JP2017123861A - ウイルスまたは細菌の新規な安定化方法 - Google Patents

ウイルスまたは細菌の新規な安定化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ウイルス及び細菌の貯蔵・保管にあたって、生存性及び/又は生物の複製能及び/又は生物の感染力を失うことなく、長期間かつ多様なストレス条件下で貯蔵するための、ウイルス又は細菌を安定化する為の方法の提供。【解決手段】ウイルス又は細菌を水溶液に埋め込む段階を含み、その際、水溶液は(i)少なくとも3種類の異なるアミノ酸、または(ii)少なくとも1種類のジペプチド或いはトリペプチドを含み、水溶液は糖(単数又は複数)、シラン類及びタンパク質(単数又は複数)を含まないか又は実質的に含まない方法。少なくとも3種類のアミノ酸が、下記の群:(a)非極性、脂肪族R基をもつアミノ酸、(b)極性、非荷電R基をもつアミノ酸、(c)正に荷電したR基をもつアミノ酸、(d)負に荷電したR基をもつアミノ酸及び(e)芳香族R基をもつアミノ酸、から選択される方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ウイルスまたは細菌を安定化するための方法であって、ウイルスまたは細菌を水溶液に埋め込む段階を含み、その際、水溶液は(i)少なくとも3種類の異なるアミノ酸;または(ii)少なくとも1種類のジペプチドもしくはトリペプチドを含み、水溶液は
糖(単数または複数)、シラン類およびタンパク質(単数または複数)を含まないかまたは実質的に含まない方法に関する。
本明細書中に特許出願および製造業者のマニュアルを含めた多数の文献を引用する。これらの文献の開示内容は本発明の特許性に関係があるとは考えられないが、それの全体を本明細書に援用する。より詳細には、援用した文献はすべて、それぞれ個々の文献を具体的かつ個々に援用すると指示したと同程度に援用される。
すべてのウイルスは、それらが複製のために宿主細胞を必要とするという共通点をもつ。そのために、ウイルスは細胞または細菌に感染しなければならず、そこでそれらは直ちに宿主細胞の複製機構を始動させるか、あるいは不活動状態を不特定期間維持する。宿主細胞に感染するために、ウイルスは細胞膜に接着するように進化した機序をもち、そこでその後の侵入段階の前提条件としてウイルスのエンベロープまたはキャプシド内の分子が宿主細胞膜の特定の分子と相互作用する。この段階で、ウイルスは種々の戦略を使うことができる。たとえば、エンベロープをもつRNAおよびDNAウイルスの場合、ウイルスのエンベロープは融合して、ウイルスゲノムを内包する細胞内コンパートメントを形成する。ウイルスゲノムは次いで宿主細胞内へ放出され、そこで-たとえばヘルペスウイルスなどのDNAウイルスの場合-ウイルスDNAは宿主細胞のDNAに組み込まれることができる。たとえば
ポリオウイルスの場合のようにゲノムがゲノムRNAからなる場合、RNAはウイルス特異的タンパク質およびウイルスポリメラーゼの合成のために直接翻訳される。幾つかの十分に記述された細胞侵入機序および複製機序があり、それらはウイルスの分類に用いられる。さらに、宿主細胞からのウイルスの放出に関与するウイルス合成の段階および機序(たとえば細胞溶解)はウイルスタイプ間で異なる。
ウイルスの侵入および複製は共に、ウイルスと宿主細胞の分子相互作用に依存する。接着プロセスで、ウイルスエンベロープ上の接着分子はたとえば宿主細胞膜上のそれぞれの相手と緊密結合により相互作用することができる。たとえば、ライノウイルスの分子は宿主細胞膜上の細胞間接着分子-1に結合することができる。インフルエンザA型の場合、ウ
イルス分子ノイラミニダーゼおよびヘマグルチニンは宿主細胞膜との相互作用およびウイルスゲノムのアンパッキングにとって重要である。
言い換えると、ウイルスは複雑な分子反応シーケンスで感染と複製を共に可能にする多数の分子を保有する。したがって、ひとつの分子反応が起きないかまたは適正に行われない場合、これらの反応は不十分である。一般に、ウイルスは非生理的条件下、たとえば生体外ではきわめて不安定である。高温、乾燥状態または照射などの物理的条件は通常はウイルスの不活性化をもたらし、一方でエンベロープをもつウイルスは一般にエンベロープをもたないウイルスよりこれらの条件に対して感受性である。
ウイルスは、宿主細胞への感染および複製に成功した後に宿主の免疫系により死滅するのを避けるために、免疫回避機序を進化させた。同様に免疫系もウイルスまたはウイルス感染細胞を認識する機序を進化させた。重要な役割は、ウイルスの抗原ペプチドを抗原提示細胞、たとえば樹状細胞または単球/マクロファージの表面膜上に主要組織適合性複合
体(MHC)系により提示することである。多くのウイルスについて、抗原性をもつ分子が
同定され、ワクチンの開発に用いられている。これらの抗原は、宿主の抗原提示細胞によりプロセシングされて、表面のMHC分子と一緒に提示される。免疫細胞、たとえばCD4およびCD8リンパ球は提示されたウイルスペプチドを認識し、抗原提示細胞の表面膜上の共刺
激分子の支持で、ウイルス特異的リンパ球が拡張してウイルスに対する防御ラインを形成する。したがって、ワクチンの開発に関連するウイルス抗原は、宿主において有効な免疫応答を誘発するためには自然状態になければならない。
代わりに、遺伝子修飾した生物(genetically modified organism)(GMO)、たとえばワクチン関連遺伝子を運ぶウイルスベクターが開発された。たとえば、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ワクシニアウイルスは、細胞のトランスフェクションおよび免疫療法に用いられる。ウイルスベクターは、抗ウイルスワクチンまたは抗癌ワクチンとして高い有効性をもつタンパク質をコードする遺伝子を運ぶことができる。ワクチン接種に用いるGMOは、それらの感染性をインビトロおよびインビボで維持すべきであり、かつ標的特
異的タンパク質の発現および免疫応答を誘発するためにはトランスフェクションした遺伝子のタンパク質生合成を可能にしなければならない。
ワクチンの開発および製造に際して考慮すべき本質的な観点は以下のことである(Morefield GL, A rationale approach for the development of vaccine formulations, AAPS Journal, 2011; DOI: 10.1208/s12248-011-9261-1):(1)感染性および複製の喪失、機
械的損傷または物理的損傷を避けるために、インビトロでのウイルスの増殖およびそれらの貯蔵に適正な条件。これに関して、高い安定性、感染性、複製および抗原性をもつ多数のウイルスを産生することが望ましい。(2)不活性化段階(すなわち弱毒化)は安全性
の理由で重要であるが、抗原が修飾され、それにより抗原性を喪失する可能性が増大するという欠点をもつ。(3)貯蔵条件は多数のウイルスを回収できるものでなければならな
い。(4)適切なアジュバントおよび安定剤を用いてワクチンを配合する際には、ウイル
スワクチンの安全性および有効性が保証されなければならない。(5)ワクチンの製造は
可能な限り経済的であるべきである。
US 2011/0081380には、不活性化されたウイルス全体、ならびに緩衝液、必須および非
必須アミノ酸、二糖類、ポリオール、キレート化剤、尿素または尿素誘導体、および非イオン界面活性剤を含めた多数の成分を含む複雑な安定化用賦形剤を含む、ワクチン組成物が記載されている。この組成物はタンパク質のような動物由来の製品を含有する先行技術の賦形剤に代わるものであるので、そのような製品の使用に付随する可能性のある生物学的安全性の問題および/またはアレルギーのリスクを低減するために有利であると記載さ
れている。
EP 2 119 451 A1には、ワクチンを安定化したインフルエンザワクチンの凍結乾燥製剤
が記載されている。EP 2 119 451 A1の例に示されるように、特定のpHおよび成分比の条
件下にある凍結乾燥製剤ではインフルエンザHAワクチンの有効性を維持できた。EP 0 090
886 A2にも、ウイルスワクチン成分、すなわちノイラミニダーゼに対するタンパク質水
解物、アミノ酸およびその組合わせの安定化効果が示されている。しかし、EP 2 119 451
A1およびEP 0 090 886 A2は共に、ウイルスの感染性、複製能および/または抗原性を維
持するためのウイルス全体の安定化ではなく、ウイルス成分の安定化(すなわち、インフルエンスHAワクチンまたはノイラミニダーゼ)に着目している。
WO 2010/115835には、固体キャリヤーに固定化された生体分子を安定化するためのアミノ酸またはジペプチド/トリペプチドを含む組成物が記載されており、その際、生体分子
は特に細胞、組織、ウイルス、およびそのフラグメント(たとえば、細胞小器官、膜またはキャプシド)などの構造体の内部または上にある分子であることができる。さらに、国
際特許出願WO 2010/112576には、安定剤であるキャリヤーおよびキャリヤーに可逆的に付着した少なくとも1種類の生体分子を収容した、密閉殺菌された容器が記載されている。
生体分子は、たとえば細胞、組織、ウイルス、およびそのフラグメントなどの構造体の内部または上にある分子であることができる。しかし、ウイルス全体または細菌全体の安定化、特にそれらの生存性および生物活性、たとえば再生、感染性および抗原性の維持はこれらの出願では考慮されていない。
WO 2009/059784には、生物材料を保有するコートされた固体キャリヤーを製造する方法が記載されており、その際、生物材料はシランまたはこれと同様に適切なカップラーによりキャリヤーにカップリングしている。したがって、生物材料はキャリヤー上の保護マトリックス内に埋め込まれており、それはたとえば体液の解毒などの療法に使用するためのもの、またはたとえば体液中の毒素もしくは特定の細胞集団の検出など診断のためのものである。生物材料は固体キャリヤーに固定されているので、付着した生物材料を体液中へ放出することなく療法または診断の効果が達成され、したがって活性な生物材料の循環により起きる薬物動態問題が最小限に抑えられる。
US 2011/0081380 EP 2 119 451 A1 EP 0 090 886 A2 WO 2010/115835 WO 2010/112576 WO 2009/059784
Morefield GL, A rationale approach for the development of vaccine formulations, AAPS Journal, 2011; DOI: 10.1208/s12248-011-9261-1
ウイルスおよび細菌の貯蔵に適切な方法を得るために多数の研究がなされているという事実にもかかわらず、当技術分野で知られている方法に付随する著しい欠点がある;たとえば、それらは動物由来の物質またはほとんど明確にされていない成分の使用を伴ない、困難な調製段階を必要とし、経費集約的であり、かつ最も重要なことに目的とするウイルスまたは細菌の特性を維持しない。したがって、たとえば免疫配合物およびワクチンに使用するためにそのような生物を貯蔵する製剤であって、生存性および/または生物の複製
能および/または生物の感染力を失うことなく長期間かつ多様なストレス条件下で貯蔵で
きるものを提供するという要望が、依然としてある。
この要望は、特許請求の範囲に記載する態様を提供することにより対処される。
したがって本発明は、ウイルスまたは細菌を安定化するための方法であって、ウイルスまたは細菌を水溶液に埋め込む段階を含み、その際、水溶液は(i)少なくとも3種類の異なるアミノ酸;または(ii)少なくとも1種類のジペプチドもしくはトリペプチドを含み
、水溶液は糖(単数または複数)、シラン類およびタンパク質(単数または複数)を含まないかまたは実質的に含まない方法に関する。
本明細書中で用いる用語“ウイルス”は、生物の生細胞内でのみ複製できる小さな感染因子を表わす。ウイルスは、動物および植物から細菌および古細菌まであらゆるタイプの
生物に感染する。ウイルス粒子は形状およびサイズが0.02から0.3μmまで多様であり、ウイルスゲノムを形成する二本鎖または一本鎖のRNAまたはDNAを含む。ウイルスは多様な構造をもつが、核酸は常にタンパク質被膜(キャプシドまたは外殻)で囲まれたウイルス粒子内にある。核酸とタンパク質の複合体(ヌクレオキャプシド)がウイルスの全構造である場合がある(たとえば、RNA細菌ウイルスであるφ6、またはDNA細菌ウイルスであるφX174)が、より複雑な構造も実際にある。エンベロープをもつウイルスはキャプシドの周
りに脂質およびタンパク質の膜をもち、一方で複雑なウイルスは正二十面体のヘッドだけでなくらせん形のテイルも保有し、テイル内に最大20種類のタンパク質を含む。限定ではないウイルスの例には、下記のものが含まれる:インフルエンザウイルス、ポリオウイルス、およびアデノウイルス、アルボウイルス、アストロウイルス、バクテリオファージ、腸内ウイルス、胃腸炎ウイルス、ハンタウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイ
ルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス(たとえば、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)および単純ヘルペスウイルス(HSV))、ノーウォークウイルス、コードポックスウイルス亜科(chordopoxyiridae)(すなわち、5種類のオルトポックスウイルス、ワクシニア、MVA、NYVAC、アビポックスウイルス
、カナリア痘ウイルス(canarypox)、ALVAC、ALVAC(2)、鶏痘ウイルス(fowlpox)、ラブ
ドウイルス、レオウイルス、ライノウイルス(鼻炎ウイルス)、ロタウイルス、レトロウイルス、バキュロウイルス科(baculoviridae)、カリシウイルス科(caliciviridae)、カリモウイルス科(caulimoviridae)、コロナウイルス科(coronaviridae)、フィロウイルス科(filoviridae)、フラビウイルス科(flaviviridae)、ヘパドナウイルス科(hepadnaviridae)、ノダウイルス科(nodaviridae)、オルトミクソウイルス科(orthomyxoviridae)、パラミ
クソウイルス科(paramyxoviridae)、パポバウイルス科(papovaviridae)、パルボウイルス科(parvoviridae)、フィコドナウイルス科(phycodnaviridae)、ピコルナウイルス科(picornaviridae)、およびトガウイルス科(togaviridae)、ならびにそれらに由来する改変ウイルス。他の適切なウイルス、たとえばFields et al., Virology (34th ed., Lippincott Williams & Wilkins (2001))に記載のものが当技術分野で知られている。
本明細書中で用いる用語“細菌”は、一般わずかに数マイクロメートルの長さであり、たとえば球、杆状体およびらせんを含めた広範な形状をもつ、原核細胞に関する。ある細菌種は単細胞として存在し、他は特徴的パターンで集合している:たとえばナイセリア属(Neisseria)はディプロイド(対)を形成し、連鎖球菌属(Streptococcus)は鎖を形成し、ブドウ球菌属(Staphylococcus)はクラスター状に集合している。細菌は伸長して糸状体を形成することもできる;たとえばアクチノバクテリア(Actinobacteria)。糸状細菌はしばしば多数の個々の細胞を内包する鞘で囲まれている。細胞はしばしばグラム陽性またはグラム陰性細菌のいずれかとして特徴づけられ、大部分の細菌は4グループのうちの1つに属するものとして分類できる:グラム陽性球菌、グラム陽性杆菌、グラム陰性球菌、グラム陰性杆菌。限定ではない細菌の例には、大腸菌属(Escherichia)菌種、クレブシエラ属(Klebsiella)菌種、サルモネラ属(Salmonella)菌種、杆菌属(Bacillus)菌種、放線菌属(Streptomyces)菌種、連鎖球菌属(Streptococcus)菌種、赤痢菌属(Shigella)菌種、ブドウ球菌属(Staphylococcus)菌種、およびシュードモナス属(Pseudomonas)菌種が含まれる。これら
の属に属する種の限定ではない例には、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎杆菌(Klebsiella pneumoniae)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimuritum)、ストレプトマイセス・アウレウス(Streptomyces aureus)、ミュータンス連鎖球菌(Streptococcus mutans)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、およびシュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)が含まれる。
ウイルスおよび細菌という用語は、本明細書中で“本発明の生物”とも呼ばれる。
本発明によれば、用語“安定化”は、本発明の生物の生物活性の維持に関する。ウイルスまたは細菌の保護は、特に本発明の生物を凍結または乾燥した状態で貯蔵する際に関係する。本発明の生物は、本発明による溶液に埋め込まれた後にそれが自然界でみられるそ
の生物の活性と同一または本質的に同一の活性をもつ場合に、それの“生物活性”を維持しているとみなされる。生物活性は使用する個々のウイルスまたは細菌に依存し、それにはたとえば複製能および/またはそれらの感染能および/またはそれらの抗原性が含まれる。“本質的に同一の生物活性”という用語は、その生物の自然界でみられる活性の少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも95%である、生物の生物活性を表わす。より好ましくは生物の生物活性は、その生物の自然界でみられる活性の少なくとも98%、より好ましくは少なくとも100%である。ある生物が安定化されて
いるかどうかを検査するための手段は当業者に周知であり、それには限定ではなく、ウイルスの感染力(感染性);培養におけるウイルスもしくは細菌の増殖(すなわち、複製速度)、またはそれらの抗原性を検査することが含まれる。代表的方法を付随する実施例に示す。
本明細書中で用いる用語“埋め込む(embedding)”は、本発明による生物を前記溶液に
装入することに関する。好ましくは、材料を完全に溶液に埋め込む。
本明細書中で用いる用語“水溶液”は、当業者に周知であり、溶媒が水である溶液に関する。
本発明による用語“アミノ酸”は、カルボン酸基、アミノ基、および異なるアミノ酸間で変動する側鎖をもつ、有機分子に関する。アミノ酸はタンパク質の必須構築ブロックである。本発明によれば、用語“アミノ酸”は、互いに結合してオリゴマーまたはポリマー、たとえばジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチドまたはポリペプチドを形成していない、遊離アミノ酸を表わす。
本発明の溶液に含まれるアミノ酸は、天然アミノ酸および人工アミノ酸、またはこれらの天然もしくは人工アミノ酸の誘導体から選択できる。
天然アミノ酸は、たとえば20種類のタンパク源アミノ酸、グリシン、プロリン、アルギニン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、システイン、フェニルアニン、リジン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、メチオニン、セリン、バリン、チロシン、トレオニンおよびトリプトファンである。他の天然アミノ酸は、たとえばカルニチン、クレアチン、クレアチニン、グアニジノ酢酸、オルニチン、ヒドロキシプロリン、ホモシステイン、シトルリン、ヒドロキシリジンまたはベータ-アラニン
である。
人工アミノ酸は、異なる側鎖長および/または側鎖構造をもち、ならびに/あるいはアルファ-C原子とは異なる部位にアミノ基をもつアミノ酸である。アミノ酸の誘導体には、限定ではなくn-アセチル-トリプトファン、ホスホノセリン、ホスホノトレオニン、ホスホ
ノチロシン、メラニン、アルギニノコハク酸、およびその塩類、ならびにDOPAが含まれる。
本発明に関して、すべての用語が各アミノ酸の塩類をも含む。
本発明によれば、互いに異なる3種類以上のアミノ酸が溶液に含まれる。たとえば、用
語“少なくとも3種類の異なるアミノ酸”は、少なくとも4種類の異なるアミノ酸、たとえば少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10
種類のアミノ酸、またはそれ以上、たとえば少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18種類の異なるアミノ酸にも関する。この用語はさらに、厳密に3、厳密に4、厳密に5、厳密に6、厳密に7、厳密に8、厳密に9、厳密に10、厳密に11、厳密に12、厳密に13、厳密に14、厳密に15、厳密に16、厳密に17、厳密に18種類の異なるアミノ酸を含む。本明細書中でアミノ酸
と言う場合、1分子より多くのそのアミノ酸を意図することは当業者に容易に理解される
であろう。したがって、種々のアミノ酸の記載量は、1タイプのアミノ酸の分子数ではな
く異なるタイプのアミノ酸の量を限定することを意図する。したがって、たとえば用語“3種類の異なるアミノ酸”は3種類の異なるタイプのアミノ酸を表わし、その際、それぞれ個々のアミノ酸の量は具体的に限定されない。好ましくは、異なるアミノ酸の数は18種類の異なるアミノ酸を超えない。
本明細書中で用いる用語“ジペプチドまたはトリペプチド”は、それぞれ2または3個のアミノ酸からなるペプチドに関する。代表的なジペプチドはグリシルグルタミン(Gly-Gln、グルタミン単独と比較して高い安定性を生じる)、グリシルチロシン(Gly-Tyr、チロシン単独と比較して高い水溶性を生じる)、アラニルグルタミン(Ala-Gln、グルタミン
単独と比較して高い水溶性を生じる)およびグリシルグリシンである。
天然ジペプチドの限定ではないさらに他の例は、カルノシン(ベータ-アラニル-L-ヒスチジン)、N-アセチル-カルノシン(N-アセチル-(ベータ-アラニル-L-ヒスチジン)、アンセリン(ベータ-アラニル-N-メチルヒスチジン)、ホモアンセリン(N-(4-アミノブチリル)-L-ヒスチジン)、キョートルフィン(kyotorphin)(L-チロシル-L-アルギニン)、バレニン(balenine)(またはオフィジン(ophidine))(ベータ-アラニル-N タウ-メチルヒスチジン)、グロリン(glorin)(N-プロピオニル-γ-L-グルタミル-L-オルニチン-δ-lac エチルエステル)およびバレッチン(barettin)(シクロ-[(6-ブロモ-8-エン-トリプ
トファン)-アルギニン])である。
人工ジペプチドの例には、限定ではなくアスパルテーム(N-L-a-アスパルチル-L-フェ
ニルアラニン 1-メチルエステル)およびプソイドプロリンが含まれる。
代表的なトリペプチドは、グルタチオン(γ-グルタミル-システイニル-グリシン)な
らびにそれのアナログであるオフタルミン酸(L-γ-グルタミル-L-α-アミノブチリル-グリシン)およびノルオフタルミン酸(y-グルタミル-アラニル-グリシン)である。トリペプチドの限定ではないさらに他の例には、イソロイシン-プロリン-プロリン(IPP)、グ
リプロメート(glypromate)(Gly-Pro-Glu)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH、チロリベリン(thyroliberin)またはプロチレリン(protirelin))(L-ピログルタミル-L-ヒスチジニル-L-プロリンアミド)、メラノスタチン(melanostatin)(プロリル-ロイシル-グ
リシンアミド)、ロイペプチン(leupeptin)(N-アセチル-L-ロイシル-L-ロイシル-L-アルギニナール)およびエイゼニン(eisenin)(pGlu-Gln-Ala-OH)が含まれる。医薬用途に関して用いる場合、少なくとも1種類のジ-またはトリペプチド、より好ましくは全部のジ-
またはトリペプチドが、何ら薬理学的特性を発揮しないことが好ましい。
好ましくは、少なくとも1種類のジペプチドはカルノシン、グリシルトリロシン、グリ
シルグリシンおよびグリシルグルタミンからなる群から選択される。
本発明によれば、溶液は1種類以上のジ-またはトリペプチドを含む。たとえば、用語“少なくとも1種類のジペプチドまたはトリペプチド”は、少なくとも2種類のジ-またはト
リペプチド、たとえば少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9種類のジ-またはトリペプチドにも関する。この用語はさらに、厳密に1、厳密に2、厳密に3、厳密に4、厳密に5、厳密に6、厳密に7、厳密に8、厳密に9種類のジ-またはトリペプチドを含む。1種類より多いジ-またはトリペプチドが溶液に含まれる場合、そのジペプチドおよびトリペプチドの混合物は明らかに本発明に含まれる。ジ-およびトリペプチドの数は互いに独立して選択でき、たとえば溶液は2種類のジペプチドおよび3種類のトリペプチドを含むことができる。本明細書中で特定数のジ-およびトリペプチドに言及する場合、その数は1タイプのジペプチドまたはトリペプチドの分子
数ではなく異なるタイプのジ-およびトリペプチドの量を限定することを意図するもので
あることは当業者に容易に理解されるであろう。したがって、たとえば用語“4種類のジ
ペプチドまたはトリペプチド”は、4種類の異なるタイプのジペプチドおよび/またはトリペプチドを表わし、その際、それぞれ個々のジ-および/またはトリペプチドの量は具体的
に限定されない。好ましくは、(異なる)ジ-またはトリペプチドの数は9種類のジ-また
はトリペプチドを超えない。
アミノ酸、ジペプチドおよび/またはトリペプチドの好ましい使用量は、0.1〜150 mg/ml、好ましくは1〜100 mg/ml、より好ましくは10〜50 mg/ml、よりさらに好ましくは20〜35 mg/mlであり、最も好ましくはその量は25 mg/mlである。
本発明による用語“(a)糖類を含まないかまたは実質的に含まない”は、いずれかの
タイプの糖類、すなわち単糖、二糖またはオリゴ糖の形態の炭水化物、および糖アルコールを含まないかまたは実質的に含まない溶液を表わす。ウイルス配合方法に一般に用いられるけれども本発明によれば存在しない糖類の例には、限定ではなくサッカロース、トレハロース、スクロース、グルコース、ラクトース、ソルビトールまたはマンニトールが含まれる。溶液が0.1%(w/v)未満、より好ましくは0.01%(w/v)未満、よりさらに好ま
しくは0.001%(w/v)未満、最も好ましくは0.0001%(w/v)未満の糖類を含有する場合
、その溶液は糖類を実質的に含まないとみなされる。
本明細書中で用いる用語“シラン類を含まないかまたは実質的に含まない”は、いずれかのシラン、たとえばシリル化合物と他の官能基を含むアルコキシシラン、有機機能性シラン、水素シラン(シロキサン)、シロキサン、およびオルガノシランを含まないかまたは実質的に含まない溶液を表わす。溶液が0.01%(w/v)未満、より好ましくは0.001%(w/v)未満、最も好ましくは0.0001%(w/v)未満のシラン類を含有する場合、その溶液はシラン類を実質的に含まないとみなされる。
本明細書中で用いる用語“タンパク質を含まないかまたは実質的に含まない”は、本発明による生物に自然界で付随するタンパク質以外のいずれかのタンパク質(単数または複数)を含まないかまたは実質的に含まない溶液を表わす。たとえば溶液の汚染に関連する痕跡量のタンパク質が存在する可能性があり、その溶液がタンパク質を含まないという要件により除外されないことは、当業者に認識されるであろう。したがって、溶液が0.1%
(w/v)未満、より好ましくは0.01%(w/v)未満、よりさらに好ましくは0.001%(w/v)未満、最も好ましくは0.0001%(w/v)未満の、保護すべき生物に自然界で付随しないタ
ンパク質を含有する場合、その溶液はタンパク質を実質的に含まないとみなされる。
本発明によれば、本明細書中に定める溶液が貯蔵に際してウイルスまたは細菌を安定化することが予想外に見出された。言い換えると、貯蔵に際して生存性の喪失、それの再生能の喪失および/または抗原性の喪失に対して材料が保護される。当技術分野で既知のウ
イルス貯蔵媒体、たとえばHardy Diagnosticsにより提供されるウイルス輸送媒体(カタ
ログno.R99)、またはMilliporeにより提供されるUniversal Transport Medium(UTM-RT
)(カタログno.350 CM)は、最高4日間の最大保持時間をもつ。しかし本発明による溶液は、種々の温度、たとえば37℃または-20℃で、より長い貯蔵時間をもつ。後記の実施例1に示すように、本発明溶液は4週間も保護をもたらし、一方でPBS中にウイルスを貯蔵した場合に達成される保護はこれより有意に少ない。
特に高温、たとえば37℃での改善された安定性は、冷蔵しない条件下、たとえば高温の気候を伴ない、従来製品に必要な必須冷却鎖を維持できる可能性が不十分な国での長期貯蔵を可能にする。
さらに、真核細胞の貯蔵のための溶液を試験した際、ジメチルスルホキシド(DMSO)をウイルスまたは細菌の安定化のための本発明溶液で完全または部分的に置き換えた場合、同じ溶液に懸濁した真核細胞は凍結および融解に際して生存しないことが見出された。DMSOは凍結および乾燥に際して結晶形成を防止し、これにより細胞内構造体の損傷および細
胞死を低減することが知られている。したがって、ウイルスおよび細菌に対して本発明による溶液の保護効果が見出されたのはよりいっそう予想外である。理論により拘束されたくはないが、真核細胞を凍結および融解した際に本発明による溶液の保護効果が無く、したがって本発明溶液が細胞外に存在したにもかかわらず真核細胞内のこれらの構造体の破壊が生じたことは、真核細胞とウイルスおよび細菌との水の量ならびに細胞内の小器官および構造体の複雑さの相異によって説明できると本発明者らは推測する。
しかし、ウイルスも物理的ストレスに対してきわめて感受性であることが知られている。特に、エンベロープをもつウイルス、たとえばHSV-1の力価は、一般に凍結および融解
の後に急速に低下する。したがって、本発明においてみられたウイルスおよび細菌の感染性、複製および抗原性の安定化は、当業者が予期しなかった予想外の知見である。
最後に、本発明溶液のさらに他の利点は、当技術分野で一般に用いられる添加剤を含まないことにあり、これはウイルスまたは細菌の使用前にそのような添加剤を除去する必要がなく、安定化溶液の調製が簡単で投入経費が少ないという追加の利点をもたらす。
好ましくは、溶液はさらにゼラチンおよび/またはリン酸緩衝液を含まない。より好ま
しくは、ウイルスまたは細菌を安定化するための方法はウイルスまたは細菌を水溶液に埋め込む段階を含み、その際、水溶液は下記のものを含む:(i)少なくとも3種類の異なるアミノ酸;または(ii)少なくとも1種類のジペプチドもしくはトリペプチド、およびサ
ポニンもしくは脂肪酸。よりさらに好ましくは、ウイルスまたは細菌を安定化するための方法はウイルスまたは細菌を水溶液に埋め込む段階を含み、その際、水溶液は下記のものを含む:(i)少なくとも3種類の異なるアミノ酸;または(ii)少なくとも1種類のジペ
プチドもしくはトリペプチド。
本発明方法のさらに好ましい態様において、少なくとも3種類のアミノ酸は、下記の群
から選択される:(a)非極性、脂肪族R基をもつアミノ酸;(b)極性、非荷電R基をもつアミノ酸;(c)正に荷電したR基をもつアミノ酸;(d)負に荷電したR基をもつアミノ酸;および(e)芳香族R基をもつアミノ酸。
天然アミノ酸、ただし天然アミノ酸以外のもの、たとえば人工アミノ酸も、上記の群に分類することができ(Nelson D.L. & Cox M.M., “Lehninger Biochemie” (2005), pp. 122-127)、それらから少なくとも3種類のアミノ酸を本発明による溶液のために選択する。
より好ましい態様において、少なくとも3種類のアミノ酸は異なる群(a)〜(e)から
選択される。言い換えると、この好ましい態様において、3種類のアミノ酸が溶液に含ま
れる場合、その3種類のアミノ酸は少なくとも2つの異なる群から、より好ましくは少なくとも3つの異なる群から、たとえば1つは(a)群から、1つは(b)群から、そして1つは(c)群から選択できる。さらに他の組合わせ、たとえば(b)-(c)-(d)、(c)-(d)-(e)、(e)-(a)-(b)、(b)-(d)-(e)なども本発明において明らかに考慮され
る。4種類のアミノ酸が溶液に含まれる場合にも同じ考えが適用され、その場合はアミノ
酸は(a)〜(e)から選択される少なくとも2つの異なる群から、より好ましくは少なく
とも3つの異なる群から、最も好ましくは4つの異なる群からのものであるべきである。特に、5種類のアミノ酸が溶液に含まれる場合、アミノ酸は(a)〜(e)から選択される少
なくとも2つの異なる群から、より好ましくは少なくとも3つの異なる群から、より好ましくは少なくとも4つの異なる群から、最も好ましくは5つの異なる群からのものであるべきである。5種類より多いアミノ酸、たとえば6または7種類のアミノ酸が溶液に含まれる場
合にも同じ考えが適用され、その場合これらのアミノ酸は(a)〜(e)から選択される少なくとも2つの異なる群から、より好ましくは少なくとも3つの異なる群から、より好ましくは少なくとも4つの異なる群から、最も好ましくは5つの異なる群から選択される。
本発明方法のよりさらに好ましい態様において、溶液は下記の各群から選択される少なくとも1種類のアミノ酸を含む:(a)非極性、脂肪族R基をもつアミノ酸;(b)極性、非荷電R基をもつアミノ酸;(c)正に荷電したR基をもつアミノ酸;(d)負に荷電したR基
をもつアミノ酸;および(e)芳香族R基をもつアミノ酸。
本発明に従って用いる溶液中に各群のアミノ酸が同じ数で存在する必要がないことは、さらに当業者には理解される。むしろ、各群のアミノ酸が少なくとも1種類存在する限り
、いかなる組合わせのアミノ酸も選択できる。
さらに、アミノ酸は溶液中に単分子として、ならびに/あるいはジ-および/またはトリ
ペプチドとして存在することができる。
本発明方法の他の好ましい態様において、溶液は少なくとも下記のアミノ酸を含む:(a)アラニン、グルタミン酸、リジン、トレオニンおよびトリプトファン;(b)アスパラギン酸、アルギニン、フェニルアラニン、セリンおよびバリン;(c)プロリン、セリン
、アスパラギン、アスパラギン酸、トレオニン、フェニルアラニン;(d)チロシン、イ
ソロイシン、ロイシン、トレオニン、バリン;または(e)アルギニン、グリシン、ヒス
チジン、アラニン、グルタミン酸、リジン、トリプトファン。他の好ましい態様において、溶液は少なくとも下記のアミノ酸を含む:(f)アラニン、アルギニン、グリシン、グ
ルタミン酸、リジン。
この態様によれば、少なくとも上記のいずれかの群(a)、(b)、(c)、(d)または(e)のアミノ酸が本発明による溶液中に存在する。言い換えると、上記のものより多い
アミノ酸が本発明溶液中に含まれてもよいが、少なくとも上記のアミノ酸は存在することが要求される。より好ましくは、溶液は上記のアミノ酸だけを含み、他のアミノ酸を含まない。群(f)のアミノ酸にも、必要な変更を加えて同じ考えが適用される。
本発明方法の他の好ましい態様において、1種類以上のアミノ酸は天然の非タンパク源
アミノ酸および合成アミノ酸からなる群から選択される。
本発明による用語“非タンパク源アミノ酸”は、自然界ではポリペプチドおよびタンパク質に取り込まれないアミノ酸に関する。非タンパク源アミノ酸は、タンパク源アミノ酸、すなわちL-α-アミノ酸から、翻訳後修飾により誘導できる。そのような非タンパク源
アミノ酸は、たとえばランチオニン、2-アミノイソ酪酸、デヒドロアラニン、および神経伝達物質ガンマ-アミノ酪酸である。タンパク源L-アミノ酸のD-鏡像異性体も非タンパク
源アミノ酸である。非タンパク源アミノ酸の限定ではないさらに他の例には、カルニチン、クレアチン、クレアチニン、グアニジノ酢酸、オルニチン、ヒドロキシプロリン、ホモシステイン、シトルリン、ヒドロキシリジンまたはベータ-アラニンが含まれる。
本明細書中で用いる用語“合成アミノ酸”は、自然界に存在しないアミノ酸に関する。合成アミノ酸の限定ではない例には、(2R)-アミノ-5-ホスホノ吉草酸、D-フェニルグリシンまたは(S)-および(R)-tert-ロイシンが含まれる。
本発明方法の他の好ましい態様において、溶液はさらに両親媒性(amphiphilic)分子を
含む。
本発明による用語“両親媒性分子”は、親水性、すなわち水を好む性質、および親油性、すなわち脂肪を好む性質の両方をもつ分子に関する。両親媒性分子の限定ではない例には、サポニン、脂肪酸、リン脂質、コレステロール、糖脂質および胆汁酸が含まれる。安定化溶液中に用いる両親媒性分子は、医療用途に関して用いる場合は薬理学的特性を発揮しないことが好ましい。
サポニンは二次代謝産物を形成する一群の化合物であり、それらは天然源中にみられるか、天然源から誘導されるか、あるいは化学合成できる。サポニンは多様な植物種に特に多量にみられる。サポニンは両親媒性(amphipathic)グリコシドであり、現象的には水溶
液状で振とうした際にそれらが生じるセッケン様の発泡により、また構造的にはそれらの1以上の親水性グリコシド部分と親油性ステロイド系またはトリテルペノイド系アグリコ
ンとを組み合わせた組成により分類される。それらの構造多様性は、それらの物理化学的および生物学的特性に反映される。サポニンの例は、グリチルリチン酸(glycyrrhicic acid)、グリチルレチン酸(glycyrrhetinic acid)、グルクロン酸、エスシン(escin)、ヘデ
ラコシド(hederacoside)およびジギトニンである。
脂肪酸は、飽和または不飽和であってよい長い非分枝脂肪族鎖(テイル)をもつカルボン酸である。それらの代謝によって多量のATPが得られるので、それらは重要なエネルギ
ー源である。大部分の天然脂肪酸は4から28までの偶数の炭素原子の鎖をもち、通常はト
リグリセリドまたはリン脂質から誘導される。脂肪酸は種々の長さをもち、これを利用してそれらを短鎖、中鎖または長鎖脂肪酸と分類する。短鎖脂肪酸(SCFA)は炭素原子6個
未満の脂肪族テイルをもつ脂肪酸であり;中鎖脂肪族(MCFA)は炭素原子6〜12個の脂肪
族テイルをもつ脂肪酸であり、それらは中鎖トリグリセリドを形成することができ;長鎖脂肪酸(LCFA)は炭素原子12個より長い脂肪族テイルをもつ脂肪酸であり;極長鎖脂肪酸(VLCFA)は炭素原子22個より長い脂肪族テイルをもつ脂肪酸である。限定ではない脂肪
酸の例には、不飽和脂肪酸、たとえばミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸(sapienic acid)、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルシン酸(erucic acid)、およびドコサヘキサエン酸、または飽和脂肪酸
、たとえばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸およびセロチン酸(cerotic acid)が含まれる。
リン脂質は脂質二重層を形成できるので、それらはすべての細胞膜の主成分である一群の脂質である。大部分のリン脂質は、ジグリセリド、リン酸基、および単純な有機分子、たとえばコリンを含む。1つの例外はスフィンゴミエリンであり、それはグリセロールの
代わりにスフィンゴシンから誘導される。リン脂質の限定ではない例は、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジン酸(ホスファチデート)、ホスファチジルエタノールアミン(セファリン)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトールリン酸、ホスファチジルイノシトール二リン酸、ホスファチジルイノシトール三リン酸、セラミドホスホリルコリンおよびセラミドホスホリルグリセロールである。
コレステロールは細胞膜にみられるステロイド代謝産物であり、すべての動物の血漿中において輸送される。それは哺乳動物細胞膜の必須構造成分であり、そこでそれは適正な膜透過性および流動性を確立するために必要である。さらに、コレステロールは胆汁酸、ステロイドホルモンおよびビタミンDの製造に重要な成分である。コレステロールは下記
の構造をもつ:
糖脂質は結合した炭水化物を含む脂質である。それらの自然界での役割は、エネルギーを供給することおよび細胞認識のためのマーカーとして作用することである。糖脂質の限定ではない例には、ガラクトリピド、スルホリピド、スルファチド、セロブロシド、ガラクトセレブロシド、グルコセレブロシド、グルコビカラナテオエト(glucobicaranateoet)、ガングリオシド、グロビオシド、グリコホスホスフィンゴ脂質およびグリコシルホスファチジルイノシトールが含まれる。
胆汁酸は主に哺乳動物の胆汁中にみられるステロイド酸である。2つの主要な胆汁酸は
コール酸およびケノデオキシコール酸である。胆汁酸の限定ではない他の例は、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸およびリトコール酸である。
付随する実施例に示すように、両親媒性分子(たとえばグリチルリチン酸)を安定化溶液に添加すると、-20℃で4週間も貯蔵した後のウイルス力価がさらに改善される。
本発明方法のより好ましい態様において、両親媒性分子はサポニンもしくは脂肪酸またはその誘導体から選択される。
本発明方法の他のより好ましい態様において、サポニンはグリチルリチン酸またはその誘導体である。
グリチルリチン酸(glycyrrhizic acid)はグリチルリチン酸(glycyrrhicic acid)、グリチルリチン(glycyrrhizin)またはグリチルリチン酸(glycyrrhizinic acid)としても知ら
れ、下記の構造をもつ:
グリチルリチン酸は水溶性であり、カチオン分子有効成分と静電会合複合体を形成する潜在配位子となることができるアニオンとして存在する。理論により拘束されたくはないが、本発明者らは、アニオン性グリチルリチン酸が本発明の溶液中に存在するアミノ酸(すなわち、アルギニンまたはリジン)と静電相互作用、水素結合または両方により複合体を形成するという仮説を立てた。この複合体形成は、本発明の溶液がウイルスまたは細菌を貯蔵に際して安定化する能力を増強すると考えられる。さらに、グリチルリチン酸がカチオン分子有効成分と静電会合複合体を形成する能力は、貯蔵プロセスに際してタンパク質表面に露出したカチオン側鎖との相互作用を生じることができる。
グリチルリチン酸の誘導体は当技術分野で周知であり、グリチルリチン酸をカルボキシル基およびヒドロキシル基において変換することにより、アミノ酸残基を炭水化物部分内へコンジュゲーションすることにより、または2-アセトアミド-β-D-グルコピラノシルアミンをグリチルリチン酸のグリコシド鎖内へ導入することにより製造されるものが含まれる。他の誘導体は、グリチルリチン酸のアミド、グリチルリチン酸と2つのアミノ酸残基
および遊離30-COOH官能基とのコンジュゲート、ならびにグリチルリチン酸分子の炭水化
物部分におけるアミノ酸アルキルエステルの少なくとも1つの残基のコンジュゲートであ
る。具体的な誘導体の例は、たとえばKondratenko et al. (Russian Journal of Bioorganic Chemistry, Vol 30(2), (2004), pp. 148-153)中にある。
本発明により、意外にもグリチルリチン酸を前記溶液に添加するとウイルスおよび/ま
たは細菌の安定化がさらに助成されることが見出された。したがって、グリチルリチン酸の添加は、貯蔵に際してウイルスおよび/または細菌の生物活性の維持を補助する。
本発明方法の他のより好ましい態様において、脂肪酸は短鎖および中鎖脂肪酸からなる群から選択される。
短鎖および中鎖脂肪酸は、より長い鎖をもつ脂肪酸と比較したそれらのより良好な水溶性のため、特に好ましい。
本発明方法の他の好ましい態様において、溶液の賦形剤とウイルスまたは細菌のw/w比
は約1:1〜約500:1である。
本発明によれば、溶液の賦形剤は、安定化すべきウイルスまたは細菌ではない非水性の溶液成分である。
より好ましくは溶液の成分とウイルスまたは細菌のw/w比は約1:1〜約350:1、たとえ
ば約5:1〜約200:1、または約10:1〜約100:1である。最も好ましくは、w/w比は約2:1である。これらの比の間にあるいかなる数値も明らかに本発明に含まれることは理解されるであろう。さらに、本明細書中で用いる約という用語は、明確に引用した比およびそれから±10%の偏差を含む。
本発明方法の他の好ましい態様において、ウイルスまたは細菌はそれらの感染性および/または複製能を維持する。
本明細書中で用いる用語“感染性”は、ウイルスまたは細菌が宿主または宿主細胞において感染を樹立する能力に関する。より具体的には、感染性は、ウイルスまたは細菌が水平伝染する能力、すなわち親から子への伝播ではなく宿主間で伝播する能力である。ウイルスまたは細菌がそれの感染性を維持しているかどうかを判定するための手段は当技術分野で周知であり、それには、限定ではなく、宿主から得られた細胞培養物のウイルス複製に関する検査、PCR分析、動物モデル、および電子光学的分析が含まれる。他の方法を付
随する後記の実施例に示す。感染性の量が生物を本発明溶液に埋め込む前のその生物の感染性の少なくとも30%である場合には、ウイルスまたは細菌は本発明によりそれの感染性を維持しているとみなされる。より好ましくは、感染性の量は生物を本発明溶液に埋め込む前のその生物の感染性の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、たとえば少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%である。
ウイルスおよび細菌はそれらの遺伝子材料をコピーし、こうしてそれら自身を再生することにより複製する。他の生物と対照的に、ウイルスはそれら自身の代謝をもたないので、複製できるためには宿主細胞を必要とする。その生物が本発明方法の後にそれ自身を再生できれば、複製能は維持されている。好ましくは、本発明方法に最初に用いた生物の少なくとも30%が、その生物を安定化するこの方法の後に再生できる。より好ましくは、本発明の安定化方法に最初に用いた生物の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、たとえば少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%が、その生物を安定化するこの方法の後に再生できる。最も好ましくは、最初に用いた生物のすべて、すなわち100%
が、その生物を安定化するこの方法の後に再生できる。ウイルスまたは細菌がそれの複製能を維持しているかどうかを検査するための方法は当技術分野で周知であり、これには主に許容宿主細胞を用いる細胞培養モデルが含まれるが、PCR分析、動物実験、発育鶏卵に
おける複製、電子光学的分析、血球凝集試験、ならびにプラーク力価測定によるウイルス量の測定も含まれる。
本発明によれば、本発明による溶液に埋め込まれたウイルスは長期間生存するだけでなく、それらの感染能およびそれらの再生能をも維持することが見出された。
本発明方法のさらに好ましい態様において、この方法はさらに、安定化したウイルスまたは細菌をその後、約-90℃〜約45℃から選択される温度で貯蔵する段階を含む。より好
ましくは、安定化したウイルスまたは細菌をその後、約-90℃〜約-70℃、約-30℃〜約-10℃、約1℃〜約10℃、および約30℃〜約43℃から選択される温度で貯蔵する。よりさらに
好ましくは、安定化したウイルスまたは細菌をその後、約-85℃〜約-75℃、約-25℃〜約-150℃、約2℃〜約8℃、および約35℃〜約40℃から選択される温度で貯蔵する。最も好ま
しくは、安定化したウイルスまたは細菌をその後、約-80℃、約-20℃、室温、約4℃、お
よび約37℃から選択される温度で貯蔵する。
本明細書中で用いる用語“約”が明確に引用した数値およびそれからのわずかな偏差を含むことは、当業者に認識されるであろう。言い換えると、“約-90℃”の温度は約-90℃を含むが、厳密にその引用した数値でなければならないのではなく、数度異なってもよく、従って-91℃、-92℃、-89℃または-88℃を含む。それらの数値が引用した数値におおよそ相当する限り、そのような数値は完全な精度を要求しない相対値であることを当業者は承知している。したがって、引用した数値からのたとえば約15%、より好ましくは約10%、最も好ましくは約5%の偏差が用語“約”に含まれる。
本発明方法の他の好ましい態様において、安定化したウイルスまたは細菌を液体製剤として貯蔵するために供給する。
本発明方法のさらに他の好ましい態様において、安定化したウイルスまたは を乾燥製剤として貯蔵するために供給する。
後記のように、そのような貯蔵したウイルスおよび細菌(液体または乾燥製剤で)を、その後、抗原材料の調製に使用できる。
本明細書中で用いる用語“乾燥製剤”は、液体含量を排除または低減した製剤を表わす。ウイルスまたは細菌の製剤を乾燥させるのに適した方法には、限定ではなく、凍結乾燥(lyophilisation (freeze-drying))、噴霧乾燥、凍結噴霧乾燥、風乾または発泡乾燥が含まれる。
液体が20%未満、たとえば10%未満、たとえば5%未満、より好ましくは3%未満の体積、たとえば2%未満、または1%未満の体積に低減した場合、液体含量は低減したとみなされる。最も好ましくは、液体を0.5%未満に低減させる。
凍結乾燥(lyophilisation、freeze-dryingとも言う)は当技術分野で周知であり、生物
を凍結させ、その後、材料中の凍結水を固相から気相へ直接昇華させるのに十分な熱を加えながら周囲圧力を低下させる工程を含む。好ましくは、水分の再吸収を防止するために凍結乾燥製剤を次いでシールする。
噴霧乾燥も当技術分野で周知であり、溶液、懸濁液またはエマルジョンを単一工程で固体粉末に変換する方法である。一般に、液体製品の濃縮物を霧化装置へポンプ送入し、そこで小滴に破砕する。これらの液滴は高温の空気流に遭遇し、それらはなお乾燥空気中に懸濁した状態できわめて急速にその水分を失う。この乾燥粉末をサイクロン内で湿った空気から遠心作用により分離する-密な粉末粒子はサイクロン壁の方へ押しやられ、一方で
より軽い湿った空気は排気パイプを通して除去される。
噴霧凍結乾燥も当技術分野で周知であり、凍結乾燥と噴霧乾燥に一般的な処理工程を組み合わせた方法である。本発明による溶液に装入した生物を凍結媒体(たとえば、液体窒
素)中へ霧化させると、これにより衝撃凍結した液滴の分散物が生成する。この分散物を次いで凍結乾燥装置で乾燥させる。
発泡乾燥は感受性の高い生物療法薬を乾燥状態で保存するためのスケーラブルな手法である。中等度の温度および圧力で安定な療法用生体分子、たとえばエリスロポエチン、酵素およびワクチンは、一般に保護剤、たとえば一般に入手できる凍結剤の存在下で、真空発泡乾燥(vacuum foam drying)(VFD)を用いて安定化される。生物医薬の懸濁液または
溶液を真空下で、凍結点より高い、ただし100℃より有意に低い温度で煮沸することによ
り、泡に変換する。この泡は材料の薄膜からなり、これから水を高温で効果的に除去できる。この方法は、低温での真空蒸発の原理に基づく。
この態様によれば、ウイルスまたは細菌は本発明による溶液中で安定化され、その後、乾燥工程を施される。含水量の低下は、たとえば生物を分解する可能性のある酵素の作用を阻害し、したがってさらに保護をもたらす。さらに、たとえばウイルスのエンベロープもしくは被膜上または細菌の細胞膜上に存在する、宿主細胞への結合に必要な表面抗原および表面タンパク質は、乾燥工程に際して保護され、したがってウイルスまたは細菌の抗原性および宿主細胞との相互作用は維持される。したがって、再構成した後にウイルスおよび細菌を生ワクチンとして、または弱毒もしくは死菌ワクチンとして、表面抗原の提示により使用できる。
最も好ましくは、本発明の方法は不活性化段階を伴なわず、したがって本発明の生物の生存性および複製活性が維持される。
しかし、別態様において、生ワクチンが必要ではない場合、本発明の方法はさらに不活性化段階を伴なうことができる。付随する実施例(実施例2および3を参照)に示すように、表面タンパク質の抗原性は本発明による溶液の存在下でのβ線照射(25 kGy)による不活性化後に維持されていた。結果的に、照射はアデノウイルスおよびブタパルボウイルスなどのウイルスの複製活性の損失を生じるであろうが、それにもかかわらず、ウイルスはそれらの抗原性を維持できる。したがって、本発明の方法は、ワクチン製造段階に関して安定かつ安全なウイルス抗原または細菌抗原を製造するための出発点を提供する;その際、ウイルスまたは細菌をまずそれの自然状態を順守して安定化し、次いで不活性化し、その間それの自然界でみられる三次元形態は維持される。結果的に、かつ好ましくは、ウイルスまたは細菌の断片化は起きないので、抗原がウイルスまたは細菌の表面に正常に提示される状況は無傷のままである。
不活性化は当技術分野で一般に用いられる用語であり、たとえば照射、ホルムアルデヒド不活性化またはβ-プロピオラクトン不活性化を含むことは当業者に認識されるであろ
う。
本発明によれば、ウイルスは被膜をもつDNAウイルス、被膜をもたないDNAウイルス、被膜をもつRNAウイルスおよび被膜をもたないRNAウイルスであってよい。
本明細書中で用いる用語“DNAウイルス”は、それの遺伝子材料としてDNAをもち、DNA
依存性DNAポリメラーゼを使って複製するウイルスを表わす。その核酸は二本鎖DNA(dsDNA)または一本鎖DNA(ssDNA)のいずれかである。DNAウイルスは、ウイルスに関するボルティモア(Baltimore)分類方式のグループIまたはグループIIのいずれかに属する。dsDNA
ウイルスの限定ではない例には、マイオウイルス科(Myoviridae)、たとえば腸内細菌(Enterobacteria)ファージT4;ポドウイルス科(Podoviridae);サイフォウイルス科(Siphoviridae)、たとえば腸内細菌ファージλ;ヘルペスウイルス科(Herpesviridae);アデノウイル
ス科(Adenoviridae);バキュロウイルス科(Baculoviridae);イリドウイルス科(Iridoviridae);パピローマウイルス科(Papillomaviridae);ポリオーマウイルス科(Polyomaviridae)
、たとえばサルウイルス40;ポックスウイルス科(Poxviridae)、たとえば牛痘ウイルスま
たは天然痘ウイルスが含まれる;一方、ssDNAウイルスの限定ではない例には、イノウイルス科(Inoviridae);ミクロウイルス科(Microviridae)およびパルボウイルス科(Parvoviridae)、たとえばパルボウイルスB19が含まれる。
本明細書中で用いる用語“RNAウイルス”は、それの遺伝子材料としてRNAをもつウイルスを表わす。その核酸は一本鎖RNA(ssRNA)または二本鎖RNA(dsRNA)の場合がある。RNAウイルスは、ウイルスを分類するボルティモア分類方式のグループIII、グループIVまたはグループVのいずれかに属するものとして分類される。ssRNAウイルスの限定ではない例には、コロナウイルス科(Coronaviridae)、たとえばコロナウイルスまたはSARS;ロニウ
イルス科(Roniviridae);ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、たとえばポリオウイルス、かぜウイルスまたはA型肝炎ウイルス;フラビウイルス科(Flaviviridae)、たとえば黄熱病ウイルス、西ナイル熱ウイルス、C型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス;トガウイルス科(Togaviridae)、たとえば風疹ウイルスまたはロスリバーウイルス(Ross River virus);ヘペウイルス属(Hepevirus)、たとえばE型肝炎ウイルス;トバモウイルス属(Tobamovirus)
、たとえばタバコモザイクウイルスを含む;ボルナウイルス科(Bornaviridae)、たとえばボルナ病ウイルスを含む;フィロウイルス科(Filoviridae)、たとえばエボラウイルスまたはマールブルグウイルス;パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、たとえば麻疹ウイルスまたは流行性耳下腺炎ウイルスを含む;ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、たとえば狂犬病ウイルス;およびオルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)、たとえばインフルエ
ンザウイルスが含まれる;一方、dsRNAウイルスの限定ではない例には、ビルナウイルス科(Birnaviridae);クリソウイルス科(Chrysoviridae);シストウイルス科(Cystoviridae);ハイポウイルス科(Hypoviridae);パーティティウイルス科(Partitiviridae);レオウイルス
科(Reoviridae)、たとえばロタウイルス;ならびにトティウイルス科(Totiviridae)が含
まれる。
被膜をもつウイルスは、キャプシドとも呼ばれるタンパク質被膜を保有する。キャプシドはウイルスの遺伝子情報を取り囲み、ゲノムを環境から保護し、かつ宿主細胞へのウイルスの付着を補助する。あるウイルスはさらにエンベロープをもち、すなわちキャプシドがウイルスエンベロープとも呼ばれる脂質膜で被覆されている。エンベロープは宿主細胞の細胞内膜、たとえば内部核膜、ゴルジ膜から、または細胞の外膜から、キャプシドにより獲得される。
本発明方法の好ましい態様において、ウイルスは、インフルエンザウイルス、ポリオウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、ワクシニアウイルスおよびアデノウイルスからなる
群から選択される。
インフルエンザウイルスはオルトミクソウイルス科の一部であり、ウイルスグループV
((-)ssRNA)に属する。既知の3属のインフルエンザウイルス-インフルエンザウイルスA型、B型およびC型-は、それらの核タンパク質およびマトリックスタンパク質の抗原性の相異により同定される。インフルエンザA型はヒト、他の哺乳動物および鳥類に感染し、
インフルエンザの汎発性流行を引き起こす;インフルエンザB型はヒトおよびアザラシに
感染し、インフルエンザC型はヒトおよびブタに感染する。
ポリオウイルスはポリオの病原因子であり、ピコルナウイルス科のヒト腸内ウイルスである。ポリオウイルスはRNAゲノム(グループIV((+)ssRNA))およびタンパク質キャプシドからなる。このゲノムは、約7500ヌクレオチドの一本鎖プラスセンスRNAゲノムで
ある。
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は、ヒトヘルペスウイルス1型(HHV-1としても知られ、ヘルペスウイルス科(herpes virus family、Herpesviridae)のメンバーであり、ヒト
に感染し、グループI(dsDNA)に属する。HSV-1は口唇ヘルペスを発症させ、汎存性およ
び接触感染性である。
ワクシニアウイルス(VACVまたはVV)は、ポックスウイルス科に属する大型で複雑な、エンベロープをもつウイルスである。それは約250の遺伝子をコードする長さ約190 kbpの直線状の二本鎖DNAゲノムをもつ。ワクシニアウイルスは天然痘を根絶したワクチンとし
てのそれの役割で最も良く知られており、天然痘は科学による根絶に成功した最初のヒト疾患となった。
アデノウイルスは、ヌクレオキャプシドおよび二本鎖直線状DNAゲノムからなる中サイ
ズ(90〜100 nm)の、エンベロープをもたない正二十面体ウイルスである(グループI(dsDNA))。アデノウイルスはたとえば呼吸器疾患、結膜炎および胃腸炎に関与する。アデノウイルスは標的療法の投与ビヒクルとしても、たとえば組換えDNAまたはタンパク質の
形で用いられる。
本発明によれば、細菌はグラム陽性またはグラム陰性細菌であってもよい。
本発明方法の好ましい態様において、細菌は、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、コレラ菌、腸チフス菌および炭疽菌からなる群から選択される。
別途定義しない限り、本明細書中で用いるすべての技術用語および科学用語は本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解しているものと同じ意味をもつ。矛盾する場合、定義を含めて本明細書が優位であろう。
図面は下記のものを示す:
図1:HSV-1を種々の貯蔵条件(室温、4℃、-20℃、37℃)で本発明の保護溶液の存在下または不存在下に種々の期間(0、7、14、21、28日間)貯蔵した。その後、HSV-1を細胞培養の接種に用い、ウイルス力価を測定した。 図2:インフルエンザA型の活性は、本発明に従って保護処理したウイルス製剤においては格子形成(赤いボタンが見えない)により示されるように高いウイルス希釈度ですらより高い。 図3:アデノウイルス5型(Ad5)感染性アッセイ。(A/B)Ad5試料をナノコーティングの有る状態と無い状態において、25 kGy(A)および40 kGy(B)でβ線照射した。照射の前と後の感染性ウイルス粒子の力価を示す。(C/D)同じ設定でIgM抗体を照射した。照射の前と後の相対抗原結合能を示す。 図4:(A)SDS-PAGE;列1:OVA対照、列2:分解OVA、列3:(OVA+本発明溶液)SD、列3:マーカー(Pageruler(商標));(B)OVA対照、分解OVA、および(OVA+本発明溶液)SD(タンパク質のスペクトルのみ)のCDスペクトル。 図5:OVAに結合した際のANSの蛍光強度の増大。 図6:ANSと結合した後のOVA対照および(OVA+本発明溶液)SD(タンパク質のスペクトルのみ)の蛍光強度。 図7:種々の組成物がストレス条件下でヘマグルチニンの機能性に及ぼす効果。 図7:種々の組成物がストレス条件下でヘマグルチニンの機能性に及ぼす効果。凍結乾燥および40 kGyでのβ線照射など種々のタイプのストレスに対する種々の組成の保護溶液を配合した不活化インフルエンザA H1N1スプリットワクチンの活性、すなわちそれぞれの血球凝集活性。インフルエンザA H1N1スプリットワクチンを、ジペプチドであるカルノシン、他のジペプチド、およびグリチルリチン酸をそれぞれ補充した7種類のアミノ酸(アミノ酸混合物1:Ala、Arg、Gly、Glu、Lys、His、Trp)または5種類のアミノ酸(それぞれ、アミノ酸混合物2:Ala、Arg、Gly、Glu、Lys、およびアミノ酸混合物3:Ala、Gly、Glu、His、Trp)を含有する本発明組成物中に再緩衝化した。
実施例により本発明を説明する。
実施例1:液体貯蔵後の感染性の検査
HSV-1を細胞培養で増殖させた。力価測定によりウイルス力価を測定した後、グリチル
リチン酸を含む保護溶液または含まない保護溶液の存在下または不存在下での種々の貯蔵条件(室温、4℃、-20℃、37℃)のためにウイルスを異なる試料に分けた。対照としてPBSを用いた。実験設定後の種々の時点(0、7、14、21、28日目)で、HSV-1を細胞培養における接種および力価の測定に適宜用いた。最大観察期間は4週間であった。
実施例2:抗原性の維持を示すインフルエンザA HAアッセイ
不活性化したインフルエンザA型ウイルスを2〜8℃で本発明による保護溶液に対して透
析した。w/w(ウイルス/保護溶液の賦形剤)比は1:10〜1:100であった。凍結乾燥を100μlの体積で行ない、凍結乾燥物を25 kGyのβ線照射で照射した。表1に示す多種多様な組成の保護溶液について追加データが得られた。さらに、40 kGyのβ線照射による照射を別法として実施した。
照射および再構成の後、試料の機能性を血球凝集アッセイ(HA)で評価した。図2に示
すように、貯蔵緩衝液中でインフルエンザA型の抗原性の完全喪失を示した対照と対照的
に、本発明溶液中で凍結乾燥したインフルエンザA型の再構成後には血球凝集活性がほと
んど完全に維持された。
表1に、この実施例に用いた本発明の種々の組成の保護溶液の概要を示す。7種類のアミノ酸(アミノ酸混合物1:Ala、Arg、Glu、Gly、Lys、His、Trp)または5種類のアミノ酸
(それぞれ、アミノ酸混合物2:Ala、Arg、Glu、Gly、Lys、およびアミノ酸混合物3:Ala、Gly、Glu、His、Trp)を含む組成物を用いた。ジペプチドであるカルノシン、グリチルリチン酸、他のジペプチド、およびその組合わせを含有する組成物は、凍結乾燥仲介および/または照射仲介による機能性損失に対して最良の保護をもたらした。この実験により
、長期貯蔵に対する認識されていない副作用(たとえば、酸化感受性;吸湿性)をもつ可能性があるアミノ酸の除外は保護を低下させることが明らかになった。GAおよび/または
カルノシン、および/またはジペプチド(Gly-Tyr;Gly-GLy;Gly-Gln)をこれらの組成物に補充すると、組成物の保護効果を高めることができた。選択したアミノ酸をジペプチドおよび/またはGAで置き換えた後、組成物のモル浸透圧濃度はより低く、したがって療法
の目的に有益となる可能性がある。
実施例3:ウイルスの照射と抗原性の維持
ヒトアデノウイルス5型(Ad5)を用いてウイルス不活性化試験を実施した。具体的には、50μLのウイルス懸濁液を37℃で無菌ポリスチロールチューブの底において乾燥させた
。次いでこの乾燥ウイルスに50μLの保護溶液を乗せ、再び37℃で乾燥させた。25 kGyま
たは40 kGyでのβ線照射の後(対照は照射しなかった)、ウイルス/保護溶液2層を1 mLのMEMに再懸濁し、感染性ウイルスの力価を終末点滴定により測定した(図3A/B)。並行し
て、IgMについて同じ実験設定を用いた(LO-MM-3;図3C/D)。
β線照射はAd5の定量的不活性化をもたらした(25 kGyで≧99.9%の低下、40 kGyで≧99.999%の低下;図9A/B)が、IgM抗体の機能性は維持されたことを示す。これらの結果は、本発明溶液がウイルスの外側のタンパク質構造を選択的に安定化および保護し、一方で同時に感染性を不活性化できることを立証する。
実施例4:保護溶液は生存真核細胞を凍結および融解に際して安定化しない
培養線維芽細胞を培養プレートで集密状態に達した後に収穫した。細胞を計数し、a)
標準法としてのDMSO、またはb)保護溶液、またはc)DMSOと保護溶液(SPS)の種々の混
合物で再構成した後、凍結させ、-80℃に貯蔵した。融解した後、細胞の生存性をトリパ
ンブルーおよびインビトロで新たな培養を形成する能力により分析した。結果を下記の表2に示す。
試料を下記のものに再構成した(すべて、DMEM/20% FKS(v/v)中):
1 10 % DMSO (v/v) / 0 % (v/v) SPS (20 g/l) =陰性対照
2 7,5 % DMSO (v/v) / 2,5 % (v/v) SPS (20 g/l)
3 5 % DMSO (v/v) / 5 % (v/v) SPS (20 g/l)
4 2,5 % DMSO (v/v) / 7,5 % (v/v) SPS (20 g/l)
5 0% DMSO (v/v) / 10 % (v/v) SPS (20 g/l)
6 0 % DMSO (v/v) / 0 % (v/v) SPS (20 g/l) =陽性対照
20% FCSを含む保護溶液:
7 SPS 10 mg/ml + 20 % FKS / 10 % DMSO
8 SPS 10 mg/ml + 20 % FKS / 0 % DMSO
さらに、融解後24時間目に細胞培養皿に細胞がどのように付着しているかを調べた。付着レベルを顕微鏡検査により判定した。結果を下記の表3にまとめる。
実施例5.材料および方法
前記の実施例に用いた保護溶液は、L-アラニン、L-アルギニン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジン、L-リジン1塩酸塩、およびL-トリプトファン-を含有する。本発明による種々のアミノ酸、および場合によりグリコシド系賦形剤(この場合はグリチルリチン酸)を約100 g/Lの原液濃度になるように個々に混和することにより、保護用溶液を調製
した。最終溶液(1〜25 g/L)の固体含量と保護すべき因子の重量:重量(w/w)比は>2
:1であった。すべての成分が無毒性であった。アミノ酸は静脈内注入用として承認され
ている(Fong and Grimley)。グリチルリチン酸は慢性肝炎の治療に静脈内適用するために承認されており、それの安全性は幾つかの臨床試験で十分に記載されている。本発明溶液中にグリチルリチン酸を1〜10000μg/mLの範囲で使用できる。
ウイルス感染性アッセイ
感染性/不活性化試験のために、アデノウイルス5型、Adenoid 75株(American Type culture collection, ATCC-VR-5)をヒト肺癌細胞系A549(ATTC-CCL-185)で増殖させた。ウイルスの増殖のために、37℃および5% CO2で、5%ウシ胎仔血清(FCS)を補充した最小
必須培地(MEM)において細胞を増殖させた。終末点滴定(96ウェルのマイクロタイター
プレートにおいて希釈液当たり8ウェル)により、ウェル当たり50μLのウイルス希釈液および50μLのA549細胞(10〜15×103細胞)を用いてウイルス力価を測定した。この実験には、力価1.1×109の組織培養感染用量(tissue culture infectious dose)(TCID50)/mL
を用いた。具体的には、体積50μLのウイルス懸濁液を37℃で無菌ポリスチロールチュー
ブの底において乾燥させた。次いでこの乾燥ウイルスに50μLの保護溶液(20 g/l)を乗
せ、再び37℃で乾燥させた。25 kGyまたは40 kGyでのβ線照射の後(対照は照射しなかった)、ウイルス/保護溶液2層を1 mLのMEMに再懸濁した。上記に従ってウイルス力価を再
び測定した。培養物を接種の7日後に細胞変性効果(cytopathic effect)(CPE)について
観察した。
ウイルス対照を同等に、ただしβ線照射せずに処理した。ウイルス力価を、標準偏差を含むTCID50/mLとして表わす。力価低下をβ線照射後のウイルス力価と対照ウイルス力価
の差として表わす。
統計
すべての実験を少なくとも5回行なった。関連がある場合、データを平均±SEMとして提示する。統計分析をスチューデントのt検定により実施した(GraphPad Prism Program、version 5、GraphPad Software、カリフォルニア州サンディエゴ)。0.05未満のp値を統計的に有意とみなした。
実施例6:噴霧乾燥に際してのオボアルブミンの安定化
免疫化に一般に用いられるモデル抗原であるオボアルブミンを原理証明として用いて、噴霧乾燥に際して抗原を安定化するための本発明溶液の有用性を確認した。乾燥粉末を、次いで円偏光二色性(CD)、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)および蛍光分光分析により、統合性について特性分析した。
材料および方法
オボアルブミンはSigma(米国ミズーリ州セントルイス)から購入された。本発明溶液
は前記のものであった(埋め込み溶液を参照)。1-アニリノ-8-ナフタレンスルホネート
(ANS)もSigma(米国ミズーリ州セントルイス)から購入された。他のすべての試薬は分析グレードのものであった。
噴霧乾燥タンパク質の調製
3%(w/v)のオボアルブミンを6%(w/v)の本発明溶液と共にBuechi B-290実験室用噴霧乾燥機(Buechi、スイス、フラヴィル)により噴霧乾燥した。入口空気温度を120℃に設定し、空気流は470 L/時であり、ポンプ速度は7.5 ml/分であり、出口空気温度は50〜55
℃であった。
SDS-PAGE
SDS-PAGEをBio-Red Mini-Protean 3ゲル電気泳動システム(Bio-Red Laboratories、米国ハーキュレス)により実施した。10μlのタンパク質試料(0.5 mg/ml)を10μlの試料
緩衝液と共にインキュベート(95℃、5分)した後に各ウェルに装入し、200 Vの電圧で約55分間の電気泳動を行なった。タンパク質をクーマシーブルー染色により視覚化した。
円偏光二色性(CD)
Jasco J-715分光偏光計(ジャスコインタナショナル株式会社、日本、日立市)を用い
て、噴霧乾燥後のタンパク質の二次構造を評価した。CDスペクトルを、遠UV範囲(200〜250 nm)領域においてサンプリング間隔1.0 nmで0.05 cmの路程のキュベット内で記録した。本発明溶液はCDにおいて若干の信号をもつので、それを限外濾過装置(Vivaspin 6、Sartorius Stedim biotechから、ドイツ、ゲッチンゲン)によりタンパク質から分離した。すべてのスペクトルは2つのスキャンの平均であり、バックグラウンド補正および正規化
された。スペクトルを次いで純粋な/非処理タンパク質のものと比較した。
蛍光分光分析
蛍光分光計(LS55、PerkinElmerから、米国ウォルサム)で1 cmの路程のキュベットを
用いて蛍光スペクトルを記録した。ANSを360 nmで励起することによりその固有蛍光を測
定し、390〜550 nmの範囲で発光スペクトルを記録した。蛍光スペクトルを溶媒のバック
グラウンドスペクトルに対して補正した。
結果
OVA対照、および本発明溶液と共に噴霧乾燥したOVAの、SDS-PAGE分析を図4(A)に示す。両試料に同じゲルパターンがみられ、低分子量バンドは存在しなかった;これは、噴霧乾燥に際してOVA分子の分解が起きなかったことの指標となる。
さらに、図4(B)に示すように、本発明溶液と共に噴霧乾燥した後のOVAのCDスペクト
ルはOVA対照に類似し、これは再分散後に二次構造の変化がみられなかったことの指標と
なる。
1-アニリノ-8-ナフタレンスルホネート(ANS)は水中で実質的に非蛍光性であるが、タンパク質上に存在する疎水性部位に結合すると蛍光を示す。したがって、この蛍光はタンパク質が変性すると大幅に増大するので、変性度の尺度として役立つ(図5)。この現象
を利用して噴霧乾燥後のOVAの統合性を解明した。図6にみられるように、対照OVAおよび
本発明溶液と共に噴霧乾燥したOVAは同じ蛍光強度をもち、これは噴霧乾燥に際して変性
事象が起きなかったことの指標となる。
結論として、一組の異なる手法により確認されたように、本発明溶液はオボアルブミンの噴霧乾燥に際してタンパク質の二次構造を保存するのに適している。

Claims (18)

  1. ウイルスまたは細菌を安定化するための方法であって、ウイルスまたは細菌を水溶液に埋め込む段階を含み、その際、水溶液は
    (i)少なくとも3種類の異なるアミノ酸;または
    (ii)少なくとも1種類のジペプチドもしくはトリペプチド
    を含み、水溶液は糖(単数または複数)、シラン類およびタンパク質(単数または複数)を含まないかまたは実質的に含まない方法。
  2. 少なくとも3種類のアミノ酸が、下記の群:
    (a)非極性、脂肪族R基をもつアミノ酸;
    (b)極性、非荷電R基をもつアミノ酸;
    (c)正に荷電したR基をもつアミノ酸;
    (d)負に荷電したR基をもつアミノ酸;および
    (e)芳香族R基をもつアミノ酸
    から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 水溶液が、下記の各群から選択される少なくとも1種類のアミノ酸:
    (a)非極性、脂肪族R基をもつアミノ酸;
    (b)極性、非荷電R基をもつアミノ酸;
    (c)正に荷電したR基をもつアミノ酸;
    (d)負に荷電したR基をもつアミノ酸;および
    (e)芳香族R基をもつアミノ酸
    を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 水溶液が、少なくとも下記のアミノ酸:
    (a)アラニン、グルタミン酸、リジン、トレオニンおよびトリプトファン;
    (b)アスパラギン酸、アルギニン、フェニルアラニン、セリンおよびバリン;
    (c)プロリン、セリン、アスパラギン、アスパラギン酸、トレオニン、フェニルアラ
    ニン;
    (d)チロシン、イソロイシン、ロイシン、トレオニン、バリン;または
    (e)アルギニン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、グルタミン酸、リジン、トリプ
    トファン;または
    (f)アラニン、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、リジン
    を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 1種類以上のアミノ酸が、天然の非タンパク源アミノ酸および合成アミノ酸からなる群
    から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 水溶液がさらに両親媒性分子を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 両親媒性分子がサポニンもしくは脂肪酸またはその誘導体からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. サポニンがグリチルリチン酸またはその誘導体である、請求項7に記載の方法。
  9. 脂肪酸が短鎖および中鎖脂肪酸からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
  10. 水溶液の賦形剤とウイルスまたは細菌とのw/w比が1:1〜500:1である、請求項1〜9の
    いずれか1項に記載の方法。
  11. 安定化したウイルスまたは細菌がそれらの感染性および/またはそれらの複製能および/またはそれらの抗原性を維持する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. さらに、安定化したウイルスまたは細菌をその後、約-90℃〜約45℃から選択される温
    度で貯蔵する段階を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 安定化したウイルスまたは細菌を液体製剤として貯蔵するために供給する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 安定化したウイルスまたは細菌を乾燥製剤として貯蔵するために供給する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  15. さらに、後続の不活性化段階を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. ウイルスが、インフルエンザウイルス、ポリオウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、
    ワクシニアウイルスおよびアデノウイルスからなる群から選択される、請求項1〜15のい
    ずれか1項に記載の方法。
  17. 細菌が、百日咳、破傷風、ジフテリア、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、コレラ、腸チフスおよび炭疽からなる群から選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  18. 請求項1(ii)に記載の少なくとも1種類のジペプチドが、カルノシン、グリシルトリロシン、グリシルグリシンおよびグリシルグルタミンからなる群から選択される、請求項1
    〜17のいずれか1項に記載の方法。
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