JP2017053299A - エジェクタ、エジェクタの製造方法 - Google Patents

エジェクタ、エジェクタの製造方法 Download PDF

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陽一郎 河本
山田 悦久
Etsuhisa Yamada
悦久 山田
照之 堀田
Teruyuki Hotta
照之 堀田
和典 水鳥
Kazunori Mizudori
和典 水鳥
頼人 小原
Yorito Obara
頼人 小原
大志 新谷
Daishi Shintani
大志 新谷
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Abstract

【課題】減圧用空間の中心軸、昇圧用空間の中心軸、弁部材の中心軸それぞれを同軸となるように構成可能なエジェクタを提供する。【解決手段】減圧用空間220bを形成するノズル形成部222と、昇圧用空間232を形成するミドルボデー230とを、減圧用空間220bの中心軸と昇圧用空間232の中心軸とが同軸となるように位置決めした状態で、第1締結部材225により互いに連結する。そして、ミドルボデー230と弁部材240のシャフト242を支持するベースボデー27とを、昇圧用空間232の中心軸と弁部材240の中心軸とが同軸となるように位置決めした状態で、第2締結部材274により互いに連結する。【選択図】図2

Description

本発明は、流体を減圧すると共に、高速で噴出する作動流体の吸引作用によって流体輸送を行う運動量輸送式ポンプであるエジェクタ、およびその製造方法に関する。
従来、蒸気圧縮式の冷凍サイクルに適用される減圧装置として、エジェクタが知られている。この種のエジェクタでは、冷媒を減圧させるノズル部から噴射される噴射冷媒の吸引作用によって蒸発器から流出した冷媒を吸引し、昇圧部(ディフューザ部)にて噴射冷媒と吸引冷媒とを混合して昇圧させる構成となっている(例えば、特許文献1参照)。このエジェクタを備える冷凍サイクルでは、エジェクタの昇圧部における冷媒昇圧作用を利用して圧縮機の消費動力を低減させることが可能となる。
ここで、例えば、特許文献2には、体格の大型化を招くことなく、冷凍サイクルの負荷変動によらず高いノズル効率を発揮可能なエジェクタを実現するために、特徴的な構成が提案されている。なお、ノズル効率は、冷媒の圧力エネルギを速度エネルギに変換する際の変換効率である。
具体的には、特許文献2のエジェクタは、ボデー内部に形成された減圧用空間および昇圧用空間に通路形成部材を配置し、当該通路形成部材の外側とボデーの内側との間に環状の冷媒通路(ノズル通路、ディフューザ通路)を形成している。そして、通路形成部材は、減圧用空間から離れるに伴って断面積が拡大する形状となっている。
このような形状の通路形成部材を採用することで、ディフューザ通路の形状を減圧用空間から離れるに伴って通路形成部材の外周に沿って拡がる円環形状とすることができる。この結果、通路形成部材における軸方向の寸法の拡大を抑えて、エジェクタの体格の小型化を図っている。
また、特許文献2のエジェクタは、ノズル通路およびディフューザ通路の絞り開度を調整する調整機構として、各通路を形成する通路形成部材を吸引冷媒の圧力および温度に応じて変位させる駆動機構を備えている。
このような駆動機構を採用することで、冷凍サイクルの負荷変動に応じて通路形成部材を変位させて、ノズル通路およびディフューザ通路の冷媒通路面積を調整することで、冷凍サイクルの負荷に見合ったエジェクタの作動を実現している。
さらに、特許文献2のエジェクタは、外殻を構成するハウジングボデーの内部に、減圧用空間を形成するノズルボデー、吸引冷媒の流通路と昇圧用空間を形成するミドルボデー、通路形成部材を支持する支持部が形成されたロアボデーを収容する構成となっている。
そして、特許文献1のエジェクタは、ハウジングボデーの内部に収容された各ボデーにより環状の冷媒通路が複数形成される構成となっている。すなわち、ハウジングボデーの内部には、ノズルボデーと通路形成部材との間に円環状のノズル通路が形成されると共に、ミドルボデーと通路形成部材との間に円環状のディフューザ通路が形成されている。さらに、ハウジングボデーの内部には、ノズルボデーとミドルボデーとの間に吸引冷媒をディフューザ通路に導く円環状の吸引通路が形成されている。
特開2007−32945号公報 特開2013−177879号公報
ところで、特許文献2記載のエジェクタは、通路形成部材である弁部材により吸引冷媒と噴射冷媒との混合部の下流側の冷媒通路が円環形状となる。このため、特許文献2記載のエジェクタは、特許文献1の如く、吸引冷媒と噴射冷媒との混合部の下流側の冷媒通路が円形状となる構成に比べて、弁部材の軸ズレが生じた際の冷媒通路の形状が大きく変化してしまう。
この点について、図17、図18を参照して簡単に説明する。図17は、固定絞り等のように断面円形となる冷媒通路RP1が形成された構成を示している。また、図18は、弁部材Vmにより断面が円環状となる冷媒通路RP2が形成された構成を示している。なお、図17、図18に示す各冷媒通路RP1、RP2は、冷媒通路面積が同等であり、且つ、図17に示す冷媒通路RP1の直径D1が図18に示す冷媒通路RP2の外側直径D2の半分(D1=1/2×D2)になっているものとする。
この場合、図18に示す冷媒通路RP2の通路幅h(=(D2−D3)/2)は、図17に示す冷媒通路RP1の直径D1に比べて、約0.135倍の大きさとなる。このため、弁部材の中心軸と各冷媒通路RP1、RP2の中心軸が同じ量ずれた場合、図18に示す冷媒通路RP2の通路幅hは、図17に示す冷媒通路RP1の直径D1に比べて、7.5倍程度の影響を受けることになってしまう。
このように、冷媒通路を円環形状とする構成の場合、弁部材等の軸ずれが生ずると、各冷媒通路の周方向における冷媒通路面積が大きく異なることで、各冷媒通路の周方向における冷媒の流量に偏りが生じてしまう。これにより、各冷媒通路にて膨張不足や過膨張が生じ易くなってしまう。
このことは、圧力エネルギを速度エネルギに変換する効率(ノズル効率に相当)が低下してディフューザ通路にて充分に冷媒を昇圧できなくなる要因となり、エジェクタ全体としての効率(エジェクタ効率)が低下してしまうことから好ましくない。
ところが、特許文献2には、減圧用空間の中心軸、昇圧用空間の中心軸、通路形成部材の中心軸それぞれを同軸となるように配置する旨が開示されているだけで、各中心軸の軸ズレを抑えることについて特に検討されていない。
本発明者らは、特許文献2に記載のエジェクタを実際に試作したところ、減圧用空間の中心軸、昇圧用空間の中心軸、通路形成部材の中心軸それぞれを同軸となるように構成することが困難であることが判った。
この原因について本発明者らが調査した結果、特許文献2のエジェクタでは、ノズル通路等を形成しないハウジングボデーに対して、ノズルボデー等を圧入して連結する構成としており、各空間の中心軸、通路形成部材の中心軸の相対的な位置関係を調整できないことが原因であると判った。すなわち、各冷媒通路を形成する部材以外の部材が、各空間の中心軸、および通路形成部材の中心軸を同軸となるように位置決めする際の制約となってしまうことが原因であることが判った。
本発明は上記点に鑑みて、減圧用空間の中心軸、昇圧用空間の中心軸、弁部材の中心軸それぞれを同軸となるように構成可能なエジェクタを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル(10)に適用されるエジェクタを対象としている。上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
冷媒流入口(211)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(222)、外部から冷媒を吸引する吸引用通路(231c)、および減圧用空間から噴射された噴射冷媒と吸引用通路から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧用空間(232)が形成されたボデー(200)と、
少なくとも一部が減圧用空間および昇圧用空間の内部に配置され、シャフト(242)、およびシャフトを中心とする回転体の形状を有する通路形成部(241)を有する弁部材(240)と、
弁部材をシャフトの軸方向に変位させる駆動機構(250)と、を備え、
ボデーは、
減圧用空間を形成する部位であって、通路形成部との間に冷媒を減圧させて噴射する円環状のノズル通路(224)を形成する第1空間形成部位(222)と、
昇圧用空間を形成する部位であって、第1空間形成部位との間に円環状の吸引用通路を形成すると共に、通路形成部との間に噴射冷媒および吸引冷媒とを混合して昇圧させる円環状のディフューザ通路(232a)を形成する第2空間形成部位(230)と、
弁部材をシャフトの軸方向に摺動可能に支持する弁支持部位(270)と、を含んで構成されており、
第1空間形成部位、第2空間形成部位、および弁支持部位は、別部材として構成されており、
第1空間形成部位および第2空間形成部位は、減圧用空間の中心軸(Cs1)と昇圧用空間の中心軸(Cs2)とが同軸となるように位置決めされた状態で互いに連結されており、
第2空間形成部位と弁支持部位とは、弁支持部位に弁部材が支持された状態、且つ、昇圧用空間の中心軸と弁部材の中心軸(Cs3)とが同軸となるように位置決めされた状態で互いに連結されていることを特徴としている。
これによると、第1空間形成部位、第2空間形成部位、および弁支持部位以外の部材が各部位の位置決めの制約とならないので、各空間の中心軸、および弁部材の中心軸が同軸となるように構成することが可能となる。このため、各空間および弁部材の軸ずれに起因するノズル通路やディフューザ通路等の周方向における冷媒の流量の偏りを抑えることができる。この結果、冷媒の流量調整が可能なエジェクタにおいて、圧力エネルギと速度エネルギとの変換効率を向上させ、エジェクタ全体としての効率向上を図ることが可能となる。
また、請求項4に記載の発明は、
蒸気圧縮式の冷凍サイクルに適用され、
冷媒流入口(211)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(222)、外部から冷媒を吸引する吸引用通路(231c)、および減圧用空間から噴射された噴射冷媒と吸引用通路から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧用空間(232)が形成されたボデー(200)と、
少なくとも一部が減圧用空間および昇圧用空間の内部に配置され、シャフト(242)、およびシャフトを中心とする回転体の形状を有する通路形成部(241)を有する弁部材(240)と、
弁部材をシャフトの軸方向に変位させる駆動機構(250)と、を備え、
ボデーは、
減圧用空間を形成する部位であって、通路形成部との間に冷媒を減圧させて噴射する円環状のノズル通路(224)を形成する第1空間形成部位(222)と、
昇圧用空間を形成する部位であって、第1空間形成部位との間に円環状の吸引用通路を形成すると共に、通路形成部との間に噴射冷媒および吸引冷媒とを混合して昇圧させる円環状のディフューザ通路(232a)を形成する第2空間形成部位(230)と、
弁部材をシャフトの軸方向に摺動可能に支持する弁支持部位(270)と、
を含んで構成されるエジェクタの製造方法を対象としている。
請求項4に記載の発明では、
第1空間形成部位、第2空間形成部位、および弁支持部位は、別部材として構成されており、
第1空間形成部位と第2空間形成部位との相対的な位置を、減圧用空間の中心軸(Cs1)と昇圧用空間の中心軸(Cs2)とが同軸となるように位置決めした後、第1空間形成部位と第2空間形成部位とを連結する第1連結工程と、
弁支持部位に弁部材を支持すると共に、第1連結工程で第1空間形成部位に連結した第2空間形成部位と弁支持部位との相対的な位置を、減圧用空間の中心軸、昇圧用空間の中心軸、弁部材の中心軸(Cs3)が同軸となるように位置決めした後、第2空間形成部位と弁支持部位とを連結する第2連結工程と、
を含んでいることを特徴としている。
これによると、第1空間形成部位、第2空間形成部位、および弁支持部位以外の部材の加工精度等によらず、各空間の中心軸、および弁部材の中心軸が同軸となるように調整することが可能となる。このため、各空間の中心軸、および弁部材の中心軸のズレに起因するノズル通路やディフューザ通路等の周方向における冷媒の流量の偏りを抑えることができる。この結果、冷媒の流量調整が可能なエジェクタにおいて、圧力エネルギと速度エネルギとの変換効率を向上させ、エジェクタ全体としての効率向上を図ることが可能となる
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係るエジェクタを備える冷凍サイクルの全体構成図である。 第1実施形態に係るエジェクタの模式的な断面図である。 第1実施形態に係るエジェクタの駆動機構の一部を示す断面図である。 第1実施形態に係るエジェクタのノズル形成部とミドルボデーとの組付態様を説明する断面図である。 第1実施形態に係るエジェクタのノズル形成部とミドルボデーとの組付状態を示す断面図である。 第1実施形態に係るエジェクタのベースボデーと弁部材との組付態様を説明する断面図である。 第1実施形態に係るエジェクタのベースボデーと弁部材との組付状態を示す断面図である。 第1実施形態に係るエジェクタのノズル形成部およびミドルボデーの組付体とベースボデーおよび弁部材の組付体との組付態様を説明する断面図である。 第1実施形態に係るエジェクタのノズル形成部およびミドルボデーの組付体とベースボデーおよび弁部材の組付体との組付状態を説明する断面図である。 第1実施形態に係るエジェクタの内部における冷媒の流れを示す模式的な断面図である。 弁部材の中心軸と昇圧用空間の中心軸とがずれている状態を示す断面図である。 弁部材の中心軸と昇圧用空間の中心軸とが同軸となっている状態を示す断面図である。 第2実施形態に係るエジェクタの模式的な断面図である。 第3実施形態に係るエジェクタの模式的な断面図である。 第3実施形態に係るエジェクタのノズル形成部およびミドルボデーの組付体とベースボデーおよび弁部材の組付体との組付態様を説明する断面図である。 第3実施形態に係るエジェクタのノズル形成部およびミドルボデーの組付体とベースボデーおよび弁部材の組付体との組付状態を説明する断面図である。 固定絞り等のように断面円形となる冷媒通路が形成された構成を示す断面図である。 弁部材により断面が円環状となる冷媒通路が形成された構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。
また、各実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。
以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。本実施形態では、図1に示す蒸気圧縮式の冷凍サイクル10に本発明のエジェクタ100を適用した例について説明する。
本実施形態の冷凍サイクル10は、空調対象空間である車室内へ送風する送風空気の温度を調整可能な車両用空調装置に適用されている。冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(例えば、R134a)を採用している。冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
従って、本実施形態の冷凍サイクル10は、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。勿論、冷媒としては、HFO系冷媒(具体的には、R1234yf)等を採用してもよい。
図1に示すように、冷凍サイクル10は、主たる構成要素として、圧縮機11、放熱器12、エジェクタ100、蒸発器13を備えている。
圧縮機11は、冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して吐出する流体機械である。本実施形態の圧縮機11は、図示しない電磁クラッチおよびベルトを介して車両走行用のエンジンにより回転駆動されるようになっている。圧縮機11は、例えば、電磁式容量制御弁に図示しない制御装置からの制御信号が入力されることにより、吐出容量が可変される可変容量型圧縮機で構成される。なお、圧縮機11は、電動モータにより回転駆動される電動圧縮機で構成してもよい。圧縮機11を電動圧縮機で構成する場合、電動モータの回転数により吐出容量が可変される。
放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を、室外ファン12aにより強制的に送風される車室外空気(外気)と熱交換させることで、高圧冷媒の熱を外気に放出して冷媒を凝縮液化する放熱用熱交換器である。
本実施形態では、放熱器12としてサブクール型の凝縮器を採用している。具体的には、放熱器12は、高圧冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮部121、凝縮部121から流出した冷媒の気液を分離して余剰となる冷媒を蓄えるレシーバ122、およびレシーバ122で分離された液相冷媒を過冷却する過冷却部123を有している。放熱器12の過冷却部123における冷媒流出側は、エジェクタ100の冷媒流入口211に接続されている。
エジェクタ100は、放熱器12から流出した液相状態の高圧冷媒を減圧する減圧装置として機能すると共に、高速で噴出する冷媒流の吸引作用(巻き込み作用)によって、冷媒の循環を行う流体輸送用の冷媒循環装置としても機能する。なお、エジェクタ100の具体的構成については後述する。
蒸発器13は、室内送風機13aにより、図示しない車両空調装置の空調ケースに導入された外気、または車室内空気(内気)から吸熱して、その内部を流通する冷媒を蒸発させる吸熱用熱交換器である。蒸発器13の冷媒流出側は、エジェクタ100の冷媒吸引口212に接続されている。
次に、図示しない制御装置について説明する。制御装置は、CPU、ROMやRAM等の各種メモリを含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。制御装置には、乗員による操作パネルからの各種操作信号や各種センサ群からの検出信号等が入力される。制御装置は、入力信号等を用いてメモリに記憶された制御プログラムに基づいて各種演算・処理を実行して各種機器の作動を制御する。
次に、図2、図3を参照して、本実施形態のエジェクタ100の詳細な構成について説明する。ここで、図2等の図面上に示す上下の各矢印は、エジェクタ100を車両に搭載した状態における上下方向を示している。
本実施形態のエジェクタ100は、主たる構成要素として、ボデー200、弁部材240、弁部材240を後述するシャフト242の軸方向(図2の上下方向)に変位させる駆動機構250を備える。
図2に示すように、本実施形態のエジェクタ100は、複数の構成部材を組み合わせることによって構成されたボデー200を備えている。
本実施形態のボデー200は、エジェクタ100の外殻を構成するハウジングボデー210の内部に、ノズルボデー220、ミドルボデー230、ベースボデー270等を組み合わせることによって構成されている。
ハウジングボデー210は、角柱状等の金属または樹脂で形成された部材で構成されている。ハウジングボデー210は、その上端側に冷媒流入口211および冷媒吸引口212が形成されている。冷媒流入口211は、冷凍サイクル10の高圧側(放熱器12)から高圧冷媒を流入させる冷媒導入部である。冷媒吸引口212は、蒸発器13から流出した低圧冷媒を吸引する冷媒吸引部である。
また、ハウジングボデー210は、その下端側に液相流出口213および気相流出口214が形成されている。液相流出口213は、後述する気液分離空間260にて分離された液相冷媒を蒸発器13の冷媒入口側へ流出させる液相冷媒導出部である。気相流出口214は、気液分離空間260にて分離された気相冷媒を圧縮機11の吸入側へ流出させる気相冷媒導出部である。
ノズルボデー220は、ハウジングボデー210の内部における上端側に収容されている。より具体的には、ノズルボデー220は、後述する弁部材240のシャフト242の軸方向(上下方向)に直交する方向から見たときに、その一部が冷媒流入口211と重なり合うように、ハウジングボデー210の内部に収容されている。
本実施形態のノズルボデー220は、金属で形成された部材で構成されている。ノズルボデー220は、ハウジングボデー210の内部空間と適合する大きさに形成された旋回形成部221、および旋回形成部221の下端側に設けられて下方側へ向かって突出する筒状のノズル形成部222を含んで構成されている。
旋回形成部221には、その内部に冷媒流入口211から流入した高圧冷媒を旋回させる旋回空間220a等が形成されている。旋回空間220aは、その中心軸が後述する弁部材240のシャフト242の軸方向に沿って延びる回転体形状に形成された空間である。なお、回転体形状とは、平面図形を同一平面上の1つの直線(中心軸)周りに回転させた際に形成される立体形状である。より具体的には、本実施形態の旋回空間220aは、円柱状の形状を有している。勿論、旋回空間220aは、円錐または円錐台と円柱とを結合させた形状等となっていてもよい。
また、本実施形態の旋回空間220aは、ハウジングボデー210およびノズルボデー220の旋回形成部221に形成された冷媒流入通路223を介して冷媒流入口211に連通している。
冷媒流入通路223は、旋回空間220aの中心軸の方向から見たとき、旋回空間220aの内壁面の接線方向に延びるように形成されている。これにより、冷媒流入通路223から旋回空間220aに流入した冷媒は、旋回空間220aの内壁面に沿って流れることで、旋回空間220aを旋回する。なお、冷媒流入通路223は、旋回空間220aに流入した冷媒が旋回空間220aの内壁面に沿って流れる形状に形成されていれば、その他の方向の成分(例えば、旋回空間220aの中心軸の方向)を含んで構成されていてもよい。
また、ノズル形成部222には、その内部に旋回空間220aを旋回した冷媒が通過する減圧用空間220bが形成されている。減圧用空間220bは、旋回空間220aを旋回した高圧冷媒が流入するように、旋回空間220aの下方側に形成されている。本実施形態の減圧用空間220bは、その中心軸が旋回空間220aと同軸となるように形成されている。
減圧用空間220bは、冷媒流れ方向下流側へ向かって断面積が連続的に小さくなる円錐台形状の穴(先細部222a)、および冷媒流れ方向下流側へ向かって断面積が連続的に大きくなる円錐台形状の穴(末広部222b)を結合させた形状となっている。なお、減圧用空間220bにおける先細部222aと末広部222bとの接続箇所が、流路断面積が最も縮小されたノズル喉部(最小通路面積部)222cとなっている。
末広部222bは、減圧用空間220bの中心軸に直交する方向から見たときに、後述する弁部材240における通路形成部241の上方側の部位と重なり合っている。このため、末広部222bは、弁部材240のシャフト242の軸方向に対して垂直な断面形状が円環状(ドーナツ状)となっている。
本実施形態では、ノズルボデー220の減圧用空間220bを形成する部位の内周面と、後述する弁部材240の通路形成部241の上方側の外周面との間に形成される円環状の冷媒通路がノズルとして機能するノズル通路224を構成している。
本実施形態では、ノズルボデー220におけるノズル形成部222が、減圧用空間220bを形成する部位であって、後述する弁部材240の通路形成部241との間に円環状のノズル通路224を形成する第1空間形成部位を構成している。
また、ノズル形成部222の外周側には、外側に突出する環状のフランジ部222dが形成されている。フランジ部222dには、ボルトで構成される第1締結部材225を挿入可能な挿入穴222eが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
続いて、ミドルボデー230は、ハウジングボデー210の内部におけるノズルボデー220の下方側に収容されている。具体的には、ミドルボデー230は、後述する弁部材240のシャフト242の軸方向に直交する方向から見たときに、その一部が冷媒吸引口212と重なり合うように、ハウジングボデー210の内部に収容されている。
本実施形態のミドルボデー230は、金属で形成された部材で構成されている。本実施形態のミドルボデー230には、その中心部に表裏を貫通する回転体形状の貫通穴230aが形成されている。
また、本実施形態のミドルボデー230には、旋回形成部221に対向する上面側の部位に、後述する駆動機構250を保持する保持部230bが設けられている。保持部230bは、駆動機構250の外周形状に適合する内周面を有する筒状部で構成されている。
ミドルボデー230と旋回形成部221との間には、冷媒吸引口212から流入した冷媒を滞留させる吸引空間231aが形成されている。本実施形態の吸引空間231aは、減圧用空間220bの中心軸の方向における形状が円環状となるように構成されている。
また、ミドルボデー230における冷媒吸引口212に対応する部位には、冷媒吸引口212と貫通穴230aとを連通させる連通路231bが形成されている。この連通路231bは、冷媒吸引口212から吸引された冷媒を貫通穴230aへ導く冷媒通路を構成している。
さらに、ミドルボデー230の貫通穴230aの内周面とノズル形成部222の外周面との間には、隙間があいており、当該隙間により外部から冷媒を吸引する円環状の吸引用通路231cが形成されている。吸引用通路231cは、ノズル形成部222の内側に形成される減圧用空間220bに連通している。本実施形態のエジェクタ100では、吸引空間231a、連通路231b、および吸引用通路231cが、冷媒吸引口212からの冷媒を吸引する吸引部231を構成している。
そして、ミドルボデー230の貫通穴230aのうち、吸引用通路231cの冷媒流れ下流側には、冷媒流れ方向に向かって徐々に広がる略円錐台形状に形成された昇圧用空間232が形成されている。この昇圧用空間232は、上述したノズル通路224から噴射された噴射冷媒と吸引用通路231cから吸引された吸引冷媒とを混合して昇圧させる空間である。
本実施形態の昇圧用空間232は、冷媒の流れ方向下流側(下方側)に向かって、その径方向の断面積が拡大するように形成されている。なお、昇圧用空間232は、下方側に向かって断面積が拡大する円錐台形状(ラッパ状)の空間を構成している。
昇圧用空間232の内部には、後述する弁部材240における通路形成部241の下方側の部位が配置されている。そして、昇圧用空間232内における通路形成部241の円錐状側面の等価的な広がり角度は、昇圧用空間232の円錐台形状空間の等価的な広がり角度よりも小さくなっている。これにより、昇圧用空間232の内周面と、後述する弁部材240における通路形成部241の外周面との間に形成される冷媒通路は、その冷媒通路面積が冷媒流れ下流側に向かって徐々に拡大している。なお、等価的な広がり角度とは、例えば、円環状の空間となる場合に、円環状の空間を、当該空間と同じ断面積を有する円柱状の空間に置き換えた際の広がり角度を意味している。
本実施形態では、昇圧用空間232の内周面と、弁部材240における通路形成部241の外周面との間に形成される円環状の冷媒通路が、噴射冷媒および吸引冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換させるディフューザ通路232aを構成している。
本実施形態では、ミドルボデー230が、昇圧用空間232を形成する部位であって、ノズル形成部222との間に吸引用通路231cを形成すると共に、後述する通路形成部241との間にディフューザ通路232aを形成する第2空間形成部位を構成している。
本実施形態のミドルボデー230には、ノズル形成部222におけるフランジ部222dの挿入穴222eに対応する部位に、第1締結部材225の第1締結受部230dが形成されている。第1締結受部230dには、第1締結部材225のネジ山に対応するネジ溝が形成されている。
本実施形態のノズル形成部222およびミドルボデー230は、別部材として構成されている。そして、ノズル形成部222およびミドルボデー230は、減圧用空間220bの中心軸と昇圧用空間232の中心軸とが同軸となるように位置決めされた状態で、第1締結部材225により互いに連結されている。なお、本実施形態では、第1締結部材225をボルトで構成しているが、これに限らず、例えば、リベットやピンで構成してもよい。
ここで、後述する弁部材240の軸方向に直交する径方向において、ノズル形成部222およびミドルボデー230同士が接触していると、各部材の相対的な位置を調整する際の制約となってしまうことが懸念される。
このため、本実施形態のノズル形成部222およびミドルボデー230は、後述する弁部材240の軸方向に直交する径方向において、互いに隙間があいた状態で連結されている。
また、本実施形態のミドルボデー230には、後述するベースボデー270における基板部271の外側の部位に形成された挿入穴271aに対応する部位に、後述する第2締結部材274の第2締結受部230eが形成されている。第2締結受部230eには、第2締結部材274のネジ山に対応するネジ溝が形成されている。
続いて、弁部材240について説明する。弁部材240は、ノズル形成部222の内周との間にノズル通路224を形成すると共に、ミドルボデー230の内周面との間にディフューザ通路232aを形成する部材である。弁部材240は、少なくとも一部が減圧用空間220b、および昇圧用空間232の双方に位置するようにハウジングボデー210の内部に収容されている。
本実施形態の弁部材240は、ノズル通路224およびディフューザ通路232aを形成する通路形成部241、および後述するベースボデー270に支持されるシャフト242を有している。
通路形成部241は、略円錐状の金属または樹脂で構成されている。具体的には、通路形成部241は、減圧用空間220bから離れるに伴って外径が拡大する略円錐形状に形成されている。
通路形成部241における減圧用空間220bの内周面と対向する部位は、減圧用空間220bの内周面との間に環状のノズル通路224が形成されるように、減圧用空間220bの末広部222bの内周面に沿う曲面を有する。
また、通路形成部241における昇圧用空間232の内周面と対向する部位は、昇圧用空間232の内周面との間に環状のディフューザ通路232aが形成されるように、昇圧用空間232の内周面に沿う曲面を有する。
さらに、通路形成部241には、図示しないが、ディフューザ通路232aの冷媒流れ下流側となる部位に、ディフューザ通路232aから流出した冷媒に気液分離用の旋回力を付与する固定翼が配設されている。
ここで、前述のように、昇圧用空間232が円錐台形状の空間を構成するように形成され、通路形成部241が昇圧用空間232の内周面に沿う曲面を有する。このため、ディフューザ通路232aは、シャフト242の軸方向に対して交差する方向に拡がるように形成されている。つまり、ディフューザ通路232aは、冷媒流れ上流側から下流側に向けてシャフト242から遠ざかるような冷媒通路となっている。
シャフト242は、弁部材240の中心軸の軸線に沿って伸びる棒状の金属で構成されている。シャフト242は、通路形成部241がシャフト242の軸方向に沿って変位するように、一端側の部位が通路形成部241に固定され、他端側の部位が後述するベースボデー270に支持されている。
続いて、駆動機構250について説明する。駆動機構250は、弁部材240をシャフト242の軸方向に沿って変位させて、各通路224、232aの冷媒流路面積を変更する駆動部である。
本実施形態の駆動機構250は、蒸発器13から流出した低圧冷媒の過熱度(温度および圧力)が所望の範囲となるように、弁部材240の変位量を制御するように構成されている。本実施形態の駆動機構250は、外部の雰囲気温度の影響を受けないように、ボデー200内部に収容されている。
本実施形態の駆動機構250は、受圧部で受ける圧力に応じて変位する圧力応動部材を構成する薄板状のダイヤフラム251、およびダイヤフラム251を保持する一対の蓋部252a、252cを有している。
図3に示すように、一対の蓋部252a、252cは、ミドルボデー230の上面に形成された環状の保持部230bに保持可能なように、当該保持部230bの内側形状に適合する環状の形状(ドーナツ状の形状)に形成されている。
ダイヤフラム251は、一対の蓋部252a、252cの内部に収容可能なように、環状に形成されている。ダイヤフラム251は、内周縁部および外周縁部の双方が、一対の蓋部252a、252cとで狭持された状態で、一対の蓋部252a、252cとの間に形成される環状の空間を上下の2つの空間に仕切るように固定されている。
ダイヤフラム251により仕切られた2つの空間のうち、上方側の空間は、蒸発器13から流出した冷媒の温度に応じて圧力が変化する気液混合状態の感温媒体が封入される封入空間252bを構成している。本実施形態の封入空間252bは、上蓋部252aおよびダイヤフラム251により形成されている。従って、上蓋部252aは、感温媒体を封入する封入空間252bを形成する封入空間形成部を構成している。
封入空間252bには、主として冷凍サイクル10を循環する冷媒と同一の冷媒で組成された感温媒体(例えば、R134a)が、予め定めた重量となるように封入されている。感温媒体は、気液混合状態で封入空間252bに封入されている。なお、感温媒体は、例えば、サイクルを循環する冷媒とヘリウムガスとの混合流体を採用してもよい。
本実施形態の封入空間252bは、ダイヤフラム251の形状に適合する環状の空間を構成しており、弁部材240と干渉しないように、弁部材240の中心軸の周りを囲むように形成されている。
封入空間252bを形成する上蓋部252aは、吸引部231と隣接する位置に配置されている。これにより、封入空間252b内の感温媒体には、吸引部231を流通する吸引冷媒の温度が伝達され、封入空間252bの内圧が、吸引部231を流通する吸引冷媒の温度に応じた圧力に近づく。
一方、ダイヤフラム251により仕切られた2つの空間のうち、下蓋部252cとの間に形成される空間は、ミドルボデー230に形成された図示しない連通路を介して、蒸発器13から流出した冷媒を導入させる導入空間252dを構成している。
導入空間252dは、感温媒体の圧力に対抗するように、ダイヤフラム251に対して吸引部(吸引用通路)231内の吸引冷媒の圧力を作用させる圧力室である。下蓋部252cには、吸引部231を流れる冷媒を導入空間252dに導入すると共に、後述する作動棒253aの上端部を挿入する貫通穴部252eが形成されている。
このように、封入空間252bに封入された感温媒体には、一対の蓋部252a、252c等を介して、蒸発器13から流出した冷媒、すなわち、吸引部231を流通する吸引冷媒の温度が伝達される。本実施形態では、一対の蓋部252a、252c、および各空間252b、252dが吸引部231を流通する吸引冷媒の温度を検知する感温部252を構成している。
ここで、ダイヤフラム251は、封入空間252bの内圧と導入空間252dへ導入された冷媒の圧力との圧力差に応じて変形すると共に、常に冷媒に接している。このため、ダイヤフラム251は、強靭性、耐圧性、ガスバリア性、シール性に優れた材料で構成することが望ましい。
本実施形態では、ダイヤフラム251として、例えば、基布(ポリエステル)入りのEPDM(エチレンプロピレンゴム)やHNBR(水素添加ニトリルゴム)等の合成ゴム製の基材を採用している。ダイヤフラム251は、ゴム製の基材に対して、感温媒体の封入空間252bからの漏洩を抑制するバリア膜を一体化させることが望ましい。バリア膜は、封入空間252bに封入する感温媒体の種類に応じて、当該感温媒体の透過度が低いものを選択することが望ましい。
また、駆動機構250は、ダイヤフラム251の変位により生ずる荷重を弁部材240に伝達する荷重伝達部材253を有している。
荷重伝達部材253は、図2に示すように、一端側が弁部材240の通路形成部241に接するように配設された複数本の作動棒253aと、各作動棒253aの他端側およびダイヤフラム251の双方に接するように配設されたプレート部材253bとを有している。
各作動棒253aは、ミドルボデー230の貫通穴230aの径方向外側に形成された摺動穴230cを貫くと共に、一端側が通路形成部241の下方側の外周に接触し、他端側がプレート部材253bに接するように配設されている。
各作動棒253aは、プレート部材253bの周方向(弁部材240の中心軸の周方向)に間隔をあけて配置されている。各作動棒253aは、ダイヤフラム251の変位が弁部材240に正確に伝達されるように、プレート部材253bの周方向に均等に配置することが望ましい。
また、各作動棒253aは、ダイヤフラム251の変位が弁部材240に正確に伝達されるように、ミドルボデー230の周方向に間隔をあけて3本以上配設することが望ましい。より好ましくは、作動棒253aは、ミドルボデー230の周方向に間隔をあけて3本配設することが望ましい。
続いて、プレート部材253bは、ダイヤフラム251からの荷重を各作動棒253aに対して均等に伝えるための部材である。プレート部材253bは、ダイヤフラム251における受圧部を支持するように、ダイヤフラム251と作動棒253aとで狭持されている。本実施形態のプレート部材253bは、導入空間252dに配置されている。
本実施形態のプレート部材253bは、ダイヤフラム251の変位により生ずる荷重を作動棒253aに適切に伝達するために、弁部材240の軸方向から見たときにダイヤフラム251と重なり合うように環状に形成されている。
また、本実施形態のプレート部材253bは、ダイヤフラム251よりも剛性が高い材料(例えば、金属)で構成されている。ダイヤフラム251と作動棒253aとの間に、プレート部材253bを介在させることで、各作動棒253aの寸法のばらつきやダイヤフラム251の反り等が生じていても、ダイヤフラム251から弁部材240へ伝達される力が変化してしまうことを抑制できる。
また、駆動機構250は、弁部材240に対して荷重をかける付勢部材254、および弁部材240に対して作用する付勢部材254の荷重を調整する荷重調整部255を有する。
付勢部材254は、駆動機構250からの荷重に応じた弁部材240の変位特性を設定する部材である。具体的には、付勢部材254は、弁部材240に対してノズル通路224、ディフューザ通路232aの冷媒通路面積を縮小させる方向に荷重を作用させるものである。本実施形態の付勢部材254は、コイルバネで構成されている。なお、付勢部材254は、冷媒が減圧される際の圧力脈動等に起因する弁部材240の振動を減衰させる緩衝部材としての機能も果たしている。
また、荷重調整部255は、付勢部材254により弁部材240に作用させる荷重を調整することで、弁部材240の開弁圧を調整して、狙いの過熱度を微調整するための部材である。
このように構成される駆動機構250は、蒸発器13から流出した冷媒の温度および圧力に応じて、ダイヤフラム251が弁部材240を変位させることにより、蒸発器13出口側の冷媒の過熱度が予め定めた所定値に近づくように調整される。
例えば、蒸発器13から流出した冷媒の温度および圧力が高く、冷凍サイクル10の負荷が高い場合、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの冷媒通路面積が大きくなるように、ダイヤフラム251が弁部材240を変位させる。これにより、冷凍サイクル10内を循環する冷媒流量が増加する。
一方、蒸発器13から流出した冷媒の温度および圧力が低く、冷凍サイクル10の負荷が低い場合、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの冷媒通路面積が小さくなるように、ダイヤフラム251が弁部材240を変位させる。これにより、冷凍サイクル10内を循環する冷媒流量が減少する。
続いて、エジェクタ100における弁部材240の下方側の構成について説明する。弁部材240とハウジングボデー210内部の底面との間には、ディフューザ通路232aから流出した混合冷媒の気液分離する気液分離空間260が形成されている。この気液分離空間260は、略円柱状の空間であり、その中心軸が、旋回空間220a、減圧用空間220b、昇圧用空間232の中心軸と同軸とるように形成されている。
また、ハウジングボデー210の内部空間の底面には、気液分離空間260と同軸となるように配置され、弁部材240側(上方側)に向かって延びる円筒状のパイプ261が設けられている。このパイプ261の内部には、気液分離空間260にて分離された気相冷媒をハウジングボデー210に形成された気相流出口214へ導く気相側流出通路262が形成されている。
また、気液分離空間260にて分離された液相冷媒は、パイプ261の外周側に貯留される。なお、ハウジングボデー210におけるパイプ261の外周側の空間は、液相冷媒を貯留する貯液空間263を構成している。また、ハウジングボデー210における貯液空間263に対応する部位には、貯液空間263に貯留された液相冷媒を液相流出口213へ導く液相側流出通路264が形成されている。
ここで、本実施形態のハウジングボデー210には、弁部材240の下方側に弁部材240を支持するベースボデー270が収容されている。本実施形態のベースボデー270は、円形板状の基板部271、基板部271の中心部に設けられた筒状の弁支持部272を有している。ベースボデー270を構成する基板部271および弁支持部272は、それぞれ金属で形成されており、溶接等により互いに連結されている。なお、ベースボデー270を構成する基板部271および弁支持部272は、一体成形により構成されていてもよい。
基板部271は、外周側の部位がハウジングボデー210に対して固定され、中心側の部位に弁支持部272が固定されている。本実施形態の弁支持部272は、弁部材240のシャフト242の軸方向に沿って延びる摺動穴272aが形成された筒状部材で構成されている。摺動穴272aは、弁部材240のシャフト242を摺動させる貫通穴である。摺動穴272aは、弁部材240のシャフト242が摺動可能な大きさに形成されている。
本実施形態では、弁支持部272が気液分離空間260で分離された気相冷媒の気相側流出通路262へ流入する際の流通抵抗とならないように、弁部材240と気相側流出通路262の冷媒入口部との間に弁支持部272を配置している。本実施形態では、ベースボデー270が、ボデー200における弁部材240をシャフト242の軸方向に摺動可能に支持する弁支持部位を構成している。
また、本実施形態の基板部271には、ディフューザ通路232aの冷媒出口側に近接する部位に、ディフューザ通路232aから流出した冷媒を気液分離空間260に導く出口側連通路273が形成されている。
さらに、本実施形態のベースボデー270の基板部271には、ミドルボデー230に形成された第2締結受部230eに対応する部位に、ボルトで構成される第2締結部材274を挿入可能な挿入穴271aが複数形成されている。
ここで、本実施形態のベースボデー270およびミドルボデー230は、別部材として構成されている。そして、ベースボデー270およびミドルボデー230は、昇圧用空間232の中心軸と弁部材240の中心軸とが同軸となるように位置決めされた状態で、第2締結部材274により互いに連結されている。なお、本実施形態では、第2締結部材274をボルトで構成しているが、これに限らず、例えば、リベットやピンで構成してもよい。
ここで、弁部材240の軸方向に直交する径方向において、ミドルボデー230およびベースボデー270同士が接触していると、各部材の相対的な位置を調整する際に制約が生じてしまうことが懸念される。
このため、本実施形態のミドルボデー230およびベースボデー270は、弁部材240の軸方向に直交する径方向において、互いに隙間があいた状態で連結されている。
次に、上記の構成を有するエジェクタ100の製造方法について説明する。まず、エジェクタ100を構成するハウジングボデー210、ノズルボデー220、ミドルボデー230、弁部材240、駆動機構250、ベースボデー270等の各構成部品を用意する(用意工程)。本実施形態では、ノズルボデー220について、旋回形成部221とノズル形成部222とを別部品として用意した例について説明する。
用意工程で各構成部品を用意した後、ノズル形成部222とミドルボデー230とを連結する(第1連結工程)。具体的には、第1連結工程では、図4に示すように、ノズル形成部222とミドルボデー230との相対的な位置を、減圧用空間220bの中心軸Cs1および昇圧用空間232の中心軸Cs2とが同軸となるように位置決めする。そして、図5に示すように、ノズル形成部222とミドルボデー230とを第1締結部材225により締結して連結する。本実施形態では、第1締結部材225をノズル形成部222側(上方側)からミドルボデー230側(下方側)に向かって挿入連結する構成としている。
ここで、本実施形態では、弁部材240の軸方向に直交する径方向において、ノズル形成部222とミドルボデー230との間に隙間が形成される構成としている。このため、ノズル形成部222とミドルボデー230とを第1締結部材225により締結する際に、減圧用空間220bの中心軸Cs1および昇圧用空間232の中心軸Cs2が同軸となるように微調整可能となっている。
また、用意工程で用意したベースボデー270の弁支持部272に対して弁部材240のシャフト242を挿入して、弁部材240をベースボデー270にて支持する(弁支持工程)。具体的には、弁支持工程では、図6に示すように、ベースボデー270に対して、駆動機構250の付勢部材254、および荷重調整部255を取り付ける。この状態で、ベースボデー270の弁支持部272の摺動穴272aに、弁部材240のシャフト242を挿入して、図7に示すように、弁部材240をベースボデー270にて支持する。
ここで、第1連結工程と弁支持工程は、例えば、第1連結工程の後に、弁支持工程を実施してもよいし、弁支持工程の後に、第1連結工程を実施してもよい。さらに、第1連結工程と弁支持工程は、同時に実施してもよい。
第1連結工程および弁支持工程の完了後、ノズル形成部222が連結されたミドルボデー230とベースボデー270とを連結する(第2連結工程)。具体的には、第2連結工程では、図8に示すように、ミドルボデー230とベースボデー270との相対的な位置を、減圧用空間220bの中心軸Cs1、昇圧用空間232の中心軸Cs2、弁部材240の中心軸Cs3が同軸となるように位置決めする。そして、図9に示すように、ミドルボデー230とベースボデー270とを第2締結部材274により締結して連結する。本実施形態では、第2締結部材274をベースボデー270側(下方側)からミドルボデー230側(上方側)に向かって挿入連結する構成としている。すなわち、本実施形態では、各締結部材225、274を反対方向から挿入連結する構成となっている。
ここで、本実施形態では、弁部材240の軸方向に直交する径方向において、ミドルボデー230とベースボデー270との間に隙間が形成される構成としている。このため、ミドルボデー230とベースボデー270とを第2締結部材274により締結する際に、減圧用空間220bの中心軸Cs1、昇圧用空間232の中心軸Cs2、弁部材240の中心軸Cs3が同軸となるように微調整可能となっている。
続いて、ミドルボデー230の保持部230bに対して駆動機構250を取り付けて保持する(保持工程)。具体的には、駆動機構250の各作動棒253aをミドルボデー230の摺動穴230cに挿入した後、ダイヤフラム251を保持した一対の蓋部252a、252cを圧入等によりミドルボデー230の保持部230bに取り付ける。
そして、旋回形成部221をノズル形成部222に組み付ける(組付工程)。さらに、組付工程で組み付けた組付体を圧入や溶接等によりハウジングボデー210に収容固定する(収容工程)。
本実施形態のエジェクタ100は、上述した各工程により図2に示す構造となるように製造される。そして、上述した各工程により製造したエジェクタ100は、外観検査や動作確認等の各種検査工程を得て製造が完了する。
次に、上記構成に基づく、本実施形態のエジェクタ100の作動について説明する。乗員により空調作動スイッチ等が投入されると、制御装置からの制御信号により圧縮機11の電磁クラッチが通電され、電磁クラッチ等を介して、圧縮機11に車両走行用のエンジンから回転駆動力が伝達される。そして、制御装置から圧縮機11の電磁式容量制御弁に対して制御信号が入力され、圧縮機11の吐出容量が所望の量に調整されて、圧縮機11がエジェクタ100の気相流出口214から吸入した気相冷媒を圧縮して吐出する。
圧縮機11から吐出された高温高圧の気相冷媒は、放熱器12の凝縮部121に流入し、外気により冷却されて凝縮液化した後、レシーバ122にて気液が分離される。その後、レシーバ122にて分離された液相冷媒は、過冷却部123に流入して過冷却される。
放熱器12の過冷却部123から流出した液相冷媒は、エジェクタ100の冷媒流入口211に流入する。エジェクタ100の冷媒流入口211に流入した高圧冷媒は、図10に示すように、冷媒流入通路223を介してエジェクタ100内部の旋回空間220aに流入する。そして、旋回空間220aに流入した高圧冷媒は、旋回空間220aの内壁面に沿って流れ、旋回空間220aを旋回する。旋回空間220aでは、遠心力の作用によって、旋回中心側に気相冷媒が集まり易く、その周りに液相冷媒が集まり易くなる。
そして、旋回空間220aの冷媒は、冷媒流れ下流側の減圧用空間220bに流入し、ノズル通路224にて減圧膨脹される。この減圧膨脹時に冷媒の圧力エネルギが速度エネルギに変換されることで、気液混相状態の冷媒は、ノズル通路224から高速度となって噴出される。
この点について詳述すると、まず、ノズル通路224では、ノズル形成部222の先細部222aの内壁面側から冷媒が剥離する際に壁面沸騰が生ずる。また、ノズル通路224では、その中心側の冷媒のキャビテーションによる沸騰核によって界面沸騰が生ずる。このようにノズル通路224では冷媒の沸騰が促進されることから、ノズル通路224に流入した冷媒は、気相と液相が均質に混合した気液混相状態に近づく。
そして、ノズル形成部222のノズル喉部222c付近で気液混相状態となった冷媒の流れに閉塞(チョーキング)が生じ、このチョーキングにより音速に到達した気液混合状態の冷媒が、ノズル形成部222の末広部222bにて加速されて噴出される。
このように、壁面沸騰および界面沸騰の双方による沸騰促進によって気液混層状態の冷媒を音速となるまで効率よく加速できることで、ノズル通路224におけるエネルギ変換効率(ノズル効率に相当)の向上を図ることができる。
また、ノズル通路224から噴出される冷媒の吸引作用により、蒸発器13流出冷媒が冷媒吸引口212を介して吸引部231に吸引される。そして、吸引部231に吸引された低圧冷媒およびノズル通路224から噴出された噴出冷媒との混合冷媒が、冷媒流れ下流側に向かって冷媒流路面積が拡大するディフューザ通路232aに流入し、速度エネルギが圧力エネルギに変換されることで昇圧される。
なお、本実施形態のエジェクタ100の弁部材240は、減圧用空間220bから離れるに伴って断面積が拡大する略円錐形状に形成されている。このため、ディフューザ通路232aの形状を減圧用空間220bから離れるに伴って外周側へ拡がる形状とすることができる。これにより、弁部材240の軸線CLの方向への寸法の拡大を抑制して、エジェクタ100全体としての体格の大型化を抑制可能となる。
ディフューザ通路232aから流出した冷媒は、図示しない固定翼に流入して旋回力が付与される。このため、気液分離空間260では、遠心力の作用によって冷媒の気液が分離される。
気液分離空間260にて分離された気相冷媒は、気相側流出通路262および気相流出口214を介して、圧縮機11の吸入側に吸引され、再び圧縮される。この際、圧縮機11に吸入される冷媒の圧力は、エジェクタ100のディフューザ通路232aにて昇圧されているので、圧縮機11の駆動力を低減することが可能となる。
また、気液分離空間260にて分離された液相冷媒は、貯液空間263に貯留され、エジェクタ100の冷媒吸引作用により、液相側流出通路264および液相流出口213を介して、蒸発器13に流入する。
蒸発器13では、低圧の液相冷媒が、空調ケース内を流れる空気から吸熱して蒸発気化する。そして、蒸発器13から流出した気相冷媒は、エジェクタ100の冷媒吸引口212を介して吸引部231に吸引され、ディフューザ通路232aに流入する。
以上説明した本実施形態のエジェクタ100は、弁部材240を変位させる駆動機構250を備えている。このため、冷凍サイクル10の負荷に応じて弁部材240を変位させて、ノズル通路224およびディフューザ通路232aの冷媒通路面積を調整可能となっている。
ここで、図11は、弁部材240の中心軸Cs3と昇圧用空間の中心軸Cs2とがずれている状態を示す断面図である。また、図12は、弁部材240の中心軸Cs3と昇圧用空間の中心軸Cs2とが同軸となっている状態を示す断面図である。
図11に示すように、弁部材240の中心軸Cs3が昇圧用空間の中心軸Cs2に対してずれている場合、ディフューザ通路232aの冷媒流路面積が周方向で異なる大きさとなってしまう。因みに、減圧用空間220bの中心軸Cs1と昇圧用空間の中心軸Cs2とがずれていると、ノズル通路224および吸引用通路231cの冷媒流路面積が周方向で異なる大きさとなってしまう。
一方、図12に示すように、弁部材240の中心軸Cs3と昇圧用空間の中心軸Cs2とが同軸となっている場合、ディフューザ通路232aの冷媒流路面積は周方向で殆ど同じ大きさとなる。
図11に示すように、ボデー200の内部に形成される各冷媒通路の冷媒流路面積が周方向で異なっていると、各冷媒通路を流れる冷媒速度が周方向で異なることになる。このことは、圧力エネルギを速度エネルギに変換する効率(ノズル効率に相当)を低下させる要因となり、エジェクタ100全体としての効率であるエジェクタ効率に悪影響となることから好ましくない。
これに対して、本実施形態では、別部材で構成したノズル形成部222とミドルボデー230とを、減圧用空間220bの中心軸Cs1と昇圧用空間232の中心軸Cs2とが同軸となるように位置決めした状態で互いに連結する構成としている。さらに、本実施形態では、別部材で構成したミドルボデー230とベースボデー270とを、昇圧用空間232の中心軸Cs2と弁部材240の中心軸Cs2とが同軸となるように位置決めした状態で互いに連結する構成としている。
これによると、ノズル形成部222、ミドルボデー230、およびベースボデー270を互いに連結する構成としているので、他の部材が減圧用空間220b、昇圧用空間232、および弁部材240の各中心軸の位置決めの制約とならない。このため、減圧用空間220b、昇圧用空間232、および弁部材240の各中心軸を同軸となるように構成することが可能となる。
この結果、各空間220b、232および弁部材240の軸ずれに起因するノズル通路224やディフューザ通路232a等の周方向における冷媒の流量の偏りを抑えることができる。従って、冷媒の流量調整が可能なエジェクタ100において、圧力エネルギと速度エネルギとの変換効率を向上させ、エジェクタ100全体としての効率向上を図ることが可能となる。
特に、本実施形態では、ノズル形成部222、ミドルボデー230、およびベースボデー270を、シャフト242の軸方向に直交する方向において、互いに隙間があいた状態で連結する構成としている。
これによれば、ノズル形成部222、ミドルボデー230、およびベースボデー270を、シャフト242の軸方向に直交する方向における相対的な位置を調整することができる。このため、減圧用空間220b、昇圧用空間232、および弁部材240の各中心軸の位置決め精度の向上を図ることが可能となる。
ここで、ノズル形成部222、ミドルボデー230、およびベースボデー270は、各締結部材225、274における接合強度を充分に確保するために、周方向における3箇所以上で連結することが望ましい。また、各締結部材225、274は、ノズル通路224やディフューザ通路232aの冷媒流れに影響しないように、各通路224、232aよりも径方向外側に設けることが望ましい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図13を参照して説明する。本実施形態では、ミドルボデー230の一部をノズル形成部222およびベースボデー270よりも熱伝導率の低い材料で構成している点が第1実施形態と相違している。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、ノズル形成部222、ミドルボデー230、およびベースボデー270を別部材で構成すると共に、ノズル形成部222、ミドルボデー230、およびベースボデー270を互いに連結する構成としている。
ところで、ノズル形成部222とミドルボデー230とを互いに連結する構成とすると、ノズル形成部222とミドルボデー230との間で意図しない熱移動が生じ易くなってしまう。このような熱移動は、ノズル通路224を流れる冷媒の減圧沸騰や、感温部252における吸引冷媒の温度の検知精度等に悪影響となってしまうことが懸念される。
そこで、本実施形態では、図13に示すように、ミドルボデー230のうち、ノズル形成部222のフランジ部222dと当接する当接部位230fを金属で構成し、それ以外の部位をノズル形成部222およびベースボデー270よりも熱伝導率の低い樹脂で構成している。また、本実施形態では、ミドルボデー230における当接部位230fに第1締結部材225の第1締結受部230gを形成している。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の構成によれば、第1実施形態で説明した効果に加えて次の効果を奏する。すなわち、本実施形態では、ミドルボデー230の一部をノズル形成部222よりも熱伝導率が低い材料で構成している。これによれば、ノズル形成部222とミドルボデー230との間における熱移動に起因して生ずるノズル通路224を流れる冷媒の減圧沸騰等への影響を抑えることができる。
ここで、本実施形態では、ミドルボデー230のうち、ノズル形成部222のフランジ部222dと当接する当接部位230fを金属で構成しているが、これに限らず、ノズル形成部222よりも熱伝導率の低い材料(例えば、樹脂)で構成してもよい。
また、本実施形態では、ミドルボデー230のうち、ベースボデー270と当接する当接部位を樹脂で構成しているが、これに限らず、例えば、ミドルボデー230のうち、ベースボデー270と当接する当接部位を金属で構成してもよい。この場合、当接部位に対して、第2締結部材274の第2締結受部230eを形成すればよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図14〜図16を参照して説明する。本実施形態では、各締結部材225、274を同じ方向から挿入連結する構成としている点が第1実施形態と相違している。
図14に示すように、本実施形態では、ミドルボデー230におけるベースボデー270の基板部271に当接する部位に対して、第2締結部材274を挿入する複数の挿入穴230hを形成している。
さらに、本実施形態では、ベースボデー270の基板部271におけるミドルボデー230の各挿入穴230hに対応する部位に、第2締結部材274の第2締結受部271bを形成している。この第2締結受部271eには、第2締結部材274のネジ山に対応するネジ溝が形成されている。なお、本実施形態では、第2締結部材274をボルトで構成しているが、これに限らず、例えば、リベットやピンで構成してもよい。
そして、本実施形態のベースボデー270およびミドルボデー230は、別部材として構成されている。そして、ベースボデー270およびミドルボデー230は、昇圧用空間232の中心軸と弁部材の中心軸とが同軸となるように位置決めされた状態で、第2締結部材274により互いに連結されている。
また、本実施形態では、ミドルボデー230ではなく、ノズルボデー220の旋回形成部221に、駆動機構250を保持する保持部221aを設ける構成としている。本実施形態の保持部221aは、駆動機構250の外周形状に適合する内周面を有する筒状の部位で構成されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態のエジェクタ100の製造方法について説明する。まず、エジェクタ100を構成するハウジングボデー210、ノズルボデー220、ミドルボデー230、弁部材240、駆動機構250、ベースボデー270等の各構成部品を用意する(用意工程)。そして、用意工程で各構成部品を用意した後、ノズル形成部222とミドルボデー230とを連結する(第1連結工程)。また、用意工程で用意したベースボデー270の弁支持部272に対して弁部材240のシャフト242を挿入して、弁部材240をベースボデー270にて支持する(弁支持工程)。
続いて、ノズル形成部222が連結されたミドルボデー230とベースボデー270とを連結する(第2連結工程)。具体的には、第2連結工程では、図15に示すように、ミドルボデー230とベースボデー270との相対的な位置を、減圧用空間220bの中心軸Cs1、昇圧用空間232の中心軸Cs2、弁部材240の中心軸Cs3が同軸となるように位置決めする。
そして、図16に示すように、ミドルボデー230とベースボデー270とを第2締結部材274により締結して連結する。本実施形態では、第2締結部材274をミドルボデー230側からベースボデー270側に向かって挿入連結する構成としている。すなわち、本実施形態では、各締結部材225、274を同じ方向から挿入連結する構成となっている。
続いて、旋回形成部221の保持部230bに対して駆動機構250を取り付けて保持する(保持工程)。そして、駆動機構250を取り付けた旋回形成部221をノズル形成部222に組み付ける(組付工程)。さらに、組付工程で組み付けた組付体を圧入や溶接等によりハウジングボデー210に収容固定する(収容工程)。
本実施形態のエジェクタ100は、上述した各工程により図14に示す構造となるように製造される。そして、上述した各工程により製造したエジェクタ100は、外観検査や動作確認等の各種検査工程を得て製造が完了する。
以上説明した本実施形態では、各締結部材225、274を同じ方向から挿入連結する構成としているため、第1実施形態で説明した効果に加えて、組み付け性の向上を図ることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。例えば、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態では、ノズルボデー220、ミドルボデー230、およびベースボデー270を、ハウジングボデー210と別部材として構成する例について説明したが、これに限定されない。ノズルボデー220、ミドルボデー230、およびベースボデー270が別部材で構成されていれば、ノズルボデー220、ミドルボデー230、およびベースボデー270の1つがハウジングボデー210と一体成形されていてもよい。
(2)上述の各実施形態では、ノズルボデー220の旋回形成部221とノズル形成部222とを別部材として構成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、ノズルボデー220の旋回形成部221とノズル形成部222とを1つの部材で構成してもよい。
(3)上述の各実施形態では、弁部材240の通路形成部241として、軸方向の断面形状が二等辺三角形となるものを採用しているが、これに限定されない。通路形成部241は、例えば、軸方向の断面形状が、頂点を挟む二辺が内周側に凸となる形状や二辺が外周側に凸となる形状、あるいは断面形状が半円形状となるものを採用してもよい。
(4)上述の各実施形態の如く、ダイヤフラム251の変位を適切に弁部材240へ伝達するためには、荷重伝達部材253を構成する作動棒253aを3本配設することが望ましいが、これに限定されない。例えば、2本または4本以上の作動棒253aによりダイヤフラム251の変位を弁部材240へ伝達する構成としてもよい。
(5)上述の各実施形態で説明したように、ダイヤフラム251をゴム製の基材で構成するほうが望ましいが、これに限定されず、例えば、ステンレス等によりダイヤフラム251を構成してもよい。
(6)上述の実施形態の如く、駆動機構250に付勢部材254や荷重調整部255を追加することが望ましいが、付勢部材254や荷重調整部255は必須ではなく、省略されていてもよい。
(7)上述の実施形態の如く、エジェクタ100の内部に気液分離空間260や貯液空間263を形成することが望ましいが、これに限らず、エジェクタ100の外部に気液分離器や貯液器等を設けるようにしてもよい。
(8)上述の実施形態では、ノズルボデー220に旋回空間220aを形成する例について説明したが、これに限らず、ボデー200の内部に旋回空間220aを形成しなくてもよい。
(9)上述の実施形態では、ボデー200、弁部材240、駆動機構250等を構成する要素の殆どを金属材料で構成する例について説明したが、これに限定されない。耐圧性や耐熱性等が問題とならない範囲で、各構成要素を金属材料以外(例えば、樹脂)により構成してもよい。
(10)上述の各実施形態では、ノズル形成部222、ミドルボデー230、およびベースボデー270を、各締結部材225、274により互いに連結する構成としているが、これに限定されない。例えば、ノズル形成部222、ミドルボデー230、およびベースボデー270を溶接等により互いに連結する構成としてもよい。
(11)上述の実施形態では、放熱器12としてサブクール型の凝縮器を採用する例について説明したが、これに限定されず、例えば、レシーバ122や過冷却部123が設けられていない放熱器を採用してもよい。
(12)上述の実施形態では、車両用空調装置の冷凍サイクル10に本発明のエジェクタ100を適用する例について説明したが、これに限定されない。例えば、据置型空調装置等に用いられるヒートポンプサイクルや、空調装置以外の熱機器に適用される冷凍サイクルに本発明のエジェクタ100を適用してもよい。
(13)上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
(14)上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
(15)上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
100 エジェクタ
200 ボデー
220b 減圧用空間
222 ノズル形成部(第1空間形成部位)
230 ミドルボデー(第2空間形成部位)
231c 吸引用通路
232 昇圧用空間
232a ディフューザ通路
250 駆動機構
270 ベースボデー(弁支持部位)

Claims (4)

  1. 蒸気圧縮式の冷凍サイクル(10)に適用されるエジェクタであって、
    冷媒流入口(211)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(222)、外部から冷媒を吸引する吸引用通路(231c)、および前記減圧用空間から噴射された噴射冷媒と前記吸引用通路から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧用空間(232)が形成されたボデー(200)と、
    少なくとも一部が前記減圧用空間および前記昇圧用空間の内部に配置され、シャフト(242)、および前記シャフトを中心とする回転体の形状を有する通路形成部(241)を有する弁部材(240)と、
    前記弁部材を前記シャフトの軸方向に変位させる駆動機構(250)と、を備え、
    前記ボデーは、
    前記減圧用空間を形成する部位であって、前記通路形成部との間に冷媒を減圧させて噴射する円環状のノズル通路(224)を形成する第1空間形成部位(222)と、
    前記昇圧用空間を形成する部位であって、前記第1空間形成部位との間に円環状の前記吸引用通路を形成すると共に、前記通路形成部との間に前記噴射冷媒および前記吸引冷媒とを混合して昇圧させる円環状のディフューザ通路(232a)を形成する第2空間形成部位(230)と、
    前記弁部材を前記シャフトの軸方向に摺動可能に支持する弁支持部位(270)と、を含んで構成されており、
    前記第1空間形成部位、前記第2空間形成部位、および前記弁支持部位は、別部材として構成されており、
    前記第1空間形成部位および前記第2空間形成部位は、前記減圧用空間の中心軸(Cs1)と前記昇圧用空間の中心軸(Cs2)とが同軸となるように位置決めされた状態で互いに連結されており、
    前記第2空間形成部位と前記弁支持部位とは、前記弁支持部位に前記弁部材が支持された状態、且つ、前記昇圧用空間の中心軸と前記弁部材の中心軸(Cs3)とが同軸となるように位置決めされた状態で互いに連結されていることを特徴とするエジェクタ。
  2. 前記第1空間形成部位、前記第2空間形成部位、前記弁支持部位は、前記シャフトの軸方向に直交する方向において、互いに隙間があいた状態で連結されていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ。
  3. 前記第2空間形成部位は、少なくとも一部が前記第1空間形成部位よりも熱伝導率の低い材料で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエジェクタ。
  4. 蒸気圧縮式の冷凍サイクルに適用され、
    冷媒流入口(211)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(222)、外部から冷媒を吸引する吸引用通路(231c)、および前記減圧用空間から噴射された噴射冷媒と前記吸引用通路から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧用空間(232)が形成されたボデー(200)と、
    少なくとも一部が前記減圧用空間および前記昇圧用空間の内部に配置され、シャフト(242)、および前記シャフトを中心とする回転体の形状を有する通路形成部(241)を有する弁部材(240)と、
    前記弁部材を前記シャフトの軸方向に変位させる駆動機構(250)と、を備え、
    前記ボデーは、
    前記減圧用空間を形成する部位であって、前記通路形成部との間に冷媒を減圧させて噴射する円環状のノズル通路(224)を形成する第1空間形成部位(222)と、
    前記昇圧用空間を形成する部位であって、前記第1空間形成部位との間に円環状の前記吸引用通路を形成すると共に、前記通路形成部との間に前記噴射冷媒および前記吸引冷媒とを混合して昇圧させる円環状のディフューザ通路(232a)を形成する第2空間形成部位(230)と、
    前記弁部材を前記シャフトの軸方向に摺動可能に支持する弁支持部位(270)と、
    を含んで構成されるエジェクタの製造方法であって、
    前記第1空間形成部位、前記第2空間形成部位、および前記弁支持部位は、別部材として構成されており、
    前記第1空間形成部位と前記第2空間形成部位との相対的な位置を、前記減圧用空間の中心軸(Cs1)と前記昇圧用空間の中心軸(Cs2)とが同軸となるように位置決めした後、前記第1空間形成部位と前記第2空間形成部位とを連結する第1連結工程と、
    前記弁支持部位に前記弁部材を支持すると共に、前記第1連結工程で前記第1空間形成部位に連結した前記第2空間形成部位と前記弁支持部位との相対的な位置を、前記減圧用空間の中心軸、前記昇圧用空間の中心軸、前記弁部材の中心軸(Cs3)が同軸となるように位置決めした後、前記第2空間形成部位と前記弁支持部位とを連結する第2連結工程と、
    を含んでいることを特徴とするエジェクタの製造方法。
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