JP2017120163A - 火格子及びストーカ式焼却炉の炉床 - Google Patents

火格子及びストーカ式焼却炉の炉床 Download PDF

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Abstract

【課題】火格子が配列された火床から被焼却物に均等に燃焼用空気が供給され、局所的な異常燃焼の発生を抑制可能な火格子を提供する。【解決手段】基端側が支持されるとともに背面13に被焼却物の搬送方向の上流側の火格子10の先端側下部が当接し、先端側の下部が前記搬送方向の下流側の火格子10の背面に当接するように配置され、上流側または下流側の火格子10との間の相対移動により被焼却物を受け止めて搬送するストーカ式焼却炉の炉床を形成する火格子であって、前記背面13に、凸部平坦面13H及び/または凹部平坦面13Lで構成される領域が、前記搬送方向に沿うように形成されるとともに、前記領域の形成位置が前記搬送方向に交差する方向に変位するように形成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、火格子及びストーカ式焼却炉の炉床に関する。
図8に示すように、都市ごみ等を焼却処理するごみ焼却炉としてストーカ式焼却炉Aが用いられている。ストーカ式焼却炉Aは、耐火壁Wで覆われた炉室に複数の火格子10を配設したストーカ機構でなる炉床Bを備え、その下方に設置した風箱(図示せず)に供給される燃焼用空気が火格子10を介して被焼却物であるごみに供給されるように構成されている。
各火格子10は、固定フレームCに横架された円筒状の支持棒C1に基端部が揺動可能に支持された固定火格子群10Aと、固定フレームCに対してごみの搬送方向に沿って往復移動する可動フレームDに横架された円筒状の支持棒D1に基端部が揺動可能に支持された可動火格子群10Bがごみの搬送方向に沿って交互に配列されている。
油圧機構Eによって可動フレームDが往復駆動されることにより、可動火格子群10Bと固定火格子群10Aとが相対移動し、炉床B上の被焼却物が掻き混ぜられつつ搬送される。
特許文献1には、上壁1と左右両側壁2とで取り囲まれる空間に燃焼用ガスを送るガス流路を形成すると共に上壁1と左右両側壁2とに連設された前端壁3を備え、前端壁3にガス流路からの燃焼用ガスを外部に吹出す開口部31が形成された火格子片本体Rを設け、火格子片本体Rの先端下部と隣接する火格子片本体Rの上壁面1とが、仰角を変動しつつ相対的に往復摺動する火格子片の構造であって、火格子片本体の先端下部32に、隣接する火格子片本体の上壁面と面接触しながら摺動する揺動片43を設けてある火格子片の構造が開示されている(図9(a)参照)。
風箱を介して火格子片の下方から供給された燃焼用空気が前端壁3に形成された丸孔である2か所の開口部31から吹き出されて炉床上の被焼却物に燃焼用空気が供給される。
特許文献2には、固定火格子と可動火格子とが前後方向に交互に配設された階段摺動式ストーカに於いて、各火格子3を、火床フレーム9に取付けられた火格子体4と、火格子体4の後側から前側下部に亘って形成される空気通路5と、火格子体4の前側に着脱可能に設けられて前段の火格子体の上面に摺動可能に当合される摺動体6と、空気通路5の前側に設けられて火格子体4の側部に設けた溝に依り隣接する火格子体との間に形成されたノズル孔7と、火格子体4の前側下端と摺動体の前側上端との間に形成されてノズル孔7に連通する空気吹出口8と、から構成した事を特徴とする階段摺動式ストーカが開示されている(図9(b)参照。)尚、図9(a),(b)に示した符号は特許文献1,2に用いられた符号をそのまま用いており、以下の実施形態の欄で用いられる符号とは関係が無い。
特開2003−97807号公報 特許第3732670号公報
特許文献1に開示された火格子では、前端壁に形成した2つの丸孔で構成される固定の開口部、つまり火床の幅方向に沿って常時同じ位置から燃焼用空気が吹き出されるため、火床上で厚く堆積した被焼却物に燃焼用空気を均等に供給するのが困難であるという問題があった。
また、開口部から吹き出される燃焼用空気により被焼却物の全体が均等に燃焼することはなく、仮に塊状の被焼却物に空気の通り道となる空洞が一部に形成されると、その部位のみから燃焼用空気の供給が集中して局所的に燃焼し、それによる輻射熱を受けて火格子温度が上昇し、他の火格子に比べて早期に焼損するという問題もあった。
特許文献2に開示された火格子は、特許文献1に開示された火格子よりも幅広のスリットから燃焼用空気が供給されるように構成されているが、火床の幅方向に配列された火格子の先端が連なり直線状に連続するスリットから燃焼用空気が供給されるため、塊状の被焼却物に空気の通り道となる空洞が一部に形成されると、その部位のみから燃焼用空気の供給が集中して局所的に異常燃焼するという問題が解消されることはなかった。
また、図8に示されているように、各火格子は同一サイズに形成され、幅方向に隣接して配置される火格子同士の境界がごみの搬送方向に沿って直線状に並ぶため、仮に火格子同士の境界から燃焼用空気が供給されるように構成する場合でも、常に火床の幅方向に沿って同じ位置からごみに燃焼用空気が供給され、火床の幅方向に沿ってごみに均等に燃焼用空気を供給したいという要請に応えられる構成でもなかった。
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、火格子が配列された火床から被焼却物に均等に燃焼用空気が供給され、局所的な異常燃焼の発生を抑制可能な火格子及びストーカ式焼却炉の炉床を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による火格子の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、基端側が支持されるとともに背面に被焼却物の搬送方向の上流側の火格子の先端側下部が当接し、先端側の下部が前記搬送方向の下流側の火格子の背面に当接するように配置され、上流側または下流側の火格子との間の相対移動により被焼却物を受け止めて搬送するストーカ式焼却炉の炉床を形成する火格子であって、前記背面に、凸部平坦面及び/または凹部平坦面で構成される領域が、前記搬送方向に沿うように形成されるとともに、前記領域の形成位置が前記搬送方向に交差する方向に変位するように形成されている点にある。
火格子の背面と、背面に当接された上流側の火格子の先端側下部との間に形成される空隙から燃焼用空気が供給される。例えば、上流側の火格子の先端側下部が当該火格子の背面に当接すると、凸部平坦面に沿って空隙が形成され、凹部平坦面に空隙が形成される。このような凸部平坦面や凹部平坦面等の領域が搬送方向に交差する方向に変位するので、それに伴って燃焼用空気の供給部位が変化し、局所的な異常燃焼の発生が効果的に抑制されるようになる。変化の態様は段階的であってもよいし連続的であってもよい。
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記背面と前記背面に当接する上流側の火格子の先端側の下部とで形成される間隙から燃焼用空気が供給されるように可動火格子と固定火格子が前記搬送方向に沿って交互に配置されるように構成され、前記相対移動により前記間隙の形成位置が前記領域の変位に伴って変化するように構成されている点にある。
可動火格子の先端側が下流側の固定火格子の先端側に移動すると、相対的に上流側の固定火格子の先端側が当該可動火格子の基端側背面に当接することになる。反対に、可動火格子の先端側が下流側の固定火格子の基端側に移動すると、相対的に上流側の固定火格子の先端側が当該可動火格子の先端側背面に当接することになる。従って、燃焼用空気の供給部位が当該可動火格子を挟んで上流側と下流側で正反対に変化するので、搬送方向に隣接する火格子間で間隙の形成箇所が異なり、それに伴って燃焼用空気の供給部位が変化するので、被焼却物に対して燃焼用空気が分散供給されるようになり、局所的な異常燃焼の発生が効果的に抑制されるようになる。
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記領域が、基準平坦面より上方に突出する凸部平坦面で構成される第1領域と、前記基準平坦面より下方に窪む凹部平坦面で構成される第2領域を含み、前記搬送方向に沿って前記第1領域と前記第2領域が切り替わるように形成されている点にある。
第1領域では基準平坦面側に間隙が形成され、第2領域では凹部平坦面側に間隙が形成される。搬送方向に沿って第1領域から第2領域に切り替わり、或いは第2領域から第1領域に切り替わることにより、燃焼用空気の供給部位が変化するようになる。
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第三の特徴構成に加えて、幅方向に沿って両側に形成した前記基準平坦面に前記凸部平坦面が挟まれるように前記第1領域が構成されるとともに、幅方向に沿って両側に形成した前記基準平坦面に前記凹部平坦面が挟まれるように前記第2領域が構成され、前記基端側に前記第1領域が形成されるとともに先端側に前記第2領域が形成されている点にある。
第1領域では凸部平坦面を挟む基準平坦面側に間隙が形成され、第2領域では基準平坦面で挟まれる凹部平坦面側に間隙が形成される。第1領域が形成された基端側から切り替わり位置までの間では、背面に当接する上流側火格子の先端側下部と凸部平坦面との間で摺動による機械的摩耗が生じ、燃焼用空気が供給される上流側火格子の先端側下部と基準平坦面との間隙で、焼損が生じる傾向がある。第2領域が形成された切り替わり位置から先端側までの間では、背面に当接する上流側火格子の先端側下部と基準平坦面との間で摺動による機械的摩耗が生じ、燃焼用空気が供給される上流側火格子の先端側下部と凹部平坦面との間隙で、焼損が生じる傾向がある。
上述の構成によれば、第1領域と第2領域でともに機械的摩耗と焼損が進行するので、燃焼用空気が吹き出す間隙のサイズが経時的に大きく変化することなく安定状態が保たれる。また、第2領域が形成された火格子の先端側は被焼却物の層が薄く高温燃焼しやすく、基端側に比べて被焼却物の燃焼が進んで高温で燃焼する傾向があるが、基準平坦面に挟まれた凹部平坦面から空気が供給されるので、仮に幅方向に隣接する火格子間の隙間からも空気が供給される場合であっても、火格子先端側の温度上昇を抑制することができる。
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記相対移動時に、前記背面と前記背面に当接する上流側の火格子の先端側下部との間に形成される間隙の面積が等しくなるように構成されている点にある。
火格子の相対移動に伴って切り替わる各間隙から被焼却物へ吹き出される燃焼用空気の空気量のバランスが保たれるようになる。
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第三から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記第1領域と前記第2領域の前記搬送方向に沿う長さが等しくなるように構成されている点にある。
火格子の相対移動に伴って燃焼用空気が供給される間隙の形成位置が切り替わる場合に、凸部平坦面と凹部平坦面の搬送方向に沿う長さが等しいため、各間隙から吹き出される空気量を所望の値に容易に調整でき、相対移動単位で各間隙から吹き出される空気量のバランスを良好に保つことができる。
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記相対移動時に、前記背面と前記背面に当接する上流側の火格子の先端側の下部とで形成される間隙のうち、前記搬送方向と交差する幅方向に沿う長さが等しくなるように構成されている点にある。
火格子の相対移動に伴って燃焼用空気が供給される間隙の形成位置が切り替わる場合に、搬送方向と交差する幅方向に沿う長さが等しいため、搬送方向と交差する幅方向に沿って、各間隙から吹き出される空気量のバランスを良好に保つことができる。
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第一から第七の何れかの特徴構成に加えて、前記相対移動時に、前記背面と前記背面に当接する上流側の火格子の先端側の下部とで形成される間隙のうち、前記高さ方向の長さが等しくなるように構成されている点にある。
火格子の相対移動に伴って燃焼用空気が供給される間隙の形成位置が切り替わる場合に、背面と背面に当接する火格子の先端側の下部とで形成される間隙のうち、高さ方向の長さが等しいため、搬送方向に沿って各隙間から供給される空気量の変動を抑制して一定に維持することができる。例えば、基準平坦面から凸部平坦面までの突出高さ、及び、基準平坦面から凹部平坦面までの窪み深さが等しい場合である。
同第九の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第一から第八の何れかの特徴構成に加えて、前記基端側の側壁部に、隣接配置される火格子に当接する凸部が形成され、前記凸部より前記搬送方向下流側の側壁部間に空隙が形成されている点にある。
隣接配置される火格子の凸部同士が当接すると、その下流側側壁部間に間隙が形成されるようになり、この間隙から被焼却物に燃焼用空気が供給されるようになる。従って、各火格子の先端部に形成される間隙のみならず隣接する火格子間の間隙からも燃焼用空気が供給されるようになり、全体として被焼却物により一層均一に燃焼用空気が供給されるようになる。
同第十の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第一から第九の何れかの特徴構成に加えて、前記先端側の側壁部に隣接配置される火格子同士を連結する連結棒の挿入孔が形成されるとともに、前記挿入孔に対向するように前記背面から下方に補強リブが突出形成され、隣接配置される火格子同士を連結する連結棒が各補強リブにより抜止め固定されるように構成されている点にある。
隣接配置される火格子間に挿入孔を介して連結棒が装着可能になり、側壁部間に形成される空隙の大きさの変動が抑制されるようになる。そして、挿入孔に挿入された連結棒を締付固定しなくても、補強リブにより抜止め固定されるようになるので、火格子の組み付け作業が容易になる。
本発明によるストーカ式焼却炉の炉床の第一の特徴構成は、同請求項11に記載した通り、上述の第一から第十の何れかの特徴構成を備えた火格子が前記搬送方向及び前記搬送方向に交差する方向に配列形成されているストーカ式焼却炉の炉床であって、幅方向長さが異なる複数の火格子が所定の配列で幅方向に隣接配置される第1火格子群と、前記所定の配列とは異なる配列で幅方向に隣接配置される第2火格子群とが前記搬送方向に沿って交互に配列されている点にある。
第1火格子群での火格子の隣接位置と第2火格子群での火格子の隣接位置とが搬送方向に交差する方向で位置ずれさせることができるので、燃焼用空気の吹き出し位置を搬送方向に沿って左右に移動させることができ、より均一に被焼却物に燃焼用空気を供給することができるようになる。
同第二の特徴構成は、同請求項12に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、幅方向長さが異なる複数の火格子が、幅広の第1火格子と、前記第1火格子より幅狭の第2火格子とで構成され、被焼却物をガス化燃焼させる主燃焼ゾーンと、ガス化燃焼が終了した被焼却物を灰化させる後燃焼ゾーンとで前記第1火格子と前記第2火格子の使用比率を異ならせている点にある。
火床の目的に応じて第1火格子と第2火格子の使用比率を異ならせることで、燃焼用空気の供給量の配分を調整することができるようになる。
同第三の特徴構成は、同請求項13に記載した通り、上述の第二の特徴構成に加えて、前記第1火格子に対する前記第2火格子の使用比率が、前記後燃焼ゾーンより前記主燃焼ゾーンで大きくなるように構成されている点にある。
第1火格子に対する第2火格子の使用比率を大きくすると、後燃焼ゾーンより主燃焼ゾーンで燃焼用空気の供給量を多く調整することができるようになる。
以上説明した通り、本発明によれば、火格子が配列された火床から被焼却物に均等に燃焼用空気が供給され、局所的な異常燃焼の発生を抑制可能な火格子及びストーカ式焼却炉の炉床を提供することができるようになった。
(a)は火格子の正面図、(b)は同平面図、(c)は隣接配置された火格子の平面図 (a)は火格子の底面図、(b)は同左側面図、(c)は同右側面図 (a)は図1(a)のA−A線断面図、(b)は図1(a)のB−B線断面図、(c)は図1(a)のC−C線断面図、(d)は図1(b)のD−D線断面図 (a)は前後に隣接配置された火格子が近接移動した状態の説明図、(b)は前後に隣接配置された火格子が近接移動した状態の火格子の前端面の説明図、(c)は前後に隣接配置された火格子が離隔移動した状態の説明図、(d)は前後に隣接配置された火格子が離隔移動した火格子の前端面の説明図 (a)は火格子が配列された炉床の平面図、(b)は炉床の幅方向に隣接配置された火格子の連結状態を示す説明図 (a)から(c)は別実施形態を示す火格子の要部の平面図 (a)から(d)は別実施形態を示す火格子の要部の平面図 従来の都市ごみ焼却炉の燃焼室を示す一部切欠き斜視図 (a),(b)は従来の火格子の説明図
以下に、本発明による火格子及びストーカ式焼却炉の炉床の一例を、図面に基づいて説明する。
図8で説明した構成と同様に、ストーカ式焼却炉Aは、耐火壁Wで覆われた炉室に複数の火格子10を配設したストーカ機構で構成される炉床Bを備え、その下方に設置した風箱に押込み送風機から供給される燃焼用空気が火格子10を介して炉床B上の被焼却物であるごみに供給されるように構成されている。
各火格子10は、固定フレームCに横架された円筒状の支持棒C1に基端部が揺動可能に支持された固定火格子群10Aと、固定フレームCに対してごみの搬送方向に沿って往復移動する可動フレームDに横架された円筒状の支持棒D1に基端部が揺動可能に支持された可動火格子群10Bが、ごみの搬送方向に沿って交互に配列されている。幅方向に並設された複数の火格子群10A,10Bは、炉室の両側部に配置された一対のサイドプレートで挟持され、当該サイドプレートは外側から中心方向に向けてバネで押圧されている。
そして、油圧機構Eによって可動フレームDが往復駆動されることにより、可動火格子群10Bと固定火格子群10Aとが相対移動し、炉床B上の被焼却物が掻き混ぜられつつ下流側に搬送される。
炉室の天井部には燃焼用バーナが設けられ、燃焼用バーナの熱により炉床B上の被焼却物が掻き混ぜ搬送されながら燃焼する。
図8では、中央の炉床Bにより主にガス化燃焼される主燃焼ゾーンが構成され、上流側及び下流側に別途炉床が設けられている。上流側の炉床Buによって主に被焼却物を乾燥する乾燥ゾーンが構成され、下流側の炉床Bdによってガス化燃焼後の固形物を灰化する後燃焼ゾーンが構成されている。尚、上流側の炉床Buと中央の炉床Bが一体に構成されている場合もある。
図1から図3に示すように、各炉床Bu,B,Bdを構成する各火格子10は、底部が開放された略直方体形状を呈し、左右の側壁11,12と、上壁13(以下の説明では上壁の上面を「背面13」とも記す。)と、前端壁14とを備えている。前端壁14とは反対の基端側には一対の弧状の係止爪15が形成されている。
前端壁14の下縁部は直線状に形成され、前端壁14に連なる左右の側壁11,12の下縁部は前端壁14の下縁部から火格子10の基端側に向けて僅かに上方に傾斜する傾斜面に形成され、さらに火格子10の長手方向に沿って先端から1/3程度のところで上方に屈曲形成されている。
尚、図8では、火格子10の先端部を包絡した面が水平姿勢となるような例を示しているが、包絡面が被焼却物の搬送方向に沿って傾斜するように構成されていてもよい、例えば、被焼却物の搬送方向に沿って下側に傾斜するように構成されていてもよい。
また、左右の側壁11,12のうち、火格子10の長手方向に沿って先端から1/3程度の部位に隣接配置される火格子10同士を連結する連結金具の挿通孔h1,h2が形成されている。
複数の火格子10が炉室の幅方向に隣接配置され、基端側の係止爪15が固定フレームCの支持棒C1または可動フレームDの支持棒D1(図8参照)に揺動可能に係合することで、支持棒C1,D1周りに各火格子10が揺動自在に支持されている。
更に、各火格子10の背面13には、被焼却物の搬送方向の上流側に位置する火格子10の先端側下部つまり前端壁14下部が当接するように配置され、各火格子10の前端壁14下部が、搬送方向の下流側の火格子10の背面に当接するように配置されている。
つまり、各火格子10により、他の火格子10との間の相対移動により被焼却物を受け止めて搬送するストーカ式焼却炉の炉床が形成されている。
各火格子10の背面13には、搬送方向に沿って帯状に形成された基準平坦面13Bと、基準平坦面13Bに沿うように形成され基準平坦面13Bより上方に数mm突出する凸部平坦面13Hと、基準平坦面13Bに沿うように形成され基準平坦面13Bより下方に数mm窪む凹部平坦面13Lとを備え、凸部平坦面13Hと凹部平坦面13Lが搬送方向に沿って異なる位置に形成されている。図1(a)中、凸部平坦面13Hと凹部平坦面13Lの境界を示す2重の直線は、凸部平坦面13Hから凹部平坦面13Lに切り替わるテーパー面13Tの両端を示す線である。
基準平坦面13Bより上方に突出する凸部平坦面13Hが第1領域R1(以下、「第1帯状領域R1」と記す。)となり、基準平坦面13Bより下方に窪む凹部平坦面13Lが第2領域R2(以下、「第2帯状領域R2」と記す。)となる。そして、搬送方向に沿って第1帯状領域R1と第2帯状領域R2の形成された位置が火格子10の幅方向に切り替わるように形成されている。
第1帯状領域R1では凸部平坦面13Hを挟む基準平坦面13B側に間隙が形成され、第2帯状領域R2では基準平坦面13Bで挟まれる凹部平坦面13L側に間隙が形成される。第1帯状領域R1が形成された基端側から切り替わり位置までの間では、背面に当接する上流側火格子の先端側下部と凸部平坦面13Hとの間で摺動による機械的摩耗が生じ、燃焼用空気が供給される上流側火格子の先端側下部と基準平坦面13Bとの間隙で、焼損が生じる傾向がある。第2帯状領域R2が形成された切り替わり位置から先端側までの間では、背面に当接する上流側火格子の先端側下部と基準平坦面13Bとの間で摺動による機械的摩耗が生じ、燃焼用空気が供給される上流側火格子の先端側下部と凹部平坦面13Lとの間隙で、焼損が生じる傾向がある。
上述の構成によれば、第1帯状領域R1と第2帯状領域R2でともに機械的摩耗と焼損が進行するので、燃焼用空気が吹き出す間隙のサイズが経時的に大きく変化することなく安定状態が保たれる。また、第2帯状領域R2が形成された火格子の先端側は被焼却物の層が薄く高温燃焼しやすく、基端側に比べて被焼却物の燃焼が進んで高温で燃焼する傾向があるが、基準平坦面13Bに挟まれた凹部平坦面から空気が供給されるので、仮に幅方向に隣接する火格子間の隙間からも空気が供給される場合であっても、火格子先端側の温度上昇を抑制することができる。また、凸部平坦面13Hと凹部平坦面13Lとの境界部で段差があっても、スムーズに被焼却物を下流側に搬送できるようになる。
基準平坦面13Bから凸部平坦面13Hまでの突出高さH1と、基準平坦面13Bから凹部平坦面13Lまでの窪み深さH2が等しい値に設定されている(図3参照)。また、凸部平坦面13H及び凹部平坦面13Lは同幅W1に形成され、凸部平坦面13H及び凹部平坦面13Lの両側方に配置される基準平坦面13Bの幅W2(=W2/2+W2/2)とも同幅に形成されている(図3参照)。火格子10の背面13と、当該背面13に当接した他の火格子の先端側下部との間に形成される空隙から燃焼用空気が供給される。
つまり、搬送方向と交差する幅方向に沿って基準平坦面13Bの全長と凸部平坦面13Hの全長、及び、基準平坦面13Bの全長と凹部平坦面13Lの全長が等しくなるように構成されているので、搬送方向と交差する幅方向に沿って、各間隙から吹き出される空気量のバランスを良好に保つことができる。
図4(a)から(d)には、固定フレームに支持された固定火格子10Fに対して可動フレームに支持された可動火格子10Mが相対移動する際の両者の姿勢と前端壁14の正面視の状態が示されている。
図4(a),(b)に示すように、可動火格子10Mの先端側下部と固定火格子10Fの背面13の基準平坦面13Bとが当接する場合には、当該先端側下部と凹部平坦面13Lとの間に空隙AG1が形成される。
図4(c),(d)に示すように、可動火格子10Mの先端側下部と固定火格子10Fの背面13の凸部平坦面13Lとが当接する場合には、当該先端側下部と基準平坦面13Bとの間に空隙AG2が形成される。
従って、火格子10M,10F間の相対移動により当該先端側下部と当接する背面の位置が変化すると、それに伴って燃焼用空気の供給部位つまり搬送方向に沿って移動しつつ炉室の幅方向に沿った供給部位が変化するので、局所的な異常燃焼の発生が効果的に抑制されるようになる。
固定火格子10Fに対して往復移動する可動火格子10Mが移動する範囲で空気吹き出し用の間隙AGが変化し、可動火格子10Mの移動速度が一定である場合に、空隙AG1の形成時間と空隙AG2の形成時間が等しくなるように、凸部平坦面13H及び凹部平坦面13Lの長手方向長さが設定されている。
図1(b)では、凸部平坦面13Hより凹部平坦面13Lの長手方向長さが長いように見えるが、実際に背面13に当接する火格子の前端下部の位置の移動範囲に基づくと等しくなる。尚、可動火格子10Mが固定火格子10Fの先端側へ向けて移動する際には次第に仰角が大きくなるので、それに伴って固定火格子Fの背面13への当接位置は可動火格子10Mの前端壁14の下縁部から僅かに引退した位置に位置変化する。
つまり、背面13と背面13に当接する火格子10の先端側の下部とで形成される間隙AG1,AG2から燃焼用空気が供給されるように可動火格子10Mと固定火格子10Fが搬送方向に沿って交互に配置されるように構成され、火格子間の相対移動により間隙AG1,AG2の形成位置が凸部平坦面13Hと凹部平坦面13Lの切替位置で変化するように構成されている。
可動火格子10Mの先端側が下流側の固定火格子10Fの先端側に移動すると、相対的に上流側の固定火格子10Fの先端側が当該可動火格子10Mの基端側背面に当接することになる。反対に、可動火格子10Mの先端側が下流側の固定火格子10Fの基端側に移動すると、相対的に上流側の固定火格子10Fの先端側が当該可動火格子10Mの先端側背面に当接することになる。従って、燃焼用空気の供給部位が当該可動火格子10Mを挟んで上流側と下流側で正反対に変化するので、局所的な異常燃焼の発生を効果的に抑制しながらも、より均一に被焼却物に燃焼用空気を供給することができるようになる。
上述した説明で理解されるように、凸部平坦面13Hに当接する火格子の先端側下部と基準平坦面13Bとで形成される間隙の面積と、基準平坦面13Bに当接する火格子の先端側下部と凹部平坦面13Hとで形成される間隙の面積が等しくなるように構成されている。
そのため、火格子10の相対移動に伴って切り替わる各間隙AG1,AG2から被焼却物へ吹き出される燃焼用空気の空気量の変動が抑制され、バランスが保たれるようになる。
図1(b),(c)に示すように、基端側の側壁部11,12に、隣接配置される火格子10に当接する凸部11a,12aが形成され、凸部11a,12aより搬送方向下流側の側壁部11,12間に空隙AG3が形成されている。
この間隙AG3から被焼却物に燃焼用空気が供給されるようになる。従って、各火格子10の先端部に形成される間隙AG1,AG2のみならず隣接する火格子間の間隙AG3からも燃焼用空気が供給されるようになり、全体として被焼却物により一層均一に燃焼用空気が供給されるようになる。
図2(a),図3(b)から(d)に示すように、火格子10の上壁13の裏面には、火格子10の略複数枚の補強リブ16が垂下形成されている。凹部平坦面13Lが形成されることにより背面13の肉厚が薄くなるための補強でもある。
火格子10の先端側での温度上昇が大きいため、基端側と比較して火格子10の先端側で補強リブ16の垂下長さが長くなるように、つまり放熱面積が大きくなるように形成して放熱効果を高めている。なお、以下に説明する下側挿通孔h1が補強リブ16で遮蔽されない程度に調整されている。
補強リブ16の枚数は特に制限されるものではなく、所定の強度が得られれば良い。例えば、火格子10の横幅が長い場合には、横幅が短い場合よりも補強リブ16の枚数を増やすこともできる。
図5(b)には、そのような例が示され、図3に示す6枚の補強リブ16よりも多い8枚の補強リブ16が形成されている。同図に示すように、横幅方向に隣接配置された火格子10の左右両側壁11,12に形成された上側挿通孔h2には、連結金具として断面円形のピンPが相通されている。ピンPの長さは側壁11,12の直近の補強リブ16同士の距離より僅かに短い距離に設定され、互いの補強リブ16で抜け止めされている。挿入孔h2に挿入されたピンPを締付固定しなくても、補強リブ16により抜止め固定されるようになるので、火格子10の組み付け作業が容易になる。
下側挿通孔h1間には連結金具としてボルトbが挿通されダブルナットnで締付固定されている。つまり、ピンP及びボルトbが火格子同士を連結する連結棒となり、隣接配置される火格子間に挿入孔を介して連結棒が装着されることにより、側壁部間に形成される空隙の大きさの変動が抑制されるようになる。
炉の立上げ時はピンPで固定しておき、一部の火格子が焼損または破損して交換する必要がある場合に、ピンPを切断して火格子を除去し、新しい火格子と隣接する火格子とを下側の挿通孔h1を介してボルトbとナットnで固定する。
上述したストーカ式焼却炉の炉床Bは、幅方向サイズが異なる複数種類の火格子10がごみの搬送方向及びごみの搬送方向に交差する方向にマトリクス状に配列されている。
図5(a)に示すように、幅方向長さが異なる複数の火格子が所定の配列で幅方向に隣接配置される第1火格子群10Aと、所定の配列とは異なる配列で幅方向に隣接配置される第2火格子群10Bとが搬送方向に沿って交互に配列されている。
本実施形態では、幅方向サイズが異なる2種類の火格子10が用いられ、可動火格子群を構成する第1火格子群10Aは、幅方向一端(図5(a)では下端)から幅広の火格子10(図5(a)中、ハッチングされた火格子)が4連接され、さらに幅狭の火格子が6連接されて構成されている。
また、固定火格子群を構成する第2火格子群10Bは、幅方向他端(図5(a)では上端)から幅広の火格子10(図5(a)中、ハッチングされた火格子)が4連接され、さらに幅狭の火格子が6連接されて構成されている。
このように構成すれば、第1火格子群10Aでの各火格子10の隣接位置と第2火格子群10Bでの火格子10の隣接位置とがごみの搬送方向に交差する方向で位置ずれさせることができるので、燃焼用空気の吹き出し位置を搬送方向に沿って左右に移動させることができ、より均一に被焼却物に燃焼用空気を供給することができるようになる。
本実施形態では、幅広の第1火格子10が4連接され、幅狭の第2火格子が6連接された構成を示しているが、必ずしも同幅の火格子を連接する必要はなく、第1火格子群10Aと第2火格子群10Bを構成する火格子の隣接位置が各群間でずれるように構成されていればよい。例えば幅広と幅狭の火格子が幅方向に交互に配列されていてもよい。尚、幅の広狭2種類の火格子の組合せに限るものではなく、幅が異なる3種類以上の火格子を組み合わせて構成されていてもよい。
上述したように、幅方向長さが異なる複数の火格子10が、幅広の第1火格子と、第1火格子より幅狭の第2火格子とで構成される場合、被焼却物をガス化燃焼させる主燃焼ゾーンと、ガス化燃焼が終了した被焼却物を灰化させる後燃焼ゾーンとで第1火格子と第2火格子の使用比率を異ならせることも可能である。
例えば、図5(a)に示したように、幅広の第1火格子10が4連接され、幅狭の第2火格子が6連接された構成を主燃焼ゾーンに採用し、幅広の第1火格子10が5連接され、幅狭の第2火格子が4連接された構成を後燃焼ゾーンに採用してもよい。つまり、第1火格子に対する第2火格子の使用比率が、後燃焼ゾーンより主燃焼ゾーンで大きくなるように構成される。
多量の燃焼用空気が必要となる主燃焼ゾーンでは隣接火格子間の間隙が多くなるように、幅広の第1火格子の数よりも幅狭の第2火格子の数を増やし、燃焼用空気がそれほど必要とならない後燃焼ゾーンでは隣接火格子間の間隙が少なくなるように、幅広の第1火格子の数よりも幅狭の第2火格子の数を減らすことにより、各燃焼ゾーンに適した分散型の空気供給が可能になる。
燃焼ゾーンによって第1火格子と第2火格子の使用比率を異ならせると、一定の炉幅に構成された各燃焼ゾーンで、火格子群の幅が同一とならず、多少の寸法不足が発生する場合がある。この場合には、各火格子群を側方から中央に向けて押圧する再度プレートの位置調整によって寸法不足を吸収することができる。
以下、本発明の別実施形態を説明する。
背面に当接する火格子の前端壁の下縁部が火格子10の長手方向に沿って凸部平坦面と凹部平坦面の全域で移動する場合には、ごみの搬送方向に沿って形成される凸部平坦面と凹部平坦面の搬送方向に沿う長さが等しくなるように構成されていることが好ましい。
火格子の相対移動に伴って燃焼用空気が供給される間隙の形成位置が切り替わる場合に、凸部平坦面と凹部平坦面の搬送方向に沿う長さが等しいため、各間隙から吹き出される空気量を所望の値に容易に調整でき、相対移動単位で各間隙から吹き出される空気量のバランスを良好に保つことができる。
凸部平坦面と凹部平坦面の幅が火格子の長手方向に沿って一定になるように構成した例を説明したが、凸部平坦面と凹部平坦面の幅が火格子の長手方向に沿って変動する様に構成してもよい。
図6(a)に示すように、例えば、凸部平坦面13Hの幅が火格子の長手方向に沿って基端側から次第に狭くなり、凹部平坦面13Lの幅が火格子の長手方向に沿って基端側から次第に広くなる火格子と、逆に凸部平坦面13Hの幅が火格子の長手方向に沿って基端側から次第に広くなり、凹部平坦面13Lの幅が火格子の長手方向に沿って基端側から次第に狭くなる火格子を隣接配置し、2つの火格子で基準平坦面の幅2×(W20+W21)と凸部平坦面13Hの幅W10+W11が等しくなるように構成してもよい。尚、この場合、凸部平坦面13Hの高さと凹部平坦面13Lの深さは同一に構成されている。
火格子間の相対移動速度が一定である場合には、火格子の先端側下部と凹部平坦面13Lとの間に形成される空隙AG1と火格子の先端側下部と基準平坦面13Bとの間に空隙AG2の各面積が等しくなるように構成されていることが好ましい。
また、幅方向に連接される2つの火格子のグループとして、或いはそれ以上の数の複数の火格子のグループとして、空隙AG1と空隙AG2の各面積が等しくなるように構成されていてもよく、そのために図6(a)に示した態様や、凸部平坦面13Hの高さが次第に変化し、或いは凹部平坦面13Lの深さが次第に変化するような態様を採用してもよく、それらの態様を組み合わせた態様で構成してもよい。
また、図6(b)に示すように、凸部平坦面13Hと凹部平坦面13Lが火格子の長手方向に沿って複数回切り替わるような構成、図6(c)に示すような、火格子の幅方向に沿って複数の凸部平坦面13Hまたは凹部平坦面13Lが構成されるような態様であってもよい。
図7(a)に示したように、被焼却物の搬送方向に沿って基端側に凹部平坦面13Lが形成され、先端側に凸部平坦面13Hが形成されていてもよい。
図7(b)に示したように、被焼却物の搬送方向に沿って火格子の幅方向中央部に基準平面13Bが設けられ、基準平面13Bを挟んで基端側に凹部平坦面13Lが形成され、先端側に凸部平坦面13Hが形成されていてもよい。
図7(c)に示すように、凹部平坦面13Lで構成される帯状領域Rが、搬送方向に沿うように形成されるとともに、帯状領域Rの形成位置が搬送方向に交差する方向に変位するように形成されていてもよい。この場合、背面に当接する火格子の先端側下部と凹部平坦面13Lとの間に空隙が形成され、その空隙の形成位置が搬送方向に沿って同図のように段階的に変位するように構成されていてもよいし、次第に変位するように構成されていてもよい。
図7(d)に示すように、凸部平坦面13Hで構成される帯状領域Rが、搬送方向に沿うように形成されるとともに、帯状領域Rの形成位置が搬送方向に交差する方向に変位するように形成されていてもよい。
つまり、本発明による火格子は、背面に、凸部平坦面13H及び/または凹部平坦面13Hで構成される帯状領域Rが、搬送方向に沿うように形成されるとともに、帯状領域Rの形成位置が搬送方向に交差する方向に変位するように形成されていればよい。
この様な構成を採用すれば、火格子の背面と、背面に当接された上流側の火格子の先端側下部との間に形成される空隙から燃焼用空気が供給される。例えば、上流側の火格子の先端側下部が当該火格子の背面に当接すると、帯状の領域である凸部平坦面に沿う側に空隙が形成され、帯状の領域である凹部平坦面に空隙が形成される。このような領域が搬送方向に交差する方向に変位するので、それに伴って燃焼用空気の供給部位が変化し、局所的な異常燃焼の発生が効果的に抑制されるようになる。変化の態様は段階的であってもよいし連続的であってもよい。
また、燃焼用空気が火格子の前端下部から一様に供給される従来の構成と比較して、火格子の相対移送により位置が変化する狭い空隙から圧の高い燃焼用空気が供給されるようになるので、灰を吹き飛ばし或いは被焼却物の燃焼を一層促進することができる。
また、背面と背面に当接する火格子の先端側の下部とで形成される間隙から燃焼用空気が供給されるように可動火格子と固定火格子が搬送方向に沿って交互に配置されるように構成され、相対移動により間隙の形成位置が前記帯状領域の変位に伴って変化するように構成されていればよい。
さらに、帯状領域が、基準平坦面及び基準平坦面より上方に突出する凸部平坦面で構成される第1帯状領域と、基準平坦面及び基準平坦面より下方に窪む凹部平坦面で構成される第2帯状領域を含み、搬送方向に沿って第1帯状領域と第2帯状領域が切り替わるように形成されていればよい。
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各部の具体的な構造、形状、材料、サイズ等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
10:火格子
10A:固定火格子群
10B:可動火格子群
10F:固定火格子
10M:可動火格子
11,12:側壁
13:背面(上壁)
13B:基準平坦面
13H:凸部平坦面
13L:凹部平坦面
13T:テーパー面
14:前端壁
15:係止爪
16:補強リブ
A:ストーカ式焼却炉
AG1,AG2,AG3:空隙
B:炉床(燃焼ゾーン)
Bu:炉床(乾燥ゾーン)
Bd:炉床(後燃焼ゾーン)
C:固定フレームC
C1:支持棒
D:可動フレーム
D1:支持棒
h1,h2:挿通孔

Claims (13)

  1. 基端側が支持されるとともに背面に被焼却物の搬送方向の上流側の火格子の先端側下部が当接し、先端側の下部が前記搬送方向の下流側の火格子の背面に当接するように配置され、上流側または下流側の火格子との間の相対移動により被焼却物を受け止めて搬送するストーカ式焼却炉の炉床を形成する火格子であって、
    前記背面に、凸部平坦面及び/または凹部平坦面で構成される領域が、前記搬送方向に沿うように形成されるとともに、前記領域の形成位置が前記搬送方向に交差する方向に変位するように形成されている火格子。
  2. 前記背面と前記背面に当接する上流側の火格子の先端側の下部とで形成される間隙から燃焼用空気が供給されるように可動火格子と固定火格子が前記搬送方向に沿って交互に配置されるように構成され、前記相対移動により前記間隙の形成位置が前記領域の変位に伴って変化するように構成されている請求項1記載の火格子。
  3. 前記領域が、基準平坦面より上方に突出する凸部平坦面で構成される第1領域と、前記基準平坦面より下方に窪む凹部平坦面で構成される第2領域を含み、前記搬送方向に沿って前記第1領域と前記第2領域が切り替わるように形成されている請求項1または2記載の火格子。
  4. 幅方向に沿って両側に形成した前記基準平坦面に前記凸部平坦面が挟まれるように前記第1領域が構成されるとともに、幅方向に沿って両側に形成した前記基準平坦面に前記凹部平坦面が挟まれるように前記第2領域が構成され、前記基端側に前記第1領域が形成されるとともに先端側に前記第2領域が形成されている請求項3記載の火格子。
  5. 前記相対移動時に、前記背面と前記背面に当接する上流側の火格子の先端側下部との間に形成される間隙の面積が等しくなるように構成されている請求項1から4の何れかに記載の火格子。
  6. 前記第1領域と前記第2領域の前記搬送方向に沿う長さが等しくなるように構成されている請求項3から5の何れかに記載の火格子。
  7. 前記相対移動時に、前記背面と前記背面に当接する上流側の火格子の先端側の下部とで形成される間隙のうち、前記搬送方向と交差する幅方向に沿う長さが等しくなるように構成されている請求項1から6の何れかに記載の火格子。
  8. 前記相対移動時に、前記背面と前記背面に当接する上流側の火格子の先端側の下部とで形成される間隙のうち、前記高さ方向の長さが等しくなるように構成されている請求項1から7の何れかに記載の火格子。
  9. 前記基端側の側壁部に、隣接配置される火格子に当接する凸部が形成され、前記凸部より前記搬送方向下流側の側壁部間に空隙が形成されている請求項1から8の何れかに記載の火格子。
  10. 前記先端側の側壁部に隣接配置される火格子同士を連結する連結棒の挿入孔が形成されるとともに、前記挿入孔に対向するように前記背面から下方に補強リブが突出形成され、隣接配置される火格子同士を連結する連結棒が各補強リブにより抜止め固定されるように構成されている請求項1から9の何れかに記載の火格子。
  11. 請求項1から10の何れかに記載の火格子が前記搬送方向及び前記搬送方向に交差する方向に配列形成されているストーカ式焼却炉の炉床であって、
    幅方向長さが異なる複数の火格子が所定の配列で幅方向に隣接配置される第1火格子群と、前記所定の配列とは異なる配列で幅方向に隣接配置される第2火格子群とが前記搬送方向に沿って交互に配列されているストーカ式焼却炉の炉床。
  12. 幅方向長さが異なる複数の火格子が、幅広の第1火格子と、前記第1火格子より幅狭の第2火格子とで構成され、被焼却物をガス化燃焼させる主燃焼ゾーンと、ガス化燃焼が終了した被焼却物を灰化させる後燃焼ゾーンとで前記第1火格子と前記第2火格子の使用比率を異ならせている請求項11記載のストーカ式焼却炉の炉床。
  13. 前記第1火格子に対する前記第2火格子の使用比率が、前記後燃焼ゾーンより前記主燃焼ゾーンで大きくなるように構成されている請求項12記載のストーカ式焼却炉の炉床。
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