JP7254445B2 - ごみ焼却炉の火格子の冷却構造、ごみ焼却炉の火格子の冷却方法及びごみ焼却炉の燃焼用空気予熱方法 - Google Patents

ごみ焼却炉の火格子の冷却構造、ごみ焼却炉の火格子の冷却方法及びごみ焼却炉の燃焼用空気予熱方法 Download PDF

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Description

本発明は、ごみ焼却炉の火格子の冷却構造、ごみ焼却炉の火格子の冷却方法及びごみ焼却炉の燃焼用空気予熱方法に関する。
特許文献1には、中空に形成された複数の棒状支持体を、支持枠上にゴミの搬送方向にわたって炉幅方向に横架して固定し、炉幅方向に並設される複数の火格子片を前記棒状支持体に係合支持して前記搬送式火床を構成し、その棒状支持体の内部に前記火格子片を冷却する冷却流体を通流する冷却流体流路を形成してある火格子冷却機構であって、前記棒状支持体への冷却流体の通流する向きを、前記搬送方向に沿って異ならせてある火格子冷却機構が開示されている。
当該火格子冷却機構は火格子の温度分布を均一にすることを目的として、棒状支持体への冷却流体である水の通流する向きが搬送方向に沿って交互に切り替わるように構成されている。
特許文献2には、被焼却物を載積し、相対移動させながら被焼却物を燃焼する火格子群を有するストーカ式焼却炉であって、前記火格子群の下部に、前記火格子群に向けて冷却媒体を噴射する冷却媒体噴出ノズルを備え、幅方向中央付近における冷却媒体の噴出量が、幅方向端部付近における冷却媒体の噴出量よりも多くなるように構成されたストーカ式焼却炉が開示されている。
特開2002-349833号公報 特開2003-294212号公報
特許文献1に開示された火格子冷却機構は、火格子片を係合支持する棒状支持体の内部に形成された冷却流体流路に冷却流体を通流して、火格子片を間接的に冷却するような構成であるため、火格子片を十分に冷却することができなかった。また、そのような冷却流体を介して火格子片から回収した熱量を燃焼用空気の予熱に効果的に活用することがでなかった。さらに、水冷のために媒体供給用の配管や、媒体回収用の配管を風箱内部に引き回す必要があり、配管に火格子からの落灰が次第に堆積して塊状に固着するという問題や、配管スペースが必要になるといった問題もあった。
特許文献2に開示されたストーカ式焼却炉では、冷却媒体噴出ノズルから噴射供給された空気が互いに重畳するように配置された領域で火格子の下面から垂直方向に噴射されるため、最も高温となる火格子の先端側が十分に冷却できず、また火格子の下面に垂直に噴射された後に空気が四方に拡散されるため噴射位置以外でそれほど効果的に冷却できないという問題があった。
そこで、冷却媒体噴出ノズルから固定位置にある火格子の先端側に向けて空気を噴射供給すると、逆に火格子の基端側が冷却できず、また可動火格子の先端側に向けて空気を噴射供給する場合には、冷却媒体噴出ノズルを可動火格子とともに移動させる必要があり、構造が非常に複雑になるという問題もあった。
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、シンプルな構造でありながら火格子を効率的に冷却することができるごみ焼却炉の火格子の冷却構造、ごみ焼却炉の火格子の冷却方法及びごみ焼却炉の燃焼用空気予熱方法を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による火格子の第一の特徴構成は、支持枠に横架された支持軸に載置された火格子が、ごみの搬送方向に沿って配列されたストーカ機構を備えたごみ焼却炉の火格子の冷却構造であって、前記支持軸のそれぞれに外部から供給される冷却媒体を導く通気路が各軸心に沿って形成されるとともに、前記通気路と連通して各火格子の内側面に向けて冷却媒体を噴射する開孔が形成され、少なくとも前記火格子の下面は全面が開放され、前記内側面のうち少なくとも先端側領域にごみの搬送方向に沿う放熱フィンが形成されるとともに、前記内側面のうち前記支持軸側となる基端側領域に前記火格子の幅方向に沿う全域で前記放熱フィンがない平坦面部が形成され、前記開孔から噴射される冷却媒体が前記火格子の前記平坦面部に向けてごみの搬送方向に対して斜め上方に噴射されるように構成されている点にある。
軸心に沿って支持軸に形成された通気路に外部から冷却媒体が供給されると、支持軸に通気路と交差する方向に形成された開孔から下面が全面開口された各火格子の内側面に向けて冷却媒体が噴射される。火格子が載置される支持軸に形成された開孔から近距離で冷却媒体が噴射されるため、周りの空気が巻き込まれて各火格子の内側面に導かれるようになり、効果的に冷却されるようになる。そして、支持軸とは異なる専用の冷却媒体噴出ノズルを設ける必要が無く、シンプルな構造を実現できる。さらに、支持軸に形成された開孔が各火格子の内側面に向かうため、火格子同士の間隙から落灰があっても開孔は閉塞するようなこともない。さらに、冷却媒体がごみの搬送方向に沿う放熱フィンによって区画された領域に沿って火格子の先端側に向けて分散して供給されるようになり、冷却媒体による高い冷却効率が実現できるようになる。
そして、火格子の内側面に向けてごみの搬送方向に対して斜め上方に噴射された冷却媒体が、四方に拡散されることなく火格子の長手方向に沿って先端側にまで流れるようになり、火格子の先端側の高温部まで効果的に冷却できるようになる。
同第の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記開孔の軸心仮想延長線が前記火格子の基端側内側面に鋭角で交差する姿勢となるように前記開孔が形成されている点にある。
開孔から火格子の内側面基端側に噴射された冷却媒体が軸心の向きと同様に火格子の基端側内側面に鋭角で交差する姿勢で当たるので、その後、火格子の長手方向に沿って先端側に円滑に流れ、その過程で火格子全体が効果的に冷却されるようになる。
同第三の特徴構成は、支持枠に横架された支持軸に載置された火格子が、ごみの搬送方向に沿って配列されたストーカ機構を備えたごみ焼却炉の火格子の冷却構造であって、前記支持軸のそれぞれに外部から供給される冷却媒体を導く通気路が各軸心に沿って形成されるとともに、前記通気路と連通して各火格子の内側面に向けて冷却媒体を噴射する開孔が、前記開孔の軸心仮想延長線が前記火格子の基端側内側面に鋭角で交差する姿勢となるように形成され、少なくとも前記火格子の下面は全面が開放され、前記内側面のうち少なくとも先端側領域にごみの搬送方向に沿う放熱フィンが形成されるとともに、前記内側面のうち前記支持軸側となる基端側領域に前記火格子の幅方向に沿う全域で前記放熱フィンがない平坦面部が形成され、前記開孔から前記平坦面部に向けて冷却媒体を噴射するように構成されている点にある。
軸心に沿って支持軸に形成された通気路に外部から冷却媒体が供給されると、支持軸に通気路と交差する方向に形成された開孔から下面が全面開口された各火格子の内側面に向けて冷却媒体が噴射される。火格子が載置される支持軸に形成された開孔から近距離で冷却媒体が噴射されるため、周りの空気が巻き込まれて各火格子の内側面に導かれるようになり、効果的に冷却されるようになる。そして、支持軸とは異なる専用の冷却媒体噴出ノズルを設ける必要が無く、シンプルな構造を実現できる。さらに、支持軸に形成された開孔が各火格子の内側面に向かうため、火格子同士の間隙から落灰があっても開孔は閉塞するようなこともない。さらに、冷却媒体がごみの搬送方向に沿う放熱フィンによって区画された領域に沿って火格子の先端側に向けて分散して供給されるようになり、冷却媒体による高い冷却効率が実現できるようになる。
そして、開孔から火格子の内側面基端側に噴射された冷却媒体が軸心の向きと同様に火格子の基端側内側面に鋭角で交差する姿勢で当たるので、その後、火格子の長手方向に沿って先端側に円滑に流れ、その過程で火格子全体が効果的に冷却されるようになる。
同第四の特徴構成は、上述の第二または第三の特徴構成に加えて、前記火格子の基端側内側面が平坦面に形成されている点にある。
開孔から噴射された冷却媒体が周りの空気を引き込みながら基端側内側面の平坦面に衝突し、平坦面に沿って周囲に拡散しながら流れる過程で火格子全体が効果的に冷却されるようになる。
同第五の特徴構成は、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記支持枠は固定支持枠と前記固定支持枠に対してごみの搬送方向に前後移動可能な可動支持枠を備え、前記固定支持枠に横架された固定支持軸に載置された固定火格子と、前記可動支持枠に横架された可動支持軸に載置された可動火格子とからなる前記火格子がごみの搬送方向に沿って交互に配列されることにより前記ストーカ機構が構成されており、隣接配置された固定支持軸間に各通気路を連通する連結管が設けられ、何れか一つの固定支持軸に外部から供給される冷却媒体の導入管が接続されるとともに、隣接配置された可動支持軸間に各通気路を連通する連結管が設けられ、何れか一つの可動支持軸に外部から供給される冷却媒体の導入管が接続されている点にある。
隣接配置された固定支持軸間に配された連結管によって互いの通気路が連通され、何れか一つの固定支持軸に接続された導入管から供給された冷却媒体が連結管を介して他の固定支持軸の通気路に供給される。また、隣接配置された可動支持軸間に配された連結管によって互いの通気路が連通され、何れか一つの可動支持軸に接続された導入管から供給された冷却媒体が連結管を介して他の可動支持軸の通気路に供給される。従って、冷却媒体を供給するための配管がシンプルになる。
同第六の特徴構成は、上述の第五の特徴構成に加えて、前記ストーカ機構の下方に風箱が設けられ、前記連結管が前記ストーカ機構を挟む側壁または前記風箱の側壁部に沿うように配置されている点にある。
火格子の間隙から落灰があっても、連結管が風箱の側壁部に沿うように配置されていれば、それほど多量に落灰せず、従って連結管に灰が多量に堆積するようなこともない。
同第七の特徴構成は、上述の第五または第六の特徴構成に加えて、前記ストーカ機構の下方に風箱が設けられ、各導入管は前記ストーカ機構を挟む側壁または前記風箱に形成した連結部に接続され、前記側壁または前記風箱の外部に設けた冷却媒体供給源から冷却媒体が供給されるように構成されている点にある。
側壁または風箱に形成した連結部を介して各導入管と冷却媒体供給源とが接続されるので風箱の内部に長い配管を引き回す必要が無く、シンプルな配管を実現できる。
本発明によるごみ焼却炉の火格子の冷却方法の特徴構成は、上述した第一から第七の何れかの火格子の冷却構造を用いたごみ焼却炉の火格子の冷却方法であって、前記内側面のうち前記基端側領域に前記火格子の幅方向に沿う全域で前記放熱フィンがない平坦面部が受風面として形成された前記火格子に対して、冷却媒体を前記受風面に向けてごみの搬送方向に対して斜め上方に噴射することで周りの空気を巻き込むとともに、前記受風面に噴射された冷却媒体および空気を、前記内側面のうち前記先端側領域にごみの搬送方向に沿うように形成された放熱フィンにより前記火格子の先端側に向けて分散して通流させる点にある。
本発明によるごみ焼却炉の燃焼用空気予熱方法の特徴構成は、上述した第一から第七の何れかの火格子の冷却構造を用いたごみ焼却炉の燃焼用空気予熱方法であって、前記内側面のうち前記基端側領域に前記火格子の幅方向に沿う全域で前記放熱フィンがない平坦面部が受風面として形成された前記火格子に対して、冷却媒体を前記受風面に向けてごみの搬送方向に対して斜め上方に噴射することで周りの空気を巻き込むとともに、前記受風面に噴射された冷却媒体および空気を、前記内側面のうち前記先端側領域にごみの搬送方向に沿うように形成された放熱フィンにより前記火格子の先端側に向けて分散して通流させることにより各火格子を冷却し、各火格子と熱交換されて予熱された冷却媒体および空気を焼却物に供給する点にある。
以上説明した通り、本発明によれば、シンプルな構造でありながら火格子を効率的に冷却することができるごみ焼却炉の火格子の冷却構造、ごみ焼却炉の火格子の冷却方法及びごみ焼却炉の燃焼用空気予熱方法を提供することができるようになった。
(a)はごみ焼却炉のストーカ機構の説明図、(b)はストーカ機構の要部の平面図 (a)は固定火格子を載置する固定支持軸に接続された冷却媒体の導入管の正面視説明図、(b)は可動火格子を載置する可動支持軸に接続された冷却媒体の導入管の正面視説明図、(c)は可動支持軸に接続された冷却媒体の導入管の側面視説明図 (a)は固定支持軸の平面図、(b)は固定支持軸の正面図、(c)は固定支持軸の側面図 (a)は支持軸に形成された開孔から火格子に噴射される冷却媒体の流動状態の説明図、(b)は支持軸に形成された開孔の方向と火格子の内側面との相対角度を示す説明図 (a)から(d)は火格子の形状説明図 (a)は火格子の正面図、(b)は同平面図、(c)は隣接配置された火格子の平面図 (a)は火格子の底面図、(b)は同左側面図、(c)は同右側面図 (a)は図6(a)のA-A線断面図、(b)は図6(a)のB-B線断面図、(c)は図6(a)のC-C線断面図、(d)は図6(b)のD-D線断面図 (a)から(d)は固定火格子と可動火格子の相対移動の説明図 (a)は火格子が配列された炉床の平面図、(b)は炉床の幅方向に隣接配置された火格子の連結状態を示す説明図
以下に、本発明によるごみ焼却炉の火格子の冷却構造、ごみ焼却炉の火格子の冷却方法及びごみ焼却炉の燃焼用空気予熱方法を、図面に基づいて説明する。
図1(a)には本発明を適用可能なストーカ機構を備えた代表的なごみ焼却炉の燃焼室が示されている。ごみ焼却炉Aは、耐火壁Wで覆われた炉室に複数の火格子10(10A,10B)を配設したストーカ機構で構成される炉床Bを備え、その下方に設置した風箱Fに押込み送風機から供給される燃焼用空気が火格子10の間隙から炉床B上の被焼却物であるごみに供給されるように構成されている。
各火格子10は、固定支持枠Cに横架された円筒状の固定支持軸C1に基端側が揺動可能に支持された複数の固定火格子10Aと、固定支持枠Cに対してごみの搬送方向に沿って往復移動する可動支持枠Dに横架された円筒状の可動支持軸D1に基端側が揺動可能に支持された複数の可動火格子10Bが、ごみの搬送方向に沿って交互に配列されている。幅方向に並設された複数の固定火格子10A及び可動火格子10Bは、炉室の両側部に配置された一対の側壁で挟持され、当該側壁は外側から中心方向に向けてバネで押圧されている。
そして、油圧シリンダを備えた油圧機構Eによって可動支持枠Dが往復駆動されることにより、可動火格子10Bと固定火格子10Aとが相対移動し、炉床B上の被焼却物が掻き混ぜられつつ下流側に搬送される。
図には示されていないが、炉室の天井部には燃焼用バーナが設けられ、燃焼用バーナの熱により炉床B上の被焼却物が掻き混ぜ搬送されながら焼却処理される。
中央の炉床Bにより主にガス化燃焼される主燃焼ゾーンが構成され、上流側及び下流側に別途炉床が設けられている。上流側の炉床Buによって主に被焼却物を乾燥する乾燥ゾーンが構成され、下流側の炉床Bdによってガス化燃焼後の固形物を灰化する後燃焼ゾーンが構成されている。尚、上流側の炉床Buと中央の炉床Bが一体に構成されている場合もある。
図1(b)には、火格子10が設置されていない平面視の主燃焼ゾーンが示されている。また、図3には、固定支持軸C1の構造が示されている。炉室の幅方向両側に配された一対の固定支持枠Cの上部に支持台C2を介して複数本の固定支持軸C1が横架されている(図3参照)。
また、一対の固定支持枠Cの内側に可動支持枠Dが配置され、可動支持枠Dの上部に支持台D2を介して可動支持軸D1が横架されている。図1(a)とは油圧機構Eを用いた可動支持枠Dの駆動機構が異なり、固定支持枠Cの外側に備えた油圧シリンダである油圧機構Eから駆動連結機構E1(図2(b)参照)を介して可動支持枠Dがごみの搬送方向に沿って往復駆動されるように構成されている。
図1(b),図2(a),(b),(c)及び図3(a),(b),(c)に基づいて火格子の冷却構造を説明する。固定支持軸C1の内部に冷却媒体を導く通気路20Cが各軸心Pに沿って形成されるとともに、通気路20Cと連通して各火格子10Aの内側面に向けて冷却媒体を噴射する微小開孔21Cが形成されている。また、可動支持軸D1の内部に冷却媒体を導く通気路20Dが各軸心Pに沿って形成されるとともに、通気路20Dと連通して各火格子10Bの内側面に向けて冷却媒体を噴射する微小開孔21Dが形成されている。微小開孔21C,21Dが本発明の開孔として機能する。
隣接配置された固定支持軸C1間に各通気路20Cを連通する連結管22Cが設けられ、何れか一つの固定支持軸C1に外部から供給される冷却媒体の導入管23Cが接続されるとともに、隣接配置された可動支持軸D1間に各通気路20Dを連通する連結管22Dが設けられ、何れか一つの可動支持軸D1に外部から供給される冷却媒体の導入管23Dが接続されている。
導入管23Cは最上流側または最下流側の固定支持軸C1に接続され、その固定支持軸C1から下流側または上流側の固定支持軸C1に順次連結管22Cが接続されていることが好ましい。また、導入管23Dは最上流側または最下流側の可動支持軸D1に接続され、その可動支持軸D1から下流側または上流側の可動支持軸D1に順次連結管22Dが接続されていることが好ましい。
ストーカ機構を挟む側壁SWの下方に逆角錐状の風箱30が設けられ、連結管22C,22Dが側壁SWまたは風箱30の側壁部に沿うように配置されている。火格子10の間隙から落灰があっても、連結管22Cが風箱の側壁部に沿うように側方に配置されていれば、それほど多量に落灰せず、従って連結管に灰が多量に堆積するようなこともない。
各導入管23C,23Dは側壁SWまたは風箱30に形成した連結部30C,30Dに接続され、風箱30の外部に設けた冷却媒体供給源であるブロワーファンまたはエアコンプレッサから冷却媒体となる圧縮空気が供給されるように構成されている。風箱30に形成した連結部30C,30Dを介して各導入管23C,23Dと冷却媒体供給源とが接続されるので風箱の内部に長い配管を引き回す必要が無く、シンプルな配管を実現できるようになる。
図2(a)に示すように、本実施形態では、導入管23Cが近傍の側壁SWに設けられた連結部30Cを介して冷却媒体供給源と接続されている。また、図2(b),(c)に示すように、導入管23Dは可動支持軸D1の何れか一方の端部から下垂した後に中央部に屈曲配置され、中央部から風箱30の下方の水封用の水槽まで下垂するように配管されている。導入管23Dは可動支持枠Dの往復移動に伴って風箱30内で可動支持軸D1と一体で移動し下端に接続されたフレキシブル管を介して、風箱30の下部側壁に配置された連結部30Dに接続されている。なお、導入管23Dとして耐熱性のフレキシブル管を用いれば、導入管23Cと同様に近傍の側壁SWに設けられた連結部30Dを介して冷却媒体供給源と接続することも可能である。
微小開孔21C,21Dは固定支持軸C1及び可動支持軸D1の軸心方向に沿って配列される各火格子10の内側面に噴射されるように形成されている。本実施形態では各火格子10に一つの微小開孔21C,21Dが形成されているが、各火格子10に複数の微小開孔21C,21Dが形成されていてもよい。
図5(a),(b)に示す幅狭の火格子と、図5(c),(d)に示す幅広の火格子の二種類の火格子が本発明の火格子に適用されている。後に詳述するように、各火格子10の内側面左右端部には側壁11,12が延出形成され、先端側に先端壁14(以下の説明では先端壁を「前端壁14」とも記す。)が形成され、基端側に後端壁18が形成されている。火格子10の内側面17のうち先端壁14から後端壁18に向けて、火格子10の長手方向に2/3程度の長さにわたって複数の補強リブ16(以下の説明では補強リブ16を「放熱フィン16」とも記す。)が突出形成されている。そして内側面17のうち補強リブ16の後端部から後端壁18の間は補強リブ16が無い平坦面17Fに形成されている。
図4(a),(b)及び図5(d)に示すように、微小開孔21C,21Dから噴射される圧縮空気が当該平坦面17F、好ましくは当該平坦面17Fのうち前後方向の中央部に向けて、ごみの搬送方向に対して斜め上方に噴射される。つまり、当該平坦面17Fが受風面となり、微小開孔21C,21Dの軸心仮想延長線Lが火格子の基端側の内側面である平坦面17Fに鋭角で交差する姿勢となるように微小開孔21C,21Dが形成され、微小開孔21C,21Dから圧縮空気が火格子10の内側面17の中央部より基端側の平坦面17Fに鋭角θで交差するように噴射される。
図5(d)には、圧縮空気の流れが破線で例示されている。周囲の空気を巻き込みながら受風面にスポット状に噴射された圧縮空気は、その後受風面に沿って分散され、先端壁14と側壁11,12で仕切られる空間内で先端壁14側に向って流下し、放熱フィンとして機能する補強リブ16を介して効果的に放熱されるようになる。この様な圧縮空気の流れは放熱フィンが無い場合でも同様であり、先端壁14と側壁11,12で仕切られる空間内で先端壁14側に向って流下しつつ火格子を効果的に冷却することができる。
本実施形態では、微小開孔21C,21Dの水平線に対する傾斜角度をθ1、火格子10の水平線に対する傾斜角度をθ2として、微小開孔21C,21Dと火格子10の内側面との交差角度θがθ(=θ1-θ2)=35度の範囲に設定されている。なお、交差角度θはこの様な値に限ることはなく、平坦面17Fに向けて噴射された冷却媒体が先端壁14と側壁11,12で仕切られる空間内で先端壁14側に向って流下し、補強リブ16を介して放熱されるように流れる限り、特に制限されるものではない。
火格子10が載置される固定支持軸C1及び可動支持軸D1に形成された微小開孔21C,21Dから近距離で圧縮された冷却媒体が噴射されるため、噴流により周りの空気が巻き込まれて噴射空気量より多量の空気が各火格子10の内側面に導かれるようになり、効果的に冷却されるようになる。
この様に、固定支持軸C1及び可動支持軸D1に形成された微小開孔21C,21Dから火格子10の内側面中央部CPより基端側に鋭角で交差するように冷却媒体が噴射されるので、可動火格子であっても常時同じ位置に冷却媒体が噴射されるようになり安定した冷却が可能になる。また、微小開孔21Cが火格子10Aの内側面と対向するように配置されているため、落灰によって微小開孔21Cが閉塞するようなこともない。
本実施形態では、風箱30から炉室に供給される一次燃焼用空気と火格子の冷却媒体として供給される空気量の比率は約9:1に設定され、一次燃焼用空気として常温から約150℃の空気が供給され、冷却媒体として常温の空気が供給されるように構成されているが、当該空気量の比率や一次燃焼用空気や冷却媒体となる空気の温度はこれらの値に限るものではなく、所望の冷却効果が得られるように適宜設定すればよい。また、空気量の比率を調整することで、一次燃焼空気の温度を調整することができる。
微小開孔21C,21Dから火格子10に供給された常温の空気は、火格子10を冷却しながら熱交換され、供給温度以上に加熱されて火格子の間隙から炉室に供給される。このとき、火格子10の内側は400℃程度に冷却される。
つまり、本発明によるごみ焼却炉の火格子の冷却方法は、内側面17のうち少なくとも先端側領域に長手方向に沿う放熱フィン16が形成されるとともに、内側面17のうち基端側領域に放熱フィンがない平坦面17Fが形成された火格子10に対して、冷却媒体を平坦面17Fに向けて噴射するとともに平坦面17Fに噴射された冷却媒体が放熱フィン16で区画される領域を火格子10の先端側に向けて通流するように供給するように構成されている。
また、本発明によるごみ焼却炉の燃焼用空気予熱方法は、内側面17のうち少なくとも先端側領域に長手方向に沿う放熱フィン16が形成されるとともに、内側面17のうち基端側領域に放熱フィン16がない平坦面17Fが形成された火格子10に対して、燃焼用空気を平坦面17Fに向けて噴射するとともに平坦面17Fに噴射された燃焼用空気が放熱フィン16で区画される領域を火格子10の先端側に向けて通流することにより各火格子10を冷却し、各火格子10と熱交換されて予熱された空気を各火格子10の間隙から被焼却物に供給するように構成されている。
以下、本発明が適用される火格子について詳しく説明する。図6から図8に示すように、各炉床Bu,B,Bd(図1(a)参照)を構成する各火格子10は、底部が開放された略直方体形状を呈し、左右の側壁11,12と、上壁13(以下の説明では上壁の上面を「背面13」とも記す。)と、前端壁14と、後端壁18とを備えている。前端壁14とは反対の基端側には後端壁18より後方に一対の弧状の係止爪15が形成されている。
前端壁14の下縁部は幅方向に直線状に形成され、前端壁14に連なる左右の側壁11,12の下縁部は前端壁14の下縁部から火格子10の基端側に向けて僅かに上方に傾斜する傾斜面に形成され、さらに火格子10の長手方向に沿って先端から1/3程度のところで上方に屈曲形成されている。
尚、図1(a)では、火格子10の先端部を包絡した面が水平姿勢となるような例を示しているが、包絡面が被焼却物の搬送方向に沿って傾斜するように構成されていてもよい、例えば、被焼却物の搬送方向に沿って下側に傾斜するように構成されていてもよい。
また、左右の側壁11,12のうち、火格子10の長手方向に沿って先端から1/3程度の部位に隣接配置される火格子10同士を連結する連結金具の挿通孔h1,h2が形成されている。
複数の火格子10が炉室の幅方向に隣接配置され、基端側の係止爪15が固定フレームCの支持軸C1または可動フレームDの支持軸D1(図8参照)に揺動可能に係合することで、支持軸C1,D1周りに各火格子10が揺動自在に支持されている。
更に、各火格子10の背面13には、被焼却物の搬送方向の上流側に位置する火格子10の先端側下部つまり前端壁14下部が当接するように配置され、各火格子10の前端壁14下部が、搬送方向の下流側の火格子10の背面に当接するように配置されている。
各火格子10により、他の火格子10との間の相対移動により被焼却物を受け止めて搬送するストーカ式焼却炉の炉床が形成されている。
図6(a),(b),(c)に示すように、各火格子10の背面13には、搬送方向に沿って帯状に形成された基準平坦面13Bと、基準平坦面13Bに沿うように形成され基準平坦面13Bより上方に数mm突出する凸部平坦面13Hと、基準平坦面13Bに沿うように形成され基準平坦面13Bより下方に数mm窪む凹部平坦面13Lとを備え、凸部平坦面13Hと凹部平坦面13Lが搬送方向に沿って異なる位置に形成されている。図6(a)中、凸部平坦面13Hと凹部平坦面13Lの境界を示す2重の直線は、凸部平坦面13Hから凹部平坦面13Lに切り替わるテーパー面13Tの両端を示す線である。
基準平坦面13Bより上方に突出する凸部平坦面13Hが第1領域R1(以下、「第1帯状領域R1」と記す。)となり、基準平坦面13Bより下方に窪む凹部平坦面13Lが第2領域R2(以下、「第2帯状領域R2」と記す。)となる。そして、搬送方向に沿って第1帯状領域R1と第2帯状領域R2の形成された位置が火格子10の幅方向に切り替わるように形成されている。
第1帯状領域R1では凸部平坦面13Hを挟む基準平坦面13B側に間隙が形成され、第2帯状領域R2では基準平坦面13Bで挟まれる凹部平坦面13L側に間隙が形成される。第1帯状領域R1が形成された基端側から切り替わり位置までの間では、背面に当接する上流側火格子の先端側下部と凸部平坦面13Hとの間で摺動による機械的摩耗が生じ、燃焼用空気が供給される上流側火格子の先端側下部と基準平坦面13Bとの間隙で、焼損が生じる傾向がある。第2帯状領域R2が形成された切り替わり位置から先端側までの間では、背面に当接する上流側火格子の先端側下部と基準平坦面13Bとの間で摺動による機械的摩耗が生じ、燃焼用空気が供給される上流側火格子の先端側下部と凹部平坦面13Lとの間隙で、焼損が生じる傾向がある。
上述の構成によれば、第1帯状領域R1と第2帯状領域R2でともに機械的摩耗と焼損が進行するので、燃焼用空気が吹き出す間隙のサイズが経時的に大きく変化することなく安定状態が保たれる。また、第2帯状領域R2が形成された火格子の先端側は被焼却物の層が薄く高温燃焼しやすく、基端側に比べて被焼却物の燃焼が進んで高温で燃焼する傾向があるが、基準平坦面13Bに挟まれた凹部平坦面から空気が供給されるので、仮に幅方向に隣接する火格子間の隙間からも空気が供給される場合であっても、火格子先端側の温度上昇を抑制することができる。また、凸部平坦面13Hと凹部平坦面13Lとの境界部で段差があっても、スムーズに被焼却物を下流側に搬送できるようになる。
基準平坦面13Bから凸部平坦面13Hまでの突出高さH1と、基準平坦面13Bから凹部平坦面13Lまでの窪み深さH2が等しい値に設定されている(図3参照)。また、凸部平坦面13H及び凹部平坦面13Lは同幅W1に形成され、凸部平坦面13H及び凹部平坦面13Lの両側方に配置される基準平坦面13Bの幅W2(=W2/2+W2/2)とも同幅に形成されている(図8参照)。火格子10の背面13と、当該背面13に当接した他の火格子の先端側下部との間に形成される間隙から燃焼用空気が供給される。
つまり、搬送方向と交差する幅方向に沿って基準平坦面13Bの全長と凸部平坦面13Hの全長、及び、基準平坦面13Bの全長と凹部平坦面13Lの全長が等しくなるように構成されているので、搬送方向と交差する幅方向に沿って、各間隙から吹き出される空気量のバランスを良好に保つことができる。
図9(a)から(d)には、固定フレームに支持された固定火格子10Fに対して可動フレームに支持された可動火格子10Mが相対移動する際の両者の姿勢と前端壁14の正面視の状態が示されている。
図9(a),(b)に示すように、可動火格子10Mの先端側下部と固定火格子10Fの背面13の基準平坦面13Bとが当接する場合には、当該先端側下部と凹部平坦面13Lとの間に間隙AG1が形成される。
図9(c),(d)に示すように、可動火格子10Mの先端側下部と固定火格子10Fの背面13の凸部平坦面13Hとが当接する場合には、当該先端側下部と基準平坦面13Bとの間に間隙AG2が形成される。
従って、火格子10M,10F間の相対移動により当該先端側下部と当接する背面の位置が変化すると、それに伴って燃焼用空気の供給部位つまり搬送方向に沿って移動しつつ炉室の幅方向に沿った供給部位が変化するので、局所的な異常燃焼の発生が効果的に抑制されるようになる。
固定火格子10Fに対して往復移動する可動火格子10Mが移動する範囲で空気吹き出し用の間隙AGが変化し、可動火格子10Mの移動速度が一定である場合に、間隙AG1の形成時間と間隙AG2の形成時間が等しくなるように、凸部平坦面13H及び凹部平坦面13Lの長手方向長さが設定されている。
図6(b)では、凸部平坦面13Hより凹部平坦面13Lの長手方向長さが長いように見えるが、実際に背面13に当接する火格子の前端下部の位置の移動範囲に基づくと等しくなる。尚、可動火格子10Mが固定火格子10Fの先端側へ向けて移動する際には次第に仰角が大きくなるので、それに伴って固定火格子10Fの背面13への当接位置は可動火格子10Mの前端壁14の下縁部から僅かに引退した位置に位置変化する。
つまり、背面13と背面13に当接する火格子10の先端側の下部とで形成される間隙AG1,AG2から燃焼用空気が供給されるように可動火格子10Mと固定火格子10Fが搬送方向に沿って交互に配置されるように構成され、火格子間の相対移動により間隙AG1,AG2の形成位置が凸部平坦面13Hと凹部平坦面13Lの切替位置で変化するように構成されている。
可動火格子10Mの先端側が下流側の固定火格子10Fの先端側に移動すると、相対的に上流側の固定火格子10Fの先端側が当該可動火格子10Mの基端側背面に当接することになる。反対に、可動火格子10Mの先端側が下流側の固定火格子10Fの基端側に移動すると、相対的に上流側の固定火格子10Fの先端側が当該可動火格子10Mの先端側背面に当接することになる。従って、燃焼用空気の供給部位が当該可動火格子10Mを挟んで上流側と下流側で正反対に変化するので、局所的な異常燃焼の発生を効果的に抑制しながらも、より均一に被焼却物に燃焼用空気を供給することができるようになる。
上述した説明で理解されるように、凸部平坦面13Hに当接する火格子の先端側下部と基準平坦面13Bとで形成される間隙の面積と、基準平坦面13Bに当接する火格子の先端側下部と凹部平坦面13Lとで形成される間隙の面積が等しくなるように構成されている。
そのため、火格子10の相対移動に伴って切り替わる各間隙AG1,AG2から被焼却物へ吹き出される燃焼用空気の空気量の変動が抑制され、バランスが保たれるようになる。
図6(b),(c)に示すように、基端側の側壁部11,12に、隣接配置される火格子10に当接する凸部11a,12aが形成され、凸部11a,12aより搬送方向下流側の側壁部11,12間に間隙AG3が形成されている。
この間隙AG3から被焼却物に燃焼用空気が供給されるようになる。従って、各火格子10の先端部に形成される間隙AG1,AG2のみならず隣接する火格子間の間隙AG3からも燃焼用空気が供給されるようになり、全体として被焼却物により一層均一に燃焼用空気が供給されるようになる。
図7(a),図8(b)から(d)に示すように、火格子10の上壁13の裏面つまり内側面17には、前端壁14から基端側に向けて内側面17から垂下するように複数枚の補強リブ16が形成されている。凹部平坦面13Lが形成されることにより背面13の肉厚が薄くなるための補強でもある。
火格子10の先端側での温度上昇が大きいため、基端側と比較して火格子10の先端側で補強リブ16の垂下長さが長くなるように、つまり放熱面積が大きくなるように形成して放熱効果を高めている。なお、以下に説明する下側挿通孔h1が補強リブ16で遮蔽されない程度に調整されている。
補強リブ16の枚数は特に制限されるものではなく、所定の強度が得られれば良い。例えば、火格子10の横幅が長い場合には、横幅が短い場合よりも補強リブ16の枚数を増やすこともできる。
図10(b)には、そのような例が示され、図8に示す6枚の補強リブ16よりも多い8枚の補強リブ16が形成されている。同図に示すように、横幅方向に隣接配置された火格子10の左右両側壁部11,12に形成された上側挿通孔h2には、連結金具として断面円形のピンPが相通されている。ピンPの長さは側壁部11,12の直近の補強リブ16同士の距離より僅かに短い距離に設定され、互いの補強リブ16で抜け止めされている。挿通孔h2に挿入されたピンPを締付固定しなくても、補強リブ16により抜止め固定されるようになるので、火格子10の組み付け作業が容易になる。
下側挿通孔h1間には連結金具としてボルトbが挿通されダブルナットnで締付固定されている。つまり、ピンP及びボルトbが火格子同士を連結する連結棒となり、隣接配置される火格子間に挿入孔を介して連結棒が装着されることにより、側壁部間に形成される間隙の大きさの変動が抑制されるようになる。
炉の立上げ時はピンPで固定しておき、一部の火格子が焼損または破損して交換する必要がある場合に、ピンPを切断して火格子を除去し、新しい火格子と隣接する火格子とを下側の挿通孔h1を介してボルトbとナットnで固定する。
上述したストーカ式焼却炉の炉床Bは、図5(a),(b)及び図5(c)、(d)に示すように、幅方向サイズが異なる複数種類の火格子10がごみの搬送方向及びごみの搬送方向に交差する方向にマトリクス状に配列されている。
図10(a)に示すように、幅方向長さが異なる複数の火格子が所定の配列で幅方向に隣接配置される第1火格子群10Aと、所定の配列とは異なる配列で幅方向に隣接配置される第2火格子群10Bとが搬送方向に沿って交互に配列されている。
本実施形態では、幅方向サイズが異なる2種類の火格子10が用いられ、可動火格子群を構成する第1火格子群10Aは、幅方向一端(図10(a)では下端)から幅広の火格子10(図10(a)中、ハッチングされた火格子)が4連接され、さらに幅狭の火格子が6連接されて構成されている。
また、固定火格子群を構成する第2火格子群10Bは、幅方向他端(図10(a)では上端)から幅広の火格子10(図10(a)中、ハッチングされた火格子)が4連接され、さらに幅狭の火格子が6連接されて構成されている。
このように構成すれば、第1火格子群10Aでの各火格子10の隣接位置と第2火格子群10Bでの火格子10の隣接位置とがごみの搬送方向に交差する方向で位置ずれさせることができるので、冷却空気を含む燃焼用空気の吹き出し位置を搬送方向に沿って左右に移動させることができ、より均一に被焼却物に燃焼用空気を供給することができるようになる。
本実施形態では、幅広の第1火格子10が4連接され、幅狭の第2火格子が6連接された構成を示しているが、必ずしも同幅の火格子を連接する必要はなく、第1火格子群10Aと第2火格子群10Bを構成する火格子の隣接位置が各群間でずれるように構成されていればよい。例えば幅広と幅狭の火格子が幅方向に交互に配列されていてもよい。尚、幅の広狭2種類の火格子の組合せに限るものではなく、幅が異なる3種類以上の火格子を組み合わせて構成されていてもよい。
上述したように、幅方向長さが異なる複数の火格子10が、幅広の第1火格子と、第1火格子より幅狭の第2火格子とで構成される場合、被焼却物をガス化燃焼させる主燃焼ゾーンと、ガス化燃焼が終了した被焼却物を灰化させる後燃焼ゾーンとで第1火格子と第2火格子の使用比率を異ならせることも可能である。
例えば、幅広の第1火格子10が4連接され、幅狭の第2火格子が6連接された構成を主燃焼ゾーンに採用し、幅広の第1火格子10が5連接され、幅狭の第2火格子が4連接された構成を後燃焼ゾーンに採用してもよい。つまり、第1火格子に対する第2火格子の使用比率が、後燃焼ゾーンより主燃焼ゾーンで大きくなるように構成される。
多量の燃焼用空気が必要となる主燃焼ゾーンでは隣接火格子間の間隙が多くなるように、幅広の第1火格子の数よりも幅狭の第2火格子の数を増やし、燃焼用空気がそれほど必要とならない後燃焼ゾーンでは隣接火格子間の間隙が少なくなるように、幅広の第1火格子の数よりも幅狭の第2火格子の数を減らすことにより、各燃焼ゾーンに適した分散型の空気供給が可能になる。
燃焼ゾーンによって第1火格子と第2火格子の使用比率を異ならせると、一定の炉幅に構成された各燃焼ゾーンで、火格子群の幅が同一とならず、多少の寸法不足が発生する場合がある。この場合には、各火格子群を側方から中央に向けて押圧する再度プレートの位置調整によって寸法不足を吸収することができる。
上述した微小開孔21C,21Dは、このような配列に応じて各火格子の幅方向中央部に位置するように予め位置決めされた後に開孔されている。
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各部の具体的な構造、形状、材料、サイズ等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
10:火格子
10A:固定火格子群
10B:可動火格子群
10F:固定火格子
10M:可動火格子
11,12:側壁部
13:背面(上壁)
13B:基準平坦面
13H:凸部平坦面
13L:凹部平坦面
13T:テーパー面
14:前端壁(先端壁)
15:係止爪
16:補強リブ
20C,20D:通気路
21C,21D:微小開孔
22C,22D:連結管
23C,23D:導入管
A:ストーカ式焼却炉
AG1,AG2,AG3:間隙
B:炉床(燃焼ゾーン)
Bu:炉床(乾燥ゾーン)
Bd:炉床(後燃焼ゾーン)
C:固定支持枠
C1:固定支持軸
D:可動支持枠
D1:可動支持軸
h1,h2:挿通孔

Claims (9)

  1. 支持枠に横架された支持軸に載置された火格子が、ごみの搬送方向に沿って配列されたストーカ機構を備えたごみ焼却炉の火格子の冷却構造であって、
    前記支持軸のそれぞれに外部から供給される冷却媒体を導く通気路が各軸心に沿って形成されるとともに、前記通気路と連通して各火格子の内側面に向けて冷却媒体を噴射する開孔が形成され、
    少なくとも前記火格子の下面は全面が開放され、前記内側面のうち少なくとも先端側領域にごみの搬送方向に沿う放熱フィンが形成されるとともに、前記内側面のうち前記支持軸側となる基端側領域に前記火格子の幅方向に沿う全域で前記放熱フィンがない平坦面部が形成され、前記開孔から噴射される冷却媒体が前記火格子の前記平坦面部に向けてごみの搬送方向に対して斜め上方に噴射されるように構成されているごみ焼却炉の火格子の冷却構造。
  2. 前記開孔の軸心仮想延長線が前記火格子の基端側内側面に鋭角で交差する姿勢となるように前記開孔が形成されている請求項1記載のごみ焼却炉の火格子の冷却構造。
  3. 支持枠に横架された支持軸に載置された火格子が、ごみの搬送方向に沿って配列されたストーカ機構を備えたごみ焼却炉の火格子の冷却構造であって、
    前記支持軸のそれぞれに外部から供給される冷却媒体を導く通気路が各軸心に沿って形成されるとともに、前記通気路と連通して各火格子の内側面に向けて冷却媒体を噴射する開孔が、前記開孔の軸心仮想延長線が前記火格子の基端側内側面に鋭角で交差する姿勢となるように形成され、
    少なくとも前記火格子の下面は全面が開放され、前記内側面のうち少なくとも先端側領域にごみの搬送方向に沿う放熱フィンが形成されるとともに、前記内側面のうち前記支持軸側となる基端側領域に前記火格子の幅方向に沿う全域で前記放熱フィンがない平坦面部が形成され、前記開孔から前記平坦面部に向けて冷却媒体を噴射するように構成されているごみ焼却炉の火格子の冷却構造。
  4. 前記火格子の基端側内側面が平坦面に形成されている請求項2または3記載のごみ焼却炉の火格子の冷却構造。
  5. 前記支持枠は固定支持枠と前記固定支持枠に対してごみの搬送方向に前後移動可能な可動支持枠を備え、前記固定支持枠に横架された固定支持軸に載置された固定火格子と、前記可動支持枠に横架された可動支持軸に載置された可動火格子とからなる前記火格子がごみの搬送方向に沿って交互に配列されることにより前記ストーカ機構が構成されており、
    隣接配置された固定支持軸間に各通気路を連通する連結管が設けられ、何れか一つの固定支持軸に外部から供給される冷却媒体の導入管が接続されるとともに、隣接配置された可動支持軸間に各通気路を連通する連結管が設けられ、何れか一つの可動支持軸に外部から供給される冷却媒体の導入管が接続されている請求項1から4の何れかに記載のごみ焼却炉の火格子の冷却構造。
  6. 前記ストーカ機構の下方に風箱が設けられ、前記連結管が前記ストーカ機構を挟む側壁または前記風箱の側壁部に沿うように配置されている請求項5記載のごみ焼却炉の火格子の冷却構造。
  7. 前記ストーカ機構の下方に風箱が設けられ、各導入管は前記ストーカ機構を挟む側壁または前記風箱に形成した連結部に接続され、前記側壁または前記風箱の外部に設けた冷却媒体供給源から冷却媒体が供給されるように構成されている請求項5または6記載のごみ焼却炉の火格子の冷却構造。
  8. 請求項1から7の何れかに記載の火格子の冷却構造を用いたごみ焼却炉の火格子の冷却方法であって、
    前記内側面のうち前記基端側領域に前記火格子の幅方向に沿う全域で前記放熱フィンがない平坦面部が受風面として形成された前記火格子に対して、冷却媒体を前記受風面に向けてごみの搬送方向に対して斜め上方に噴射することで周りの空気を巻き込むとともに、前記受風面に噴射された冷却媒体および空気を、前記内側面のうち前記先端側領域にごみの搬送方向に沿うように形成された放熱フィンにより前記火格子の先端側に向けて分散して通流させるごみ焼却炉の火格子の冷却方法。
  9. 請求項1から7の何れかに記載の火格子の冷却構造を用いたごみ焼却炉の燃焼用空気予熱方法であって、
    前記内側面のうち前記基端側領域に前記火格子の幅方向に沿う全域で前記放熱フィンがない平坦面部が受風面として形成された前記火格子に対して、冷却媒体を前記受風面に向けてごみの搬送方向に対して斜め上方に噴射することで周りの空気を巻き込むとともに、前記受風面に噴射された冷却媒体および空気を、前記内側面のうち前記先端側領域にごみの搬送方向に沿うように形成された放熱フィンにより前記火格子の先端側に向けて分散して通流させることにより各火格子を冷却し、各火格子と熱交換されて予熱された冷却媒体および空気を焼却物に供給するごみ焼却炉の燃焼用空気予熱方法。
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