JP2017122591A - 測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】質量分析法によるマッピング測定を、ラマン分光法によるマッピング測定を行った領域を含む領域で行うことができる測定方法を提供する。【解決手段】本発明に係る測定方法は、試料に対して、ラマン分光法によるマッピング測定と、質量分析法によるマッピング測定と、を行う測定方法であって、ラマン分光装置において、試料にレーザー光を照射して、マーカーを形成するマーカー形成工程S100と、ラマン分光装置において、試料にレーザー光を照射して、ラマン分光法により試料の第1領域のマッピング測定を行う第1マッピング測定工程S102と、質量分析装置において、質量分析法により第1領域の少なくとも一部とマーカーとを含む試料の第2領域のマッピング測定を行う第2マッピング測定工程S106と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、測定方法に関する。
質量分析装置は、質量分析法(Mass Spectrometry)により試料の分析を行うための装置である。質量分析装置は、試料をイオン化するイオン源、イオンの質量を価数で除した値(m/z)ごとに分離・検出する質量分析部、マススペクトルの作成やデータ処理を行うデータ処理部、に分けることができる。
質量分析法は有機あるいは無機化合物をm/zで分離できるため、他の分光法と比較して分子レベルの分離能が高い。
質量分析法において試料のイオン化の手法は数多くある。イオン化の手法として、1次イオンを試料表面に照射し、生成された2次イオンを分析する2次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry、SIMS)や、レーザーを試料表面に照射し、生成されたイオンを分析するレーザー脱離イオン化質量分析法(Laser Desorption/Ionization Mass Spectrometry、LDI−MS)は、固体の試料に利用できる手法である。
近年、試料を載せた試料ステージを2次元に駆動して試料表面の化合物分布をマッピングするイメージング質量分析法が注目されている(例えば特許文献1参照)。質量分析法によるマッピング測定(マスイメージング測定)では、試料表面に区画された微小領域ごとにマススペクトルが得られる。そのため、質量分析法によるマッピング測定で得られるデータは(X,Y,m/z,イオン強度)となる。なお、X、Yは微小領域の座標を表している。
質量分析法によるマッピング測定を行うことで、特定の化合物のm/zを指定してその化合物の2次元分布、すなわちマスイメージを描画することができる。また、マスイメージ中のある関心領域(ROI)に含まれる複数のピクセルの各マススペクトルを積算して、当該領域に局在する化合物の情報を得ることができる。
ラマン分光法は、紫外から近赤外までの波長帯域のレーザーを物質に照射し、放出された非弾性散乱光の波長シフトや散乱強度を調べることで、化学結合状態や結晶構造に関する情報を得ることができる手法である。ラマン分光法では、分子構造の推定や物質同定などの定性分析および定量分析を行うことができる。
ラマン分光法の特徴は、官能基の情報が得られるとともに、試料を非破壊かつ非接触で分析できる点である。
顕微ラマン分光装置は、レンズ等の光学素子を使ってレーザー光を集光することにより微小領域のラマン分光測定を行うことができる装置である。顕微ラマン分光装置では、試料ステージの2次元駆動により試料面内のレーザー照射位置を変えていくことで、2次元のマッピング(イメージング)測定が可能である。ラマン分光法によるマッピング測定で得られるデータは(X,Y,ラマンシフト,散乱強度)となる。
特開2015−146288号公報
上記のように、質量分析法とラマン分光法は、共通点が多い。そのため、質量分析法とラマン分光法とによって、同一試料の同一箇所について相補的な分析を行うことで様々な知見を得ることができる。
質量分析法とラマン分光法とによって同一試料の同一箇所の測定を行うためには、ラマン分光法によるマッピング測定を行った後に、質量分析法によるマッピング測定を行うことが望ましい。破壊分析である質量分析法に対して、ラマン分光法は非破壊分析が可能であるためである。
しかしながら、測定領域が1mm以下と微小である場合、ラマン分光法によるマッピング測定を行った領域を正確に特定することは困難であり、ラマン分光法によるマッピング測定を行った領域で、質量分析法によるマッピング測定を行うことは難しい。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、質量分析法によるマッピング測定を、ラマン分光法によるマッピング測定を行った領域を含む領域で行うことができる測定方法を提供することにある。
(1)本発明に係る測定方法は、
試料に対して、ラマン分光法によるマッピング測定と、質量分析法によるマッピング測定と、を行う測定方法であって、
ラマン分光装置において、前記試料にレーザー光を照射して、マーカーを形成するマーカー形成工程と、
前記ラマン分光装置において、前記試料にレーザー光を照射して、ラマン分光法により前記試料の第1領域のマッピング測定を行う第1マッピング測定工程と、
質量分析装置において、質量分析法により前記第1領域の少なくとも一部と前記マーカーとを含む前記試料の第2領域のマッピング測定を行う第2マッピング測定工程と、
を含む。
このような測定方法では、試料にレーザー光を照射してマーカーを形成するため、マーカーを高い位置精度で形成することができる。さらに、レーザー光を用いることにより、微小なマーカーを形成することができる。したがって、このような測定方法では、マーカーによって第1領域を正確に特定することができ、質量分析法によるマッピング測定を、ラマン分光法によるマッピング測定を行った領域を含む領域で行うことができる。これにより、ラマン分光法と質量分析法による試料の同一箇所の相補的なマッピング分析ができる。
(2)本発明に係る測定方法において、
前記試料の表面に金属粒子を形成する金属粒子形成工程を含んでいてもよい。
このような測定方法では、ラマン分光法によるマッピング測定において検出感度を向上させることができ、かつ、質量分析法によるマッピング測定において試料のイオン化を促進させることができる。
(3)本発明に係る測定方法において、
前記金属粒子の材質は、白金、金、または銀であってもよい。
(4)本発明に係る測定方法において、
前記金属粒子形成工程は、前記マーカー形成工程および前記第1マッピング測定工程の前に行われてもよい。
(5)本発明に係る測定方法において、
前記第1マッピング測定工程の後に、前記第2マッピング測定工程を行ってもよい。
(6)本発明に係る測定方法において、
前記マーカー形成工程の後に、前記第1マッピング測定工程を行ってもよい。
(7)本発明に係る測定方法において、
前記マーカー形成工程の前に、前記第1マッピング測定工程を行ってもよい。
(8)本発明に係る測定方法において、
前記マーカーと前記第1領域とを含む領域の光学画像を取得する光学画像取得工程を含んでいてもよい。
(9)本発明に係る測定方法において、
前記第2マッピング測定工程で得られたマスイメージのひずみを、前記マスイメージ中の前記マーカーを反映したパターンに基づいて補正するマスイメージ補正工程を含んでいてもよい。
このような測定方法では、マスイメージのひずみを容易に補正することができる。
(10)本発明に係る測定方法において、
前記マーカー形成工程では、前記マーカーは直線状に形成され、
前記第2マッピング測定工程では、前記試料の走査方向が直線状の前記マーカーに対して垂直となるように前記試料を走査して前記第2領域のマッピング測定を行ってもよい。
このような測定方法では、マスイメージのひずみをより容易に補正することができる。
(11)本発明に係る測定方法において、
前記第2マッピング測定工程では、前記質量分析法は、レーザー脱離イオン化質量分析法、または2次イオン質量分析法であってもよい。
第1実施形態に係る測定方法の一例を示すフローチャート。 試料に形成されたマーカーを模式的に示す図。 ラマン分光法によるマッピング測定の測定領域である第1領域を模式的に示す図。 質量分析法によるマッピング測定の測定領域である第2領域を模式的に示す図。 第2実施形態に係る測定方法の一例を示すフローチャート。 ラマン分光法によるマッピング測定の測定領域である第1領域を模式的に示す図。 試料に形成されたマーカーを模式的に示す図。 質量分析法によるマッピング測定の測定領域である第2領域を模式的に示す図。 第3実施形態に係る測定方法の一例を示すフローチャート。 第4実施形態に係る測定方法の一例を示すフローチャート。 試料に形成されたマーカーを模式的に示す図。 ラマン分光法によるマッピング測定の測定領域である第1領域を模式的に示す図。 質量分析法によるマッピング測定の測定領域である第2領域を模式的に示す図。 質量分析法によるマッピング測定を行っている様子を模式的に示す図。 マスイメージを模式的に示す図。 補正後のマスイメージを模式的に示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
まず、第1実施形態に係る測定方法について説明する。第1実施形態に係る測定方法では、試料に対して、ラマン分光法によるマッピング測定と、質量分析法によるマッピング測定と、を行う。
図1は、第1実施形態に係る測定方法の一例を示すフローチャートである。
まず、試料にマーカーを形成する(マーカー形成工程、ステップS100)。
図2は、試料10に形成されたマーカー20を模式的に示す図である。なお、図2は、試料10の表面の一部を模式的に示す平面図である。
マーカー20は、ラマン分光装置(顕微ラマン分光装置)において、試料10にレーザー光を照射することで形成される。マーカー20は、ラマン分光法で測定を行うときのレーザー照射パワー(すなわち、単位面積あたりの光強度)よりも高いレーザー照射パワーで試料10の表面を照射することで形成される。試料10の表面に強度が高いレーザー光を照射することにより、試料10の表面はダメージを受ける。すなわち、マーカー20は、レーザー光の照射により形成された試料10の表面のダメージである。
マーカー20の形状は、図示の例では平面視で四角形である。なお、マーカー20の形状は特に限定されず、平面視で、円や、三角形などであってもよいし、数字や、文字などであってもよい。マーカー20は、1つであってもよいし、複数形成されてもよい。
後述するように、マーカー20によって、ラマン分光法により測定された領域を特定することができる。そのため、マーカー20は、あらかじめラマン分光法により測定された領域を特定しやすいように形成されることが望ましい。
次に、ラマン分光装置において、ラマン分光法により試料10の所望の領域(第1領域)のマッピング測定を行う(第1マッピング測定工程、ステップS102)。
図3は、ラマン分光法によるマッピング測定の測定領域である第1領域12を模式的に示す図である。
第1領域12は、マーカー20を含むように設定される。第1領域12は、マーカー20によって特定できるように設定される。図示の例では、第1領域12は、長方形であっ
て、2つのマーカー20が向かい合う2つの角部に位置するように設定されている。なお、第1領域12は、マーカー20によって特定可能であれば、マーカー20を含まないように設定されてもよい。
ラマン分光装置において、第1領域12のマッピング測定は、集光されたレーザー光を試料10に照射しつつ、試料10が載置された試料ステージを2次元的に移動させて、第1領域12内の微小領域ごとに放出される非弾性散乱光の波長シフトや散乱強度の情報を得ることで行われる。
ラマン分光法によるマッピング測定を行うことにより、ラマンイメージが得られる。ラマンイメージは、(X,Y,ラマンシフト,散乱強度)の情報を含む画像である。なお、X,Yは、第1領域12の微小領域の座標を表している。本工程で得られたラマンイメージには、マーカー20を反映したパターンが含まれる。マーカー20は試料10にダメージを与えて形成されるため、マーカー20が形成された領域を測定した場合、例えば検出される信号強度が変化する。そのため、マーカー20は、ラマンイメージにコントラストの変化として現れる。
本工程において、有効なラマンイメージが得られなかった場合には、再度、マーカー20を形成し、測定領域を変えてラマン分光法によるマッピング測定を行ってもよい。
本工程において有効なラマンイメージが得られた場合には、マーカー20と第1領域12とを含む領域の光学画像を取得する(光学画像取得工程、ステップS104)。
光学画像は、光学顕微鏡や、デジタルカメラ等を用いて取得する。ラマン分光法による測定は、非破壊であるため、光学画像では第1領域12を確認することができない。そのため、マーカー20を目印として、第1領域12が含まれるように光学画像を取得する。光学画像ではマーカー20が形成された領域は変色等するため、光学画像においてマーカー20を確認することができる。
次に、質量分析装置において、質量分析法により第1領域12とマーカー20とを含む試料10の第2領域14のマッピング測定を行う(第2マッピング測定工程、ステップS106)。
図4は、質量分析法によるマッピング測定の測定領域である第2領域14を模式的に示す図である。
第2領域14は、第1領域12とマーカー20とを含むように設定される。図示の例では、第2領域14は、第1領域12の全体を含む長方形に設定されている。なお、第2領域14は、第1領域12の一部を含むように設定されてもよい。
本工程では、マーカー20を目印として第2領域14を設定することができるため、容易に第2領域14を第1領域12が含まれるように設定することができる。
質量分析装置において、第2領域14のマッピング測定は、試料10が配置されたステージを二次元に駆動しつつ、第2領域14内の微小領域ごとにマススペクトルを測定することで行われる。これにより、第2領域14内の微小領域ごとにマススペクトルが得られる。
本工程で用いられる質量分析法としては、レーザー脱離イオン化質量分析法(LDI−MS)や、2次イオン質量分析法(SIMS)を用いることができる。レーザー脱離イオ
ン化質量分析法は、試料にレーザー光を照射して測定対象化合物をイオン化して質量分析を行う手法である。2次イオン質量分析法は、試料に1次イオンを照射し、1次イオンと試料との衝突によって発生する2次イオンを質量分析する手法である。
質量分析法によるマッピング測定(マスイメージング測定)を行うことにより、マスイメージが得られる。マスイメージは、(X,Y,m/z,イオン強度)の情報を含む画像である。本工程で得られたマスイメージには、マーカー20を反映したパターンが含まれる。ラマンイメージの場合と同様に、マーカー20は、マスイメージにコントラストの変化として現れる。
以上の工程により、試料10に対して、ラマン分光法によるマッピング測定と質量分析法によるマッピング測定とを行うことができる。
第1実施形態に係る測定方法は、例えば、以下の特徴を有する。
第1実施形態に係る測定方法では、試料10にレーザー光を照射してマーカー20を形成するため、マーカー20を高い位置精度で形成することができる。さらに、レーザー光を用いることにより、微小なマーカー20を形成することができる。したがって、第1実施形態に係る測定方法では、マーカー20によって第1領域12を正確に特定することができ、質量分析法によるマッピング測定を、ラマン分光法によるマッピング測定を行った領域を含む領域で行うことができる。これにより、ラマン分光法と質量分析法による試料10の同一箇所の相補的なマッピング分析が可能となる。
また、第1実施形態に係る測定方法では、質量分析法により第1領域12の少なくとも一部とマーカー20とを含む第2領域14のマッピング測定を行う第2マッピング測定工程を含むため、マスイメージには、マーカー20を反映したパターンが含まれる。そのため、第1実施形態に係る測定方法では、マスイメージ中のマーカー20を反映したパターンを用いて、ラマンイメージとマスイメージとの位置合わせを行うことができる。ラマンイメージとマスメージとの位置合わせを行うことで、ラマンイメージとマスイメージを重ね合わせて表示することができる。
第1実施形態に係る測定方法では、ラマン分光法によるマッピング測定が行われた後に、質量分析法によるマッピング測定が行われる。破壊分析である質量分析法に対して、ラマン分光法は非破壊分析が可能であるためである。
第1実施形態に係る測定方法では、マーカー20と第1領域12とを含む領域の光学画像を取得する光学画像取得工程を含むため、光学画像で試料10の状態を確認することができる。また、本実施形態では、光学画像はマーカー20を含むため、マーカー20を用いて、光学画像とマスイメージとの間の位置合わせ、光学画像とラマンイメージとの間の位置合わせを行うことができる。これにより、光学画像とマスイメージ、あるいは光学画像とラマンイメージを重ね合わせて表示することができる。
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る測定方法について説明する。図5は、第2実施形態に係る測定方法の一例を示すフローチャートである。
上述した第1実施形態に係る測定方法では、図1に示すように、マーカー20を形成する工程の後に、ラマン分光法によるマッピング測定を行う工程を行った。これに対して、第2実施形態に係る測定方法では、図5に示すように、マーカー20を形成する工程の前に、ラマン分光法によるマッピング測定を行う。
まず、ラマン分光装置において、ラマン分光法により第1領域12のマッピング測定を行う(ステップS200)。
図6は、ラマン分光法によるマッピング測定の測定領域である第1領域12を模式的に示す図である。
ラマン分光法によるマッピング測定は、上述したステップS102と同様に行われる。本工程では、有効なラマンイメージが得られるまで、測定条件や測定領域を変更して、繰り返し測定を行う。
有効なラマンイメージが得られた場合、マーカー20を形成する(ステップS202)。
図7は、試料10に形成されたマーカー20を模式的に示す図である。
マーカー20は、有効なラマンイメージが得られた領域(第1領域12)を特定できるように形成される。図示の例では、2つのマーカー20が形成されており、2つのマーカー20はそれぞれ第1領域12の向かい合う角部近傍に形成されている。マーカー20の位置や形状は、第1領域12を特定することができれば特に限定されない。マーカー20の形成は、上述したステップS100と同様に行われる。
次に、マーカー20と第1領域12とを含む領域の光学画像を取得する(ステップS204)。
光学画像の取得は、上述したステップS104と同様に行われる。そして、取得した光学画像において、マーカー20を目印として第1領域12の位置を記録する。
次に、質量分析装置において、質量分析法により第1領域12とマーカー20とを含む第2領域14のマッピング測定を行う(ステップS206)。
図8は、質量分析法によるマッピング測定の測定領域である第2領域14を模式的に示す図である。
図8に示すように、第2領域14は、第1領域12とマーカー20とを含むように設定される。質量分析法による第2領域14のマッピング測定は、上述したステップS106と同様に行われる。
以上の工程により、試料10に対して、ラマン分光法によるマッピング測定と質量分析法によるマッピング測定とを行うことができる。
第2実施形態に係る測定方法によれば、上述した第1実施形態に係る測定方法と同様の作用効果を奏することができる。
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係る測定方法について説明する。図9は、第3実施形態に係る測定方法の一例を示すフローチャートである。
第3実施形態に係る測定方法では、図9に示すように、試料10の表面に金属粒子を形成する工程を含む点で、第1実施形態に係る測定方法、および第2実施形態に係る測定方
法と異なる。
まず、試料10の表面に金属粒子を形成する(金属粒子形成工程、ステップS300)。
金属粒子は、真空蒸着法、スパッタ法等で形成される。金属粒子の材質は、例えば、白金(Pt)、金(Au)、または銀(Ag)である。金属粒子の直径は、例えば、数nm〜数十nm程度である。すなわち、本工程で形成される金属粒子は、金属ナノ微粒子である。本工程では、試料10の表面が覆われるように、試料10の表面に複数の金属粒子を形成する。
試料10の表面に金属粒子を形成することにより、ラマン分光法によるマッピング測定において、表面増強ラマン散乱(Surface−Enhanced Raman Scattering、SERS)の効果を得ることができる。これにより、検出感度を向上させることができる。
また、試料10の表面に金属粒子を形成することにより、レーザー脱離イオン化質量分析法によるマッピング測定において、表面支援レーザー脱離イオン化法(Surface
Assisted Laser Desorption/Ionization,SALDI)を用いることができる。これにより、試料10のイオン化を促進させることができる。また、試料10の表面に金属粒子を形成することにより、2次イオン質量分析法によるマッピング測定においても、試料10のイオン化を促進させることができる。
次に、試料10にマーカー20を形成する(ステップS302)。
マーカー20は、試料10にレーザー光を照射して、少なくとも試料10の表面の金属粒子が除去されるように形成される。マーカー20の形成は、上述したステップS100と同様に行われる。
次に、ラマン分光装置において、ラマン分光法により第1領域12のマッピング測定を行う(ステップS304)。
ラマン分光法によるマッピング測定は、上述したステップS102と同様に行われる。本実施形態では、試料10の表面には金属粒子が形成されているため、ラマン分光法によるマッピング測定において検出感度を向上させることができる。
次に、マーカー20と第1領域12とを含む領域の光学画像を取得する(ステップS306)。
光学画像の取得は、上述したステップS104と同様に行われる。
次に、質量分析装置において、質量分析法により第1領域12とマーカー20とを含む第2領域14のマッピング測定を行う(ステップS308)。
質量分析法によるマッピング測定は、上述したステップS106と同様に行われる。本実施形態では、試料10の表面に金属粒子が形成されているため、質量分析法によるマッピング測定において試料10のイオン化を促進させることができる。
以上の工程により、試料10に対して、ラマン分光法によるマッピング測定と質量分析法によるマッピング測定とを行うことができる。
なお、上述した実施形態では、図1に示す第1実施形態に係る測定方法に、金属粒子を形成する工程を追加した例について説明したが、図5に示す第2実施形態に係る測定方法に、金属粒子を形成する工程を追加してもよい。
第3実施形態に係る測定方法では、上述した第1実施形態に係る測定方法と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第3実施形態に係る測定方法では、試料10の表面に金属粒子を形成する工程を含むため、ラマン分光法によるマッピング測定において検出感度を向上させることができ、かつ、質量分析法によるマッピング測定において試料10のイオン化を促進させることができる。
また、第3実施形態に係る測定方法では、マーカー20は金属粒子が除去されるように形成されているため、金属粒子を構成する物質のマスイメージを用いて、ラマンイメージとの位置合わせを行うことで、ラマンイメージとマスイメージとの位置合わせを容易に行うことができる。例えば、金属粒子の材質が白金である場合には、ラマンイメージとマスイメージの位置合わせを行う際に、白金のマスイメージを用いることで、容易に位置合わせを行うことができる。
4. 第4実施形態
次に、第4実施形態に係る測定方法について説明する。図10は、第4実施形態に係る測定方法の一例を示すフローチャートである。
第4実施形態に係る測定方法では、質量分析法によるマッピング工程で得られたマスイメージのひずみを、マスイメージ中のマーカー20を反映したパターンに基づいて補正する工程を含む点で、第1実施形態に係る測定方法と異なる。
まず、試料10にマーカー20を形成する(ステップS400)。
図11は、試料10に形成されたマーカー20を模式的に示す図である。
マーカー20は、図11に示すように、直線状に形成される。マーカー20は、ラマン分光装置において、試料10にレーザー光を照射することで形成される。マーカー20の形成は、上述したステップS100と同様に行われる。
次に、ラマン分光装置において、ラマン分光法により第1領域12のマッピング測定を行う(ステップS402)。
図12は、ラマン分光法によるマッピング測定の測定領域である第1領域12を模式的に示す図である。
第1領域12は、図12に示すように、長方形であって、当該長方形の1辺が直線状のマーカー20と平行になるように設定される。ラマン分光法によるマッピング測定は、上述したステップS102と同様に行われる。
次に、マーカー20と第1領域12とを含む領域の光学画像を取得する(ステップS404)。
光学画像の取得は、上述したステップS104と同様に行われる。
次に、質量分析装置において、質量分析法により第1領域12とマーカー20とを含む
第2領域14のマッピング測定を行う(ステップS406)。
図13は、質量分析法によるマッピング測定の測定領域である第2領域14を模式的に示す図である。図14は、質量分析法によるマッピング測定を行っている様子を模式的に示す図である。なお、図14では、互いに直交する軸として、X軸およびY軸を図示している。図14では、マーカー20は、Y軸に平行に形成されている。
本工程では、質量分析法によるマッピング測定における試料10の走査方向が直線状のマーカー20に対して垂直となるように試料10を走査してマッピング測定を行う。ここで、質量分析法によるマッピング測定では、試料10が配置された試料ステージをX軸方向およびY軸方向に2次元に移動させることで試料10を走査する。具体的には、試料ステージは、図14に示すように、試料10をX軸方向に1次元的に走査させた後、Y軸方向に移動させて、再びX軸方向に1次元的に走査させることを繰り返す。このとき、X軸方向を試料10の走査方向という。
次に、ステップS406で得られたマスイメージのひずみを、マスイメージ中のマーカー20を反映したパターンに基づいて補正する(マスイメージ補正工程、ステップS408)。
図15は、ステップS406で得られたマスイメージI2を模式的に示す図である。図16は、補正後のマスイメージI4を模式的に示す図である。
マスイメージI2には、図15に示すように、試料ステージの駆動部のバックラッシュの影響などで試料10の走査方向に対して平行な方向にずれが生じる。これにより、マスイメージがひずむ場合がある。
マスイメージI2には、直線状に形成されたマーカー20を反映したパターンCが含まれる。本工程では、マーカー20を反映したパターンCが直線状になるように、マスイメージI2の画像補正を行う。マスイメージI2の補正は、例えば、マスイメージI2のずれた列(走査方向の列)を、パターンCが直線状となるように平行移動させることで行われる。このようにマスイメージI2を補正することにより、図16に示すひずみが低減されたマスイメージI4を得ることができる。
なお、上記では、マーカー20を直線状に形成したが、ステップS408においてマスイメージを補正することができれば、マーカー20の形状は特に限定されない。
第4実施形態に係る測定方法では、上述した第1実施形態に係る測定方法と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、第4実施形態に係る測定方法では、質量分析法によるマッピング測定で得られたマスイメージのひずみを、マスイメージ中のマーカー20を反映したパターンに基づいて補正する工程を含む。そのため、第4実施形態に係る測定方法では、マスイメージのひずみを容易に補正することができる。
また、第4実施形態に係る測定方法では、質量分析法によるマッピング測定における試料10の走査方向が、直線状のマーカー20に対して垂直となるように測定を行うため、マスイメージのひずみをより容易に補正することができる。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…試料、12…第1領域、14…第2領域、20…マーカー

Claims (11)

  1. 試料に対して、ラマン分光法によるマッピング測定と、質量分析法によるマッピング測定と、を行う測定方法であって、
    ラマン分光装置において、前記試料にレーザー光を照射して、マーカーを形成するマーカー形成工程と、
    前記ラマン分光装置において、前記試料にレーザー光を照射して、ラマン分光法により前記試料の第1領域のマッピング測定を行う第1マッピング測定工程と、
    質量分析装置において、質量分析法により前記第1領域の少なくとも一部と前記マーカーとを含む前記試料の第2領域のマッピング測定を行う第2マッピング測定工程と、
    を含む、測定方法。
  2. 請求項1において、
    前記試料の表面に金属粒子を形成する金属粒子形成工程を含む、測定方法。
  3. 請求項2において、
    前記金属粒子の材質は、白金、金、または銀である、測定方法。
  4. 請求項2または3において、
    前記金属粒子形成工程は、前記マーカー形成工程および前記第1マッピング測定工程の前に行われる、測定方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記第1マッピング測定工程の後に、前記第2マッピング測定工程が行われる、測定方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記マーカー形成工程の後に、前記第1マッピング測定工程を行う、測定方法。
  7. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記マーカー形成工程の前に、前記第1マッピング測定工程を行う、測定方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、
    前記マーカーと前記第1領域とを含む領域の光学画像を取得する光学画像取得工程を含む、測定方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項において、
    前記第2マッピング測定工程で得られたマスイメージのひずみを、前記マスイメージ中の前記マーカーを反映したパターンに基づいて補正するマスイメージ補正工程を含む、測定方法。
  10. 請求項9において、
    前記マーカー形成工程では、前記マーカーは直線状に形成され、
    前記第2マッピング測定工程では、前記試料の走査方向が、直線状の前記マーカーに対して垂直となるように前記試料を走査して前記第2領域のマッピング測定を行う、測定方法。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項において、
    前記第2マッピング測定工程では、前記質量分析法は、レーザー脱離イオン化質量分析法、または2次イオン質量分析法である、測定方法。
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