WO2014162688A1 - エジェクタ - Google Patents

エジェクタ Download PDF

Info

Publication number
WO2014162688A1
WO2014162688A1 PCT/JP2014/001658 JP2014001658W WO2014162688A1 WO 2014162688 A1 WO2014162688 A1 WO 2014162688A1 JP 2014001658 W JP2014001658 W JP 2014001658W WO 2014162688 A1 WO2014162688 A1 WO 2014162688A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
passage
refrigerant
nozzle
forming member
peripheral surface
Prior art date
Application number
PCT/JP2014/001658
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
秀也 松井
西嶋 春幸
山田 悦久
Original Assignee
株式会社デンソー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社デンソー filed Critical 株式会社デンソー
Publication of WO2014162688A1 publication Critical patent/WO2014162688A1/ja

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B41/00Fluid-circulation arrangements
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04FPUMPING OF FLUID BY DIRECT CONTACT OF ANOTHER FLUID OR BY USING INERTIA OF FLUID TO BE PUMPED; SIPHONS
    • F04F5/00Jet pumps, i.e. devices in which flow is induced by pressure drop caused by velocity of another fluid flow
    • F04F5/02Jet pumps, i.e. devices in which flow is induced by pressure drop caused by velocity of another fluid flow the inducing fluid being liquid
    • F04F5/10Jet pumps, i.e. devices in which flow is induced by pressure drop caused by velocity of another fluid flow the inducing fluid being liquid displacing liquids, e.g. containing solids, or liquids and elastic fluids
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/32Cooling devices
    • B60H2001/3286Constructional features
    • B60H2001/3298Ejector-type refrigerant circuits
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B2341/00Details of ejectors not being used as compression device; Details of flow restrictors or expansion valves
    • F25B2341/001Ejectors not being used as compression device
    • F25B2341/0012Ejectors with the cooled primary flow at high pressure

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Fluid Mechanics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Jet Pumps And Other Pumps (AREA)

Abstract

 エジェクタは、冷媒を減圧させる減圧用空間、外部から冷媒を吸引する吸引用通路、および減圧用空間から噴射された噴射冷媒と吸引用通路から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧用空間が形成されたボデー(30)と、ボデー(30)の内部に配置される円錐状の通路形成部材(35)と、通路形成部材(35)を変位させる駆動装置とを備える。減圧用空間を形成するノズルボデー(32)の内周面と通路形成部材(35)の外周面との間にノズルとして機能するノズル通路(13a)を形成し、さらに、ノズルボデー(32)の内周面および通路形成部材(35)の外周面に、ノズル通路(13a)のうち末広部(132)の通路断面積を急拡大させるノズルボデー側溝部(32a)および通路形成部材側溝部(35a)を形成する。これにより、ノズルの通路断面積を変更可能に構成されたエジェクタの作動音を低減させることができる。

Description

エジェクタ 関連出願の相互参照
 本出願は、当該開示内容が参照によって本出願に組み込まれた、2013年4月3日に出願された日本特許出願2013-077626を基にしている。
 本開示は、ノズルから噴射される高速度の噴射流体によって流体を吸引するエジェクタに関する。
 従来、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に適用される減圧装置として、エジェクタが知られている。この種のエジェクタは、冷媒を減圧させるノズルを有し、ノズルから噴射される噴射冷媒の吸引作用によって蒸発器から流出した気相冷媒を吸引し、昇圧部(ディフューザ部)にて噴射冷媒と吸引冷媒とを混合して昇圧させることができる。
 従って、減圧装置としてエジェクタを備える冷凍サイクル装置(以下、エジェクタ式冷凍サイクルと記載する。)では、エジェクタの昇圧部における冷媒昇圧作用を利用して圧縮機の消費動力を低減させることができるので、減圧装置として膨張弁等を備える通常の冷凍サイクル装置よりもサイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
 例えば、特許文献1には、エジェクタ式冷凍サイクルに適用されるエジェクタとして、ノズルの冷媒通路内にニードル状の弁体(通路形成部材)を配置し、エジェクタ式冷凍サイクルの負荷変動に応じて、この弁体を変位させることによってノズルの冷媒通路断面積(最小通路面積部における通路面積)を変更可能に構成されたものが開示されている。
 さらに、特許文献1のエジェクタでは、ニードル状の弁体の先細先端部をノズルの冷媒噴射口から冷媒流れ下流側に突出させ、冷媒噴射口から噴射された噴射冷媒が弁体の先細先端部に沿って流れるようにしている。これにより、このエジェクタでは、エジェクタ式冷凍サイクルの負荷変動によらず、冷媒噴射口から噴射された噴射冷媒の噴流を適性膨張に近づけるようにして、ノズルに高いノズル効率を発揮させようとしている。
 なお、ノズル効率とは、ノズルにて冷媒の圧力エネルギを運動エネルギに変換する際のエネルギ変換効率である。
特開2004-270460号公報
 ところが、本願発明者の検討によると、特許文献1のエジェクタのように弁体を変位させることによってノズルの冷媒通路断面積を変化させる構成では、エジェクタ式冷凍サイクルの負荷変動に応じて弁体を変位させようとしても、弁体の作動遅れ(応答遅れ)が生じてしまうことがある。このため、弁体を変位させた際に、冷媒噴射口から噴射された噴射冷媒の噴流が適性膨張に対して僅かに不足膨張あるいは過膨張となってしまうことがある。
 このような僅かな不足膨張あるいは過膨張は、ノズル効率を大きく低下させてしまう原因にはなりにくい。しかし、噴射冷媒の噴流が不足膨張となってしまうと、冷媒噴射口から噴射された直後の冷媒がノズルの径方向に広がる膨張波を生じさせてしまうので、エジェクタに大きな作動音を生じさせるおそれがある。
 上記点に鑑み、本開示では、ノズルの冷媒通路断面積を変更可能に構成されたエジェクタの作動音を低減させることを目的とする。
 本開示の第1態様によると、エジェクタは、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に用いられる。エジェクタは、ノズルと、ボデーと、通路形成部材および駆動装置を備える。ノズルは冷媒を噴射し、ボデーは、ノズルから噴射された噴射冷媒によって外部から冷媒を吸引する冷媒吸引口、および噴射冷媒と冷媒吸引口から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させるディフューザ部を有する。通路形成部材は、ノズルの軸方向に延び、少なくともノズルの冷媒通路内に配置されている。駆動装置は、通路形成部材を変位させる。ノズルの内周面と通路形成部材の外周面との間に形成される冷媒通路は、冷媒を減圧させるノズル通路であり、ノズル通路は、ノズルの軸方向に垂直な断面において環形状を有している。ノズル通路は、通路断面積が最も小さい最小通路面積部と、最小通路面積部から冷媒流れ方向下流側に形成されて通路断面積が徐々に拡大する末広部と、を有している。駆動装置は、通路形成部材を変位させることによって、最小通路面積部における通路断面積を変化させる。末広部を形成するノズルの内周面、および末広部を形成する通路形成部材の外周面の少なくとも一方は、ノズル通路の通路断面積が拡大するように凹んだ溝部を有している。
 これによれば、末広部を形成するノズルの内周面、および末広部を形成する通路形成部材の外周面の少なくとも一方に、ノズル通路の通路断面積を拡大させる側に凹んだ溝部が形成されているので、ノズル通路を流通する冷媒によって生じる膨張波が、ノズルの冷媒噴射口から流出してしまうことを抑制して、エジェクタの作動音を低減させることができる。
 より詳細には、ノズル通路の最小通路面積部近傍では、気液混合状態となった冷媒に閉塞(チョーキング)を生じさせて、気液混合状態の冷媒の流速を二相音速より高い値となるまで(超音速状態となるまで)加速することができる。従って、通路断面積が徐々に拡大する末広部では、気液混合状態の冷媒を加速することができる。
 そして、末広部を流通する超音速状態となった冷媒が溝部へ流入すると、通路断面積の拡大によって冷媒の流速が急加速され、溝部内部に膨張波を発生させる。さらに、溝部へ流入した冷媒が溝部から流出して末広部へ戻る際には、通路断面積の縮小によって冷媒が急減速され、末広部内に衝撃波を発生させる。
 この衝撃波は、溝部にて発生した膨張波の進行を抑制し、膨張波がノズルの冷媒噴射口から流出してしまうことを抑制する。その結果、冷媒噴射口から噴射される噴射冷媒の噴流を、適正膨張あるいは過膨張とすることができ、膨張波がボデーの内周壁面に衝突すること等によって生じる作動音を低減させることができる。
 つまり、本開示の第1態様によれば、ノズル通路(ノズルの冷媒通路)の通路断面積を変更可能に構成されたエジェクタの作動音を低減させることができる。
 本開示の第2態様によると、エジェクタは蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に用いられる。エジェクタは、ボデーと、通路形成部材および駆動装置を備える。ボデーは、冷媒流入口と、冷媒流入口から流入した冷媒を旋回させる旋回空間と、旋回空間から流出した冷媒を減圧させる減圧用空間と、減圧用空間の冷媒流れ方向下流側に連通して外部から冷媒を吸引する吸引用通路と、減圧用空間から噴射された噴射冷媒と吸引用通路から吸引された吸引冷媒とを混合させる昇圧用空間と、を有する。通路形成部材は、少なくとも減圧用空間の内部および昇圧用空間の内部に配置されるとともに、減圧用空間から離れる方向に断面積が拡大する円錐形状を有する。駆動装置は、通路形成部材を変位させる。減圧用空間を形成するボデーの内周面と通路形成部材の外周面との間に形成される冷媒通路は、旋回空間から流出した冷媒を減圧させて噴射するノズルとして機能するノズル通路である。ノズル通路は、通路形成部材の軸方向に垂直な断面において環形状を有している。ノズル通路は、通路断面積が最も小さい最小通路面積部と、最小通路面積部から冷媒流れ方向下流側に形成されて通路断面積が徐々に拡大する末広部と、を有している。駆動装置は、通路形成部材を変位させることによって、最小通路面積部の通路断面積を変化させる。末広部を形成するボデーの内周面、および末広部を形成する通路形成部材の外周面の少なくとも一方は、ノズル通路の通路断面積が拡大するように凹んだ溝部を有している。
 これによれば、ボデーの内周面のうち末広部を形成する部位、および通路形成部材の外周面のうち末広部を形成する部位の少なくとも一方に、ノズル通路の通路断面積を拡大させる側に凹んだ溝部が形成されているので、上記本開示の第1態様と同様に、ノズル通路を流通する冷媒が生じさせる膨張波が、ノズル通路から流出することを抑制して、エジェクタの作動音を低減させることができる。
 つまり、本開示の第2態様によれば、ノズル通路(ノズルの冷媒通路)の通路断面積を変更可能に構成されたエジェクタの作動音を低減させることができる。
 なお、通路形成部材は、厳密に減圧用空間から離れるに伴って断面積が拡大する形状のみから形成されているものに限定されず、少なくとも一部に減圧用空間から離れるに伴って断面積が拡大する形状を含んでいることによって、ディフューザ通路の形状を減圧用空間から離れるに伴って外側へ広がる形状とすることができるものを含む。
 さらに、「円錐状に形成された」とは、通路形成部材が完全な円錐形状に形成されているという意味に限定されず、円錐に近い形状、あるいは一部に円錐形状を含んで形成されているという意味も含んでいる。具体的には、軸方向断面形状が二等辺三角形となるものに限定されず、頂点を挟む二辺が内周側に凸となる形状、頂点を挟む二辺が外周側に凸となる形状、さらに断面形状が半円形状となるもの等も含む意味である。
本開示の第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルを示す模式的な図である。 第1実施形態のエジェクタを示す模式断面図である。 第1実施形態のエジェクタの各冷媒通路を説明する模式的な断面図である。 図3のIV部の模式的な断面図である。 第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。 本開示の第2実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルを示す模式的な図である。 第2実施形態のエジェクタを示す模式断面図である。 図7のVIII部の模式的な断面図である。
 以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
 図1~図5を用いて、本開示の第1実施形態を説明する。本実施形態のエジェクタ13は、図1の全体構成図に示すように、冷媒減圧装置としてエジェクタを備える冷凍サイクル装置、すなわち、エジェクタ式冷凍サイクル10に適用されている。さらに、このエジェクタ式冷凍サイクル10は、車両用空調装置に適用されており、空調対象空間である車室内へ送風される送風空気を冷却する機能を果たす。
 また、エジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。もちろん、HFO系冷媒(例えば、R1234yf)等を採用してもよい。さらに、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
 エジェクタ式冷凍サイクル10において、圧縮機11は、冷媒を吸入して高圧冷媒となるまで昇圧して吐出するものである。具体的には、本実施形態の圧縮機11は、1つのハウジング内に固定容量型の圧縮機構11a、および圧縮機構11aを駆動する電動モータ11bを収容して構成された電動圧縮機である。
 この圧縮機構11aとしては、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用できる。また、電動モータ11bは、後述する制御装置から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。
 また、圧縮機11は、プーリ、ベルト等を介して車両走行用エンジンから伝達された回転駆動力によって駆動されるエンジン駆動式の圧縮機であってもよい。この種のエンジン駆動式の圧縮機としては、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整できる可変容量型圧縮機、あるいは電磁クラッチの断続により圧縮機の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機を採用することができる。
 圧縮機11の吐出口側には、放熱器12の凝縮部12aの冷媒入口側が接続されている。放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と冷却ファン12dにより送風される車室外空気(外気)を熱交換させることによって、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。
 より具体的には、この放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧気相冷媒と冷却ファン12dから送風された外気とを熱交換させ、高圧気相冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮部12a、凝縮部12aから流出した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄えるレシーバ部12b、およびレシーバ部12bから流出した液相冷媒と冷却ファン12dから送風される外気とを熱交換させ、液相冷媒を過冷却する過冷却部12cを有して構成される、いわゆるサブクール型の凝縮器である。
 冷却ファン12dは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。放熱器12の過冷却部12cの冷媒出口側には、エジェクタ13の冷媒流入口31aが接続されている。
 エジェクタ13は、放熱器12から流出した過冷却状態の高圧液相冷媒を減圧させて下流側へ流出させる冷媒減圧装置としての機能を果たすとともに、高速度で噴射される冷媒流の吸引作用によって後述する蒸発器14から流出した冷媒を吸引(輸送)して循環させる冷媒循環装置(冷媒輸送装置)としての機能を果たす。さらに、本実施形態のエジェクタ13は、減圧させた冷媒の気液を分離する気液分離装置としての機能も果たす。
 エジェクタ13の具体的構成については、図2~図4を用いて説明する。なお、図2における上下の各矢印は、エジェクタ式冷凍サイクル10を車両用空調装置に搭載した状態における上下の各方向を示している。図2は、エジェクタ13の軸方向に平行なエジェクタ13の断面図である。また、図3、図4は、エジェクタ13の各冷媒通路の機能および形状を説明するための模式的な断面図であって、図2と同一部分には同一の符号を付している。
 まず、本実施形態のエジェクタ13は、図2に示すように、複数の構成部材を組み合わせることによって構成されたボデー30を備えている。具体的には、このボデー30は、角柱状あるいは円柱状の金属もしくは樹脂等にて形成されてエジェクタ13の外殻を形成するハウジングボデー31を有し、このハウジングボデー31の内部に、ノズルボデー32、ミドルボデー33、ロワーボデー34等を固定して構成されたものである。
 ハウジングボデー31には、放熱器12から流出した冷媒を内部へ流入させる冷媒流入口31a、蒸発器14から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口31b、ボデー30の内部に形成された気液分離空間30fにて分離された液相冷媒を蒸発器14の冷媒入口側へ流出させる液相冷媒流出口31c、および気液分離空間30fにて分離された気相冷媒を圧縮機11の吸入側へ流出させる気相冷媒流出口31d等が形成されている。
 ノズルボデー32は、冷媒流れ方向に先細る略円錐形状の金属部材等で形成されており、軸方向が鉛直方向(図2の上下方向)と平行になるように、ハウジングボデー31の内部に圧入等によって固定されている。ノズルボデー32の上方側とハウジングボデー31との間には、冷媒流入口31aから流入した冷媒を旋回させる旋回空間30aが形成されている。
 旋回空間30aは、回転体形状に形成され、図2の一点鎖線で示す中心軸が鉛直方向に延びている。なお、回転体形状とは、平面図形を同一平面上の1つの直線(中心軸)の周りに回転させた際に形成される立体形状である。より具体的には、本実施形態の旋回空間30aは、略円柱状に形成されている。もちろん、円錐あるいは円錐台と円柱とを結合させた形状等に形成されていてもよい。
 さらに、冷媒流入口31aと旋回空間30aとを接続する冷媒流入通路31eは、旋回空間30aの中心軸方向から見たときに旋回空間30aの内壁面の接線方向に延びている。これにより、冷媒流入通路31eから旋回空間30aへ流入した冷媒は、旋回空間30aの内壁面に沿って流れ、旋回空間30a内を旋回する。
 なお、冷媒流入通路31eは、旋回空間30aの中心軸方向から見たときに、旋回空間30aの接線方向と完全に一致するように形成されている必要はなく、少なくとも旋回空間30aの接線方向の成分を含んでいれば、その他の方向の成分(例えば、旋回空間30aの軸方向の成分)を含んで形成されていてもよい。
 ここで、旋回空間30a内で旋回する冷媒には遠心力が作用するので、旋回空間30a内では中心軸側の冷媒圧力が外周側の冷媒圧力よりも低下する。そこで、本実施形態では、エジェクタ式冷凍サイクル10の通常運転時に、旋回空間30a内の中心軸側の冷媒圧力を、飽和液相冷媒となる圧力、あるいは、冷媒が減圧沸騰する(キャビテーションを生じる)圧力まで低下させるようにしている。
 このような旋回空間30a内の中心軸側の冷媒圧力の調整は、旋回空間30a内で旋回する冷媒の旋回流速を調整することによって実現することができる。さらに、旋回流速の調整は、例えば、冷媒流入通路31eの通路断面積と旋回空間30aの軸方向垂直断面積との面積比を調整すること等によって行うことができる。なお、本実施形態の旋回流速とは、旋回空間30aの最外周部近傍における冷媒の旋回方向の流速を意味している。
 また、ノズルボデー32の内部には、旋回空間30aから流出した冷媒を減圧させて下流側へ流出させる減圧用空間30bが形成されている。この減圧用空間30bは、円柱状空間とこの円柱状空間の下方側から連続して冷媒流れ方向に向かって徐々に広がる円錐台形状空間とを結合させた回転体形状に形成されており、減圧用空間30bの中心軸は旋回空間30aの中心軸と同軸上に配置されている。
 さらに、減圧用空間30bの内部には、減圧用空間30b内に冷媒通路断面積が最も縮小した最小通路面積部30mを形成するとともに、最小通路面積部30mの通路面積を変化させる通路形成部材35が配置されている。この通路形成部材35は、冷媒流れ下流側に向かって徐々に広がる略円錐形状に形成されており、その中心軸が減圧用空間30bの中心軸と同軸上に配置されている。換言すると、通路形成部材35は、減圧用空間30bから離れるに伴って断面積が拡大する円錐状に形成されている。
 そして、ノズルボデー32の減圧用空間30bを形成する部位の内周面と通路形成部材35の上方側の外周面との間に形成される冷媒通路としては、図3、図4に示すように、最小通路面積部30mよりも冷媒流れ上流側に形成されて最小通路面積部30mに至るまでの通路断面積が徐々に縮小する先細部131、および最小通路面積部30mから冷媒流れ下流側に形成されて通路断面積が徐々に拡大する末広部132が形成される。
 先細部131および末広部132では、径方向から見たときに減圧用空間30bと通路形成部材35が重合(オーバーラップ)しているので、冷媒通路の軸方向垂直断面の形状が円環状(円形状から同軸上に配置された小径の円形状を除いたドーナツ形状)となる。さらに、本実施形態の通路形成部材35の広がり角度は、減圧用空間30bの円錐台形状空間の広がり角度よりも小さくなっているので、末広部132における通路断面積は、冷媒流れ下流側に向かって徐々に拡大している。
 本実施形態では、この通路形状によって減圧用空間30bの内周面と通路形成部材35の頂部側の外周面との間に形成される冷媒通路をノズルとして機能するノズル通路13aとしている。さらに、このノズル通路13aでは、冷媒を減圧させて、気液二相状態の冷媒の流速を二相音速より高い値となるように増速させて噴射している。
 なお、本実施形態における減圧用空間30bの内周面と通路形成部材35の頂部側の外周面との間に形成される冷媒通路とは、図4の模式的な拡大図に示すように、通路形成部材35の外周面から法線方向に延びる線分がノズルボデー32の減圧用空間30bと交わる範囲に形成される冷媒通路である。
 また、ノズル通路13aへ流入する冷媒は旋回空間30aにて旋回しているので、ノズル通路13aを流通する冷媒およびノズル通路13aから噴射される噴射冷媒も、旋回空間30aにて旋回する冷媒と同方向に旋回する方向の速度成分を有している。
 さらに、本実施形態では、図2~図4に示すように、減圧用空間30bを形成するノズルボデー32の内周面のうち末広部132を形成する部位、および通路形成部材35の外周面のうち末広部132を形成する部位のそれぞれに、ノズル通路13aの通路断面積を拡大させる側に凹むように形成されたノズルボデー側溝部32a、および通路形成部材側溝部35aが形成されている。
 より詳細には、ノズルボデー側溝部32aは、ノズルボデー32の内周面のうち最小通路面積部30mよりもノズル通路13aの最下流部に近い位置に配置されて、通路形成部材35の軸周りの全周に亘って環状に形成されている。一方、通路形成部材側溝部35aは、通路形成部材35の外周面のうち最小通路面積部30mよりもノズル通路13aの最下流部に近い位置に配置されて、通路形成部材35の軸周りの全周に亘って環状に形成されている。
 また、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aは、いずれも周方向の断面形状がV字状に形成されている。このため、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aは、ノズル通路13aの末広部132内に、末広部132自体の通路断面積の拡大度合よりも大きな拡大度合で通路断面積を急拡大させる部位を形成している。このように通路断面積が急拡大する部位では、冷媒が末広部132内に衝撃波を発生させる。
 そこで、本実施形態では、冷媒がノズルボデー側溝部32aへ流入することによって生じる衝撃波および通路形成部材側溝部35aへ流入することによって生じる衝撃波が、通路形成部材35が変位してもノズル通路13a内で互いに衝突するように、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aを配置している。
 次に、ミドルボデー33は、図2に示すように、その中心部に表裏を貫通する回転体形状の貫通穴が設けられているとともに、この貫通穴の外周側に通路形成部材35を変位させる駆動装置37を収容した金属製円板状部材等で形成されている。なお、貫通穴の中心軸は旋回空間30aおよび減圧用空間30bの中心軸と同軸上に配置されている。また、ミドルボデー33は、ハウジングボデー31の内部であって、かつ、ノズルボデー32の下方側に圧入等によって固定されている。
 ミドルボデー33の上面とこれに対向するハウジングボデー31の内壁面との間には、冷媒吸引口31bから流入した冷媒を滞留させる流入空間30cが形成されている。なお、本実施形態では、ノズルボデー32の下方側の先細先端部がミドルボデー33の貫通穴の内部に位置付けられるため、流入空間30cは、旋回空間30aおよび減圧用空間30bの中心軸方向からみたときに、断面円環状に形成される。
 また、冷媒吸引口31bと流入空間30cとを接続する吸引冷媒流入通路は、流入空間30cの中心軸方向から見たときに、流入空間30cの内周壁面の接線方向に延びている。これにより、本実施形態では、冷媒吸引口31bから吸引冷媒流入通路を介して流入空間30c内へ流入した冷媒を、旋回空間30a内の冷媒と同方向に旋回させるようにしている。
 さらに、ミドルボデー33の貫通穴のうち、ノズルボデー32の下方側が挿入される範囲、すなわち軸線に垂直な径方向から見たときにミドルボデー33とノズルボデー32が重合する範囲では、ノズルボデー32の先細先端部の外周形状に適合するように通路断面積が冷媒流れ方向に向かって徐々に縮小している。
 これにより、貫通穴の内周面とノズルボデー32の下方側の外周面との間には、流入空間30cと減圧用空間30bの冷媒流れ下流側とを連通させる吸引通路30dが形成される。つまり、本実施形態では、流入空間30cおよび吸引通路30dによって、外部から冷媒を吸引する吸引用通路13bが形成されている。さらに、この吸引用通路13bの中心軸垂直断面も円環状に形成され、吸引用通路13bでは、中心軸の外周側から内周側へ向かって吸引冷媒が旋回しながら流れる。
 また、ミドルボデー33の貫通穴のうち、吸引通路30dの冷媒流れ下流側には、冷媒流れ方向に向かって徐々に広がる略円錐台形状に形成された昇圧用空間30eが形成されている。昇圧用空間30eは、上述したノズル通路13aから噴射された噴射冷媒と吸引通路30dから吸引された吸引冷媒とを混合させる空間である。
 この昇圧用空間30eの内部には、前述した通路形成部材35の下方側が配置されている。さらに、昇圧用空間30e内の通路形成部材35の円錐状側面の広がり角度は、昇圧用空間30eの円錐台形状空間の広がり角度よりも小さくなっているので、この冷媒通路の通路断面積は冷媒流れ下流側に向かって徐々に拡大する。
 本実施形態では、このように通路断面積を拡大させることによって、昇圧用空間30eを形成するミドルボデー33の内周面と通路形成部材35の下方側の外周面との間に形成される冷媒通路をディフューザとして機能するディフューザ通路13cとし、噴射冷媒および吸引冷媒の混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換させている。つまり、ディフューザ通路13cでは、噴射冷媒および吸引冷媒を混合して昇圧させている。さらに、このディフューザ通路13cの中心軸垂直断面形状も円環状に形成されている。
 なお、ノズル13aからディフューザ通路13c側へ噴射される冷媒および吸引用通路13bから吸引される冷媒は、旋回空間30aにて旋回する冷媒と同方向に旋回する方向の速度成分を有している。従って、ディフューザ通路13cを流通する冷媒およびディフューザ通路13cから流出する冷媒についても、旋回空間30aにて旋回する冷媒と同方向に旋回する方向の速度成分を有している。
 次に、ミドルボデー33の内部に配置されて、通路形成部材35を変位させる駆動装置37について説明する。この駆動装置37は、圧力応動部材である円形薄板状のダイヤフラム37aを有して構成されている。より具体的には、図2に示すように、ダイヤフラム37aはミドルボデー33の外周側に形成された円柱状の空間を上下の2つの空間に仕切るように、溶接等によって固定されている。
 ダイヤフラム37aによって仕切られた2つの空間のうち上方側(流入空間30c側)の空間は、蒸発器14流出冷媒の温度に応じて圧力変化する感温媒体が封入される封入空間37bを構成している。この封入空間37bには、エジェクタ式冷凍サイクル10を循環する冷媒と同一組成の感温媒体が予め定めた密度となるように封入されている。従って、本実施形態における感温媒体は、R134aとなる。
 一方、ダイヤフラム37aによって仕切られた2つの空間のうち下方側の空間は、図示しない連通路を介して、蒸発器14流出冷媒を導入させる導入空間37cを構成している。従って、封入空間37bに封入された感温媒体には、流入空間30cと封入空間37bとを仕切る蓋部材37dおよびダイヤフラム37aを介して、蒸発器14流出冷媒の温度が伝達される。
 ここで、図2、図3から明らかなように、本実施形態のミドルボデー33の上方側には吸引用通路13bが配置され、ミドルボデー33の下方側にはディフューザ通路13cが配置されている。従って、駆動装置37の少なくとも一部は、軸線の径方向から見たときに吸引用通路13bおよびディフューザ通路13cによって上下方向から挟まれる位置に配置されることになる。
 より詳細には、駆動装置37の封入空間37bは、旋回空間30aや通路形成部材35等の中心軸方向から見たときに、吸引用通路13bおよびディフューザ通路13cと重合する位置であって、吸引用通路13bおよびディフューザ通路13cによって囲まれる位置に配置されている。これにより、封入空間37bに蒸発器14流出冷媒の温度が伝達され、封入空間37bの内圧は、蒸発器14流出冷媒の温度に応じた圧力となる。
 さらに、ダイヤフラム37aは、封入空間37bの内圧と導入空間37cへ流入した蒸発器14流出冷媒の圧力との差圧に応じて変形する。このため、ダイヤフラム37aは弾性に富み、かつ熱伝導が良好で、強靱な材質にて形成することが好ましく、例えば、ステンレス(SUS304)等の金属薄板にて形成されることが望ましい。
 また、ダイヤフラム37aの中心部には、円柱状の作動棒37eの上端側が溶接等によって接合され、作動棒37eの下端側には通路形成部材35の最下方側(底側)の外周側が固定されている。これにより、ダイヤフラム37aと通路形成部材35が連結され、ダイヤフラム37aの変位に伴って通路形成部材35が変位し、ノズル通路13aの通路断面積(最小通路面積部30mにおける通路断面積)が調整される。
 具体的には、蒸発器14流出冷媒の温度(過熱度)が上昇すると、封入空間37bに封入された感温媒体の飽和圧力が上昇し、封入空間37bの内圧から導入空間37cの圧力を差し引いた差圧が大きくなる。これにより、ダイヤフラム37aは、最小通路面積部30mにおける通路断面積を拡大させる方向(鉛直方向下方側)に通路形成部材35を変位させる。
 一方、蒸発器14流出冷媒の温度(過熱度)が低下すると、封入空間37bに封入された感温媒体の飽和圧力が低下して、封入空間37bの内圧から導入空間37cの圧力を差し引いた差圧が小さくなる。これにより、ダイヤフラム37aは、最小通路面積部30mにおける通路断面積を縮小させる方向(鉛直方向上方側)に通路形成部材35を変位させる。
 このように蒸発器14流出冷媒の過熱度に応じてダイヤフラム37aが、通路形成部材35を上下方向に変位させることによって、蒸発器14流出冷媒の過熱度が予め定めた所定値に近づくように、最小通路面積部30mにおける通路断面積を調整することができる。なお、作動棒37eとミドルボデー33との隙間は、図示しないO-リング等のシール部材によってシールされており、作動棒37eが変位してもこの隙間から冷媒が漏れることはない。
 また、通路形成部材35の底面は、ロワーボデー34に固定されたコイルバネ40の荷重を受けている。コイルバネ40は、通路形成部材35に対して、最小通路面積部30mにおける通路断面積を縮小する側(図2では、上方側)に付勢する荷重をかけており、この荷重を調整することで、通路形成部材35の開弁圧を変更して、狙いの過熱度を変更することもできる。
 なお、本実施形態では、ミドルボデー33の外周側に複数(具体的には、図2、図3に示すように2つ)の円柱状の空間を設け、この空間の内部にそれぞれ円形薄板状のダイヤフラム37aを固定して2つの駆動装置37を構成しているが、駆動装置37の数はこれに限定されない。なお、駆動装置37を複数箇所に設ける場合は、それぞれ中心軸に対して等角度間隔で配置されていることが望ましい。
 また、軸方向からみたときに円環状に形成される空間内に、円環状の薄板で形成されたダイヤフラムを固定し、複数の作動棒でこのダイヤフラムと通路形成部材35とを連結する構成としてもよい。
 次に、ロワーボデー34は、円柱状の金属部材で形成されており、ハウジングボデー31の底面を閉塞するように、ハウジングボデー31内にネジ止め等によって固定されている。また、図2、図3に示すように、ロワーボデー34の上方側とミドルボデー33との間には、前述したディフューザ通路13cから流出した冷媒の気液を分離する気液分離空間30fが形成されている。
 この気液分離空間30fは、略円柱状の回転体形状の空間として形成されており、気液分離空間30fの中心軸も、旋回空間30a、減圧用空間30bおよび通路形成部材35等の中心軸と同軸上に配置されている。
 さらに、前述の如く、ディフューザ通路13cから流出して気液分離空間30fへ流入する冷媒は、旋回空間30aにて旋回する冷媒と同方向に旋回する方向の速度成分を有している。従って、この気液分離空間30f内では遠心力の作用によって冷媒の気液が分離されることになる。
 ロワーボデー34の中心部には、気液分離空間30fに同軸上に配置されて、上方側へ向かって延びる円筒状のパイプ34aが設けられている。そして、気液分離空間30fにて分離された液相冷媒は、パイプ34aの外周側に貯留される。また、パイプ34aの内部には、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒をハウジングボデー31の気相冷媒流出口31dへ導く気相冷媒流出通路34bが形成されている。
 さらに、パイプ34aの上端部には、前述したコイルバネ40が固定されている。なお、このコイルバネ40は、冷媒が減圧される際の圧力脈動に起因する通路形成部材35の振動を減衰させる振動緩衝部材としての機能も果たしている。また、パイプ34aの根本部(最下方部)には、液相冷媒中の冷凍機油を気相冷媒流出通路34bを介して圧縮機11内へ戻すオイル戻し穴34cが形成されている。
 エジェクタ13の液相冷媒流出口31cには、図1に示すように、蒸発器14の入口側が接続されている。蒸発器14は、エジェクタ13にて減圧された低圧冷媒と送風ファン14aから車室内へ送風される送風空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
 送風ファン14aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。蒸発器14の出口側には、エジェクタ13の冷媒吸引口31bが接続されている。さらに、エジェクタ13の気相冷媒流出口31dには圧縮機11の吸入側が接続されている。
 次に、図示しない制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この制御装置は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行って、上述の各種電気式のアクチュエータ11b、12d、14a等の作動を制御する。
 また、制御装置には、車室内温度を検出する内気温センサ、外気温を検出する外気温センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、蒸発器14の吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度センサ、放熱器12出口側冷媒の温度を検出する出口側温度センサおよび放熱器12出口側冷媒の圧力を検出する出口側圧力センサ等の空調制御用のセンサ群が接続され、これらのセンサ群の検出値が入力される。
 さらに、制御装置の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が制御装置へ入力される。操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、車室内空調を行うことを要求する空調作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ等が設けられている。
 なお、本実施形態の制御装置は、その出力側に接続された各種の制御対象機器の作動を制御する制御部が一体に構成されたものであるが、制御装置のうち、各制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が各制御対象機器の制御部を構成している。例えば、本実施形態では、圧縮機11の電動モータ11bの作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が吐出能力制御部を構成している。
 次に、上記構成における本実施形態の作動を図5のモリエル線図を用いて説明する。なお、このモリエル線図の縦軸には、図3のP0、P1、P2に対応する圧力が示されている。まず、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)されると、制御装置が圧縮機11の電動モータ11b、冷却ファン12d、送風ファン14a等を作動させる。これにより、圧縮機11が冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。
 圧縮機11から吐出された高温高圧状態の気相冷媒(図5のa5点)は、放熱器12の凝縮部12aへ流入し、冷却ファン12dから送風された送風空気(外気)と熱交換し、放熱して凝縮する。凝縮部12aにて放熱した冷媒は、レシーバ部12bにて気液分離される。レシーバ部12bにて気液分離された液相冷媒は、過冷却部12cにて冷却ファン12dから送風された送風空気と熱交換し、さらに放熱して過冷却液相冷媒となる(図5のa5点→b5点)。
 放熱器12の過冷却部12cから流出した過冷却液相冷媒は、エジェクタ13の減圧用空間30bの内周面と通路形成部材35の外周面との間に形成されるノズル通路13aにて等エントロピ的に減圧されて噴射される(図5のb5点→c5点)。この際、減圧用空間30bの最小通路面積部30mにおける通路断面積は、蒸発器14出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定値に近づくように調整される。
 そして、ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒の吸引作用によって、蒸発器14から流出した冷媒が冷媒吸引口31bおよい吸引用通路13b(より詳細には、流入空間30cおよび吸引通路30d)を介して吸引される。さらに、ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒と吸引用通路13b等を介して吸引された吸引冷媒は、ディフューザ通路13cへ流入する(図5のc5点→d5点、h5点→d5点)。
 ディフューザ通路13cでは通路断面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒が混合されながら混合冷媒の圧力が上昇する(図5のd5点→e5点)。ディフューザ通路13cから流出した冷媒は気液分離空間30fにて気液分離される(図5のe5点→f5点、e5点→g5点)。
 気液分離空間30fにて分離された液相冷媒は液相冷媒流出口31cから流出して、蒸発器14へ流入する。蒸発器14へ流入した冷媒は、送風ファン14aによって送風された送風空気から吸熱して蒸発し、送風空気が冷却される(図5のg5点→h5点)。一方、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒は気相冷媒流出口31dから流出して、圧縮機11へ吸入され再び圧縮される(図5のf5点→a5点)。
 本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10は、以上の如く作動して、車室内へ送風される送風空気を冷却することができる。さらに、このエジェクタ式冷凍サイクル10では、ディフューザ通路13cにて昇圧された冷媒を圧縮機11に吸入させるので、圧縮機11の駆動動力を低減させて、サイクル効率(COP)を向上させることができる。
 さらに、本実施形態のエジェクタ13によれば、旋回空間30aにて冷媒を旋回させることで、旋回空間30a内の旋回中心側の冷媒圧力を、飽和液相冷媒となる圧力、あるいは、冷媒が減圧沸騰する(キャビテーションを生じる)圧力まで低下させることができる。これにより、旋回中心軸の外周側よりも内周側に気相冷媒が多く存在するようにして、旋回空間30a内の旋回中心線近傍はガス単相、その周りは液単相の二相分離状態とすることができる。
 このように二相分離状態となった冷媒がノズル通路13aへ流入することで、ノズル通路13aの先細部131では、円環状の冷媒通路の外周側壁面から冷媒が剥離する際に生じる壁面沸騰および円環状の冷媒通路の中心軸側の冷媒のキャビテーションによって生じた沸騰核による界面沸騰によって冷媒の沸騰が促進される。これにより、ノズル通路13aの最小通路面積部30mへ流入する冷媒が、気相と液相が均質に混合した気液混合状態に近づく。
 そして、最小通路面積部30mの近傍で気液混合状態の冷媒の流れに閉塞(チョーキング)が生じ、このチョーキングによって音速に到達した気液混合状態の冷媒が末広部132にて加速されて噴射される。このように、壁面沸騰および界面沸騰の双方による沸騰促進によって、気液混合状態の冷媒を音速となるまで効率よく加速できることで、ノズル通路13aにおけるエネルギ変換効率(ノズル効率に相当)を向上させることができる。
 また、本実施形態のエジェクタ13によれば、駆動装置37を備えているので、エジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて通路形成部材35を変位させ、ノズル通路13aおよびディフューザ通路13cの通路断面積を調整することができる。従って、エジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じてエジェクタ13を適切に作動させることができる。
 さらに、駆動装置37のうち、感温媒体が封入された封入空間37bが、吸引用通路13bおよびディフューザ通路13cに挟まれる位置に配置されているので、吸引用通路13bとディフューザ通路13cとの間に形成されるスペースを有効に活用することができる。従って、エジェクタ全体としての体格の大型化を抑制できる。
 しかも、封入空間37bが吸引用通路13bおよびディフューザ通路13cによって囲まれる位置に配置されているので、外気温の影響等を受けることなく吸引用通路13bを流通する冷媒の蒸発器14流出冷媒の温度を感温媒体に良好に伝達して、封入空間37b内の圧力を変化させることができる。つまり、封入空間37b内の圧力を蒸発器14流出冷媒の温度に応じて精度良く変化させることができる。
 また、本実施形態のエジェクタ13によれば、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aが形成されているので、ノズル通路13aを流通する冷媒によって生じる膨張波が、ノズル通路13aの冷媒流れ最下流部(通常のノズルの冷媒噴射口に対応)から流出してしまうことを抑制して、エジェクタ13の作動音を低減させることができる。
 このことをより詳細に説明すると、前述の如く、ノズル通路13aの最小通路面積部30m近傍では、冷媒に閉塞(チョーキング)を生じさせて、気液混合状態の冷媒の流速を二相音速より高い値となるまで(超音速状態となるまで)加速することができる。従って、通路断面積が徐々に拡大する末広部132では、気液混合状態の冷媒を加速することができる。
 そして、末広部132を流通する超音速状態となった冷媒がノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aへ流入すると、通路断面積の急拡大によって冷媒の流速が急加速され、図4に示すように、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35a内部に膨張波を発生させる。さらに、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35a内へ流入した冷媒が末広部132へ戻る際には、通路断面積の縮小によって冷媒が急減速され、末広部132内に衝撃波を発生させる。
 この衝撃波は、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aにて発生した膨張波の進行を抑制するので、膨張波がノズル通路13aの冷媒流れ最下流部から流出してしまうことを抑制する。その結果、ノズル通路13aの冷媒流れ最下流部から噴射される噴射冷媒の噴流を、適正膨張あるいは過膨張とすることができ、膨張波がノズルボデー32の内周壁面に衝突すること等によって生じる作動音を低減させることができる。
 つまり、本実施形態のエジェクタ13によれば、ノズル通路13aの通路断面積(最小通路面積部30mにおける通路面積)を変更可能に構成されたエジェクタの作動音を低減させることができる。
 また、本実施形態のエジェクタでは、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aをそれぞれノズルボデー32および通路形成部材35の軸周りの全周に亘って設けているので、それぞれの溝部32a、35aを全周に亘って設けることなく一部に設ける場合に対して、膨張波がノズル通路13aの冷媒流れ最下流部から流出してしまうことを効果的に抑制できる。
 また、本実施形態のエジェクタでは、ノズルボデー32側にノズルボデー側溝部32aが設けられ、通路形成部材35側に通路形成部材側溝部35aが設けられているので、双方の溝部によって生じた衝撃波同士が衝突することによって、膨張波が生じた箇所から比較的短い距離で膨張波の進行を止めることができる。
 さらに、本実施形態のエジェクタでは、冷媒がノズルボデー側溝部32aへ流入することによって生じる衝撃波および通路形成部材側溝部35aへ流入することによって生じる衝撃波が、ノズル通路13a内で互いに衝突するように、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aを配置している。従って、駆動装置37が通路形成部材35を変位させたとしても、膨張波が生じた箇所から比較的短い距離で膨張波の進行を止めることができる。
 また、本実施形態のエジェクタ13では、通路形成部材35として減圧用空間30bから離れるに伴って断面積が拡大する円錐状に形成されたものを採用して、ディフューザ通路13cの断面形状を円環状に形成しているので、ディフューザ通路13cの形状を減圧用空間30bから離れるに伴って通路形成部材35の外周に沿って広がる形状とすることができる。
 これにより、ディフューザ部がノズル部の軸線方向に延びる形状に形成されている場合に対して、ディフューザ通路13cの軸方向(通路形成部材35の軸方向)の寸法が拡大してしまうことを抑制できる。その結果、エジェクタ13全体としての体格の大型化を抑制できる。
 また、本実施形態のエジェクタ13のボデー30には、ディフューザ通路13cから流出した冷媒の気液を分離する気液分離空間30fが形成されているので、エジェクタ13とは別に気液分離装置を設ける場合に対して、気液分離空間30fの容積を効果的に小さくすることができる。
 つまり、本実施形態の気液分離空間30fでは、断面円環状に形成されたディフューザ通路13cから流出する冷媒が既に旋回する方向の速度成分を有しているので気液分離空間30f内で冷媒の旋回流れを発生させるための空間を設ける必要がない。従って、エジェクタ13とは別に気液分離装置を設ける場合に対して、気液分離空間30fの容積を効果的に小さくすることができる。
(第2実施形態)
 本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10a(冷凍サイクル装置)では、図6の全体構成図に示すように、第1実施形態のエジェクタ13に代えて、エジェクタ53および気液分離器60を採用している。
 本実施形態のエジェクタ53は、気液分離装置としての機能は有していないものの、第1実施形態のエジェクタ13と同様に、冷媒減圧装置としての機能を果たすとともに、冷媒循環装置(冷媒輸送装置)としての機能を果たすものである。このエジェクタ53の具体的構成については、図7、図8を用いて説明する。図7は、エジェクタ53の軸方向に平行なエジェクタ53の模式断面図である。
 まず、エジェクタ53は、図7に示すように、ノズル531およびボデー532を有して構成されている。ノズル531は、冷媒を減圧させて噴射するものであり、冷媒の流れ方向に向かって徐々に先細る略円筒状の金属(例えば、ステンレス合金)等で形成されている。
 さらに、ノズル531の冷媒通路内には、ノズル531の軸方向に延びる針状(細長円柱状)に形成されたニードル弁533が配置されている。そして、ノズル531の冷媒通路の内周面とニードル弁533の外周面との間には、冷媒を等エントロピ的に減圧させるノズル通路513aが形成されている。従って、本実施形態のニードル弁533は、ノズル531内にノズル通路513aを形成する通路形成部材の一例として用いられてもよい。
 より具体的には、このノズル通路513aには、通路断面積が最も縮小した最小通路面積部53a、最小通路面積部53aよりも冷媒流れ上流側に形成されて最小通路面積部53aに至るまでの通路断面積が徐々に縮小する先細部53b、および最小通路面積部53aから冷媒流れ下流側に形成されて通路断面積が徐々に拡大する末広部53cが形成されている。
 つまり、本実施形態のノズル通路513aの通路断面積は、ラバールノズルと同様に変化するように構成されている。さらに、本実施形態では、エジェクタ式冷凍サイクル10aの通常運転時に、最小通路面積部53aにて冷媒の流速が二相音速αh以上(超音速状態)となるように設定されたものが採用されている。
 また、ニードル弁533は、ノズルの軸線に対して、同軸上に配置されている。従って、ノズル通路513aは、ノズル531の軸方向に垂直な断面における断面形状が円環状に形成されている。さらに、ニードル弁533の冷媒流れ上流側の端部には、ニードル弁533をノズル531の軸線方向に変位させる駆動装置の一例として用いられるステッピングモータ534に連結されている。
 そして、このステッピングモータ534が、ニードル弁533をノズル531の軸線方向に変位させることによって、ノズル通路513aの通路断面積(最小通路面積部53aにおける通路面積)が調整される。なお、ステッピングモータ534は、制御装置から出力される制御信号(制御パルス)によって、その作動が制御される。
 さらに、本実施形態では、図7、8に示すように、ノズル531の冷媒通路の内周面のうち末広部53cを形成する部位、およびニードル弁533の外周面のうち末広部53cを形成する部位のそれぞれに、ノズル通路513aの通路断面積を拡大させる側に凹むように形成されたノズル側溝部531a、およびニードル弁側溝部533aが形成されている。
 より詳細には、ノズル側溝部531aは、ノズル531の冷媒通路の内周面のうち最小通路面積部53aよりもノズル531の冷媒噴射口531bに近い位置に配置されて、ニードル弁533の軸周りの全周に亘って環状に形成されている。一方、ニードル弁側溝部533aは、ニードル弁533の外周面のうち最小通路面積部53aよりもノズル通路513aの最下流部(すなわち、冷媒噴射口531b)に近い位置に配置されて、ニードル弁533の軸周りの全周に亘って環状に形成されている。
 また、ノズル側溝部531aおよびニードル弁側溝部533aは、いずれも周方向の断面形状がV字状に形成されている。このため、第1実施形態のノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aと同様に、ノズル側溝部531aおよびニードル弁側溝部533aは、ノズル通路513aの末広部53c内に、末広部53c自体の通路断面積の拡大度合よりも大きな拡大度合で通路断面積を急拡大させる部位を形成している。
 さらに、本実施形態では、冷媒がノズル側溝部531aへ流入することによって生じる衝撃波およびニードル弁側溝部533aへ流入することによって生じる衝撃波が、ニードル弁533を変位させてもノズル通路513a内で互いに衝突するように、ノズル側溝部531aおよびニードル弁側溝部533aを配置している。
 次に、ボデー532は、略円筒状の金属(例えば、アルミニウム)等で形成されており、内部にノズル531を支持固定する固定部材として機能するとともに、エジェクタ13の外殻を形成するものである。より具体的には、ノズル531は、ボデー532の長手方向一端側の内部に収容されるように圧入等によって固定されている。
 また、ボデー532の外周側面のうち、ノズル531の外周側に対応する部位には、その内外を貫通してノズル531の冷媒噴射口531bと連通するように設けられた冷媒吸引口532aが形成されている。この冷媒吸引口532aは、ノズル531の冷媒噴射口531bから噴射された噴射冷媒の吸引作用によって蒸発器14から流出した冷媒をエジェクタ53の内部へ吸引する貫通穴である。
 さらに、ボデー532の内部には、冷媒噴射口531bから噴射された噴射冷媒と冷媒吸引口532aから吸引された吸引冷媒と混合させて昇圧させる昇圧部としてのディフューザ部532b、冷媒吸引口532aから吸引された吸引冷媒をディフューザ部532bへ導く吸引通路532c等が形成されている。
 吸引通路532cは、ノズル531の先細り形状の先端部周辺の外周側とボデー532の内周側との間の空間によって形成されており、吸引通路532cの通路断面積は、冷媒流れ方向に向かって徐々に縮小している。これにより、吸引通路532cを流通する吸引冷媒の流速を徐々に増速させて、ディフューザ部532bにて吸引冷媒と噴射冷媒が混合する際のエネルギ損失(混合損失)を減少させている。
 ディフューザ部532bは、吸引通路532cの出口側に連続するように配置されて、通路断面積が徐々に拡大するように形成されている。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換する機能、すなわち、混合冷媒の流速を減速させて混合冷媒を昇圧させる機能を果たす。
 また、ディフューザ部532bを形成するボデー532の内周壁面の壁面形状は、図7に示すように、複数の曲線を組み合わせて形成されている。そして、ディフューザ部532bの冷媒通路断面積の広がり度合が冷媒流れ方向に向かって徐々に大きくなった後に再び小さくなっていることで、冷媒を等エントロピ的に昇圧させることができる。
 エジェクタ53のディフューザ部532bの出口側には、気液分離器60の冷媒流入口が接続されている。気液分離器60は、内部に流入した冷媒の気液を分離する気液分離装置である。さらに、本実施形態の気液分離器60は、サイクル内の余剰液相冷媒を蓄える貯液装置としての機能を果たす。
 気液分離器60の液相冷媒流出口には、蒸発器14の冷媒入口側が接続されている。また、気液分離器60の気相冷媒流出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
 次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aの作動は、基本的に第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10と同様である。従って、圧縮機11から吐出された高温高圧状態の気相冷媒が放熱器12にて過冷却液相冷媒となるまで冷却されて、エジェクタ53へ流入する。
 エジェクタ53へ流入した冷媒は、ノズル531とニードル弁533との間に形成されるノズル通路513aにて等エントロピ的に減圧されて噴射される。この際、制御装置は、蒸発器14出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定値に近づくようにステッピングモータ53dの作動を制御する。
 そして、第1実施形態と同様に、ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒の吸引作用によって、蒸発器14から流出した冷媒が冷媒吸引口532aを介して、エジェクタ53の内部へ吸引され、冷媒噴射口531bから噴射された噴射冷媒と冷媒吸引口532aから吸引された吸引冷媒との混合冷媒がディフューザ部532bにて昇圧される。
 エジェクタ53のディフューザ部532bから流出した冷媒は、気液分離器60にて気液分離され、分離された液相冷媒が蒸発器14へ流入し、分離された気相冷媒が圧縮機11へ吸入され再び圧縮される。その他の作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、第1実施形態と同様に、車室内へ送風される送風空気を冷却することができる。
 さらに、本実施形態のエジェクタ53によれば、ノズル側溝部531aおよびニードル弁側溝部533aが形成されているので、第1実施形態と同様に、ノズル通路513aを流通する冷媒によって生じる膨張波が、ノズル531の冷媒噴射口531bから流出してしまうことを抑制して、エジェクタ53の作動音を低減させることができる。
 つまり、本実施形態のエジェクタ53の構成であっても、第1実施形態と同様に、ノズル通路513aの通路断面積(最小通路面積部53aにおける通路面積)を変更可能に構成されたエジェクタの作動音を低減させることができる。
 本開示は上述の実施形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
 (1)上述の第1実施形態では、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aの双方を設けた例を説明したが、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aのうち少なくとも一方を設ければよい。
 その理由は、ノズルボデー側溝部32aおよび通路形成部材側溝部35aのうち少なくとも一方を設けることで、衝撃波を発生させて膨張波の進行を抑制することができ、ノズル通路13aの通路断面積を変更可能に構成されたエジェクタ13の作動音を低減させることができるからである。
 同様に、第2実施形態では、ノズル側溝部531aおよびニードル弁側溝部533aのうち少なくとも一方を設ければよい。
 また、上述の実施形態では、各溝部32a、35a、531a、533aとして、軸周りの全周に亘って環状に形成されたものを採用したが、もちろん、環状に形成されている必要はなく、軸方向から見たときに、複数の円弧に分割される形状等に形成されていてもよい。
 また、上述の実施形態では、各溝部32a、35a、531a、533aを、最小通路面積部30m、53aよりも、ノズル通路13a、513aの最下流部に近い位置に配置した例を説明したが、各溝部32a、35a、531a、533aは、末広部132、53aに配置されていれば、これに限定されない。
 また、上述の実施形態では、各溝部32a、35a、531a、533aの周方向の断面形状をV字状に形成した例を説明したが、各溝部32a、35a、531a、533aの周方向の断面形状はこれに限定さない。例えば、周方向断面形状がU字状であってもよいし、コの字状であってもよい。
 (2)上述の第1実施形態では、通路形成部材35の外周面から法線方向に延びる線分がノズルボデー32の減圧用空間30bの内周面と交わる範囲に形成される冷媒通路をノズル通路13aとしたが、減圧用空間30bの内周面から法線方向に延びる線分が通路形成部材35の外周面と交わる範囲に形成された冷媒通路をノズル通路13aとしてもよい。
 また、第2実施形態においても、ニードル弁533の外周面から法線方向に延びる線分がノズル531の内周面と交わる範囲に形成される冷媒通路あるいはノズル531の内周面から法線方向に延びる線分がニードル弁533の外周面と交わる範囲に形成される冷媒通路をノズル通路513aとすればよい。
 なお、第2実施形態では、図8にて、ニードル弁533がノズル531の冷媒噴射口531bよりも冷媒流れ下流側に突出するように配置した例を図示したが、ノズル531の冷媒噴射口531bよりも冷媒流れ下流側に突出していなくてもよい。
 (3)上述の第1実施形態では、通路形成部材35を変位させる駆動装置37として、温度変化に伴って圧力変化する感温媒体が封入された封入空間37bおよび封入空間37b内の感温媒体の圧力に応じて変位するダイヤフラム37aを有して構成されたものを採用した例を説明したが、駆動装置はこれに限定されない。
 例えば、感温媒体として温度によって体積変化するサーモワックスを採用してもよいし、駆動装置として形状記憶合金性の弾性部材を有して構成されたものを採用してもよい。さらに、第2実施形態と同様に駆動装置として電動モータによって通路形成部材35を変位させるものを採用してもよい。
 また、第2実施形態のエジェクタ53のニードル弁533を第1実施形態と同様に、ダイヤフラムを有して構成された駆動装置にて変位させるようにしてもよい。
 (4)上述の実施形態では、エジェクタ13の液相冷媒流出口31cおよび気液分離器60の液相冷媒流出口の詳細について説明していないが、これらの冷媒流出口に冷媒を減圧させる減圧装置(例えば、オリフィスやキャピラリチューブからなる側固定絞り)を配置してもよい。
 (5)上述の実施形態では、本開示のエジェクタ13を備えるエジェクタ式冷凍サイクル10を、車両用空調装置に適用した例を説明したが、本開示のエジェクタ13を備えるエジェクタ式冷凍サイクル10の適用はこれに限定されない。例えば、据置型空調装置、冷温保存庫、自動販売機用冷却加熱装置等に適用してもよい。
 (6)上述の実施形態では、放熱器12として、サブクール型の熱交換器を採用した例を説明したが、凝縮部12aのみからなる通常の放熱器を採用してもよい。また、上述の実施形態では、エジェクタ13のボデー30の構成部材、エジェクタ53のノズル531およびボデー532等の構成部材を金属で形成した例を説明したが、それぞれの構成部材の機能を発揮可能であれば材質は限定されない。従って、これらの構成部材を樹脂にて形成してもよい。

Claims (6)

  1.  蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10a)に用いられるエジェクタであって、
     冷媒を噴射するノズル(531)と、
     前記ノズル(531)から噴射された噴射冷媒によって外部から冷媒を吸引する冷媒吸引口(532a)、および前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口(532a)から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させるディフューザ部(532b)を有するボデー(532)と、
     前記ノズル(531)の軸方向に延び、少なくとも前記ノズル(531)の冷媒通路内に配置された通路形成部材(533)と、
     前記通路形成部材(533)を変位させる駆動装置(534)とを備え、
     前記ノズル(531)の内周面と前記通路形成部材(533)の外周面との間に形成される冷媒通路は、冷媒を減圧させるノズル通路(513a)であり、
     前記ノズル通路(513a)は、前記ノズル(531)の前記軸方向に垂直な断面において環形状を有しており、
     前記ノズル通路(513a)は、通路断面積が最も小さい最小通路面積部(53a)と、前記最小通路面積部(53a)から冷媒流れ方向下流側に形成されて通路断面積が徐々に拡大する末広部(53c)と、を有しており、
     前記駆動装置(534)は、前記通路形成部材(533)を変位させることによって、前記最小通路面積部(53a)における通路断面積を変化させ、
     前記末広部(53c)を形成する前記ノズル(531)の内周面、および前記末広部(53c)を形成する前記通路形成部材(533)の外周面の少なくとも一方は、前記ノズル通路(513a)の通路断面積が拡大するように凹んだ溝部(531a、533a)を有しているエジェクタ。
  2.  蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10)に用いられるエジェクタであって、
     冷媒流入口(31a)と、前記冷媒流入口(31a)から流入した冷媒を旋回させる旋回空間(30a)と、前記旋回空間(30a)から流出した冷媒を減圧させる減圧用空間(30b)と、前記減圧用空間(30b)の冷媒流れ方向下流側に連通して外部から冷媒を吸引する吸引用通路(13b)と、前記減圧用空間(30b)から噴射された噴射冷媒と前記吸引用通路(13b)から吸引された吸引冷媒とを混合させる昇圧用空間(30e)と、を有するボデー(30)と、
     少なくとも前記減圧用空間(30b)の内部および前記昇圧用空間(30e)の内部に配置されるとともに、前記減圧用空間(30b)から離れる方向に断面積が拡大する円錐形状を有する通路形成部材(35)と、
     前記通路形成部材(35)を変位させる駆動装置(37)と、を備え、
     前記減圧用空間(30b)を形成する前記ボデー(30)の内周面と前記通路形成部材(35)の外周面との間に形成される冷媒通路は、前記旋回空間(30a)から流出した冷媒を減圧させて噴射するノズルとして機能するノズル通路(13a)であり、
     前記ノズル通路(13a)は、前記通路形成部材(35)の軸方向に垂直な断面において環形状を有しており、
     前記ノズル通路(13a)は、通路断面積が最も小さい最小通路面積部(30m)と、前記最小通路面積部(30m)から冷媒流れ方向下流側に形成されて通路断面積が徐々に拡大する末広部(132)と、を有しており、
     前記駆動装置(37)は、前記通路形成部材(35)を変位させることによって、前記最小通路面積部(30m)の通路断面積を変化させるものであり、
     前記末広部(132)を形成する前記ボデー(30)の内周面、および前記末広部(132)を形成する前記通路形成部材(35)の外周面の少なくとも一方は、前記ノズル通路(13a)の通路断面積が拡大するように凹んだ溝部(32a、35a)を有しているエジェクタ。
  3.  前記溝部(32a、35a)は、前記通路形成部材(35)の前記軸方向に垂直な断面において、前記ボデー(30)の前記内周面、および前記通路形成部材(35)の前記外周面の少なくとも一方の全周に亘って連続的に延びる環形状を有している請求項2に記載のエジェクタ。
  4.  前記溝部(32a、35a)は、前記ボデー(30)の前記内周面、および前記通路形成部材(35)の前記外周面の双方に設けられている請求項2または3に記載のエジェクタ。
  5.  前記ボデー(30)の前記内周面に形成された前記溝部(32a、35a)および前記通路形成部材(35)の前記外周面に形成された前記溝部(32a、35a)は、双方の溝部(32a、35a)へ冷媒が流入することによって生じる衝撃波同士が前記ノズル通路(13a)内で互いに衝突するように配置されている請求項4に記載のエジェクタ。
  6.  前記昇圧用空間(30e)を形成する前記ボデー(30)の内周面と前記通路形成部材(35)の外周面との間に形成される冷媒通路は、前記噴射冷媒および前記吸引冷媒を混合して昇圧させるディフューザとして機能するディフューザ通路(13c)である請求項2ないし5に記載のエジェクタ。
PCT/JP2014/001658 2013-04-03 2014-03-21 エジェクタ WO2014162688A1 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013077626A JP5929814B2 (ja) 2013-04-03 2013-04-03 エジェクタ
JP2013-077626 2013-04-03

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2014162688A1 true WO2014162688A1 (ja) 2014-10-09

Family

ID=51658002

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2014/001658 WO2014162688A1 (ja) 2013-04-03 2014-03-21 エジェクタ

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5929814B2 (ja)
WO (1) WO2014162688A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017137855A (ja) * 2016-02-02 2017-08-10 株式会社デンソー エジェクタ
EP3601854A4 (en) * 2017-03-20 2020-07-15 Flowserve Management Company SHOCK WAVE MECHANICAL SEAL
US11473679B2 (en) 2017-03-20 2022-10-18 Flowserve Management Company Shock wave mechanical seal

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6610313B2 (ja) * 2015-03-09 2019-11-27 株式会社デンソー エジェクタ、エジェクタの製造方法、およびエジェクタ式冷凍サイクル
WO2017033724A1 (ja) * 2015-08-27 2017-03-02 株式会社デンソー エジェクタ

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008303851A (ja) * 2007-06-11 2008-12-18 Denso Corp 二段減圧式エジェクタおよびエジェクタ式冷凍サイクル
JP2011058422A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Denso Corp エジェクタ
WO2011121747A1 (ja) * 2010-03-31 2011-10-06 三菱電機株式会社 エジェクタ及び駆動流体発泡方法及び冷凍サイクル装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103270379B (zh) * 2011-01-04 2016-03-16 开利公司 喷射器

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008303851A (ja) * 2007-06-11 2008-12-18 Denso Corp 二段減圧式エジェクタおよびエジェクタ式冷凍サイクル
JP2011058422A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Denso Corp エジェクタ
WO2011121747A1 (ja) * 2010-03-31 2011-10-06 三菱電機株式会社 エジェクタ及び駆動流体発泡方法及び冷凍サイクル装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017137855A (ja) * 2016-02-02 2017-08-10 株式会社デンソー エジェクタ
EP3601854A4 (en) * 2017-03-20 2020-07-15 Flowserve Management Company SHOCK WAVE MECHANICAL SEAL
US11473679B2 (en) 2017-03-20 2022-10-18 Flowserve Management Company Shock wave mechanical seal

Also Published As

Publication number Publication date
JP5929814B2 (ja) 2016-06-08
JP2014202391A (ja) 2014-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6048339B2 (ja) エジェクタ
JP6119489B2 (ja) エジェクタ
JP6119566B2 (ja) エジェクタ
JP6003844B2 (ja) エジェクタ
WO2015029394A1 (ja) エジェクタ式冷凍サイクルおよびエジェクタ
JP5962571B2 (ja) エジェクタ
WO2014162688A1 (ja) エジェクタ
JP6610313B2 (ja) エジェクタ、エジェクタの製造方法、およびエジェクタ式冷凍サイクル
JP6090104B2 (ja) エジェクタ
WO2014010162A1 (ja) エジェクタ
JP6079552B2 (ja) エジェクタ
JP6064862B2 (ja) エジェクタ
WO2014185069A1 (ja) エジェクタ
JP5999071B2 (ja) エジェクタ
JP6036592B2 (ja) エジェクタ
WO2016185664A1 (ja) エジェクタ、およびエジェクタ式冷凍サイクル
JP6511873B2 (ja) エジェクタ、およびエジェクタ式冷凍サイクル
JP6070465B2 (ja) エジェクタ
JP6011484B2 (ja) エジェクタ
JP6485550B2 (ja) エジェクタ
JP6399009B2 (ja) エジェクタ、およびエジェクタ式冷凍サイクル
WO2014185070A1 (ja) エジェクタ
JP2016133084A (ja) エジェクタ

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 14778039

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE

122 Ep: pct application non-entry in european phase

Ref document number: 14778039

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1