JP2017119888A - 防曇性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い防曇性を発揮することができ、かつ、高強度で、耐候性、耐熱性に優れる膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物及び防曇被塗物を提供する。
【解決手段】水溶性ポリビニルアセタール樹脂及び水を含有する防曇性樹脂組成物であって、前記水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、平均重合度が700〜4500、水酸基量が45〜85モル%及びアセタール化度が2〜40モル%であり、かつ、アセタール化された全構成単位のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90〜95%であり、前記水溶性ポリビニルアセタール樹脂の含有量が3〜20重量%である防曇性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い防曇性を発揮することができ、かつ、高強度で、耐候性、耐熱性に優れる膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物に関する。
作物栽培用のハウスやトンネルには、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の農業用被覆フィルム、各種ガラス、鏡等の部材が使用されているが、これらの部材では、水蒸気が表面に凝縮付着して曇ることによって、光線の透過を妨げるという問題が生じていた。また、自動車のフロントガラスやリアガラス等においても、同様に曇りが生じることで視認性が低下する等の問題が生じていた。
自動車の窓ガラス等の防曇技術としては、ガラスの表面温度を高くする方法が最も一般的に用いられている。すなわち、フロントガラスであればガラス表面に温風を吹きかけ、リアガラスであればガラス内部に埋め込んだヒーターでガラスを加熱している。一方、気温と湿度の高い夏期には、車内を冷房して空気中の湿度を下げ、露点を下げる方法がとられている。
しかし、車両の室内は、乗降のためのドアの開閉や窓の開閉、外気の取り入れ等により車内の温度や湿度を常に制御しておくことは難しい。特に、外気温が低いときや、湿度が高いときに放置してあった車両を、充分暖機しないで走行開始すると、運転開始時に大量の曇りが発生しやすいという問題があった。
これに対して、特許文献1には、発熱性パターン層上にシリコーン系ハードコート層が形成された防曇性被覆合成樹脂窓材が開示されている。このような技術では、光学物品の表面温度を高くし、空気中の水分が表面で凝結しないようにすることで防曇性を付与しているが、ヒーター部、エネルギー源が不可欠であり、装置が煩雑になりすぎてしまうという問題があった。
そこで、近年では、車両の窓ガラスの表面に種々の防曇膜を形成する試みがなされている。防曇膜としては、例えば、親水性の防曇膜が挙げられる。親水性の防曇膜を形成することで、ガラス表面付近に発生した水分は、まずその親水性被膜上に速やかに広がり、水滴となることを防ぐ。このような親水タイプの防曇膜としては、界面活性剤やポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の有機系の親水性被膜が使用されているが、これらは水溶性であったり、耐摩耗性がなかったりして、恒久的な対策とはなり得なかった。
これに対して、吸水タイプの防曇剤も開発されている。吸水タイプの防曇剤としては、例えば、特許文献2には、シリカ微粒子系の多孔質膜、吸水性樹脂の使用が開示されている。
しかしながら、これら吸水性の膜の吸水能力は充分でなく、吸水性による防曇性の発現には、さらなる改良が必要であった。また、膜中に水分を蓄えることにより曇りの発生を抑えているため、耐水性の面では劣っており、長期の使用によって、膜が膨張したり、溶解したりしてしまうという問題があった。加えて、防曇性能を低下させてしまうという問題もあった。
また、吸水タイプの防曇剤は、得られる膜の強度が低く、塗布時と形状が変更することで、車両の窓ガラスの表面に塗布した場合、ヘイズが発生して窓ガラスの視認性が低下するという問題もあった。加えて、膜の耐候性が低下するという問題もあった。
特許第3844255号 特開2000−239045号公報
本発明は、高い防曇性を発揮することができ、かつ、高強度で、耐候性、耐熱性に優れる膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物及び防曇被塗物を提供することを目的とする。
本発明は、水溶性ポリビニルアセタール樹脂及び水を含有する防曇性樹脂組成物であって、前記水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、平均重合度が700〜4500、水酸基量が45〜85モル%及びアセタール化度が2〜40モル%であり、かつ、アセタール化された全構成単位のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90〜95%であり、前記水溶性ポリビニルアセタール樹脂の含有量が3〜20重量%である防曇性樹脂組成物である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、防曇性樹脂組成物の構成樹脂として所定の構造を有する水溶性ポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、その平均重合度、水酸基量及びアセタール化度を所定の範囲内とすることにより、防曇性を維持しながら、高強度で、耐候性、耐熱性に優れる膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の防曇性樹脂組成物は、平均重合度が700〜4500、水酸基量が45〜85モル%及びアセタール化度が2〜40モル%であり、かつ、アセタール化された全構成単位のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90〜95%以上である水溶性ポリビニルアセタール樹脂を含有する。
本発明の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、平均重合度の下限が700、上限が4500である。上記平均重合度が700未満であると、水溶性ポリビニルアセタール樹脂を含有する防曇性樹脂組成物の粘度が低下し、塗工する際に液垂れが生じたり、塗膜の表面平滑性が低下したりする。
上記平均重合度が4500を超えると、塗工する際のレベリング性が低下して、塗膜の表面の凹凸が大きくなる。本発明の水溶性ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度の好ましい下限は800、好ましい上限は4000である。また、より好ましい下限は2800、より好ましい上限は3600である。上記平均重合度が2800未満であると、成型体強度やヘイズが低下する可能性があり、3600を超えると、防曇性が低下する可能性がある。
なお、本明細書において、水溶性ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は、原料である変性ポリビニルアルコールの平均重合度から求めることができる。また、本明細書において、変性ポリビニルアルコールの平均重合度とは、混合物である変性ポリビニルアルコールにおけるそれぞれの変性ポリビニルアルコールの重合度から求めた平均値を意味する。
上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量の下限が45モル%、上限が85モル%である。上記水酸基量が45モル%未満であると、水溶性ポリビニルアセタール樹脂の吸水性が低下したり、防曇性樹脂組成物の粘度安定性が低下したりする。上記水酸基量が85モル%を超えると、水溶性ポリビニルアセタール樹脂の吸水性が高くなって安定性が低下する。上記水酸基量の好ましい下限は50モル%、好ましい上限は80モル%であり、より好ましい下限は70モル%、より好ましい上限は79モル%である。上記水酸基量が70モル%未満であると、防曇性と成型体強度の両立が難しくなることがあり、上記水酸基量が79モル%を超えると、成型体強度が低下する可能性がある。
上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度の下限が2モル%、上限が40モル%である。上記アセタール化度が2モル%未満であると、吸水性は良いが、耐水性が悪く、充分な防曇性を得ることが出来ない。40モル%を超えると、防曇性樹脂組成物のガラス等の基材への密着性が低下する。
上記アセタール化度の好ましい下限は5モル%、好ましい上限は15モル%である。より好ましい下限は6モル%、より好ましい上限は10モル%である。
上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化された全構成単位(全アセタール化度)のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90%以上である。これにより、低アセタール化度とした場合でも、吸水性、耐水性、透明性の良好な防曇性樹脂組成物が得られる。
上記芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90%未満であると、耐水性が悪くなり、充分な防曇性を得ることができなくなる。
上記芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合の好ましい下限は93%、より好ましい下限は98%、好ましい上限は100%である。上記芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が98%未満であると、成型体強度が低下する可能性がある。
上記芳香族アルデヒドとしては、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、その他のアルキル置換ベンズアルデヒド、クロルベンズアルデヒド、その他のハロゲン置換ベンズアルデヒド等が挙げられる。
また、芳香族環にヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基等の置換基を持った芳香族系アルデヒドを用いてもよい。なかでも、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒドが好ましい。
上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、芳香族アルデヒドを含有するアルデヒドにより、ポリビニルアルコールを水中でアセタール化することによって得ることができる。
上述した芳香族アルデヒド以外のアルデヒドは特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒド又はブチルアルデヒドを単独で用いるか、又は、アセトアルデヒド及びブチルアルデヒドを併用することが好ましい。
本発明の防曇性樹脂組成物における上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂の含有量の好ましい下限は3重量%、好ましい上限は20重量%である。上記範囲内とすることで、塗工時のムラがなく、防曇機能を発揮できる。
本発明の防曇性樹脂組成物は、上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂に加えて水を含有する。
上記水としては特に限定されないが純水等を用いることができる。
本発明の防曇性樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、公知の各種添加剤を配合してもよい。上記添加剤としては、吸水性能を改善するためのグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、その他各種の界面活性剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、レベリング剤、チキソ付与剤、皮張り防止剤、可塑剤、増粘剤、希釈剤、反応性希釈剤、架橋剤、フィラー、色素(顔料、染料)、防腐剤、防かび剤等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性のいずれのものを使用してもよい。上記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、芳香族アミン系、硫黄系、リン系等が挙げられる。上記老化防止剤としては、例えば、アミン類、フェノール類等が挙げられる。
本発明の防曇性樹脂組成物は、構成樹脂として所定の構造を有する水溶性ポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、その平均重合度、水酸基量及びアセタール化度を所定の範囲内とすることにより、防曇性を維持しながら、優れた塗工性、耐水性及び接着性を実現することができる。
本発明の防曇性樹脂組成物の用途は特に限定されないが、例えば、自動車のリアガラス、サイドガラス、フロントガラス、サンルーフ、ルームミラー等の各種ガラス、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の農業用被覆フィルム、ペットボトル、そのラベル等に使用される防曇剤等が挙げられる。また、本発明の防曇性樹脂組成物は、各種ガラスの防曇性被覆材にも使用することができる。
本発明の防曇性樹脂組成物をガラスの防曇性被覆材として使用する場合、用いられるガラスとしては特に限定されず、一般に使用されている透明ガラスを使用することができる。具体的には例えば、フロートガラス、磨きガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入りガラス、着色されたガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。
本発明の防曇性樹脂組成物を塗工することにより防曇性被覆層を形成する場合、形成される防曇性被覆層の厚みは特に限定されないが、防曇性能を効果的に発現させるため、3〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
また、ガラス板と、前記ガラス板に形成されたガラス又は樹脂からなる複数の突起とを有する基材上に、本発明の防曇性樹脂組成物を塗工することで、防曇被塗物を作製することができる。
このような防曇被塗物もまた本発明の1つである。
このような構成とすることにより、形成された突起の強度を向上させることが可能となる。
なお、上記突起の形状は特に限定されないが、例えば、円柱、円錐、角錐等が挙げられる。また、本発明の防曇性樹脂組成物は、ガラス板及び突起上に膜状に塗工してもよく、ガラス板及び突起上に平面が形成されるように塗工してもよい。
本発明によれば、高い防曇性を発揮することができ、かつ、高強度で、耐候性、耐熱性に優れる膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物及び防曇被塗物を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(参考例1)
ポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gとベンズアルデヒド39gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度9%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が80モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が7モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が100%であった。
(実施例2)
ポリビニルアルコール(平均重合度2200、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gとベンズアルデヒド39g及びブチルアルデヒド3gからなるアルデヒド計42gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度9%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が78モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が8モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が93%であった。
(実施例3)
ポリビニルアルコール(平均重合度3300、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gと2−メチルベンズアルデヒド43g及びブチルアルデヒド2gからなるアルデヒド計45gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度8%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が77モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が9モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が95%であった。
(実施例4)
ポリビニルアルコール(平均重合度4000、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gと2−メチルベンズアルデヒド43g及びブチルアルデヒド2gからなるアルデヒド計45gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度8%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が77モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が9モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が95%であった。
(比較例1)
ポリビニルアルコール(平均重合度600、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gと4−メチルベンズアルデヒド35gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度9%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が82モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が6モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が100%であった。
(比較例2)
ポリビニルアルコール(平均重合度1200、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gと3−メチルアルデヒド37g及びブチルアルデヒド5gからなるアルデヒド計42gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度10%含有する水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が78モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が8モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が88%であった。
(比較例3)
ポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gとベンズアルデヒド9.8g及びブチルアルデヒド0.2gからなるアルデヒド計10gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度10%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が85モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が2モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が88%であった。
(比較例4)
ポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gとベンズアルデヒド125gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度9%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が50モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が25モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が88%であった。
(比較例5)
ポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度88モル%)350gを含有する水溶液3000gに35重量%の塩酸170gとベンズアルデヒド200gを添加し、液温を10℃に保持しながら5時間アセタール化反応を行い、スポンジ状の反応沈殿物スラリーを得た。このスラリーを水洗中和して塩酸触媒及び未反応アルデヒドを除去した後、乾燥して樹脂沈殿物を得た。この樹脂を水/イソプロピルアルコール(アルコール系溶剤)が、60/40の混合溶剤に溶解して濃度11%の水溶性アセタール樹脂溶液を得た。
得られた溶液中の水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が40モル%、アセタール化度(全アセタール化度)が40モル%、及び、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が100%であった。
<評価>
参考例、実施例及び比較例で得られた水溶性ポリビニルアセタール樹脂水溶液について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)防曇性
(1−1)樹脂層形成ガラス
水溶性ポリビニルアセタール樹脂水溶液を、コーターを用いて乾燥後の厚みが5μmとなるように、ガラス表面にナノ突起を有するガラス(インプリント成形により、表面にナノパターンが形成されたSPガラス、格子パターン約100×約100nm、溝深さ約120nm、溝幅約100nm)の上に塗工した後、3時間乾燥することにより、ポリビニルアセタール樹脂層が形成された樹脂層形成ガラスを得た。
得られた樹脂層形成ガラスを、そのまま水1Lに5分間浸漬した後のポリビニルアセタール樹脂層の状態を目視にて観察し、以下の基準で判定した。
また、ポリビニルアセタール樹脂層の厚みを20μmとした樹脂層形成ガラス、及び、ポリビニルアセタール樹脂層の厚みを30μmとした樹脂層形成ガラスについても同様に評価した。
(1−2)防曇性評価
開口部を有する容器(500cc)に30℃の水450g投入した後、得られた樹脂層面が内側となるように開口部に被せて密封し、常温(20℃)に設定した室内に放置した後、低温(0℃)に設定し5秒間放置した。そして、樹脂層形成ガラスの曇り状態を目視により、以下の基準で評価した。
また、樹脂シートに代えて、得られた3種の樹脂層形成ガラスを用いた場合についても同様の評価を行った。
◎ 曇り及び水滴が見られなかった。
〇 大粒の水滴が僅かに見られた。
△ 小さな水滴が多く見られた。
× 全面が白濁したものが見られた。
(2)成形体強度
「(1)防曇性」で得られた樹脂層形成ガラスに、布(ネル布 600番、綿製、両面起毛)を被せた後、500gの分銅を乗せ、50往復させた。その後、樹脂シートの状態を目視にて確認した。
◎ 成形体が元の状態を維持していた
〇 成形体が95%元の状態を維持
△ 成形体が80%元の状態を維持
× 成形体が60%元の状態を維持
(3)ヘイズ測定
「(2)成形体強度」を行った後における樹脂層形成ガラスのヘイズをHAZEMATETER MODEL HM−150W2を用いて測定した。
(4)塗膜表面硬度
「(1)防曇性」で得られた樹脂層形成ガラスについて、JIS K 5600−6−4の鉛筆硬度試験に基づいて表面強度を測定した。なお、「〇」は傷なし、「×」は傷ありを示す。
Figure 2017119888
本発明によれば、高い防曇性を発揮することができ、かつ、高強度で、耐候性、耐熱性に優れる膜を形成することが可能な防曇性樹脂組成物及び防曇被塗物を提供することができる。

Claims (1)

  1. 水溶性ポリビニルアセタール樹脂及び水を含有する防曇性樹脂組成物であって、
    前記水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、平均重合度が700〜4500、水酸基量が45〜85モル%及びアセタール化度が2〜40モル%であり、かつ、アセタール化された全構成単位のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が90〜95%であり、
    前記水溶性ポリビニルアセタール樹脂の含有量が3〜20重量%である
    ことを特徴とする防曇性樹脂組成物。
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