JP2017121649A - 溶接ロボットのティーチング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶接ロボットのプレーバック制御されるマニピュレータの動作を容易に精度よく、自動でティーチングすることができる装置を提供する。
【解決手段】マーカー20は、第1ワークW1と第2ワークW2のそれぞれ溶接箇所の表面に接する接触面201、202と、トーチ11を対向させるマーキング面203とを備えており、第1ワークW1と第2ワークW2の溶接箇所の表面にマーカー20を配置した状態で、両接触面201、202の間の両線が狙い位置TPに位置するよう断面形状が成形されている。トーチ11の先端と溶接ワイヤ10の狙い位置との間の距離Lを維持した状態で、トーチ11をマーキング21に沿って自動で移動させるようマニピュレータ12を動作させ、その動作をマニピュレータ制御装置13に記憶させる。
【選択図】図3
【解決手段】マーカー20は、第1ワークW1と第2ワークW2のそれぞれ溶接箇所の表面に接する接触面201、202と、トーチ11を対向させるマーキング面203とを備えており、第1ワークW1と第2ワークW2の溶接箇所の表面にマーカー20を配置した状態で、両接触面201、202の間の両線が狙い位置TPに位置するよう断面形状が成形されている。トーチ11の先端と溶接ワイヤ10の狙い位置との間の距離Lを維持した状態で、トーチ11をマーキング21に沿って自動で移動させるようマニピュレータ12を動作させ、その動作をマニピュレータ制御装置13に記憶させる。
【選択図】図3
Description
本発明は、トーチを支持したマニピュレータの動作をプレーバック制御する溶接ロボットにおいて、マニピュレータの動作をティーチングする装置に関する。
溶接ロボットにおいてプレーバック制御されるマニピュレータの動作をティーチングする従来の技術としては、たとえば特許文献1に開示されているように、マニピュレータのアームに支持されたトーチを人手により動かして溶接作業の内容を直接教示(ティーチング)し、その教示した内容に従って自動的に溶接作業を行うように構成することが一般に行われている。
また、溶接により接合するワークと溶接設備のCADデータを用いてコンピュータ上でティーチングデータを作成し、マニピュレータの動作をティーチングすることも一般に行われている。
しかしながら、上記特許文献1のように人手によりトーチを動かして直接ティーチングする従来の技術にあっては、トーチのワークに対する狙い角度や、狙い位置に対するトーチの距離などにバラツキが生じることにより、溶接精度が悪くなるという問題があった。
また、CADデータを用いてコンピュータ上でティーチングデータを作成する場合には、作成したティーチングデータを基に実際の溶接ロボットにおけるトーチのワークに対する狙い位置の修正を行う必要があり、ティーチングデータの作成に多くの工数が必要であるという問題があった、その結果、従来の技術では、ティーチングに必要な行程数が多いために、溶接の順序や方向などの溶接配分について十分に検討することが困難であるという問題もあった。
本発明は、上述した問題を優位に解決するためになされたもので、溶接ロボットのプレーバック制御されるマニピュレータの動作を容易に精度よく、自動でティーチングすることができる装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、トーチを支持したマニピュレータの動作をプレーバック制御する溶接ロボットにおいて、前記マニピュレータの動作をティーチングする装置であって、互いに接合するワークの溶接箇所の表面にそれぞれ接する接触面と、前記トーチと対向するマーキング面とを備え、前記両接触面の稜線が前記狙い位置に位置する断面形状に成形されており、前記マーキング面における前記稜線から前記トーチの狙い角度の位置にマーキングが形成されたマーカーと、前記トーチに取り付けられ前記マーキングを検知するマーキング検知センサと、前記トーチに取り付けられ前記マーキング面からの距離に基づいて前記トーチの先端と溶接ワイヤの狙い位置との間の距離を測定する測距センサと、前記測距センサと前記マーキング検知センサとから出力される信号に基づいて、前記トーチの先端と前記狙い位置との間の距離を設定された距離に維持しつつ、前記マーカーのマーキングに沿って前記トーチを移動させるよう前記マニピュレータを動作させ、このときの動作を前記マニピュレータ制御装置に記憶させる動作指令装置とを備えたことを特徴とする。
本発明では、ワークを互いに接合する状態に保持し、ワークの溶接箇所の表面にマーカーの接触面がそれぞれ接する状態で、溶接線に沿ってマーカーを配置する。このとき、マーカーの両接触面の稜線は溶接ワイヤの狙い位置に位置する。また、マーカーの配置と前後して、トーチに測距センサとマーキング検知センサとを取り付ける。その後、トーチを狙い位置から狙い角度で保持した状態で、マーカーのマーキング面に対向させて、マーキング面に形成されたマーキングをマーキング検知センサに認識させ、測距センサによりマーキング面からの距離を測定し、その測定結果に基づいてトーチの先端と溶接ワイヤの狙い位置との間の距離を測定する。なお、マーカーの断面形状は、マーキング面がトーチの狙い角度と直交する角度で成形することが望ましい。次いで、測距センサから出力された信号に基づいてトーチの先端が狙い位置に対して設定された距離だけ離れるようにトーチを配置し、この距離を維持しつつ、マーキング検知センサから出力される信号に基づいて、マーキング検知センサがマーカーのマーキングを認識し続ける状態、つまり、マーキングに沿ってトーチが移動するようにマニピュレータ制御装置にマニピュレータを自動で動作させ、このときのマニピュレータの動作をマニピュレータ制御装置に記憶させる。
本発明によれば、自動でトーチを狙い位置に対して設定された距離に維持しつつ、マーカーのマーキング面のマーキングに沿って移動させるだけで、狙い位置に対するトーチの距離などにバラツキが生じることなく、容易に精度よく溶接ロボットのマニピュレータ制御装置にマニピュレータの動作をティーチングすることができる。
本発明によれば、自動でトーチを狙い位置に対して設定された距離に維持しつつ、マーカーのマーキング面のマーキングに沿って移動させるだけで、狙い位置に対するトーチの距離などにバラツキが生じることなく、容易に精度よく溶接ロボットのマニピュレータ制御装置にマニピュレータの動作をティーチングすることができる。
本発明の実施の一形態に係る溶接ロボット1およびそのティーチング装置2を、第1ワークW1と第2ワークW2を重ね溶接する場合で、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。以下の説明では、同じ構成要素または相当する構成要素に対して同一符号を付するものとする。
溶接ロボット1は、先端から狙い位置に向かって溶接ワイヤ10を送り出すトーチ11と、トーチ11を任意の位置に移動させるマニピュレータ12と、マニピュレータ12の動作をプレーバック制御することが可能なマニピュレータ制御装置13とを備えている。
マニピュレータ12は、この実施の形態ではアーム14の先端に手首部15を有する多関節型のマニピュレータ12が採用されており、手首部15にトーチ11が支持されている。この実施の形態におけるトーチ11は、その先端から溶接ワイヤ10を送り出すとともに、溶接ワイヤ10に溶接電流を供給するアーク溶接用トーチ11である。しかしながら、本発明は、アーク溶接用のトーチ11に限定されることはなく、たとえばレーザ溶接用のトーチ11や、アーク溶接とレーザ溶接の複合溶接用のトーチ11などを用いる場合を含むことができる。マニピュレータ12は、その動作がマニピュレータ制御装置13によって制御される。マニピュレータ制御装置は、マニピュレータの動作を記憶して、その動作を再現させるプレーバック制御をすることができ、また、ティーチングペンダント等から入力された指示に従って制御することができる。
この実施の形態では、第1ワークW1と第2ワークW2をアーク溶接により重ね継手とするもので、溶接箇所の表面は、第1ワークW1の端面と、第2ワークW2の表面における第1ワークW1の端面と隣接する部分である。図3に示したように、トーチ11の先端から送り出される溶接ワイヤ10の狙い位置TPは、第2ワークW2の溶接箇所の表面上における第1ワークW1の端面と対応する箇所に位置する。トーチ11の姿勢は、その中心軸線が狙い位置TPから狙い角度αで描く仮想線C上に位置するよう設定される。
本発明のティーチング装置2は、概略、第1ワークW1と第2ワークW2の溶接箇所の表面に配置されるマーカー20と、トーチ11に取り付けられマーキング21を検知するマーキング検知センサ30と、トーチ11に取り付けられトーチ11の先端と溶接ワイヤ10の狙い位置との間の距離Lを測定する(後述する)ための測距センサ31と、マーキング検知センサ30と測距センサ31とから出力される信号に基づいて、トーチ11をマーカー20のマーキング21に沿って自動で移動させるようマニピュレータ制御装置13に指令を出力してマニピュレータ12を動作させその動作をマニピュレータ制御装置13に記憶させる動作指令装置32とを備えている。マーカー20は、第1ワークW1と第2ワークW2のそれぞれ溶接箇所の表面に接する接触面201、202と、トーチ11を対向させるマーキング面203とを備えており、第1ワークW1と第2ワークW2の溶接箇所の表面にマーカー20を配置した状態で、両接触面201、202の間の稜線が狙い位置TPに位置するよう断面形状が成形されている。
ティーチング装置2のマーカー20は、溶接線に沿って配置されるもので、溶接開始位置から溶接停止位置までの溶接長さ以上の長さ(図3の紙面に対して垂直方向の長さ)を有しており、第1ワークW1の端面および第2ワークW2の表面にそれぞれ接する接触面201、202と、トーチ11と対向するマーキング面203とを備えており、この実施の形態では断面が略三角形状に成形されている。マーカー20は、図2に示すように、第1ワークW1と第2ワークW2の溶接線と対応して屈曲しその状態を保持することが可能な可撓性を有する材質により構成されている。
マーカー20の断面は、第1ワークW1と第2ワークW2の互いの溶接箇所の表面の間のなす角に応じて、この実施の形態では、2つの接触面201、202の間のなす角が直角で、且つ、各接触面201、202が第1ワークW1の端面と第2ワークW2の表面とにそれぞれ接した状態で、両接触面201、202の間に形成される稜線(図に示した断面図における両接触面201,202の角)が溶接ワイヤ10の狙い位置TPに位置するよう成形されている。そして、両接触面201、202は、その断面においては直線状となる平面状に成形されている。両接触面201、202の断面における長さ(マーカーの長さ方向に対する幅)は、図に示した実施の形態では同じ長さに成形されており、断面が直角二等辺三角形に成形されている。したがって、マーキング面203は、第1ワークW1の端面および第2ワークW2の表面に対して45°の角度で成形されている。そして、図3に示した実施の形態においては、トーチ11の姿勢が狙い位置TPから溶接箇所の表面に対してそれぞれ45°の角度αで狙い角度を設定されており、マーキング面203は、断面において、トーチ11の狙い角度αに対して直交するよう傾斜している(つまり、溶接箇所となる第1ワークW1の端面と第2ワークW2の表面に対してそれぞれ45°傾斜している)。マーキング21は、狙い位置TPに位置する両接触面201、202の稜線からトーチ11の狙い角度αで描く仮想線Cがマーキング面203と交差する位置を中心として、一定の幅Mで設けられている。なお、仮想線Cは、この実施の形態では、狙い位置TPからマーキング面203に引いた垂線と表現することもできる。狙い位置TPに位置している両接触面201、202の稜線からマーキング面203までの垂線Cの長L1さは、予め測定しておくことができる。また、本発明のマーカー20は、断面が直角二等辺三角形の形状に限定されることはなく、両接触面201、202の間のなす角を直角以外の角度に変更し、両接触面201、202の幅(断面におけるそれぞれの長さ)を異ならせるように変更し、また、トーチ11の狙い角度αに応じて、マーキング面203の第1ワークW1の端面および第2ワークW2の表面に対する角度を溶接箇所の表面に対して45°以外の角度に変更し、マーキング面の幅方向におけるマーキングの位置を変更することもできる。また、後述するようにワークの継手の態様等に応じて、各接触面201、202を断面において直線状に成形するだけではなく、湾曲させて成形することもできる(図6の(d)に示した突合せ継手のU形開先を参照)。さらに、マーカー20は、2つの接触面201、202と1つのマーキング面203だけを有する断面三角形状に限定されることはなく、たとえば3面以上の接触面を含むこともできる。この場合には、互いに隣接する接触面のいずれかの稜線が狙い位置TPに位置する断面形状に成形することができる。
マーキング21は、たとえば磁性体や、レーザビームに対してマーキング21以外の部分と異なる反射率の反射体、または、マーキング21以外の部分と異なる色彩若しくは輝度となる塗料などにより構成することができる。マーキング21は、マーカー20の全長に亘って形成することができ、必要に応じてマーカー20の長さ方向に部分的に形成することもできる。また、マーキング検知センサ30は、マーキング21の態様に応じて、たとえば磁気検知センサや、レーザビームを照射してその反射光の変化を検知するセンサ、CCDカメラなどのイメージセンサやカラーセンサなどを採用することができる。測距センサ31は、たとえば超音波センサや、レーザビーム変位センサ、静電容量型変位センサ、過電流型変位センサ、あるいはマーキング21を撮影してその画像の幅Mや焦点等からトーチ11の先端とマーキング面203との間の距離L1を測定し、その距離L1に基づいてトーチ11の先端と狙い位置TPとの距離Lを求めることができるものとすることができる。そして、マーキング検知センサ30と測距センサ31は、その種類によって兼用あるいは一体で構成することができる。図3に示した実施の形態では、マーキング検知センサ30と測距センサ31とが一体で構成されている。マーキング検知センサ30と測距センサ31は、トーチ11の外筒に対してねじ留めやベルト留めなどによって着脱可能に取り付けるよう構成されている。マーキング検知センサ30と測距センサ31を取り付ける位置は、その先端がトーチ11の外筒の先端と一致するように設定することが望ましい。
動作指令装置32は、測距センサ31から出力される信号を受け取って、トーチ11の先端からマーキング面203までの距離L2に、予め測定された両接触面201、202の稜線からマーキング面203までの垂線の長さL1を加えた値、すなわち、トーチ11の先端から狙い位置TPまでの距離Lが、設定された距離であるか否かを判定し、設定された距離でない場合には、トーチ11の先端位置が狙い位置TPに対して設定された距離Lに位置するようマニピュレータ制御装置13に指令を出力して、トーチ11をその中心軸方向に移動させるようマニピュレータ12を動作させて、トーチ11の先端の狙い位置TPに対する距離を調整する。
また、動作指令装置32は、マーキング検知センサ30から出力される信号を受け取って、マーキング21を認識し、トーチ11とマーキング面203との間の距離L2が変化することなくマーキング21を認識し続ける状態で、トーチ11をマーキング21に沿って移動させるようマニピュレータ制御装置13に指令を出力しマニピュレータ12を動作させる。すなわち、動作指令装置32は、測距センサ31から出力される信号に基づいて測定されるトーチ11とマーキング面203との間の距離L2が設定された距離と異なるか否かを判定し、異なる場合には、トーチ11とマーキング面203との間の距離L2が設定された距離となるようマニピュレータ12の動作を補正させる指令をマニピュレータ制御装置13に出力して、トーチ11とマーキング面203との間の距離L2を設定された距離に維持する。また、動作指令装置32は、マーキング検知センサ30から出力される信号に基づいてマーキング21を認識する位置が相対的に変化するか否かを判定し、変化する場合には、マーキング21を認識した位置が変化しないようマニピュレータ12の動作を補正させる指令をマニピュレータ制御装置13に出力して、トーチ11をマーキング21に沿って移動させる。そして、動作指令装置32は、このときのマニピュレータ12の動作をマニピュレータ制御装置13にティーチングデータとして記憶させる。
なお、マーカー20の長さを溶接長さに応じて設定してマーカー20の全長に亘ってマーキング21を形成し、マーキング検知センサ30がマーキング20の両端部を検知して、動作指令装置32がマーキング20の両端部を溶接開始位置と溶接終了位置としてそれぞれ認識するよう構成することができる。しかしながら、マーカー20の長さを想定される溶接長さのなかで一番長い溶接長さ以上に設定し、マーカー20の長手方向に延びるよう形成されたマーキング21(以下、長手方向マーキングという)とは異なる形態の溶接開始位置マーキング22と溶接終了位置マーキング23の少なくとも一方を用意し、溶接開始位置マーキング22と溶接終了位置マーキング23を溶接開始位置と溶接終了位置に応じて長手方向マーキング21上に取り付けるよう構成することもできる。溶接開始位置マーキング22と溶接終了位置マーキング23は、長手方向マーキング21と異なる幅や形状(長手方向マーキング21が一定幅Mの帯状であるのに対して、図2に示したようにたとえば丸や四角、菱形等の形状)、あるいは異なる色彩や光の反射率など、マーキング検知センサ30が長手方向マーキング21と異なることを識別できるよう構成されたものとすることができる。さらに、溶接開始位置マーキング22と溶接終了位置マーキング23は、長手方向マーキング21上の任意の位置に着脱可能することができるよう構成することができる。このように、マーカー20の長さを想定される溶接長さよりも長く成形して、溶接開始位置と溶接終了位置に応じて長手方向マーキング21上に溶接開始位置マーキング22と溶接終了位置マーキング23の少なくとも一方を取り付けるよう構成した場合には、溶接長さなどが異なる溶接箇所の表面に対して共通のマーカー20でティーチングすることができ、従って、マーカー20に汎用性を持たせることができる。
なお、マーキング検知センサ30と測距センサ31の中心軸線は、これらがトーチ11の外筒に取り付けられるため、トーチ11の中心軸線と完全に一致しない。しかしながら、動作司令装置32は、マーキング検知センサ30と測距センサ31から出力される信号に基づいて、各マーキング21、22、23の認識と、トーチ11の先端からマーキング面203までの距離L2、または、トーチ11の先端から狙い位置TPまでの距離Lの演算とを行う際に、トーチ11の前進角又は後退角を考慮してマーキング検知センサ30および測距センサ31とトーチ11との中心軸線のずれを補正する。したがって、各マーキング21、22、23の認識と、トーチ11の先端からマーキング面203までの距離L2、または、トーチ11の先端から狙い位置TPまでの距離Lの演算とを正確に行うことができる。
なお、上述した実施の形態では、第1ワークW1と第2ワークW2を重ね溶接する場合により説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されることはなく、図6に示すように、T字継手(a)、かど継手(b)、へり継手(c)など、ほぼ直交する溶接箇所の表面の隅部を隅肉溶接する場合や、さらには突合せ継手(d)とするなど、第1ワークW1と第2ワークW2の端面を溶接する場合にも適用することができる。図6の(a)に示したT字継手の場合には、溶接箇所の表面は、第1ワークW1の表面における端面近傍と、第2ワークW2の表面における第1ワークW1の端面が接合された部分となる。図6の(b)に示したかど継手の場合には、溶接箇所の表面は、第1ワークW1と第2ワークW2のそれぞれの端面となる。また、図6の(c)に示したへり継手、および図6の(d)に示したつ突合せ角継手の場合には、溶接箇所の表面は、第1ワークW1と第2ワークW2の端面に形成された開先となる。そのため、マーカー20の断面形状は。溶接箇所の表面あるいは開先の形状やの角度に応じて成形される。
次に、以上のように構成された本発明のティーチング装置により溶接ロボットにティーチングする手順と作動の実施の一形態を図4に示したフローチャートに基づいて、図1〜図3に示したように重ね溶接する場合で説明する。
溶接ロボット1にティーチングするに先立って、最初に、接合する第1ワークW1と第2ワークW2を重ね溶接する状態に保持し、また、マーキング検知センサ30と測距センサ31をトーチ11の外筒に取り付ける。そして、接合する第1ワークWの端面と第2ワークの表面とにマーカーの接触面がそれぞれ接するように溶接線に沿ってマーカーを配置する。図2に示したように、第1ワークW1の端面と第2ワークW2の表面が屈曲しており、その結果、溶接線が屈曲している場合、マーカー20は、溶接線と対応して屈曲した状態に維持される。このとき、両接触面201、202の間の稜線は、溶接ワイヤ10の狙い位置TPに位置している。そして、この実施の形態におけるマーカー20は、溶接長さよりも長く成形されており、長手マーキング21は、マーカー20の全長に亘って形成されている。そのため、マーキング21の溶接開始位置と溶接終了位置と対応する位置には、それぞれ、溶接開始位置マーキング22と溶接終了位置マーキング23とを設ける。これにより、異なる溶接箇所であっても、溶接長さがマーカー20の長さ以下であれば、共通のマーカー20をティーチングに使用することができる。
溶接ロボット1をティーチングする際には、マニピュレータ12に支持されたトーチ11をマーカー20のマーキング面203に対向させて、マーキング21上に設けられた溶接開始位置マーキング22をマーキング検知センサ30に認識させる(図4のS1)。このトーチ11のマーキング面203に対向させる動作は、マニピュレータ12のアームをフリーとした状態で、人が直接トーチ11を移動させ、また、たとえばマニピュレータ制御装置13に接続されたティーチペンダントを人が操作するなどして行わせることができる。また、マニピュレータ12は、トーチ11の移動に関わらず、常にトーチ11を設定された狙い角度αに保持することができる。
次いで、動作司令装置32は、測距センサ31から出力された信号に基づいて、狙い位置TPからトーチ11の先端までの距離Lを測定する(図4のS2)。より具体的には、図3に示したように、測距センサ31から出力された信号からマーキング面203とトーチ11の先端の距離L2を測定し、予め測定された接触面201、202の間の稜線からマーキング面203までの垂線の長さL1を加えて、狙い位置TPからトーチ11の先端までの距離Lを求める。
続いて、動作司令装置32は、求められた狙い位置TPからトーチ11の先端までの距離Lが設定された値であるか否かを判定する(図4のS3)。距離Lが設定された値でない場合(図4のS3でNOの場合)には、マニピュレータ12がトーチ11をその軸方向に移動させるようマニピュレータ制御装置13に指令を出力して、狙い位置TPに対するトーチ11の先端位置を調整し(図4のS4)、再度狙い位置TPからトーチ11の先端までの距離Lを測定し(図4のS2)、求められた狙い位置TPからトーチ11の先端までの距離Lが設定された値であるか否かを判定する(図4のS3)。
距離Lが設定された値である場合(図4のS3でYESの場合)、動作司令装置32は、狙い位置TPに対するトーチ11の距離Lを設定値に維持した状態で、トーチ11を長手マーキング21に沿って自動で移動させるようマニピュレータ制御装置13によりマニピュレータ12の動作を制御する(図4のS5)。具体的には、動作司令装置32は、トーチ11を長手マーキング21に沿って移動させるときに、測距センサ31から出力された信号に基づいて狙い位置TPからトーチ11の先端までの距離Lを求め、距離Lが設定された値でない場合には、設定された値となるよう図4のS4と同様に狙い位置TPに対するトーチ11の先端位置を調整しつつ、マーキング検知センサ30から出力される信号から、長手マーキング21を認識する位置が当初の認識した位置からずれているか否かを判定し、ずれている場合には、当初の認識した位置に戻るよう、マニピュレータ制御装置13を制御してマニピュレータ12の動作を修正する。
そして、動作司令装置32は、マーキング検知センサ30が長手マーキング21上に設けられた溶接終了位置マーキング23を認識したか否かを判定し(図4のS6)、溶接終了位置マーキング23を認識していない場合(図4のS6でNOの場合)には、続けてさらに狙い位置TPに対するトーチ11の距離Lを設定値に維持した状態で、トーチ11を長手マーキング21に沿って自動で移動させるようマニピュレータ制御装置13によりマニピュレータ12の動作を制御し(図4のS5)、再度マーキング検知センサ30が長手マーキング21上に設けられた溶接終了位置マーキング23を認識したか否かを判定する(図4のS6)。溶接終了位置マーキング23を認識した場合(図4のS6でYESの場合)には、動作司令装置32がマニピュレータ12の動作をティーチングデータとしてマニピュレータ制御装置13に記憶させ(図4のS7)、ティーチングを終了する。
マニピュレータ制御装置13は、記憶した動作を再生させるようマニピュレータ12プレーバック制御することができる。
本発明では、マニピュレータ12の動作を自動でティーチングすることができる。そのため、従来の技術のようにティーチングに必要な行程数を大幅に削減することができる。その結果、たとえばワークを接合して自動車のフロントサスペンションメンバを製造する場合に、従来の技術ではティーチングに多くの工程数を必要としていたために、溶接の順序や方向などの溶接配分について十分に検討することが困難であったのに対して、本発明では図5に示すように、溶接の順序や方向などの溶接配分についていろいろなパターン(図5ではパターン1〜3)で十分に検討することが容易となった。なお、図5中、矢印1〜3はトーチ11の経路及び進行方向と順序を示している。
W1:第1ワーク、 W2:第2ワーク、TP:狙い位置、 1:溶接ロボット、 2:ティーチング装置、 10:溶接ワイヤ、 11:トーチ、 12:マニピュレータ、 13:マニピュレータ制御装置 20:マーカー、 201、202:接触面、 203:マーキング面、 21:マーキング、 30:マーキング検知センサ、 31:測距センサ、 32:動作指示装置
Claims (1)
- トーチを支持したマニピュレータの動作をプレーバック制御する溶接ロボットにおいて、前記マニピュレータの動作をティーチングする装置であって、
互いに接合するワークの溶接箇所の表面にそれぞれ接する接触面と、前記トーチと対向するマーキング面とを備え、前記両接触面の稜線が前記狙い位置に位置する断面形状に成形されており、前記マーキング面における前記稜線から前記トーチの狙い角度の位置にマーキングが形成されたマーカーと、
前記トーチに取り付けられ前記マーキングを検知するマーキング検知センサと、
前記トーチに取り付けられ前記マーキング面からの距離に基づいて前記トーチの先端と溶接ワイヤの狙い位置との間の距離を測定する測距センサと、
前記測距センサと前記マーキング検知センサとから出力される信号に基づいて、前記トーチの先端と前記狙い位置との間の距離を設定された距離に維持しつつ、前記マーカーのマーキングに沿って前記トーチを移動させるよう前記マニピュレータを動作させ、このときの動作を前記マニピュレータ制御装置に記憶させる動作指令装置と
を備えたことを特徴とする溶接ロボットのティーチング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016001779A JP2017121649A (ja) | 2016-01-07 | 2016-01-07 | 溶接ロボットのティーチング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2016001779A JP2017121649A (ja) | 2016-01-07 | 2016-01-07 | 溶接ロボットのティーチング装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019150930A (ja) * | 2018-03-05 | 2019-09-12 | 国立大学法人 筑波大学 | 溶接ロボット動作教示システム、溶接ロボット動作教示方法およびプログラム |
US11571810B2 (en) | 2019-05-23 | 2023-02-07 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Arithmetic device, control program, machine learner, grasping apparatus, and control method |
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2016
- 2016-01-07 JP JP2016001779A patent/JP2017121649A/ja active Pending
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JP2019150930A (ja) * | 2018-03-05 | 2019-09-12 | 国立大学法人 筑波大学 | 溶接ロボット動作教示システム、溶接ロボット動作教示方法およびプログラム |
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