JP2017115977A - ころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】遊星減速機に備わる遊星回転体をころ軸受で支持する場合でも、保持器案内部分の摩耗及び焼き付き、並びに保持器の柱部の異常摩耗を防止する。【解決手段】外輪2の内周に保持器案内面9,10を設ける。保持器本体11の第一環状部14に固着する第一リング12と、保持器本体11の第二環状部15に固着する第二リング13とを備える。第一リング12、第二リング13には、保持器本体11の表面に比して低い摩擦係数をもった被案内面18,19を設ける。また、第一リング12、第二リング13を保持器本体11の材料よりも高弾性率の材料で環状に形成する。【選択図】図1
Description
この発明は、遊星減速機に備わる遊星回転体のような公転部位に好適なころ軸受に関し、特に、保持器を案内することに関する。
ダンプトラック等では、大きな減速比が得られる遊星減速機がホイールリムの内側に配置されている。遊星減速機に備わる遊星回転体は、リングギア及びサンギア間で自転しながら公転する遊星歯車又は遊星ローラからなり、転がり軸受を介してキャリヤのピンに支持されている。その転がり軸受として、円すいころ軸受、円筒ころ軸受等のころ軸受が採用されている(例えば、特許文献1、2)。
一般に、ころ軸受は、ころ間の周方向間隔を保つための保持器を備える。保持器には、転動体を収めるポケットが周方向に均等間隔で形成されている。遊星回転体の支持用途のような公転部位に使用されるころ軸受の場合、保持器や軸受内部の潤滑油には、保持器の軸受中心軸周りの回転による遠心力のほかに、転がり軸受が遊星回転体と一体に公転運動することによる遠心力も作用する。その公転運動による遠心力は、転がり軸受に負荷域を生じさせると共に、保持器の変形や偏心、軸受内部の潤滑油の偏りを生じさせる原因となる。保持器案内方式として特許文献1のような転動体案内方式を採用すると、その潤滑条件の悪い負荷域において、保持器の偏心によって一部の柱部がころに強く当接され、柱部が異常摩耗したり、柱部が円環状部と連結された根元部に集中する曲げモーメントによって折損したりする恐れがある。これを避けるため、軌道輪案内方式の保持器(例えば、特許文献3、4)を採用することが好ましい。
特許文献3に開示されたころ軸受は、鋼板製の保持器の小径側環状部を部分的に切り起こした突片先端の板厚面からなる被案内面を形成し、内輪の外周又は外輪の内周に保持器案内面を形成し、その被案内面と保持器案内面との接触で保持器を案内可能としたものである。
特許文献4に開示されたころ軸受は、外輪の外周に保持器案内面を形成し、保持器の環状部の延長部分に保持器案内面と径方向に対面する被案内面を形成し、その被案内面と保持器案内面との接触で保持器を案内可能としたものである。
特許文献4のように遊星回転体と共に回転する外輪で保持器を案内する場合、内輪案内の場合に比して、外輪の保持器案内面と保持器の被案内面との間での相対速度差が小さくなり、保持器案内面及び被案内面の周長が長くなって案内時の接触面積が大きくなるため、保持器案内面及び被案内面の摩耗や焼付きを防止することができる。
しかしながら、特許文献4に開示されたころ軸受は、保持器を外輪の外周で案内するものなので、保持器の両環状部の少なくとも一方を外輪の外周の保持器案内面と径方向に対向するように延長する必要があり、軸受総幅の拡大を招く懸念がある。また、その保持器延長部が外輪の内径小径側の側方を通って外輪の外周上に至るため、外輪の内径小径側の側面をハウジング肩等の他部材に突き当てて固定することができない。このため、一対のころ軸受の組合せ方が正面組合せに限定されると共に、ころ軸受に予圧を与えることができない。ころ軸受に予圧を与えない場合、正の軸受内部すきまが原因で遊星回転体の支持が安定せず、遊星回転体の正常な動作、例えば遊星歯車の正常な噛み合いに支障をきたす可能性がある。
一方、特許文献3のころ軸受のように、保持器の小径側環状部を切り起こした突片の板厚面からなる被案内面と、外輪の内周との接触で保持器を案内する場合、前述の特許文献3のような軸受総幅の拡大等の問題はないが、遠心力が大きい使用条件のときに保持器が傾いて、被案内面と外輪の内周との接触面積が線接触のように小さくなったり、柱部ところとが干渉したりする可能性がある。その接触面積が狭くなると、接触面圧の増大や油膜切れを招いて摩耗や焼き付きの懸念があり、ころが不正規に柱部に干渉すると、柱部が異常摩耗する懸念がある。
上記の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、遊星減速機に備わる遊星回転体をころ軸受で支持する場合でも、保持器案内部分の摩耗及び焼き付き、並びに保持器の柱部の異常摩耗を防止することである。
上記の課題を達成するための第一の発明は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪間に介在する複数のころと、これらころを保持する保持器とを備えるころ軸受において、前記保持器が、一体に形成された保持器本体と、前記保持器本体に固着された第一リング及び第二リングとを有しており、前記保持器本体に第一環状部と、第二環状部と、これら両環状部間をポケットに分ける柱部とが形成されており、前記第一リングが前記第一環状部に固着されており、前記第二リングが前記第二環状部に固着されており、前記保持器を径方向に案内する保持器案内面が、前記外輪の内周にのみ設けられており、前記保持器のうち、前記保持器案内面によって案内される被案内面が、前記第一リング及び前記第二リングに設けられており、前記被案内面が、前記保持器本体の表面に比して低い摩擦係数をもっている、という構成を採用したものである。
上記第一の発明に係る構成によれば、外輪に保持器案内面が設けられ、保持器に被案内面が設けられているので、保持器が外輪によって案内される。遊星減速機に備わる遊星回転体の支持用途の場合、保持器を回転輪である外輪で案内すると、内輪案内に比して、外輪の保持器案内面と保持器の被案内面との間での相対速度差が小さくなり、また、保持器案内面及び被案内面の周長が長くなって接触面圧が低くなるので(いわゆるPV値の抑制)、被案内面及び保持器案内面の摩耗及び焼き付きが防止される。
また、保持器案内面が外輪の内周に設けられているので、遊星回転体の公転運動に伴う大きな遠心力の作用で潤滑油が外輪の内周側へ移動するため、保持器案内面及び被案内面の潤滑性が向上する。このことも、遊星回転体の支持用途において被案内面及び保持器案内面の摩耗及び焼き付きの防止に有効である。
さらに、保持器本体と別部品の第一リング及び第二リングには任意の材料で被案内面を設けられるので、保持器本体の表面に比して低い摩擦係数をもった被案内面とすることができる。その被案内面において向上させた摺動性により、保持器案内面及び被案内面の摩耗及び焼き付きが一層防止される。
また、保持器案内面及び被案内面の摩耗防止は、柱部の異常摩耗防止にも有効である。すなわち、保持器案内面及び被案内面の摩耗が進むと、これら両面間のすきま(案内すきま)が拡大する。この拡大が進むと、やがては、ころと柱部との接触によって保持器が案内される転動体案内となり、柱部の異常摩耗を招く。したがって、保持器案内面及び被案内面の摩耗を防止すれば、柱部の異常摩耗を防止することにもなる。
また、ポケットを境とした保持器の軸方向両側において被案内面と保持器案内面との接触が可能となっているので、遊星回転体の公転運動に伴う大きな遠心力が保持器に作用した場合でも保持器の傾きが抑えられる。これにより、被案内面と保持器案内面との接触面積の減少が抑えられる共に、柱部ところとの異常な接触も防止されるので、被案内面及び保持器案内面の摩耗及び焼き付きがより防止されると共に、柱部の異常摩耗がより防止される。
また、保持器案内面が外輪の内周に設けられているので、遊星回転体の公転運動に伴う大きな遠心力の作用で潤滑油が外輪の内周側へ移動するため、保持器案内面及び被案内面の潤滑性が向上する。このことも、遊星回転体の支持用途において被案内面及び保持器案内面の摩耗及び焼き付きの防止に有効である。
さらに、保持器本体と別部品の第一リング及び第二リングには任意の材料で被案内面を設けられるので、保持器本体の表面に比して低い摩擦係数をもった被案内面とすることができる。その被案内面において向上させた摺動性により、保持器案内面及び被案内面の摩耗及び焼き付きが一層防止される。
また、保持器案内面及び被案内面の摩耗防止は、柱部の異常摩耗防止にも有効である。すなわち、保持器案内面及び被案内面の摩耗が進むと、これら両面間のすきま(案内すきま)が拡大する。この拡大が進むと、やがては、ころと柱部との接触によって保持器が案内される転動体案内となり、柱部の異常摩耗を招く。したがって、保持器案内面及び被案内面の摩耗を防止すれば、柱部の異常摩耗を防止することにもなる。
また、ポケットを境とした保持器の軸方向両側において被案内面と保持器案内面との接触が可能となっているので、遊星回転体の公転運動に伴う大きな遠心力が保持器に作用した場合でも保持器の傾きが抑えられる。これにより、被案内面と保持器案内面との接触面積の減少が抑えられる共に、柱部ところとの異常な接触も防止されるので、被案内面及び保持器案内面の摩耗及び焼き付きがより防止されると共に、柱部の異常摩耗がより防止される。
上記の課題を達成するための第二の発明は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪間に介在する複数のころと、これらころを保持する保持器とを備えるころ軸受において、前記保持器が、一体に形成された保持器本体と、前記保持器本体に固着された第一リング及び第二リングとを有しており、前記保持器本体に第一環状部と、第二環状部と、これら両環状部間をポケットに分ける柱部とが形成されており、前記第一リングが前記第一環状部に固着されており、前記第二リングが前記第二環状部に固着されており、前記保持器を径方向に案内する保持器案内面が、前記外輪の内周にのみ設けられており、前記保持器のうち、前記保持器案内面によって案内される被案内面が、前記第一リング及び前記第二リングに設けられており、前記第一リング及び前記第二リングが、それぞれ前記保持器本体の材料に比して高い弾性率をもった材料によって環状に形成されている、という構成を採用したものである。
上記第二の発明に係る構成によれば、外輪の内周に保持器案内面が設けられ、保持器の外周に被案内面が設けられているので、上記第一の発明と同様にPV値の抑制や潤滑性が良好となり、保持器案内面及び被案内面の摩耗等が防止される。
さらに、保持器本体と別部品の第一リング及び第二リングは任意の材料で構成することが可能なため、第一リング及び第二リングをそれぞれ保持器本体の材料に比して高い弾性率をもった材料によって環状に形成することができる。そうすると、保持器を単一材料で形成した場合に比して、保持器の変形に対する剛性が第一リング及び第二リングによって向上させられる。これにより、柱部の異常摩耗が防止される。すなわち、遊星回転体の公転運動による大きな遠心力が保持器に作用し、保持器が外輪の保持器案内面に押し付けられて楕円変形し、その結果、ポケットすきまが減少してころと保持器の柱部とが異常に接触する状態となると、柱部の異常摩耗を招く。したがって、保持器の変形に対する剛性が優れる程、その楕円変形が抑えられるので、柱部の異常摩耗が防止されることになる。
また、ポケットを境とした保持器の軸方向両側において被案内面と保持器案内面との接触が可能となっているので、上記第一の発明と同様に保持器の傾き抑制が良好になり、被案内面及び保持器案内面の摩耗及び焼き付きがより防止されると共に、柱部の異常摩耗がより防止される。
さらに、保持器本体と別部品の第一リング及び第二リングは任意の材料で構成することが可能なため、第一リング及び第二リングをそれぞれ保持器本体の材料に比して高い弾性率をもった材料によって環状に形成することができる。そうすると、保持器を単一材料で形成した場合に比して、保持器の変形に対する剛性が第一リング及び第二リングによって向上させられる。これにより、柱部の異常摩耗が防止される。すなわち、遊星回転体の公転運動による大きな遠心力が保持器に作用し、保持器が外輪の保持器案内面に押し付けられて楕円変形し、その結果、ポケットすきまが減少してころと保持器の柱部とが異常に接触する状態となると、柱部の異常摩耗を招く。したがって、保持器の変形に対する剛性が優れる程、その楕円変形が抑えられるので、柱部の異常摩耗が防止されることになる。
また、ポケットを境とした保持器の軸方向両側において被案内面と保持器案内面との接触が可能となっているので、上記第一の発明と同様に保持器の傾き抑制が良好になり、被案内面及び保持器案内面の摩耗及び焼き付きがより防止されると共に、柱部の異常摩耗がより防止される。
上述のように、第一の発明に係るころ軸受は、遊星減速機に備わる遊星回転体を支持する場合でも、保持器の被案内面及び外輪の保持器案内面間でのPV値の抑制を図り、保持器の被案内面及び外輪の保持器案内面の潤滑性を向上させ、保持器の被案内面において摺動性を向上させ、さらに保持器案内面と被案内面との接触時における保持器の傾きを抑えることが可能なため、保持器案内部分である保持器案内面及び被案内面の摩耗及び焼き付きを防止すると共に、保持器の柱部の異常摩耗を防止することができる。
また、第二の発明に係るころ軸受は、遊星減速機に備わる遊星回転体を支持する場合でも、保持器の被案内面及び外輪の保持器案内面間でのPV値の抑制を図り、保持器の被案内面及び外輪の保持器案内面の潤滑性を向上させ、さらに、保持器案内面と被案内面との接触時における保持器の楕円変形及び傾きを抑えることが可能なため、保持器案内部分である保持器案内面及び被案内面の摩耗及び焼き付きを防止すると共に、保持器の柱部の異常摩耗を防止することができる。
以下、この発明の第一実施形態に係るころ軸受を図1に基づいて説明する。図1に示すころ軸受は、内輪1と、外輪2と、これら内輪1及び外輪2間に介在する複数のころ3と、これらころ3を保持する保持器4とを備える。内輪1,外輪2及び保持器4は、同じ中心軸(図中に一点鎖線で示す軸受中心軸)に設定されている。以下、その中心軸に沿った方向のことを単に「軸方向」といい、その中心軸に直角な方向のことを単に「径方向」といい、その中心軸周りの円周方向のことを単に「周方向」という。
内輪1は、外周に円すい面状の軌道面5と、小つば部6と、大つば部7とを有する環状の軸受部品になっている。
外輪2は、内周に円すい面状の軌道面8と、保持器4を径方向に案内する保持器案内面9,10とをもった環状の軸受部品になっている。保持器案内面9,10は、外輪2の内周にのみ設けられている。保持器案内面9は、外輪2の内周のうち、軌道面8を境とした内径小径側に形成され、保持器案内面10は、反対の内径大径側に形成されている。保持器案内面9,10は、軌道面8と同一面を構成する円すい面状になっている。
ころ3は、内輪1の軌道面5及び外輪2の軌道面8に転がり接触する円すいころになっている。なお、第一実施形態では、単列円すいころ軸受を例示したが、円筒ころ軸受、複列ころ軸受等、適宜の形式のころ軸受であってもよい。
内輪1、外輪2及びころ3は、通常、鋼によって形成されている。その鋼としては、例えば、高炭素クロム軸受鋼、はだ焼鋼等が挙げられる。
第一実施形態に係るころ軸受は、内輪1、複数のころ3及び保持器4によって内輪アセンブリが構成されている。
保持器4は、一体に形成された保持器本体11と、保持器本体11の外周に取り付けられた第一リング12及び第二リング13とを有する。
保持器本体11には、第一環状部14と、第二環状部15と、これら両環状部14,15間をポケット16に分ける柱部17とが形成されている。第一環状部14及び第二環状部15は、それぞれ周方向全周に亘って連なっている。第二環状部15の外径は、第一環状部14よりも大径に設定されている。第一環状部14の外周及び第二環状部15の外周には、それぞれ対応の第一リング12又は第二リング13の固着に用いるための溝が周方向全周に亘って形成されている。ポケット16は、ころ3を収める空間になっている。柱部17は、周方向に均等間隔で存在している。
第一リング12は、外輪2の内径小径側に形成された保持器案内面9によって径方向に案内される被案内面18を有する。第二リング13は、外輪2の内径大径側に形成された保持器案内面10によって径方向に案内される被案内面19を有する。第一リング12及び第二リング13は、それぞれ周方向全周に亘って図示の断面形状をもっている。
第一リング12及び第二リング13は、それぞれの内周部において対応の第一環状部14又は第二環状部15の溝に強制的に嵌合されている。この嵌合によって第一リング12及び第二リング13が、対応の第一環状部14又は第二環状部15に対して軸方向及び径方向に位置決めされる。また、第一リング12及び第二リング13は、対応の第一環状部14又は第二環状部15に対して周方向に回り止めされている。この周方向の回り止め手段は、溶接、溝に対する締り嵌め等、適宜の手段で行えばよい。前述の位置決め及び回り止めにより、第一リング12及び第二リング13は、対応の第一環状部14又は第二環状部15の外周に固着されている。
被案内面18及び被案内面19は、それぞれ周方向全周に亘って対応の第一リング12又は第二リング13の外周に存在している。被案内面18及び被案内面19は、それぞれ保持器4及び外輪2の中心軸を含む任意の仮想平面上で軸方向に対し角度θ1をもった面になっている。被案内面18及び被案内面19のそれぞれの軸方向幅は、対応の第一リング12又は第二リング13の全幅に亘っている。一方、外輪2の軌道面8と同一面を成している保持器案内面9及び保持器案内面10は、それぞれ保持器4及び外輪2の中心軸を含む任意の仮想平面上で軸方向に対し角度θ2をもった面になっている。角度θ1と角度θ2は、同じ角度に設定されている。このため、保持器案内面9と被案内面18、及び保持器案内面10と被案内面19は、前述の仮想平面上において平行する面形状になっており、それぞれ円すい面状に面接触することが可能となっている。
被案内面18と保持器案内面9間、及び被案内面19と保持器案内面10間の各間における径方向すきまは、同一値に設定されており、保持器4と外輪2間の案内すきまに相当する。ころ3と柱部17との接触は、保持器4を径方向に案内することに寄与しない。
保持器4は、保持器本体11と、第一リング12と、第二リング13とからなり、外輪2の幅を規定する両側面と軸方向に対面する部分をもたない。このため、第一実施形態に係るころ軸受は、正面組合せ及び背面組合せのどちらでも配置可能であり、どちらの組合せでも外輪2の両側面を任意に利用して予圧を付与することが可能である。
保持器本体11は、鋼によって形成されている。その鋼としては、例えば、冷間又は熱間圧延鋼、機械構造用炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル・クロム・モリブデン鋼等が挙げられる。
保持器本体11は、プレス加工で基本的な全体形状を形成可能な板厚の鋼板を材料とし、かご形の打ち抜き保持器の一般的な製造方法によって形成されている。前述の溝は、前述のプレス加工後にもみ抜き加工によって形成されている。なお、保持器本体11の製造方法は、保持器本体11の形状や材料に応じて、プレス加工、もみ抜き加工、成型等、適宜の加工手段を採用すればよい。
保持器本体11を形成する材料として、鋼以外の他の材料を採用してもよい。例えば、保持器本体11は、樹脂又は高力黄銅によって形成されているものでもよい。軸受運転中、ころ3の転動面は、通常、軌道面5,8を転がりながら、そのころ3の周方向両側に位置する柱部17のどちらかに接触する。この通常接触による柱部17の摩耗防止を重視する場合、柱部17における通常接触部分は、なるべく自己潤滑性に優れた材料で形成することが好ましい。樹脂又は高力黄銅によって柱部17を形成すれば、柱部17における通常接触部分の摺動性を良好にすることができる。
前述の高力黄銅は、銅55.0〜60.5質量%の黄銅にアルミニウム2.0質量%以下、マンガン3.0質量%以下、鉄1.5質量%以下を添加した合金のことをいう。
また、前述の樹脂としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)等のエンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックや、PA46+GF、PA66+GF等のガラス繊維強化樹脂が挙げられる。
軸受運転中、ころ3の転動面は、軌道面5,8を転がりながら、そのころ3の周方向両側に位置する両柱部17のどちらかに接触する。この通常接触による柱部17の摩耗防止を重視する場合、柱部17のうち、ころ3との接触部は、なるべく自己潤滑性に優れた材料で形成することが好ましい。樹脂又は高力黄銅によって柱部17を形成すれば、鋼製に比して、通常接触による柱部17の摩耗を防止することができる。
一方、第一リング12及び第二リング13は、それぞれ樹脂材料によって一体に形成されている。被案内面18及び被案内面19は、それぞれ前述の樹脂材料からなるので、鋼製の保持器本体11の表面に比して低い摩擦係数をもっている。
その樹脂材料は、保持器本体11の表面よりも低摩擦係数な被案内面18,19を形成可能なものであればよく、なるべく自己潤滑性に優れたものが好ましい。良好な自己潤滑性をもった樹脂材料として、例えば、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。
また、第一リング12、第二リング13を形成する材料として、固体潤滑剤を含有している焼結材料を採用してもよい。この種の焼結材料も良好な自己潤滑性を発揮する。したがって、この種の焼結材料の表面からなる被案内面18,19は、鋼製の保持器本体11の表面よりも低摩擦係数をもつ。
前述の焼結材料として、例えば、黒鉛を含有しているものが挙げられる。黒鉛の場合、流動性の高い黒鉛粉として焼結材料に占める黒鉛の配合量を多くすることにより、自己潤滑性に優れた焼結材料を得ることが可能である。このような焼結材料として、例えば、黒鉛粉と金属粉とを含む原料粉を型で成形し、その後焼結して得られるものであって、黒鉛粉として造粒粉を用い、かつ焼結材料の表面における遊離黒鉛の割合を面積比で25%〜80%とし、その造粒粉の平均粒径を60μm〜500μmとし、原料粉における造粒粉の配合割合を3重量%〜15重量%としたものが挙げられる(この焼結材料は特開2014−25527号公報に開示のものであり、その詳細説明を省略する。)。
第一実施形態に係るころ軸受を備える遊星減速機の一例を図2、図3に示す。図示のように、この遊星減速機は、入力軸101に取り付けた太陽歯車102と、ハウジング103に固定された内歯車104との間に両歯車102、104に噛み合う遊星歯車としての遊星回転体105が複数個配置され、出力軸106に連結されたキャリヤ107に対して各遊星回転体105が回転自在に支持され、太陽歯車102と内歯車104との間で自転しながら公転する遊星回転体105の公転運動が、キャリヤ107を介して出力軸106に出力されるものである。第一実施形態に係るころ軸受100は、この遊星減速機に備わる遊星回転体105とキャリヤ107との間に一対で配置されている。各転がり軸受100の外輪2は、遊星回転体105に取り付けられ、遊星回転体105と一体に回転する。各転がり軸受100の内輪1は、キャリヤ107に設けられた支持軸108に取り付けられ、外輪2に対して静止する。
ころ軸受100には、軸受内部すきまを負にするための予圧が与えられている。ころ軸受100がガタなく遊星回転体105を支持するため、遊星回転体105の運動が安定し、遊星回転体105と太陽歯車102や内歯車104との正常な噛み合わせを確実にすることができる。なお、一対のころ軸受100の配置として、背面組合せを例示したが、正面組合せにしてもよい。また、ころ軸受100の内輪1に予圧力を与える場合を例示したが、背面組合せであるか正面組合せであるかを問わず、外輪に予圧力を与えるようにしてもよい。
図示の遊星減速機は、超大型ダンプトラックのホイールリムの内側に設けられた終減速装置の第一段目の減速を行うものとなっている。その超大型ダンプトラックは、鉱山用であって積載量300t以上のものを想定している。本願発明者らが現行の超大型ダンプの終減速装置における使用環境を調べたところ、太陽歯車102周りに公転するころ軸受100の公転直径は500mm程度、その公転速度は500rpm程度、このときの軸受回転速度は1300rpm程度、最大の遠心加速度は75G程度になっていた。このような強い遠心加速度が作用すると、軸受内部の潤滑油が負荷域で希薄になり、負荷域と周方向反対側へ偏る傾向が顕著であった。
第一実施形態に係るころ軸受は、図1に示すように、外輪2の内周に保持器案内面9,10が設けられ、保持器2の外周に被案内面18,19が設けられているので、図2、図3に示すように、遊星減速機に備わる遊星回転体105の支持用途では、遊星回転体105と一体に回転する外輪2の内周によって保持器4が径方向に案内される。このため、保持器4が内輪1で案内される場合に比して、図1に示す被案内面18と保持器案内面9との間、及び被案内面19と保持器案内面10との間での相対速度差(V)が小さくなり、また、保持器案内面9,10及び被案内面18,19の周長が長くなって接触面圧(P)が低くなる。特に、図2、図3に示すような遊星回転体105の支持用途では、遊星回転体105の公転運動に伴う大きな遠心力の作用で潤滑油が外輪2の内周側へ移動するため、図1に示す保持器案内面9,10及び被案内面18,19に供給され易くなり、保持器案内面9,10及び被案内面18,19の潤滑性が向上する。これらPV値の抑制及び潤滑性により、被案内面18,19及び保持器案内面9,10の摩耗及び焼き付きが防止される。
さらに、第一実施形態に係るころ軸受は、保持器本体11に固着される別部品の第一リング12の被案内面18及び第二リング13の被案内面19が保持器本体11の表面に比して低い摩擦係数をもっているので、その被案内面18,19の優れた摺動性により、保持器案内面9,10及び被案内面18,19の摩耗及び焼き付きが一層防止される。保持器案内面9,10及び被案内面18,19の摩耗を防止すれば、案内すきまの拡大を抑えて保持器4の転動体案内化を防ぎ、柱部17の異常摩耗を防止することにもなる。
また、第一実施形態に係るころ軸受は、ポケット16を境とした保持器4の軸方向両側において被案内面18と保持器案内面9との接触、及び被案内面19と保持器案内面10との接触が可能となっているので、図2、図3に示す遊星回転体105の公転運動に伴う大きな遠心力が保持器4に作用した場合でも、保持器4の傾きが抑えられる。これにより、被案内面18と保持器案内面9との接触面積の減少、及び被案内面19と保持器案内面10との接触面積の減少が抑えられると共に、柱部17ところ3との異常な接触も防止されるので、被案内面18,19及び保持器案内面9,10の摩耗及び焼き付きがより防止される共に、柱部17の異常摩耗がより防止される。
このように、第一実施形態に係るころ軸受は、図2、図3に示すように、遊星減速機に備わる遊星回転体105を支持する場合でも、図1に示す保持器4の被案内面18,19及び外輪2の保持器案内面9,10間でのPV値の抑制を図り、保持器4の被案内面18,19及び外輪2の保持器案内面9,10の潤滑性を向上させ、保持器4の被案内面18,19において摺動性を向上させ、さらに保持器案内面9,10と被案内面18,19との接触時における保持器4の傾きを抑えることが可能なため、保持器案内部分である保持器案内面9,10及び被案内面18,19の摩耗及び焼き付きを防止すると共に、保持器4の柱部17の異常摩耗を防止することができる。
また、第一実施形態に係るころ軸受は、被案内面18,19と保持器案内面9,10とが同軸に配置された保持器4及び外輪2の中心軸を含む仮想平面上で平行する面形状になっているので、被案内面18と保持器案内面9との接触態様や、被案内面19と保持器案内面10との接触態様を面接触として摩耗防止を図ることができる。
また、第一実施形態に係るころ軸受は、第一リング12及び第二リング13がそれぞれ樹脂材料によって、又は黒鉛を含有している焼結材料によって形成されているので、被案内面18,19に自己潤滑性をもたせることができる。
また、第一実施形態に係るころ軸受は、外輪2の内周と径方向に対向する領域内に限って第一リング12及び第二リング13が存在しているので、軸受周辺部品への影響を与えることがなく、既存のころ軸受との置き換えが可能である。
なお、第一実施形態では、外輪2の軌道面8と保持器案内面9,10を同一面としたが、軌道面8と保持器案内面を異なる面にしてもよい。また、第一実施形態では、第一リング12、第二リング13をそれぞれ単一材料で形成してリング全体を保持器本体11の表面よりも低摩擦係数にしたが、少なくとも被案内面18,19とする部分において低摩擦係数にすればよく、リングの被案内面にする部分と残りの環状部分とを互いに異なる材料で形成し、その環状部分でリングの機械的強度を向上させてもよい。その一例としての第二実施形態を図4に示す。なお、以下では、第一実施形態との相違点を述べるに留める。
図示のように、第二実施形態に係るころ軸受は、外輪20の内周に円筒面状の保持器案内面21,22が形成され、保持器30の第一リング31,第二リング32に円筒面状の被案内面33,34が形成されている。これら円筒面状の中心軸は、外輪20の中心軸、保持器30の中心軸に一致している。同軸に配置された保持器30及び外輪20の中心軸を含む仮想平面上で被案内面33,34と保持器案内面21,22とが軸方向に対して角度をもたない。このため、遠心力の方向に被案内面33,34と対応の保持器案内面21又は保持器案内面22とが接触したとき、軸方向の分力が発生せず、保持器30が確実に案内される。
第一リング31及び第二リング32は、それぞれ鋼によって環状に形成された輪体部35,36を有する。輪体部35及び輪体部36は、それぞれ円筒面状の内径面及び外径面を有する。
被案内面33及び被案内面34は、それぞれ対応の輪体部35又は輪体部36の外周面を覆うように定着させられた表面処理層からなる。この表面処理は、被案内面33,34の摺動性を輪体部35,36の表面や保持器本体37の表面よりも向上させるためのものであり、なるべく自己潤滑性に優れるものが好ましい。その表面処理として、特に保持器本体37の表面よりも低摩擦係数になるようなものが好ましく、例えば、フッ素樹脂コーティング、モリブテンコーティング、DLCコーティング、セラミックコーティング、硬質クロムメッキ等が挙げられる。
図中においては、被案内面33,34を形成している表面処理層の厚さを誇張して描いている。第一リング31及び第二リング32の径方向の略全域が対応の輪体部35又は輪体部36によって構成されている。このため、第一リング31及び第二リング32のそれぞれの機械的強度は、対応の輪体部35又は輪体部36によって実質的に設定されている。
一方、保持器本体37は、樹脂又は高力黄銅によって形成されている。このため、保持器本体37の柱部がころ3に異常に接触した際、ころ3に対する保持器本体37の攻撃性は、鋼製の同形の保持器本体に比して低くなる。その代わり、保持器本体37の変形に対する剛性は、鋼製の同形の保持器本体に比して劣ることになる。
第一リング31の輪体部35、第二リング32の輪体部36を形成する材料である鋼の弾性率は、保持器本体37を形成する材料である樹脂材料又は焼結材料に比して高い。すなわち、第一リング31及び第二リング32は、それぞれ対応の輪体部35又は輪体部36において保持器本体37の材料よりも高い弾性率をもった材料によって環状に形成されている。このため、保持器30と同形の保持器を保持器本体37の材料のみで形成した場合に比して、保持器30の変形に対する剛性は、第一リング31及び第二リング32によって向上させられている。
遊星回転体の公転運動による遠心力が保持器30に作用して、第一リング31の被案内面33が外輪20の保持器案内面21に接触し、第二リング32の被案内面34が保持器案内面22に接触すると、保持器30は、当該遠心力の作用する方向に短径化するような楕円変形を生じる。この際、楕円変形する保持器本体37においては、ポケットすきまが減少するポケットが発生する。第二実施形態では、前述のように、保持器30の変形に対する剛性が第一リング31及び第二リング32によって向上させられているので、前述の楕円変形が抑えられ、ひいては保持器本体37の柱部の異常摩耗が防止される。
このように、第二実施形態に係るころ軸受は、遊星回転体を支持する場合でも、保持器30の被案内面33,34及び外輪20の保持器案内面21,22間でのPV値の抑制を図り、保持器30の被案内面33,34及び外輪20の保持器案内面21,22の潤滑性を向上させ、保持器4の被案内面33,34において摺動性を向上させ、さらに、保持器案内面21,22と被案内面33,34との接触時における保持器30の楕円変形及び傾きを抑えることが可能なため、第一実施形態よりも一層、保持器案内面21,22及び被案内面33,34の摩耗及び焼き付きを防止すると共に、保持器30の柱部の異常摩耗を防止することができる。
また、第二実施形態に係るころ軸受は、第一リング31及び第二リング32がそれぞれ鋼によって環状に形成された輪体部35,36を有しており、被案内面33,34が輪体部35,36に施された表面処理層からなるので、保持器30の楕円変形に対する剛性を第一リング31、第二リング32によって向上させつつ、被案内面33,34に優れた摺動性をもたせることができる。
第一実施形態や第二実施形態では、第一リング、第二リングの外周全周に亘って被案内面を設けたが、被案内面を周方向に断続的に設けてもよい。その一例として、第三実施形態に係るころ軸受を図5に示す。
図示のように、第三実施形態に係る保持器40では、保持器本体41に固着された第一リング42の外周及び第二リング43の外周のそれぞれと外輪2の内周との間に設定された径方向の隙間幅が、周方向に一定間隔で異なっている。なお、図5は、第三実施形態に係るころ軸受の第一リング42側の側面を示しているが、第二リング43における前述の隙間幅変化は第一リング42と共通になっているので、以下、第一リング42側を例に詳細を説明する。
図6に示すように、第一リング42は、周方向に均等間隔で径方向に突き出た突起部44を有する。被案内面45は、突起部44の径方向の先端に設けられている。第一リング42のうち、周方向に隣り合う突起部44間の外周部分は、第一リング42の軸方向幅全域に亘って被案内面45よりも小さな外径をもった中間面46になっている。したがって、図5に示すように、中間面46と外輪2の内周との間に設定された隙間gの径方向幅は、被案内面45と外輪2の内周との間に設定された案内すきまに比して大きくなる。このため、潤滑油は、前述の案内すきまに入りにくく、これに比して、隙間gに入り易くなっている。すなわち、第一リング42の外周と外輪2の内周との間を軸方向に横断する通油性は、隙間gによって向上させられている。
突起部44の周方向のピッチと、保持器40によるころ3の周方向等配のピッチは、一致している。すなわち、突起部44は、ころ3の端面と軸方向に向き合う周方向範囲に限って存在している。軸受内部で周方向に隣り合うころ3間の空間は、隙間gから軸方向に軸受外部側へ向かって開口している。その開口面積は、ころ3の端面に対して周方向に食み出ない突起部44を採用しているので、突起部44によって減少させられていない。このため、突起部44は、前述のころ3間の空間への潤滑油流入を妨げない。
このように、第三実施形態に係るころ軸受は、第一リング42及び第二リング43がそれぞれころ3に一致する周方向間隔で径方向に突き出た突起部44を有しており、被案内面45が突起部44に設けられているので、突起部44で周方向に隣り合うころ3間の空間への潤滑油流入を妨げることなく、周方向に隣り合う突起部44間の隙間gにより、第一リング42、第二リング43のそれぞれと外輪2の内周との間の通油性を向上させることができる。
第四実施形態を図7に基づいて説明する。第四実施形態に係るころ軸受は、第一〜第三実施形態に係るころ軸受のいずれかにおいて、軸受形式を円すいころ軸受から円筒ころ軸受に変更した点で相違するものである。外輪50は、軸方向の両側につば51,52をもっている。保持器案内面53,54は、それぞれ対応のつば51,52の内周に円筒面状に形成されている。保持器案内面53,54は、同径になっいる。保持器本体60の第一環状部61と第二環状部62は同形とされ、第一リング63と第二リング64は同形とされている。第一リング63に形成された被案内面65、及び第二リング64に形成された被案内面66は、前述の仮想平面上において軸方向に沿っている(軸方向に対する角度0°)。このため、被案内面65,66と保持器案内面53,54とは、前述の仮想平面上において平行する面形状となっている。
第五実施形態を図8に基づいて説明する。第五実施形態に係るころ軸受は、第一〜第三実施形態に係るころ軸受のいずれかにおいて、軸受形式を円すいころ軸受から自動調心ころ軸受に変更した点で相違するものである。外輪70は、球面ころ81,82に対応の球面軌道71を内周にもっている。保持器本体90は、保持器幅を規定する一対の第一環状部91と、保持器幅中央に位置する第二環状部92とを有する。第一環状部91,91のそれぞれと第二環状部92との間が柱部93でポケットに区切られている。第一環状部91,91のそれぞれに第一リング94が固着され、第二環状部92に第一リング94よりも外径の大きな第二リング95が固着されている。外輪70の内周のうち、球面軌道71を軸方向両側に延長した内周部分に、第一リング94に形成された被案内面96を案内する保持器案内面72,72が形成されている。また、球面軌道71のうち、複列の球面ころ81,82と接触しない軸方向中央部は、第二リング95に形成された被案内面97を案内する保持器案内面73となる。被案内面96は、前述の仮想平面上において球面軌道71と同一面を成す保持器案内面72に沿っており、被案内面97は、前述の仮想平面上において球面軌道71に含まれた保持器案内面73に沿っている。このため、被案内面96,97と保持器案内面72,73とは、前述の仮想平面上において平行する面形状となっている。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 内輪
2,20,50,70 外輪
3 ころ
4,30,40 保持器
9,10,21,22,53,54,72,73 保持器案内面
11,37,41,60,90 保持器本体
12,31,42,63,94 第一リング
13,32,43,64,95 第二リング
14,61,91 第一環状部
15,62,92 第二環状部
16 ポケット
17,93 柱部
18,19,33,34,45,65,66,96,97 被案内面
35,36 輪体部
44 突起部
2,20,50,70 外輪
3 ころ
4,30,40 保持器
9,10,21,22,53,54,72,73 保持器案内面
11,37,41,60,90 保持器本体
12,31,42,63,94 第一リング
13,32,43,64,95 第二リング
14,61,91 第一環状部
15,62,92 第二環状部
16 ポケット
17,93 柱部
18,19,33,34,45,65,66,96,97 被案内面
35,36 輪体部
44 突起部
Claims (9)
- 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪間に介在する複数のころと、これらころを保持する保持器とを備えるころ軸受において、
前記保持器が、一体に形成された保持器本体と、前記保持器本体に固着された第一リング及び第二リングとを有しており、
前記保持器本体に第一環状部と、第二環状部と、これら両環状部間をポケットに分ける柱部とが形成されており、
前記第一リングが前記第一環状部に固着されており、
前記第二リングが前記第二環状部に固着されており、
前記保持器を径方向に案内する保持器案内面が、前記外輪の内周にのみ設けられており、
前記保持器のうち、前記保持器案内面によって案内される被案内面が、前記第一リング及び前記第二リングに設けられており、
前記被案内面が、前記保持器本体の表面に比して低い摩擦係数をもっていることを特徴とするころ軸受。 - 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪間に介在する複数のころと、これらころを保持する保持器とを備えるころ軸受において、
前記保持器が、一体に形成された保持器本体と、前記保持器本体に固着された第一リング及び第二リングとを有しており、
前記保持器本体に第一環状部と、第二環状部と、これら両環状部間をポケットに分ける柱部とが形成されており、
前記第一リングが前記第一環状部に固着されており、
前記第二リングが前記第二環状部に固着されており、
前記保持器を径方向に案内する保持器案内面が、前記外輪の内周にのみ設けられており、
前記保持器のうち、前記保持器案内面によって案内される被案内面が、前記第一リング及び前記第二リングに設けられており、
前記第一リング及び前記第二リングが、それぞれ前記保持器本体の材料に比して高い弾性率をもった材料によって環状に形成されていることを特徴とするころ軸受。 - 前記第一リング及び前記第二リングが、それぞれ前記保持器本体の材料に比して高い弾性率をもった材料によって環状に形成されている請求項1に記載のころ軸受。
- 前記被案内面と前記保持器案内面とが、同軸に配置された前記保持器及び前記外輪の中心軸を含む仮想平面上で平行する面形状になっている請求項1から3のいずれか1項に記載のころ軸受。
- 前記第一リング及び前記第二リングが、それぞれ前記ころに一致する周方向間隔で径方向に突き出た突起部を有しており、
前記被案内面が、前記突起部に設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載のころ軸受。 - 前記保持器本体が、鋼、樹脂又は高力黄銅によって形成されている請求項1から5のいずれか1項に記載のころ軸受。
- 前記第一リング及び前記第二リングが、それぞれ樹脂材料によって、又は黒鉛を含有している焼結材料によって形成されている請求項1から6のいずれか1項に記載のころ軸受。
- 前記第一リング及び前記第二リングが、それぞれ鋼によって環状に形成された輪体部を有しており、
前記被案内面が、前記輪体部に施された表面処理層からなる請求項1から6のいずれか1項に記載のころ軸受。 - 遊星減速機に備わる遊星回転体とキャリヤとの間に配置される請求項1から8のいずれか1項に記載のころ軸受。
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