JP2017130272A - 膜電極接合体の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】膜電極接合体における電極触媒層の形成のための触媒インクのインク充填量の多様化を図る。【解決手段】ロール周面に送られた帯状シートをロール周面上の凹部の底壁の側に吸引する吸引部を有する塗工ロールと、この塗工ロールに向き合って配設されたインク塗工機構とを備える。このインク塗工機構は、凹部の底壁の側に吸引されて凹状となった帯状シートの凹状部位に、電解質膜に接合される電極触媒層の形成のための触媒インクを塗工する。【選択図】図2
Description
本発明は、膜電極接合体の製造装置に関する。
膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:以下、MEAとも称する)は、電解質膜の両膜面にアノード、カソードの電極触媒層を接合して構成される。MEAの製造に際しては、帯状の電解質膜の膜面に、触媒インクを用いて形成した電極触媒層を転写する手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
燃料電池に求められる発電性能は、一律ではなく、燃料電池の配設先や使用環境に応じて都度規定され、電気化学反応に関与する電極触媒層の触媒量にも左右される。上記の特許文献で提案された電極触媒層の形成手法では、電極触媒層の触媒量、換言すれば、電極触媒層の層厚は、ロール周面に形成した凹部セルを満たすインク充填量で一律に規定される。このため、電極触媒層の層厚が異なるMEAを得ようとするには、インク充填量を規定する凹部セルの深さが相違する塗工ロールに交換する必要があった。こうしたことから、触媒インクのインク充填量の多様化に対処可能なMEAの製造手法が要請されるに到った。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、膜電極接合体の製造装置が提供される。この膜電極接合体の製造装置は、電解質膜と電極触媒層の膜電極接合体の製造装置であって、ロール周面上に凹部を備え、ロール周面に送られた帯状シートを前記凹部の底壁の側に吸引する吸引部を有する塗工ロールと、該塗工ロールに向き合って配設され、前記凹部の底壁の側に吸引されて凹状となった前記帯状シートの凹状部位に、前記電解質膜に接合される前記電極触媒層の形成のための触媒インクを塗工するインク塗工機構とを備える。
この形態の膜電極接合体の製造装置では、凹部の底壁の側に帯状シートを吸引して、凹部において帯状シートを凹状とする。こうして凹状となった帯状シートの凹状部位は、帯状シートを凹部の底壁の側に吸引する力や帯状シートのシート厚さ、シート材質を変えることで、多様な深さとなる。よって、この形態の膜電極接合体の製造装置によれば、帯状シートの凹状部位の深さに合わせた触媒インクの塗工を行うことで触媒インクのインク充填量の多様化を図って、電極触媒層の層厚が異なる膜電極接合体を容易に製造できる。この際、塗工ロールの交換といった繁雑な作業は無用となる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、膜電極接合体の製造方法や、膜電極接合体を有する燃料電池の製造装置や製造方法の形態で実現することができる。
図1は本発明の実施形態の膜電極接合体製造装置100の全体構成を膜電極接合体10の形成の過程と共に概略的に示す説明図である。膜電極接合体製造装置100は、制御部110に加え、カソード装着セクション200と、アノード装着セクション300と、切断セクション400とを備え、これらセクションを経由することで、膜電極接合体10を製造する。
膜電極接合体10は、切断セクション400における凹状切断刃402と凸状切断刃404による切断を経て、帯状シートの形態から矩形形状とされる。切断で得られた膜電極接合体10は、図1の拡大図に示すように、電解質膜14の両膜面に電極触媒層たるカソード触媒層12とアノード触媒層16とを接合して構成される。この膜電極接合体10は、アノード触媒層16にバックシートBS3が接合したままであり、図示しない燃料電池製造時には、バックシートBS3が取り除かれる。なお、カソード触媒層12とアノード触媒層16とが形成済みの帯状の電解質膜シートを、切断セクション400による切断を行わないでロール状に巻き取り、燃料電池製造ラインに搬入することもできる。
図2はカソード装着セクション200の概略構成を示す説明図である。カソード装着セクション200は、搬送ローラー対202と、塗工ロール210と、塗工ダイ220と、搬送ローラー230と、乾燥用ヒータ235と、転写ローラー240と、転写補助ローラー250と、搬出搬送ローラー260とを備え、これらローラーで帯状のバックシートBS1を搬送する間に、バックシートBS1へのカソード触媒層12の間欠形成と、電解質膜シート14Sへのカソード触媒層12の転写を連続的に行う。なお、図2における各機器の図示の様子は、実際の機器寸法を示しているものではない。図2以降においても同様である。
搬送ローラー対202は、駆動ローラー対として構成され、バックシートBS1を、テンションを掛けつつ塗工ロール210に送り出し搬送する。バックシートBS1は、カソード触媒層12から剥離可能とされ、既存の適宜材料、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ETFE(4フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂)等のポリエステル系、ポリスチレン等の高分子シートによって形成される。そして、バックシートBS1は、後述の電解質膜シート14Sとほぼ同じ幅とされ、20〜100μmのシート厚とされている。
塗工ロール210は、塗工ダイ220と協働してバックシートBS1にカソード触媒層12を形成するカソード装着セクション200における基幹ロールである。図3は塗工ロール210の構成を斜視にて概略的に示す説明図である。塗工ロール210は、駆動ロールとして構成され、図2および図3に示すように、ロール周面上に複数の凹部212を備える。凹部212は、バックシートBS1にカソード触媒層12を間欠形成するための凹部であり、塗工ロール210のロール周面上に当ピッチで同じ深さ(例えば、100μm)で形成されている。塗工ロール210のロール軸方向の凹部212の開口幅と塗工ロール210のロール軸回りの凹部212の開口幅は、カソード触媒層12の矩形形状を規定し、塗工ロール210のロール軸方向の凹部212の開口幅は、バックシートBS1のシート幅より狭くされている。
塗工ロール210は、それぞれの凹部212の底壁213に、複数列の吸引孔214を備え、各列の吸引孔214を、ロール側面から形成された吸引経路215に接続させている。その上で、塗工ロール210は、吸引経路215を吸引機217に接続しているので、吸引機217(図2参照)の吸引駆動により、凹部212における空気を吸引する。よって、吸引孔214と吸引経路215と吸引機217は、塗工ロール210のロール周面に送られた帯状シートたるバックシートBS1を凹部212の底壁213の側に吸引する吸引部を構成する。空気吸引の様子については、カソード触媒層12の形成の様子と合わせて後述する。
塗工ダイ220は、塗工ロール210に向き合って配設され、白金等の触媒を担持した触媒担持カーボン粒子と、電解質膜樹脂と同質の固体高分子であるアイオノマーとを分散させた触媒インクを、制御部110の制御を受けて間欠的に塗工する。よって、この塗工ダイ220と当該塗工ダイに触媒インクを供給する機械機器がインク塗工機構を構成する。触媒インクは、所定のせん断粘度、例えば20〜300mPa・sに調整されて、塗工ダイ220に供給される。塗工ダイ220からの触媒インク塗工については、カソード触媒層12の形成の様子と合わせて後述する。
搬送ローラー230は、乾燥用ヒータ235と向き合って配置され、塗工ロール210から転写ローラー240に到る間のシート、詳しくは、カソード触媒層12が間欠形成済みのバックシートBS1を搬送する。乾燥用ヒータ235は、制御部110の制御を受けて発熱し、バックシートBS1に間欠形成済みのカソード触媒層12をシート搬送の間に乾燥する。
転写ローラー240は、転写補助ローラー250と向き合って配設され、転写補助ローラー250は、帯状の電解質膜シート14Sを帯状のバックシートBS2に積層した状態で送り出し搬送する。バックシートBS2は、既述したバックシートBS1と同様、PET等の高分子シートである。電解質膜シート14Sは、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す固体高分子の薄膜(高分子膜)の帯状シートである。
転写ローラー240と転写補助ローラー250は、共に駆動ローラーとして構成され、バックシートBS2に積層した電解質膜シート14Sに、バックシートBS1に間欠形成済みのカソード触媒層12を押し付けて転写する。バックシートBS1は、カソード触媒層12の転写に伴い、転写ローラー240の下流においてカソード触媒層12から剥離され、図示しない巻取ローラーにより巻き取られる。搬出搬送ローラー260は、電解質膜シート14Sにカソード触媒層12を転写した状態で、バックシートBS2ごと、電解質膜シート14Sをアノード装着セクション300に送り出す。
図4はアノード装着セクション300の概略構成を示す説明図である。アノード装着セクション300は、カソード装着セクション200と同様、搬送ローラー対302と、塗工ロール310と、塗工ダイ320と、搬送ローラー330と、乾燥用ヒータ335と、転写ローラー340と、転写補助ローラー350とを備え、これらローラーで帯状のバックシートBS3を搬送する間に、バックシートBS3へのアノード触媒層16の間欠形成と、電解質膜シート14Sへのアノード触媒層16の転写を連続的に行う。なお、アノード装着セクション300は、カソード触媒層12に代えてアノード触媒層16の形成と転写を行うことから、カソード装着セクション200とほぼ同じ構成を有する。
搬送ローラー対302は、搬送ローラー対202と同様、バックシートBS3をテンションを掛けて塗工ロール310に送り出し搬送する。バックシートBS3は、既述したバックシートBS1と同様、PET等の高分子シートである。塗工ロール310は、塗工ダイ320と協働してバックシートBS3にアノード触媒層16を形成するアノード装着セクション300における基幹ロールであり、塗工ロール210と同様に、ロール周面上に複数の凹部312を備える。凹部312は、バックシートBS3にアノード触媒層16を間欠形成するための凹部であり、塗工ロール310のロール周面上に当ピッチで同じ深さで形成されている。また、塗工ロール310は、塗工ロール210と同様、凹部312の底壁313に形成した複数列の吸引孔314を吸引経路315に接続させ、吸引機317の吸引駆動により、凹部312における空気を吸引する。空気吸引の様子および塗工ロール210と塗工ロール310の相違点については、後述する。
塗工ダイ320は、塗工ロール310に向き合って配設され、塗工ダイ220と同様、触媒担持カーボン粒子とアイオノマーとを分散させた触媒インクを、制御部110の制御を受けて間欠的に塗工する。塗工ダイ320からの触媒インク塗工については、アノード触媒層16の形成の様子と合わせて後述する。
搬送ローラー330は、乾燥用ヒータ335と向き合って配置され、塗工ロール310から転写ローラー340に到る間のシート、詳しくは、アノード触媒層16が間欠形成済みのバックシートBS3を搬送する。乾燥用ヒータ335は、制御部110の制御を受けて発熱し、バックシートBS3に間欠形成済みのアノード触媒層16をシート搬送の間に乾燥する。
転写ローラー340は、転写補助ローラー350と向き合って配設され、アノード触媒層16が間欠形成済みのバックシートBS3を送り出し搬送する。転写補助ローラー350は、シート剥離ローラー345でバックシートBS2が剥離された状態の電解質膜シート14S、即ち一方のシート面にカソード触媒層12が間欠形成済みの電解質膜シート14Sを送り出し搬送する。転写ローラー340と転写補助ローラー350は、共に駆動ローラーとして構成され、一方のシート面にカソード触媒層12が間欠形成済みの電解質膜シート14Sの他方のシート面に、バックシートBS3に間欠形成済みのアノード触媒層16を押し付けて転写する。これにより、両シート面にカソード触媒層12とアノード触媒層16とが間欠形成された電解質膜シート14Sが得られ、この電解質膜シート14Sは、バックシートBS3がアノード触媒層16に密着した状態で、切断セクション400(図1参照)に送り出し搬送され、既述したように膜電極接合体10に切断加工される。
ここで、塗工ロール210と塗工ロール310との相違について説明する。図5は塗工ロール210と塗工ロール310とを対比して示す説明図である。図示するように、塗工ロール210と塗工ロール310は同径であり、塗工ロール210の凹部212と塗工ロール310の凹部312とは、深さとピッチは同じであるものの、ロール軸回りの開口幅が相違する。つまり、凹部312のロール軸回りの開口幅を規定する開口角度θ2は、凹部212の開口角度θ1より大きくされているので、凹部312のロール軸回りの開口幅は、凹部212のロール軸回りの開口幅より大きい。また、図3に示した凹部212のロール軸方向の開口幅より、凹部312のロール軸方向の開口幅は大きくされている。その一方、バックシートBS1とバックシートBS3とは、シート幅が同じとされている。よって、凹部312を用いてバックシートBS3に形成したアノード触媒層16の矩形形状は、凹部212を用いてバックシートBS1に形成したカソード触媒層12より縦・横とも長くなる。この様子は、図4に示されており、転写ローラー340と転写補助ローラー350により電解質膜シート14Sに転写されたアノード触媒層16は、電解質膜シート14Sに転写済みのカソード触媒層12より、搬送方向に沿った長さ(形成長さ)が長くなっている。より詳しく説明すると、アノード触媒層16は、電解質膜シート14Sに転写済みのカソード触媒層12と電解質膜シート14Sを隔てて向かい合い、搬送前方および搬送後方の側と図4における紙面前後の側において、カソード触媒層12より長く形成されている。
制御部110は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、図示しない開始スイッチの操作を受けて、上記したカソード装着セクション200やアノード装着セクション300における各駆動機器を駆動制御する。具体的には、制御部110は、塗工ロール210と塗工ロール310を回転制御しつつ、吸引機217や吸引機317における空気の吸引制御を行うと共に、塗工ロール回転と空気吸引に同期した塗工ダイ220或いは塗工ダイ320からの触媒インクの塗工制御を行い、バックシートBS1へのカソード触媒層12の間欠形成、バックシートBS3へのアノード触媒層16の間欠形成を行う。これに加え、制御部110は、カソード装着セクション200における転写ローラー240と転写補助ローラー250の駆動制御を経た、電解質膜シート14Sへのカソード触媒層12の転写を行いつつ、カソード装着セクション200からのカソード触媒層12の形成済みバックシートBS1の搬送速度と、アノード装着セクション300におけるアノード触媒層16の形成済みバックシートBS3の搬送速度との調整を経て、カソード触媒層12の形成済みバックシートBS1へのアノード触媒層16の転写を行う。この他、制御部110は、乾燥用ヒータ235や乾燥用ヒータ335の温度制御を経たカソード触媒層12やアノード触媒層16の乾燥を行う。
次に、本実施形態の膜電極接合体製造装置100における触媒層形成の様子について説明する。なお、アノード触媒層16は、カソード触媒層12と同様にして形成されるので、以下の説明に当たってカソード触媒層12を形成する様子について説明する。図6は凹部212における空気を一定圧で吸引した場合のバックシートBS1の挙動をシート膜厚に関連付けて示す説明図である。図6と後述の図7では、説明の便宜上、塗工ロール210のロール周面を平面に展開した状態で、凹部212やバックシートBS1を示し、塗工ロール210を静止して塗工ダイ220を塗工ロール210に対して移動させることとし、これにより、回転する塗工ロール210に対して静止している塗工ダイ220が触媒インクを塗工することを擬製している。
図6の上段に示すように、塗工ロール210における凹部212の空気を吸引孔214および吸引経路215を経て吸引すると、バックシートBS1は、吸引力を受けて凹部212に沈み込み、シート一部部位の凹状部位BSbは、凹部212の深さ方向位置に位置する。凹部212は、ロール表面の角部212cを弧状に面取りしているので、シート沈み込みに伴うシート損傷を抑制する。
凹状部位BSbの凹部212の深さ方向位置は、凹部212の空気吸引圧が一定であることから、シート厚やシート材質に依存して定まる。図6の下段は、シート厚に応じたバックシートBS1の沈み込みの様子を示しており、バックシートBS1は、シート厚が薄いほど凹状部位BSbを凹部212の底壁213に近づける。そうすると、シート厚が相違するバックシートBS1ごとの空気吸引圧調整を、塗工ロール210からの触媒インクの塗工に伴って凹状部位BSbを底壁213の側に近づけるように作用する力(以下、インク圧と称する)とシート厚或いはシート材質を考慮して行うことと、シート厚やシート材質の異なるバックシートBS1への交換とにより、バックシートBS1の凹状部位BSbの深さに合わせた触媒インクのインク充填量の多様化を図って、カソード触媒層12の層厚が異なる膜電極接合体10を容易に製造できる。塗工ダイ220からのインク塗工により、触媒インクは、バックシートBS1の凹状部位BSbに既に接しているので、触媒インク塗工済みの凹状部位BSbが塗工ロール210の回転により凹部212から脱すれば、乾燥用ヒータ235での乾燥を経て、バックシートBS1にはカソード触媒層12が形成済みの状態となり、このカソード触媒層12の層厚は、図6の下段に示すように種々調整される。この際、例えばシート厚が薄いバックシートBS1を凹部212に吸引した状態において、塗工ダイ220からの触媒インクの塗工量を変えることでも、カソード触媒層12の層厚を調整できる。
図7は凹部212における空気吸引圧を変えた場合のバックシートBS1の挙動を空気吸引圧に関連付けて示す説明図である。図7に示すように、バックシートBS1の凹状部位BSbは、吸引を受けるバックシートBS1が同じであることから、空気吸引圧が大きいほど凹部212の底壁213に近づく。そうすると、空気吸引圧調整をインク圧を考慮して行うことにより、バックシートBS1の凹状部位BSbの深さに合わせた触媒インクのインク充填量の多様化を図って、カソード触媒層12の層厚が異なるようにできる。この際、例えば大きな空気吸引圧でバックシートBS1を凹部212に吸引した状態において、塗工ダイ220からの触媒インクの塗工量を変えることでも、カソード触媒層12の層厚を調整できる。
図6〜図7で用いた手法は、アノード装着セクション300の塗工ロール310におけるアノード触媒層16の形成にも適用できることから、アノード触媒層16についても、その層厚が異なるようにできる。
以上説明したように、膜電極接合体製造装置100によれば、バックシートBS1とバックシートBS3のシート厚やシート材質の変更、或いは凹部212と凹部312における空気吸引圧の調整、塗工ダイ220と塗工ダイ320からの触媒インクの塗工量の調整により、厚さが異なるカソード触媒層12とアノード触媒層16を有する膜電極接合体10を容易に製造できる。この際、塗工ロールの交換といった繁雑な作業は無用となるので、簡便である。
また、上記したカソード装着セクション200とアノード装着セクション300では、凹部212に倣って凹状となったバックシートBS1或いは凹部312に倣って凹状となったバックシートBS3に塗工ダイ220或いは塗工ダイ320から触媒インクを塗工する。よって、塗工された触媒インクは、凹状となったバックシートBS1やバックシートBS3により形が整えられてその後に乾燥に処されるので、低粘度の触媒インクを用いてカソード触媒層12やアノード触媒層16を間欠形成することができる。
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、バックシートBS1に積層済みの電解質膜シート14Sに、直接、カソード触媒層12を形成する点に特徴がある。図8は第2実施形態の膜電極接合体製造装置100Aの全体構成を膜電極接合体10の形成の過程と共に概略的に示す説明図である。第2実施形態の膜電極接合体製造装置100Aは、カソード装着セクション200Aにおけるカソード触媒層12の間欠形成対象が電解質膜シート14Sである点で相違し、アノード装着セクション300Aと切断セクション400とについては、既述した膜電極接合体製造装置100における各セクションとほぼ同様の構成を有する。
膜電極接合体製造装置100Aにおける切断セクション400は、凹状切断刃402と凸状切断刃404による切断を経て、矩形形状の膜電極接合体10を得る点で膜電極接合体製造装置100と同じである。ところが、アノード装着セクション300Aから送り出されるバックシートBS3と電解質膜シート14Sの積層が逆となることから、膜電極接合体製造装置100Aにおける切断セクション400では、切り刃構成が反転構成とされている。
図9はカソード装着セクション200Aの概略構成を示す説明図である。カソード装着セクション200Aは、搬送ローラー対202を始めとする塗工ロール210等をカソード装着セクション200と同じ構成で備える。そして、カソード装着セクション200Aは、図9における拡大図に示すように、搬送ローラー対202から塗工ロール210にバックシートBS1に積層済みの電解質膜シート14Sを搬送する。よって、塗工ロール210と塗工ダイ220とは、バックシートBS1に積層済みの電解質膜シート14Sに、凹部212においてカソード触媒層12を形成する。このカソード触媒層形成は、既述したように凹部212における空気吸引下においてなされ、カソード触媒層12は、電解質膜シート14Sに間欠形成される。つまり、カソード装着セクション200Aは、バックシートBS1に積層済みの電解質膜シート14Sを搬送する間に、電解質膜シート14Sにカソード触媒層12を間欠形成する。カソード触媒層12が形成済みの電解質膜シート14Sは、バックシートBS1に積層したまま搬送ローラー230と搬送ローラー232により搬送される間に、乾燥用ヒータ235の発する熱を受け、電解質膜シート14Sに間欠形成済みのカソード触媒層12がシート搬送の間に乾燥される。カソード触媒層12が乾燥済みの電解質膜シート14Sは、バックシートBS1に積層したまま、搬送ローラー232と搬出搬送ローラー260により搬送向きを変えながらアノード装着セクション300Aに送り出し搬送される。
図10はアノード装着セクション300Aの概略構成を示す説明図である。アノード装着セクション300Aは、搬送ローラー対302を始めとする塗工ロール310等をアノード装着セクション300と同様に備えるが、カソード装着セクション200Aからの電解質膜シート14Sの搬送方向が逆のため、搬送ローラー対302を始めとする塗工ロール310等をアノード装着セクション300に対してミラー反転の並びで備える。そして、アノード装着セクション300Aは、アノード装着セクション300と同様、塗工ロール310と塗工ダイ320とにより、バックシートBS3に、凹部312においてアノード触媒層16を形成する。このアノード触媒層形成は、既述したように凹部312における空気吸引下においてなされ、アノード触媒層16は、バックシートBS3に間欠形成されて、バックシートBS3を介して転写ローラー340と転写補助ローラー350とに搬送される。
アノード装着セクション300Aは、カソード装着セクション200Aから転写補助ローラー350に、カソード触媒層12が間欠形成済みで且つバックシートBS1に積層した電解質膜シート14Sの搬送を受ける。よって、アノード装着セクション300Aは、シート剥離ローラー345でバックシートBS1が剥離された状態でカソード触媒層12が間欠形成済みの電解質膜シート14Sの他方のシート面に、バックシートBS3に間欠形成済みのアノード触媒層16を、転写ローラー340と転写補助ローラー350とにより押し付けて転写する。これにより、両シート面にカソード触媒層12とアノード触媒層16とが間欠形成された電解質膜シート14Sが得られ、この電解質膜シート14Sは、バックシートBS3がアノード触媒層16に密着した状態で、切断セクション400(図8参照)に送り出し搬送され、既述したように膜電極接合体10に切断加工される。
以上説明したようにバックシートBS1に積層済みの電解質膜シート14Sにカソード触媒層12を直接形成する膜電極接合体製造装置100Aによっても、既述した効果を奏することができる。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
既述した実施形態では、カソード触媒層12が間欠形成済みの電解質膜シート14Sにアノード触媒層16を間欠形成したが、これに限らない。例えば、カソード触媒層12が間欠形成済みの電解質膜シート14Sに塗工ダイ320から直接、アノード触媒層をシート長手方向に沿って帯状に形成してもよい。この場合には、電解質膜シート14Sが塗工ダイ320による触媒インク塗工位置に達する手前の時点で、間欠形成済みのカソード触媒層12の側にバックシートを貼り付けておけばよい。
既述した実施形態では、電解質膜シート14Sへのカソード触媒層12の間欠形成を図るカソード装着セクション200と、カソード触媒層12が間欠形成済みの電解質膜シート14Sにアノード触媒層16を転写するアノード装着セクション300および切断セクション400を備える形態としたが、これに限らない。例えば、カソード装着セクション200或いはカソード装着セクション200Aのみを備える構成として、カソード触媒層12が間欠形成済みのバックシートBS1や電解質膜シート14Sを巻き取り、その巻き取ったバックシートBS1や電解質膜シート14Sを燃料電池製造ラインに搬入するようにしてもよい。アノード装着セクション300或いはアノード装着セクション300Aについても、アノード触媒層16が間欠形成済みのバックシートBS2を巻き取り、その巻き取ったバックシートBS2を燃料電池製造ラインにおけるアノード転写機構に搬入するようにしてもよい。
既述した実施形態では、凹部212を角部212cが弧状面取りされた凹部としたが、これに限らない。図11は塗工ロール210における凹部212の他の形態を例示する説明図である。図示するように、凹部212を、凹部側壁をテーパー状とした凹部としたり(図11(A)参照)、凹部側壁の開口部位をテーパー状とした凹部としたりできる(図11(B)参照)。こうすれば、凹部212に倣って凹状となったバックシートBS1の凹状部位に塗工された触媒インクの凹状部位からのはみ出しを抑制できると共に、バックシートBS1やバックシートBS3の損傷抑制に有益となる。
既述した実施形態では、吸引孔214を介して凹部212を吸引したが、凹部212の底壁213の部位を多孔質材として吸引経路215から吸引してもよい。こうすれば、凹部212の各部位を均等に吸引できるので、バックシートBS1における凹状部位BSbの形状安定化に有益となる。
10…膜電極接合体
12…カソード触媒層
14…電解質膜
14S…電解質膜シート
16…アノード触媒層
100、100A…膜電極接合体製造装置
110…制御部
200、200A…カソード装着セクション
202…搬送ローラー対
210…塗工ロール
212…凹部
212c…角部
213…底壁
214…吸引孔
215…吸引経路
217…吸引機
220…塗工ダイ
230…搬送ローラー
232…搬送ローラー
235…乾燥用ヒータ
240…転写ローラー
250…転写補助ローラー
260…搬出搬送ローラー
300、300A…アノード装着セクション
302…搬送ローラー対
310…塗工ロール
312…凹部
313…底壁
314…吸引孔
315…吸引経路
317…吸引機
320…塗工ダイ
330…搬送ローラー
335…乾燥用ヒータ
340…転写ローラー
345…シート剥離ローラー
350…転写補助ローラー
400…切断セクション
402…凹状切断刃
404…凸状切断刃
BS1、BS2、BS3…バックシート
BSb…凹状部位
12…カソード触媒層
14…電解質膜
14S…電解質膜シート
16…アノード触媒層
100、100A…膜電極接合体製造装置
110…制御部
200、200A…カソード装着セクション
202…搬送ローラー対
210…塗工ロール
212…凹部
212c…角部
213…底壁
214…吸引孔
215…吸引経路
217…吸引機
220…塗工ダイ
230…搬送ローラー
232…搬送ローラー
235…乾燥用ヒータ
240…転写ローラー
250…転写補助ローラー
260…搬出搬送ローラー
300、300A…アノード装着セクション
302…搬送ローラー対
310…塗工ロール
312…凹部
313…底壁
314…吸引孔
315…吸引経路
317…吸引機
320…塗工ダイ
330…搬送ローラー
335…乾燥用ヒータ
340…転写ローラー
345…シート剥離ローラー
350…転写補助ローラー
400…切断セクション
402…凹状切断刃
404…凸状切断刃
BS1、BS2、BS3…バックシート
BSb…凹状部位
Claims (1)
- 電解質膜と電極触媒層の膜電極接合体の製造装置であって、
ロール周面上に凹部を備え、ロール周面に送られた帯状シートを前記凹部の底壁の側に吸引する吸引部を有する塗工ロールと、
該塗工ロールに向き合って配設され、前記凹部の底壁の側に吸引されて凹状となった前記帯状シートの凹状部位に、前記電解質膜に接合される前記電極触媒層の形成のための触媒インクを塗工するインク塗工機構とを備える、膜電極接合体の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016007142A JP2017130272A (ja) | 2016-01-18 | 2016-01-18 | 膜電極接合体の製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016007142A JP2017130272A (ja) | 2016-01-18 | 2016-01-18 | 膜電極接合体の製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017130272A true JP2017130272A (ja) | 2017-07-27 |
Family
ID=59394946
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016007142A Pending JP2017130272A (ja) | 2016-01-18 | 2016-01-18 | 膜電極接合体の製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017130272A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110336046A (zh) * | 2019-07-12 | 2019-10-15 | 深圳市信宇人科技股份有限公司 | 氢燃料电池ccm膜电极的双辊转印涂布方法 |
-
2016
- 2016-01-18 JP JP2016007142A patent/JP2017130272A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110336046A (zh) * | 2019-07-12 | 2019-10-15 | 深圳市信宇人科技股份有限公司 | 氢燃料电池ccm膜电极的双辊转印涂布方法 |
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