JP2017128257A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】スリップ角が大きいときにも優れたグリップ力を有する空気入りタイヤの提供。【解決手段】このタイヤ2では、第一プライ34は、一方のビード10の軸方向内側から他方のビード10の軸方向内側まで延びる第一主部34aと、それぞれのビード10の軸方向外側において半径方向外側に向けて延びる一対の第一折返し部34bとを備えている。第二プライ36は、上記第一主部34aの外側において一方のビード10の軸方向内側から他方のビード10の軸方向内側まで延びる第二主部36aと、上記ビード10と上記第一折返し部34bとの間において半径方向外側に向けて延びる一対の第二折返し部36bとを備えている。第一折返し部34bの端42はベルト14の外側層40と上記バンド16との間に位置している。第二折返し部36bの端44はベルト14の内側層38と上記外側層40との間に位置している。【選択図】図2
Description
本発明は、空気入りタイヤに関する。詳細には、本発明は、ラリー用の車両に装着される空気入りタイヤに関する。
ラリー、ダートトライアル等の競技は、通常、未舗装路面(ダートとも称されている。)で行われる。車両は、この未舗装路面において高速旋回を繰り返す。ラリー用のタイヤには、旋回時の横力に耐えうる優れたグリップ特性が求められる。このタイヤには、旋回時の高い操縦安定性が求められる。また、ラリー用のタイヤには、頻繁に高い荷重が負荷されることから、高い耐久性も要求される。
カーカスはカーカスプライを備えている。多くのタイヤでは、カーカスプライはビードの周りで折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライには主部と折返し部とが形成されている。折返し部は、グリップ特性及び操縦安定性に影響を与える。折返し部はタイヤの耐久性に寄与する。このため、様々なカーカスプライの構造が検討されている。例えば、折返し部がベルトの半径方向内側まで延びる「超ハイターンアップ構造」を備えるタイヤがある。特開2006−282098公報には、折返し部がベルトの半径方向外側まで延びるタイヤが開示されている。これにより、操舵時の応答性が高めれ、操縦安定性の向上が図られている。
旋回時には、タイヤに強い横力が負荷される。この横力により、車両の外側方向に位置するベルトの端が、半径方向外側に向けて変形する「巻き込み」が起こりうる。ベルトが巻き込みを起こすと、コーナリングフォースが低下する。これはタイヤのグリップ力の低下を招来する。従来のタイヤでは、特にスリップ角が大きいときのベルトの巻き込みの抑制の点で、改善の余地がある。特開2006−282098公報のタイヤにおいても、ベルトの巻き込みの抑制については検討されていない。ベルトの巻き込みを抑え、さらにグリップ力が向上されたタイヤが望まれている。
本発明の目的は、スリップ角が大きいときにも優れたグリップ力を有する空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド、カーカス、一対のビード、ベルト及びバンドを備えている。上記カーカスは、第一プライと第二プライとを備えている。上記第一プライは、一方のビードの軸方向内側から他方のビードの軸方向内側まで延びる第一主部と、それぞれのビードの軸方向外側において半径方向外側に向けて延びる一対の第一折返し部とを備えている。上記第二プライは、上記第一主部の外側において一方のビードの軸方向内側から他方のビードの軸方向内側まで延びる第二主部と、上記ビードと上記第一折返し部との間において半径方向外側に向けて延びる一対の第二折返し部とを備えている。上記ベルトは、上記トレッドの半径方向内側において上記カーカスと積層されている内側層と、この内側層の外側に積層されている外側層とを備えている。上記バンドは上記ベルトの外側に積層されている。上記第一折返し部の端は上記外側層と上記バンドとの間に位置している。上記第二折返し部の端は上記内側層と上記外側層との間に位置している。
好ましくは、このタイヤは一対の補強層をさらに備えている。それぞれの補強層は、上記タイヤのバットレス部において上記第二主部と第二折返し部との間に位置している。
好ましくは、周方向に垂直な断面において、上記補強層はタイヤの外向きに凸な三日月状を呈している。上記補強層の最大厚みは2.0mm以上7.0mm以下である。
好ましくは、上記補強層の外側において、上記第一折返し部の内側面の輪郭の曲率半径は、26mm以上32mm以下である。
好ましくは、上記補強層の硬さは70以上120以下である。
好ましくは、上記の第一折返し部と上記外側層との重なり部分の長さは10mm以上30mm以下である。
好ましくは、上記の第二折返し部と上記内側層との重なり部分の長さは10mm以上30mm以下である。
本発明に係る空気入りタイヤでは、カーカスの第一折返し部の端は、ベルトの外側層とバンドとの間に位置している。第一折返し部の端は、外側層とバンドとで保持されている。第一折返し部は、この外側層及びバンドと、ビードとの間で保持される。これにより、横力が負荷されたとき、第一折返し部には大きな張力が負荷される。この第一折返し部が外側層を引っ張ることで、外側層の曲げ剛性が大きくなる。これにより、外側層の巻き込みが抑えられる。さらに、このタイヤでは、第二折返し部の端は、外側層と内側層との間に位置している。上記と同様に、この第二折返し部が内側層を引っ張ることで、内側層の曲げ剛性が大きくなる。これにより、内側層の巻き込みが抑えられる。この第一折返し部及び第二折返し部は、ベルトの巻き込みを効果的に抑制する。このタイヤでは、スリップ角が大きいときにも、ベルトの巻き込みが抑えられている。このタイヤは、スリップ角が大きいときにも、大きなコーナリングフォースを有する。このタイヤでは、優れたグリップ力が実現されている。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のクリンチ8、一対のビード10、カーカス12、ベルト14、バンド16、インナーライナー18、一対のフィラー20、一対のチェーファー22及び一対の補強層24を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、ラリー用の四輪自動車に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接触するトレッド面26を形成する。図示されていないが、このトレッド4には溝が刻まれている。この溝により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール6の半径方向外側端は、トレッド4と接合されている。サイドウォール6の半径方向内側端は、クリンチ8と接合されている。サイドウォール6は、半径方向において、トレッド4とクリンチ8との間に位置している。サイドウォール6は、カーカス12よりも軸方向外側に位置している。サイドウォール6は、カーカス12の損傷を防止する。サイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのクリンチ8は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ8は、軸方向において、ビード10及びカーカス12よりも外側に位置している。クリンチ8は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ8は、リム(図示されず)のフランジと当接する。
このタイヤ2は、サイドウォール6とクリンチ8との境界の近辺にリムプロテクタ28を備えている。リムプロテクタ28は、軸方向外側に向かって突出している。リムプロテクタ28は、周方向に延在している。このタイヤ2が装着されるリムのフランジの損傷を、リムプロテクタ28は防止する。
それぞれのビード10は、クリンチ8の軸方向内側に位置している。ビード10は、コア30と、このコア30から半径方向外向きに延びるエイペックス32とを備えている。コア30はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス32は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス32は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス12は、一方のビード10と他方のビード10との間に架け渡されている。カーカス12は、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカス12は、第一プライ34及び第二プライ36からなる。
第一プライ34は、コア30の周りにて、軸方向内側から外側に向けて折り返されている。この折り返しにより、第一プライ34には、第一主部34aと一対の第一折返し部34bとが形成されている。第一主部34aは、一方のビード10の軸方向内側から他方のビード10の軸方向内側まで延びている。それぞれの第一折返し部34bは、ビード10の軸方向外側において、半径方向外側に向けて延びている。
第二プライ36は、コア30の周りにて、軸方向内側から外側に向けて折り返されている。この折り返しにより、第二プライ36には、第二主部36aと一対の第二折返し部36bとが形成されている。第二主部36aは、第一主部34aの外側において、一方のビード10の軸方向内側から他方のビード10の軸方向内側まで延びている。それぞれの第二折返し部36bは、ビード10と第一折返し部34bとの間において半径方向外側に向けて延びている。
第一プライ34及び第二プライ36はそれぞれ、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス12はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス12が、3枚以上のプライから形成されてもよい。
ベルト14は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト14は、カーカス12と積層されている。ベルト14は、カーカス12を補強する。ベルト14は、内側層38及び外側層40からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層38の幅は外側層40の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層38及び外側層40のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層38のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層40のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト14の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト14が、3以上の層を備えてもよい。
バンド16は、ベルト14の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド16の幅はベルト14の幅と略同等である。図示されていないが、このバンド16は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド16は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト14が拘束されるので、ベルト14のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー18は、カーカス12の内側に位置している。このタイヤ2では、インナーライナー18はカーカス12の内面に接合されている。インナーライナー18は、架橋ゴムからなる。インナーライナー18には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー18の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー18は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのフィラー20は、ビード10の近くに位置している。このタイヤ2のフィラー20は、ビード10とカーカス12との間に位置している。フィラー20は、ビード10のコア30の周りにて折り返されている。図示されていないが、フィラー20は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、アラミド繊維からなる。各コードは、半径方向に対して傾斜している。このタイヤ2では、フィラー20は、ビード10の部分の剛性に寄与しうる。フィラー20は、ビード10の部分の倒れを抑えうる。
それぞれのチェーファー22は、ビード10の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー22がリムと当接する。この当接により、ビード10の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー22は布とこの布に含浸したゴムとからなる。このチェーファー22が、クリンチ8と一体とされてもよい。この場合、チェーファー22の材質はクリンチ8の材質と同じとされる。
それぞれの補強層24は、タイヤ2のバットレス部に位置している。すなわち補強層24は、トレッド4とサイドウォール6の境界の近辺に位置している。補強層24は、第二主部36aと第二折返し部36bとの間に位置している。周方向に垂直な断面において、補強層24は、三日月状を呈している。補強層24は、半径方向内側に向けて先細りである。補強層24は、半径方向外側に向けて先細りである。補強層24は、ベルト14の内側まで延びている。補強層24は架橋ゴムからなる。このタイヤ2が補強層24を備えなくてもよい。
図2は、図1のタイヤ2のバットレス部の近辺を拡大した断面図である。図に示されるとおり、このタイヤ2では、第一折返し部34bは、外側層40とバンド16との間まで延びている。第一折返し部34bの端42は、外側層40とバンド16との間に位置している。すなわち、第一折返し部34bは、外側層40及びバンド16と重なりを有している。第二折返し部36bは、内側層38と外側層40との間まで延びている。第二折返し部36bの端44は、内側層38と外側層40との間に位置している。すなわち、第二折返し部36bは、内側層38及び外側層40と重なりを有している。
以下では、本発明の作用効果が説明される。
本発明に係る空気入りタイヤ2では、カーカス12の第一折返し部34bの端42は、ベルト14の外側層40とバンド16との間に位置している。第一折返し部34bの端42は、外側層40とバンド16とで保持されている。第一折返し部34bは、この外側層40及びバンド16と、ビード10との間で保持される。これにより、横力が負荷されたとき、第一折返し部34bには大きな張力が負荷される。この第一折返し部34bが外側層40を引っ張ることで、外側層40の曲げ剛性が大きくなる。これにより、外側層40の巻き込みが抑えられる。さらに、このタイヤ2では、第二折返し部36bの端44は、外側層40と内側層38との間に位置している。上記と同様に、この第二折返し部36bが内側層38を引っ張ることで、内側層38の曲げ剛性が大きくなる。これにより、内側層38の巻き込みが抑えられる。この第一折返し部34b及び第二折返し部36bは、ベルト14の巻き込みを効果的に抑制する。このタイヤ2では、スリップ角が大きいときにも、ベルト14の巻き込みが抑えられている。このタイヤ2は、スリップ角が大きいときにも、大きなコーナリングフォースを有する。このタイヤ2では、優れたグリップ力が実現されている。
図1及び2に示されるとおり、このタイヤ2では、バットレス部において、補強層24が第二主部36aと第二折返し部36bとの間に位置しているのが好ましい。タイヤ2に横力が負荷されたとき、第二折返し部36bはバッドレス部近辺において大きく変形する。補強層24が第二主部36aと第二折返し部36bとの間に位置することにより、補強層24がない場合に比べて、第二折返し部36bの変形する部分は、軸方向外側に移動する。この第二折返し部36bに負荷される張力が大きくなる。これは、第二折返し部36bが内側層38を引っ張る力を大きくする。この第二折返し部36bは、内側層38の曲げ剛性により効果的に寄与する。さらに、補強層24を第二主部36aと第二折返し部36bとで挟むサンドイッチ構造は、ベルト14の剛性に寄与する。これらにより、ベルト14の巻き込みがより効果的に抑制される。このタイヤ2では、スリップ角が大きいときにも、ベルト14の巻き込みが抑えられている。このタイヤ2では、スリップ角が大きいときにも、大きなコーナリングフォースを有する。このタイヤ2では、優れたグリップ力が実現されている。
図2において、両矢印Tは補強層24の最大厚さである。詳細には、最大厚さTは、補強層24の内側面から引いた法線に沿って計測した、補強層24の厚さの最大値である。図において直線Vは、補強層24の厚さが最大となるときの法線である。最大厚さTは2.0mm以上が好ましい。最大厚さTを2.0mm以上とすることで、第二主部36aと第二折返し部36bとの距離が大きくなる。この第二折返し部36bは、第二主部36aの動きの影響を受けずに内側層38を引っ張る。第二折返し部36bは、より大きな力で内側層38を引っ張る。さらに最大厚さTを2.0mm以上とすることで、第二折返し部36bの形状の歪みが少なくなる。この第二折返し部36bは、内側層38の曲げ剛性により効果的に寄与する。この観点から最大厚さTは、3.5mm以上がより好ましい。
補強層24の厚さが厚くなり過ぎると、第二折返し部36bの形状の歪みが大きくなる。この歪みは、高速耐久性を低下させる要因となりうる。最大厚さTは7.0mm以下が好ましい。最大厚さTを7.0mm以下とすることで、第二折返し部36bの形状の歪みが抑制される。このタイヤ2では、良好な高速耐久性が維持されている。この観点から最大厚さTは、6.5mm以下がより好ましい。
補強層24の硬さHは70以上が好ましい。補強層24の硬さHを70以上とすることで、第二折返し部36bに負荷される張力が効果的に高められる。これは、内側層38の曲げ剛性により効果的に寄与する。さらに、この補強層24はバッドレス部の剛性に寄与する。このタイヤ2では、ベルト14の巻き込みがより効果的に抑制される。この観点から硬さHは80以上がより好ましく、90以上がさらに好ましい。補強層24の硬さHは120以下が好ましい。補強層24の硬さHを120以下とすることで、補強層24とその周辺の他の構成要素との間での、剛性の差が適切に抑えられる。これは高速耐久性が低下することを防止する。このタイヤ2では、良好な高速耐久性が維持されている。
本願において、硬さは「JIS K6253」の規定に準じ、タイプAのデュロメータによって測定される。図1に示された断面にこのデュロメータが押し付けられて、硬さが測定される。測定は、23℃の温度下でなされる。
図2において、矢印Rは、バッドレス部における第一折返し部34bの内側面の輪郭の曲率半径である。詳細には、曲率半径Rは、法線Vと第一折返し部34bの内側面との交点における第一折返し部34bの輪郭の曲率半径である。曲率半径Rは32mm以下が好ましい。曲率半径Rを32mm以下とすることで、旋回時にタイヤ2の半径方向の変形が小さくできる。タイヤ2は主に軸方向に変形する。これにより、ベルト14の巻き込みが抑制できる。このタイヤ2では、スリップ角が大きいときにも、大きなコーナリングフォースを有する。この観点から曲率半径Rは30mm以下が好ましく、29mm以下がさらに好ましい。曲率半径Rは、26mm以上が好ましい。曲率半径Rを26mm以上とすることで、第一折返し部34bに歪みが集中することが抑えられる。これは高速耐久性が低下することを防止する。このタイヤ2では、良好な高速耐久性が維持されている。この観点から曲率半径Rは27mm以上がより好ましい。
図2において、両矢印L1は、第一折返し部34bと外側層40との重なり部分の長さである。長さL1は外側層40の外面に沿って計測される。長さL1は10mm以上が好ましい。長さL1を10mm以上とすることで、この外側層40とバンド16とは、第一折返し部34bの端42を十分な力で保持する。これは、第一折返し部34bが外側層40を引っ張る力を大きくする。この外側層40の曲げ剛性は大きい。この外側層40は巻き込みが抑えられている。長さL1は30mm以下が好ましい。長さL1を30mm以下とすることで、ショルダー部におけるトレッド4の剛性が適切に維持される。このタイヤ2は良好な乗り心地が維持されている。
図2において、両矢印L2は、第二折返し部36bと内側層38との重なり部分の長さである。長さL2は内側層38の外面に沿って計測される。長さL2は10mm以上が好ましい。長さL2を10mm以上とすることで、この内側層38と外側層40とは、第二折返し部36bの端44を十分な力で保持する。これは、第二折返し部36bが内側層38を引っ張る力を大きくする。この内側層38の曲げ剛性は大きい。この内側層38は巻き込みが抑えられている。長さL2は30mm以下が好ましい。長さL2を30mm以下とすることで、ショルダー部におけるトレッド4の剛性が適切に維持される。このタイヤ2は良好な乗り心地が維持されている。
図2において、両矢印Mは、補強層24と内側層38との重なり部分の長さである。長さMは内側層38の内面に沿って計測される。長さは0mm以上が好ましい。長さMを0mm以上とすることで、この補強層24はバッドレス部の剛性に寄与する。これにより、ベルト14の巻き込みがより効果的に抑制される。長さMは20mm以下が好ましい。長さMを20mm以下とすることで、ショルダー部におけるトレッド4の剛性が適切に維持される。このタイヤ2は良好な乗り心地が維持されている。
図1において、実線BBLはビードベースラインを表している。このビードベースラインBBLは、タイヤ2が装着されるリムのリム径(JATMA参照)を規定する線に相当する。図において、両矢印HTは、このタイヤ2の断面高さである。図1において、両矢印HRは、補強層24の半径方向高さである。高さHRの高さHTに対する比(HR/HT)は、0.1以上が好ましい。比(HR/HT)を0.1以上とすることで、この補強層24はバッドレス部の剛性に寄与する。これにより、ベルト14の巻き込みがより効果的に抑制される。比(HR/HT)は、0.3以下が好ましい。比(HR/HT)を0.3以下とすることで、サイドウォール6の剛性が適切に維持される。このタイヤ2は良好な乗り心地が維持されている。
このタイヤ2では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、特に言及のない限り、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
補強層を備えないことの他は図1に示された構成を備えた、実施例1のラリー用空気入りタイヤを得た。このタイヤのサイズは、「205/65R15 94Q」とされた。このタイヤの諸元が下記の表1に示されている。この表の「折返し部の端位置」の「第一」の欄は、第一折返し部の端の位置を表す。この欄において、「OB外」は、第一折返し部の端が、外側層とバンドとの間に位置していることを表す。この表の「折返し部の端位置」の「第二」の欄は、第二折返し部の端の位置を表す。この欄において、「IB−OB間」は、第二折返し部の端が、内側層と外側層との間に位置していることを表す。このタイヤでは、長さL1は15mmとされ、長さL2は17mmとされた。
補強層を備えないことの他は図1に示された構成を備えた、実施例1のラリー用空気入りタイヤを得た。このタイヤのサイズは、「205/65R15 94Q」とされた。このタイヤの諸元が下記の表1に示されている。この表の「折返し部の端位置」の「第一」の欄は、第一折返し部の端の位置を表す。この欄において、「OB外」は、第一折返し部の端が、外側層とバンドとの間に位置していることを表す。この表の「折返し部の端位置」の「第二」の欄は、第二折返し部の端の位置を表す。この欄において、「IB−OB間」は、第二折返し部の端が、内側層と外側層との間に位置していることを表す。このタイヤでは、長さL1は15mmとされ、長さL2は17mmとされた。
[比較例1]
第一折返し部の端の位置及び第二折返し部の端の位置を表1の通りとした他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。表の「第一」の欄において、「IB内」は、第一折返し部の端が、内側層の内側に位置していることを表す。「第二」の欄において、「IB内」は、第二折返し部の端が、内側層の内側に位置していることを表す。比較例1は、従来のタイヤである。
第一折返し部の端の位置及び第二折返し部の端の位置を表1の通りとした他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。表の「第一」の欄において、「IB内」は、第一折返し部の端が、内側層の内側に位置していることを表す。「第二」の欄において、「IB内」は、第二折返し部の端が、内側層の内側に位置していることを表す。比較例1は、従来のタイヤである。
[比較例2−4]
第一折返し部の端の位置及び第二折返し部の端の位置を表1の通りとした他は実施例1と同様にして、比較例2−4のタイヤを得た。比較例2は、従来のタイヤである。
第一折返し部の端の位置及び第二折返し部の端の位置を表1の通りとした他は実施例1と同様にして、比較例2−4のタイヤを得た。比較例2は、従来のタイヤである。
[実施例2]
第二主部と第二折返し部との間に補強層を備えることの他は実施例1と同様にして、実施例2のタイヤを得た。すなわち、このタイヤは、図1に示された構造を備えている。この表の「補強層位置」の欄において「2M−2S間」は、補強層が第二主部と第二折返し部との間に位置していることを示す。このタイヤでは、長さMは15mmであり、比(HR/HT)は0.125である。
第二主部と第二折返し部との間に補強層を備えることの他は実施例1と同様にして、実施例2のタイヤを得た。すなわち、このタイヤは、図1に示された構造を備えている。この表の「補強層位置」の欄において「2M−2S間」は、補強層が第二主部と第二折返し部との間に位置していることを示す。このタイヤでは、長さMは15mmであり、比(HR/HT)は0.125である。
[比較例5]
このタイヤでは、第一折返し部の端の位置及び第二折返し部の端の位置が表2の通りとされている。補強層の位置が表2の通りとされている。「補強層位置」の欄において「1M−2M間」は、補強層が第一主部と第二主部との間に位置していることを示す。これは、従来の補強層を備えるタイヤである。
このタイヤでは、第一折返し部の端の位置及び第二折返し部の端の位置が表2の通りとされている。補強層の位置が表2の通りとされている。「補強層位置」の欄において「1M−2M間」は、補強層が第一主部と第二主部との間に位置していることを示す。これは、従来の補強層を備えるタイヤである。
[実施例3−4]
補強層の位置を表2の通りとしたことの他は実施例2と同様にして、実施例3−4のタイヤを得た。この表の「補強層位置」の欄において「2S−1S間」は、補強層が第二折返し部と第一折返し部との間に位置していることを示す。
補強層の位置を表2の通りとしたことの他は実施例2と同様にして、実施例3−4のタイヤを得た。この表の「補強層位置」の欄において「2S−1S間」は、補強層が第二折返し部と第一折返し部との間に位置していることを示す。
[実施例5−9]
補強層の最大厚さTを表3の通りとしたことの他は実施例2と同様にして、実施例5−9のタイヤを得た。
補強層の最大厚さTを表3の通りとしたことの他は実施例2と同様にして、実施例5−9のタイヤを得た。
[実施例10−15]
曲率半径Rを表4の通りとしたことの他は実施例7と同様にして、実施例10−15のタイヤを得た。
曲率半径Rを表4の通りとしたことの他は実施例7と同様にして、実施例10−15のタイヤを得た。
[実施例16−22]
硬さHを表5の通りとしたことの他は実施例13と同様にして、実施例16−22のタイヤを得た。
硬さHを表5の通りとしたことの他は実施例13と同様にして、実施例16−22のタイヤを得た。
[コーナリングフォース]
フラットベルト式タイヤ6分力測定装置を用い、下記の測定条件でコーナリングパワーを測定した。
使用リム:6.5J
内圧:230kPa
荷重:4.6kN
速度:60km/h
キャンバー角:0°
スリップ角:1°
この結果が、比較例1を100とした指数で、下記の表1−5に示されている。数値が大きいほど、高速耐久性に優れる。
フラットベルト式タイヤ6分力測定装置を用い、下記の測定条件でコーナリングパワーを測定した。
使用リム:6.5J
内圧:230kPa
荷重:4.6kN
速度:60km/h
キャンバー角:0°
スリップ角:1°
この結果が、比較例1を100とした指数で、下記の表1−5に示されている。数値が大きいほど、高速耐久性に優れる。
[高速耐久性]
タイヤを標準リム(サイズ=6.0J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を260kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、5.26kNの縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤを、直径が1.7mであるドラムの上を走行させた。速度を段階的に上昇させて、タイヤが破壊したときの速度に基づいて、評価を行った。この結果が、比較例1を100とした指数で、下記の表1−5に示されている。数値が大きいほど、高速耐久性に優れる。
タイヤを標準リム(サイズ=6.0J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を260kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、5.26kNの縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤを、直径が1.7mであるドラムの上を走行させた。速度を段階的に上昇させて、タイヤが破壊したときの速度に基づいて、評価を行った。この結果が、比較例1を100とした指数で、下記の表1−5に示されている。数値が大きいほど、高速耐久性に優れる。
表1−5に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、種々の車両にも適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・クリンチ
10・・・ビード
12・・・カーカス
14・・・ベルト
16・・・バンド
18・・・インナーライナー
20・・・フィラー
22・・・チェーファー
24・・・補強層
26・・・トレッド面
28・・・リムプロテクター
30・・・コア
32・・・エイペックス
34・・・第一プライ
34a・・・第一主部
34b・・・第一折返し部
36・・・第二プライ
36a・・・第二主部
36b・・・第二折返し部
38・・・内側層
40・・・外側層
42・・・第一折返し部の端
44・・・第二折返し部の端
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・クリンチ
10・・・ビード
12・・・カーカス
14・・・ベルト
16・・・バンド
18・・・インナーライナー
20・・・フィラー
22・・・チェーファー
24・・・補強層
26・・・トレッド面
28・・・リムプロテクター
30・・・コア
32・・・エイペックス
34・・・第一プライ
34a・・・第一主部
34b・・・第一折返し部
36・・・第二プライ
36a・・・第二主部
36b・・・第二折返し部
38・・・内側層
40・・・外側層
42・・・第一折返し部の端
44・・・第二折返し部の端
Claims (7)
- トレッド、カーカス、一対のビード、ベルト及びバンドを備えており、
上記カーカスが、第一プライと第二プライとを備えており、
上記第一プライが、一方のビードの軸方向内側から他方のビードの軸方向内側まで延びる第一主部と、それぞれのビードの軸方向外側において半径方向外側に向けて延びる一対の第一折返し部とを備えており、
上記第二プライが、上記第一主部の外側において一方のビードの軸方向内側から他方のビードの軸方向内側まで延びる第二主部と、上記ビードと上記第一折返し部との間において半径方向外側に向けて延びる一対の第二折返し部とを備えており、
上記ベルトが、上記トレッドの半径方向内側において上記カーカスと積層されている内側層と、この内側層の外側に積層されている外側層とを備えており、
上記バンドが上記ベルトの外側に積層されており、
上記第一折返し部の端が上記外側層と上記バンドとの間に位置しており、
上記第二折返し部の端が上記内側層と上記外側層との間に位置している空気入りタイヤ。 - 一対の補強層をさらに備えており、
それぞれの補強層が、上記タイヤのバットレス部において上記第二主部と第二折返し部との間に位置している請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 周方向に垂直な断面において、上記補強層がタイヤの外向きに凸な三日月状を呈しており、
上記補強層の最大厚みが2.0mm以上7.0mm以下である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。 - 上記補強層の外側において、上記第一折返し部の内側面の輪郭の曲率半径が、26mm以上32mm以下である請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 上記補強層の硬さが70以上120以下である請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 上記の第一折返し部と上記外側層との重なり部分の長さが10mm以上30mm以下である請求項1から5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 上記の第二折返し部と上記内側層との重なり部分の長さが10mm以上30mm以下である請求項1から6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016009648A JP2017128257A (ja) | 2016-01-21 | 2016-01-21 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016009648A JP2017128257A (ja) | 2016-01-21 | 2016-01-21 | 空気入りタイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017128257A true JP2017128257A (ja) | 2017-07-27 |
Family
ID=59395947
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016009648A Pending JP2017128257A (ja) | 2016-01-21 | 2016-01-21 | 空気入りタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017128257A (ja) |
-
2016
- 2016-01-21 JP JP2016009648A patent/JP2017128257A/ja active Pending
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