JP2017115921A - ロボット、歯車装置および歯車装置の製造方法 - Google Patents

ロボット、歯車装置および歯車装置の製造方法 Download PDF

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浩之 楠本
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Abstract

【課題】許容トルクを大きくすることができる歯車装置を有するロボットを提供すること、また、許容トルクを大きくすることができる歯車装置およびその製造方法を提供すること。【解決手段】本発明のロボットは、基台111と、基台111に対して回動可能に設けられた第1アーム121と、第1アーム121を基台111に対して回動させる駆動力を伝達する歯車装置1と、を有し、歯車装置1は、互いに軸線まわりに回転可能に内外で噛み合っていて、軸線に対して傾斜している歯スジを有する可撓性歯車および剛性歯車を備える。【選択図】図12

Description

本発明は、ロボット、歯車装置および歯車装置の製造方法に関するものである。
少なくとも1つのアームを含んで構成されたロボットアームを備えるロボットでは、例えば、ロボットアームの関節部をモーターにより駆動するが、一般に、そのモーターからの駆動力を減速機により減速することが行われている。このような減速機として、可撓性歯車および剛性歯車が互いに噛み合っている波動歯車装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−166186号公報
特許文献1に記載の歯車装置は、可撓性歯車および剛性歯車がそれぞれ平歯車である。そのため、両歯車の互いに噛み合ったときの剛性が低く、許容トルクが小さいという問題があった。
本発明の目的は、許容トルクを大きくすることができる歯車装置を有するロボットを提供すること、また、許容トルクを大きくすることができる歯車装置およびその製造方法を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のロボットは、第1部材と、
アームを含んで構成され、前記第1部材に対して回動可能に設けられた第2部材と、
前記第1部材に対して回動する駆動力を前記第2部材に伝達する歯車装置と、を有し、
前記歯車装置は、可撓性歯車と剛性歯車を備え、
前記可撓性歯車と前記剛性歯車は、一方が外歯車であり他方が内歯車であり、互いに軸線まわりに回転可能に噛み合っていて、前記軸線に対して傾斜している歯スジを有することを特徴とする。
このようなロボットによれば、可撓性歯車および剛性歯車の歯スジが軸線に対して傾斜しているため、これらの歯車の噛み合いの剛性を高めることができる。その結果、歯車装置の許容トルクを大きくすることができる。
本発明のロボットでは、前記可撓性歯車が前記外歯車であり、
前記剛性歯車が前記内歯車であることが好ましい。
これにより、歯車装置の製造が容易であるとともに歯車装置の構成の簡単化を図ることができる。
本発明のロボットでは、前記可撓性歯車は、筒状の胴体部と、前記胴体部の一端部側に配置されている底部と、を有することが好ましい。
これにより、剛性歯車に対する可撓性歯車の良好な撓み噛み合いを実現することができる。また、底部に入力軸または出力軸を安定的に接続することができる。
本発明のロボットでは、前記可撓性歯車は、筒状の胴体部と、前記胴体部の一端部側に配置されているフランジ部と、を有することが好ましい。
これにより、剛性歯車に対する可撓性歯車の良好な撓み噛み合いを実現することができる。また、フランジ部に入力軸または出力軸を安定的に接続することができる。
本発明のロボットでは、前記可撓性歯車および前記剛性歯車がそれぞれハスバ歯車であることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、可撓性歯車および剛性歯車の歯スジを軸線に対して傾斜させることができる。
本発明のロボットでは、前記可撓性歯車および前記剛性歯車の前記軸線方向での相対位置を規制する規制部材を備えることが好ましい。
これにより、可撓性歯車および剛性歯車の噛み合いを良好な状態に維持することができる。
本発明のロボットでは、前記可撓性歯車および前記剛性歯車がそれぞれヤマバ歯車であることが好ましい。
これにより、歯車装置の小型化を図りつつ、可撓性歯車および剛性歯車の軸線方向での相対的な位置ずれを低減することができる。
本発明のロボットでは、前記可撓性歯車および前記剛性歯車の歯数が互いに異なることが好ましい。
これにより、減速機を実現することができる。
本発明のロボットでは、前記歯車装置が減速機であることが好ましい。
これにより、駆動力を減速して第2部材を第1部材に対して回動させることができる。
本発明のロボットは、可撓性歯車と剛性歯車を備え、
前記可撓性歯車と前記剛性歯車は、互いに軸線まわりに回転可能に内外で噛み合っていて、前記軸線に対して傾斜している歯スジを有することを特徴とする。
このような歯車装置によれば、可撓性歯車および剛性歯車の歯スジが軸線に対して傾斜しているため、これらの歯車の噛み合いの剛性を高めることができる。その結果、歯車装置の許容トルクを大きくすることができる。
本発明の歯車装置の製造方法は、本発明の歯車装置を製造する方法であって、
前記可撓性歯車および前記剛性歯車を用意する工程と、
前記可動性歯車および前記剛性歯車を互いに内外で噛み合わせる工程と、を含むことを特徴とする。
このような歯車装置の製造方法によれば、許容トルクの大きい歯車装置を得ることができる。
本発明の歯車装置の製造方法では、前記可撓性歯車および前記剛性歯車のうちの少なくとも一方の歯車が複数の部材に分割可能であることが好ましい。
これにより、可撓性歯車および剛性歯車がそれぞれヤマバ歯車であっても、容易に、可動性歯車および剛性歯車を組み立てることができる。
本発明の第1実施形態に係る歯車装置を示す分解斜視図である。 図1に示す歯車装置の縦断面図である。 図1に示す歯車装置の正面図である。 図1に示す歯車装置が備える可撓性歯車の歯スジ形状を説明する図である。 図1に示す歯車装置の製造方法を説明する図である。 図5に示す組立工程を説明する図である。 図5に示す組立工程の他の例を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る歯車装置を示す縦断面図である。 図8に示す歯車装置が備える可撓性歯車の歯スジ形状を説明する図である。 本発明の第3実施形態に係る歯車装置を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る歯車装置を示す縦断面図である。 本発明のロボットの実施形態の概略構成を示す図である。
以下、本発明のロボット、歯車装置および歯車装置の製造方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.歯車装置およびその製造方法
まず、本発明の歯車装置およびその製造方法の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る歯車装置を示す分解斜視図である。図2は、図1に示す歯車装置の縦断面図である。図3は、図1に示す歯車装置の正面図である。図4は、図1に示す歯車装置が備える可撓性歯車の歯スジ形状を説明する図である。なお、各図では、説明の便宜上、各部の寸法を適宜誇張して図示しており、各部間の寸法比は実際の寸法比とは必ずしも一致しない。
図1ないし図3に示す歯車装置1は、波動歯車装置であり、例えば減速機として用いられる。この歯車装置1は、内歯車である剛性歯車2と、剛性歯車2の内側に配置されているカップ型の外歯車である可撓性歯車3と、可撓性歯車3の内側に配置されている波動発生器4と、を有している。この歯車装置1では、可撓性歯車3が外歯車であり、剛性歯車2が内歯車であるため、歯車装置1の製造が容易であるとともに歯車装置1の構成の簡単化を図ることができる。
この歯車装置1では、可撓性歯車3の横断面が波動発生器4により楕円形または長円形に変形した部分を有し、当該部分の長軸側の両端部において可撓性歯車3が剛性歯車2と噛み合っている。そして、剛性歯車2および可撓性歯車3の歯数が互いに異なっている。
このような歯車装置1において、例えば、駆動源から波動発生器4に駆動力が入力されると、剛性歯車2および可撓性歯車3は、互いの噛み合い位置が周方向に移動しながら、歯数差に起因して軸線aまわりに相対的に回転する。これにより、駆動源から波動発生器4に入力された駆動力を減速して可撓性歯車3から出力することができる。すなわち、波動発生器4を入力軸側、可撓性歯車3を出力軸側とする減速機を実現することができる。
以下、歯車装置1の各部を順次簡単に説明する。
図1ないし図3に示すように、剛性歯車2は、径方向に実質的に撓まない剛体で構成された歯車であって、内歯23を有するリング状の内歯車である。特に、この剛性歯車2は、ヤマバ歯車である。すなわち、内歯23は、軸線aに対して一方側に傾斜した歯211と、他方側に傾斜した歯221と、を有する。なお、剛性歯車2の歯スジは、可撓性歯車3の歯スジの説明とともに、後に詳述する。
本実施形態では、剛性歯車2は、歯211を有するリング状の部材21と、歯221を有するリング状の部材22と、で構成されている。これらの部材21、22は、軸線a方向での一方側と他方側とに分割可能である。また、これらの部材21、22は、例えば、ネジ留め、嵌め合い等によって互いに固定されている。
可撓性歯車3は、剛性歯車2の内側に挿通されている。この可撓性歯車3は、径方向に撓み変形可能な可撓性を有する歯車であって、剛性歯車2の内歯23に噛み合う外歯33を有する外歯車である。また、可撓性歯車3の歯数は、剛性歯車2の歯数よりも少ない。このように可撓性歯車3および剛性歯車2の歯数が互いに異なることにより、減速機を実現することができる。
特に、可撓性歯車3は、ヤマバ歯車である。すなわち、外歯33が、軸線aに対して一方側に傾斜した歯311と、他方側に傾斜した歯312と、を有する。なお、可撓性歯車3の歯スジについては、後に詳述する。
本実施形態では、可撓性歯車3は、一端が開口したカップ状をなし、その開口側の端部に外歯33が形成されている。すなわち、可撓性歯車3は、軸線aまわりに筒状(より具体的には円筒状)をなす胴体部31(筒部)と、胴体部31の軸線a方向での一端部側に軸線a側に突出して設けられた底部32と、を有する。これにより、胴体部31の底部32とは反対側の端部を径方向に撓み易くすることができる。そのため、剛性歯車2に対する可撓性歯車3の良好な撓み噛み合いを実現することができる。また、胴体部31の底部32側の端部の剛性を高めることができる。そのため、底部32に入力軸または出力軸を安定的に接続することができる。
また、図2に示すように、底部32には、軸線aに沿って貫通した孔321と、孔321の周囲において貫通した複数の孔322と、が形成されている。孔321には、出力側の軸体を挿通することができる。また、孔322には、出力側の軸体を底部32に固定するためのネジを挿通するネジ孔として用いることができる。なお、これらの孔は、適宜設ければよく、省略することもできる。
図2に示すように、波動発生器4は、可撓性歯車3の内側に配置され、軸線aまわりに回転可能である。そして、波動発生器4は、可撓性歯車3の底部32とは反対側の部分の横断面を長軸Laおよび短軸Lbとする楕円形または長円形に変形させて外歯33を剛性歯車2の内歯23に噛み合わせる。ここで、可撓性歯車3および剛性歯車2は、同一の軸線aまわりに回転可能に互いに内外で噛み合わされこととなる。
本実施形態では、波動発生器4は、本体部41と、本体部41から軸線aに沿って突出した軸部42と、本体部41に対して軸線aに平行な軸線a1まわりに回転可能に設けられた1対のローラー43と、を有する。このような波動発生器4は、1対のローラー43が可撓性歯車3の内周面上を転動しながら可撓性歯車3を内側から押し広げて、本体部41、軸部42および1対のローラー43が軸線aまわりに回転可能である。したがって、例えば、駆動源から波動発生器4に駆動力が入力されると、剛性歯車2および可撓性歯車3の互いの噛み合い位置が周方向に移動する。
以上、歯車装置1の各部を簡単に説明した。このような歯車装置1では、可撓性歯車3および剛性歯車2の歯スジが軸線aに対して傾斜しているため、可撓性歯車3および剛性歯車2として平歯車を用いた場合に比べて、噛み合い長さを長くするとともに、噛み合い歯数を増やすことができ、そのため、これらの歯車の噛み合いの剛性を高めることができる。その結果、歯車装置1の許容トルクを大きくすることができる。また、歯車装置1の振動および騒音を低減することもできる。
以下、可撓性歯車3および剛性歯車2の歯スジについて詳述する。
前述したように、本実施形態では、可撓性歯車3および剛性歯車2がそれぞれヤマバ歯車である。これにより、これらの歯車の軸線a方向に生じる荷重(スラスト荷重)を低減することができる。そのため、このような荷重により歯車の位置ずれを防止するための軸受等の機構が不要となる。このようなことから、歯車装置1の小型化を図りつつ、可撓性歯車3および剛性歯車2の軸線a方向での相対的な位置ずれを低減することができる。
ここで、可撓性歯車3および剛性歯車2のスラスト荷重を効果的に低減する観点から、可撓性歯車3の内側に波動発生器4が挿入されて可撓性歯車3が剛性歯車2に噛み合うように変形した状態において、可撓性歯車3および剛性歯車2の噛み合っている部分の軸線aに対する歯スジの傾斜角度(ねじれ角)が互いに等しいことが好ましい。
より具体的に説明すると、剛性歯車2の歯211(歯スジ)の軸線aに対する傾斜角度(ねじれ角度)と、歯221(歯スジ)の軸線aに対する傾斜角度(ねじれ角)とが互いに等しいことが好ましい。なお、剛性歯車2の歯211の軸線aに対する傾斜角度(ねじれ角度)と、歯221の軸線aに対する傾斜角度(ねじれ角)とが互いに異なっていてもよい。この場合、可撓性歯車3の変形に伴うスラスト荷重を打ち消すように、これらの歯スジの傾斜角度を設定することが好ましい。
一方、可撓性歯車3の歯スジは剛性歯車2の歯スジに応じて決められるが、可撓性歯車3は、波動発生器4が内部に挿入されていない状態(自然状態)において、胴体部31が円筒状をなす。この状態において、図4に示すように、可撓性歯車3の歯311(歯スジ)の軸線aに対する傾斜角度(ねじれ角)θ1が、歯312(歯スジ)の軸線aに対する傾斜角度(ねじれ角)θ2よりも小さいことが好ましい。これにより、可撓性歯車3の内側に波動発生器4が挿入された状態において、傾斜角度θ1と傾斜角度θ2との差を小さくすることができる。ここで、傾斜角度θ1、θ2は、波動発生器4が挿入される領域や外歯33の軸線a方向での位置等に応じて設定される。
また、具体的な傾斜角度θ1、θ2は、特に限定されないが、例えば、1°以上45°以下であることが好ましく、5°以上30°以下であることがより好ましい。
以上説明したような歯スジを有する可撓性歯車3および剛性歯車2を有する歯車装置1は、以下のようにして製造することができる。
(歯車装置の製造方法)
以下、本発明の歯車装置の製造方法について、歯車装置1を製造する場合を例に説明する。
図5は、図1に示す歯車装置の製造方法を説明する図である。図6は、図5に示す組立工程を説明する図である。図7は、図5に示す組立工程の他の例を説明する図である。
図5に示すように、歯車装置1の製造方法は、[1]可撓性歯車3および剛性歯車2を用意する工程(ステップS1)と、[2]可動性歯車3および剛性歯車2を互いに内外で噛み合わせる工程(ステップS2)と、を有する。これにより、前述したような許容トルクの大きい歯車装置1を得ることができる。以下、各工程を順次説明する。
[1]
まず、可撓性歯車3および剛性歯車2を用意する。また、本工程では、波動発生器4も用意する。ここで、剛性歯車2は、前述したように、2つの部材21、22に分割可能であり、分割された状態とする。
これらの形成方法としては、特に限定されず、各種機械加工および各種成形方法を用いることができるが、可撓性歯車3および剛性歯車2を形成するに際しては、転造を用いて外歯33または内歯23を形成する方法、射出成形を用いて可撓性歯車3または剛性歯車2を形成する方法、または、ハスバ歯車を2つ形成してこれらを接合して可撓性歯車3または剛性歯車2を得る方法のいずれかを採用することが好ましい。これらの方法によれば、切削により可撓性歯車3または剛性歯車2を形成する場合に比べて、可撓性歯車3または剛性歯車2の形成が容易となる。
また、可撓性歯車3、剛性歯車2および波動発生器4の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種セラミックス材料、各種金属材料、各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
[2]
次に、可動性歯車3および剛性歯車2を互いに内外で噛み合わせる。具体的に説明すると、本実施形態では、図6に示すように、可撓性歯車3の内側に波動発生器4を挿入しておき、まず、剛性歯車2の部材21を可撓性歯車3の底部32側から可撓性歯車3に噛み合わせる。その後、剛性歯車2の部材22を可撓性歯車3の底部32とは反対側から可撓性歯車3に噛み合わせて、部材21、22を互いに固定する。
このように、剛性歯車2が複数の部材21、22に分割可能であることにより、可撓性歯車3および剛性歯車2がそれぞれヤマバ歯車であっても、容易に、可動性歯車3および剛性歯車2を組み立てることができる。なお、剛性歯車2の分割数は3つ以上であってもよい。可撓性歯車3を複数の部材に分割可能にすることによっても、可撓性歯車3および剛性歯車2の組み立てを容易に行うことができる。また、軸線aに対して垂直な面に沿って可撓性歯車3または剛性歯車2を分割する場合に限定されず、例えば、軸線aを含む平面に沿って可撓性歯車3または剛性歯車2を分割してもよい。
なお、可撓性歯車3および剛性歯車の組み立て方法は、前述したものに限定されない。例えば、波動発生器4の1対のローラー43の間隔を短縮可能に構成しておき、図7に示すように、1対のローラー43の間隔を短縮して波動発生器4を可撓性歯車3内に挿入した状態で、可撓性歯車3および剛性歯車2を互いに噛み合わせた後に、1対のローラー43の間隔を拡げることによって、可撓性歯車3および剛性歯車2の組み立てを行ってもよい。また、波動発生器4に代えて楕円軸受を用いた波動発生器を用い、可撓性歯車3および剛性歯車2を互いに噛み合わせた後に、かかる波動発生器の楕円軸受を冷やし嵌めにより可撓性歯車3内に固定してもよい。
以上説明したようにして歯車装置1を製造することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の歯車装置の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る歯車装置を示す縦断面図である。図9は、図8に示す歯車装置が備える可撓性歯車の歯スジ形状を説明する図である。
本実施形態は、可撓性歯車および剛性歯車の歯スジ形状が異なるとともに、可撓性歯車および剛性歯車の軸線方向での相対位置を規制する規制部材を設けた以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図8および図9において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
歯車装置1Aは、内歯車である剛性歯車2Aと、剛性歯車2Aの内側に配置されているカップ型の外歯車である可撓性歯車3Aと、可撓性歯車3Aの内側に配置されている波動発生器4と、剛性歯車2Aおよび可撓性歯車3Aの相対回転を許容しつつこれらに固定された規制部材5と、を有している。
可撓性歯車3Aは、外歯33Aを有し、一方、剛性歯車2Aは、外歯33Aに噛み合う内歯23Aを有する。可撓性歯車3Aおよび剛性歯車2Aは、それぞれ、ハスバ歯車である。これにより、比較的簡単な構成で、可撓性歯車3Aおよび剛性歯車2Aの歯スジを軸線aに対して傾斜させることができる。
可撓性歯車3の外歯33A(歯スジ)の軸線aに対する傾斜角度(ねじれ角)θ3は、特に限定されないが、例えば、1°以上45°以下であることが好ましく、5°以上30°以下であることがより好ましい(図9参照)。
このような歯スジを有する可撓性歯車3Aおよび剛性歯車2Aにおいては、可撓性歯車3および剛性歯車2の回転に伴ってスラスト荷重が発生する。そこで、図8に示すように、歯車装置1Aは、可撓性歯車3Aおよび剛性歯車2Aの軸線a方向での相対位置を規制する規制部材5を備える。これにより、可撓性歯車3Aおよび剛性歯車2Aの噛み合いを良好な状態に維持することができる。
この規制部材5は、剛性歯車2Aに固定されたハウジング51と、可撓性歯車3Aの底部32に固定されたボス52と、ハウジング51とボス52との間に設けられた軸受53と、を有する。ここで、ボス52は、孔321、322に対応した孔521、522を有する。また、軸受53は、外輪531、内輪532および複数のボール533を有するラジアル玉軸受である。なお、軸受53は、アキシアル荷重を負荷することができるものであれば、これに限定されず、例えば、スラスト玉軸受、ラジアルころ軸受、スラストころ軸受であってもよい。また、外輪531は、ハウジング51と一体で形成されていてもよく、また、内輪532は、ボス52と一体で形成されていてもよい。また、ハウジング51は、剛性歯車2Aと一体で形成されていてもよい。
以上説明したような本実施形態の歯車装置1Aによっても、許容トルクを大きくすることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の歯車装置の第3実施形態について説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る歯車装置を示す図である。
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。
図10に示す歯車装置1Bは、環状の波動発生器6と、波動発生器6の内側に配置されている内歯車である可撓性歯車62と、可撓性歯車62の内側に配置されている外歯車である剛性歯車7と、を有する。
波動発生器6は、楕円形の内周面を有する剛性カム部材61と、剛性カム部材61と可撓性歯車62との間に配置されている複数のボール63と、を有する。ここで、剛性カム部材61および可撓性歯車62は、軸受の内輪および外輪と同様の機能を有する。
可撓性歯車62は、内歯64を有し、一方、剛性歯車7は、内歯64に噛み合う外歯71を有する。そして、可撓性歯車62および剛性歯車7は、それぞれ、ヤマバ歯車である。
このような歯車装置1Bでは、可撓性歯車62の横断面が波動発生器6により楕円形または長円形に変形した部分を有し、当該部分の単軸側の両端部において可撓性歯車62が剛性歯車7と噛み合っている。そして、剛性歯車7および可撓性歯車62の歯数が互いに異なっている。
以上説明したような本実施形態の歯車装置1Bによっても、許容トルクを大きくすることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の歯車装置の第4実施形態について説明する。
図11は、本発明の第4実施形態に係る歯車装置を示す縦断面図である。
本実施形態は、可撓性歯車の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図11において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
歯車装置1Cは、剛性歯車2の内側に配置されているハット型の外歯車である可撓性歯車3Cを有している。
この可撓性歯車3Cは、軸線aまわりに筒状をなす胴体部31の軸線a方向での一端部側に軸線aとは反対側に突出して設けられたフランジ部32Cを有する。このような形状の可撓性歯車3Cによっても、剛性歯車2に対する可撓性歯車3Cの良好な撓み噛み合いを実現することができる。また、フランジ部32Cに入力軸または出力軸を安定的に接続することができる。
本実施形態では、フランジ部32Cには、軸線aに沿って貫通した複数の孔322Cが形成されている。この孔322Cには、出力側の軸体をフランジ部32Cに固定するためのネジを挿通するネジ孔として用いることができる。また、フランジ部32Cの内周部321Cには、出力側の軸体を挿通することができる。
以上説明したような本実施形態の歯車装置1Cによっても、許容トルクを大きくすることができる。
2.ロボット
次に、本発明のロボットの実施形態について説明する。
図12は、本発明のロボットの実施形態の概略構成を示す図である。
図12に示すロボット100は、精密機器やこれを構成する部品(対象物)の給材、除材、搬送および組立等の作業を行うことができる。
ロボット100は、6軸の垂直多関節ロボットであり、基台111と、基台111に接続されたロボットアーム120と、ロボットアーム120の先端部に設けられた力検出器140とハンド130と、を有する。また、ロボット100は、ロボットアーム120を駆動させる動力を発生させる複数の駆動源(モーター150および歯車装置1を含む)を制御する制御装置110と、を有している。
基台111は、ロボット100を任意の設置箇所に取り付ける部分である。なお、基台111の設置箇所は、特に限定されず、例えば、床、壁、天井、移動可能な台車上などが挙げられる。
ロボットアーム120は、第1アーム121(アーム)と、第2アーム122(アーム)と、第3アーム123(アーム)と、第4アーム124(アーム)と、第5アーム125(アーム)と、第6アーム126(アーム)とを有し、これらが基端側から先端側に向ってこの順に連結されている。第1アーム121は、基台111に接続されている。第6アーム126の先端には、例えば、各種部品等を把持するハンド130(エンドエフェクター)が着脱可能に取り付けられている。このハンド130は、2本の指131、132を有しており、指131、132で例えば各種部品等を把持することができる。
基台111には、アーム121を駆動するサーボモーター等のモーター150および歯車装置1(減速機)を有する駆動源が設けられている。また、図示しないが、各アーム121〜126にも、それぞれ、モーターおよび減速機を有する複数の駆動源が設けられている。そして、各駆動源は、制御装置110により制御される。
このようなロボット100では、歯車装置1が、第1アーム121(第2部材)を基台111(第1部材)に対して回動させる駆動力を伝達する。ここで、歯車装置1が減速機として機能することにより、駆動力を減速して第1アーム121を基台111に対して回動させることができる。前述したように歯車装置1の許容トルクを大きくすることができるため、ロボット100の耐久性を高めたり、歯車装置1の小型化、ひいては、ロボット100の小型化を図ったりすることができる。なお、「回動」とはある中心点に対して一方向またはその反対方向を含めた双方向に動くこと、およびある中心点に対して回転することを含むものである。
以上、本発明のロボット、歯車装置および歯車装置の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、本発明の歯車装置の製造方法は、任意の工程を追加してもよい。
1…歯車装置、1A…歯車装置、1B…歯車装置、1C…歯車装置、2…剛性歯車、2A…剛性歯車、3…可撓性歯車、3A…可撓性歯車、3C…可撓性歯車、4…波動発生器、5…規制部材、6…波動発生器、7…剛性歯車、21…部材、22…部材、23…内歯、23A…内歯、31…胴体部、32…底部、32C…フランジ部、33…外歯、33A…外歯、41…本体部、42…軸部、43…ローラー、51…ハウジング、52…ボス、53…軸受、61…剛性カム部材、62…可撓性歯車、63…ボール、64…内歯、71…外歯、100…ロボット、110…制御装置、111…基台、120…ロボットアーム、121…第1アーム、122…第2アーム、123…第3アーム、124…第4アーム、125…第5アーム、126…第6アーム、130…ハンド、131…指、140…力検出器、150…モーター、211…歯、221…歯、311…歯、312…歯、321…孔、321C…内周部、322…孔、322C…孔、531…外輪、532…内輪、533…ボール、a…軸線、a1…軸線、La…長軸、Lb…短軸、S1…ステップ、S2…ステップ、θ1…傾斜角度、θ2…傾斜角度、θ3…傾斜角度

Claims (12)

  1. 第1部材と、
    アームを含んで構成され、前記第1部材に対して回動可能に設けられた第2部材と、
    前記第1部材に対して回動する駆動力を前記第2部材に伝達する歯車装置と、を有し、
    前記歯車装置は、可撓性歯車と剛性歯車を備え、
    前記可撓性歯車と前記剛性歯車は、一方が外歯車であり他方が内歯車であり、互いに軸線まわりに回転可能に噛み合っていて、前記軸線に対して傾斜している歯スジを有することを特徴とするロボット。
  2. 前記可撓性歯車が前記外歯車であり、
    前記剛性歯車が前記内歯車である請求項1に記載のロボット。
  3. 前記可撓性歯車は、筒状の胴体部と、前記胴体部の一端部側に配置されている底部と、を有する請求項1または2に記載のロボット。
  4. 前記可撓性歯車は、筒状の胴体部と、前記胴体部の一端部側に配置されているフランジ部と、を有する請求項1または2に記載のロボット。
  5. 前記可撓性歯車および前記剛性歯車がそれぞれハスバ歯車である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロボット。
  6. 前記可撓性歯車および前記剛性歯車の前記軸線方向での相対位置を規制する規制部材を備える請求項5に記載のロボット。
  7. 前記可撓性歯車および前記剛性歯車がそれぞれヤマバ歯車である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロボット。
  8. 前記可撓性歯車および前記剛性歯車の歯数が互いに異なる請求項1ないし7のいずれか1項に記載のロボット。
  9. 前記歯車装置が減速機である請求項1ないし8のいずれか1項に記載のロボット。
  10. 可撓性歯車と剛性歯車を備え、
    前記可撓性歯車と前記剛性歯車は、互いに軸線まわりに回転可能に内外で噛み合っていて、前記軸線に対して傾斜している歯スジを有することを特徴とする歯車装置。
  11. 請求項10に記載の歯車装置を製造する方法であって、
    前記可撓性歯車および前記剛性歯車を用意する工程と、
    前記可動性歯車および前記剛性歯車を互いに内外で噛み合わせる工程と、を含むことを特徴とする歯車装置の製造方法。
  12. 前記可撓性歯車および前記剛性歯車のうちの少なくとも一方の歯車が複数の部材に分割可能である請求項11に記載の歯車装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019181164A1 (ja) * 2018-03-19 2019-09-26 日立オートモティブシステムズ株式会社 内燃機関の可変圧縮比機構のアクチュエータおよび波動歯車減速機
CN112476474A (zh) * 2020-11-18 2021-03-12 北京镁伽机器人科技有限公司 机器人关节组件及机器人

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