JP2017118963A - 清掃用具 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層されたシートを厚さ方向において異なる方向へ折り曲げることによって、基材シートを立体的にして捕集性能を向上させる清掃用具の提供。【解決手段】清掃用具10の基材シート30は、厚さ方向Zと、挿入部22に取り付けられる取付け面31とその反対側に位置する拭き取り面32とを有し、厚さ方向Zにおいて複数のシートが積層された複層構造を有する。複数のシートのうち前記厚さ方向Zにおいて対向するシートどうしの少なくとも一部において、折り畳まれる向きが、前記厚さ方向Zにおいて互いに異なる。【選択図】図1

Description

本発明は、清掃用具に関する。
複数のシートから形成された基材シートを使用した清掃用具は、公知である。
例えば、特許文献1には、基材シートと、柄と基材シートを固定する固定部とを有するハンドル部材とを含む清掃用具が開示されている。
特開2009−6134号
特許文献1に開示の清掃用具では、基材シートの刷毛部として、長繊維の繊維束(トウ)を開繊したものを使用している。刷毛部として繊維束を使用することによって、刷毛部が立体的な複数の屈曲点、変曲点を有する形状となり、平面的な形状に比べて、ダストやゴミの捕集性能が向上する。
刷毛部の繊維束は開繊されているが、収容袋に収容された基材シートを取り出したときに、繊維どうしが絡み合って固くなっていることから、使用する前に手でほぐす必要がある。また、使用中に毛羽立った繊維が凹凸のある清掃対象面に引っ掛ってちぎれてしまう問題等がある。
本発明は、積層されたシートを厚さ方向において異なる方向へ折り曲げることによって、基材シートを立体的にして捕集性能を向上させる清掃用具の提供を課題としている。
前記課題を解決するために、本発明は、基材シートと、柄と前記基材シートに挿入される挿入部とを有するハンドル部材とを含む清掃用具に関する。
本発明に係る清掃用具は、前記基材シートは、前記挿入部に取り付けられる取付け面とその反対側に位置する拭き取り面とを有し、厚さ方向において複数のシートが積層された複層構造であって、前記複数のシートのうちの前記厚さ方向において対向するシートどうしの少なくとも一部において折り畳まれる向きが、前記厚さ方向において互いに異なることを特徴とする。
前記複数のシートは、前記厚さ方向において積層された第1シートと、前記第1シートの前記取付け面側に位置する第2シートとを有し、前記第1シートと前記第2シートとは、断面形状が前記厚さ方向において互いに対称となるように折り畳まれていることから、両シート間に空間を形成することができ、基材シートを立体的な形状にすることができ、ゴミの捕集力及び清掃効率が向上する。
前記第1及び第2シートは、前記基材シートの長さ寸法を2等分する横断中心線に関して断面形状が対称となるように折り畳まれていることによって、各シートが規則的な襞部を形成し、基材シートが統一感のある立体形状を有し、ゴミの捕集力及び清掃効率が向上する。
前記第1シートと前記第2シートが、断面形状がΩ状となるように折り畳まれることによって、両シート間に大小複数の空間を形成し、基材シートを立体的にすることができる。
前記複数のシートのうちの少なくとも1つのシートは、複数の開孔を有する繊維不織布製の有孔シートから形成されることによって、断面凹凸状となり、表面が平滑の場合に比べてゴミを掻き取りやすくなる。
前記第2シートは、繊維不織布製の繊維シートと合成樹脂製の網目状のネットシートとが折り畳まれた複合体であって、清掃時において、拭き取り面側に前記ネットシートが露出されることによって、ネットシートによって比較的に大きなゴミを捕集したり、清掃対象面にこびりついた汚れを拭き取ることができる。
前記第1シートは、親水性の繊維不織布から形成され、液体が含浸された湿潤状態であって、前記基材シートが清掃対象面から離間した状態において、前記第1シートが垂下して前記ネットシートが拭き取り面側に露出するので、湿潤状態の第1シートでダストを拭き取ることができるとともに、第2シートのネットシートによって、比較的に大きなゴミを捕集したり、清掃対象面にこびり付いた汚れを掻き取ることができる。
本発明に係る清掃用具によれば、基材シートを構成する複数層において、厚さ方向において対向する層どうしの少なくとも一部が厚さ方向において異なる方向へ折り曲げられていることから、基材シートが立体的な形状を有し、捕集力及び清掃効率が向上する。
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
本発明の第1実施形態に係る清掃用具の斜視図。 清掃用具の分解斜視図。 図1のIII−III線に沿う断面図。 図1のIV−IV線に沿う断面図。 (a)実施例の一つにおける基材シートの断面図。(b)他の実施例の一つにおける基材シートの断面図。 (a)さらに他の実施例の一つにおける基材シートの断面図。(b)さらに他の実施例の一つにおける基材シートの断面図。 第2実施形態に係る清掃用具の分解斜視図。 折り畳まれた状態の複合体の斜視図。 (a)複合層を形成する繊維不織布シートとネットシートとの平面図。(b)図9(a)のIX(b)で囲んだ領域の一部拡大図。(c)図9(a)のIX(c)で囲んだ領域の一部拡大図。 ハンドルを把持し、基材シートが床面から離間した状態における清掃用具の斜視図。 清掃用具の使用状態における、拭き取り面側の平面図。
下記の実施の形態は、図1〜図11に示す清掃用具に関し、発明の不可欠な構成ばかりではなく、選択的及び好ましい構成を含む。
<第1実施形態>
図1〜図3を参照すると、本発明の第1実施形態に係る清掃用具10は、長さ方向Y及び幅方向Xと、塵や埃等を捕集するための基材シート(清掃シート,ワイプス)30と、基材シート30を保持するためのハンドル部材20とを含む。ハンドル部材20は、柄21と、柄21の一方端に連結された、基材シート30に挿入される二股状の挿入部22とを有する。ハンドル部材20の柄21と挿入部22とは、分離可能又は分離不能に連結された別体から構成されているが、後記の本発明の効果を奏する限りにおいて、一体に成形されていてもよい。
基材シート30は、幅方向Xへ並行して延びる先端縁30a及び後端縁30bと、長さ方向Yに並行して延びる両側縁30c,30dとによって画定された略長方形状であって、厚さ方向Zと、ハンドル部材20の挿入部22によって支持される取付け面(上面)31と、拭き取り面(下面)32とを有する。また、基材シート30は、その幅方向Xの寸法を2等分する縦断中心線Pと、その長さ方向Yの寸法を2等分する横断中心線Qと、ハンドル部材20の挿入部が挿抜可能に挿入される被挿入部23を有する取付部24と、清掃対象面(フロア、タイル、家具等)の汚れを拭き取るための刷毛部25とを有する。基材シート30の取付部24と刷毛部25とは、縦断中心線P上において長さ方向Yへ延びる中央接合ライン11と、中央接合ライン11の両側において長さ方向Yへ延びるサイド接合ライン12とによって互いに接合されている。サイド接合ライン12は、長さ方向Yへ間隔を空けて配置された複数の接合部位から形成されている。
取付部24は、繊維不織布製の取付シートから形成されている。取付シートは、上面側に位置する第1取付シート27と、拭き取り面32側に位置する第2取付シート28とを有する。第2取付シート28は、刷毛部25を形成する各層とほぼ同じ外形寸法を有する一方、第1取付シート27は、第2取付シート28とほぼ同じ幅方向Xの寸法を有するが、長さ方向Yの寸法がそれよりも小さくなっている。第1及び第2取付シート27,28のうちの長さ方向Yへ並行して延びる両側縁部は、幅方向Xへ延びる複数のスリット27a,28aによって短冊状を有している。取付部24は、中央接合ライン11とサイド接合ライン12との間において第1取付シート27と第2取付シート28との間に形成された空間からなる被挿入部23を有する。中央接合ライン11とサイド接合ライン12では、公知の接合手段、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤による接着、縫着や溶着によって各シートが接合されており、好ましくは、熱エンボス/デボス加工や超音波加工による溶着手段によって積層された各シートが接合されている。なお、第1及び第2取付シート27,28のスリット27a,28aは、オプションであって、その長さや離間寸法が適宜調整することができる。
図2及び図3を参照すると、基材シート30の刷毛部25は、厚さ方向Zにおいて折り畳まれた状態で積層された複数のシート層から形成されており、取付け面31側から順に、第1層40、第2層50、第3層60、第4層70、第5層80を有する。これらの積層された複数の層は、中央接合ライン11によって互いに接合される。また、取付部24と刷毛部25のうちの第1層40と第2層50とは、サイド接合ライン12によって互いに接合されている。本実施形態において、刷毛部25は、5層で形成されているが、それ以下又はそれ以上の層数で構成されていてもよいし、後記の本発明に係る効果を奏する限りにおいて、少なくとも2層構造を有していればよい。
刷毛部25を構成する第1〜第5層40,50,60,70,80は、疎水性又は親水性の繊維不織布又は合成樹脂製のシート、好ましくは親水性の繊維シートであって、例えば、スパンボンド繊維不織布、エアスルー繊維不織布、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(以下SMSとする)繊維不織布、スパンレース繊維不織布等の各種公知の繊維不織布から形成されている。親水性のシートとしては、親水化処理された合成繊維のほかに、コットンやパルプの天然繊維やレーヨン等のセルロース系繊維を用いることができる。基材シート30を清掃対象面に付着した汚れを拭き取るためのウエット用の清掃シートとして使用する場合には、第2取付シート28を除く、刷毛部25を構成するすべてのシートが液体を含浸した親水性繊維不織布から形成されていることが好ましい。親水性繊維不織布に含浸する液体は、主として水で構成された水溶性洗浄剤であって、ほかに、界面活性剤、溶剤、防腐剤、消臭剤、香料を単独又は複数組み合わせて使用することもできる。また、製造工程において事前に液体を含浸させない場合であっても、使用前に、使用者が自ら親水性不織布に水や薬剤を含浸させて使用することもできる。
第1〜第5層40,50,60,70,80を形成するシートは、複数の開孔を有する有孔シートであってもよい。かかる場合には、各層が断面凹凸状の形状となり、ダストやゴミの捕集力が向上する。
図3及び4を参照すると、刷毛部25を構成する各層40,50,60,70,80は、厚さ方向Zにおいて折曲された状態で互いに中央接合ライン11を介して接合されている。各層40,50,60,70,80は、それぞれ、縦断中心線Pに関して互いに対称に位置する、先端縁30a側に位置する第1折曲域41,51,61,71,81と、後端縁30b側に位置する第2折曲域42,52,62,72,82とを有する。第1層40の第1折曲域41と第2折曲域42とは、幅方向Xへ延び、かつ、互いに長さ方向Yにおいて間隔を空けて配置された複数の折曲ラインによって折曲された複数の襞部(プリーツ)を有し、厚さ方向Zへ重なる上方へ凸となる大小2つのΩ状の部分から形成された断面形状を有する。第2層50の第1折曲域51と第2折曲域52とは、幅方向Xへ延びる複数の折曲ラインによって折曲された複数の襞部を有し、厚さ方向Zへ重なり、下方へ凸となる大小2つのΩ状の部分からなる断面形状を有する。
また、第3層60の第1折曲域61と第2折曲域62とは、幅方向Xへ延びる複数の折曲ラインによって折曲された複数の襞部を有し、厚さ方向Zへ重なって、上方へ凸となる大小2つのΩ状の部分からなる断面形状を有する。第4層70の第1折曲域71と第2折曲域72とは、幅方向Xへ延びる複数の折曲ラインによって折曲された複数の襞部を有し、厚さ方向Xへ重なって、下方へ凸となる大小2つのΩ状の部分からなる断面形状を有する。第5層80の第1折曲域81と第2折曲域82とは、幅方向Xへ延びる複数の折曲ラインによって折曲された複数の襞部を有し、厚さ方向Zへ重なって、上方へ凸となる大小2つのΩ状の部分からなる断面形状を有する。
刷毛部25の各層40,50,60,70,80がかかる折曲態様を有することによって、厚さ方向Zにおいて互いに隣接する各層の折り畳まれる向きが、厚さ方向Zにおいて互いに異なっている。ここで、「折り畳まれる向きが、厚さ方向Zにおいて互いに異なる」とは、本実施形態のように、第1層40が上方へ凸となるように折り畳まれるのに対し、それに隣接する第2層50が下方へ凸となるように折り畳まれている態様を意味し、厚さ方向Zにおいて対向する層どうしが互いに同一の折り畳み態様でなくてもよく、例えば、第1層40が上方へ凸となる1つのΩ状の断面形状を有するのに対し、第2層50が下方へ凸となる大小2つ又はそれ以上のΩ状部分からなる断面形状を有していてもよい。また、基材シート30を構成するシートのうちの、厚さ方向Zにおいて互いに対向する、拭き取り面32側に位置するシート(第1シート)と、取付け面31側に位置するシート(第2シート)とが折り畳まれていればよく、それらのシートの取付け面31側又は/及び拭き取り面32側に位置するシートは、折り畳まれずに平面的な形状であってもよい。
このように、刷毛部25を構成する各層40,50,60,70,80が、平面状のシート部材を複数の襞部が形成されるように折り畳むことによって、屈曲点、変曲点が生じてゴミの捕集力を向上させることができる。また、各層において、厚さ方向Zにおいて互いに隣接する層どうしが、厚さ方向Zにおいて同じ向きに折り畳まれておらず、異なる向きに折り畳まれていることによって、各層間には、複数の空間S1〜S6が形成されている。具体的には、第1層40の第1折曲域41と第1複合層50の第1折曲域51間に第1空間S1,第1層40の第2折曲域42と第2層50の第2折曲域52との間に位置する第2空間S2、第2層50の第1折曲域51と第2折曲域52との間の部分と第3層60の第1折曲域61と第2折曲域62との間の部分との間に位置する第3空間S3、第3層60の第1折曲域61と第4層70の第1折曲域71との間に位置する第4空間S4、第3層60の第2折曲域62と第4層70の第2折曲域72との間に位置する第5空間S5、第4層70の第1折曲域71と第2折曲域72との間に位置する部分と第5層80の第1折曲域81と第2折曲域82との間に位置する部分との間に位置する第6空間S6が、それぞれ画定されている。
この種のハンデイタイプの清掃用具においては、基材シートを立体的かつ嵩高にしてできるだけ広い範囲でゴミを絡め取るように捕集するために、刷毛部として、合成樹脂から形成されたフィラメントの長繊維束(トウ)を用いることがある。かかる場合には、繊維を毛羽立たせることによって、基材シートを繊維不織布のみから形成する場合に比して、嵩増して捕集面積が大きくなるが、使用前に繊維を毛羽立たせるためにほぐす必要があって手間であったり、使用中に毛羽立った繊維が凹凸のある清掃対象面に引っ掛ってちぎれてしまう問題等がある。本実施形態に係る清掃用具10によれば、積層されるシート状の各層40,50,60,70,80が厚さ方向Zにおいて互いに異なる向きに折曲されることから平面的に積層されずに立体形状をなし、基材シート30内部に複数の空間S1〜S6が形成されることによって基材シート30全体の嵩が増して捕集面積が大きくなるので、トウを使用するときの上記のような問題が生じることはない。したがって、かかる折曲態様によれば、基材シート30が平面的な形状である場合に比べて、1度の拭き取り行為によってより多くのゴミを捕集することができるので、捕集力及び清掃効率が向上する。
また、本実施形態に係る基材シート30の折曲態様においては、厚さ方向Zにおいて対向して位置する各層40,50,60,70,80どうしの断面形状が、厚さ方向Zにおいて対称となるように折り畳まれている。このように、積層される各層40,50,60,70,80が、厚さ方向Zにおいて互いに異なる方向へ折り畳まれ、かつ、それらの断面形状が対称となる形状であることから、各層40,50,60,70,80の複数の襞部が規則的に厚さ方向Zにおいて対向して位置するので、複数の襞部が不規則に厚さ方向Zに対向する場合に比して、基材シート30をより確実に立体的にすることができる。
また、本実施形態に係る基材シート30の折曲態様においては、各層40,50,60,70,80,は、第1折曲域41,51,61,71,81と第2折曲域42,52,62,72,82とが、基材シート30の横断中心線Qに関して対称となる断面形状を有している。このように、各層40,50,60,70,80が規則的に折曲されることによって、第1折曲域41,51,61,71,81側と第2折曲域42、52,62,72,82側とにおいて嵩寸法に相違はなく、捕集面積を一定にすることができる。各層40,50,60,70,80は、断面Ω状に折り畳まれる他に、階段状、ピラミッド状等の各種公知の断面形状に折り畳まれていてもよい。さらに、厚さ方向Zにおいて対向する層どうしが、厚さ方向Zにおいて互いに異なる向きに折り曲げられている限りにおいて、第1折曲域と第2折曲域とは横断中心線Qに関して対称ではなく非対称でもよいし、相似形であってもよい。また、厚さ方向Zにおいて対向する各層(各シート)のうちの少なくとも一部において、厚さ方向Zにおいて互いに異なる方向へ折り畳まれていればよい。
図5(a)は、実施例の一つにおける基材シートの断面図、図5(b)は、他の実施例の一つにおける基材シートの断面図、図6(a)は、さらに他の実施例の一つにおける基材シートの断面図、図6(b)は、さらに他の実施例の一つにおける基材シートの断面図である。図5(a),(b)及び図6(a),(b)に示した各実施例において、説明の便宜上、刷毛部25を構成する各層40,50,60,70,80のうち、厚さ方向Zにおいて対向する第1層40と第2層50の折曲態様についてのみ図示している。ただし、これらの実施例においても、第1層40と第2層50との折曲態様と同じパターンで、第3〜第5層60,70,80が折曲されており、刷毛部25全体が厚さ方向Zにおいて互いに異なる方向へ折り曲げられていることを理解されたい。
図5(a)の実施例においては、第1層40と第2層50が、厚さ方向Zにおいて異なる方向へ、階層状(ピラミッド状)に折曲されている。かかる積層態様の場合には、第1実施形態に比べて、基材シート30をより立体的にすることができる。また、階層の頂点どうしが対向することから、両層40,50間において比較的に広い空間S7,S8が形成され、比較的に大きなゴミを捕集することができる。
図5(b)の実施例においては、第1層40と第2層50とが、基材シート30の先端縁30a(後端縁30b)側から後端縁30b(先端縁30a)側へ下方(又は上方)へ複数の襞部が下方又は上方へ向かって段差状に積層された断面形状を有する。第1層40では、先端縁30a側から後端縁30b側へ向かって下方へ段差状に複数の襞部が積層されており、それに対向する第2層50では、先端縁30a側から後端縁30b側へ向かって上方へ段差状に複数の襞部が積層されている。かかる積層態様を有することから、第1層40と第2層50との間には、後端縁30b側から先端縁30a側へ向かって次第に大きくなる離間空間S9が形成される。
図6(a)を参照すると、本実施例においては、第1層40と第2層50とは、厚さ方向Zにおいて対称であるが、第1折曲域41,51と第2折曲域42,52とは、横断中心線Qに関して対称の断面形状をなしておらず、非対称である。かかる折曲態様においても、第1層40と第2層50との間には、空間S10,S11が形成される。
図6(b)を参照すると、本実施例においては、第1層40と第2層50とは、複数の襞部を有し、対向する層どうしが厚さ方向Zにおいて対称となるように、2つに折り曲げられた態様をなしている。具体的には、第1層40は、後端縁30bへ向かって断面コ字状に折曲されており、それに対向する第2層50は、先端縁30aへ向かって断面コ字状に折曲されている。各層40,50における積層された部分間には、空間S12,S13が形成される。図6(a),(b)に示した実施例においても、厚さ方向Zにおいて対向する層どうしが、厚さ方向Zへ異なる方向へ折り畳まれていることによって、基材シート30を立体的な形状とすることができる。
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る清掃用具10の分解斜視図、図8は、第2層(第1複合層)50の斜視図、 図9(a)は、第2層(第1複合層)50を構成する繊維シート55と、ネットシート56とを分離した状態における、両シートの斜視図、図9(b)は、図9(a)のIX(b)で囲んだ領域の一部拡大図、図9(c)は、図9(a)のIX(c)で囲んだ領域の一部拡大図、図10は、ハンドルを把持し、基材シートが床面から離間した状態における清掃用具の斜視図、図11は、清掃用具の使用状態における、拭き取り面側の平面図である。
図7及び図8を参照すると、本実施形態に係る清掃用具10の基材シート30は、第1実施形態と同様の折曲態様をなしており、基材シート30のうちの第2層50と第4層70とが、好ましくは親水性を有する繊維不織布から形成された繊維シート55,75と、繊維シート55,75とともに折り畳まれた網目状のネットシート56,76とから構成された複合体から形成されている。第1層40,第3層60,第5層80は、繊維シート55,75と同様に、好ましくは親水性を有する繊維不織布から形成されている。以下の説明において、第2層50は第1複合層、第4層70は第2複合層ともいう。
図9(a)〜(c)を参照すると、第1複合層50の繊維シート55は、複数の開孔55aを有する有孔シートであって、ネットシート56は、複数の網目56aを有するネットワーク構造を有する。繊維シート55の厚さは0.1〜0.2mmであって、ネットシートの厚さは、0.15〜0.25mmである。繊維シート55の開孔55aは、長さ方向Yへ長い楕円形であって、長径の長さは、1.0〜2.0mmである。一方、ネットシート56の網目56aは、幅方向Xへ長いひし形であって、その長い方の対角線は、3.0〜4.0mmであって、繊維シート55の1つの開孔55aの開口面積よりも、1つの網目の面積の方が大きくなっている。繊維シート55に形成された開孔55aは、ウォータージェットやニードルパンチによって形成することができる。例えば、繊維シート55をスパンレース製法によって製造する場合には、複数の開孔部を有するメッシュ状の搬送ベルトに繊維ウエブを搬送させて、上方から流体(水、空気)を噴射することによって、複数の開孔55aを形成することができる。各層40,60,80及び繊維シート55、75に使用される繊維不織布の複数の開孔は、オプションであって、繊維間においてダストや髪の毛を捕集できる限りにおいて、開孔は形成されずに表面が平滑であってもよいし、開孔の大きさが異なるものであってもよいし、開孔の代わりに繊維不織布を貫通しない凹部が複数形成されていてもよい。また、繊維不織布として、剛性が異なるものを複数使用してもよい。
第1複合層(第2複合層70も同じ構成)50において、繊維シート55とネットシート56とは、互いに積層された状態で一体的に折り畳まれている。繊維シート55とネットシート56とは、一体性を向上させるために、互いに接着剤や溶着手段によって接合されていてもよい。
第1及び第2複合層50,70は、繊維シート55,75とネットシート56,76とが互いに重ねられた状態で折り重ねられていることから、第1,第3及び第5層40,60,80よりも剛性が高くなっている。図10を参照すると、使用者がハンドル部材20を把持して、基材シート30が清掃対象面から離間した状態において、刷毛部25において最も拭き取り面32側に位置する第5層80が自重によって垂下した状態となる。一方、第5層80の取付け面31側に位置する第2複合層70は、第5層80よりも剛性が高く、その上に積層された各層40,50の重さによっても垂れ下がらずに突っ張った状態となるので、拭き取り面32側において第2複合層70のネットシート76が露出している。基材シート30では、サイド接合ライン12によって取付部24、第1層40及び第1複合層50が互いに接合されており、かつ、第1複合層50がその上に積層された部分の重さによって垂れ下がらずに突っ張った状態となるので、第2複合層70には、実質的に、その上に積層された第3層60の重さのみが負荷されているともいえる。
図11を参照すると、このように、基材シート30を持ち上げた状態において、第5層80が垂下した状態となり、第2複合層70が拭き取り面32側に露出し、そのままの状態で清掃対象面に基材シート30の拭き取り面32を当てたときには、幅方向Xの中央部分に変位した第5層80からなる第1拭き取り部分87と、第1拭き取り部分87の両側に位置し、露出した第2複合層70のネットシート76からなる第2拭き取り部分88とによって、ダストを捕集することができる。
ここで、ネットシート56,76は、各層40,60,80を構成する繊維不織布よりも高い剛性を有している。したがって、第1及び第2複合層50,70がネットシート56,76のみから形成されている場合であっても、それらの拭き取り面32側に位置する層のみが垂れ下がり、ネットシート56,76は突っ張った状態を維持し、拭き取り面32から外部に露出する。また、各層40,60,80を親水性繊維不織布で形成して液体を含浸させることによって、その自重により、より確実に垂れ下げさせることができる。
このように、清掃用具10の拭き取り面32が第5層80から形成された第1拭き取り部分87と、ネットシート76から形成された第2拭き取り部分88とを有することによって、第5層80がドライな状態において、繊維不織布から形成された第1拭き取り部分87において、複数の開孔によって塵芥、髪の毛やペットの毛等の比較的に小さなゴミを捕集することができる。また、繊維不織布に比べて剛性の高い合成樹脂製のシートから形成された第2拭き取り部分88において、繊維シート75の開孔よりも面積の大きな複数の網目によって、糸くずや清掃対象面にこびり付いたしつこい汚れ等を掻き取るように除去することができる。
第2拭き取り部分88を形成する第2複合層70は、繊維不織布から形成された繊維シート75とともに折り込まれた複層構造を有していることから、ネットシート76によって掻き取られたゴミは繊維シート75に移行して繊維間に保持されるので保持性に優れるとともに、液状の汚れは、繊維シート75に速やかに吸収される。繊維シート75に保持されたゴミは、繊維間に入り込んで、ネットシート76側に逆戻りするのを防止される。また、繊維シート75がウエット状態であることによって、ネットシート76で掻き取った、清掃対象面にこびりついた汚れを拭き取ることができる。また、第5層80が、ウエット状態にある場合には、ウエット状態の第1拭き取り部分87によって清掃対象面に付着した汚れを拭き取ることができ、第2拭き取り部分88によってゴミを捕集することができるので、状況に応じて、ハンドル部材20を操作して基材シート30を傾けながら、適宜、拭き取り面32のうちの清掃対象面に接触させる部分を使い分けることができる。
清掃用具10は、ハンディタイプであって、基材シート30を傾けてサッと床面を拭いたり、ハンドル部材20を操作して基材シート30を回転させながら比較的に狭い隙間に差し入れて基材シート30全体を使用してダストを捕集したりする。そのとき、ウエット状態にある第1,第3及び第5層40,60,80によってダストや汚れを拭き取ることができるとともに、第1及び第2複合層50,70のネットシート56,76によって、清掃対象面に付着したしつこい汚れや比較的に大きなゴミを掻き取って繊維シート55,75に吸収、移動させて保持することができる。また、刷毛部25を構成する各層40,50,60,70,80が複数の襞部を有していることから拭取り性が向上するとともに、厚さ方向Zにおいて対向する層が互いに厚さ方向Zへ異なる方向へ折り畳まれていることによって立体形状をなし、それらの間に複数の空間が形成されるので、各層が平面状である場合に比して、捕集面積が大きくなってより多くのゴミを捕集することができ、清掃効率が向上する。
また、フロアやタイルに基材シート30の拭き取り面32全体を押し当てるようにして使用する場合には、垂下した第5層80の側面が先にフロアやタイルに当接され、中央接合ライン11の位置する中央接合部分を基点として一方側縁30c側又は他方側縁30d側へ倒れて、拭き取り面32は、幅方向Xにおいて倒伏した第5層80によって形成された第1拭き取り部分87と、露出した第2複合層70のネットシート76から形成された第2拭き取り部分88とに二分されることもある。かかる場合であっても、第1拭き取り部分87と第2拭き取り部分88とによって、大小様々なゴミを捕集するとともに、しつこい汚れを拭き取ることができる。
基材シートは、厚さ方向Zにおいて、繊維不織布から形成された第1、第3及び第5層40,60,80と複合層50,70とが交互に積層されていることによって、複合層50,70のネットシート56,76で掻き取られたゴミが繊維シート55,75のみならず、それに接する層40,60,80にも移動させて保持することができる。ただし、所要の保持性を発揮する限りにおいて、各層40,60,80と複合層50,70とが交互に積層されていなくてもよく、複合層50,70の拭き取り面側に1つの層が位置していれば、複合層どうしが積層されていてもよい。
本発明に係る清掃用具を構成する部材には、特に明記されていない限りにおいて、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている公知の材料を制限なく用いることができる。また、本明細書において使用されている「第1」〜「第9」等の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いてある。
10 清掃用具
20 ハンドル部材
21 柄
22 挿入部
30 基材シート
31 取付け面
32 拭き取り面
40 第1層
50 第2層
55 繊維シート
55a 開孔
56 ネットシート
56a 網目
60 第3層
70 第4層(第2シート)
75 繊維シート
76 ネットシート
80 第5層(第1シート)
Q 横断中心線
X 幅方向
Y 長さ方向
Z 厚さ方向

Claims (7)

  1. 基材シートと、柄と前記基材シートに挿入される挿入部とを有するハンドル部材とを含む清掃用具において、
    前記基材シートは、前記挿入部に取り付けられる取付け面とその反対側に位置する拭き取り面とを有し、厚さ方向において複数のシートが積層された複層構造であって、
    前記複数のシートのうちの前記厚さ方向において対向するシートどうしの少なくとも一部において折り畳まれる向きが、前記厚さ方向において互いに異なることを特徴とする前記清掃用具。
  2. 前記複数のシートは、前記厚さ方向において積層された第1シートと、前記第1シートの前記取付け面側に位置する第2シートとを有し、前記第1シートと前記第2シートとは、断面形状が前記厚さ方向において互いに対称となるように折り畳まれている請求項1に記載の清掃用具。
  3. 前記第1及び第2シートは、前記基材シートの長さ寸法を2等分する横断中心線に関して断面形状が対称となるように折り畳まれている請求項2に記載の前記清掃用具。
  4. 前記第1シートと前記第2シートが、断面形状がΩ状となるように折り畳まれる請求項2又は3に記載の清掃用具。
  5. 前記複数のシートのうちの少なくとも1つのシートは、複数の開孔を有する繊維不織布製の有孔シートから形成される請求項1〜4のいずれかに記載の清掃用具。
  6. 前記第2シートは、繊維不織布製の繊維シートと合成樹脂製の網目状のネットシートとが折り畳まれた複合体であって、清掃時において、前記拭き取り面側に前記ネットシートが露出される請求項2〜5のいずれかに記載の清掃用具。
  7. 前記第1シートは、親水性の繊維不織布から形成され、液体が含浸された湿潤状態であって、前記基材シートが清掃対象面から離間した状態において、前記第1シートが垂下して前記ネットシートが前記拭き取り面側に露出する請求項1〜6のいずれかに記載の清掃用具。
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