JP2017127804A - 酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法 - Google Patents

酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法 Download PDF

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智彦 倉橋
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Abstract

【課題】メタンガス及び/又は窒素ガスと二酸化炭素とを含有する混合ガスを処理して夫々のガス成分に効率よく分離することが可能な酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法を提供する。
【解決手段】(a)アルコキシシラン、酸触媒、水、及び有機溶媒を混合した混合液を調製する準備工程と、(b)前記混合液を無機多孔質支持体の表面に塗布する塗布工程と、(c)前記塗布工程が完了した無機多孔質支持体を熱処理し、当該無機多孔質支持体の表面にポリシロキサン網目構造体を含む膜を形成する膜形成工程と、(d)前記膜を形成した無機多孔質支持体を減圧乾燥する後処理工程と、を包含する酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸性ガスとその他のガスとを含む混合ガスを処理して夫々のガス成分に分離する酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法に関する。
石油に代わるエネルギー資源として、メタンガスの利用が従来から検討されている。メタンガスは、主に天然ガスとして得られるが、近年では、深海底に存在するメタンハイドレート、生ごみ等を生物学的処理したときに発生する消化ガス、石油精製において副生するオフガス等をメタンガス源とすることが検討されている。ところが、これらのメタンガス源には、メタンガスの他に酸性ガス(二酸化炭素や硫化水素等)が含まれていることがある。そこで、酸性ガスとメタンガスとを含む混合ガスを都市ガスの原料や燃料電池に使用する水素の原料に利用するためには、混合ガスからメタンガスのみを分離するか、あるいは混合ガス中のメタンガス濃度を高めることが必要となる。
また、工場や発電所から排出される排ガスには、窒素ガスと酸性ガスとが含まれている。この窒素ガスと酸性ガスとを含む混合ガスについても適切な処理を行い、夫々のガス成分に分離できれば、ガスの利用価値が高まる。例えば、工場の排ガスから酸性ガスである二酸化炭素を効率よく回収できれば、液化炭酸ガスとして製品化することも可能である。
なお、二酸化炭素は、地球温暖化の原因となり得るため、そのまま大気中に放出することは望ましくない。そこで、工場や発電所で発生した二酸化炭素を回収し、例えば、地中深くに貯蔵する技術(Carbon dioxide Capture and Storage:CCS)が様々な分野で検討されている。このCCSを推進するためにも、二酸化炭素を含む排ガスを適切に処理することが望まれている。
従来、二酸化炭素とメタンガスとを含む混合ガスからメタンガスを分離する技術として、例えば、分離膜を二段に配置し、各段の分離膜に混合ガスを通過させることにより、混合ガス中のメタンガス以外のガスを段階的に分離してメタンガスの濃度を高めるメタン濃縮装置があった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1のメタン濃縮装置は、混合ガスからメタンガスより分子径の小さい気体Aを分離するものであるが、分離膜として、気体Aとメタンとの透過係数比A/メタンが5以上且つ気体Aの透過率が1×10−9(mol・m−2・s−1・Pa−1)以上の特性を有する無機多孔質膜を使用している。このような分離膜を使用することで、メタン濃度が高いガスを高収率で回収できるとされている。
特開2008−260739号公報
メタンガス及び/又は窒素ガスと二酸化炭素とを含有する混合ガスを夫々のガス成分に効率よく分離するためには、例えば、混合ガスに含まれる二酸化炭素を効率よく透過させることが可能な分離膜を開発する必要がある。この点、特許文献1のメタン濃縮装置は、メタンガスより分子径の小さい気体Aを分離する分離膜を使用しており、気体Aには二酸化炭素も含まれる。そして、同文献の実施例によれば、二酸化炭素とメタンとの透過係数比CO/CHとして、3.3〜20の値が示されている。しかしながら、この程度の透過係数比ではメタンガスのロスが大きく、特許文献1のように分離膜を二段に構成し、さらに非透過ガスを再循環させる等の複雑な装置構成としなければ、実用レベルでメタンガスの濃縮を十分に行うことは困難であった。
また、特許文献1のようにシランアルコキシドのゾル−ゲル反応を利用して分離膜を形成するものにあっては、分離膜表面に未反応のアルコキシ基や水酸基等の残留基が存在することがある。ところが、このような残留基が存在すると、分離膜の緻密化が阻害されるだけでなく、分離前のガスと残留基とが反応して分離膜の分子構造が変化し、ガス分離性能に悪影響を及ぼす虞もある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、メタンガス及び/又は窒素ガスと二酸化炭素とを含有する混合ガスを処理して夫々のガス成分に効率よく分離することが可能な酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法の特徴構成は、
(a)アルコキシシラン、酸触媒、水、及び有機溶媒を混合した混合液を調製する準備工程と、
(b)前記混合液を無機多孔質支持体の表面に塗布する塗布工程と、
(c)前記塗布工程が完了した無機多孔質支持体を熱処理し、当該無機多孔質支持体の表面にポリシロキサン網目構造体を含む膜を形成する膜形成工程と、
(d)前記膜を形成した無機多孔質支持体を減圧乾燥する後処理工程と、
を包含することにある。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法によれば、無機多孔質支持体の表面に形成されたポリシロキサン網目構造体を含む膜に対し、後処理工程として減圧乾燥を行うことで、表面に存在する未反応の残留基を脱水縮合又は脱アルコール化し、消滅又は低減させることができる。そして、膜の残留基が存在していた部分にはシロキサン結合が形成されるため、膜は緻密なものとなり、ガス分離性能が向上する。また、残留基が消滅又は低減された膜は分子構造が安定しているため、良好なガス分離性能を長期に亘って維持することが可能となる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法において、
前記アルコキシシランは、炭化水素基含有トリアルコキシシランを30〜100重量%含有することが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法によれば、炭化水素基含有トリアルコキシシランを30〜100重量%含有するアルコキシシランを使用することで、減圧乾燥させた膜中には一定量の炭化水素基が存在することとなり、当該炭化水素基によって膜の分子構造中に分子レベルの空隙が適度に形成される。その結果、ガス透過率が一定以上に維持され、膜のガス分離性能とガス処理量とを両立させることができる。
上記課題を解決するための本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法の特徴構成は、
(a)テトラアルコキシシラン(A1)、炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B1)、酸触媒、水、及び有機溶媒を混合した第一混合液、並びにテトラアルコキシシラン(A2)、炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B2)、酸触媒、水、及び有機溶媒を混合した第二混合液を調製する準備工程であって、ここで、前記第一混合液におけるテトラアルコキシシラン(A1)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B1)との配合比率(A1/B1)は、前記第二混合液におけるテトラアルコキシシラン(A2)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B2)との配合比率(A2/B2)より大きく設定される準備工程と、
(b)前記第一混合液を無機多孔質支持体の表面に塗布する第一塗布工程と、
(c)前記第一塗布工程が完了した無機多孔質支持体を熱処理し、当該無機多孔質支持体の表面にポリシロキサン網目構造体を含む中間層を形成する中間層形成工程と、
(d)前記第二混合液を前記中間層の上に塗布する第二塗布工程と、
(e)前記第二塗布工程が完了した無機多孔質支持体を熱処理し、前記中間層の上にポリシロキサン網目構造体を含む分離層を形成する分離層形成工程と、
(f)前記分離層を形成した無機多孔質支持体を減圧乾燥する後処理工程と、
を包含することにある。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法によれば、中間層の上に形成されたポリシロキサン網目構造体を含む分離層に対し、後処理工程として減圧乾燥を行うことで、表面に存在する未反応の残留基を脱水縮合又は脱アルコール化し、消滅又は低減させることができる。そして、分離層の残留基が存在していた部分にはシロキサン結合が形成されるため、分離層は緻密なものとなり、ガス分離性能が向上する。また、残留基が消滅又は低減された分離層は分子構造が安定しているため、良好なガス分離性能を長期に亘って維持することが可能となる。
なお、準備工程においては、第一混合液におけるテトラアルコキシシラン(A1)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B1)との配合比率(A1/B1)は、第二混合液におけるテトラアルコキシシラン(A2)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B2)との配合比率(A2/B2)より大きく設定されているため、得られた分離膜においては、分離層の方が中間層よりも炭化水素基含有トリアルコキシシランに由来する炭化水素基が多く存在する。従って、この分離膜を使用して酸性ガス含有ガスを処理すると、酸性ガスが分離層に選択的に誘引され、そのまま分離膜を透過する。その結果、酸性ガス含有ガス中のメタンガス成分及び/又は窒素ガス成分が濃縮され、高濃度のメタンガス及び/又は窒素ガスを効率的に得ることができる。また、分離膜を通過した酸性ガスも高純度になっているため、利用価値が高いものとなる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法において、
前記準備工程において、前記配合比率(A2/B2)が重量比で0/100〜70/30に設定されることが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法によれば、テトラアルコキシシラン(A2)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B2)との配合比率(A2/B2)が重量比で0/100〜70/30のアルコキシシランを使用することで、減圧乾燥させた分離膜の分離層中には一定量の炭化水素基が存在することとなり、当該炭化水素基によって分離層の分子構造中に分子レベルの空隙が適度に形成される。その結果、ガス透過率が一定以上に維持され、分離膜のガス分離性能とガス処理量とを両立させることができる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法において、
前記準備工程において、前記混合液、あるいは、前記第一混合液及び/又は前記第二混合液に、酸性ガスと親和性を有する金属塩をさらに混合することが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法によれば、酸性ガスと親和性を有する金属塩が分離膜中に含まれることになるため、元々分離膜に含まれている炭化水素基による酸性ガス選択性と、金属塩による酸性ガスとの親和性とが相乗的に効果を発揮し、酸性ガス含有ガス処理用分離膜における酸性ガスの分離能をより高めることができる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法において、
前記金属塩は、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ni、Fe、及びAlからなる群から選択される少なくとも一種の金属の酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、又はリン酸塩であることが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法によれば、酸性ガスと親和性を有する金属塩として上記の有意な金属塩を選択しているため、酸性ガスの分離能をさらに高めることができる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法において、
前記後処理工程において、前記減圧乾燥は、温度50〜450℃、気圧1.0×10−2Mpa以下で実行されることが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法によれば、後処理工程の減圧乾燥を適切な条件で行っているため、ポリシロキサン網目構造体の表面に存在する殆どの残留基を脱水縮合又は脱アルコール化し、略確実に消滅させることができる。
分離性能確認試験に使用した気体透過速度測定装置の概略構成図である。
以下、本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法に関する実施形態について説明するが、便宜上、初めに酸性ガス含有ガス処理用分離膜について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する構成に限定されることを意図しない。
<酸性ガス含有ガス処理用分離膜>
本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、酸性ガスとメタンガス及び/又は窒素ガスとを含有する混合ガス(以下、「酸性ガス含有ガス」と称する場合がある。)を処理対象とするものである。ここで、酸性ガスとは、水に溶解したときに酸性を示すガスであり、二酸化炭素や硫化水素等が例示される。本実施形態では、特に、酸性ガスとして二酸化炭素を想定し、以降の説明を行う。従って、本明細書では、酸性ガス含有ガス処理用分離膜について、二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離膜として説明するが、メタンガスを分離するメタンガス分離膜、窒素ガスを分離する窒素ガス分離膜、あるいは二酸化炭素とメタンガス及び/又は窒素ガスとを同時に分離可能な二酸化炭素/(メタンガス及び/又は窒素ガス)分離膜とすることも可能である。以後、酸性ガス含有ガス処理用分離膜を、単純に「分離膜」と称する場合がある。
酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、ベースとなる無機多孔質支持体の上に直接分離層を形成することもできるが、無機多孔質支持体の表面に中間層を形成し、さらにその上から分離層を形成することが好ましい。そこで、以下の実施形態では、無機多孔質支持体の上に中間層及び分離層を順に形成した分離膜について説明する。
〔無機多孔質支持体〕
無機多孔質支持体は、例えば、シリカ系セラミックス、シリカ系ガラス、アルミナ系セラミックス、ステンレス、チタン、銀等の材料で構成される。これらのうち、アルミナ系セラミックスは、耐熱性に優れ、加工が容易であり、コスト的にも比較的安価であるため、無機多孔質支持体の材料として適している。無機多孔質支持体には、ガスが流入する流入部と、ガスが流出する流出部とが設けられる。例えば、ガス流入部は無機多孔質支持体に設けられた開口部であり、ガス流出部は無機多孔質支持体の外表面である。無機多孔質支持体の外表面をガス流入部とし、無機多孔質支持体に設けられた開口部をガス流出部とすることも可能である。無機多孔質支持体の外表面には無数の微細孔が形成されているため、外表面全体からガスが通流することができる。無機多孔質支持体の構成例としては、内部にガス流路が設けられた円筒構造、円管構造、チューブラー構造、スパイラル構造、一本のエレメントにレンコンの穴のように多数の流路が設けられたモノリス構造、内部に複雑に入り組んだ連続孔が形成された連通構造、多孔質体を柱形に成形した中実多孔質構造、多孔質体を筒形に成形した中空多孔質構造、ハニカム構造体を管状に並べたハニカム構造などが挙げられる。また、無機多孔質材料で構成される中実の平板体やバルク体を用意し、その一部を刳り抜いてガス流路を形成することで、無機多孔質支持体を構成しても構わない。無機多孔質支持体の微細孔のサイズは、nmオーダーからμmオーダーまで、用途に応じて選択することができる。
〔中間層〕
中間層は、無機多孔質支持体の表面を安定化させ、後述の分離層を形成し易くするために設けられる。例えば、微細孔のサイズが比較的大きい無機多孔質支持体の表面に後述する分離層の形成材料を含む混合液(ゾル)を直接塗布すると、混合液が微細孔の内部に過剰に浸透して無機多孔質支持体の表面に留まらず、分離層の成膜が難しくなることがある。そこで、無機多孔質支持体の表面に中間層を設けておくことで、微細孔の入口が中間層によって狭められ、混合液の塗布が容易になる。また、中間層によって無機多孔質支持体の表面が均等化されるため、分離層の剥離やひび割れを抑制することができる。
中間層は、シラン化合物を含むように構成される。本実施形態の中間層は、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランのゾル−ゲル反応によって得られる。
テトラアルコキシシランは、下記の式(1)で表される四官能性アルコキシシランである。
Figure 2017127804
好ましいテトラアルコキシシランは、式(1)において、R〜Rが同一のメチル基であるテトラメトキシシラン(TMOS)又は同一のエチル基であるテトラエトキシシラン(TEOS)である。
炭化水素基を含有する炭化水素基含有トリアルコキシシランは、下記の式(2)で表される三官能性アルコキシシランである。
Figure 2017127804
好ましい炭化水素基含有トリアルコキシシランは、式(2)において、R〜Rが同一のメチル基であるトリメトキシシラン又は同一のエチル基であるトリエトキシシランのSi原子に炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基が結合したものである。例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが挙げられる。
式(1)のテトラアルコキシシランと、式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランとをゾル−ゲル反応させると、例えば、下記の式(3)で表される分子構造を有するポリシロキサン網目構造体が得られる。
Figure 2017127804
式(3)のポリシロキサン網目構造体の原材料の一つである式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランは、Rの違いにより特性が異なる。例えば、メチルトリメトキシシラン又はメチルトリエトキシシラン(炭化水素基の炭素数が1のもの)は主に二酸化炭素に対して親和性を有し、トリメトキシシラン又はトリエトキシシランのSi原子に炭素数2〜6のアルキル基又はフェニル基が結合したもの(炭化水素基の炭素数が2〜6のもの)は主にメタンガスに対して親和性を有する。そして、式(1)のテトラアルコキシシランと、式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランとの反応から、式(3)のポリシロキサン網目構造体を合成するにあたり、テトラアルコキシシラン(これをAとする)と、炭化水素基含有トリアルコキシシラン(これをBとする)とを最適な配合比率に設定すると、二酸化炭素又はメタンガスの分離性能に優れた分離膜を形成することが可能となる。
中間層を形成するにあたっては、テトラアルコキシシラン(A1)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B1)との配合比率(A1/B1)が重量比で30/70〜99.9/0.1、好ましくは60/40〜99.9/0.1となるように、式(1)のテトラアルコキシシランと、式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランとを配合する。この場合、中間層は、炭化水素基含有トリアルコキシシランに由来する炭化水素基を含有するため、一般的な網目構造体よりも柔軟性を有するものとなり、テトラアルコキシシランによってある程度の剛性を維持しながら、全体の柔軟性やフレキシブル性を向上させることができる。その結果、中間層が安定化し、後述する分離層の成膜性が良好なものとなる。式(3)のポリシロキサン網目構造体は、ポリシロキサンネットワーク構造中に炭化水素基Rが存在しており、ある種の有機−無機複合体を形成している。
なお、分離膜の分離性能をさらに高めるため、上記式(3)のポリシロキサン網目構造体に二酸化炭素と親和性を有する金属塩を添加(ドープ)することが好ましい。金属塩としては、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ni、Fe、及びAlからなる群から選択される少なくとも一種の金属の酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、又はリン酸塩が挙げられる。これらのうち、硝酸マグネシウム又は酢酸マグネシウムが好ましい。硝酸マグネシウム等を初めとする上記金属塩は、二酸化炭素との親和性が良好であるため、二酸化炭素の分離効率向上に有効となる。金属塩を添加する方法は、例えば、ポリシロキサン網目構造体を、金属塩を含む水溶液に浸漬し、ポリシロキサン網目構造体の内部に金属塩を単独又は他の物質とともに含浸させる含浸法により行われるが、ポリシロキサン網目構造体の原材料に金属塩を予め添加しておいても構わない。
〔分離層〕
分離層は、二酸化炭素とメタンガス及び/又は窒素ガスとを含む混合ガスから、二酸化炭素を選択的に誘引して分離する機能を有する。分離層は、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランのゾル−ゲル反応によって得られる。
テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランは、中間層の形成に使用する上述の式(1)で表されるテトラアルコキシシラン、及び式(2)で表される炭化水素基含有トリアルコキシシランと同様のものを使用できる。好ましいテトラアルコキシシランは、中間層と同様であり、式(1)において、R〜Rが同一のメチル基であるテトラメトキシシラン(TMOS)又は同一のエチル基であるテトラエトキシシラン(TEOS)である。好ましい炭化水素基含有トリアルコキシシランについても、中間層と同様であり、式(2)において、R〜Rが同一のメチル基であるトリメトキシシラン又は同一のエチル基であるトリエトキシシランのSi原子に炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基が結合したものである。
分離層においても、式(1)のテトラアルコキシシランと、式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランとをゾル−ゲル反応させることにより、前述した式(3)で表される分子構造を有するポリシロキサン網目構造体が得られる。分離層を形成するにあたっては、テトラアルコキシシラン(A2)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B2)との配合比率(A2/B2)が重量比で0/100〜70/30、好ましくは40/60〜70/30となるように、式(1)のテトラアルコキシシランと、式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランとを配合する。さらに、中間層及び分離層の形成に際しては、中間層形成時の上記配合比率(A1/B1)が分離層形成時の上記配合比率(A2/B2)より大きくなるように、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランを配合する。この場合、分離層の方が中間層よりも炭化水素基含有トリアルコキシシランに由来する炭化水素基を多く含有するため、混合ガス中の酸性ガスが選択的に分離層に誘引され、混合ガスからの酸性ガスの分離を効率よく行うことができる。
なお、分離層においても、分離膜の分離性能をさらに高めるため、上記式(3)のポリシロキサン網目構造体に二酸化炭素と親和性を有する金属塩を添加(ドープ)することが好ましい。分離層に添加可能な金属塩の種類、及び添加方法は、中間層の場合と同様とすることができる。
<酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法>
本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、以下の工程(a)〜(f)によって製造される。以下、各工程について詳細に説明する。
(a)準備工程
準備工程として、テトラアルコキシシラン(A1)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B1)との配合比率(A1/B1)が重量比で30/70〜99.9/0.1に調整されたアルコキシシラン、酸触媒、水、及び有機溶媒を混合した第一混合液を調製する。第一混合液は、次工程の「第一塗布工程」において使用されるものである。アルコキシシラン(テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシラン)、酸触媒、水、並びに有機溶媒の夫々の配合量は、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランの合計量1モルに対して、酸触媒0.001〜0.1モル、水0.5〜60モル、有機溶媒5〜60モルに調整することが好ましい。酸触媒の配合量が0.001モルより少ない場合、加水分解速度が小さくなり、分離膜の製造に要する時間が長くなる。酸触媒の配合量が0.1モルより多い場合、加水分解速度が過大となり、均一な分離膜が得られ難くなる。水の配合量が0.5モルより少ない場合、加水分解反応を伴うゾルーゲル反応生成物が十分に成長しない。水の配合量が60モルより多い場合、成膜性が悪化する。有機溶媒の配合量が5モルより少ない場合、第一混合液の濃度が高くなり、緻密で均一な分離膜が得られ難くなる。有機溶媒の配合量が60モルより多い場合、第一混合液の濃度が低くなり、混合液のコーティング回数(工程数)が増加して生産効率が低下する。酸触媒としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等が使用される。これらのうち、硝酸又は塩酸が好ましい。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンゼン、トルエン等が使用される。これらのうち、メタノール又はエタノールが好ましい。
第一混合液を調製すると、先ず、テトラアルコキシシランが加水分解及び重縮合を繰り返すゾル−ゲル反応が開始する。テトラアルコキシシランは、上述の「酸性ガス含有ガス処理用分離膜」の項目で説明したものを使用することができる。例えば、テトラアルコキシシランの一例としてテトラエトキシシラン(TEOS)を使用した場合、ゾル−ゲル反応は下記のスキーム1のように進行すると考えられる。なお、このスキーム1は、ゾル−ゲル反応の進行を表す一つのモデルであり、実際の分子構造をそのまま反映しているとは限らない。
Figure 2017127804
スキーム1によれば、初めに、テトラエトキシシランの一部のエトキシ基が加水分解され、脱アルコール化することによりシラノール基が生成する。ここで、第一混合液中で進行する加水分解反応を「第一加水分解反応」とする。テトラエトキシシランの一部のエトキシ基は加水分解されず、そのまま残存し得る。次いで、一部のシラノール基が近傍のシラノール基と会合し、脱水することにより重縮合する。その結果、シラノール基又はエトキシ基が残存したシロキサン骨格が形成される。上記の第一加水分解反応、及び脱水・重縮合反応は混合液系内で略均等に進行するため、シラノール基又はエトキシ基はシロキサン骨格中に略均等に分散した状態で存在する。この段階では、シロキサンの分子量はそれほど大きいものではなく、ポリマーよりもむしろオリゴマーの状態にある。従って、シラノール基又はエトキシ基含有シロキサンオリゴマーは、有機溶媒を含む第一混合液に溶解した状態にある。
次に、シロキサンオリゴマーと炭化水素基含有トリアルコキシシランとの反応が開始する。炭化水素基含有トリアルコキシシランは、上述の「酸性ガス含有ガス処理用分離膜」の項目で説明したものを使用することができる。例えば、炭化水素基含有トリアルコキシシランの一例としてメチルトリエトキシシランを使用した場合、反応は下記のスキーム2のように進行すると考えられる。なお、このスキーム2は、反応の進行を表す一つのモデルであり、実際の分子構造をそのまま反映しているとは限らない。
Figure 2017127804
スキーム2によれば、シロキサンオリゴマーのシラノール基又はエトキシ基と、メチルトリエトキシシランのエトキシ基とが反応し、脱アルコール化することによりポリシロキサン結合が生成する。ここで、シロキサンオリゴマーのシラノール基又はエトキシ基は、上述のようにシロキサン骨格中に略均等に分散しているため、シロキサンオリゴマーのシラノール基又はエトキシ基とメチルトリエトキシシランのエトキシ基との反応(脱アルコール化)も略均等に進行すると考えられる。その結果、生成したポリシロキサン結合中にはメチルトリエトキシシラン由来のシロキサン結合が略均等に生成し、従って、メチルトリエトキシシラン由来のメチル基もポリシロキサン結合中に略均等に存在する。そして、反応がさらに進行すると、微細化されたポリシロキサン網目構造体が液中に分散した懸濁液の状態となる。
準備工程では、上記の第一混合液とは別に、テトラアルコキシシラン(A2)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B2)との配合比率(A2/B2)が重量比で0/100〜70/30に調整されたアルコキシシラン、酸触媒、水、及び有機溶媒を混合した第二混合液をさらに調製する。第二混合液は、後述の「第二塗布工程」において使用されるものである。アルコキシシラン(テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシラン)、酸触媒、水、並びに有機溶媒の夫々の配合量は、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランの合計量1モルに対して、酸触媒0.005〜0.1モル、水0.017〜3モル、有機溶媒5〜60モルに調整することが好ましい。酸触媒の配合量が0.005モルより少ない場合、加水分解速度が小さくなり、分離膜の製造に要する時間が長くなる。酸触媒の配合量が0.1モルより多い場合、加水分解速度が過大となり、均一な分離膜が得られ難くなる。水の配合量は、第一混合液よりも少なく設定されるが、水の配合量が0.017モルより少ない場合、加水分解速度が小さくなり、後述のゾル−ゲル反応が十分に進行しない。水の配合量が3モルより多い場合、緻密で均一な分離膜が得られ難くなる。有機溶媒の配合量が5モルより少ない場合、第二混合液の濃度が高くなり、緻密で均一な分離膜が得られ難くなる。有機溶媒の配合量が60モルより多い場合、第二混合液の濃度が低くなり、混合液のコーティング回数(工程数)が増加して生産効率が低下する。酸触媒及び有機溶媒は、第一混合液と同様のものを使用することができる。第二混合液を調製する際、二酸化炭素と親和性を有する金属塩を配合することも可能である。金属塩の配合量は、上記の配合条件の場合、0.01〜0.3モルに調整される。二酸化炭素と親和性を有する金属塩としては、上述の「酸性ガス含有ガス処理用分離膜」の項目で説明したものを使用することができる。金属塩を添加する場合は、ゾル−ゲル反応時にポリシロキサンに取り込まれた金属塩はポリシロキサン結合中に略均等に分散すると考えられる。
なお、第一混合液及び第二混合液を調製するにあたっては、第一混合液調製時の上記配合比率(A1/B1)が第二混合液調製時の上記配合比率(A2/B2)より大きくなるように、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランを配合する。このような配合とすれば、最終的に得られる分離膜は、分離層の方が中間層よりも炭化水素基含有トリアルコキシシランに由来する炭化水素基を多く含有することになるため、酸性ガスの分離性能と成膜性とのバランスが良好なものとなる。
第二混合液の反応は、上述のスキーム1及びスキーム2と同様である。第二混合液中で進行する加水分解反応を「第二加水分解反応」とする。ここで、第一加水分解反応と第二加水分解反応とを比較すると、第一混合液に含まれる水の量は第二混合液に含まれる水の量より多く設定されているため、第一加水分解反応は第二の加水分解反応より加水分解速度が大きいものとなる。加水分解速度が大きくなると、ゾル−ゲル反応によって得られるポリシロキサン網目構造体の高分子化が進行し、後述する無機多孔質支持体の表面を安定化させることができる。
以上のように準備工程が行われるが、第一混合液の調製においては、水を複数回に分けて混合することが好ましい。この場合、第一加水分解反応を確実に進行させることができるため、無機多孔質支持体の表面をより安定化させることができる。また、第一混合液及び第二混合液の調製においては、酸触媒を複数回に分けて混合したり、加水分解し易い炭化水素基含有トリアルコキシシランを最後に混合する等の工夫を行うことが好ましい。例えば、混合液のpHが常に0.8〜2.5の範囲に収まるように、組成を調製する。この場合、混合液のpHが大きく変動しないため、炭化水素基含有トリアルコキシシランの加水分解が急激に進行せず、安定した状態でゾル−ゲル反応を進行させることができる。さらに、第一混合液の調製に使用する水の量をW1とし、第二混合液の調製に使用する水の量をW2としたとき、両者の比率(W1/W2)は、モル換算で10〜20に設定されることが好ましい。この場合、後述する中間層がより安定化し、中間層の上に形成される分離層のガス選択性及びガス透過性を向上させることができる。
(b)第一塗布工程
第一塗布工程として、準備工程で得られた第一混合液(微細化されたポリシロキサン網目構造体の懸濁液)を無機多孔質支持体に塗布する。無機多孔質支持体に第一混合液を塗布する方法は、例えば、ディッピング法、スプレー法、スピン法等が挙げられる。これらのうち、ディッピング法は、無機多孔質支持体の表面に混合液を均等且つ容易に塗布できるため、好ましい塗布方法である。ディッピング法の具体的な手順について説明する。
先ず、無機多孔質支持体を第一混合液に浸漬する。浸漬時間は、無機多孔質支持体に第一混合液が十分に付着するように5秒〜10分とすることが好ましい。浸漬時間が5秒より短いと十分な膜厚にならず、10分を超えると膜厚が大きくなり過ぎてしまう。次いで、第一混合液から無機多孔質支持体を引き上げる。引き上げ速度は、0.1〜2mm/秒とすることが好ましい。引き上げ速度が0.1mm/秒より遅くなると膜厚が大きくなり過ぎてしまい、2mm/秒より速いと十分な膜厚にならない。次いで、引き上げた無機多孔質支持体を乾燥させる。乾燥条件は、15〜40℃で0.5〜3時間とすることが好ましい。乾燥時間が0.5時間未満では十分な乾燥ができず、3時間を超えても乾燥状態は殆ど変化しない。乾燥が終わると、無機多孔質支持体の表面(一部の微細孔の内面を含む)に微細化されたポリシロキサン網目構造体が付着したものが得られる。なお、無機多孔質支持体の浸漬、引き上げ、乾燥の一連の手順を複数回繰り返すことにより、無機多孔質支持体への微細化されたポリシロキサン網目構造体の付着量を増加させることができる。また、一連の手順を繰り返すことで、無機多孔質支持体に第一混合液を均一に塗布することができるため、最終的に得られる酸性ガス含有ガス処理用分離膜をより安定させることができる。
(c)中間層形成工程
中間層形成工程として、第一塗布工程が完了した無機多孔質支持体を熱処理し、当該無機多孔質支持体の表面に微細化されたポリシロキサン網目構造体を固着又は融着させてポリシロキサン網目構造体を主材とした中間層を形成する。熱処理は、例えば、焼成器等の加熱手段が用いられる。熱処理の具体的な手順について説明する。
先ず、無機多孔質支持体を後述の熱処理温度に達するまで昇温する。昇温時間は、1〜24時間が好ましい。昇温時間が1時間より短いと急激な温度変化により均一な膜が得られ難く、24時間より長いと長時間の加熱により膜が劣化する虞がある。昇温後、一定時間で熱処理(焼成)を行う。熱処理温度は、30〜300℃が好ましく、50〜200℃がより好ましい。熱処理温度が30℃より低いと十分な熱処理を行えないため緻密な膜が得られず、300℃より高いと高温の加熱により膜が劣化する虞がある。熱処理時間は、0.5〜6時間が好ましい。熱処理時間が0.5時間より短いと十分な熱処理を行えないため緻密な膜が得られず、6時間より長いと長時間の加熱により膜が劣化する虞がある。熱処理が終わったら、無機多孔質支持体を室温まで冷却する。冷却時間は、5〜10時間が好ましい。冷却時間が5時間より短いと急激な温度変化により膜に亀裂や剥離が発生する虞があり、10時間より長いと膜の生産性が悪化する。冷却後の無機多孔質支持体の表面(一部の微細孔の内面を含む)には中間層が形成される。中間層は、目付量が0.1〜4.0mg/cmに調整され、好ましくは0.5〜2.0mg/cmに調整される。なお、「中間層形成工程」の後、上述した「第一塗布工程」に戻り、第一塗布工程と中間層形成工程とをセットとして、これを複数回繰り返すと、無機多孔質支持体の表面に、より緻密で且つ均一な膜質の中間層を形成することができる。
(d)第二塗布工程
第二塗布工程として、中間層形成工程によって中間層が形成された無機多孔質支持体に第二混合液(微細化されたポリシロキサン網目構造体の懸濁液)を塗布する。第二塗布工程で塗布される第二混合液は、中間層を介して無機多孔質支持体に塗布されるため、無機多孔質支持体への第二混合液の浸み込み量(無機多孔質支持体の表面から深さ方向にテトラアルコキシシラン又は炭化水素基含有トリアルコキシシランが浸み込む距離)を50μm以下に抑えることができる。従って、無機多孔質支持体の微細孔が過度に塞がれることがなく、後述の分離層形成工程により完成した酸性ガス含有ガス処理用分離膜に混合ガスを通過させた場合、ガス通過量(混合ガスの処理量)を維持することができる。また、無機多孔質支持体に塗布する中間層及び分離層の形成材料(ゾル)の塗布量を低減することができるため、酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造コストの削減にも寄与し得る。第二混合液を塗布する方法及び条件は、第一塗布工程と同様である。第二塗布工程においても、第二混合液への無機多孔質支持体の浸漬、引き上げ、乾燥の一連の手順を複数回繰り返すことにより、無機多孔質支持体への微細化されたポリシロキサン網目構造体の付着量を増加させることができる。また、一連の手順を繰り返すことで、無機多孔質支持体に第二混合液を均一に塗布することができるため、最終的に得られる酸性ガス含有ガス処理用分離膜の分離性能をより向上させることができる。
(e)分離層形成工程
分離層形成工程として、第二塗布工程が完了した無機多孔質支持体を熱処理し、当該無機多孔質支持体の表面に微細化されたポリシロキサン網目構造体を固着又は融着させてポリシロキサン網目構造体を主材とした分離層を形成する。熱処理の方法及び条件は、中間層形成工程と同様である。分離層形成工程により、中間層の上に分離層が形成される。分離層は、目付量が0.1〜3.0mg/cmに調整され、好ましくは0.3〜1.5mg/cmに調整される。なお、「分離層形成工程」の後、上述した「第二塗布工程」に戻り、第二塗布工程と分離層形成工程とをセットとして、これを複数回繰り返すと、無機多孔質支持体の表面に、より緻密で且つ均一な膜質の分離層を形成することができる。
(f)後処理工程
後処理工程として、分離層を形成した無機多孔質支持体を減圧乾燥する。減圧乾燥を行う理由は、ポリシロキサン網目構造体の表面に存在する未反応の残留基を脱水縮合又は脱アルコール化し、消滅又は低減させるためである。減圧乾燥を行うと、分離膜の残留基が存在していた部分にはシロキサン結合が形成される。その結果、分離膜は緻密なものとなり、ガス分離性能が向上する。また、残留基が消滅又は低減された分離膜は、膜の分子構造が安定しているため、良好なガス分離性能を長期に亘って維持することが可能となる。減圧乾燥は、例えば、加熱機能を備えた真空乾燥機により行うことができる。減圧乾燥の条件は、温度50〜450℃、好ましくは100〜150℃で、気圧1.0×10−2Mpa以下、好ましくは1.0×10−3Mpa以下で実行される。温度が50℃未満の場合、あるいは気圧が1.0×10−2Mpaを超える場合、残留基の脱水縮合又は脱アルコール化を十分に進行させることが困難となる。温度が450℃を超える場合、高温のためポリシロキサン網目構造体の表面の炭化水素基や多孔質構造が消失する虞がある。後処理工程を上記の適切な減圧乾燥条件で実施すれば、ポリシロキサン網目構造体の表面に存在する殆どの残留基を脱水縮合又は脱アルコール化することができ、残留基を略確実に消滅させて緻密な膜に仕上げることができる。
以上の工程(a)〜(f)を実施することにより、中間層及び分離層を備えた本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜が完成する。なお、無機多孔質支持体の表面に分離層を直接形成する場合(すなわち、中間層を備えていない分離膜を形成する場合)は、上述の第二混合液に相当する混合液のみを調製する準備工程を実行し、次いで、この混合液を無機多孔質支持体の表面に塗布する塗布工程を実行し、次いで、塗布工程が完了した無機多孔質支持体を熱処理し、当該無機多孔質支持体の表面にポリシロキサン網目構造体を含む膜を形成する膜形成工程を実行し、最後に、膜を形成した無機多孔質支持体を減圧乾燥する後処理工程を実行すればよい。
本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、特定のガス(本実施形態の場合、二酸化炭素)を誘引するサイト(メチル基)を有する分離層を備えたものである。分離層は、中間層を介して、又は介さずに、無機多孔質支持体の表面に形成されるものであり、減圧乾燥を行うことで、分離層の表面は一定の緻密性を有するものとなる。また、中間層を備える酸性ガス含有ガス処理用分離膜にあっては、中間層に含まれるポリシロキサン網目構造体は、炭化水素基含有トリアルコキシシランに由来する炭化水素基を含有するため、一般的な網目構造体よりも柔軟性を有するものとなる。このため、中間層は、テトラアルコキシシランによってある程度の剛性を維持しながら、全体の柔軟性やフレキシブル性が向上したものとなる。中間層の柔軟性が向上すると、中間層の成膜性が向上する。これにより、中間層のひび割れや剥がれが防止され、無機多孔質支持体への分離層の原材料液の浸み込み量が低減される。原材料液の浸み込み量(浸み込む距離)は50μm以下であれば問題はないが、好ましくは、20μm以下である。この場合、分離層の厚みの増加が抑えられ、ガス透過性に優れた酸性ガス含有ガス処理用分離膜を得ることができる。
また、中間層及び分離層に夫々含まれるポリシロキサン網目構造体は、テトラアルコキシシランと炭化水素基含有トリアルコキシシランとの配合比率が異なるのみで、同じ系統の材料で構成されたものであるから、互いに対して高い親和性を有している。従って、中間層と分離層との間で界面剥離やひび割れ等が発生せず、両者は強固に密着し、安定な酸性ガス含有ガス処理用分離膜を構成することができる。
さらに、本発明では、分離層のポリシロキサン網目構造体を形成するにあたって、炭化水素基含有トリアルコキシシランを30〜100重量%含有するアルコキシシランを使用している。このため、減圧乾燥させた分離膜中には一定量の炭化水素基が存在することとなり、当該炭化水素基によって分離膜の分子構造中に分子レベルの空隙が適度に形成される。その結果、ガス透過率が一定以上に維持され、分離膜のガス分離性能とガス処理量とを両立させることができる。そして、酸性ガス含有ガス処理用分離膜に、例えば、二酸化炭素等の酸性ガスとメタンガスとを含有する混合ガスを通過させると、分離層の方が中間層よりも炭化水素基含有トリアルコキシシランに由来する炭化水素基を多く含有しているため、混合ガス中の酸性ガスが選択的に分離層に誘引され、そのまま分離膜を透過する。その結果、混合ガス中のメタンガス成分が濃縮され、高濃度のメタンガスを効率的に得ることができる。濃縮されたメタンガスは、都市ガスの原料や、燃料電池に使用する水素の原料に利用することができる。なお、分離層がメタンガスを誘引するサイト(エチル基以上の炭素数を有する炭化水素基)を有する場合は、二酸化炭素とメタンガスとを含む混合ガスを通過させると、分離層にメタンガスが選択的に誘引され、メタンガスは細孔をそのまま透過する。従って、この場合は、分離膜を透過したメタンガスを回収し、これを都市ガスの原料や、燃料電池に使用する水素の原料に利用することができる。
本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、減圧乾燥を行うことにより、ポリシロキサン網目構造体の表面に存在する未反応の残留基を消滅又は低減させるものであるが、その効果を確認するため、同一の分離膜を使用し、減圧乾燥前(後処理前)及び減圧乾燥後(後処理後)の夫々の分離膜について、同条件でガス分離性能確認試験を実施した。
分離膜の作製にあたっては、無機多孔質支持体としてチューブラー構造を有するアルミナ系セラミックス管状体を使用した。また、中間層及び分離層の原材料として、以下の試薬を使用した。
(a)テトラアルコキシシラン:テトラエトキシシラン(信越化学工業株式会社製 信越シリコーンLS−2430)
(b)炭化水素基含有トリアルコキシシラン:メチルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製 信越シリコーンLS−1890)
(c)酸触媒:硝酸(和光純薬工業株式会社製 試薬特級)
(d)有機溶媒:エタノール(和光純薬工業株式会社製 試薬特級99.5%)
(e)金属塩:硝酸マグネシウム六水和物(アルドリッチ社製)
<第一混合液の調製>
硝酸(水で100倍希釈したもの)1.6g、エタノール77.2g、水(1段目)1.4gの混合液を30分間攪拌し、次いでテトラエトキシシラン17.4gを添加して1時間攪拌し、さらにメチルトリエトキシシラン6.8gを添加して2.5時間撹拌し、最後に水(2段目)72.4gを添加して2時間撹拌することにより、中間層形成用アルコキシド液(第一混合液)を調製した。中間層形成用アルコキシド液におけるテトラエトキシシラン(A1)とメチルトリエトキシシラン(B1)との配合比率(A1/B1)は、重量比で72/28であった。
<第二混合液の調製>
硝酸(硝酸0.01molを水2molで希釈したもの)5.7g、エタノール144.3gの混合液を30分間攪拌し、次いでメチルトリエトキシシラン27.9gを添加して2.5時間撹拌し、さらに硝酸マグネシウム六水和物2.0gを添加して2時間撹拌することにより、分離層形成用アルコキシド液(第二混合液)を調製した。中間層形成用アルコキシド液におけるテトラエトキシシラン(A2)とメチルトリエトキシシラン(B2)との配合比率(A2/B2)は、重量比で0/100であった。
<中間層及び分離層の形成>
チューブラー構造を有するアルミナ系セラミックス管状体の表面に第一混合液をディッピング法によって塗布した。ディッピング法の引き上げ速度は5mm/sとし、引き上げ後は室温で1時間乾燥させた。第一混合液の塗布及び乾燥を2回繰り返した後、焼成器で熱処理を行った。熱処理条件は、室温(25℃)から150℃まで5時間かけて加熱し、150℃で2時間保持し、25℃まで5時間かけて冷却した。上記の作業(コーティング)を3回繰り返し、管状体の表面に中間層を形成した。次に、中間層を形成した管状体の表面に第二混合液をディッピング法によって塗布した。ディッピング法の引き上げ速度は5mm/sとし、引き上げ後は室温で1時間乾燥させた。第二混合液の塗布及び乾燥を2回繰り返した後、焼成器で熱処理を行った。熱処理条件は、室温(25℃)から150℃まで5時間かけて加熱し、150℃で2時間保持し、25℃まで5時間かけて冷却した。上記の作業(コーティング)を2回繰り返し、中間層の上に分離層が形成された分離膜を得た。この分離膜について、先ずはそのまま後述する分離性能確認試験に供した(比較例1)。次に、比較例1として使用した分離膜を真空オーブンに投入し、後処理工程として減圧乾燥を行い(乾燥温度:100℃、気圧:1.0×10−3Mpa、乾燥時間:60分)、後処理後の分離膜を同様の分離性能確認試験に供した(実施例1)。
<分離性能確認試験>
上記の手順により作製した分離膜(実施例1、比較例1)について、二酸化炭素の分離性能に関する確認試験を行った。この確認試験では、分離膜に窒素を透過させたときの気体透過速度〔P(N)〕、及び同じ分離膜に二酸化炭素を透過させたときの気体透過速度〔P(CO)〕を測定した。ここで、窒素の気体分子径は3.64Åであり、二酸化炭素の気体分子径は3.3Åである。このため、窒素よりも気体分子径が小さい二酸化炭素は分離膜を透過し易い。従って、このような気体によって異なる性質を利用し、さらに膜の構成を適切に設定すれば、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を分離することが可能となる。なお、この確認試験では、分離膜にメタンガスを透過させたときの気体透過速度〔P(CH)〕の測定は行っていないが、メタンガスの気体分子径(3.8Å)は窒素の気体分子径(3.64Å)よりも若干大きいため、本発明の分離膜によって二酸化炭素と窒素との分離が可能であることが確認できれば、二酸化炭素とメタンガスとの分離も可能であると推定される。
図1は、分離性能確認試験に使用した気体透過速度測定装置10の概略構成図である。気体透過速度測定装置10は、ガスシリンダー1、圧力ゲージ2、チャンバー3、及び質量流量計4を備える。分離膜5は、チャンバー3の内部に設置される。
測定ガスである二酸化炭素又は窒素をガスシリンダー1に予め充填しておく。ここでは、二酸化炭素をガスシリンダー1に充填したものとして説明する。ガスシリンダー1から排出された二酸化炭素は、圧力ゲージ2によって圧力が調整され、下流側のチャンバー3に供給される。本確認試験では、二酸化炭素の供給圧を室温で0.1MPaに調整した。管状体である分離膜5は、一端(先端側)5aが封止され、他端(基端側)5bに耐熱ガラス管6が接続される。耐熱ガラス管6は、コーニング社製のパイレックス(登録商標)管(外径8mm、内径6mm、長さ10mm)を使用した。ただし、耐熱ガラス管6の一端側は、分離膜5(内径7mm)に内挿できるように、外径が7mm以下に縮径加工されている。分離膜5と耐熱ガラス管6との接続箇所は、接着剤(セメダイン株式会社製の接着剤「セメダイン(登録商標)C」)で接着し、さらにエポキシ樹脂(ナガセケムテックス株式会社製の二液性エポキシ系接着剤「AV138」及び「HV998」)によってシールした。チャンバー3が二酸化炭素で充満されると、二酸化炭素は管状体である分離膜5の表面から管内に透過し、耐熱ガラス管6を通過して質量流量計4に流入する。質量流量計4には、コフロック社製の熱式質量流量計(マスフローメーター「5410」)を使用した。測定条件は、流量レンジを10mL/分、フルスケール(FS)最大流量に対する精度は±1%(20℃)とした。質量流量計4で測定した二酸化炭素の流量〔mL/min〕から、二酸化炭素の気体透過速度〔P(CO)〕(m/(m×s(秒)×Pa))を算出した。窒素についても上記と同様の手順により気体透過速度〔P(N)〕(m/(m×s(秒)×Pa))を算出した。そして、二酸化炭素の気体透過速度〔P(CO)〕と窒素の気体透過速度〔P(N)〕との比率である透過速度比〔α(CO/N)〕から二酸化炭素の分離性能を評価した。分離性能確認試験の結果を以下の表1に示す。
Figure 2017127804
後処理工程(減圧乾燥)を実施した実施例1の分離膜は、二酸化炭素と窒素との透過速度比〔α(CO/N)〕が大きくなり、二酸化炭素の分離性能に優れるものであった。これに対し、後処理工程(減圧乾燥)を実施しなかった比較例1の分離膜は、透過速度比〔α(CO/N)〕が実施例1の分離膜よりも小さくなり、実用レベルの二酸化炭素の分離性能は達成されなかった。本確認試験によれば、分離膜に減圧乾燥を行うことにより、二酸化炭素と窒素との透過速度比が約1.8倍に向上することが認められた。なお、各ガスの透過速度に関しては、減圧乾燥を実施した実施例1の分離膜は、減圧乾燥を実施しなかった比較例1の分離膜に対して、若干の透過速度の低下が認められた。これは、減圧乾燥によって分離膜の残留基が存在していた部分にシロキサン結合が形成され、分離膜が緻密化したためと考えられる。
以上より、本発明の製造方法に従って作製した酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、少なくとも二酸化炭素の分離性能に優れたものであるため、メタンガスと二酸化炭素とを含有する混合ガスに適用した場合、当該混合ガスから二酸化炭素を効率よく分離し、メタンガスを有用な濃度にまで濃縮し得ることが示唆された。
本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法は、都市ガスの製造設備、燃料電池への水素供給設備、工場排ガスの浄化設備、及び液化炭酸ガス製造設備等において使用される分離膜の製造方法として利用可能である。また、地球温暖化対策として検討されているCCSにおいても利用可能である。
1 ガスシリンダー
2 圧力ゲージ
3 チャンバー
4 質量流量計
5 分離膜
6 耐熱ガラス管
10 気体透過速度測定装置

Claims (7)

  1. (a)アルコキシシラン、酸触媒、水、及び有機溶媒を混合した混合液を調製する準備工程と、
    (b)前記混合液を無機多孔質支持体の表面に塗布する塗布工程と、
    (c)前記塗布工程が完了した無機多孔質支持体を熱処理し、当該無機多孔質支持体の表面にポリシロキサン網目構造体を含む膜を形成する膜形成工程と、
    (d)前記膜を形成した無機多孔質支持体を減圧乾燥する後処理工程と、
    を包含する酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法。
  2. 前記アルコキシシランは、炭化水素基含有トリアルコキシシランを30〜100重量%含有する請求項1に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法。
  3. (a)テトラアルコキシシラン(A1)、炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B1)、酸触媒、水、及び有機溶媒を混合した第一混合液、並びにテトラアルコキシシラン(A2)、炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B2)、酸触媒、水、及び有機溶媒を混合した第二混合液を調製する準備工程であって、ここで、前記第一混合液におけるテトラアルコキシシラン(A1)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B1)との配合比率(A1/B1)は、前記第二混合液におけるテトラアルコキシシラン(A2)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B2)との配合比率(A2/B2)より大きく設定される準備工程と、
    (b)前記第一混合液を無機多孔質支持体の表面に塗布する第一塗布工程と、
    (c)前記第一塗布工程が完了した無機多孔質支持体を熱処理し、当該無機多孔質支持体の表面にポリシロキサン網目構造体を含む中間層を形成する中間層形成工程と、
    (d)前記第二混合液を前記中間層の上に塗布する第二塗布工程と、
    (e)前記第二塗布工程が完了した無機多孔質支持体を熱処理し、前記中間層の上にポリシロキサン網目構造体を含む分離層を形成する分離層形成工程と、
    (f)前記分離層を形成した無機多孔質支持体を減圧乾燥する後処理工程と、
    を包含する酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法。
  4. 前記準備工程において、前記配合比率(A2/B2)が重量比で0/100〜70/30に設定される請求項3に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法。
  5. 前記準備工程において、前記混合液、あるいは、前記第一混合液及び/又は前記第二混合液に、酸性ガスと親和性を有する金属塩をさらに混合する請求項1〜4の何れか一項に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法。
  6. 前記金属塩は、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ni、Fe、及びAlからなる群から選択される少なくとも一種の金属の酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、又はリン酸塩である請求項5に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法。
  7. 前記後処理工程において、前記減圧乾燥は、温度50〜450℃、気圧1.0×10−2Mpa以下で実行される請求項1〜6の何れか一項に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法。
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