む。
尚、基板3は、例えば、車両に搭載されるECU(Electrical Control Unit)基板であり、差動通信装置1の構成要素に加えて、ECUにおける各種制御処理を実行するマイコン等を含んでよい。
コネクタ10は、基板3の端部に設けられ、ツイストペアケーブル2と接続するためのインターフェースである。
ペア信号線15は、基板3上において、コネクタ10と通信IC20との間を接続し、コネクタ10を介してツイストペアケーブル2から入力される差動信号を通信IC20に伝達すると共に、通信IC20から伝達される作動信号を、コネクタ10を介してツイストペアケーブル2に出力する。ペア信号線15は、信号線15a、15bを含む。
通信IC20は、信号の送受信を行うトランシーバや、トランシーバを駆動するドライバ、トランシーバによる信号の送受信を制御するコントローラ等を含む。
コモンモードチョークコイル30は、差動信号には、伝送線路として働き、コモンモードノイズには、インダクタとして働く既知のコモンモードフィルタである。コモンモードチョークコイル30は、コネクタ10と通信IC20との間のペア信号線15上に設けられ、信号線15a、15bのそれぞれに設けられるコイルが電磁結合する構成を有する。
バリスタ40は、既知の静電気保護素子である。バリスタ40は、コモンモードチョークコイル30と通信IC20との間の信号線15a、15bのそれぞれと基準電位点(例えば、車両のボディシェルを構成する金属の部材等)との間を接続するバリスタ40a、40bを含む。
尚、バリスタ40(バリスタ40a,40b)の代わりに、他の静電気保護素子、例えば、ツェナーダイオード、サージアブソーバ等が用いられてもよい。
また、差動通信装置1は、基板3上において、コネクタ10とコモンモードチョークコイル30との間のペア信号線15(信号線15a、15b)上に、他の部品が設けられてよい。図1に示す構成例では、コネクタ10とコモンモードチョークコイル30との間の信号線15a、15bのそれぞれに、カップリングコンデンサ50が設けられる。カップリングコンデンサ50は、信号線15aに設けられるカップリングコンデンサ50aと、信号線15bに設けられるカップリングコンデンサ50bを含む。
次に、本実施形態に係る差動通信装置1のイミュニティ性能、特に、電磁波ノイズ耐性について説明する。
まず、図2を参照して、従来技術に相当する比較例に係る差動通信装置の電磁波ノイズ耐性について説明する。
図2は、比較例に係る差動通信装置におけるコモンモードからディファレンシャルモードへの変換特性を説明する図であり、図2(a)は、比較例との対比のため、静電気保護素子が設けられない差動通信装置(本実施形態に係る差動通信装置1からバリスタ40を省略した構成の差動通信装置)の変換特性を表し、図2(b)は、比較例に係る差動通信装置の変換特性を表す。具体的には、図2(a)、(b)は、ミックスト・モードSパラメータ(Mixed Mode Scattering-Parameter、以下、単に「Sパラメータ」と称する)のうち、コモンモードからディファレンシャルモードへの変換特性(変換量)を表すSパラメータSdcと信号周波数の関係を表す図である。
本比較例では、本実施形態に係る差動通信装置1とは異なり、静電気保護素子がコネクタ10とコモンモードチョークコイル30との間の信号線15a、15bのそれぞれにおけるコネクタ近傍点と基準電位点との間に設けられる(即ち、従来技術に相当する構成が採用される)。
尚、比較例に係る差動通信装置における本実施形態に係る差動通信装置1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を行う。
図2(a)、(b)に示すように、比較例に係る差動通信装置のSパラメータSdcは、静電気保護素子が設けられない差動通信装置のSパラメータSdcより大きくなっている。即ち、比較例に係る差動通信装置は、静電気保護素子が設けられない差動通信装置と比較して、コモンモード(ノイズ)成分がディファレンシャルモード成分に変換される量が増加していることが分かる。これは、静電気保護素子を介して接続される各信号線15a,15bと、基準電位点との間のインピーダンスの差に起因している。具体的には、かかるインピーダンス間に差があると、通信IC20のレシーバが受信するコモンモード電圧に差が生じてしまい、信号線15a,15b間にコモンモードノイズに起因する電圧が表れるからである。即ち、コモンモードノイズ成分の一部がディファレンシャル成分に変換されるからである。
このように、比較例に係る差動通信装置では、サージ対策のために設けられる静電気保護素子の影響で、コモンモードノイズがディファレンシャル成分に変換される量が増加し、電磁波ノイズに対する耐性が悪化してしまうことが分かる。
続いて、図3を参照して、本実施形態に係る差動通信装置1の電磁波ノイズ耐性について説明する。
図3は、本実施形態に係る差動通信装置1におけるコモンモードからディファレンシャルモードへの変換特性を説明する図であり、図3(a)は、図2(a)と同様、本実施形態との対比のため、静電気保護素子が設けられない差動通信装置の変換特性を表し、図3(b)は、本実施形態に係る差動通信装置1の変換特性を表す。具体的には、図3(a)、(b)は、図2(a)、(b)と同様、SパラメータSdcと信号周波数との関係を表す図である。
図3(a)、(b)に示すように、本実施形態に係る差動通信装置1のSパラメータSdcは、静電気保護素子が設けられない差動通信装置のSパラメータSdcと略同等のレベルであることが分かる。これは、本実施形態に係る差動通信装置1における静電気保護素子(バリスタ40)の搭載位置に起因する。具体的には、バリスタ40a、40bは、コモンモードチョークコイル30と通信IC20との間の信号線15a、15b、即ち、コモンモードチョークコイル30でコモンモードノイズ成分がほとんど除去された後の信号が流れる信号線15a、15bに接続されるからである。
ここで、図4は、静電気保護素子の搭載条件と、静電気放流試験及びBCI試験の結果との関係を表す図である。
図4に示すように、静電気保護素子を設けない場合、BCI試験では、コモンモードチョークコイル30等の作用により良好な結果を得ることができる。しかし、当然の如く、静電気放流試験では、良好な結果を得ることができない。
また、比較例に係る差動通信装置のように、コネクタ10とコモンモードチョークコイル30との間の信号線15a,15bのコネクタ10の近傍に、静電気保護素子を接続する場合、静電気放流試験では、静電気保護素子の作用により良好な結果を得ることができる。しかし、BCI試験では、上述の如く、静電気保護素子の影響で、コモンモードノイズ成分がディファレンシャル成分に変換される量が増加するため、良好な結果を得ることができない。
これに対して、本実施形態に係る差動通信装置1のように、コモンモードチョークコイル30と通信IC20との間の信号線15a,15bのそれぞれに、静電気保護素子(バリスタ40)を接続する場合、静電気放流試験では、比較例と同様、静電気保護素子の作用で良好な結果が得られる。加えて、BCI試験でも、比較例に対して静電気保護素子の接続位置がコモンモードチョークコイル30と通信IC20との間の信号線15a、15b、即ち、コモンモードノイズ成分が大きく除去された信号が流れる信号線15a、15bであるため、良好な結果が得られる。
このように、本実施形態に係る差動通信装置1は、コモンモードチョークコイル30と通信IC20との間のペア信号線15(信号線15a、15b)のそれぞれと、基準電位点との間に静電気保護素子(バリスタ40)が設けられる。従って、静電気保護素子の作用により、静電気放流試験において良好な結果を得ることができる。また、コモンモードチョークコイル30の作用により、コネクタ10を介して差動通信装置1に入力される信号のうちのコモンモードノイズ成分が大きく減衰され、コモンモードチョークコイル30と通信IC20との間の信号線に流れる信号のコモンモードノイズ成分の絶対量を少なくすることができる。そのため、静電気保護素子を介して接続される各信号線15a、15bと、基準電位点との間のインピーダンスに差があっても、コモンモードノイズ成分の絶対量が非常少なくなるため、信号周波数に依らず、通信エラーの発生を大きく抑制し、BCI試験において、良好な結果を得ることができる。即ち、信号線に流れる信号周波数が高速化した場合であっても、サージ対策と電磁ノイズ対策の両立を図ることができる。
尚、本実施形態では、コモンモードチョークコイル30を含む、コネクタ10からコモンモードチョークコイル30までの間に配置される部品、例えば、カップリングコンデンサ50等の耐圧は、静電気放流試験で印加される静電気の電圧に耐えうるものである必要がある。即ち、本実施形態に係る差動通信装置1において、コモンモードチョークコイル30、カップリングコンデンサ50等、コネクタ10からコモンモードチョークコイル30との間に配置される部品(素子)の耐圧は、−5kV〜+5kVの範囲から−25kV〜+25kVの範囲の静電気の印加に耐えうる仕様である。
次に、本実施形態に係る差動通信装置1を含む差動通信装置のイミュニティ性能評価方法について説明する。
本実施形態に係る差動通信装置1のような高速通信を行う差動通信装置に搭載される通信ICには、イコライザ、即ち、信号の周波数特性等を最適化する周波数フィルタ等が内蔵されている。そのため、かかる最適化の作用により、イミュニティ性能の推定が困難であるという問題がある。
これに対して、本実施形態では、このような構成を有する差動通信装置であっても、イミュニティ性能の推定が可能なイミュニティ性能評価方法を提案する。
まず、評価対象となる差動通信装置をSパラメータでモデル化する。
図5は、Sパラメータモデルにおける評価対象となる差動通信装置の伝送路を含む等価回路である。図5の等価回路を前提に、評価対象となる差動通信装置の伝送路を含むSパラメータモデルを以下に示す。
尚、acom,bcomは、コモンモードの電力波を表し、adiff,bdiffは、ディファレンシャルモードの電力波を表し、Z,Z0c,Z0dは、それぞれ、シングルエンド、コモンモード、ディファレンシャルモードにおける特性インピーダンス(基準インピーダンス)を表す。
Figure 2017130917



続いて、Sパラメータモデルを用いて、コモンモード成分からディファレンシャル成分への変換量を表すSパラメータSdcに寄与する物理量を導出する。
上述の如く、差動通信装置における電磁波ノイズに起因する通信エラーの主要因は、コモンモードノイズがディファレンシャルモードに変換されることである。そこで、イミュニティ性能(電磁波ノイズ耐性)を推定するため、式(1)〜式(5)で表されるSパラメータモデルを用いて、コモンモード成分がディファレンシャルモード成分に変換される変換量に相当するSパラメータSdcに寄与する物理量を導出する。以下、かかる導出手法の一例である。
差動通信装置(基板)に印加されるコモンモード電圧をVcom、通信ICにおける差動電圧(ディファレンシャルモード電圧)をP_Vdiffとすると、差動電圧P_Vdiffとコモンモード電圧Vcomの比は、式(6A)で表される。
Figure 2017130917

ここで、adiff≒0であるならば、差動電圧P_Vdiffとコモンモード電圧Vcomの比は、式(6B)で表される。
Figure 2017130917

また、Sdd≒0であるならば、bdiff=Sdc・acomであるので、差動電圧P_Vdiffとコモンモード電圧Vcomの比は、式(6C)で表される。
Figure 2017130917

また、acom≒bcomであるならば、Vcom、acomは、それぞれ、式(7)、(8)で表される。
Figure 2017130917

よって、式(6C)、(7)、(8)から差動電圧P_Vdiffとコモンモード電圧Vcomの比は、式(6D)のように導かれる。
Figure 2017130917

本例では、コモンモード成分からディファレンシャルモード成分への変換量を表すSパラメータSdcに寄与する物理量として差動電圧P_Vdiffとコモンモード電圧Vcomが導出される。
続いて、コモンモード成分からディファレンシャルモード成分への変換量を表すSパラメータSdcに寄与する物理量の実測値からかかるSパラメータSdcの値を算出する。
本例では、差動電圧P_Vdiffとコモンモード電圧Vcomを実測し、それぞれの実測値を式(6D)に代入することにより、SパラメータSdcの値を算出する。
このように、本実施形態に係る差動通信装置のイミュニティ性能評価方法は、信号伝送路を含む差動通信装置をSパラメータでモデル化し、Sパラメータのうち、コモンモード成分からディファレンシャルモード成分への変換量を表すSパラメータSdcに寄与する物理量を導出し、導出した物理量の差動通信装置における実測値からSパラメータSdcの値を算出する。従って、最終的に算出したSパラメータSdcの値、即ち、コモンモード成分からディファレンシャルモード成分への変換量を評価することにより、差動通信装置のイミュニティ性能(電磁波ノイズ耐性)を推定することができる。
次に、上述のイミュニティ性能評価方法に必要な物理量、即ち、差動電圧P_Vdiffの測定方法について説明をする。
まず、図6を参照して、差動電圧P_Vdiffを測定する測定装置100について説明する。
図6は、差動通信装置1におけるコモンモードのノイズに対する差動電圧P_Vdiffを測定する測定装置100の構成の一例を概略的に示す図である。
測定装置100は、信号発生器110、接続部120、オシロスコープ130を含む。
信号発生器(SG:Signal Generator)110(ノイズ印加部の一例)は、接続部120を介して、差動通信装置1のペア信号線15(信号線15a,15b)に電気的に接続され、ペア信号線15にコモンモードのノイズを印加する。信号発生器110から発生するノイズは、その周波数と電圧を変化させることができる。
接続部120は、ペア信号線15と信号発生器110との間を繋ぐ接続線121と、接続線121上に設けられる方向性結合器122とを含む。
接続線121は、信号線15aと信号発生器110との間を繋ぐ接続線121aと、信号線15bと信号発生器110との間を繋ぐ接続線121bを含む。
方向性結合器122は、接続線121上に設けられ、接続線121a,121bの各々に対応する方向性結合器122a,122bを含む。
方向性結合器122a,122bは、伝送路における信号波をその進行方向に応じた出力として取り出す既知の測定用回路機器である。方向性結合器122は、伝送路に対応する2つのメインポートと、伝送路における信号波のうちの特定の方向の信号波だけを出力として取り出す1又は2の測定用ポートを有する。方向性結合器122は、その特性上、2つのメインポートの一方側から見たインピーダンスと他方側から見たインピーダンスとが異なる。即ち、方向性結合器122a,122bは、接続線121a,121bにおける信号発生器110側から見たインピーダンスと、ペア信号線15(信号線15a,15b)側から見たインピーダンスが異なる。本実施形態では、方向性結合器122a,122bは、それぞれ、信号発生器110側から見たインピーダンスが比較的低い値(例えば、50Ω)に設定され、ペア信号線15側から見たインピーダンスが比較的高い値(例えば、300Ω)に設定される。これにより、接続部120は、信号発生器110側から見たインピーダンスが比較的低く、ペア信号線15側から見たインピーダンスが比較的高くなる態様で、信号発生器110とペア信号線15との間を電気的に接続することができる。
オシロスコープ130(測定部の一例)は、所定のプローブを介して、通信IC20における差動電圧を測定するための既知の測定手段である。
続いて、ユーザ(測定者)が、測定装置100を用いて、差動電圧P_Vdiff(具体的には、差動通信装置1で行われる通信が正常状態からエラー状態に遷移する限界の差動電圧P_Vdiff)を測定する測定方法(測定手順)について説明する。
第1工程(接続ステップの一例)として、ユーザは、測定装置100を測定対象の差動通信装置1で差動電圧P_Vdiffが測定可能な状態に取り付ける等する。例えば、ユーザは、ペア信号線15にノイズを印加する信号発生器110とペア信号線15との間を、ペア信号線15側から見たインピーダンスが比較的高く、信号発生器110側から見たインピーダンスが比較的低くなる態様で、電気的に接続させる。
第2工程(印加ステップの一例)として、ユーザは、測定対象である差動通信装置1の通信IC20に外部(図6の場合、他の差動通信装置1)との通信を実行させている状態で、信号発生器110によりペア信号線15にコモンモードのノイズを印加させる。この際、ユーザは、差動ノイズの電圧(信号発生器110の出力値)を大きくする方向に変化させながら、通信ICで実行される通信の状態(正常状態かエラー状態か)を確認する。
第3工程(測定ステップの一例)として、ユーザは、第2工程において、通信IC20で実行される通信が正常状態からエラー状態に移行する限界を示す差動ノイズの電圧(信号発生器110の出力値)の上限値がペア信号線15に印加されるときの通信IC20における差動電圧P_Vdiffを、オシロスコープ130により測定する。
尚、第2工程及び第3工程は、印加されるノイズの周波数を変更させながら、繰り返し実行されてよい。
このように、上述の測定装置100を用いる当該測定方法により、上述のイミュニティ性能評価方法を実行するために必要な物理量、即ち、差動ノイズの電圧(信号発生器110の出力値)の上限値に対応する差動電圧P_Vdiffを測定することができる。
続いて、図7、図8を参照して、本実施形態に係る測定装置100、及び測定装置100を利用する差動電圧P_Vdiffの測定方法による作用について説明をする。
図7は、測定装置100(信号発生器110)を、測定対象である差動通信装置1に取り付けた場合の差動通信装置1の通信環境(通信品質)を説明する図である。具体的には、差動通信装置1単体の場合(差動通信装置1に測定装置100等を接続しない場合)、比較例に係る測定装置(信号発生器110とペア信号線15との間に方向性結合器122を介在させない測定装置)を差動通信装置1に取り付けた場合、及び測定装置100を差動通信装置1に取り付けた場合におけるSQI値を示す図である。図8は、測定装置100を差動通信装置1に取り付けた場合(グラフG1)と、図7の場合と同様の比較例に係る測定装置を差動通信装置1に取り付けた場合(グラフG2)における上述のコモンモード電圧の上限値を示す図である。
尚、SQI値は、イーサネット通信における通信品質の指標の1つであり、値が大きいほど通信環境が良好であることを示す。
図7に示すように、差動通信装置1単体の場合、差動通信装置1のSQI値が9.5であるのに対して、信号発生器110とペア信号線15との間に方向性結合器122を介在させない態様の比較例に係る測定装置を差動通信装置1に取り付けた場合、SQI値が8.6に低下している。これは、信号発生器110の内部インピーダンスがペア信号線15よりも低いこと等の影響により、ペア信号線15の通信信号の振幅低下等が発生するからである。そのため、図8に示すように、比較例に係る測定装置を利用すると、信号発生器110の内部インピーダンス等の影響による通信環境の悪化に起因して、通信IC20の通信が正常状態からエラー状態に移行する限界である差動電圧P_Vdiffの上限値が比較的低くなってしまう。
これに対して、本実施形態に係る測定装置100を差動通信装置1に取り付けた場合、差動通信装置1のSQI値は、差動通信装置1単体の場合と同等の9.4である。測定装置100は、上述の如く、信号発生器110とペア信号線15との間に、ペア信号線15側から見たインピーダンスが比較的高く、信号発生器110側から見たインピーダンスが比較的低くなるように設定される方向性結合器122を介在させることにより、ペア信号線15よりも内部インピーダンスが低い信号発生器110の影響を抑制することができるからである。そのため、図8に示すように、本実施形態に係る測定装置100を利用すると、比較例に係る測定装置を利用する場合と比較して、信号発生器110の内部インピーダンス等の影響を抑制することができるため、通信IC20の通信が正常状態からエラー状態に移行する限界である差動電圧P_Vdiffの上限値が比較的高くなる。即ち、本実施形態に係る測定装置100を利用することにより、信号発生器110を接続することによる影響を抑制し、差動通信装置1の本来のイミュニティ性能に対応するコモンモード電圧Vcom及び差動電圧P_Vdiffを測定することができ、結果として、上述のイミュニティ性能評価方法を利用して、差動通信装置1のイミュニティ性能を評価することができる。
また、信号発生器110の内部インピーダンスの影響を抑制する手法としては、DPI試験のように、信号発生器110とペア信号線15との間にコンデンサを介在させることにより、信号発生器110と通信系を分離することも考えられる。しかしながら、この場合、周波数成分を任意にコントロールできないという課題が存在する。これに対して、本実施形態に係る測定装置100では、信号発生器110と差動通信装置1(ペア信号線15)との間にコンデンサを介在させないため、周波数成分を任意にコントロールすることができる。
尚、本実施形態では、測定装置100による差動電圧P_Vdiffの測定対象は、差動通信装置1であるが、他の差動通信装置を差動電圧P_Vdiffの測定対象としてもよい。また、本実施形態では、差動ノイズを印加する系(信号発生器110、接続部120を含む系)に対して、ノイズ印加側から見たインピーダンスを比較的低くし、信号線側から見たインピーダンスを比較的高くする構成(方向性結合器122)を採用するが、コモンノイズを印加する系に対して、本実施形態と同様の構成を採用することも可能であり、この場合、通信ICが許容可能なコモンモード電圧Vcomを測定することができる。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 差動通信装置
2 ツイストペアケーブル(外部の信号線)
3 基板
10 コネクタ
15 ペア信号線(一対の信号線)
15a,15b 信号線
20 通信IC
30 コモンモードチョークコイル
40 バリスタ(静電気保護素子)
50 カップリングコンデンサ
100 測定装置
110 信号発生器(ノイズ印加部)
120 接続部
121,121a,121b 接続線
122,122a,122b 方向性結合器
130 オシロスコープ(測定部)

Claims (2)

  1. 差動信号を用いる差動通信装置であって、
    外部の信号線と接続するコネクタと、
    コネクタと一対の信号線で接続される通信ICと、
    前記コネクタと前記通信ICとの間の前記一対の信号線上に設けられるコモンモードチョークコイルと、
    前記コモンモードチョークコイルと前記通信ICとの間の前記一対の信号線のそれぞれと、基準電位点との間に設けられる静電気保護素子を備える、
    差動通信装置。
  2. 請求項1に記載の差動通信装置におけるノイズに対する前記通信ICの差動電圧を測定する測定方法であって、
    前記一対の信号線に前記ノイズを印加するノイズ印加部と、前記一対の信号線との間を、前記一対の信号線側から見たインピーダンスが前記ノイズ印加部から見たインピーダンスよりも高くなる態様で、電気的に接続させる接続ステップと、
    前記通信ICに外部との通信を実行させている状態で、前記ノイズ印加部により前記一対の信号線に前記ノイズを印加させるノイズ印加ステップと、
    前記ノイズ印加ステップにおいて、前記通信が正常状態からエラー状態に移行する限界を示す前記ノイズの電圧の上限値が前記一対の信号線に印加されるときの前記通信ICにおける差動電圧を測定する測定ステップと、を含む、
    測定方法。
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