JP2017115814A - エジェクタ - Google Patents

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Takuma Yamauchi
拓磨 山内
栄太郎 田中
Eitaro Tanaka
田中  栄太郎
晴彦 渡邊
Haruhiko Watanabe
晴彦 渡邊
照之 堀田
Teruyuki Hotta
照之 堀田
山田 悦久
Etsuhisa Yamada
悦久 山田
陽一郎 河本
Yoichiro Kawamoto
陽一郎 河本
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Abstract

【課題】冷凍サイクルの負荷に見合った作動を実現可能なエジェクタを提供する。
【解決手段】ボデー200との間にノズル通路224およびディフューザ通路232aを形成する弁部材240を第1付勢部材254および第2付勢部材255により弁部材240の軸心CLの延在方向の両側から付勢する構成において、次の構成を採用する。すなわち、第1付勢部材254および第2付勢部材255それぞれについて、シャフト242を摺動穴272aの内壁側へ押し付ける横力の作用方向が、シャフト242の周方向の一部に偏るように配設する。
【選択図】図2

Description

本発明は、流体を減圧すると共に、高速で噴射する作動流体の吸引作用によって流体輸送を行う運動量輸送式ポンプであるエジェクタに関する。
従来、蒸気圧縮式の冷凍サイクルに適用される装置として、エジェクタが知られている。この種のエジェクタでは、ノズル部から噴射される噴射冷媒の吸引作用によって蒸発器から流出した冷媒を吸引し、昇圧部にて噴射冷媒と吸引冷媒とを混合して昇圧させる構成となっている。このエジェクタを備える冷凍サイクルでは、エジェクタの昇圧部における冷媒昇圧作用を利用して圧縮機の消費動力を低減させることが可能となる。
ここで、冷凍サイクルに適用されるエジェクタでは、ノズル部が固定絞りで構成されていると、冷媒の流量調整ができず、冷凍サイクルの負荷変動に対応した作動を実現することができない。
これに対して、ノズル部および昇圧部の冷媒通路を形成する弁部材、および当該弁部材を変位させる駆動機構を備えるエジェクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、エジェクタの共振周波数を高めると共に、冷凍サイクルの負荷に見合った作動が得られるように、コイルバネ等の付勢部材によって弁部材の軸方向の両側に付勢力を付与する構成が開示されている。
特開2015−137565号公報
しかしながら、発明者らが検討をしたところ、特許文献1の如く、付勢部材で弁部材を両側から付勢する構成では、却って弁部材の作動が不安定となることが判った。弁部材の作動が不安定となることは、冷凍サイクルの負荷に見合ったエジェクタの作動が得られなくなる要因となってしまう。
そこで、弁部材の作動が不安定となる要因について、発明者らが詳細に検討した。この結果、付勢部材で弁部材を両側から付勢する構成では、弁部材に対して軸方向に直交する方向に作用する横力が無視できず、弁部材のシャフトと、当該シャフトの周囲の壁部とが片当たりし易くなることで、弁部材の作動が不安定となることを見出した。
本発明は上記点に鑑みて、冷凍サイクルの負荷に見合った作動を実現可能なエジェクタを提供することを目的とする。
本発明は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル(10)に適用されるエジェクタに関する。
請求項1に記載の発明は、
冷媒流入口(211)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(222)、外部から冷媒を吸引する吸引用通路(231)、および減圧用空間から噴射された噴射冷媒と吸引用冷媒通路から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧用空間(232)が形成されたボデー(200)と、
少なくとも一部が減圧用空間および昇圧用空間に配置され、ボデーにおける減圧用空間を形成する部位との間に冷媒を減圧させて噴射するノズル通路(224)、ボデーにおける昇圧用空間を形成する部位との間に噴射冷媒と吸引冷媒とを混合して昇圧させるディフューザ通路(232a)を形成する弁部材(240)と、
弁部材の軸心(CL)の延在方向に沿って弁部材を変位させる駆動機構(250)と、を備える。
このような構成において、弁部材は、延在方向に沿って延びるシャフト(242)を含んで構成されている。また、ボデーは、シャフトを延在方向に沿って摺動させるための摺動穴(272a)が形成された弁支持部(272)を含んで構成されている。さらに、駆動機構は、弁部材に対して閉弁方向に付勢力を付与する第1付勢部材(254、254A)、弁部材に対して開弁方向に付勢力を付与する第2付勢部材(255、255A)を含んで構成されている。そして、第1付勢部材および第2付勢部材は、シャフトを摺動穴の内壁側に押し付ける横力の作用方向がシャフトにおける周方向の一部に偏るように配設されている。
このように、第1付勢部材および第2付勢部材について、第1付勢部材および第2付勢部材における横力の作用方向が、シャフトの周方向の一部に偏るように配設する構成とすれば、シャフトと摺動穴との接触位置がシャフトの周方向の一部に偏り易くなる。これにより、シャフトの軸心の傾きを抑えられるため、シャフトと摺動穴の内壁とが片当たりすることを抑制することができる。
従って、請求項1に記載の発明では、シャフトと摺動穴の内壁との片当たりに起因する弁部材の不安定な作動を抑制することができ、冷凍サイクルの負荷に見合ったエジェクタの作動を実現可能となる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態のエジェクタを備える冷凍サイクルの全体構成図である。 第1実施形態のエジェクタの模式的な断面図である。 第1実施形態のエジェクタの弁部材およびベースボデーの模式的な断面図である。 シャフトと摺動穴とが片当たりした状態を示す断面図である。 シャフトと摺動穴とが片当たりしていない状態を示す断面図である。 付勢部材による横力の作用方向の設定方法を説明するための説明図である。 付勢部材による横力の作用方向を説明するための説明図である。 シャフトと摺動穴との接触位置を説明するための説明図である。 第1実施形態のエジェクタの内部における冷媒の流れを示す模式的な断面図である。 第2実施形態のエジェクタの弁部材およびベースボデーの模式的な断面図である。 第2実施形態のシャフトおよび弁支持部の模式的な断面図である。 第3実施形態のシャフトおよび弁支持部の模式的な断面図である。 片当たりが生じない条件を満たす範囲を説明するための説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。本実施形態では、図1に示す蒸気圧縮式の冷凍サイクル10にエジェクタ100を適用した例について説明する。
本実施形態の冷凍サイクル10は、空調対象空間である車室内へ送風する送風空気の温度を調整可能な車両用空調装置に適用されている。冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(例えば、R134a)を採用している。冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
従って、本実施形態の冷凍サイクル10は、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。勿論、冷媒としては、HFO系冷媒(例えば、R1234yf)等を採用してもよい。
図1に示すように、冷凍サイクル10は、主たる構成要素として、圧縮機11、放熱器12、エジェクタ100、蒸発器13を備えている。
圧縮機11は、冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して吐出する流体機械である。本実施形態の圧縮機11は、図示しない電磁クラッチおよびベルトを介して車両走行用のエンジンにより回転駆動されるようになっている。圧縮機11は、例えば、電磁式容量制御弁に図示しない制御装置からの制御信号が入力されることにより、吐出容量が可変される可変容量型圧縮機で構成される。なお、圧縮機11は、電動モータにより回転駆動される電動圧縮機で構成してもよい。圧縮機11を電動圧縮機で構成する場合、電動モータの回転数により吐出容量が可変される。
放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を、室外ファン12aにより強制的に送風される外気と熱交換させることで、高圧冷媒の熱を外気に放出して冷媒を凝縮液化する放熱用熱交換器である。
本実施形態では、放熱器12としてサブクール型の凝縮器を採用している。具体的には、放熱器12は、高圧冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮部121、凝縮部121から流出した冷媒の気液を分離して余剰となる冷媒を蓄えるレシーバ122、およびレシーバ122で分離された液相冷媒を過冷却する過冷却部123を有している。放熱器12の過冷却部123における冷媒流出側は、エジェクタ100の冷媒流入口211に接続されている。
エジェクタ100は、放熱器12から流出した液相状態の高圧冷媒を減圧する減圧装置として機能すると共に、高速で噴出する冷媒流の吸引作用によって、冷媒の循環を行う流体輸送用の冷媒循環装置としても機能する。なお、エジェクタ100の具体的構成については後述する。
蒸発器13は、室内送風機13aにより、図示しない車両空調装置の空調ケースに導入された外気、または内気から吸熱して、その内部を流通する冷媒を蒸発させる吸熱用熱交換器である。蒸発器13の冷媒流出側は、エジェクタ100の冷媒吸引口212に接続されている。
次に、図示しない制御装置について説明する。制御装置は、CPU、ROMやRAM等の各種メモリを含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。制御装置には、乗員による操作パネルからの各種操作信号や各種センサ群からの検出信号等が入力される。制御装置は、入力信号等を用いてメモリに記憶された制御プログラムに基づいて各種演算・処理を実行して各種機器の作動を制御する。
次に、図2、図3を参照して、本実施形態のエジェクタ100の詳細な構成について説明する。ここで、図2等の図面中に示す上下の各矢印は、エジェクタ100を車両に搭載した状態における上下方向を示している。また、図2中の一点鎖線で示すCLは、後述する弁部材240の中心軸の軸線、すなわち軸心を示している。
図2に示すように、本実施形態のエジェクタ100は、主たる構成要素として、ボデー200、弁部材240、弁部材240をその軸心CLの延在方向に変位させる駆動機構250を備える。
本実施形態のエジェクタ100は、複数の構成部材を組み合わせることによって構成されたボデー200を備えている。本実施形態のボデー200は、エジェクタ100の外殻を構成するハウジングボデー210の内部に、ノズルボデー220、ミドルボデー230、ロアボデー260等を固定することによって構成されている。
ハウジングボデー210は、角柱状等の金属または樹脂で形成された部材で構成されている。ハウジングボデー210は、その上端側に冷媒流入口211および冷媒吸引口212が形成されている。冷媒流入口211は、冷凍サイクル10の高圧側の放熱器12から高圧冷媒を流入させる冷媒導入部である。冷媒吸引口212は、蒸発器13から流出した低圧冷媒を吸引する冷媒吸引部である。
また、ハウジングボデー210は、その下端側に液相流出口213および気相流出口214が形成されている。液相流出口213は、後述する気液分離空間261にて分離された液相冷媒を蒸発器13の冷媒入口側へ流出させる液相冷媒導出部である。気相流出口214は、気液分離空間261にて分離された気相冷媒を圧縮機11の吸入側へ流出させる気相冷媒導出部である。
ノズルボデー220は、ハウジングボデー210の内部における上端側に収容されている。より具体的には、ノズルボデー220は、弁部材240の軸心CLの延在方向に直交する方向において、その一部が冷媒流入口211と重なり合うように、ハウジングボデー210の内部に収容されている。
本実施形態のノズルボデー220は、金属で形成された部材で構成されている。そして、ノズルボデー220は、ハウジングボデー210の内部に圧入等の手段により固定されている。
また、ノズルボデー220は、ハウジングボデー210の内部空間と適合する大きさに形成された胴部220a、および胴部220aの下端側に設けられて下方側へ向かって突出する筒状のノズル部220bを含んで構成されている。
ノズルボデー220の胴部220aには、その内部に冷媒流入口211から流入した高圧冷媒を旋回させる旋回空間221等が形成されている。ノズルボデー220のノズル部220bには、その内部に旋回空間221を旋回した冷媒が通過する減圧用空間222が形成されている。
旋回空間221は、その中心軸が弁部材240の軸心CLに沿って延びる回転体形状に形成された空間である。なお、回転体形状とは、平面図形を同一平面上の1つの直線周りに回転させた際に形成される立体形状である。より具体的には、本実施形態の旋回空間221は、円柱形状を有している。勿論、旋回空間221は、円錐または円錐台と円柱とを結合させた形状等となっていてもよい。
また、本実施形態の旋回空間221は、ハウジングボデー210およびノズルボデー220の胴部220aに形成された冷媒流入通路223を介して冷媒流入口211に連通している。
冷媒流入通路223は、旋回空間221の中心軸の方向から見たとき、旋回空間221の内壁面の接線方向に延びるように形成されている。これにより、冷媒流入通路223から旋回空間221に流入した冷媒は、旋回空間221の内壁面に沿って流れることで、旋回空間221を旋回する。なお、冷媒流入通路223は、旋回空間221に流入した冷媒が旋回空間221の内壁面に沿って流れる形状に形成されていれば、その他の方向の成分、例えば、旋回空間221の中心軸の方向を含んで構成されていてもよい。
減圧用空間222は、旋回空間221を旋回した高圧冷媒が流入するように、旋回空間221の下方側に形成されている。本実施形態の減圧用空間222は、その中心軸が旋回空間221と同軸となるように形成されている。
減圧用空間222は、先細部222a、および末広部222bを結合させた形状となっている。先細部222aは、冷媒流れ方向下流側へ向かって流路断面積が連続的に小さくなる円錐台形状の穴を形成する。また、末広部222bは、冷媒流れ方向下流側へ向かって流路断面積が連続的に大きくなる円錐台形状の穴を形成する。なお、減圧用空間222における先細部222aと末広部222bとの接続箇所が、流路断面積が最も縮小されたノズル喉部222cとなっている。
末広部222bは、減圧用空間222の中心軸に直交する方向において、弁部材240の上方側の部位と重なり合っている。このため、末広部222bは、弁部材240の軸心CLの延在方向に対して垂直な断面が円環状となっている。
本実施形態では、ノズルボデー220の減圧用空間222を形成する部位の内周面と、弁部材240の上方側の外周面との間に形成される冷媒通路がノズルとして機能するノズル通路224を構成している。
続いて、ミドルボデー230は、ハウジングボデー210の内部におけるノズルボデー220の下方側に収容されている。具体的には、ミドルボデー230は、弁部材240の軸心CLの延在方向に直交する方向において、その一部が冷媒吸引口212と重なり合うように、ハウジングボデー210の内部に収容されている。
本実施形態のミドルボデー230は、金属で形成された部材で構成されている。そして、ミドルボデー230は、ハウジングボデー210の内部に圧入等の手段により固定されている。
本実施形態のミドルボデー230には、その中心部に表裏を貫通する回転体形状の貫通穴230aが形成されている。なお、貫通穴230aは、その中心軸が旋回空間221、および減圧用空間222の中心軸と同軸となるように形成されている。
また、本実施形態のミドルボデー230には、貫通穴230aの外周側に駆動機構250を収容するための溝部230bが形成されている。本実施形態では、ミドルボデー230に設けた溝部230bが、駆動機構250を保持する保持部を構成している。
ミドルボデー230の上面と、これと対向するノズルボデー220の下面との間には、冷媒吸引口212から流入した冷媒を滞留させる吸引空間231aが形成されている。本実施形態では、ノズルボデー220の下方側の先端部がミドルボデー230の貫通穴230aの内部に位置付けられている。このため、吸引空間231aは、旋回空間221および減圧用空間222の中心軸に直交する方向の断面が円環状となっている。
また、ミドルボデー230の貫通穴230aのうち、その径方向におけるノズルボデー220と重なり合う空間は、流路断面積が冷媒流れ方向に向かって徐々に縮小している。本実施形態では、ミドルボデー230の貫通穴230aの内周面とノズルボデー220の下方側の外周面との間に形成される空間が、吸引空間231a、および減圧用空間222の冷媒流れ下流側とを連通させる吸引通路231bを構成している。本実施形態では、吸引空間231aおよび吸引通路231bによって、吸引用通路を構成する吸引部231が形成されることになる。なお、吸引通路231bは、その中心軸に垂直な断面が円環状となっている。
また、ミドルボデー230の貫通穴230aのうち、吸引通路231bの冷媒流れ下流側には、昇圧用空間232が形成されている。この昇圧用空間232は、上述したノズル通路224から噴射された噴射冷媒と吸引部231から吸引された吸引冷媒とを混合して昇圧させる空間である。
本実施形態の昇圧用空間232は、冷媒の流れ方向下流側に向かって、その径方向の断面積が拡大している。すなわち、昇圧用空間232は、下方側に向かって断面積が拡大する円錐台形状、すなわち、ラッパ形状の空間を構成している。
昇圧用空間232の内部には、弁部材240の下方側の部位が配置されている。本実施形態では、昇圧用空間232の内周面と、弁部材240の外周面との間に形成される冷媒通路が、噴射冷媒および吸引冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換させるディフューザとして機能するディフューザ通路232aを構成している。なお、ディフューザ通路232aは、その中心軸に対して垂直な断面が円環状となっている。
続いて、弁部材240について説明する。弁部材240は、ノズルボデー220の内周面との間にノズル通路224を形成すると共に、ミドルボデー230の内周面との間にディフューザ通路232aを形成する部材である。
弁部材240は、少なくとも一部が減圧用空間222、および昇圧用空間232の双方に位置するようにハウジングボデー210の内部に収容されている。なお、弁部材240は、その軸心CLが減圧用空間222、および昇圧用空間232の中心軸と同軸となるように配置されている。
本実施形態の弁部材240は、ノズル通路224およびディフューザ通路232aを形成する通路形成部241、弁部材240の軸心CLの延在方向に沿って延びるシャフト242、および駆動機構250から出力される荷重を受ける荷重受部243を有する。
本実施形態の通路形成部241は、軸心CLを中心とする回転体形状を有する部材で構成されている。具体的には、通路形成部241は、減圧用空間222から離れるに伴って外径が拡大する略円錐形状に形成されている。
通路形成部241における減圧用空間222の内周面と対向する部位は、減圧用空間222の内周面との間に環状のノズル通路224が形成されるように、減圧用空間222の末広部222bの内周面に沿う曲面を有する。
また、通路形成部241における昇圧用空間232の内周面と対向する部位は、昇圧用空間232の内周面との間に環状のディフューザ通路232aが形成されるように、昇圧用空間232の内周面に沿う曲面を有する。このため、ディフューザ通路232aは、弁部材240の軸線CLに対して交差する方向に拡がるように形成されている。
ここで、本実施形態の通路形成部241は、通路形成部241は、その底面側に円錐状の空間が形成されるように、昇圧用空間232側から減圧用空間222側に向かって窪んだ形状となっている。
シャフト242は、弁部材240の軸心CLの延在方向に沿って延びる棒状の金属(例えば、ステンレス)で構成されている。シャフト242は、一端側の部位が通路形成部241に固定されると共に、他端側の部位が後述するベースボデー270に支持されている。
具体的には、シャフト242は、図3に示すように、後述するベースボデー270の弁支持部272によって支持されている。
図3に示すように、本実施形態のシャフト242には、後述する弁支持部272に形成された摺動穴272aの内壁に対向する部位に、摺動穴272a側に向かって突出する一対の突起部として第1突起部242aおよび第2突起部242bが形成されている。
第1突起部242aおよび第2突起部242bは、弁部材240の軸心CLの延在方向において異なる位置に形成されている。本実施形態では、第1突起部242aがシャフト242の一端側に形成され、第2突起部242bの他端側に形成されている。第1突起部242aおよび第2突起部242bは、シャフト242の全周囲を囲むようにリング状に構成されている。第1突起部242aおよび第2突起部242bは、後述する摺動穴272aの内壁との摩擦を抑えるために、摺動穴272a側に対向する先端部を半球形状、R形状等の曲面形状とすることが望ましい。
図2に戻り、荷重受部243は、駆動機構250から出力される荷重を受ける部材である。本実施形態の荷重受部243は、駆動機構250から出力される全荷重を受けるように構成されている。
また、本実施形態の荷重受部243は、円盤状の部材で構成されており、その中心部がシャフト242に連結されている。すなわち、本実施形態の荷重受部243は、シャフト242を介して通路形成部241に連結されている。
また、本実施形態の荷重受部243は、ノズル通路224やディフューザ通路232aを流れる冷媒の流量に影響しないように、ディフューザ通路232aの冷媒流れ下流側に配置されている。
さらに、本実施形態の荷重受部243は、通路形成部241の外周側において駆動機構250から出力される荷重を受けるように、その外径が通路形成部241の最大外径よりも大きくなっている。
ここで、弁部材240のうち、シャフト242および荷重受部243は、駆動機構250から出力される荷重が作用しても変形しないように、剛性の高い材料で構成されている。本実施形態のシャフト242および荷重受部243は、通路形成部241よりも剛性の高い金属で構成されている。換言すれば、本実施形態の通路形成部241は、シャフト242および荷重受部243よりも剛性の低い材料(例えば、樹脂)で構成されている。
続いて、駆動機構250について説明する。駆動機構250は、弁部材240を弁部材240の軸心CLの延在方向に変位させて、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの流路面積を変更する駆動部である。
本実施形態の駆動機構250は、蒸発器13から流出した低圧冷媒の過熱度が所望の範囲となるように、弁部材240の変位量を制御するように構成されている。本実施形態の駆動機構250は、外部の雰囲気温度の影響を受けないように、ボデー200内部に収容されている。
本実施形態の駆動機構250は、吸引冷媒の温度および圧力に応じて弁部材240の軸心CLの延在方向に変位する圧力応動部材を構成する薄板状のダイヤフラム251を有している。このダイヤフラム251は、一対の蓋部252a、252cにより保持されている。
一対の蓋部252a、252cは、ミドルボデー230の上面に形成された環状の溝部230b内に収容可能なように、当該溝部230bの内側形状に適合する環状の形状に形成されている。
ダイヤフラム251は、一対の蓋部252a、252cの内部に収容可能なように、環状に形成されている。ダイヤフラム251は、内周縁部および外周縁部の双方が、一対の蓋部252a、252cとで狭持された状態で、一対の蓋部252a、252cとの間に形成される環状の空間を上下の2つの空間に仕切るように固定されている。
ダイヤフラム251により仕切られた2つの空間のうち、上蓋部252aとの間に形成される空間は、蒸発器13から流出した冷媒の温度変化に応じて圧力が変化する感温媒体が封入される封入空間252bを構成している。
封入空間252bには、主として冷凍サイクル10を循環する冷媒と同一の冷媒で組成された感温媒体(例えば、R134a)が、予め定めた密度となるように封入されている。なお、感温媒体は、例えば、サイクルを循環する冷媒とヘリウムガスとの混合流体を採用してもよい。
本実施形態の封入空間252bは、ダイヤフラム251の形状に適合する環状の空間を構成しており、弁部材240と干渉しないように、弁部材240の軸心CLの周りを囲むように形成されている。
上蓋部252aは、吸引部231と隣接する位置に配置されている。これにより、封入空間252b内の感温媒体には、吸引部231を流通する吸引冷媒の温度が伝達され、封入空間252bの内圧が、吸引部231を流通する吸引冷媒の温度に応じた圧力に近づく。
一方、ダイヤフラム251により仕切られた2つの空間のうち、下蓋部252cとの間に形成される空間は、ミドルボデー230に形成された図示しない連通路を介して、蒸発器13から流出した冷媒を導入させる導入空間252dを構成している。
導入空間252dは、感温媒体の圧力に対抗するように、ダイヤフラム251に対して吸引部231内の吸引冷媒の圧力を作用させる圧力室である。図示しないが、下蓋部252cには、吸引部231を流れる冷媒を導入空間252dに導入すると共に、後述する作動棒253aの上端部を挿入する貫通穴部が形成されている。
このように、封入空間252bに封入された感温媒体には、一対の蓋部252a、252c等を介して、蒸発器13から流出した冷媒、すなわち、吸引部231を流通する吸引冷媒の温度が伝達される。本実施形態では、一対の蓋部252a、252c、および各空間252b、252dが吸引部231を流通する吸引冷媒の温度を検知する感温部252を構成している。
ここで、ダイヤフラム251は、封入空間252bの内圧と導入空間252dへ導入された冷媒の圧力との圧力差に応じて変形すると共に、常に冷媒に接している。このため、ダイヤフラム251は、強靭性、耐圧性、ガスバリア性、シール性に優れた材料で構成することが望ましい。
また、駆動機構250は、ダイヤフラム251の変位により生ずる荷重を弁部材240に伝達する荷重伝達部材253を有している。本実施形態では、ダイヤフラム251の変位に伴って生ずる全荷重が、荷重伝達部材253を介して弁部材240の荷重受部243に作用する構成となっている。
荷重伝達部材253は、一端側の端部が弁部材240の荷重受部243に接するように配設された複数本の作動棒253aと、各作動棒253aの他端側およびダイヤフラム251の双方に接するように配設されたプレート部材253bとを有している。
各作動棒253aは、ミドルボデー230の貫通穴230aの径方向外側に形成された図示しない摺動穴を貫くと共に、一端側が荷重受部243の下方側の外周に接触し、他端側がプレート部材253bに接するように配設されている。そして、各作動棒253aは、プレート部材253bの周方向に間隔をあけて配置されている。
続いて、プレート部材253bは、ダイヤフラム251の変位に伴って生ずる荷重を各作動棒253aに対して均等に伝えるための部材である。プレート部材253bは、ダイヤフラム251における受圧部を支持するように、ダイヤフラム251と作動棒253aとで狭持されている。本実施形態のプレート部材253bは、導入空間252dに配置されている。
本実施形態のプレート部材253bは、ダイヤフラム251の変位により生ずる荷重を作動棒253aに適切に伝達するために、弁部材240の軸心CLの延在方向においてダイヤフラム251と重なり合うように環状に形成されている。
また、本実施形態のプレート部材253bは、ダイヤフラム251よりも剛性が高い材料(例えば、金属)で構成されている。ダイヤフラム251と作動棒253aとの間に、プレート部材253bを介在させることで、各作動棒253aの寸法のばらつきやダイヤフラム251の反り等が生じていても、ダイヤフラム251から弁部材240へ伝達される力が変化してしまうことを抑制できる。
駆動機構250は、弁部材240に対して閉弁方向に付勢力を付与する第1付勢部材254、弁部材240に対して開弁方向に付勢力を付与する第2付勢部材255、第1付勢部材254および第2付勢部材255による付勢力を調整する調整部256を有する。
ここで、閉弁方向は、弁部材240を軸心CLの延在方向に変位させた際に、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの流路断面積が縮小する方向である。また、開弁方向は、弁部材240を軸心CLの延在方向に変位させた際に、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの流路断面積が拡大する方向である。なお、図2では、上方向が閉弁方向に相当し、下方向が開弁方向に相当している。
本実施形態の第1付勢部材254および第2付勢部材255それぞれは、コイル状に巻回されたコイルバネで構成されている。本実施形態の第1付勢部材254および第2付勢部材255それぞれは、弁部材240に作用する付勢力が同等となるように構成されている。
また、本実施形態の第1付勢部材254および第2付勢部材255は、後述するベースボデー270に支持されている。なお、第1付勢部材254および第2付勢部材255は、冷媒が減圧される際の圧力脈動等に起因する弁部材240の振動を減衰させる緩衝部材としての機能も果たしている。
調整部256は、各付勢部材254、255により弁部材240に作用させる付勢力を調整することで、弁部材240の開弁圧を調整して、狙いの過熱度を微調整する部材である。図示しないが、調整部256は、弁部材240の軸心CLの延在方向における位置が移動可能に構成された可動部、および可動部を止めるストッパとしての調整ネジで構成されている。
このように構成される駆動機構250は、蒸発器13から流出した冷媒の温度および圧力に応じて、ダイヤフラム251が弁部材240を変位させることにより、蒸発器13の出口側の冷媒の過熱度が予め定めた所定値に近づくように調整される。
例えば、蒸発器13から流出した冷媒の温度および圧力が高く、冷凍サイクル10の負荷が高い場合、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの流路断面積が大きくなるように、ダイヤフラム251が弁部材240を変位させる。これにより、冷凍サイクル10内を循環する冷媒流量が増加する。
一方、蒸発器13から流出した冷媒の温度および圧力が低く、冷凍サイクル10の負荷が低い場合、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの流路断面積が小さくなるように、ダイヤフラム251が弁部材240を変位させる。これにより、冷凍サイクル10内を循環する冷媒流量が減少する。
続いて、ハウジングボデー210における弁部材240の下方側の構成について説明する。ハウジングボデー210における弁部材240の下方側には、ロアボデー260が収容されている。より具体的には、ロアボデー260は、弁部材240の軸心CLの延在方向に直交する方向において、その一部が液相流出口213および気相流出口214と重なり合うように、ハウジングボデー210の内部に収容されている。
ロアボデー260には、弁部材240の底部側との間に、ディフューザ通路232aから流出した混合冷媒の気液分離する気液分離空間261が形成されている。気液分離空間261は、略円柱状の空間であり、その中心軸が、旋回空間221、減圧用空間222、昇圧用空間232の中心軸と同軸となるように形成されている。
また、ロアボデー260の内部空間の底面側には、気液分離空間261と同軸となるように配置され、弁部材240側に向かって延びる円筒状のパイプ262が設けられている。このパイプ262の内部には、気液分離空間261にて分離された気相冷媒をハウジングボデー210に形成された気相流出口214へ導く気相側流出通路263が形成されている。
本実施形態では、パイプ262における上端側の開口端部が、気相側流出通路263の気相冷媒入口部263aを構成している。パイプ262は、気液分離空間261において、気相冷媒入口部263aが弁部材240から離れた位置に開口するように、ロアボデー260に設けられている。
また、気液分離空間261にて分離された液相冷媒は、パイプ262の外周側に貯留される。なお、ロアボデー260におけるパイプ262の外周側の空間は、液相冷媒を貯留する貯液空間264を構成している。また、ロアボデー260における貯液空間264に対応する部位には、貯液空間264に貯留された液相冷媒を、ハウジングボデー210に形成された液相流出口213へ導く液相側流出通路265が形成されている。
ここで、本実施形態のハウジングボデー210には、弁部材240とロアボデー260との間にベースボデー270が収容されている。本実施形態のベースボデー270は、その一部が弁部材240の通路形成部241と荷重受部243との間に配置されている。ベースボデー270は、ハウジングボデー210に対して、例えば、圧入またはネジ等の締結部材により固定されている。
ベースボデー270の詳細については、図3を参照して説明する。図3に示すように、ベースボデー270は、円形板状の基板部271、基板部271の中心部に固定された筒状の弁支持部272を有している。ベースボデー270を構成する基板部271および弁支持部272は、それぞれ金属で形成されており、溶接等により互いに連結されている。
基板部271は、外周側の部位がハウジングボデー210に対して固定され、中心側の部位に弁支持部272が固定されている。本実施形態の弁支持部272は、弁部材240の軸心CLの延在方向に沿って延びる摺動穴272aが形成された筒状部材で構成されている。摺動穴272aは、弁部材240のシャフト242を摺動させる貫通穴である。摺動穴272aは、弁部材240のシャフト242が摺動可能な大きさに形成されている。
また、本実施形態では、弁支持部272が気液分離空間261で分離された気相冷媒の気相側流出通路263へ流入する際の流通抵抗とならないように、弁部材240と気相冷媒入口部263aとの間に弁支持部272を配置している。具体的には、本実施形態の弁支持部272は、気相冷媒入口部263a側ではなく、弁部材240側に向かって突出するように配置されている。
また、本実施形態の基板部271には、弁支持部272を固定する部位に、第1付勢部材254の下端側を支持する第1バネ支持部273aが設けられている。また、基板部271における弁支持部272を固定する部位には、連結部273cを介して第2付勢部材255の上端側を支持する第2バネ支持部273bが連結されている。本実施形態では、各バネ支持部273a、273bおよび連結部273cが、各付勢部材254、255の双方を支持する荷重支持部273を構成している。
さらに、本実施形態の基板部271には、ディフューザ通路232aの冷媒出口側に近接する部位に、ディフューザ通路232aから流出した冷媒を気液分離空間261に導く出口側連通路274が形成されている。そして、出口側連通路274には、ディフューザ通路232aから流出した冷媒を気液分離空間261の中心軸周りに旋回させる旋回部275が設けられている。
本実施形態の旋回部275は、図示しないが複数の整流板で構成されている。各整流板は、ディフューザ通路232aから流出した冷媒の流れが、ベースボデー270の外周縁部の接線方向に転向するように、ディフューザ通路232aの中心軸に直交する径方向に対して交差する方向に延びる形状を有している。
ここで、本実施形態では、ベースボデー270を弁部材240の通路形成部241と荷重受部243との間に配置している。このため、図示しないが、ベースボデー270には、各作動棒253aを貫通させる貫通穴が設けられている。
ところで、本実施形態の如く、弁部材240を第1付勢部材254および第2付勢部材255により弁部材240の軸心CLの延在方向の両側から付勢する構成では、弁部材240に作用する付勢力が大きくなる。
この場合、弁部材240には、軸心CLの延在方向に作用する第1付勢部材254および第2付勢部材255による力だけでなく、弁部材240の軸心CLの延在方向に直交する方向に作用する横力が過大となってしまう。この横力は、シャフト242を摺動穴272aの内壁側に押し付ける押し付け力となる。
このため、例えば、第1付勢部材254における横力FSUの作用方向と、第2付勢部材255における横力FSLの作用方向とが反対方向となる場合、図4に示すように、シャフト242の軸心CLが傾く。これにより、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしてしまう。なお、片当たりとは、図4に示すように、シャフト242の一端側と摺動穴272aの内壁との接する位置と、シャフト242の他端側と摺動穴272aの内壁との接する位置とが、シャフト242の周方向において大きく乖離した状態を意味している。
これに対して、例えば、第1付勢部材254における横力FSUの作用方向と、第2付勢部材255における横力FSLの作用方向とが同じ方向となる場合、図5に示すように、シャフト242の軸心CLが傾かない。すなわち、第1付勢部材254における横力FSUの作用方向と、第2付勢部材255における横力FSLの作用方向とが同じ方向となる場合、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしない。
ここで、弁部材240に過大な横力が作用すると、シャフト242に作用する反力の影響によって、弁部材240の作動が不安定となる。このことは、冷凍サイクル10の負荷に見合ったエジェクタ100の作動が得られなくなる要因となってしまうことから好ましくない。
そこで、本発明者らは、弁部材240の作動が不安定となり難い構成について鋭意検討した。この結果、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしていない方が、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしている場合に比べて、弁部材240に作用する横力の反力の影響が小さいことを見出した。
この点について、図3〜図5を参照して説明する。図3〜図5では、Ps1がシャフト242における第1突起部242aが形成された第1突起位置を示し、Ps2がシャフト242における第2突起部242bが形成された第2突起位置を示している。
そして、Pa1が第1付勢部材254による横力の作用点である第1作用点を示し、Pa2が第2付勢部材255による横力の作用点である第2作用点を示している。なお、本実施形態では、図3に示すように、シャフト242における上端部とシャフト242における第1付勢部材254の上端側との接触部との間の中間点を作用点Pa1とし、調整部256における軸心CLの延在方向の中間点を作用点Pa2としている。
また、図3〜図5では、L2が第1突起部242aと第2突起部242bとの間隔、すなわち、第1突起位置Ps1と第2突起位置Ps2との間隔を示している。そして、L1が、第1作用点Pa1と第1突起位置Ps1との間隔を示し、L3が第2突起位置Ps2と第2作用点Pa2の間隔を示している。
図4に示すように、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしている場合には、シャフト242の軸心CLに直交する方向の力の釣り合いが以下の数式F1を満たす関係となる。
SU+FNL=FNU+FSL ・・・(F1)
但し、数式F1では、FSUが第1付勢部材254による横力、FSLが第2付勢部材255による横力、FNUが第1突起位置Ps1における反力、FNLが第2突起位置Ps2における反力を示している。
また、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしている場合には、第2突起位置Ps2を基準としてシャフト242に作用するモーメントの釣り合いが、以下の数式F2を満たす関係となる。
{L1+L2}×FSU+L3×FSL=L2×FNU ・・・(F2)
そして、L1/L2をλ12とし、L3/L2をλ32として、FNLおよびFNUについて数式F1および数式F2を用いて整理すると、FNLおよびFNUは、以下の数式F3および数式F4で示すことができる。
NU={λ12+1}×FSU+λ32×FSL ・・・(F3)
NL=λ12×FSU+{λ32+1}×FSL ・・・(F4)
数式F3および数式F4によれば、FNUとFNLとを加算した反力の合計値FNAは、以下の数式F5で示すことができる。
NA=FNU+FNL={2×λ12+1}×FSU+{2×λ32+1}×FSL ・・・(F5)
一方、図5に示すように、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしていない場合には、シャフト242の軸心CLに直交する方向の力の釣り合いが以下の数式F6を満たす関係となる。
SU+FSL=FNU+FNL ・・・(F6)
また、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしていない場合には、第2突起位置Ps2を基準としてシャフト242に作用するモーメントの釣り合いが、以下の数式F7を満たす関係となる。
{L1+L2}×FSU−L3×FSL=L2×FNU ・・・(F7)
そして、L1/L2をλ12とし、L3/L2をλ32として、FNLおよびFNUについて数式F6および数式F7を用いて整理すると、FNLおよびFNUは、以下の数式F8および数式F9で示すことができる。
NU={λ12+1}×FSU−λ32×FSL ・・・(F8)
NL=−λ12×FSU+{λ32+1}×FSL ・・・(F9)
数式F8および数式F9によれば、FNUとFNLとを加算した反力の合計値FNBは、以下の数式F10で示すことができる。
NB=FNU+FNL=FSU+FSL ・・・(F10)
数式F5および数式F10によれば、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしていない場合の反力の合計値FNBは、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしている場合の反力の合計値FNAよりも2×λ12+2×λ32だけ小さくなる。
このため、数式F5および数式F10によれば、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしていない方が、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしている場合に比べて、弁部材240に作用する横力の反力の影響が小さくなることが判る。すなわち、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしていない構成は、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしている構成に比べて、弁部材240の作動が不安定となり難い構成となることが判った。
このような知見に基づき、本実施形態では、第1付勢部材254および第2付勢部材255それぞれについて、シャフト242を摺動穴272aの内壁側へ押し付ける横力の作用方向が、シャフト242の周方向の一部に偏るように配設している。
本実施形態では、第1付勢部材254および第2付勢部材255をコイルバネで構成している。コイルバネは、終端の周方向の位置に応じて横力の作用方向が変化する傾向がある。このため、本実施形態では、図6に示すように、第1付勢部材254および第2付勢部材255を中心軸Axの周方向に回すことで、第1付勢部材254および第2付勢部材255それぞれにおける横力の作用方向を設定している。
また、本実施形態では、図7に示すように、第1付勢部材254による横力FSUの作用方向と第2付勢部材255による横力FSLの作用方向とのなす角度θが直角以下となるように配設している。
これによれば、シャフト242は、図8に示すように、シャフト242の周方向の一部の範囲CRで摺動穴272aの内壁に接触し易くなり、シャフト242の軸心CLの傾きを充分に抑えることができる。
次に、上記構成に基づく、本実施形態の作動について説明する。乗員により空調作動スイッチ等が投入されると、制御装置からの制御信号により圧縮機11の電磁クラッチが通電される。これにより、車両走行用のエンジンの回転駆動力が、電磁クラッチ等を介して、圧縮機11に伝達される。この際、制御装置から圧縮機11の電磁式容量制御弁に対して制御信号が入力され、圧縮機11の吐出容量が所望の量に調整されることで、圧縮機11がエジェクタ100の気相流出口214から吸入した気相冷媒を圧縮して吐出する。
圧縮機11から吐出された高温高圧の気相冷媒は、放熱器12の凝縮部121に流入し、外気により冷却されて凝縮液化した後、レシーバ122にて気液が分離される。その後、レシーバ122にて分離された液相冷媒は、過冷却部123に流入して過冷却される。
放熱器12の過冷却部123から流出した液相冷媒は、エジェクタ100の冷媒流入口211に流入する。エジェクタ100の冷媒流入口211に流入した高圧冷媒は、図9に示すように、冷媒流入通路223を介してエジェクタ100内部の旋回空間221に流入する。そして、旋回空間221に流入した高圧冷媒は、旋回空間221の内壁面に沿って流れ、旋回空間221を旋回する。旋回空間221では、遠心力の作用によって、旋回中心側に気相冷媒が集まり易く、その周りに液相冷媒が集まり易くなる。
そして、旋回空間221を旋回する冷媒は、気液混相状態の冷媒として、減圧用空間222に流入し、ノズル通路224にて減圧膨脹される。この減圧膨脹時に冷媒の圧力エネルギが速度エネルギに変換されることで、気液混相状態の冷媒は、ノズル通路224から高速度となって噴出される。
この点について詳述すると、まず、ノズル通路224では、ノズル部220bの先細部222aの内壁面側から冷媒が剥離する際に壁面沸騰が生ずる。また、ノズル通路224では、その中心側の冷媒のキャビテーションによる沸騰核によって界面沸騰が生ずる。このようにノズル通路224では冷媒の沸騰が促進されることから、ノズル通路224に流入した冷媒は、気相と液相が均質に混合した気液混相状態に近づく。
そして、ノズル部220bのノズル喉部222c付近で気液混相状態となった冷媒の流れにチョーキングが生じ、このチョーキングにより音速に到達した気液混合状態の冷媒が、ノズル部220bの末広部222bにて加速されて噴出される。
このように、壁面沸騰および界面沸騰の双方による沸騰促進によって気液混層状態の冷媒を音速となるまで効率よく加速できることで、ノズル通路224におけるノズル効率に相当するエネルギ変換効率の向上を図ることができる。
また、ノズル通路224から噴出される冷媒の吸引作用により、蒸発器13から流出した冷媒が、冷媒吸引口212を介して吸引部231に吸引される。
そして、吸引部231に吸引された低圧冷媒およびノズル通路224から噴出された噴出冷媒との混合冷媒が、冷媒流れ下流側に向かって冷媒流路面積が拡大するディフューザ通路232aに流入し、速度エネルギが圧力エネルギに変換されることで昇圧される。
ここで、本実施形態のエジェクタ100の弁部材240は、減圧用空間222から離れるに伴って断面積が拡大する形状となっている。このため、ディフューザ通路232aの形状は、減圧用空間222から離れるに伴って外周側へ拡がる形状となる。これによれば、弁部材240の軸線CLの方向への寸法の拡大を抑制して、エジェクタ100全体としての体格の大型化を抑制可能となる。
続いて、ディフューザ通路232aから流出した冷媒は、ベースボデー270に形成された出口側連通路274に流入する。出口側連通路274に流入した冷媒は、出口側連通路274の旋回部275で旋回力が付与された後、気液分離空間261に流入する。このため、気液分離空間261では、遠心力の作用によって冷媒の気液が分離される。
気液分離空間261にて分離された気相冷媒は、気相側流出通路263および気相流出口214を介して、圧縮機11の吸入側に吸入され、再び圧縮される。この際、圧縮機11に吸入される冷媒の圧力は、エジェクタ100のディフューザ通路232aにて昇圧されているので、圧縮機11の駆動力を低減することが可能となる。
また、気液分離空間261にて分離された液相冷媒は、貯液空間264に貯留され、エジェクタ100の冷媒吸引作用により、液相側流出通路265および液相流出口213を介して、蒸発器13に流入する。
蒸発器13では、低圧の液相冷媒が、空調ケース内を流れる空気から吸熱して蒸発気化する。そして、蒸発器13から流出した気相冷媒は、エジェクタ100の冷媒吸引口212を介して吸引部231に吸引され、ディフューザ通路232aに流入する。
以上説明した本実施形態のエジェクタ100は、弁部材240を変位させる駆動機構250を備えている。このため、冷凍サイクル10の負荷に応じて弁部材240を変位させて、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの冷媒通路面積を調整可能となっている。
本実施形態では、弁部材240を第1付勢部材254および第2付勢部材255により弁部材240の軸心CLの延在方向の両側から付勢する構成において、弁部材240の作動が不安定となってしまうことを考慮し、次の構成を採用している。すなわち、本実施形態では、第1付勢部材254および第2付勢部材255それぞれについて、シャフト242を摺動穴272aの内壁側へ押し付ける横力の作用方向が、シャフト242の周方向の一部に偏るように配設している。これによれば、シャフト242と摺動穴272aとの接触位置がシャフト242の周方向の一部に偏り易くなり、シャフト242の軸心CLの傾きを抑えられる。このため、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりすることを抑制することができる。
従って、本実施形態のエジェクタ100では、シャフト242と摺動穴272aとの片当たりに起因する弁部材240の不安定な作動を抑制することができ、冷凍サイクル10の付加に見合ったエジェクタ100の作動を実現可能となる。
また、本実施形態では、第1付勢部材254および第2付勢部材255について、第1付勢部材254による横力の作用方向と第2付勢部材255による横力の作用方向とのなす角度が直角以下となるように配設している。これによれば、シャフト242の軸心CLの傾きを抑えられるので、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりすることを抑えることができる。
さらに、本実施形態では、シャフト242における摺動穴272aの内壁と対向する外周側の部位に、摺動穴272aの内壁側に向かって突出する一対の突起部242a、242bを設けている。これによれば、シャフト242は、一対の突起部242a、242bで摺動穴272aの内壁と接触することになり、シャフト242と摺動穴272aの内壁との接触面積が低減される。このため、シャフト242が摺動穴272aを摺動する際の摩擦力を抑えることができる。これにより、シャフト242と摺動穴272aの内壁との間の摩擦に起因する弁部材240の不安定な作動を抑制することができ、冷凍サイクル10の負荷に見合ったエジェクタ100の作動を実現可能となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図10、図11を参照して説明する。本実施形態のエジェクタ100は、第1付勢部材254Aおよび第2付勢部材255Aのうち、一方の付勢部材の付勢力が他方の付勢部材の付勢力よりも大きくなっている点が第1実施形態と相違している。具体的には、本実施形態では、図10に示すように、第1付勢部材254Aとして、第2付勢部材255Aよりも付勢力の大きいコイルバネを採用している。
ここで、第1付勢部材254Aと第2付勢部材255Aとで付勢力が異なっている場合、第1付勢部材254Aおよび第2付勢部材255Aそれぞれの横力が変化することで、シャフト242に作用するモーメントのバランスが崩れる。本実施形態では、第1付勢部材254が第2付勢部材255の付勢力よりも大きくなっているため、シャフト242の一端側に作用するモーメントM1が、シャフト242の他端側に作用するモーメントM2よりも大きくなる。このようなモーメントのアンバランスは、シャフト242が傾く要因となることから好ましくない。
そこで、本実施形態では、シャフト242に作用するモーメントの腕長さを調整することで、シャフト242に作用するモーメントをバランスさせる構成としている。具体的には、本実施形態では、図11に示すように、第1作用点Pa1と第1突起位置Ps1との間隔L1を、第1突起位置Ps1と第2突起位置Ps2との間隔である突起部距離L2よりも短くしている。すなわち、本実施形態では、第1付勢部材254による横力FSUが作用する第1作用点Pa1側におけるモーメントの腕長さを突起部距離L2よりも短くしている。
また、本実施形態では、第2作用点Pa2と第2突起位置Ps2との間隔L3を突起部距離L2よりも長くしている。すなわち、本実施形態では、第2付勢部材255による横力FSLが作用する第2作用点Pa2側におけるモーメントの腕長さを突起部距離L2よりも長くしている。
ここで、本実施形態では、第1付勢部材254および第2付勢部材255のうち、第1付勢部材254が第2付勢部材255の付勢力よりも大きくなっている。このため、本実施形態では、第1作用点Pa1と第1突起位置Ps1との間隔L1が、付勢力が大きい付勢部材と当該付勢部材に近接する突起部との間隔である第1作用距離に相当する。また、本実施形態では、第2作用点Pa2と第2突起位置Ps2との間隔L3が、付勢力が小さい付勢部材と当該付勢部材に近接する突起部との間隔である第2作用距離に相当する。すなわち、本実施形態のエジェクタ100は、第1作用距離が突起部距離よりも短く、且つ、第2作用距離が突起部距離よりも長くなっている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態のエジェクタ100は、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を、第1実施形態の構成と同様に得ることができる。
加えて、本実施形態では、第1付勢部材254Aとして第2付勢部材255Aよりも付勢力が大きいものを採用した構成において、第1作用距離が突起部距離L2よりも短く、且つ、第2作用距離が突起部距離L2よりも長くなる構成としている。
これによれば、第1作用距離が突起部距離L2よりも短く、且つ、第2作用距離が突起部距離L2よりも長くなることで、シャフト242に対して一対の突起部242a、242bを中心として作用するモーメントのバランスの崩れを抑えることができる。これにより、シャフト242の軸心CLの傾きを充分に抑えられるので、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりすることを抑えることができる。
ここで、本実施形態では、第1付勢部材254および第2付勢部材255のうち、第1付勢部材254が第2付勢部材255の付勢力よりも大きくなっている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1付勢部材254および第2付勢部材255のうち、第2付勢部材255が第1付勢部材254の付勢力よりも大きくなっていてもよい。
この場合、第1作用点Pa1と第1突起位置Ps1との間隔L1を突起部距離L2よりも長くし、第2作用点Pa2と第2突起位置Ps2との間隔L3を突起部距離L2よりも短くすればよい。なお、第2付勢部材255が第1付勢部材254の付勢力よりも大きくなる構成では、第1作用点Pa1と第1突起位置Ps1との間隔L1が、付勢力が小さい付勢部材と当該付勢部材に近接する突起部との間隔である第2作用距離に相当する。また、本実施形態では、第2作用点Pa2と第2突起位置Ps2との間隔L3が、付勢力が大きい付勢部材と当該付勢部材に近接する突起部との間隔である第1作用距離に相当する。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図12、図13を参照して説明する。本実施形態のエジェクタ100は、第2実施形態と同様に、第1付勢部材254Aおよび第2付勢部材255Aのうち、一方の付勢部材の付勢力が他方の付勢部材の付勢力よりも大きくなっている。
ここで、図12に示す構成において、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりが生ずる条件は、以下の数式F11で示すように、一対の突起部242a、242bに作用する反力FNU、FNLの一方がゼロ未満となる場合である。
NU×FNL<0 ・・・(F11)
逆に、図12に示す構成において、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりが生じない条件は、以下の数式F12で示すように、一対の突起部242a、242bに作用する反力FNU、FNLの積がゼロ以上となる場合である。
NU×FNL≧0 ・・・(F12)
各付勢部材254、255による横力FSU、FSLの作用方向がシャフト242の周方向の一部に偏る構成において、反力FNU、FNLの積は、前述の数式F8および数式F9を用いて整理すると、以下の数式F13で示すことができる。
NU×FNL=[{λ12+1}×FSU−λ32×FSL]×[−λ12×FSU+{λ32+1}×FSL] ・・・(F13)
このため、Fs1/Fs2をλとしたときに、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりが生じない条件は、以下の数式F14を満たす条件として示すことができる。
{λ×λ32−λ12−1}×{λ×λ32−λ12+λ}≦0 ・・・(F14)
そこで、本実施形態のエジェクタ100は、λ、λ12、λ32が、数式F14の関係を満たすように設定されている。すなわち、本実施形態のエジェクタ100は、数式F14の関係を満たすように、各付勢部材254による横力FSU、FSL、各作用点Pa1、Pa2、および各突起位置Ps1、Ps2が設定されている。
ここで、図13は、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりが生じない条件を説明するための説明図である。図13では、網掛けで示す範囲が、数式F14の関係を満たす範囲となっている。このため、λ、λ12、λ32を図13中の網掛けで示す範囲となるように設定することで、シャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりしない構成を実現することができる。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態のエジェクタ100は、第1、第2実施形態と共通の構成から奏される作用効果を、第1、第2実施形態の構成と同様に得ることができる。
本実施形態では、上述の数式F14で示す関係を満たすように、λ、λ12、λ32を設定している。これによれば、第1付勢部材254と第2付勢部材255とで付勢力が異なっている構成におけるシャフト242と摺動穴272aの内壁とが片当たりすることを抑えることができる。これにより、シャフト242と摺動穴272aの内壁との片当たりに起因する弁部材240の不安定な作動を抑制することができ、冷凍サイクル10の負荷に見合ったエジェクタ100の作動を実現可能となる。
ここで、本実施形態では、第1付勢部材254および第2付勢部材255のうち、第1付勢部材254が第2付勢部材255の付勢力よりも大きくなっている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1付勢部材254および第2付勢部材255のうち、第2付勢部材255が第1付勢部材254の付勢力よりも大きくなっていてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明のエジェクタ100について、代表的な実施形態について説明したが、エジェクタ100は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態では、第1付勢部材254および第2付勢部材255をコイルバネで構成する例について説明したが、これに限定されない。第1付勢部材254および第2付勢部材255を、例えば、片持ち型の板バネで構成してもよい。
上述の実施形態の如く、シャフト242に一対の突起部242a、242bを設けることが望ましいが、これに限定されない。例えば、シャフト242に一対の突起部242a、242bを設けない構成としてもよい。また、シャフト242に対して3つ以上の突起部242a、242bを設ける構成としてもよい。
上述の実施形態では、駆動機構250から出力される荷重を受ける荷重受部243を設ける例について説明したが、これに限らず、駆動機構250から出力される荷重を通路形成部241で受ける構成としてもよい。
上述の実施形態では、弁部材240を変位させる駆動機構250をダイヤフラム251等で構成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、電動モータやソレノイド等の電気的な機構で駆動機構を構成してもよい。
上述の実施形態では、ボデー200を、ハウジングボデー210、ノズルボデー220、ロアボデー260等の複数の構成部材の組み合わせにより構成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、ボデー200を構成する複数の構成部材の一部が一体成形物として構成されていてもよい。
上述の実施形態では、弁部材240の通路形成部241として、軸方向の断面形状が二等辺三角形となるものを採用しているが、これに限定されない。通路形成部241は、例えば、軸方向の断面形状が、頂点を挟む二辺が内周側に凸となる形状や二辺が外周側に凸となる形状、あるいは断面形状が半円形状となるものを採用してもよい。
上述の実施形態の如く、エジェクタ100の内部に気液分離空間261や貯液空間264を形成することが望ましいが、これに限らず、エジェクタ100の外部に気液分離器や貯液器等を設けるようにしてもよい。
上述の実施形態の如く、ノズル通路224におけるエネルギ変換効率の向上を図るためには、ボデー200の内部に旋回空間221を形成することが望ましいが、これに限定されず、ボデー200の内部に旋回空間221を形成しなくてもよい。
上述の実施形態では、ボデー200、弁部材240、駆動機構250等を構成する要素の殆どを金属で構成する例について説明したが、これに限定されない。耐圧性や耐熱性等が問題とならない範囲で、各構成要素を金属以外(例えば、樹脂)により構成してもよい。
上述の実施形態では、放熱器12としてサブクール型の凝縮器を採用する例について説明したが、これに限定されず、例えば、レシーバ122や過冷却部123が設けられていない放熱器を採用してもよい。
上述の実施形態では、車両用空調装置の冷凍サイクル10に本発明のエジェクタ100を適用する例について説明したが、これに限定されない。例えば、据置型空調装置等に用いられるヒートポンプサイクルや、空調装置以外の熱機器に適用される冷凍サイクルに本発明のエジェクタ100を適用してもよい。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、エジェクタは、第1付勢部材および第2付勢部材それぞれにおける横力の作用方向が、シャフトの周方向の一部に偏るように配設されている。
また、第2の観点によれば、エジェクタの第1付勢部材および第2付勢部材は、第1付勢部材による横力の作用方向と第2付勢部材による横力の作用方向とのなす角度が直角以下となるように配設されている。このように、第1付勢部材による横力と第2付勢部材による横力とが同様の方向に作用する構成とすれば、シャフトの軸心の傾きを充分に抑えられるので、シャフトと摺動穴の内壁とが片当たりすることを抑えることができる。
また、第3の観点によれば、エジェクタのシャフトには、摺動穴の内壁に対向する外周側の部位に、摺動穴の内壁側に向かって突出する一対の突起部が設けられている。そして、一対の突起部は、シャフトにおける延在方向の異なる位置に設けられている。これによれば、シャフトが一対の突起部で摺動穴の内壁との接触することになり、シャフトと摺動穴の内壁との接触面積が低減されるので、シャフトが摺動穴を摺動する際の摩擦力を抑えることができる。これにより、シャフトと摺動穴の内壁との間の摩擦に起因する弁部材の不安定な作動を抑制することができ、冷凍サイクルの負荷に見合ったエジェクタの作動を実現可能となる。
また、第4の観点によれば、エジェクタの第1付勢部材および第2付勢部材は、一方の付勢部材の付勢力が他方の付勢部材の付勢力よりも大きくなっている。そして、一方の付勢部材による横力の作用点と一対の突起部のうち一方の付勢部材に近接する一方の突起部との間隔を第1作用距離とする。また、一対の突起部同士の間隔を突起部距離とし、他方の付勢部材による横力の作用点と一対の突起部のうち他方の付勢部材に近接する他方の突起部との間隔を第2作用距離とする。このとき、第1作用距離は突起部距離よりも短くなっている。また、第2作用距離は突起部距離よりも長くなっている。
これによれば、第1作用距離が突起部距離よりも短く、第2作用距離が突起部距離よりも長くなることで、シャフトに対して一対の突起部を中心として作用するモーメントのバランスの崩れを抑えることができる。これにより、シャフトの軸心の傾きを充分に抑えられるので、第1付勢部材と第2付勢部材とで付勢力が異なっている構成においても、シャフトと摺動穴の内壁とが片当たりすることを抑えることができる。
また、第5の観点によれば、エジェクタの第1付勢部材および第2付勢部材は、一方の付勢部材の付勢力が他方の付勢部材の付勢力よりも大きくなっている。そして、一方の付勢部材による横力の作用点と一対の突起部のうち一方の付勢部材に近接する一方の突起部との間隔をL1とする。また、一対の突起部同士の間隔をL2、他方の付勢部材による横力の作用点と一対の突起部のうち他方の付勢部材に近接する他方の突起部との間隔をL3とし、一方の付勢部材による横力の荷重をFSU、他方の付勢部材による横力の荷重をFSLとする。さらに、FSU/FSLをλ、L1/L2をλ12、L3/L1をλ32とする。このとき、エジェクタは、前述のλ、λ12、λ32が、
{λ×λ32−λ12−1}×{λ×λ32−λ12+λ}≦0
の関係を満たすように設定されている。
このように、λ、λ12、λ32を上述の数式で示す関係を満たすように設定することで、第1付勢部材と第2付勢部材とで付勢力が異なっている構成におけるシャフトと摺動穴の内壁とが片当たりすることを抑えることができる。これにより、シャフトと摺動穴の内壁との片当たりに起因する弁部材の不安定な作動を抑制することができ、冷凍サイクルの負荷に見合ったエジェクタの作動を実現可能となる。
また、第6の観点によれば、エジェクタは、具体的に、第1付勢部材および第2付勢部材それぞれを、一部に偏った横力が発生しやすいコイルバネで構成することが可能である。
10 冷凍サイクル
100 エジェクタ
200 ボデー
240 弁部材
242 シャフト
250 駆動機構
254、254A 第1付勢部材
255、255A 第2付勢部材
272 弁支持部
272a 摺動穴

Claims (6)

  1. 蒸気圧縮式の冷凍サイクル(10)に適用されるエジェクタであって、
    冷媒流入口(211)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(222)、外部から冷媒を吸引する吸引用通路(231)、および前記減圧用空間から噴射された噴射冷媒と前記吸引用通路から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧用空間(232)が形成されたボデー(200)と、
    少なくとも一部が前記減圧用空間および前記昇圧用空間に配置され、前記ボデーにおける前記減圧用空間を形成する部位との間に冷媒を減圧させて噴射するノズル通路(224)、前記ボデーにおける前記昇圧用空間を形成する部位との間に前記噴射冷媒と前記吸引冷媒とを混合して昇圧させるディフューザ通路(232a)を形成する弁部材(240)と、
    前記弁部材の軸心(CL)の延在方向に沿って前記弁部材を変位させる駆動機構(250)と、を備え、
    前記弁部材は、前記延在方向に沿って延びるシャフト(242)を含んで構成されており、
    前記ボデーは、前記シャフトを前記延在方向に沿って摺動させるための摺動穴(272a)が形成された弁支持部(272)を含んで構成されており、
    前記駆動機構は、前記弁部材に対して閉弁方向に付勢力を付与する第1付勢部材(254、254A)、前記弁部材に対して開弁方向に付勢力を付与する第2付勢部材(255、255A)を含んで構成されており、
    前記第1付勢部材および前記第2付勢部材は、前記シャフトを前記摺動穴の内壁側に押し付ける横力の作用方向が前記シャフトにおける周方向の一部に偏るように配設されているエジェクタ。
  2. 前記第1付勢部材および前記第2付勢部材は、前記第1付勢部材による前記横力の作用方向と前記第2付勢部材による前記横力の作用方向とのなす角度が直角以下となるように配設されている請求項1に記載のエジェクタ。
  3. 前記シャフトには、前記摺動穴の内壁に対向する外周側の部位に、前記摺動穴の内壁側に向かって突出する一対の突起部(242a、242b)が設けられており、
    前記一対の突起部は、前記シャフトにおける前記延在方向の異なる位置に設けられている請求項1または2に記載のエジェクタ。
  4. 前記第1付勢部材(254A)および前記第2付勢部材(255A)は、一方の付勢部材の付勢力が他方の付勢部材の付勢力よりも大きくなっており、
    前記一方の付勢部材による前記横力の作用点と前記一対の突起部のうち前記一方の付勢部材に近接する一方の突起部との間隔を第1作用距離、前記一対の突起部同士の間隔を突起部距離、前記他方の付勢部材による前記横力の作用点と前記一対の突起部のうち前記他方の付勢部材に近接する他方の突起部との間隔を第2作用距離としたときに、
    前記第1作用距離は、前記突起部距離よりも短くなっており、
    前記第2作用距離は、前記突起部距離よりも長くなっている請求項3に記載のエジェクタ。
  5. 前記第1付勢部材(254A)および前記第2付勢部材(255A)は、一方の付勢部材の付勢力が他方の付勢部材の付勢力よりも大きくなっており、
    前記一方の付勢部材による前記横力の作用点と前記一対の突起部のうち前記一方の付勢部材に近接する一方の突起部との間隔をL1、前記一対の突起部同士の間隔をL2、前記他方の付勢部材による前記横力の作用点と前記一対の突起部のうち前記他方の付勢部材に近接する他方の突起部との間隔をL3、前記一方の付勢部材による前記横力の荷重をFSU、前記他方の付勢部材による前記横力の荷重をFSLとし、
    さらに、FSU/FSLをλ、L1/L2をλ12、L3/L1をλ32としたとき、
    前述のλ、λ12、λ32は、
    {λ×λ32−λ12−1}×{λ×λ32−λ12+λ}≦0
    の関係を満たすように設定されている請求項3に記載のエジェクタ。
  6. 前記第1付勢部材および前記第2付勢部材それぞれは、コイルバネ(254、255)で構成されている請求項1ないし5のいずれか1つに記載のエジェクタ。
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