ところで、上述した従来の採血業務支援システムでは、被採血者を受け付ける毎に、該被採血者の採血情報を採血管準備装置へ送信し、該採血管準備装置で、各採血者毎の採血管を収容したトレイを順次発行することから、複数の被採血者を受け付けた場合には、受け付けた人数分のトレイを順次発行してストックする。そのため、例えば、多数の被採血者を受け付けると、採血管準備装置で、採血待ちのトレイが山積みされてしまう。これは、被採血者一人当たりの採血作業にある程度の時間を費やすこと、および被採血者毎で採血作業の時間が異なる場合も多いことに因り、採血作業の作業スピードよりも、被採血者の増加スピードが速い場合に、前記のように採血管準備装置でトレイが山積みされる。そして、山積みされたトレイは、採血作業者がこれから実施しなければならない作業量を示すものであることから、この山積みされたトレイを認識し得る採血作業者には、大きな精神的な負荷がかかる傾向にある。特に、採血作業者が少数の場合には、こうした精神的な負荷が一層大きくなり易い。こうした採血作業者における精神的な負荷が増大すると、作業ミスなどの発生が懸念されることから、該精神的な負荷を可及的に抑制することが希求される。
また、従来の採血業務支援システムでは、上述したように、被採血者を受け付けると直ぐに該被採血者の採血情報を採血管準備装置へ送信して、受け付けた全ての被採血者の採血管を発行する。そのため、かかる従来システムでは、被採血者を受け付けた後に、当該被採血者に対して新たな採血情報が発生すると、当該採血情報を採血管準備装置へ送信して、新たに採血管を発行するようにしている。しかしながら、この場合には、先に受け付けた時点でトレイ(採血管)を発行していることから、同一の被採血者に対して複数のトレイを発行することになり、各トレイの位置も異なってしまう。そのため、採血作業者は、被採血者に対する採血作業を行うときに、後から発行されたトレイ(採血管)を探さねばならず、採血作業に手間がかかるという問題があった。
本発明は、上述した問題を解決するためのものであり、採血作業者の精神的な負荷を抑制し得ると共に、採血業務を効率化し得る採血業務支援システムを提供することを目的とするものである。
本発明は、被採血者の採血情報が記憶された外部記憶装置に接続され、該外部記憶装置から該被採血者の採血情報を取得する採血管理装置と、該採血管理装置に接続され、該採血管理装置から被採血者の採血情報を受信すると、該採血情報に基づいて該被採血者の識別情報を印字した採血ラベルを発行するラベル発行手段を備えた採血準備装置と、前記採血管理装置に接続され、被採血者の識別情報の入力に伴って該採血管理装置から該被採血者の採血情報を取得する採血作業端末とを備えた採血業務支援システムにおいて、前記採血作業端末は、予め設定された要求条件の成立に伴って、新たな採血情報の送信を要求する要求信号を採血管理装置へ送信する信号出力手段を備え、前記採血管理装置は、被採血者の採血順序を定める採血順設定手段と、前記外部記憶装置から取得した被採血者の採血情報を記憶保持する情報記憶手段と、前記採血作業端末から要求信号を受信する毎に、採血順序に従って該情報記憶手段から採血情報を採血準備装置へ送信する発行制御手段とを備えていることを特徴とする採血業務支援システムである。
上記の本発明の採血業務支援システムにあって、採血準備装置は、ラベル発行手段により発行した採血ラベルを、採血管に貼付して、採血管を被採血者毎に一のトレイに収容して発行する採血管発行手段を備えている構成が提案される。尚ここで、採血準備装置の採血管発行手段により発行された、トレイに採血管を収容して一セットとしたものを、以下、採血用トレイという。
かかる構成にあって、採血管理装置は、被採血者を受付しても、直ぐに該被採血者の採血情報を採血準備装置へ送信せずに記憶し、採血作業端末から要求信号を受信した場合に、該採血情報を採血準備装置へ送信する。これにより、採血準備装置で発行されてストックされる採血用トレイの数を調整することができ、該採血準備装置で多数の採血用トレイが山積みされてしまうことを抑制できる。このように採血準備装置で多数の採血用トレイが山積みされないことによって、採血作業者の精神的な負担を軽減することができ、さらに該負担の軽減によって採血作業者の作業能率を向上できる。
さらに、採血管理装置は、採血作業端末から要求信号があるまで、記憶した被採血者の採血情報を採血準備装置へ送信しないことから、外部記憶装置から取得した被採血者の採血情報を採血準備装置に送信する前であれば、当該被採血者の新たな採血情報が発生した場合に、これらを一の採血情報にまとめて採血準備装置へ送信することができる。そのため、上述した従来構成のように同一の被採血者に対して複数の採血用トレイが発行されてしまうことを、可及的に抑制でき、該複数のトレイの発行による作業効率の低下を抑制できる。したがって、採血業務の効率化に寄与できる。
尚ここで、採血準備装置が採血管発行手段を備えていない構成である場合には、通常、ラベル発行手段で発行した採血ラベルを、採血作業者が自ら手作業で採血管に貼付する作業を行う。こうした採血ラベルのみを発行する本発明の構成にあっては、採血ラベルの発行数を調整できることから、上述した採血用トレイの場合と同様に、採血ラベルが山積みされてしまうことを抑制できるため、採血作業者の精神的な負担を軽減でき、作業能率を向上できる。
上述した本発明の採血業務支援システムにあって、採血作業端末は、採血作業者の採血作業従事を示す信号を入力する作業従事入力手段を備え、信号出力手段の要求条件が、該作業従事入力手段での該信号入力に基づいて成立する条件である構成が提案される。
ここで、作業従事入力手段としては、採血作業者によって入力操作可能な構成や、自動的に入力する構成などが好適に用い得る。前者の構成には、採血作業者により操作されるスイッチ(例えば、ボタンやタッチパネルなど)や、光学コード等の読取機器などが用いられ、該スイッチ操作や読取機器の操作により所定の信号を入力する。後者の構成には、非接触で通信可能なものが用いられ、該通信により所定の信号を入力する。
かかる構成にあっては、採血作業者が採血作業に従事すると、要求信号を送信することから、該要求信号に従って採血準備装置へ被採血者の採血情報が送信されて、該採血準備装置で採血管を収容した採血用トレイ(又は採血ラベル)が新たに発行される。そのため、採血作業者が採血作業に従事していない状態では、採血準備装置で採血管が発行されないと共に、複数の採血作業者が従事する状態では、新たな採血作業者が採血作業に従事する毎に採血準備装置で新たな採血管の発行が行われる。このように、かかる本構成によれば、採血作業者の作業従事に従って新たな採血管が発行されることから、採血用トレイ(又は採血ラベル)のストック数が増大することを抑制できることに加え、該採血管の発行が遅れて採血作業が遅滞することも防止できるため、採血作業を効率的に進めることができる。
上述した本発明の採血業務支援システムにあって、採血作業端末は、採血作業者によって被採血者一人に対する採血作業開始または完了の入力操作が可能な採血作業入力手段を備え、信号出力手段の要求条件が、該採血作業入力手段での採血作業開始または完了の入力により成立する条件である構成が提案される。
ここで、採血作業入力手段としては、採血作業を開始したとき又は完了したときに、採血作業者により操作されるスイッチ(例えば、ボタンやタッチパネルなど)が好適に用いられる。又は、採血作業を開始する際に、採血管の採血ラベルに印字された被採血者の識別情報を読み取る装置を、採血作業入力手段として構成することも可能である。
かかる構成にあっては、被採血者に対する採血作業の開始または完了を、採血準備装置で新たな採血用トレイ(又は採血ラベル)を発行する契機としたものであり、採血作業の作業スピードに合わせるようにして採血用トレイ(又は採血ラベル)の発行を行うことができる。そのため、採血準備装置で採血用トレイ(又は採血ラベル)のストック数が増大することを抑制できることに加え、該採血管の発行が遅れて採血作業が遅滞することも防止できるため、採血作業を一層効率的に進めることができる。
上述した本発明の採血業務支援システムにあって、採血作業端末は、採血作業者によって被採血者不在の入力操作が可能な不在入力手段を備え、信号出力手段の要求条件が、該不在入力手段での不在入力により成立する条件である構成が提案される。
ここで、不在入力手段としては、採血作業者により操作されるスイッチ(例えば、ボタンやタッチパネルなど)が好適に用いられる。また、被採血者不在とは、採血作業者により採血作業が行われる際に、被採血者が不在であることを示す。
かかる構成にあっては、被採血者不在を、採血準備装置で新たな採血用トレイ(又は採血ラベル)を発行する契機としたものであり、不在の被採血者を後回しにして次の被採血者に採血作業を行う場合に、新たな採血用トレイの発行を行う。これにより、不在の被採血者を待っていることで採血作業が滞ってしまうことを防止でき、採血作業の効率的な進行を維持できる。尚、不在の被採血者が戻ってきた場合には、当該被採血者の採血作業を行うことから、採血用トレイ(又は採血ラベル)の発行を一回中止して、採血用トレイのストック数を調整することが好適である。
上述した本発明の採血業務支援システムにあって、発行制御手段は、採血情報の送信により発行済みで且つ採血作業で使用される前の採血ラベルの待機発行数が、所定の上限数を超えないように、該採血情報を送信制御する処理内容を備えている構成が提案される。
ここで、採血管の待機発行数とは、採血準備装置で発行され且つ採血作業に未使用の採血用トレイ(又は採血ラベル)の数(所謂、採血準備装置でのストック数)、又は採血準備装置で発行され且つ採血作業を完了していない採血用トレイ(又は採血ラベル)の数として設定できる。また、待機発行数の上限数としては、固定値として設定しても良いし、作業現場の状況に応じて変化する値として設定しても良い。後者の場合には、採血作業に従事している採血作業者の人数に応じて夫々設定された複数の値のなかから、選択して使用するようにした構成が好適に用い得る。
かかる構成にあっては、採血準備装置で、上限数を超える多数の採血用トレイ(又は採血ラベル)が山積みされることを防止できるため、採血作業者の精神的な負担を軽減して作業能率を向上するという、上述した本発明の作用効果が一層安定して発揮され得る。また、上述したように、採血作業者の人数に応じて上限数が設定された場合には、採血作業者により順次作業消化される数と、採血準備装置でストックされる採血用トレイ(又は採血ラベル)の数とが、バランス良く保たれることから、採血作業を一層効率的に進め得る。さらに、被採血者が待機する外待合と内待合とを設けた病院においては、送信数を調整することで定まる待機発行数に従って、外待合で待機する被採血者を内待合へ呼び出すようにすれば、内待合での被採血者の待機時間を可及的に少なくできるため、内待合での被採血者のストレス軽減に寄与できるという優れた利点も有する。
上述した本発明の採血業務支援システムにあって、被採血者の採血情報に含まれる準備情報を、採血作業者に報知する準備情報報知手段を備え、採血管理装置は、情報記憶手段で記憶保持した被採血者の採血情報が前記準備情報を含むものであると、該準備情報に応じた報知タイミングで、該被採血者の準備情報を前記準備情報報知手段へ送信することにより、該準備情報報知手段で該準備情報を報知させる準備情報送信処理を備えている構成が提案される。
ここで、準備情報は、外部記憶装置から取得した被採血者の採血情報に含まれているものであっても良いし、情報記憶手段に記憶保持されている被採血者の採血情報に、新たに登録されるものであっても良い。後者の場合には、例えば、採血作業端末で準備情報を入力可能として、前記のように新たに登録できる構成や、採血作業端末以外の機器で準備情報を入力可能とする構成が適用される。また、準備情報としては、採血情報に含まれる被採血者毎の情報であり、採血作業の実施に必要な準備を示す情報として設定され得る。例えば、採血作業の前に、採血部位(腕など)を事前に温める処置や、耳朶検査(止血時間測定)をしたり、特殊な採血針を準備するなどが、前記準備情報として設定される。また、準備情報報知手段としては、採血作業端末のモニタで被採血者の採血準備情報を表示するようにした構成や、該採血作業端末に接続されたプリンタや採血準備装置で被採血者の準備情報を印字したラベル又は用紙を出力するようにした構成が好適に用いられる。また、報知タイミングとしては、時間単位や採血順序などにより設定可能であり、採血準備情報の内容に応じて適宜設定しても良いし、一律のタイミングに設定しても良い。具体的には、採血順序に従って被採血者の採血情報を送信する所定人数前の時点としたり、被採血者の採血情報を送信する予定時間を算出し、該予定時間よりも所定時間前の時点などに設定することが好適である。
かかる構成にあっては、採血作業に関する準備情報を採血作業者が知得できることにより、該準備情報に応じた準備や事前処置を該採血作業前に実行でき、該採血作業を効率的かつ円滑に進めることが可能である。さらに、採血作業前の事前処置などを採血場所と異なる場所で行う場合もあるが、こうした場合には、被採血者を当該場所に適宜誘導することが可能である。このように、本構成によれば、準備情報に応じた準備や事前処置を採血作業前に実行できることから、該準備や事前処置により採血作業が滞ってしまうことを抑制でき、効率的かつ円滑に採血作業を進めることができる。特に、採血用トレイ(又は採血ラベル)の発行前に、前記準備や事前処置を必要とする場合にあっても、本構成によれば、対応できることから、採血作業の効率的な進行を安定して保ち得る。したがって、採血作業前の準備や事前処置等を採血作業前に実施できるため、被採血者の待ち時間を有効利用でき、該待ち時間の増加による該被採血者のストレスを緩和できると共に、採血作業の業務負担も軽減できる。
尚、本構成にあって、準備情報に従って順番待ちの被採血者を誘導する誘導手段を備えた構成が好適である。かかる誘導手段としては、例えば、被採血者の待合場所に設置したモニタに、準備情報に応じて該被採血者を誘導する画像を表示する構成を適用できる。こうした誘導手段を備えることによって、採血作業者の作業負担を一層軽減できる。
上述した本発明の採血業務支援システムにあって、採血管理装置に接続され、被採血者の準備情報が入力されることによって該準備情報を該採血管理装置へ送信する準備情報入力手段を備え、採血管理装置は、前記準備情報入力手段から被採血者の準備情報を受信すると、情報記憶手段に記憶されている当該被採血者の採血情報に、当該準備情報を登録する準備情報登録処理を備えている構成が提案される。
ここで、準備情報入力手段は、採血作業端末や、採血の受付を行う受付端末などとしたものが好適である。前者の場合には、採血作業者により入力操作される構成のものが適用でき、後者の場合には、被採血者または受付作業に従事する者(窓口スタッフなど)により入力操作される構成のものが適用できる。そして、準備情報入力手段は、入力操作可能なスイッチ(例えば、ボタンやタッチパネルなど)を備えたものが好適である。
かかる構成によれば、採血作業に要する準備情報を入力することができることから、該準備情報を報知することによって、準備や事前処置を該採血作業前に実行でき、該採血作業を効率的かつ円滑に進めることが可能である。また、準備情報を入力した場合には、該準備情報を被採血者固有のものとして記憶保持できることから、次回以降で採血作業を行う際に、該準備情報を利用できる。
本発明の採血業務支援システムによれば、採血準備装置で発行する採血用トレイ(又は採血ラベル)の数を調整することができ、多数の採血用トレイ(又は採血ラベル)が山積みされてしまうことを抑制できることから、該山積みによって生じ得る採血作業者の精神的な負担を軽減できる。これにより、採血作業者の作業能率を向上できることから、採血業務を従来よりも効率化できる。
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
本実施例の採血業務支援システム1は、病院において被採血者(患者)の採血業務を支援するためのものであり、病院内に設置される。図1に示すように、採血業務支援システム1は、採血管理装置2と、受付端末3と、採血管準備装置5と、誘導案内表示装置6と、複数の採血作業端末7とを備えてなる。採血管準備装置5と採血作業端末7とは、採血室に設置され、受付端末3は、被採血者が受付手続きをする受付場所に設置され、誘導案内表示装置6は、受付手続きを済ませた被採血者が待機する外待合場所に設置される。採血管理装置2の設置場所は、特に限定されないが、採血室や受付場所の近辺が好適である。
採血室にあっては、採血作業を行う採血台が複数配設された採血場所と、採血を待つ被採血者が待機する内待合場所とを備えている。そして、採血場所に配設された複数の採血台に、上記の採血作業端末7が夫々設置されており、各採血台で採血作業を行う採血作業者が、採血作業端末7を使用する。
被採血者の採血までの流れとしては、被採血者が、受付場所で採血の受け付けを済ませた後に、外待合場所で待機する。そして、誘導案内表示装置6での案内があると、採血室内の内待合場所で待機し、順番になると、採血台で採血される。
採血業務支援システム1の採血管理装置2は、該採血業務支援システム1の根幹をなすものであり、管理サーバ11とデータベース12とにより構成されている。管理サーバ11とデータベース12とは、通信ケーブルを介してデータ通信を行うように設けられており、該管理サーバ11は、院内LANを介して上位システムS(電子カルテシステム)と接続されている。さらに、採血管理装置2の管理サーバ11は、通信ケーブルを介して、受付端末3、採血管準備装置5、誘導案内表示装置6、および各採血作業端末7と夫々に通信可能に接続されている。尚、本実施例にあって、上位システムSが、本発明にかかる外部記憶装置に相当する。
採血管理装置2にあって、データベース12は、採血業務にかかる各種データを記憶するものであり、管理サーバ11は、データベース12に記憶したデータを用いて、参照・登録・更新などの各処理を実行するものである。
受付端末3は、採血に来た被採血者の照合に用いられるものであり、窓口スタッフにより操作可能なタッチパネル式のモニタ、被採血者の氏名やIDなどを入力操作する入力装置(キーボード、スキャナなど)、受付票を発行するプリンタ等を備えている。受付端末3では、被採血者の氏名やID等を入力すると、入力した情報を採血管理装置2へ送信すると共に、受付番号や被採血者の識別情報(氏名やID)等が印字された受付票を発行する。この受付票には、受付番号や被採血者の識別情報を記憶するバーコードが印字されている。被採血者は、この受付票を持って、外待合場所で待機する。尚、受付端末3は、図示しない制御装置、記憶装置、送受信回路などを備えたものである。
採血管準備装置5は、被採血者の採血に使用する採血管を準備するためのものであり、該被採血者の氏名等を採血ラベルに印字する機能と、該印字した採血ラベルを採血管に貼付してトレイに収容する機能と、被採血者の採血に係る採血情報を採血情報表示片に印字して該トレイに収容する機能とを備えている。そして、採血で使用する複数種類の採血管と、複数の採血ラベルと、複数の採血情報表示片とが夫々収容されている。こうした採血管準備装置5は、採血管理装置2の管理サーバ11から被採血者の採血情報を受信すると、当該被採血者の氏名等を採血ラベルに印字し、該採血ラベルを、当該被採血者の採血に用いる全ての採血管に貼付して、一のトレイに収容する。さらに、当該被採血者の採血に係る採血情報を採血情報表示片に印字し、該採血情報表示片を、当該被採血者の採血管とともにトレイに収容する。そして、採血管と採血情報表示片とを収容したトレイを搬出する。このように採血管準備装置5では、採血管理装置2から被採血者の採血情報を受信する毎に、一のトレイと該トレイに収容した採血管とを一セットとした採血用トレイを発行する。尚、かかる採血管準備装置の基本構造は、公知であるため、詳細な説明は省略する。この採血管準備装置5が、本発明にかかる採血準備装置であり、本発明のラベル発行手段と採血管発行手段とを備えている。
誘導案内表示装置6は、外待合場所で待機する被採血者に対して情報を表示する。具体的には、誘導案内表示装置6は、現在の待ち人数や、採血室の内待合場所への入室を案内する被採血者の受付番号などを表示する。
採血作業端末7は、採血室に設置された各採血台に夫々設置される。各採血作業端末7は、採血作業者により操作可能なタッチパネル式のモニタ21と、バーコードを読み取るためのスキャナと、被採血者を呼び出す呼出装置とを備えている。ここで、モニタ21の表示画面には、例えば、図2のように、被採血者の採血情報が表示されると共に、後述する「採血終了」や「完了」などがタッチ操作可能に表示される。尚、採血作業端末7は、図示しない制御装置、記憶装置、送受信回路などを備えたものである。
次に、本実施例の採血業務支援システム1を用いた採血業務の基本的な流れについて説明する。
基本的に、被採血者が採血に来る前に、当該被採血者の識別情報(被採血者の氏名やIDなど)と採血内容とを含む採血情報が、病院の上位システムSに登録されている。すなわち、病院の上位システムSには、被採血者の診察に関わった医師によりオーダーされた被採血者の採血情報が記憶され、採血予約リストに登録されている。
被採血者は、採血の受付場所で受付手続きを行う。受付手続きでは、窓口スタッフが、被採血者の診察カードに記憶された当該被採血者のIDを受付端末3のスキャナ(入力装置)で読み取って入力する。受付端末3は、図3の受付処理により、入力した被採血者IDを、採血管理装置2の管理サーバ11に送信する(受付情報送信処理)。管理サーバ11は、図4の情報登録処理により、受信した被採血者IDに基づいて、上位システムSに被採血者の採血情報を要求する(情報取得処理)。そして、上位システムSから当該被採血者の採血情報を受信すると、当該被採血者の採血作業の順番を設定し(採血順設定処理)、データベース12に、採血情報と採血作業の順番とを対応付けて登録する(採血情報登録処理)。さらに、受付端末3に、被採血者IDと採血作業の順番とからなる認可情報を送信する(認可情報送信処理)。これに伴って、受付端末3では、図3の受付処理により、採血作業の順番に対応する受付番号を印字した受付票を発行する(受付確定処理)。この受付票には、受付番号の他に、被採血者を特定する情報が記録されたバーコードが印字される。被採血者は、発行された受付票を受け取ると、外待合場所で待機する。尚、上位システムSでは、前記のように採血管理装置2から被採血者の採血情報を要求されると、その要求の被採血者IDと、採血予約リストに登録された被採血者の識別情報との照合を行い、該照合を正常終了すると、当該被採血者の採血情報を採血管理装置2の管理サーバ11へ送信する。
採血管理装置2は、図5の採血準備処理により、採血作業端末7から後述の要求信号を受信すると、データサーバ12の採血未発行リストに登録された被採血者の採血情報を読み込み(情報読込処理)、この被採血者の採血情報を採血管準備装置5へ送信する(採血情報送信処理)。採血管準備装置5では、採血管理装置2から被採血者の採血情報を受信すると、当該採血情報に従って、被採血者の氏名やIDおよび該被採血者の識別情報を示すバーコードを採血ラベルに印字する。そして、当該採血情報に含まれる採血内容に基づいて、採血に使用する一又は複数の採血管を選択して、選択した各採血管に、前記印字した採血ラベルを貼付する。さらに、当該採血情報に基づいて、採血作業に必要な情報を印字した採血情報表示片を発行する。これら採血管と採血情報表示片とを、一のトレイにまとめて収容し、一セットの採血用トレイとして搬出する。尚ここで、採血作業端末7から送信される要求信号については、本発明の要部にかかることから、その詳細は後述する。
採血作業は、採血台の採血作業端末7に、採血作業者がログインすることにより開始される。尚、一般的に、採血作業者は、自分の識別情報(作業者ID)を記憶したバーコードが印字された名札を付けており、このバーコードを、採血作業端末7に接続したスキャナで読み取る。そして、採血作業者の識別情報の作業者認証手続きが完了することで、ログインできる。こうしてログインすることにより、採血作業者は、採血作業に従事する状態となり、この状態で、以下の手順に従って、被採血者の採血を実施できる。
(1)採血作業者は、採血管準備装置5でストックされている採血用トレイを一つ採血台に運んでくる。
(2)採血作業者は、採血用トレイの採血管の採血ラベルに印字されたバーコードを、採血作業端末7のスキャナで読み取る。採血作業端末7では、図8の採血処理により、採血ラベルのバーコードに示された被採血者の識別情報に基づいて、当該被採血者の採血情報を要求する情報取得信号を採血管理装置2へ送信する(情報要求処理)。これに伴って、採血管理装置2の管理サーバ11では、図6の作業情報処理により、データベース12から当該被採血者の採血情報を読み込み(情報読込処理)、読み込んだ当該採血情報を採血作業端末7へ送信する(情報通知処理)。採血作業端末7では、図8の採血処理により、採血管理装置2から被採血者の採血情報を受信すると、当該被採血者の採血情報に基づいて、モニタ21に、当該被採血者の氏名、採血内容などを表示する(図2(a))と共に、呼出装置によって、当該被採血者を呼び出す(作業前処理)。
(3)被採血者が採血作業台に来ると、採血作業者は、当該被採血者の受付票に印字されたバーコードを採血作業端末7のスキャナで読み取る。採血作業端末7は、図8の採血処理により、受付票から読み取った被採血者の情報と採血管の情報とを照合することにより、呼び出した被採血者の認証を行う(照合処理)。この認証が正常であれば、モニタ21に、採血作業の実施を許可するメッセージを表示する(図2(b))。
(4)採血作業者は、被採血者の採血を終えると、採血作業端末7のモニタ21に表示された「完了」操作部22をタッチ操作する。これに伴って、採血作業端末7では、図8の採血処理により、当該被採血者の採血完了を示す信号を、採血管理装置2へ送信する(完了通知処理)。採血管理装置2の管理サーバ11は、図6の作業情報処理により、採血完了の信号を受信すると、当該被採血者の採血完了を、データベース12に登録する(登録更新処理)。また、採血作業者が、採血台での採血作業の従事を終える場合には、採血作業端末7のモニタ21に表示された「採血終了」操作部23をタッチ操作する。これにより、前記の完了通知処理を実行し、採血作業者の識別情報をログアウトする(ログアウト処理)。
次に、本発明の要部について説明する。
採血管理装置2のデータベース12には、下記の情報が記憶されている。これら情報は管理サーバ11により随時利用される。
(1)採血未発行リスト
受付手続き済みで且つ採血管準備装置5へ送信前の被採血者の識別情報と、各被採血者の採血作業順番情報
(2)採血作業リスト
採血管準備装置5へ送信済みで且つ採血完了前の被採血者の識別情報、各被採血者の採血作業順番情報、および該送信済みで且つ採血作業前の待機発行数(採血管準備装置5でストックされている採血用トレイの数)
(3)被採血者情報
各被採血者の採血情報(識別情報、採血内容、準備情報など)
(4)採血作業者情報
採血作業に従事する各採血作業者の識別情報(氏名、ID、所属、分類など)
(5)採血台情報
各採血台の使用状態(採血作業中・停止中)および作業中の採血作業者の情報
採血管理装置2の管理サーバ11では、情報登録処理(図4)、採血準備処理(図5)、作業情報処理(図6)、および特殊処理(図7)などを実行する。情報登録処理は、図4に示すように、受付端末3で受付手続きした被採血者IDを入力すると、情報取得処理を実行して、上位システムSから当該被採血者の採血情報を取得する。これに伴って、管理サーバ11は、取得した当該被採血者の採血作業の順番を設定する採血順設定処理を実行する。この採血順設定処理では、基本的に、受付手続きした順番で、採血作業の順番を設定している。そして、採血情報登録処理を実行し、上位システムSから取得した被採血者の採血情報を、データベース12の被採血者情報に記憶すると共に、設定した採血作業の順番を、被採血者の識別情報に対応付けて採血未発行リストに登録する。尚、受付端末3から入力される被採血者IDが、所謂被採血者の受付情報に相当する。また、管理サーバ11により、本発明にかかる採血順設定手段が構成され、データベース12により、本発明にかかる情報記憶手段が構成されている。
採血準備処理は、図5に示すように、採血作業端末7から送信された要求信号を入力すると、情報読込処理を実行して、データベース12の採血未発行リストから、採血作業の順番が最も早い被採血者の識別情報を読み込み、これに伴って、当該被採血者の採血情報をデータベース12の被採血者情報から読み込む。そして、採血情報送信処理を実行して、情報読込処理で読み込んだ当該被採血者の採血情報を採血管準備装置5へ送信すると共に、登録更新処理を実行して、当該被採血者の識別情報と順番情報(採血作業の順番)とをデータベース12の採血作業リストに登録し且つ採血未発行リストの登録を抹消する。このように採血管理装置2は、採血作業端末7から要求信号を入力する毎に、被採血者一人の採血情報を採血管準備装置5へ送信する。さらに、採血準備処理では、誘導表示処理を実行して、情報読込処理で読み込んだ当該被採血者の受付番号を示す表示情報を、誘導案内表示装置6へ送信する。これにより、誘導案内表示装置6で、当該受付番号を表示して、当該受付番号の被採血者を内待合場所へ案内する報知を行う。尚、管理サーバ11により、本発明にかかる発行制御手段が構成されている。
さらに、本実施例の採血準備処理では、採血作業端末7から要求信号を入力した場合に、採血作業リストに登録されている待機発行数を確認し、この待機発行数が所定の上限数に達していると、採血準備処理による採血情報の採血管準備装置5への送信を実行しない。ここで、採血作業リストの待機発行数は、採血管準備装置5でストックされているトレイ数を示しており、採血管準備装置5へ採血情報を送信する毎に増加させ、且つ採血作業端末7での採血ラベルの読み取りに伴って該採血作業端末7へ採血情報を送信する毎に減少させることによって、常に正確な数値を示している。また、前記の上限数は、採血作業に従事する採血作業者の人数(データベース12の採血作業者情報に登録)に応じて設定されている。具体的には、採血作業者の人数+α(例えば、αが1個または2個など)を、上限数に設定している。そのため、例えば、採血作業に従事する複数の採血者のうち、一人または数人の採血作業者がログアウトした場合には、待機発行数が上限数に達することがあるため、要求信号を入力しても、採血情報を採血管準備装置5へ送信しないことがあり得る。このように採血作業者の人数に応じた前記の上限数を設定することにより、採血管準備装置5でストックされている採血用トレイの数が、採血作業者の人数を大きく超えないようにしている。尚、本実施例にあって、採血準備処理により、本発明にかかる採血情報の送信数を調整する処理内容が実現されている。
作業情報処理は、図6に示すように、各採血作業端末7から送信された情報取得信号(被採血者の採血情報を要求する信号)を受信すると、情報読込処理を実行して、データベース12の採血作業リストと被採血者情報とから当該被採血者の採血情報を読み込む。そして、情報通知処理を実行して、当該被採血者の採血情報を、採血作業端末7へ送信する。また、作業情報処理では、各採血作業端末7から完了通知信号を受信すると、登録更新処理を実行して、該完了通知信号の示す被採血者の、採血作業リストの登録を抹消する。
一方、採血作業端末7では、上記した採血作業に関する採血処理(図8)を実行する。採血処理は、図8に示すように、上記した採血作業者のログインを検知すると、要求送信処理を実行して、採血管理装置2に、採血管(トレイ)の発行を要求する要求信号を送信する。これに伴って、上述したように、採血管準備装置5で、採血用トレイが新たに発行される。尚、本実施例にあって、採血作業者の識別情報(バーコード)を読み取るスキャナが、本発明にかかる採血従事入力手段に相当し、該スキャナにより読み取った情報が、本発明にかかる採血作業従事を示す信号に相当する。そして、スキャナで読み取った採血作業者の識別情報に基づくログインにより、本発明にかかる要求条件の成立が実現されている。また、採血作業端末7は、前記採血処理を実行する制御装置(図示せず)と採血管理装置2へ要求信号を送信する送受信回路(図示せず)とを備えており、これら制御装置と送受信回路とにより、本発明にかかる信号出力手段が実現されている。
採血処理では、上述したように、採血管の採血ラベルから被採血者の識別情報を入力すると、情報要求処理を実行して、当該被採血者の採血情報を要求する信号を採血管理装置2へ送信する。そして、採血管理装置2から当該被採血者の採血情報を取得すると、作業前処理を実行して、モニタ21に当該被採血者の識別情報や採血内容などを表示すると共に、当該被採血者の呼出しを行う。呼び出した被採血者の受付票に印字されたバーコードをスキャナで読み取ると、照合処理を実行して、この読み取った被採血者IDを、先に読み込んだ採血管の識別情報と照合する。この照合が正常であると、採血作業の実施が許可され(図2(b)参照)、採血作業が行われる。その後、採血作業が終わった際に採血作業者によりモニタ21の「完了」操作部22がタッチ操作されると、完了通知処理を実行し、当該被採血者の採血作業が終わったことを示す完了通知信号を、採血管理装置2へ送信する。これにより、当該被採血者の採血作業が完了し、次の被採血者の採血作業を可能とする。さらに、要求送信処理を実行して、採血管理装置2へ要求信号を送信する。これにより、上述したように、採血管準備装置5で、採血用トレイが新たに発行される。尚、本実施例にあって、「完了」操作部22を表示するモニタ21(図2参照)が、本発明にかかる採血作業入力手段に相当し、「完了」操作部22のタッチ操作により採血作業完了が入力される。そして、「完了」操作部22のタッチ操作により、本発明にかかる要求条件の成立が実現されている。
また、採血作業者が採血作業の従事を終了する場合には、モニタ21の「採血終了」操作部23をタッチ操作することにより、ログアウトできる(ログアウト処理)。これにより、当該採血作業者の採血作業に従事する状態が解除される。
このように、本実施例にあっては、採血作業者が採血作業に従事開始する際にログインすると、採血管準備装置5で新たな採血用トレイを発行するようにしていることから、採血作業に従事する採血作業者の人数に合わせて、採血管準備装置5で採血用トレイを準備できる。さらに、採血作業を完了する毎に、採血管準備装置5で新たな採血用トレイを発行するようにしていることから、採血作業者の作業スピードに合わせるようにして、採血管準備装置5で採血用トレイを準備できる。こうして採血管準備装置5での採血用トレイの発行を制御することによって、採血管準備装置5での採血用トレイのストック数を制限できる。
一方、本実施例の採血業務支援システム1は、不在の被採血者に対応する機能を備えている。採血作業端末7は、上述したように採血処理の作業前処理により、図2(a)のように、モニタ21に、被採血者の識別情報や採血内容などを表示すると共に、タッチ操作可能な「不在登録」操作部24を表示する。このモニタ21に表示された「不在登録」操作部24は、採血台で呼び出した被採血者が不在の場合に、採血作業者によりタッチ操作される。図8の採血処理では、作業前処理の後にモニタ21の「不在登録」操作部24がタッチ操作されると、不在対応処理と不在通知処理とを実行し、さらに上記の要求送信処理を実行する。不在対応処理では、当該採血作業の対象である被採血者を不在登録して記憶する。これにより、当該被採血者の採血作業を中断して、次の被採血者を採血作業可能とする。不在通知処理では、当該被採血者の識別情報を不在情報として採血管理装置2へ送信する。
採血管理装置2の管理サーバ11で実行する図6の作業情報処理では、採血作業端末7から不在情報を受信すると、不在登録処理を実行し、データベース12の採血作業リストに登録されている被採血者のなかから、当該不在情報の示す被採血者を特定して、当該被採血者を不在登録する。そして、不在者送信処理を実行して、不在登録した被採血者の受付番号を、受付端末3へ送信する。受付端末3では、不在登録した被採血者の受付番号を受信すると、当該受付番号を不在リストに記憶する。また、管理サーバ11で実行する採血準備処理では、採血作業端末7の要求送信処理により送信された要求信号を受信すると、上述したように情報読込処理、採血情報送信処理、登録更新処理、および誘導表示処理を実行する。これにより、採血管準備装置5で新たな採血用トレイが発行される。尚、本実施例にあって、採血作業端末7の「不在登録」操作部24を表示するモニタ21が、本発明にかかる不在入力手段に相当し、「不在登録」操作部24のタッチ操作により被採血者不在が入力される。そして、「不在登録」操作部24のタッチ操作により、本発明にかかる要求条件の成立が実現されている。
このように採血台で呼び出した被採血者が不在の場合には、当該被採血者の採血作業を中断し、次の被採血者の採血作業を行い得る。尚、不在の被採血者の採血用トレイは、採血作業の邪魔にならない所定場所に仮置きされる。
上述のように不在処理された被採血者は、戻ってきた際に、採血の受付場所で戻り受付の手続きを行う。この戻り受付手続きでは、受付端末3のスキャナで当該被採血者の受付票に印字されたバーコードを読み取り、さらに、受付端末3のタッチパネルに表示された「不在戻り」操作部(図示せず)をタッチ操作することによって、戻り受付する。受付端末3で実行する図3の受付処理では、受付番号の入力により戻り受付すると、不在検索処理を実行して、不在リストの受付番号と照合する。そして、照合すると、戻り情報送信処理を実行して、当該被採血者の受付番号を示す戻り受付情報を、採血管理装置2に送信する。
採血管理装置2の管理サーバ11で実行する図4の情報登録処理では、受付端末3から戻り受付情報を受信すると、戻り情報送信処理を実行して、当該戻り受付情報の示す受付番号により、採血作業リストで不在登録された被採血者を特定し、当該被採血者の識別情報を示す不在戻り情報を、採血作業端末7へ送信する。
採血作業端末7では、採血管理装置2から不在戻り情報を受信すると、図9の戻り採血処理を実行する。戻り採血処理は、戻り表示処理を実行して、モニタ21に、不在であった被採血者が戻ったことを報知する内容の情報を表示する。これにより、採血作業者に、不在であった被採血者が戻ったことを報知する。採血作業者は、モニタ21で戻ったことが報知された被採血者の採血用トレイを採血台に持ってきて、スキャナで、採血管の採血ラベルから当該被採血者の識別情報を読み取る。これに伴って、戻り採血処理では、戻り照合処理を実行して、読み取った当該被採血者の識別情報を、不在戻り情報に示された識別情報と照合する。この照合が正常であると、作業前処理を実行して、読み込んだ当該被採血者の採血内容などをモニタ21に表示する共に、当該被採血者の呼出しを行う。その後、不在であった被採血者が採血台に来ると、採血作業者は、当該被採血者の受付票に印字されたバーコードをスキャナで読み取る。これに伴って、戻り採血処理では、照合処理を実行して、受付票から読み取った被採血者の情報を照合し、この照合が正常であると、不在解除送信処理を実行して、当該被採血者の不在解除を示す解除信号を、採血管理装置2に送信する。採血管理装置2は、この信号を受信すると、図4の情報登録処理の不在解除処理を実行して、採血作業リストにおける当該被採血者の不在登録を解除する。
この後、不在であった被採血者の採血作業が完了すると、採血作業端末7のモニタ21の「完了」操作部22がタッチ操作される。これに伴って、戻り採血処理では、上述した採血処理と同様に、完了通知処理が実行される。しかし、戻り採血処理は、要求送信処理を備えていないことから、不在であった被採血者の採血作業が完了した場合には、採血管準備装置5で新たな採血用トレイを発行しないようにしている。これにより、被採血者を不在登録した際における採血用トレイの発行と相殺して、採血管準備装置5における採血用トレイのストック数を調整する。
また、本実施例の採血業務支援システム1は、採血作業に際して準備や事前処置が必要な場合に、これを示す準備情報を、採血作業者に報知する機能を備えている。この準備情報は、受付の際に、窓口スタッフにより受付端末3で入力可能であると共に、採血作業の際に、採血作業者により採血作業端末7で入力可能である。尚、準備情報には、予め決められた複数種類が設定されている。
受付端末3には、上記した複数の準備情報が予め設定されており、いずれかの準備情報を選択操作可能となっている。すなわち、受付端末3では、タッチパネルに、予め設定された複数の準備情報を表示することができ、受付手続きの際に、窓口スタッフがいずれかをタッチ操作することで、所定の準備情報を選択入力できるようになっている。受付端末3の受付処理では、図3のように、前記準備情報を入力すると、準備情報送信処理を実行して、入力した準備情報と被採血者の識別情報とを含む採血準備情報を採血管理装置2に送信する。採血管理装置2の情報登録処理では、図4のように、受付端末3から送信された採血準備情報を入力すると、登録処理を実行する。登録処理は、採血準備情報の示す被採血者を、データベース12の被採血者情報から特定し、該被採血者情報に記憶されている当該被採血者の採血情報に、当該採血準備情報に含まれた準備情報を追加登録する。
また、採血作業端末7には、受付端末3と同様に、上記した複数の準備情報が予め設定されており、いずれかの準備情報を選択操作可能となっている。すなわち、採血作業者は、採血作業の際に準備や事前処置を必要とすることがわかった場合に、採血作業端末7で準備情報を選択入力する。採血作業端末7では、モニタ21に表示された「患者補足」操作部25(図2参照)がタッチ操作されると、準備情報の表示部位で、複数の準備情報を選択入力可能とし、いずれかの準備情報がタッチ操作されることで、所定の準備情報を選択入力できる。採血作業端末7は、こうして準備情報が入力された場合に、図10の準備情報処理を実行する。この準備情報処理では、準備情報が入力されると、準備情報送信処理を実行して、入力した準備情報と被採血者の識別情報とを含む採血準備情報を採血管理装置2に送信する。採血管理装置2の情報登録処理(図4)では、上述した受付端末3の場合と同様に、採血作業端末7から送信された採血準備情報を入力すると、登録処理を実行する。この登録処理では、データベース12の被採血者情報に、入力した準備情報を、被採血者の識別情報と紐付けして記憶保持する。これにより、次回以降に採血される際には、当該被採血者の準備情報が当該被採血者の採血情報に追加登録され、後述の報知タイミング処理で用いられる。
採血管理装置2の情報登録処理では、図4のように、採血情報登録により登録した被採血者の採血情報が準備情報を含むものであると、報知タイミング処理を実行する。この報知タイミング処理では、予め設定された各準備情報に応じて夫々設定される報知タイミングを計測する処理である。ここで、報知タイミングの計測は、準備情報を有する被採血者の採血順番、採血作業者の人数等に基づいて行う。
採血管理装置2は、報知タイミングとなると、上記した特殊処理を実行する。この特殊処理は、図7に示すように、報知タイミングとなると、情報生成処理を実行して、当該被採血者の準備情報を、データベース12の被採血者情報から読み込み、該準備情報とその被採血者の識別情報とからなる準備送信情報を生成する。そして、特殊情報送信処理を実行して、生成した準備送信情報を、採血管準備装置5に送信する。採血管準備装置5では、採血管理装置2から準備送信情報を受信すると、該準備送信情報の準備情報に基づいて、採血作業者への伝達事項を生成し、該伝達事項と被採血者の識別情報とを、所定の伝達用シートに印刷して発行する。ここで、採血管準備装置5には、上記した採血用トレイを発行する部位と別に、伝達用シートの発行部位が設けられており、発行した伝達用シートを採血作業者が直ぐに認識できるようにしている。さらに、本実施例にあって、前記特殊情報送信処理では、準備送信情報を送信する場合に、当該被採血者の受付番号を含む準備誘導情報を誘導案内表示装置6へ送信する。これにより、誘導案内表示装置6で、当該受付番号を表示して、当該受付番号の被採血者を内待合場所へ案内する報知を行う。
こうした準備情報を具体例に従って説明する。準備情報として、採血部位の温め処置、耳朶検査(止血時間測定)、特殊な採血針の準備などが設定されている。被採血者の採血情報に、採血部位の温め処置を示す採血情報が含まれていた場合を例示する。採血管理装置2の情報登録処理は、受付した被採血者の採血情報に準備情報が含まれていると、報知タイミング処理を実行して、当該準備情報に応じて設定した報知タイミングを計測する。ここで、採血部位の温め処置に対する報知タイミングが、採血作業の開始よりも15分前に設定していたとする。この場合には、当該被採血者の採血順番、採血作業者の人数、採血作業に要する基準時間などに基づいて、当該被採血者の採血作業を開始する予測時点を演算し、該予測時点の15分前を報知タイミングとして設定し、該報知タイミングの計測を行う。そして、この計測により報知タイミングとなると、採血準備情報(採血部位の温め処置)を含む準備送信情報を、採血管準備装置5に送信する。採血管準備装置5では、採血部位の温め処置に対応する準備事項を記載した伝達用シートを発行する。こうした伝達用シートが発行されると、採血作業者が、採血部位の温め処置を要する被採血者がいることを知得でき、当該被採血者に採血部位を温める処置を行うことができる。これにより、採血部位の温め処置を行う必要がある場合にも、スムーズに採血作業を実行できる。
尚、本実施例にあって、受付端末3および採血作業端末7が、本発明にかかる準備情報受付手段に相当し、採血管準備装置5が、本発明にかかる準備情報報知手段に相当する。また、特殊処理の特殊情報送信処理により、本発明にかかる準備情報送信処理が実現されている。また、情報登録処理の登録処理により、本発明にかかる準備情報登録処理が実現されている。
上述した本発明の採血業務支援システム1によれば、以下の作用効果を奏し得る。
(1)採血作業者がログインした場合(採血作業に従事した場合)、および採血作業を完了した場合に、採血管準備装置5で採血管を収容したトレイを新たに発行するようにしていることから、該採血管準備装置5での採血用トレイの発行数を制御して、ストックされる該採血用トレイの数を調整できる。そのため、多数の被採血者が受付手続きした場合にあっても、採血管準備装置で多数の採血用トレイが山積みされてしまうことを防止できることから、採血用トレイのストック数によって生ずる採血作業者の精神的な負担を軽減でき、該負担軽減によって採血作業者の作業能率を向上できる。
(2)新たな採血用トレイを発行する契機が、採血作業者の増加と採血作業の完了(換言すれば、次の採血作業を開始)とに設定されていることから、採血作業の進行状況に合わせて順次採血用トレイを発行でき、採血作業を効率的に進めることができる。
(3)被採血者が不在の場合にも、新たな採血用トレイを発行するようにしていることから、該不在の被採血者を待つことなく、次の被採血者の採血作業を行うことができる。そのため、不在の被採血者により採血作業が停滞してしまうことを防止できる。また、不在の被採血者を不在登録して管理していることから、戻った場合には、これを採血作業者に報知することで、対応できる。
(4)採血作業リストの待機発行数(採血用トレイのストック数)が所定の上限数に達した場合には、採血管準備装置5で新たな採血用トレイを発行しないようにしていることから、該採血管準備装置5でストックされる該トレイの数を、採血作業者の人数に適した数に保つことができる。そのため、採血作業者の減少などによって、採血作業者の人数に対してトレイのストック数が増大してしまうことを抑制できる。
(5)被採血者の採血情報が採血作業に必要な準備情報を含むものである場合に、該準備情報に適したタイミングで、該準備情報を採血作業者に報知する。これにより、採血作業者は、準備情報に応じた準備や事前処置を該採血作業前に実行できるため、該採血作業を効率的かつ円滑に進めることができる。
尚、採血作業にあっては、受付端末3での受付手続きが終わった後に、上位システムSから追加の採血情報が送信される場合もあり得る。こうした追加の採血情報を取得した場合、採血管理装置2は、取得した採血情報の被採血者が採血未発行リストに登録されているか否かを調べ、採血未発行リストに登録されていれば、トレイの発行前であることから、データベース12の被採血者情報に、追加の採血情報を記憶する。これにより、当該被採血者の採血情報を採血管準備装置5へ送信する際に、追加の採血情報も含まれることから、当該被採血者用の採血管を一のトレイに収容して発行できる。こうした効果は、採血管準備装置5での採血用トレイの発行が、採血作業者の増加と採血作業の完了とを契機とするようにしていることに因る。
本発明の採血業務支援システムは、上記実施例のシステム構成に限られず、適宜変更可能である。
例えば、上述した実施例では、採血作業者が採血作業に従事する際に、当該採血作業者の識別情報をスキャナで読み込むことによりログインするようにした構成であるが、この他に、採血作業者がキーボードやモニタのタッチ画面などで自らの識別情報を入力することによりログインできるようした構成としても良い。または、採血作業者を非接触で検知してログインできる機器を備えた構成としても良い。
また、上述した実施例では、採血作業の完了に伴って要求信号を送信して採血管準備装置5で新たな採血用トレイを発行するようにしたが、別の構成として、採血作業の開始の際に、トレイ内の採血管の採血ラベルに印字されたバーコードを読み取ることにより要求信号を送信するようにしても良い。この別の構成では、採血作業の開始に伴って、採血管準備装置5で新たな採血用トレイを発行する。かかる構成にあっても、実施例と同様、採血管準備装置5でストックされる該採血用トレイの数を調整できることから、採血作業者の精神的な負担を軽減できる。
また、上述した実施例では、不在の被採血者が戻った情報を、採血作業端末7のモニタ21で表示するようにしたが、これに限らず、不在の被採血者が戻った情報を、所定のラベルやシート(紙片)に印字して、採血作業端末7または採血管準備装置5で発行するようにしても良い。さらに、採血作業端末7のモニタ表示と、ラベルやシートへの印字との両方を実行するようにしても良い。
また、上述した実施例では、準備情報を、採血管準備装置5で所定の伝達用シートに印字して発行するようにしたが、これに限らず、採血作業端末7のモニタ21で表示するようにしても良い。さらには、採血作業端末7のモニタ表示と、伝達用シートへの印字との両方を実行するようにしても良し、必要情報や採血準備情報の内容に応じて、モニタ表示とシート印字との一方を選択して実行するようにしても良い。
また、上述した実施例では、採血管準備装置5で新たな採血用トレイを発行する契機(要求条件の成立)が、採血作業者がログインした場合(採血作業に従事した場合)、採血作業を完了した場合、および被採血者が不在の場合に設定した構成であるが、これらに限らず、他の場合にも採血用トレイの発行契機を設定できる。例えば、被採血者の採血作業をキャンセルした場合にも、要求信号を送信して、新たな採血用トレイを発行するようにしても良い。
また、上述した実施例では、窓口スタッフが受付端末3を操作することにより受付手続きを行うようにしており、該受付端末3が窓口スタッフにより操作されるものであるが、他の構成として、受付端末が、被採血者自身により操作可能な所謂自動受付機であっても良い。この場合には、自動受付機である受付端末で、被採血者が自分の診察カードの読み取り操作を行うことによって、受付手続きされる。
また、上述した実施例の採血業務支援システム1は、採血管理装置2からの要求に従って上位システムから被採血者の採血情報を取得するようにした構成であるが、該上位システムからの取得方法はこれに限定されず、他の構成も適用できる。
別例として、上位システムが受付端末を備え、採血業務支援システムが受付端末を備えない構成とすることもできる。かかる構成では、上位システムが、被採血者の受付処理を実行し、受付する毎に、受付した被採血者の採血情報を採血管理装置へ送信する。そのため、採血管理装置は、上位システムへ被採血者の採血情報を要求する必要が無く、該上位システムから一方的に送信される被採血者の採血情報を用いて、上述した採血管準備装置による採血用トレイの発行制御を行う。
さらに別例として、採血業務支援システムの受付端末で受け付けた被採血者IDを、上位システムで担当者が入力することにより、該上位システムから当該被採血者の採血情報が採血管理装置へ送信されるものであっても良い。すなわち、上位システムは、被採血者IDを入力操作可能な上位端末を備える。採血業務支援システムは、受付端末と接続されたプリンタが該上位端末の近傍に配設されたものである。かかる構成では、受付端末で被採血者を受け付けると、当該被採血者IDを該プリンタで印字する。そして、担当者が前記上位端末で被採血者IDを入力操作すると、上位システムは、当該被採血者の採血情報を採血管理装置へ送信する。これにより、採血管理装置は、受付した被採血者の採血情報を取得する。この別例の構成にあって、採血管理装置は、上位システムへ被採血者の採血情報を要求することが無く、該上位システムから送信される被採血者の採血情報を用いて、上述した採血管準備装置による採血用トレイの発行制御を行う。
これら別例のいずれであっても、上位システムからの被採血者の採血情報の取得方法が異なるのみで、他は上述した実施例と同様の構成であるから、該実施例と同様の作用効果を奏する。