JP2017125946A - 電子写真感光体及び電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好なクリーニング性と画像特性の両立を長期にわたって安定的に維持し、耐久性に優れた、製品寿命の長い電子写真感光体と、その電子写真感光体を用いた電子写真装置を提供する。【解決手段】電子写真感光体の保護層5は、結着樹脂51と金属酸化物微粒子52とフッ素樹脂微粒子53とを含む。金属酸化物微粒子52は、前記金属酸化物微粒子52の表面に結合した、(a)フッ素原子を有する第1の表面処理剤A及び(b)重合性反応基と疎水基とを有する第2の表面処理剤Bを有する。金属酸化物微粒子52の表面疎水化度は40%以上である。金属酸化物微粒子52の一部がフッ素樹脂微粒子53の表面に保持されている。フッ素樹脂微粒子53は、前記フッ素樹脂微粒子53の表面に保持された金属酸化物微粒子52を介して結着樹脂51に固定されている。【選択図】図3
Description
本発明は、電子写真感光体及び電子写真装置に関する。
電子写真感光体としては、アモルファスシリコン等の無機物質を用いた感光体と、有機物質を用いた有機感光体とが知られている。
有機感光体は、光吸収波長域の広さ及び吸収量の大きさ等の優れた光学特性と、高感度で、安定な帯電特性等の優れた電気的特性を備えている。また、有機感光体は、多様な材料選択性を有し、製造が容易であると共に低コストであるという利点を有する。
このような様々な利点を有することから、近年、有機感光体は、無機感光体に代わり、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ及びこれらの複合機等の電子写真装置に広く使用されている。
このような様々な利点を有することから、近年、有機感光体は、無機感光体に代わり、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ及びこれらの複合機等の電子写真装置に広く使用されている。
電子写真装置に用いられた有機感光体の表面には、トナー、紙粉、帯電工程によって生じる親水性物質が付着する。これらトナー、紙粉、親水性物質を除去するため、感光体表面にウレタン系ゴムのクリーニングブレードを当接させるクリーニング方法が一般的である。
しかし、感光体表面の摩擦抵抗が高い場合、クリーニングブレードの鳴き、めくれ、反転といった現象が生じやすくなる。ブレードの鳴き、めくれ等が生じた場合、徐々にブレードがダメージを受け、トナーがブレードをすり抜ける等して、感光体表面に残ったトナーの影響で、クリーニング不良による画像欠陥等が発生することもある。このため、感光体表面の摩擦抵抗の経時的な増加を抑制し、感光体の表面層のクリーニング性を維持すると共に、感光体表面の耐磨耗性や耐傷性を向上させることが、長期にわたって安定した画像を得るためには重要である。
一方、耐刷性という観点から感光体の機械的特性を向上させるため、感光体の表面層として保護層を設け、その保護層に硬化性樹脂を含有させた例がある。例えば、特許文献1は、感光体表面に、光硬化性樹脂を含有させた保護層を設けている。
しかしながら、感光体表面の機械的強度を強くしただけでは十分なクリーニング性は得られず、耐刷性、クリーニング性、耐傷性の全てを使用に適したレベルで達成する感光体を得ることは困難であった。
そこで、感光体表面の摩擦抵抗を改善する目的で、感光体表面に形成した保護層に例えば、優れた潤滑機能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粒子等のフッ素樹脂微粒子を添加することによって、感光体表面の摺動性を向上させて摩擦抵抗を低減させる試みがなされている。例えば、特許文献2は、コロイダルシリカ、シロキサン樹脂、フッ素原子含有化合物で表面処理された導電性粒子、及びPTFE微粒子を含有させた保護層を設けている。特許文献3は、電荷輸送物質、耐磨耗性を有する樹脂、及びPTFE微粒子を含有させた保護層を設けている。特許文献4は、酸化チタン等の金属酸化物粒子、及びPTFE微粒子を含有させた保護層を設けている。特許文献5は、PTFE等のフッ素樹脂と無機材料からなる有機無機複合微粒子を含有させた保護層を設けている。
そこで、感光体表面の摩擦抵抗を改善する目的で、感光体表面に形成した保護層に例えば、優れた潤滑機能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粒子等のフッ素樹脂微粒子を添加することによって、感光体表面の摺動性を向上させて摩擦抵抗を低減させる試みがなされている。例えば、特許文献2は、コロイダルシリカ、シロキサン樹脂、フッ素原子含有化合物で表面処理された導電性粒子、及びPTFE微粒子を含有させた保護層を設けている。特許文献3は、電荷輸送物質、耐磨耗性を有する樹脂、及びPTFE微粒子を含有させた保護層を設けている。特許文献4は、酸化チタン等の金属酸化物粒子、及びPTFE微粒子を含有させた保護層を設けている。特許文献5は、PTFE等のフッ素樹脂と無機材料からなる有機無機複合微粒子を含有させた保護層を設けている。
しかし、PTFE微粒子を構成するPTFE分子は極性を有しないため、そのPTFE微粒子の凝集力が非常に大きくなってしまい、保護層を形成する際に用いられる分散液中でのPTFE微粒子の分散性が極端に悪いという欠点があった。このため、保護層中でのPTFE微粒子の分散性を改善するために、分散剤を使用する例がある。例えば、特許文献6は、PTFE微粒子、及び分散剤としてフッ素系クシ型グラフト重合樹脂を含有させた保護層を設けている。
ところが、分散剤を使用すると、感光体の電気的特性を悪化させ、感光体の残存電位の上昇や画像流れの発生を招き、耐刷性が悪化し、良好な画像特性を維持できなくなる場合がある。つまり、高めの電気抵抗を示す分散剤では、その分散剤により保護層中の電荷がトラップされて流れにくくなり、感光体の残存電位の上昇を招く場合がある。感光体の残存電位の上昇を抑制できないと、感光体表面に輪郭がシャープな静電潜像を形成できない可能性がある。また、PTFE微粒子のフッ素原子に結合する親水性基をもつ分散剤では、その親水性基によって保護層表面に水分が付着しやすくなり、電荷が流れやすくなり、画像流れの発生を招き、耐刷性が低下する場合がある。
また、PTFE微粒子を構成するPTFE分子は安定な分子構造を有し、且つ、保護層内の束縛力が分子間力の相互作用のみである。このため、保護層の表面に対するブレードによる擦過によって、保護層の表面からPTFE微粒子が脱落することが懸念される。PTFE微粒子が保護層の表面から脱落すると、保護層の滑性(摺動性)を維持できず、摩擦抵抗の増加を抑制できなくなり、クリーニング性が低下する場合がある。
本発明は、良好なクリーニング性と画像特性の両立を長期にわたって安定的に維持し、耐久性に優れた、製品寿命の長い電子写真感光体と、その電子写真感光体を用いた電子写真装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意研究した結果、保護層中に分散される金属酸化物微粒子を2種類の表面処理剤で処理し、これら2種類の表面処理剤を有する金属酸化物微粒子の一部をフッ素樹脂微粒子の表面に保持させることにより、保護層中でのフッ素樹脂微粒子の凝集を抑制して分散性を改善し、且つ、フッ素樹脂微粒子を、金属酸化物微粒子を介して結着樹脂に固定することで、フッ素樹脂微粒子を保護層から外れにくくするという知見を見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、以下の構成を有する。
(構成1)
導電性支持体と、前記導電性支持体上に形成された感光層と、前記感光層上に形成された保護層とを備えた電子写真感光体において、
前記保護層は、結着樹脂と金属酸化物微粒子とフッ素樹脂微粒子とを含み、
前記金属酸化物微粒子は、前記金属酸化物微粒子の表面に結合した、(a)フッ素原子を有する第1の表面処理剤及び(b)重合性反応基と疎水基とを有する第2の表面処理剤を有し、
前記金属酸化物微粒子の表面疎水化度は、40%以上であり、
前記金属酸化物微粒子の一部が前記フッ素樹脂微粒子の表面に保持されており、
前記フッ素樹脂微粒子は、前記フッ素樹脂微粒子の表面に保持された前記金属酸化物微粒子を介して前記結着樹脂に固定されている、電子写真感光体。
導電性支持体と、前記導電性支持体上に形成された感光層と、前記感光層上に形成された保護層とを備えた電子写真感光体において、
前記保護層は、結着樹脂と金属酸化物微粒子とフッ素樹脂微粒子とを含み、
前記金属酸化物微粒子は、前記金属酸化物微粒子の表面に結合した、(a)フッ素原子を有する第1の表面処理剤及び(b)重合性反応基と疎水基とを有する第2の表面処理剤を有し、
前記金属酸化物微粒子の表面疎水化度は、40%以上であり、
前記金属酸化物微粒子の一部が前記フッ素樹脂微粒子の表面に保持されており、
前記フッ素樹脂微粒子は、前記フッ素樹脂微粒子の表面に保持された前記金属酸化物微粒子を介して前記結着樹脂に固定されている、電子写真感光体。
(構成2)
前記フッ素原子を介して前記フッ素樹脂微粒子の表面に吸着することにより、前記金属酸化物微粒子の一部が前記フッ素樹脂微粒子の表面に保持されていることを特徴とする構成1に記載の電子写真感光体。
前記フッ素原子を介して前記フッ素樹脂微粒子の表面に吸着することにより、前記金属酸化物微粒子の一部が前記フッ素樹脂微粒子の表面に保持されていることを特徴とする構成1に記載の電子写真感光体。
(構成3)
前記重合性反応基を介して前記結着樹脂と結合することにより、前記フッ素樹脂微粒子が前記結着樹脂に固定されていることを特徴とする構成1又は2に記載の電子写真感光体。
前記重合性反応基を介して前記結着樹脂と結合することにより、前記フッ素樹脂微粒子が前記結着樹脂に固定されていることを特徴とする構成1又は2に記載の電子写真感光体。
(構成4)
前記第1の表面処理剤は、炭素数が4以上、7以下のフッ化アルキル基を有することを特徴とする構成1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記第1の表面処理剤は、炭素数が4以上、7以下のフッ化アルキル基を有することを特徴とする構成1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
(構成5)
前記第2の表面処理剤の前記重合性反応基は、アクリロイル基、メタクリロイル基及びビニル基からなる群より選択される少なくとも1種類であり、前記第2の表面処理剤の前記疎水基は、炭素数が6以上のアルキル基、及び、炭素数が6以上のアルキレン基の一方又は両方であることを特徴とする構成1から4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記第2の表面処理剤の前記重合性反応基は、アクリロイル基、メタクリロイル基及びビニル基からなる群より選択される少なくとも1種類であり、前記第2の表面処理剤の前記疎水基は、炭素数が6以上のアルキル基、及び、炭素数が6以上のアルキレン基の一方又は両方であることを特徴とする構成1から4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
(構成6)
前記金属酸化物微粒子は、アンチモンドープ酸化錫、酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種類からなることを特徴とする構成1から5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記金属酸化物微粒子は、アンチモンドープ酸化錫、酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種類からなることを特徴とする構成1から5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
(構成7)
前記フッ素樹脂微粒子は、ポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴とする構成1から6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記フッ素樹脂微粒子は、ポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴とする構成1から6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
(構成8)
前記結着樹脂は、光官能基を有する光硬化性樹脂であり、前記光官能基が、前記第2の表面処理剤の前記重合性反応基と結合していることを特徴とする構成1から7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記結着樹脂は、光官能基を有する光硬化性樹脂であり、前記光官能基が、前記第2の表面処理剤の前記重合性反応基と結合していることを特徴とする構成1から7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
(構成9)
構成1から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に対して露光を行い前記電子写真感光体の上に静電潜像を形成する像露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を転写材に転写する転写手段と、前記電子写真感光体の上に残るトナーを除去するクリーニング手段とを備えた、電子写真装置。
構成1から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に対して露光を行い前記電子写真感光体の上に静電潜像を形成する像露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を転写材に転写する転写手段と、前記電子写真感光体の上に残るトナーを除去するクリーニング手段とを備えた、電子写真装置。
本発明に係る電子写真感光体では、導電性支持体と、前記導電性支持体上に形成された感光層と、前記感光層上に形成された保護層とを備えており、その保護層は、結着樹脂と金属酸化物微粒子とフッ素樹脂微粒子とを含む。金属酸化物微粒子は、前記金属酸化物微粒子の表面に結合した、(a)フッ素原子を有する第1の表面処理剤及び(b)重合性反応基と疎水基とを有する第2の表面処理剤を有し、金属酸化物微粒子の表面疎水化度は40%以上である。金属酸化物微粒子の一部はフッ素樹脂微粒子の表面に保持されており、フッ素樹脂微粒子は、そのフッ素樹脂微粒子の表面に保持された金属酸化物微粒子を介して結着樹脂に固定されている。
したがって、第1の表面処理剤及び第2の表面処理剤を有する金属酸化物微粒子の一部が表面に保持されたフッ素樹脂微粒子には、その表面に保持された当該金属酸化物微粒子により極性が付与されるので、保護層中でのフッ素樹脂微粒子の凝集を抑制して分散性を改善し、保護層中に、当該金属酸化物微粒子と共に、均一に分散することができる。また、フッ素樹脂微粒子は、その表面に保持された、第1の表面処理剤及び第2の表面処理剤を有する金属酸化物微粒子を介して結着樹脂に固定されているので、保護層に保持され、保護層の表面から外れにくくなる。このため、保護層の表面から外れにくいフッ素樹脂微粒子により保護層に良好な摺動性が付与されるので、クリーニング性を長期にわたって安定的に維持することができる。
また、第1の表面処理剤及び第2の表面処理剤を有する金属酸化物微粒子の表面疎水化度が40%以上であるので、保護層への余分な水分の吸着が抑制される。このため、保護層に対し画像流れが生じない程度の帯電性をもたせることができるので、適切な導電性が付与される。画像流れが抑制される程度の適切な導電性が付与された保護層を備えた感光体では、保護層の電荷輸送能力を阻害することなく、感光体表面の残存電位の上昇を抑制することができる。残存電位上昇が抑制されることにより、感光体表面にシャープな輪郭を有する静電潜像を形成できるので、良好な画像特性を長期にわたって安定的に維持することができる。
したがって、本発明によれば、良好なクリーニング性と画像特性との両立を長期にわたって安定的に維持し、耐久性に優れた、製品寿命の長い電子写真感光体と、その電子写真感光体を用いた電子写真装置を提供することができる。
したがって、第1の表面処理剤及び第2の表面処理剤を有する金属酸化物微粒子の一部が表面に保持されたフッ素樹脂微粒子には、その表面に保持された当該金属酸化物微粒子により極性が付与されるので、保護層中でのフッ素樹脂微粒子の凝集を抑制して分散性を改善し、保護層中に、当該金属酸化物微粒子と共に、均一に分散することができる。また、フッ素樹脂微粒子は、その表面に保持された、第1の表面処理剤及び第2の表面処理剤を有する金属酸化物微粒子を介して結着樹脂に固定されているので、保護層に保持され、保護層の表面から外れにくくなる。このため、保護層の表面から外れにくいフッ素樹脂微粒子により保護層に良好な摺動性が付与されるので、クリーニング性を長期にわたって安定的に維持することができる。
また、第1の表面処理剤及び第2の表面処理剤を有する金属酸化物微粒子の表面疎水化度が40%以上であるので、保護層への余分な水分の吸着が抑制される。このため、保護層に対し画像流れが生じない程度の帯電性をもたせることができるので、適切な導電性が付与される。画像流れが抑制される程度の適切な導電性が付与された保護層を備えた感光体では、保護層の電荷輸送能力を阻害することなく、感光体表面の残存電位の上昇を抑制することができる。残存電位上昇が抑制されることにより、感光体表面にシャープな輪郭を有する静電潜像を形成できるので、良好な画像特性を長期にわたって安定的に維持することができる。
したがって、本発明によれば、良好なクリーニング性と画像特性との両立を長期にわたって安定的に維持し、耐久性に優れた、製品寿命の長い電子写真感光体と、その電子写真感光体を用いた電子写真装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能・構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<電子写真感光体>
本発明の一実施形態に係る電子写真感光体の断面模式図を図1に示す。電子写真感光体1は、導電性支持体2と、導電性支持体2上に形成された感光層34と、感光層34上に形成された保護層5とを備えている。
本発明の一実施形態に係る電子写真感光体の断面模式図を図1に示す。電子写真感光体1は、導電性支持体2と、導電性支持体2上に形成された感光層34と、感光層34上に形成された保護層5とを備えている。
(導電性支持体)
導電性支持体2は、導電性を有するものであればいかなるものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、及びステンレス等の金属を、ドラム状、シート状、又はベルト状に成形したもの、アルミニウムや銅等の金属箔を、プラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等を、プラスチックフィルムに蒸着したもの、金属、プラスチックフィルム及び紙等に導電性物質を単独又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けたものが挙げられる。
導電性支持体2は、導電性を有するものであればいかなるものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、及びステンレス等の金属を、ドラム状、シート状、又はベルト状に成形したもの、アルミニウムや銅等の金属箔を、プラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等を、プラスチックフィルムに蒸着したもの、金属、プラスチックフィルム及び紙等に導電性物質を単独又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けたものが挙げられる。
(感光層)
感光層34は、当業者に公知の方法により製造される、負帯電積層型の感光層及び正帯電単層型の感光層のいずれを用いてもよい。
尚、図1では、導電性支持体2上の感光層34として、電荷発生層3及び電荷発生層3上に電荷輸送層4を備える、負帯電積層型の感光層を示している。
感光層34は、当業者に公知の方法により製造される、負帯電積層型の感光層及び正帯電単層型の感光層のいずれを用いてもよい。
尚、図1では、導電性支持体2上の感光層34として、電荷発生層3及び電荷発生層3上に電荷輸送層4を備える、負帯電積層型の感光層を示している。
(1)負帯電積層型の感光層
負帯電積層型の感光層34は、電荷発生層3の上に電荷輸送層4が積層されて構成されている。
負帯電積層型の感光層34は、電荷発生層3の上に電荷輸送層4が積層されて構成されている。
(1−1)電荷発生層
電荷発生層3は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じて結着樹脂も含むことができる。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ペリレン顔料、及びフタロシアニン顔料が挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独で用いてもよく、また、適宜、2種類以上混合して用いてもよい。中でも良好な電気特性を得られることから、電荷発生層は、オキソチタニルフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンの一方又は両方を含むことが好ましい。
電荷発生層3は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じて結着樹脂も含むことができる。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ペリレン顔料、及びフタロシアニン顔料が挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独で用いてもよく、また、適宜、2種類以上混合して用いてもよい。中でも良好な電気特性を得られることから、電荷発生層は、オキソチタニルフタロシアニン及びガリウムフタロシアニンの一方又は両方を含むことが好ましい。
電荷発生層3に必要に応じて用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独、又は、適宜、2種類以上の混合物として用いることができる。
電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波等の公知の分散方法を用いて溶媒中に分散して、電荷発生層3を導電性支持体2に適用するための塗工液を得ることができる。
電荷発生層3の膜厚は0.01μm以上、5μm以下が好ましく、0.05μm以上、3μm以下がより好ましい。
(1−2)電荷輸送層
電荷輸送層4は、電荷輸送構造を有する層で、電荷輸送物質及び結着樹脂を主成分とする層である。電荷輸送層には電荷輸送物質としてホール輸送物質が含有されるが、必要に応じて電子輸送物質を含有してもよい。
電荷輸送層4は、電荷輸送構造を有する層で、電荷輸送物質及び結着樹脂を主成分とする層である。電荷輸送層には電荷輸送物質としてホール輸送物質が含有されるが、必要に応じて電子輸送物質を含有してもよい。
ホール輸送物質としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びその誘導体、ポリ(γ−カルバゾリルエチルグルタメート)及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体、ビススチルベン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、エナミン誘導体等の材料が挙げられる。これらのホール輸送物質は、単独、又は、適宜、2種類以上の混合物として用いることができる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
電子輸送物質としては、ベンゾキノン(benzoquinone)系、シアンエチレン系、シアノキノジメタン(cyanoquinodimethane)系、フルオレノン(fluorenone)系、フェナントラキノン(phenantraquinone)系、無水フタル酸系、チオピラン(thiopyrane)系、ナフタレン系、ジフェノキノン系、スチルベンキノン系の化合物が挙げられる。具体的には、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、7−トリニトロ−9−フルオレノン等の電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独、又は、適宜、2種以上の混合物として用いることができる。
電荷輸送物質及び結着樹脂を溶媒に溶解して、電荷輸送層4を導電性支持体2に適用するための塗工液を得ることができる。
電荷輸送層4の膜厚は5μm以上、40μm以下が好ましく、10μm以上、35μm以下がより好ましい。
(2)正帯電単層型の感光層
正帯電単層型の感光層34は、上記の結着樹脂により形成される単一の層内に、少なくとも上記の電荷発生物質、ホール輸送物質、電子輸送物質が分散されて構成されている。それぞれの物質は、負帯電積層型の場合と同様に、単独、又は、適宜、2種類以上の混合物として用いることもできる。
また、正帯電単層型の感光層34は、負帯電積層型の場合と同様の方法により、これらの物質を、上記の結着樹脂を含む溶媒に分散又は溶解することにより、塗工液を得、導電性支持体2に塗布した後に、結着樹脂を固化することにより、形成することができる。
正帯電単層型の感光層34の膜厚は5μm以上、40μm以下が好ましく、10μm以上、35μm以下がより好ましい。
正帯電単層型の感光層34は、上記の結着樹脂により形成される単一の層内に、少なくとも上記の電荷発生物質、ホール輸送物質、電子輸送物質が分散されて構成されている。それぞれの物質は、負帯電積層型の場合と同様に、単独、又は、適宜、2種類以上の混合物として用いることもできる。
また、正帯電単層型の感光層34は、負帯電積層型の場合と同様の方法により、これらの物質を、上記の結着樹脂を含む溶媒に分散又は溶解することにより、塗工液を得、導電性支持体2に塗布した後に、結着樹脂を固化することにより、形成することができる。
正帯電単層型の感光層34の膜厚は5μm以上、40μm以下が好ましく、10μm以上、35μm以下がより好ましい。
(保護層)
本発明の一実施形態に係る電子写真感光体の保護層の内部構造の模式図を図2に示し、当該保護層における、金属酸化物微粒子を介在させた、フッ素樹脂微粒子と結着樹脂との固定構造の模式図を図3に示す。保護層5は、少なくとも、結着樹脂51と、金属酸化物微粒子52と、フッ素樹脂微粒子53とを含有する。
本発明の一実施形態に係る電子写真感光体の保護層の内部構造の模式図を図2に示し、当該保護層における、金属酸化物微粒子を介在させた、フッ素樹脂微粒子と結着樹脂との固定構造の模式図を図3に示す。保護層5は、少なくとも、結着樹脂51と、金属酸化物微粒子52と、フッ素樹脂微粒子53とを含有する。
・結着樹脂
結着樹脂51としては、保護層に良好な耐刷性等の機械的特性を付与するために三次元的な架橋構造を形成するものであればいかなるものでもよく、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を挙げることができる。結着樹脂51として硬化性樹脂を用いる場合、硬化性樹脂の高架橋密度化により、保護層の長期的な機械的耐久性(耐印性能・耐擦傷性・表面磨耗耐性向上)が図れ、高画質の電子写真画像が高耐久で得られる点で有利である。また、光硬化性樹脂が熱硬化性樹脂よりも短時間で硬化し、量産にも適している点で、結着樹脂51としては、光硬化性樹脂を用いることが望ましい。
結着樹脂51としては、保護層に良好な耐刷性等の機械的特性を付与するために三次元的な架橋構造を形成するものであればいかなるものでもよく、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を挙げることができる。結着樹脂51として硬化性樹脂を用いる場合、硬化性樹脂の高架橋密度化により、保護層の長期的な機械的耐久性(耐印性能・耐擦傷性・表面磨耗耐性向上)が図れ、高画質の電子写真画像が高耐久で得られる点で有利である。また、光硬化性樹脂が熱硬化性樹脂よりも短時間で硬化し、量産にも適している点で、結着樹脂51としては、光硬化性樹脂を用いることが望ましい。
以下、本実施形態において、結着樹脂51として光硬化性樹脂(以下、光硬化性樹脂51という)を用いた場合を説明する。
光硬化性樹脂51としては、後述する第2の表面処理剤の重合性反応基と結合可能な光官能基を有するものであればいかなるものでもよく、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂を挙げることができる。また、光硬化性の共重合樹脂も用いることができる。
光硬化性樹脂51の光官能基としては、アクリル系の官能基、エポキシ基、オキセタン基等を挙げることができる。例えば、光硬化性樹脂51の光官能基と第2の表面処理剤の重合性反応基との反応性を考慮すると、第2の表面処理剤の重合性反応基としてアクリル基を用いる場合には、光硬化性樹脂51の光官能基はアクリル系の光官能基が好ましく、第2の表面処理剤の重合性反応基としてエポキシ基を用いる場合には、光硬化性樹脂51の光官能基はエポキシ基であることが好ましい。このように組み合わせることにより、光硬化性樹脂51の光官能基が第2の表面処理剤の重合性反応基と架橋しやすくなる。アクリル系の光官能基としては、例えば、アクリロイル基(CH2CHCOO−)及びメタクリロイル基(CH2C(CH3)COO−)を挙げることができる。
光硬化性樹脂51としては、後述する第2の表面処理剤の重合性反応基と結合可能な光官能基を有するものであればいかなるものでもよく、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂を挙げることができる。また、光硬化性の共重合樹脂も用いることができる。
光硬化性樹脂51の光官能基としては、アクリル系の官能基、エポキシ基、オキセタン基等を挙げることができる。例えば、光硬化性樹脂51の光官能基と第2の表面処理剤の重合性反応基との反応性を考慮すると、第2の表面処理剤の重合性反応基としてアクリル基を用いる場合には、光硬化性樹脂51の光官能基はアクリル系の光官能基が好ましく、第2の表面処理剤の重合性反応基としてエポキシ基を用いる場合には、光硬化性樹脂51の光官能基はエポキシ基であることが好ましい。このように組み合わせることにより、光硬化性樹脂51の光官能基が第2の表面処理剤の重合性反応基と架橋しやすくなる。アクリル系の光官能基としては、例えば、アクリロイル基(CH2CHCOO−)及びメタクリロイル基(CH2C(CH3)COO−)を挙げることができる。
・金属酸化物微粒子
金属酸化物微粒子52は、その表面に結合した、(a)フッ素原子を有する第1の表面処理剤A及び(b)重合性反応基と疎水基とを有する第2の表面処理剤Bを有している。
金属酸化物微粒子52は、その表面に結合した、(a)フッ素原子を有する第1の表面処理剤A及び(b)重合性反応基と疎水基とを有する第2の表面処理剤Bを有している。
金属酸化物微粒子52を構成する金属酸化物としては、導電性を有するものであればいかなるものでもよく、例えば、耐摩耗性の向上の観点から、アンチモンをドープした酸化錫(アンチモンドープ酸化錫)、リンをドープした酸化錫(リンドープ酸化錫)、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、及び錫をドープした金属酸化物を挙げることができる。これらの金属酸化物の中で、特に、アンチモンドープ酸化錫、酸化チタン、又は酸化亜鉛を用いると、保護層の電気抵抗を調節して感光体表面の残存電位(以下、露光後電位VLともいう)の上昇抑制を図り、且つ、その化学的安定性により電荷移行を経時的に安定化させることができる点で有利である。したがって、金属酸化物微粒子52としては、これらアンチモンドープ酸化錫、酸化チタン、及び酸化亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種類を用いることが好ましい。
金属酸化物微粒子52は、5nm以上、50nm以下の平均一次粒径を有することが好ましい。金属酸化物微粒子52の平均一次粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて観察して得られた像から、金属酸化物微粒子の長軸と短軸の平均値を算出し、その平均値の粒子100個の平均値を導出することで求めることができる。
しかし、金属酸化物微粒子52の粒径が50nmを上回ると、金属酸化物微粒子52の分散性が悪化し、画質劣化を引き起こすおそれがある。
金属酸化物微粒子52の粒径が5nmを下回ると、凝集性が高くなり過ぎるため、耐摩耗性の低下を引き起こすおそれがある。
金属酸化物微粒子52は、8nm以上、20nm以下の平均一次粒径を有することがより好ましい。
しかし、金属酸化物微粒子52の粒径が50nmを上回ると、金属酸化物微粒子52の分散性が悪化し、画質劣化を引き起こすおそれがある。
金属酸化物微粒子52の粒径が5nmを下回ると、凝集性が高くなり過ぎるため、耐摩耗性の低下を引き起こすおそれがある。
金属酸化物微粒子52は、8nm以上、20nm以下の平均一次粒径を有することがより好ましい。
分散系で分散している金属酸化物微粒子52は、30nm以上、150nm以下の平均粒径を有することが好ましい。この分散している金属酸化物微粒子52の平均粒径は、凝集していない金属酸化物微粒子52と、凝集している金属酸化物微粒子52(すなわち、金属酸化物微粒子52の凝集物)が混在している分散系における全ての金属酸化物微粒子52の粒径の平均値である。このような金属酸化物微粒子52の平均粒径は、例えば、動的光散乱法で求めることができる。この動的光散乱法では、金属酸化物微粒子52の凝集物を1個の金属酸化物微粒子52とみなす。
しかし、金属酸化物微粒子52の平均粒径が150nmを上回ると、金属酸化物微粒子52の凝集物が保護層中で偏析し、均一に分散できなくなるおそれがある。
金属酸化物微粒子52は、50nm以上、120nm以下の平均粒径を有することがより好ましい。
しかし、金属酸化物微粒子52の平均粒径が150nmを上回ると、金属酸化物微粒子52の凝集物が保護層中で偏析し、均一に分散できなくなるおそれがある。
金属酸化物微粒子52は、50nm以上、120nm以下の平均粒径を有することがより好ましい。
光硬化性樹脂51に対する金属酸化物微粒子52の配合割合は、10質量%以上、60質量%以下が好ましい。配合割合が10質量%以上、60質量%以下である場合、光硬化性樹脂51中に分散されるフッ素樹脂微粒子53の表面に結合するのに必要な金属酸化物微粒子52の配合量となるので、フッ素樹脂微粒子53の保護層5中での分散性を改善し、保護層5に良好な導電性を付与することができる。
しかし、10質量%を下回ると、金属酸化物微粒子52の配合量が少な過ぎるため、フッ素樹脂微粒子53の分散性を改善できず、フッ素樹脂微粒子53が保護層5の表面から露出し、保護層5の表面に凹凸が生じ、電子写真感光体1として使用不能となるおそれがある。
60質量%を上回ると、金属酸化物微粒子52の配合量が多過ぎるため、保護層5に付与される帯電量が多過ぎて画像流れが生じやすくなるおそれがある。
光硬化性樹脂51に対する金属酸化物微粒子52の配合割合は、20質量%以上、40質量%以下がより好ましい。
しかし、10質量%を下回ると、金属酸化物微粒子52の配合量が少な過ぎるため、フッ素樹脂微粒子53の分散性を改善できず、フッ素樹脂微粒子53が保護層5の表面から露出し、保護層5の表面に凹凸が生じ、電子写真感光体1として使用不能となるおそれがある。
60質量%を上回ると、金属酸化物微粒子52の配合量が多過ぎるため、保護層5に付与される帯電量が多過ぎて画像流れが生じやすくなるおそれがある。
光硬化性樹脂51に対する金属酸化物微粒子52の配合割合は、20質量%以上、40質量%以下がより好ましい。
・第1の表面処理剤
第1の表面処理剤Aは、その分子中にフッ素原子を有している。フッ素原子を有する第1の表面処理剤Aは、そのフッ素原子とフッ素樹脂微粒子53の表面に存在するフッ素原子との親和性が高いため、フッ素樹脂微粒子の表面に吸着することができる。したがって、金属酸化物微粒子52の一部は、その表面に結合した第1の表面処理剤Aを介して、フッ素樹脂微粒子53の表面に保持される。
第1の表面処理剤Aは、その分子中にフッ素原子を有している。フッ素原子を有する第1の表面処理剤Aは、そのフッ素原子とフッ素樹脂微粒子53の表面に存在するフッ素原子との親和性が高いため、フッ素樹脂微粒子の表面に吸着することができる。したがって、金属酸化物微粒子52の一部は、その表面に結合した第1の表面処理剤Aを介して、フッ素樹脂微粒子53の表面に保持される。
第1の表面処理剤Aは、その分子中に、炭素数が4以上、7以下のフッ化アルキル基を有することが好ましい。炭素数が4以上、7以下のフッ化アルキル基を有する第1の表面処理剤Aは、フッ素樹脂微粒子53に吸着しやすくなり、保護層5中のフッ素樹脂微粒子53の分散性が向上するため、保護層5表面の滑性(摺動性)が向上し、クリーニング特性を向上させることができる。また、炭素数が4以上、7以下のフッ化アルキル基を有する第1の表面処理剤Aは、金属酸化物微粒子52の表面に結合しやすくなり、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度が上がるため、保護層5中の水分量を抑制し、保護層5の疎水性を高め、画像特性を向上させることができる。したがって、炭素数が4以上、7以下のフッ化アルキル基を有する第1の表面処理剤Aを用いることにより、性能が良い電子写真感光体1を得ることができる。
本発明者らは、第1の表面処理剤Aのフッ化アルキル基の炭素数が7まで増加すると、その炭素数の増加に伴って第1の表面処理剤Aが表面に結合した金属酸化物微粒子52の表面疎水化度が上がっていくが、その炭素数が8以上になると表面疎水化度が急に低下するという知見を得た。
つまり、炭素数が8以上のように、主鎖(炭素鎖)が長過ぎると、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度が下がる。これは、長過ぎる炭素鎖を有する第1の表面処理剤Aの立体障害により、金属酸化物微粒子52への表面処理量が少なくなるためであると考えられる。また、第1の表面処理剤Aが金属酸化物微粒子52の表面に結合すると、第1の表面処理剤Aの炭素鎖の長さに起因して金属酸化物微粒子52の表面疎水化度が上昇していく。しかし、第1の表面処理剤Aの炭素鎖が長過ぎると、表面疎水化度が上昇し疎水性が高まった金属酸化物微粒子52の表面と親水性の溶剤との親和性が低下するため、表面疎水化度が上昇した金属酸化物微粒子52同士が凝集し、沈降し易くなる。このため、凝集状態で沈降した金属酸化物微粒子52について、メタノール滴定により表面疎水化度を測定しても、低い表面疎水化度の測定値しか得られなかったためであるとも考えられる。金属酸化物微粒子52の表面疎水化度が低いと、保護層5中に吸着される水分量が増え、画像特性が悪化するおそれがある。
一方、炭素数が3以下のように、主鎖(炭素鎖)が短過ぎると、金属酸化物微粒子52の凝集を抑制できなくなり、金属酸化物微粒子52の凝集物が立体障害となって、金属酸化物微粒子52の分散性が悪化し、保護層5の電気特性を悪化させるおそれがある。
フッ素原子を有する第1の表面処理剤Aは、炭素数が4以上、6以下のフッ化アルキル基を有することがより好ましい。
尚、フッ素原子を有する第1の表面処理剤Aにおける、上記のフッ化アルキル基をフッ化アルキレン基に代えてもよい。
つまり、炭素数が8以上のように、主鎖(炭素鎖)が長過ぎると、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度が下がる。これは、長過ぎる炭素鎖を有する第1の表面処理剤Aの立体障害により、金属酸化物微粒子52への表面処理量が少なくなるためであると考えられる。また、第1の表面処理剤Aが金属酸化物微粒子52の表面に結合すると、第1の表面処理剤Aの炭素鎖の長さに起因して金属酸化物微粒子52の表面疎水化度が上昇していく。しかし、第1の表面処理剤Aの炭素鎖が長過ぎると、表面疎水化度が上昇し疎水性が高まった金属酸化物微粒子52の表面と親水性の溶剤との親和性が低下するため、表面疎水化度が上昇した金属酸化物微粒子52同士が凝集し、沈降し易くなる。このため、凝集状態で沈降した金属酸化物微粒子52について、メタノール滴定により表面疎水化度を測定しても、低い表面疎水化度の測定値しか得られなかったためであるとも考えられる。金属酸化物微粒子52の表面疎水化度が低いと、保護層5中に吸着される水分量が増え、画像特性が悪化するおそれがある。
一方、炭素数が3以下のように、主鎖(炭素鎖)が短過ぎると、金属酸化物微粒子52の凝集を抑制できなくなり、金属酸化物微粒子52の凝集物が立体障害となって、金属酸化物微粒子52の分散性が悪化し、保護層5の電気特性を悪化させるおそれがある。
フッ素原子を有する第1の表面処理剤Aは、炭素数が4以上、6以下のフッ化アルキル基を有することがより好ましい。
尚、フッ素原子を有する第1の表面処理剤Aにおける、上記のフッ化アルキル基をフッ化アルキレン基に代えてもよい。
このような第1の表面処理剤Aとしては、金属酸化物微粒子52に結合でき、且つ、フッ素樹脂微粒子53に吸着できるものであればいかなるものでもよく、例えば、フッ素原子を有するシランカップリング剤(以下、フッ素系シランカップリング剤という)、フッ素原子を有するリン酸エステル系表面処理剤を挙げることができる。
フッ素原子を有するフッ素系シランカップリング剤は、そのトリメトキシ基等のシランカップリング部位のH基と金属酸化物微粒子52の表面のOH基が脱水することにより、金属酸化物微粒子52に結合する。また、特に、フッ素系シランカップリング剤は、そのフッ素原子とフッ素樹脂微粒子53の表面のフッ素原子との親和性によって、フッ素樹脂微粒子53に吸着する。第1の表面処理剤Aとしてフッ素系シランカップリング剤を用いる場合、金属酸化物微粒子52の表面への結合が容易であり、金属酸化物微粒子52に対する表面処理が簡便であり、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度を上げることができる点、及び、フッ素樹脂微粒子53との吸着が容易である点で有利である。
このようなフッ素系シランカップリング剤としては、例えば、フッ化アルキル基の炭素数が4である1H,1H,2H,2H−ナノフルオロヘキシルトリメトキシシラン、フッ化アルキル基の炭素数が6である1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシランを挙げることができる。
フッ素原子を有するリン酸エステル系表面処理剤は、そのリン酸基のOH基中の水素原子と金属酸化物微粒子52の表面のOH基中の酸素原子との水素結合により、金属酸化物微粒子52に結合する。また、リン酸エステル系表面処理剤は、そのフッ素原子とフッ素樹脂微粒子の表面のフッ素原子との親和性によって、フッ素樹脂微粒子53に吸着する。
フッ素原子を有するフッ素系シランカップリング剤は、そのトリメトキシ基等のシランカップリング部位のH基と金属酸化物微粒子52の表面のOH基が脱水することにより、金属酸化物微粒子52に結合する。また、特に、フッ素系シランカップリング剤は、そのフッ素原子とフッ素樹脂微粒子53の表面のフッ素原子との親和性によって、フッ素樹脂微粒子53に吸着する。第1の表面処理剤Aとしてフッ素系シランカップリング剤を用いる場合、金属酸化物微粒子52の表面への結合が容易であり、金属酸化物微粒子52に対する表面処理が簡便であり、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度を上げることができる点、及び、フッ素樹脂微粒子53との吸着が容易である点で有利である。
このようなフッ素系シランカップリング剤としては、例えば、フッ化アルキル基の炭素数が4である1H,1H,2H,2H−ナノフルオロヘキシルトリメトキシシラン、フッ化アルキル基の炭素数が6である1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシランを挙げることができる。
フッ素原子を有するリン酸エステル系表面処理剤は、そのリン酸基のOH基中の水素原子と金属酸化物微粒子52の表面のOH基中の酸素原子との水素結合により、金属酸化物微粒子52に結合する。また、リン酸エステル系表面処理剤は、そのフッ素原子とフッ素樹脂微粒子の表面のフッ素原子との親和性によって、フッ素樹脂微粒子53に吸着する。
金属酸化物微粒子52に対する第1の表面処理剤Aの配合割合は、10質量%以上、15質量%以下が好ましい。配合割合が10質量%以上、15質量%以下である場合、金属酸化物微粒子52の表面に結合するのに必要な第1の表面処理剤Aの配合量となるため、保護層5中でのフッ素樹脂微粒子53の分散性を改善することができる。また、金属酸化物微粒子52の表面処理に関与せずに塗工液中に残存する第1の表面処理剤Aの量が少ないため、残存する第1の表面処理剤Aによる保護層5の電気特性への悪影響を最小限とすることができる。
しかし、10質量%を下回ると、第1の表面処理剤Aの配合量が少な過ぎるため、金属酸化物微粒子52の表面に結合する第1の表面処理剤Aの結合量が減り、保護層5中でのフッ素樹脂微粒子53の分散性を改善できず、保護層5の疎水性が低下して画像流れが生じるおそれがある。
15質量%を上回ると、第1の表面処理剤Aの配合量が多過ぎるため、金属酸化物微粒子52の表面に結合せずに塗工液中に残存する第1の表面処理剤Aの残存量が多くなるため、残存する第1の表面処理剤Aにより保護層5の電気特性への悪影響を与えるおそれがある。
金属酸化物微粒子52に対する第1の表面処理剤Aの配合割合は、10質量%以上、13.5質量%以下がより好ましい。
しかし、10質量%を下回ると、第1の表面処理剤Aの配合量が少な過ぎるため、金属酸化物微粒子52の表面に結合する第1の表面処理剤Aの結合量が減り、保護層5中でのフッ素樹脂微粒子53の分散性を改善できず、保護層5の疎水性が低下して画像流れが生じるおそれがある。
15質量%を上回ると、第1の表面処理剤Aの配合量が多過ぎるため、金属酸化物微粒子52の表面に結合せずに塗工液中に残存する第1の表面処理剤Aの残存量が多くなるため、残存する第1の表面処理剤Aにより保護層5の電気特性への悪影響を与えるおそれがある。
金属酸化物微粒子52に対する第1の表面処理剤Aの配合割合は、10質量%以上、13.5質量%以下がより好ましい。
・第2の表面処理剤
第2の表面処理剤Bは、その分子中に、光硬化性樹脂51の光官能基と結合する重合性反応基と、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度の向上に寄与する疎水基とを有している。
尚、第2の表面処理剤Bは、その分子中に、重合性反応基と疎水基が結合して存在するものであってもよく、また、重合性反応基と疎水基が別個の部位に存在するものであってもよい。重合性反応基と疎水基が結合する場合としては、重合性反応基の一部に疎水基が結合して存在するものであってもよく、また、疎水基の一部に重合性反応基が結合して存在するものであってもよい。
第2の表面処理剤Bは、その分子中に、光硬化性樹脂51の光官能基と結合する重合性反応基と、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度の向上に寄与する疎水基とを有している。
尚、第2の表面処理剤Bは、その分子中に、重合性反応基と疎水基が結合して存在するものであってもよく、また、重合性反応基と疎水基が別個の部位に存在するものであってもよい。重合性反応基と疎水基が結合する場合としては、重合性反応基の一部に疎水基が結合して存在するものであってもよく、また、疎水基の一部に重合性反応基が結合して存在するものであってもよい。
第2の表面処理剤Bの重合性反応基としては、光硬化性樹脂51の光官能基と結合可能であればいかなるものであってもよく、例えば、アクリロイル基(CH2CHCOO−)、メタクリロイル基(CH2C(CH3)COO−)、ビニル基(H2C=CH−)、及びエポキシ基を挙げることができる。これらの重合性反応基の中、特に、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びビニル基は、光硬化性樹脂51との相性が良く、光硬化性樹脂51との結合性を高めるための二重結合を有している点で有利である。したがって、第2の表面処理剤Bの1分子中には、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びビニル基からなる群より選択された少なくとも1種類を含めることが好ましい。
第2の表面処理剤Bの疎水基としては、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度の向上に寄与できるものであればいかなるものであってもよく、例えば、アルキル基、メタクリル基、脂肪族ビニル基、フッ化アルキル基、アルキレン基、及びフッ化アルキレン基を挙げることができる。これらアルキル基等の疎水基は、他の疎水基と比べると、基中の炭素数が同じであっても、炭素鎖長が長く、また、炭素数によって炭素鎖長を選べる点で有利である。つまり、炭素鎖長が長いアルキル基等の疎水基を用いると、保護層5中での金属酸化物微粒子52同士の凝集を抑制し、金属酸化物微粒子52の分散性が向上し、保護層5の電気特性を向上させることができる。第2の表面処理剤Bの1分子中に、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度の向上に寄与する疎水基として、上述した範囲の炭素数を有する、アルキル基、フッ化アルキル基、アルキレン基、及びフッ化アルキレン基からなる群より選択された少なくとも1種類を含めることがより好ましい。
特に、第2の表面処理剤Bの疎水基は、炭素数が6以上の、アルキル基、又は、アルキレン基であることが好ましい。炭素数が6以上のアルキル基、又は、アルキレン基を用いると、第2の表面処理剤Bが表面に結合した金属酸化物微粒子52の分散性を向上させ、その金属酸化物微粒子52が保護層5中に分散することで、保護層5の疎水性を向上させることができる点で有利である。
尚、第2の表面処理剤Bの重合性反応基と疎水基の炭素数の合計は2以上、12以下が好ましく、2以上、8以下がより好ましい。炭素数の合計が12を上回ると、その炭素数を有する炭素鎖により生じ得る立体障害によって、金属酸化物微粒子52への表面処理がされにくくなるおそれがある。
尚、第2の表面処理剤Bの重合性反応基と疎水基の炭素数の合計は2以上、12以下が好ましく、2以上、8以下がより好ましい。炭素数の合計が12を上回ると、その炭素数を有する炭素鎖により生じ得る立体障害によって、金属酸化物微粒子52への表面処理がされにくくなるおそれがある。
このような第2の表面処理剤Bとしては、光硬化性樹脂51及び金属酸化物微粒子52に結合できるものであればいかなるものでもよく、例えば、重合性シランカップリング剤、及びリン酸エステル系表面処理剤を挙げることができる。
重合性シランカップリング剤は、そのトリメトキシ基等のシランカップリング部位のH基と金属酸化物微粒子52の表面のOH基との脱水反応により、金属酸化物微粒子52に結合する。また、重合性シランカップリング剤は、その重合性反応基と光硬化性樹脂51の光官能基が結合することにより、光硬化性樹脂51に結合する。したがって、第2の表面処理剤Bとして重合性シランカップリング剤を用いる場合、金属酸化物微粒子52の表面への結合が容易であり、金属酸化物微粒子52に対する表面処理が簡便であり、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度を上げることができる点、及び、光硬化性樹脂51との結合が容易である点で有利である。
このような重合性シランカップリング剤としては、例えば、オクテニルトリメトキシシラン、及びメタクリロキシオクチルトリメトキシシランを挙げることができる。
リン酸エステル系表面処理剤は、そのリン酸基のOH基中の水素原子と金属酸化物微粒子52の表面のOH基中の酸素原子との水素結合により、金属酸化物微粒子52に結合する。また、リン酸エステル系表面処理剤は、その重合性反応基と光硬化性樹脂51の光官能基が結合することにより、光硬化性樹脂51に結合する。
重合性シランカップリング剤は、そのトリメトキシ基等のシランカップリング部位のH基と金属酸化物微粒子52の表面のOH基との脱水反応により、金属酸化物微粒子52に結合する。また、重合性シランカップリング剤は、その重合性反応基と光硬化性樹脂51の光官能基が結合することにより、光硬化性樹脂51に結合する。したがって、第2の表面処理剤Bとして重合性シランカップリング剤を用いる場合、金属酸化物微粒子52の表面への結合が容易であり、金属酸化物微粒子52に対する表面処理が簡便であり、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度を上げることができる点、及び、光硬化性樹脂51との結合が容易である点で有利である。
このような重合性シランカップリング剤としては、例えば、オクテニルトリメトキシシラン、及びメタクリロキシオクチルトリメトキシシランを挙げることができる。
リン酸エステル系表面処理剤は、そのリン酸基のOH基中の水素原子と金属酸化物微粒子52の表面のOH基中の酸素原子との水素結合により、金属酸化物微粒子52に結合する。また、リン酸エステル系表面処理剤は、その重合性反応基と光硬化性樹脂51の光官能基が結合することにより、光硬化性樹脂51に結合する。
金属酸化物微粒子52に対する第2の表面処理剤Bの配合割合は、3質量%以上、10質量%以下が好ましい。配合割合が3質量%以上、10質量%以下である場合、金属酸化物微粒子52の表面に結合するのに必要な第2の表面処理剤Bの配合量となるため、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度を上げることができ、金属酸化物微粒子52及びフッ素樹脂微粒子53を保護層5内に保持でき、保護層5の電気特性及びクリーニング性を維持することができる。
しかし、3質量%を下回ると、第2の表面処理剤Bの配合量が少な過ぎるため、金属酸化物微粒子52の表面への第2の表面処理剤Bの結合量が減り、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度を上げることができなくなるおそれがある。また、フッ素樹脂微粒子53に結合しているが、光硬化性樹脂51に結合していない金属酸化物微粒子52が残るため、結果として、保護層5から金属酸化物微粒子52及びフッ素樹脂微粒子53が外れてしまうおそれがある。保護層5から外れた金属酸化物微粒子52の量が多くなると、保護層5の電気特性を維持できないおそれがある。保護層5から外れたフッ素樹脂微粒子53の量が多くなると、保護層5の表面の滑性(摺動性)が低下し、クリーニング性が悪化するおそれがある。
10質量%を上回ると、第2の表面処理剤Bの配合量が多過ぎるため、金属酸化物微粒子52の表面処理に関与せずに塗工液中に残存する第2の表面処理剤Bの残存量が多くなるため、残存する第2の表面処理剤Bにより保護層5の電気特性に悪影響を与えるおそれがある。
金属酸化物微粒子52に対する第2の表面処理剤Bの配合割合は、3質量%以上、5質量%以下がより好ましい。
しかし、3質量%を下回ると、第2の表面処理剤Bの配合量が少な過ぎるため、金属酸化物微粒子52の表面への第2の表面処理剤Bの結合量が減り、金属酸化物微粒子52の表面疎水化度を上げることができなくなるおそれがある。また、フッ素樹脂微粒子53に結合しているが、光硬化性樹脂51に結合していない金属酸化物微粒子52が残るため、結果として、保護層5から金属酸化物微粒子52及びフッ素樹脂微粒子53が外れてしまうおそれがある。保護層5から外れた金属酸化物微粒子52の量が多くなると、保護層5の電気特性を維持できないおそれがある。保護層5から外れたフッ素樹脂微粒子53の量が多くなると、保護層5の表面の滑性(摺動性)が低下し、クリーニング性が悪化するおそれがある。
10質量%を上回ると、第2の表面処理剤Bの配合量が多過ぎるため、金属酸化物微粒子52の表面処理に関与せずに塗工液中に残存する第2の表面処理剤Bの残存量が多くなるため、残存する第2の表面処理剤Bにより保護層5の電気特性に悪影響を与えるおそれがある。
金属酸化物微粒子52に対する第2の表面処理剤Bの配合割合は、3質量%以上、5質量%以下がより好ましい。
上記の金属酸化物微粒子52に対する第1の表面処理剤Aの配合割合(10質量%以上、15質量%以下)と上記の金属酸化物微粒子52に対する第2の表面処理剤Bの配合割合(3質量%以上、10質量%以下)の合計は、20質量%以下であることが好ましい。金属酸化物微粒子52に対する、第1の表面処理剤Aの配合割合と第2の表面処理剤Bの配合割合の合計が20質量%上回ると、第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bの配合量が多過ぎるため、第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bの一方又は両方が残存し、残存する表面処理剤により保護層5の電気特性に悪影響を与えるおそれがある。
また、上記の金属酸化物微粒子52に対する第1の表面処理剤Aの配合割合(10質量%以上、13.5質量%以下)と上記の金属酸化物微粒子52に対する第2の表面処理剤Bの配合割合(3質量%以上、5質量%以下)の合計は、15質量%以下であることがより好ましい。
また、上記の金属酸化物微粒子52に対する第1の表面処理剤Aの配合割合(10質量%以上、13.5質量%以下)と上記の金属酸化物微粒子52に対する第2の表面処理剤Bの配合割合(3質量%以上、5質量%以下)の合計は、15質量%以下であることがより好ましい。
第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bが表面に結合した金属酸化物微粒子52の表面疎水化度は、40%以上であることが好ましく、40%以上、60%以下であることがより好ましい。このような高い金属酸化物微粒子52の表面疎水化度は、例えば、金属酸化物微粒子52の表面に結合した第1の表面処理剤Aのフッ化アルキル基中の炭素数、又は、第2の表面処理剤Bの疎水基中の炭素数を制御することによって達成することが可能である。このような高い表面疎水化度を示す金属酸化物微粒子52が保護層5中に分散すると、第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bによって保護層にもたらされた疎水性により、保護層中の水分量が増えることなく、保護層5に対し画像流れが生じない程度の帯電量をもたせることができ、適切な導電性を付与することができる。
しかし、表面疎水化度が40%を下回ると、保護層5中の水分量が多くなり、保護層5へ付与される帯電量が多くなり過ぎて不適切な導電性が付与される結果、画像流れが生じやすくなり、画像特性が悪化するおそれがある。また、60%を上回る表面疎水化度を示す金属酸化物微粒子52を作製することは困難であり、現実的でない。
しかし、表面疎水化度が40%を下回ると、保護層5中の水分量が多くなり、保護層5へ付与される帯電量が多くなり過ぎて不適切な導電性が付与される結果、画像流れが生じやすくなり、画像特性が悪化するおそれがある。また、60%を上回る表面疎水化度を示す金属酸化物微粒子52を作製することは困難であり、現実的でない。
・フッ素樹脂微粒子
フッ素樹脂微粒子53を構成するフッ素樹脂としては、保護層5表面の摩擦抵抗を低減し、保護層5表面に滑性(摺動性)を付与できるものであればいかなるものであってもよく、例えば、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂(ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂)、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、パーフルオロアルコキシアルカン樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体を挙げることができる。特に、四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン:以下、PTFEともいう)は、保護層5の疎水性を向上させる点で有利である。
フッ素樹脂微粒子53を構成するフッ素樹脂としては、保護層5表面の摩擦抵抗を低減し、保護層5表面に滑性(摺動性)を付与できるものであればいかなるものであってもよく、例えば、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂(ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂)、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、パーフルオロアルコキシアルカン樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体を挙げることができる。特に、四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン:以下、PTFEともいう)は、保護層5の疎水性を向上させる点で有利である。
フッ素樹脂微粒子53は、レーザー回折法による測定で0.2μm以上、3μm以下の平均粒径を有することが好ましい。平均粒径が0.2μm以上、3μm以下であるフッ素樹脂微粒子53は、保護層5中で分散した状態で、保護層5の疎水性を向上させ、且つ、保護層5表面の摩擦抵抗を低減し、保護層5表面に良好な滑性(摺動性)を付与することができる。しかし、0.2μmを下回ると、フッ素樹脂微粒子53の平均粒径が小さ過ぎるため、凝集しやすくなり、保護層5中でのフッ素樹脂微粒子53の分散性が悪化し、偏析するおそれがある。また、3μmを上回ると、フッ素樹脂微粒子53の平均粒径が大き過ぎるため、フッ素樹脂微粒子53が保護層表面から露出し、保護層5表面に凹凸が生じ、電子写真感光体1として使用不能となるおそれがある。
フッ素樹脂微粒子53は、0.5μm以上、3μm以下の平均粒径を有することがより好ましい。
フッ素樹脂微粒子53は、0.5μm以上、3μm以下の平均粒径を有することがより好ましい。
光硬化性樹脂51に対するフッ素樹脂微粒子53の配合割合は、10質量%以上、40質量%以下が好ましい。配合割合が10質量%以上、40質量%以下である場合、保護層5の表面の滑性(摺動性)を維持することができる。
しかし、10質量%を下回ると、光硬化性樹脂51に対するフッ素樹脂微粒子53の配合量が少な過ぎるため、保護層5の表面の滑性(摺動性)を維持できないおそれがある。
40質量%を上回ると、フッ素樹脂微粒子53の配合量が多過ぎるため、過剰なフッ素樹脂微粒子53が保護層5の表面から露出し、保護層5の表面に凹凸が生じ、電子写真感光体1として使用不能となるおそれがある。
光硬化性樹脂51に対するフッ素樹脂微粒子53の配合割合は、20質量%以上、40質量%以下がより好ましい。
しかし、10質量%を下回ると、光硬化性樹脂51に対するフッ素樹脂微粒子53の配合量が少な過ぎるため、保護層5の表面の滑性(摺動性)を維持できないおそれがある。
40質量%を上回ると、フッ素樹脂微粒子53の配合量が多過ぎるため、過剰なフッ素樹脂微粒子53が保護層5の表面から露出し、保護層5の表面に凹凸が生じ、電子写真感光体1として使用不能となるおそれがある。
光硬化性樹脂51に対するフッ素樹脂微粒子53の配合割合は、20質量%以上、40質量%以下がより好ましい。
図2に示すように、このように構成された保護層5では、光硬化性樹脂51が三次元的な架橋構造を形成している。保護層5内には、光硬化性樹脂51中に、第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bが表面に結合した金属酸化物微粒子52の一部がフッ素樹脂微粒子53の表面に保持されていない状態で分散し、且つ、第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bが表面に結合した金属酸化物微粒子52の一部が表面に保持されたフッ素樹脂微粒子53が分散している。図3に示すように、フッ素樹脂微粒子53は、その表面のフッ素原子と第1の表面処理剤Aのフッ素原子との親和性によって、第1の表面処理剤Aのフッ素原子を介して、第1の表面処理剤Aが金属酸化物微粒子52の表面に吸着することで、金属酸化物微粒子52の一部を保持する。フッ素樹脂微粒子53の表面に保持された金属酸化物微粒子52は、その表面に結合した第2の表面処理剤Bの重合性反応基と光硬化性樹脂51の光官能基との結合によって、第2の表面処理剤Bの重合性反応基を介して光硬化性樹脂51と結合する。したがって、フッ素樹脂微粒子53は、金属酸化物微粒子52を介して、光硬化性樹脂51に固定される。
尚、保護層中の金属酸化物微粒子は、フッ素樹脂微粒子の表面に保持されている場合や、保持されていない場合のいずれであっても、非凝集状態で分散していることが望ましいが、多少であれば、凝集状態で分散してもよい。ただし、フッ素樹脂微粒子の表面に保持された凝集状態の金属酸化物微粒子の粒径は、フッ素樹脂微粒子の表面に保持されていない凝集状態の金属酸化物微粒子の粒径よりも、通常、小さい。
尚、保護層中の金属酸化物微粒子は、フッ素樹脂微粒子の表面に保持されている場合や、保持されていない場合のいずれであっても、非凝集状態で分散していることが望ましいが、多少であれば、凝集状態で分散してもよい。ただし、フッ素樹脂微粒子の表面に保持された凝集状態の金属酸化物微粒子の粒径は、フッ素樹脂微粒子の表面に保持されていない凝集状態の金属酸化物微粒子の粒径よりも、通常、小さい。
電子写真感光体1の保護層5において、フッ素樹脂微粒子53の表面には、第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bが表面に結合した金属酸化物微粒子52の一部が保持されているため、フッ素樹脂微粒子53の分散性が改善される。また、フッ素樹脂微粒子53は、その表面に結合した金属酸化物微粒子52を介して、光硬化性樹脂51に固定されているため、保護層5の表面から外れにくくなり、保護層5表面に良好な摺動性を安定的に付与することができる。第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bが表面に結合した金属酸化物微粒子52の表面疎水化度が40%以上であるため、この金属酸化物微粒子52が分散した保護層5の水分量を増やすことなく、保護層5に対し画像流れが生じない程度の帯電量をもたせることができ、適切な導電性を付与することができる。
保護層5には、さらに電荷輸送物質を含有させることも可能である。保護層5に電荷輸送物質を含有させることによって残存電位の低減や感度劣化の抑制が可能となる。保護層5に用いられる電荷輸送物質は、上述した電荷輸送層4に記述された全ての電荷輸送物質を使用することが可能である。
保護層5の膜厚は、0.1μm以上、10μm以下が好ましく、1μm以上、7μm以下であることがより好ましい。
保護層5は、保護層塗布液を硬化することで得ることができる。保護層塗布液は、液中の光硬化性樹脂51に対して活性線を照射することでラジカル重合を生じさせ、分子間に架橋結合を形成して硬化することが好ましい。活性線の種類としては、電子線、紫外線があるが、量産性などを考えると、紫外線が好ましい。照射装置としては、メタルハライドランプ、水銀ランプ、紫外線LED等を用いることができる。
(中間層)
導電性支持体2と電荷発生層3との間に中間層を設けてもよい。中間層は、界面での電荷注入を制御するバリヤー層や接着層として機能する。中間層は主に結着樹脂からなるが、金属や合金、もしくはそれらの酸化物、塩類及び界面活性剤等を含めてもよい。中間層を形成する結着樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリアリルエーテル、ポリアセタール及びブチラール樹脂等が挙げられる。
中間層の膜厚は、0.05μm以上、7μm以下が好ましく、0.1μm以上、2μm以下がより好ましい。
導電性支持体2と電荷発生層3との間に中間層を設けてもよい。中間層は、界面での電荷注入を制御するバリヤー層や接着層として機能する。中間層は主に結着樹脂からなるが、金属や合金、もしくはそれらの酸化物、塩類及び界面活性剤等を含めてもよい。中間層を形成する結着樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリアリルエーテル、ポリアセタール及びブチラール樹脂等が挙げられる。
中間層の膜厚は、0.05μm以上、7μm以下が好ましく、0.1μm以上、2μm以下がより好ましい。
電荷発生層3、電荷輸送層4及び保護層5、並びに必要に応じて中間層は、それぞれ、塗工液を調製し、調製した塗工液を、公知の塗布方法により導電性支持体2に塗布することができる。具体的には、ブレード塗布法、浸漬塗布法、リング塗工法、スプレー塗布法などが挙げられる。尚、リング塗工法を用いる場合、導電性支持体2上に保護層5等を形成する際に、比較的少量の塗布液で済む点で有利である。
ここで、保護層5の塗工液の調製方法を説明する。
先ず、分散溶媒に金属酸化物微粒子52、第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bを混合してビーズミル等の分散手段で分散させることで、分散液を調製する。この分散液の調製段階において、金属酸化物微粒子52の表面に第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bが結合する。金属酸化物微粒子52の表面疎水化度は、金属酸化物微粒子に対する第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bの配合割合によって調整することができ、また、分散液の調製段階における分散時間によっても調整することもできる。
その後、調製した分散液に光硬化性樹脂51及びフッ素樹脂微粒子53を混合し、超音波照射等の公知の方法で分散させることで、保護層形成用塗布液(塗工液)を調製する。
先ず、分散溶媒に金属酸化物微粒子52、第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bを混合してビーズミル等の分散手段で分散させることで、分散液を調製する。この分散液の調製段階において、金属酸化物微粒子52の表面に第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bが結合する。金属酸化物微粒子52の表面疎水化度は、金属酸化物微粒子に対する第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bの配合割合によって調整することができ、また、分散液の調製段階における分散時間によっても調整することもできる。
その後、調製した分散液に光硬化性樹脂51及びフッ素樹脂微粒子53を混合し、超音波照射等の公知の方法で分散させることで、保護層形成用塗布液(塗工液)を調製する。
上述した実施形態では、結着樹脂51として光硬化性樹脂を用いた場合を説明したが、結着樹脂51として熱硬化性樹脂を用いてもよい。
熱硬化性樹脂としては、第2の表面処理剤Bの重合性反応基と結合可能な官能基を有するものであればいかなるものでもよく、例えば、アクリル系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂を挙げることができる。
熱硬化性樹脂としては、第2の表面処理剤Bの重合性反応基と結合可能な官能基を有するものであればいかなるものでもよく、例えば、アクリル系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂を挙げることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る電子写真感光体1は、保護層5の光硬化性樹脂51中に分散した、第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bが表面に結合した金属酸化物微粒子52の一部が表面に保持されたフッ素樹脂微粒子53の凝集を抑制し、且つ、保護層5からのフッ素樹脂微粒子53の脱離と保護層表面の残存電位の上昇を抑制することができる。また、第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bが表面に結合した金属酸化物微粒子52の一部がフッ素樹脂微粒子53の表面に保持された状態で、また、フッ素樹脂微粒子53の表面に保持されていない状態で、保護層5中に均一に分散されているので、保護層5の良好な電気特性を長期にわたって安定的に維持することができる。このため、本実施形態によれば、良好なクリーニング性と画像特性の両立を長期にわたって安定的に維持し、耐久性に優れた、製品寿命の長い電子写真感光体を得ることができる。
<電子写真装置>
本発明の電子写真装置は、本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体の周面を帯電させる帯電手段と、像露光手段と、現像手段と、クリーニング手段と、を備えて構成される。以下、図4を参照して説明する。
本発明の電子写真装置は、本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体の周面を帯電させる帯電手段と、像露光手段と、現像手段と、クリーニング手段と、を備えて構成される。以下、図4を参照して説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る電子写真装置10の模式図である。電子写真装置10は、像露光手段として半導体レーザー11を備える。制御回路20により画像情報によって信号変調されたレーザー光は、放出後に補正光学系12を介して平行化され、回転多面鏡13により反射されて走査運動を行う。レーザー光は、f−θレンズ14により、電子写真感光体1の表面上に集光されて画像情報の露光を行う。電子写真感光体1は、あらかじめ帯電手段である帯電装置15により帯電されているので、この露光によって表面に静電潜像が形成される。次いで、現像手段である現像装置16により、電子写真感光体1上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成することで可視画像化が行われる。この可視画像は、転写手段である転写装置17により紙のような転写材である画像受容体21に転写され、定着装置19で定着されてプリント物として提供される。電子写真感光体1は、表面に残存するトナーやトナーの成分をクリーニング手段であるクリーニング装置18により除去して反復して使われうる。
図4に示すドラム状の電子写真感光体1は、軸を中心に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体は、回転過程において、帯電手段によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受ける。印加される電圧としては、例えば直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧である。ここではドラム状の電子写真感光体を説明したが、シート状又はベルト状の電子写真感光体を用いることもできる。
帯電装置15は、帯電ローラ、帯電ブラシなどの帯電部材を感光体に接触させて電荷を与える接触帯電装置が使用される。また、図4に示したような帯電装置15だけでなく、非接触方式の帯電ローラ、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等を帯電手段として用いることもできる。
尚、電子写真装置における電子写真感光体、帯電手段、現像手段等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することも可能である。
以上説明したように、本実施形態に係る電子写真装置10は、上述したように、良好なクリーニング性と画像特性の両立を長期にわたって安定的に維持し、耐久性に優れた、製品寿命の長い電子写真感光体1を備えるため、使用中に感光体の表面が徐々に削れていってもその表面の滑性(摺動性)が失われにくく、感光体のクリーニング性及び画像特性が長期にわたって良好である。したがって、クリーニング手段が損傷を受けにくく、感光体のみならずクリーニング手段をもより長期にわたって使用可能となることから、電子写真装置の長寿命化を実現できる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。
〔実施例1〕
感光体を以下の手順で作製した。
感光体を以下の手順で作製した。
(導電性支持体)
導電性支持体として、外径30mmのアルミニウム素管を用いた。
導電性支持体として、外径30mmのアルミニウム素管を用いた。
(中間層)
下記の材料を、ビーズミルを使用して5時間分散した。ポリアミド樹脂には商品名CM8000(東レ株式会社製)を用い、酸化チタンには商品名MT−500SA(テイカ株式会社製)を用いた。
ポリアミド樹脂 5質量部
酸化チタン 5質量部
メタノール 50質量部
n−プロパノール 10質量部
分散した液を導電性支持体に浸漬塗布し、膜厚1μmの中間層を形成した。
下記の材料を、ビーズミルを使用して5時間分散した。ポリアミド樹脂には商品名CM8000(東レ株式会社製)を用い、酸化チタンには商品名MT−500SA(テイカ株式会社製)を用いた。
ポリアミド樹脂 5質量部
酸化チタン 5質量部
メタノール 50質量部
n−プロパノール 10質量部
分散した液を導電性支持体に浸漬塗布し、膜厚1μmの中間層を形成した。
(電荷発生層)
下記の材料を、ビーズミルを使用して3時間分散した。ブチラール樹脂には商品名BX−5(積水化学株式会社製)を用いた。
オキソチタニルフタロシアニン顔料(Y型) 10質量部
ブチラール樹脂 10質量部
1,2−ジメトキシエタン 900質量部
シクロヘキサノン 100質量部
分散した液を、中間層を形成した導電性支持体に浸漬塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
下記の材料を、ビーズミルを使用して3時間分散した。ブチラール樹脂には商品名BX−5(積水化学株式会社製)を用いた。
オキソチタニルフタロシアニン顔料(Y型) 10質量部
ブチラール樹脂 10質量部
1,2−ジメトキシエタン 900質量部
シクロヘキサノン 100質量部
分散した液を、中間層を形成した導電性支持体に浸漬塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層)
下記の材料をTHF100質量部に混合し、溶解した。電荷輸送物質には、1,1−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンを用い、ポリカーボネートには、商品名PCZ−500(三菱ガス化学株式会社社製)を用いた。
電荷輸送物質: 10質量部
結着樹脂:ポリカーボネート 10質量部
酸化防止剤:BHT 0.1質量部
溶解した液を、前述のとおり電荷発生層を形成した導電性支持体に浸漬塗布し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。その後、135℃で30分乾燥を行った。
下記の材料をTHF100質量部に混合し、溶解した。電荷輸送物質には、1,1−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンを用い、ポリカーボネートには、商品名PCZ−500(三菱ガス化学株式会社社製)を用いた。
電荷輸送物質: 10質量部
結着樹脂:ポリカーボネート 10質量部
酸化防止剤:BHT 0.1質量部
溶解した液を、前述のとおり電荷発生層を形成した導電性支持体に浸漬塗布し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。その後、135℃で30分乾燥を行った。
(保護層)
下記のように、先ず、金属酸化物微粒子分散液を調製し、この調製した金属酸化物微粒子分散液を用いて保護層塗布液を調製し、この調製した保護層塗布液を用いて、保護層を形成した。
金属酸化物微粒子分散液は、金属酸化物微粒子、第1の表面処理剤A、第2の表面処理剤B、及び分散溶媒を含む。また、保護層塗布液は、上記の金属酸化物微粒子分散液、光硬化性樹脂、フッ素樹脂微粒子、重合開始剤、及び分散溶媒を含む。
下記のように、先ず、金属酸化物微粒子分散液を調製し、この調製した金属酸化物微粒子分散液を用いて保護層塗布液を調製し、この調製した保護層塗布液を用いて、保護層を形成した。
金属酸化物微粒子分散液は、金属酸化物微粒子、第1の表面処理剤A、第2の表面処理剤B、及び分散溶媒を含む。また、保護層塗布液は、上記の金属酸化物微粒子分散液、光硬化性樹脂、フッ素樹脂微粒子、重合開始剤、及び分散溶媒を含む。
<金属酸化物微粒子分散液の調製>
金属酸化物微粒子として、アンチモンドープ酸化錫(以下、ATOという)微粒子(平均一次粒径:10nm〜15nm、商品名:T−1、三菱マテリアル電子化成株式会社製)を用いた。第1の表面処理剤Aとして、フッ素系シランカップリング剤である1H,1H,2H,2H−ナノフルオロヘキシルトリメトキシシラン(商品名:T2918、東京化成工業株式会社製)を用いた。第2の表面処理剤Bとして、重合性シランカップリング剤であるオクテニルトリメトキシシラン(商品名:KBM1083、信越シリコーン株式会社製)を用いた。第1の表面処理剤AのATO微粒子に対する配合割合を10質量%とし、第2の表面処理剤BのATO微粒子に対する配合割合を4質量%とした。また、分散溶媒として、IPA(イソプロピルアルコール特級試薬99.5%、キシダ化学株式会社製)を用いた。これらの材料を下記の配合割合で混ぜ、ビーズミルを使用して分散してATO微粒子分散液を調製した。分散時間を90時間とした。
金属酸化物微粒子:ATO微粒子 50質量部
第1の表面処理剤A:フッ素系シランカップリング剤 5質量部
第2の表面処理剤B:重合性シランカップリング剤 2質量部
分散溶媒 200質量部
調製したATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)を、粒径測定器(商品名:ELSZ−2、大塚電子株式会社製)を用いて、積算回数70回の条件で、動的光散乱法により測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は65nmであった。また、ATO微粒子分散液中のATO微粒子の表面疎水化度をメタノール滴定により測定した。疎水化度は46%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
金属酸化物微粒子として、アンチモンドープ酸化錫(以下、ATOという)微粒子(平均一次粒径:10nm〜15nm、商品名:T−1、三菱マテリアル電子化成株式会社製)を用いた。第1の表面処理剤Aとして、フッ素系シランカップリング剤である1H,1H,2H,2H−ナノフルオロヘキシルトリメトキシシラン(商品名:T2918、東京化成工業株式会社製)を用いた。第2の表面処理剤Bとして、重合性シランカップリング剤であるオクテニルトリメトキシシラン(商品名:KBM1083、信越シリコーン株式会社製)を用いた。第1の表面処理剤AのATO微粒子に対する配合割合を10質量%とし、第2の表面処理剤BのATO微粒子に対する配合割合を4質量%とした。また、分散溶媒として、IPA(イソプロピルアルコール特級試薬99.5%、キシダ化学株式会社製)を用いた。これらの材料を下記の配合割合で混ぜ、ビーズミルを使用して分散してATO微粒子分散液を調製した。分散時間を90時間とした。
金属酸化物微粒子:ATO微粒子 50質量部
第1の表面処理剤A:フッ素系シランカップリング剤 5質量部
第2の表面処理剤B:重合性シランカップリング剤 2質量部
分散溶媒 200質量部
調製したATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)を、粒径測定器(商品名:ELSZ−2、大塚電子株式会社製)を用いて、積算回数70回の条件で、動的光散乱法により測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は65nmであった。また、ATO微粒子分散液中のATO微粒子の表面疎水化度をメタノール滴定により測定した。疎水化度は46%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
<保護層塗布液の調製>
重合開始剤として、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:Irgacure907、BASFジャパン株式会社製)を用いた。光硬化性樹脂として、多官能フッ素変性アクリル樹脂(商品名:ACU−3、関東電化工業株式会社製)を用いた。分散溶媒として、イソプロピルアルコール(IPA:特級試薬99.5%、キシダ化学株式会社製)を用いた。フッ素樹脂微粒子として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粒子(平均粒径:2.3μm、最大粒径:4.62μm、商品名:KTL1N、株式会社喜多村製)を用いた。PTFE微粒子の光硬化性樹脂に対する配合割合を30質量%とした。これらの材料を下記の配合割合で、上記のATO微粒子分散液に添加し、遮光下で混合撹拌し、この混合液に対し、超音波発振器(発振周波数:40kHz、超音波出力:50W)から発振した超音波を5分間、照射しながら、混合液中の成分を分散溶媒中に分散させ、保護層塗布液を調製した。
重合開始剤 10質量部
光硬化性樹脂 100質量部
フッ素樹脂微粒子:PTFE微粒子 30質量部
分散溶媒:IPA 150質量部
ATO微粒子分散液 100質量部
重合開始剤として、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:Irgacure907、BASFジャパン株式会社製)を用いた。光硬化性樹脂として、多官能フッ素変性アクリル樹脂(商品名:ACU−3、関東電化工業株式会社製)を用いた。分散溶媒として、イソプロピルアルコール(IPA:特級試薬99.5%、キシダ化学株式会社製)を用いた。フッ素樹脂微粒子として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粒子(平均粒径:2.3μm、最大粒径:4.62μm、商品名:KTL1N、株式会社喜多村製)を用いた。PTFE微粒子の光硬化性樹脂に対する配合割合を30質量%とした。これらの材料を下記の配合割合で、上記のATO微粒子分散液に添加し、遮光下で混合撹拌し、この混合液に対し、超音波発振器(発振周波数:40kHz、超音波出力:50W)から発振した超音波を5分間、照射しながら、混合液中の成分を分散溶媒中に分散させ、保護層塗布液を調製した。
重合開始剤 10質量部
光硬化性樹脂 100質量部
フッ素樹脂微粒子:PTFE微粒子 30質量部
分散溶媒:IPA 150質量部
ATO微粒子分散液 100質量部
<保護膜の形成>
前述のとおり電荷輸送層を形成した後で乾燥した導電性支持体に保護層塗布液をリング塗工法により、浸漬塗布した。塗布後、80℃で10分、溶媒の乾燥を行った。乾燥後、メタルハライドランプ(商品名:M08−L41C、岩崎電気株式会社)を用い、導電性支持体上の乾燥塗膜に対し、紫外線露光量が3000mJ/cm2の紫外線を照射し、乾燥塗膜中の光硬化性樹脂を硬化させ、膜厚3μmの保護層を形成し、有機感光体を作製した。尚、3000mJ/cm2の紫外線露光量は、導電性支持体をメタルハライドランプからの距離が15〜20cmの範囲内の位置で回転させながら、照射強度を250〜300W/cm2の範囲で制御し、照射時間を120〜180秒間の範囲で調整することで達成した。
前述のとおり電荷輸送層を形成した後で乾燥した導電性支持体に保護層塗布液をリング塗工法により、浸漬塗布した。塗布後、80℃で10分、溶媒の乾燥を行った。乾燥後、メタルハライドランプ(商品名:M08−L41C、岩崎電気株式会社)を用い、導電性支持体上の乾燥塗膜に対し、紫外線露光量が3000mJ/cm2の紫外線を照射し、乾燥塗膜中の光硬化性樹脂を硬化させ、膜厚3μmの保護層を形成し、有機感光体を作製した。尚、3000mJ/cm2の紫外線露光量は、導電性支持体をメタルハライドランプからの距離が15〜20cmの範囲内の位置で回転させながら、照射強度を250〜300W/cm2の範囲で制御し、照射時間を120〜180秒間の範囲で調整することで達成した。
〔実施例2〕
保護層塗布液に添加したPTFE微粒子として、実施例1で用いた商品名KTL1Nに代えて、他のPTFE微粒子(平均粒径:2.59μm、最大粒径:7.78μm、商品名:KTL2N、株式会社喜多村製)30質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
感光体の保護層の作製過程で調製したATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は73nmであり、疎水化度は47%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
保護層塗布液に添加したPTFE微粒子として、実施例1で用いた商品名KTL1Nに代えて、他のPTFE微粒子(平均粒径:2.59μm、最大粒径:7.78μm、商品名:KTL2N、株式会社喜多村製)30質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
感光体の保護層の作製過程で調製したATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は73nmであり、疎水化度は47%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
〔実施例3〕
ATO微粒子分散液に添加した第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)として、実施例1で用いた商品名T2918に代えて、他のフッ素系シランカップリング剤である1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン(商品名:NQ−H03、Qufu Wanda Chemical Co.,Ltd製)2質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は95nmであり、疎水化度は43%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
ATO微粒子分散液に添加した第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)として、実施例1で用いた商品名T2918に代えて、他のフッ素系シランカップリング剤である1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン(商品名:NQ−H03、Qufu Wanda Chemical Co.,Ltd製)2質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は95nmであり、疎水化度は43%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
〔比較例1〕
ATO微粒子分散液に添加した第2の表面処理剤B(重合性シランカップリング剤)として、実施例1で用いた商品名KBM1083に代えて、他の重合性シランカップリング剤であるメタクリロキシオクチルトリメトキシシラン(商品名:KBM5803、信越シリコーン株式会社製)2質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は79nmであり、疎水化度は35%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
ATO微粒子分散液に添加した第2の表面処理剤B(重合性シランカップリング剤)として、実施例1で用いた商品名KBM1083に代えて、他の重合性シランカップリング剤であるメタクリロキシオクチルトリメトキシシラン(商品名:KBM5803、信越シリコーン株式会社製)2質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は79nmであり、疎水化度は35%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
〔比較例2〕
ATO微粒子分散液に、実施例1で用いた第2の表面処理剤B(重合性シランカップリング剤)を添加せず、第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)のみで表面処理したATO微粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は74nmであり、疎水化度は51%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
ATO微粒子分散液に、実施例1で用いた第2の表面処理剤B(重合性シランカップリング剤)を添加せず、第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)のみで表面処理したATO微粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は74nmであり、疎水化度は51%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
〔比較例3〕
ATO微粒子分散液に、実施例1で用いた第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)を添加せず、第2の表面処理剤B(重合性シランカップリング剤)のみで表面処理したATO微粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は133nmであり、疎水化度は41%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
ATO微粒子分散液に、実施例1で用いた第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)を添加せず、第2の表面処理剤B(重合性シランカップリング剤)のみで表面処理したATO微粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は133nmであり、疎水化度は41%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
〔比較例4〕
ATO微粒子分散液の分散時間を70時間とした以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は90nmであり、疎水化度は32%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
ATO微粒子分散液の分散時間を70時間とした以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は90nmであり、疎水化度は32%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
〔比較例5〕
ATO微粒子分散液に添加した第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)として、実施例1で用いた商品名T2918に代えて、他のフッ素系シランカップリング剤である1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(商品名:T2917、東京化成化学工業株式会社製)5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は122nmであり、疎水化度は14%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
ATO微粒子分散液に添加した第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)として、実施例1で用いた商品名T2918に代えて、他のフッ素系シランカップリング剤である1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(商品名:T2917、東京化成化学工業株式会社製)5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして有機感光体を作製した。
ATO微粒子分散液中のATO微粒子の平均粒径(D50)及び表面疎水化度を実施例1と同様の方法で測定した。ATO微粒子の平均粒径(D50)は122nmであり、疎水化度は14%であった。これらの各測定結果を以下の表1に示した。
(評価)
上記した実施例1〜3、及び、比較例1〜5の各有機感光体の性能を評価し、その評価結果を以下の表1に示した。
上記した実施例1〜3、及び、比較例1〜5の各有機感光体の性能を評価し、その評価結果を以下の表1に示した。
(感光体の評価)
上述の実施例1〜3、比較例1〜4の感光体を画像形成装置(サムスン電子社製CLX−8650ND)に搭載し、その感光体の、電気特性(露光後電位VL)、画像評価、ブレードめくれ・鳴きの有無、感光体表面の状態について、下記のようにして評価した。
尚、表1中の「kc回転」はキロ単位で表した感光体の回転数を示しており、表1中の250kcは、感光体の回転数が25万回であることを示す。
上述の実施例1〜3、比較例1〜4の感光体を画像形成装置(サムスン電子社製CLX−8650ND)に搭載し、その感光体の、電気特性(露光後電位VL)、画像評価、ブレードめくれ・鳴きの有無、感光体表面の状態について、下記のようにして評価した。
尚、表1中の「kc回転」はキロ単位で表した感光体の回転数を示しており、表1中の250kcは、感光体の回転数が25万回であることを示す。
<電気特性:電位測定>
32℃、湿度80%で、感光体を電子写真装置[商品名:CLX−8650ND、サムスン電子株式会社製]に装着し、A4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を25万枚印刷した。25万枚印刷した後、露光後電位VLを測定プローブで測定した。その結果を表1に示した。
尚、25万枚印刷後の露光後電位VLは、感光体の表面に−600Vを印加し、1μJ/cm2のレーザー光を照射して露光することにより、露光前の表面電位より低下した表面電位である。
32℃、湿度80%で、感光体を電子写真装置[商品名:CLX−8650ND、サムスン電子株式会社製]に装着し、A4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を25万枚印刷した。25万枚印刷した後、露光後電位VLを測定プローブで測定した。その結果を表1に示した。
尚、25万枚印刷後の露光後電位VLは、感光体の表面に−600Vを印加し、1μJ/cm2のレーザー光を照射して露光することにより、露光前の表面電位より低下した表面電位である。
<画像評価>
電位測定と同様にして25万枚印刷した後、テキスト5%チャートを印字し、画像流れの有無を目視により判定した。その結果を表1に示した。
表1中の「良好」は、印字面に画像流れが全く発生しなかった場合であり、画像流れが発生していても、その発生状態が実使用上、許容される程度であった場合を含む。
表1中の「画像流れ発生」は、印字面に実使用上、許容できない程度の画像流れが発生した場合である。
電位測定と同様にして25万枚印刷した後、テキスト5%チャートを印字し、画像流れの有無を目視により判定した。その結果を表1に示した。
表1中の「良好」は、印字面に画像流れが全く発生しなかった場合であり、画像流れが発生していても、その発生状態が実使用上、許容される程度であった場合を含む。
表1中の「画像流れ発生」は、印字面に実使用上、許容できない程度の画像流れが発生した場合である。
<ブレードめくれ・鳴き>
32℃、湿度80%で、電位測定で用いたのと同じ電子写真装置を用いてA4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を25万枚印刷し、ブレードめくれ・鳴きの有無を確認した。その結果を表1に示した。
表1中の「問題無し」は、25万枚の印刷終了するまでブレードめくれ・鳴きが全く発生しなかった場合であり、感光体の起動時・停止時に、実使用上、許容される程度の僅かなブレードめくれ・鳴きがあった場合を含む。
表1中の「ブレード鳴きが発生」は、印刷中に、連続的にブレードめくれ・鳴きが発生した場合である。
32℃、湿度80%で、電位測定で用いたのと同じ電子写真装置を用いてA4サイズの中性紙上にYMCBk各色印字率2.5%のA4画像を25万枚印刷し、ブレードめくれ・鳴きの有無を確認した。その結果を表1に示した。
表1中の「問題無し」は、25万枚の印刷終了するまでブレードめくれ・鳴きが全く発生しなかった場合であり、感光体の起動時・停止時に、実使用上、許容される程度の僅かなブレードめくれ・鳴きがあった場合を含む。
表1中の「ブレード鳴きが発生」は、印刷中に、連続的にブレードめくれ・鳴きが発生した場合である。
<感光体表面>
ブレードめくれ・鳴きの評価後、10℃、湿度20%で、感光体表面の傷の有無を目視により確認した。その結果を表1に示した。
表1中の「問題無し」は、感光体表面に傷が全く発生しなかった場合であり、実使用上、許容される程度の僅かな傷があった場合を含む。
表1中の「傷発生」は、感光体表面に実使用上、許容できない程度の傷が発生した場合である。
ブレードめくれ・鳴きの評価後、10℃、湿度20%で、感光体表面の傷の有無を目視により確認した。その結果を表1に示した。
表1中の「問題無し」は、感光体表面に傷が全く発生しなかった場合であり、実使用上、許容される程度の僅かな傷があった場合を含む。
表1中の「傷発生」は、感光体表面に実使用上、許容できない程度の傷が発生した場合である。
(実施例1から実施例3の評価)
25万枚印刷後の露光後電位VLについて、実施例1は−58Vであり、実施例2は−44Vであり、実施例3は−47Vであった。実施例1から実施例3の感光体では、いずれも、後述する比較例1(−127V)と比較すると、25万枚印刷後の露光後電位VLの上昇が抑制されており、良好な電気特性を確認した。また、25万枚印刷後の画像流れの評価が「良好」であり、25万枚印刷後のブレードめくれ・鳴きの評価が「問題無し」であり、25万枚印刷後の感光体表面についての傷発生の評価が「問題無し」であった。このように、長期にわたって、感光体に必要な特性を満足する結果となった。これらの結果から、実施例1から実施例3では、良好なクリーニング性と画像特性の両立を長期にわたって安定的に維持し、耐久性に優れた、製品寿命の長い感光体を得られたことが確認できた。
25万枚印刷後の露光後電位VLについて、実施例1は−58Vであり、実施例2は−44Vであり、実施例3は−47Vであった。実施例1から実施例3の感光体では、いずれも、後述する比較例1(−127V)と比較すると、25万枚印刷後の露光後電位VLの上昇が抑制されており、良好な電気特性を確認した。また、25万枚印刷後の画像流れの評価が「良好」であり、25万枚印刷後のブレードめくれ・鳴きの評価が「問題無し」であり、25万枚印刷後の感光体表面についての傷発生の評価が「問題無し」であった。このように、長期にわたって、感光体に必要な特性を満足する結果となった。これらの結果から、実施例1から実施例3では、良好なクリーニング性と画像特性の両立を長期にわたって安定的に維持し、耐久性に優れた、製品寿命の長い感光体を得られたことが確認できた。
(比較例1の評価)
比較例1の感光体は、25万枚印刷後のブレードめくれ・鳴きの評価が「問題無し」であり、25万枚印刷後の感光体表面についての傷発生の評価が「問題無し」であった。
しかし、比較例1の感光体は、上述したように25万枚印刷後の露光後電位VLが−127Vであり、実施例1から実施例3と比較して、25万枚印刷後の露光後電位VLの上昇を抑制できず、電気特性が不良であり、また、25万枚印刷後の画像流れの評価が「画像流れ発生」であった。これは、比較例1の感光体では、ATO微粒子の表面疎水化度が35%と低くなり、保護層の水分量が多くなり、保護層への帯電量が多くなり過ぎた結果、画像特性の悪化を示す画像流れが生じたためである。
比較例1の感光体は、25万枚印刷後のブレードめくれ・鳴きの評価が「問題無し」であり、25万枚印刷後の感光体表面についての傷発生の評価が「問題無し」であった。
しかし、比較例1の感光体は、上述したように25万枚印刷後の露光後電位VLが−127Vであり、実施例1から実施例3と比較して、25万枚印刷後の露光後電位VLの上昇を抑制できず、電気特性が不良であり、また、25万枚印刷後の画像流れの評価が「画像流れ発生」であった。これは、比較例1の感光体では、ATO微粒子の表面疎水化度が35%と低くなり、保護層の水分量が多くなり、保護層への帯電量が多くなり過ぎた結果、画像特性の悪化を示す画像流れが生じたためである。
(比較例2の評価)
比較例2の感光体は、25万枚印刷後の画像流れの評価が「良好」であり、25万枚印刷後の露光後電位VLが−60Vであった。
しかし、比較例2の感光体は、25万枚印刷後のブレードめくれ・鳴きの評価が「ブレード鳴きが発生」であり、25万枚印刷後の感光体表面についての傷発生の評価が「傷発生」であった。これは、比較例2の感光体では、実施例1で用いた第2の表面処理剤B(重合性シランカップリング剤)を使用していないので、PTFE微粒子がATO微粒子を介して光硬化性樹脂に結合できず、PTFE微粒子が保護層表面から外れやすくなり、保護層表面の滑性(摺動性)を維持できなかったためである。
比較例2の感光体は、25万枚印刷後の画像流れの評価が「良好」であり、25万枚印刷後の露光後電位VLが−60Vであった。
しかし、比較例2の感光体は、25万枚印刷後のブレードめくれ・鳴きの評価が「ブレード鳴きが発生」であり、25万枚印刷後の感光体表面についての傷発生の評価が「傷発生」であった。これは、比較例2の感光体では、実施例1で用いた第2の表面処理剤B(重合性シランカップリング剤)を使用していないので、PTFE微粒子がATO微粒子を介して光硬化性樹脂に結合できず、PTFE微粒子が保護層表面から外れやすくなり、保護層表面の滑性(摺動性)を維持できなかったためである。
(比較例3の評価)
比較例3の感光体は、25万枚印刷後の露光後電位VLの測定が不能であった。また、比較例3の感光体は、感光体表面にPTFE微粒子が凝集したため、25万枚印刷後の、画像流れの評価、ブレードめくれ・鳴きの評価、及び、感光体表面についての傷発生の評価について、いずれも「評価不可」であった。これは、感光体表面にPTFE微粒子が凝集したのは、実施例1で用いた第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)を使用していないので、PTFE微粒子の凝集性を改善できなかったためである。
比較例3の感光体は、25万枚印刷後の露光後電位VLの測定が不能であった。また、比較例3の感光体は、感光体表面にPTFE微粒子が凝集したため、25万枚印刷後の、画像流れの評価、ブレードめくれ・鳴きの評価、及び、感光体表面についての傷発生の評価について、いずれも「評価不可」であった。これは、感光体表面にPTFE微粒子が凝集したのは、実施例1で用いた第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)を使用していないので、PTFE微粒子の凝集性を改善できなかったためである。
(比較例4の評価)
比較例4の感光体は、25万枚印刷後の露光後電位VLが−64Vであり、25万枚印刷後のブレードめくれ・鳴きの評価が「問題無し」であり、25万枚印刷後の感光体表面についての傷発生の評価が「問題無し」であった。
しかし、比較例4の感光体は、25万枚印刷後の画像流れの評価が「画像流れ発生」であった。これは、実施例1よりも分散液の分散時間が短いので、ATO微粒子の表面への第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bの結合量が少なく、ATO微粒子の表面疎水化度が32%と低くなり、保護層の水分量が多くなり、保護層への帯電量が多くなり過ぎた結果、画像特性の悪化を示す画像流れが生じたためである。
比較例4の感光体は、25万枚印刷後の露光後電位VLが−64Vであり、25万枚印刷後のブレードめくれ・鳴きの評価が「問題無し」であり、25万枚印刷後の感光体表面についての傷発生の評価が「問題無し」であった。
しかし、比較例4の感光体は、25万枚印刷後の画像流れの評価が「画像流れ発生」であった。これは、実施例1よりも分散液の分散時間が短いので、ATO微粒子の表面への第1の表面処理剤A及び第2の表面処理剤Bの結合量が少なく、ATO微粒子の表面疎水化度が32%と低くなり、保護層の水分量が多くなり、保護層への帯電量が多くなり過ぎた結果、画像特性の悪化を示す画像流れが生じたためである。
(比較例5の評価)
比較例5の感光体は、25万枚印刷後の露光後電位VLが−62Vであり、25万枚印刷後のブレードめくれ・鳴きの評価が「問題無し」であり、25万枚印刷後の感光体表面についての傷発生の評価が「問題無し」であった。
しかし、比較例4の感光体は、25万枚印刷後の画像流れの評価が「画像流れ発生」であった。これは、フッ化アルキル基の炭素数が8である第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)を使用しているので、その主鎖(炭素鎖)が長過ぎるため、炭素鎖により生じた立体障害によって、表面処理が阻害されたことにより、ATO微粒子の表面疎水化度が14%まで下がり、保護層の水分量が多くなり、保護層への帯電量が多くなり過ぎた結果、画像特性の悪化を示す画像流れが生じたためである。
比較例5の感光体は、25万枚印刷後の露光後電位VLが−62Vであり、25万枚印刷後のブレードめくれ・鳴きの評価が「問題無し」であり、25万枚印刷後の感光体表面についての傷発生の評価が「問題無し」であった。
しかし、比較例4の感光体は、25万枚印刷後の画像流れの評価が「画像流れ発生」であった。これは、フッ化アルキル基の炭素数が8である第1の表面処理剤A(フッ素系シランカップリング剤)を使用しているので、その主鎖(炭素鎖)が長過ぎるため、炭素鎖により生じた立体障害によって、表面処理が阻害されたことにより、ATO微粒子の表面疎水化度が14%まで下がり、保護層の水分量が多くなり、保護層への帯電量が多くなり過ぎた結果、画像特性の悪化を示す画像流れが生じたためである。
尚、上述した実施例1から実施例3では、いずれも、感光層として負帯電積層型の感光層を用いた感光体を例示したが、感光層の上に、上述した保護層と同様の保護層を設けるのであれば、感光層として正帯電単層型の感光層を用いた感光体であっても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明を実施の形態及び実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されない。該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白である。本発明の単純な変形ないし変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は他の実施の態様も含む。
1…感光体、
2…導電性支持体、
34…感光層、
3…電荷発生層、
4…電荷輸送層、
5…保護層、
51…光硬化性樹脂(結着樹脂)、
52…金属酸化物微粒子、
53…フッ素樹脂微粒子、
10…電子写真装置、
11…半導体レーザー(露光手段)、
12…補正光学系、
13…回転多面鏡、
14…f−θレンズ、
15…帯電装置(帯電手段)
16…現像装置(現像手段)、
17…転写装置(転写手段)、
18…クリーニング装置(クリーニング手段)、
19…定着装置(定着手段)、
20…制御回路、
21…画像受容体。
2…導電性支持体、
34…感光層、
3…電荷発生層、
4…電荷輸送層、
5…保護層、
51…光硬化性樹脂(結着樹脂)、
52…金属酸化物微粒子、
53…フッ素樹脂微粒子、
10…電子写真装置、
11…半導体レーザー(露光手段)、
12…補正光学系、
13…回転多面鏡、
14…f−θレンズ、
15…帯電装置(帯電手段)
16…現像装置(現像手段)、
17…転写装置(転写手段)、
18…クリーニング装置(クリーニング手段)、
19…定着装置(定着手段)、
20…制御回路、
21…画像受容体。
Claims (9)
- 導電性支持体と、前記導電性支持体上に形成された感光層と、前記感光層上に形成された保護層とを備えた電子写真感光体において、
前記保護層は、結着樹脂と金属酸化物微粒子とフッ素樹脂微粒子とを含み、
前記金属酸化物微粒子は、前記金属酸化物微粒子の表面に結合した、(a)フッ素原子を有する第1の表面処理剤及び(b)重合性反応基と疎水基とを有する第2の表面処理剤を有し、
前記金属酸化物微粒子の表面疎水化度は、40%以上であり、
前記金属酸化物微粒子の一部が前記フッ素樹脂微粒子の表面に保持されており、
前記フッ素樹脂微粒子は、前記フッ素樹脂微粒子の表面に保持された前記金属酸化物微粒子を介して前記結着樹脂に固定されている、電子写真感光体。 - 前記フッ素原子を介して前記フッ素樹脂微粒子の表面に吸着することにより、前記金属酸化物微粒子の一部が前記フッ素樹脂微粒子の表面に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記前記重合性反応基を介して前記結着樹脂と結合することにより、前記フッ素樹脂微粒子が前記結着樹脂に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記第1の表面処理剤は、炭素数が4以上、7以下のフッ化アルキル基を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記第2の表面処理剤の前記重合性反応基は、アクリロイル基、メタクリロイル基及びビニル基からなる群より選択される少なくとも1種類であり、前記第2の表面処理剤の前記疎水基は、炭素数が6以上のアルキル基、及び、炭素数が6以上のアルキレン基の一方又は両方であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物微粒子は、アンチモンドープ酸化錫、酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種類からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記フッ素樹脂微粒子は、ポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記結着樹脂は、光官能基を有する光硬化性樹脂であり、前記光官能基が、前記第2の表面処理剤の前記重合性反応基と結合していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に対して露光を行い前記電子写真感光体の上に静電潜像を形成する像露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を転写材に転写する転写手段と、前記電子写真感光体の上に残るトナーを除去するクリーニング手段とを備えた、電子写真装置。
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-
2016
- 2016-01-14 JP JP2016005033A patent/JP2017125946A/ja active Pending
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