JP2017115711A - ユニットスイング式内燃機関の冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ユニットスイング式内燃機関の冷却装置において、第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103にそれぞれ一体の第1回転軸111、第2回転軸112及び第3回転軸113は、それぞれの軸線111C,112C,113Cが車両の上下方向に指向してファンカバー61に支持されるとともに、アクチュエータ104から第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103へ開閉のための動力を伝達する動力伝達機構105が、第1回転軸111、第2回転軸112及び第3回転軸113の下部に連結されて冷却風取入口63の下方に設けられる。
【選択図】図3
Description
この従来技術におけるファンカバー(50)には、支軸(62)を車両の前後方向に指向させて支持する可動ルーバー枠体(55)と、可動ルーバー枠体(55)の後方に設けられるリンク収容凹部(54s)とが形成され、リンク収容凹部(54s)に、羽板(61)を回動するリンク機構(70)が収容されている。
本発明の目的は、内燃機関の小型化を図ることが可能なユニットスイング式内燃機関の冷却装置を提供することにある。
図1は、本発明のユニットスイング式内燃機関10Eが搭載された自動二輪車10の右側面図である。
自動二輪車10は、ユニットスイング式内燃機関10Eを含むパワーユニット20が搭載され、乗員がシート3に跨って着座する鞍乗り型でスクータ型の小型車両である。
自動二輪車10の車体フレーム10Fは、前端部を構成するヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から後方斜め下方に延びるダウンチューブ12と、ダウンチューブ12の後部にクロスメンバ13を介して連結された左右一対のメインパイプ14とを備える。
ヘッドパイプ11は、前輪15を軸支するフロントフォーク16を操舵可能に支持している。フロントフォーク16の上部には、バーハンドル17が取付けられている。ダウンチューブ12は、ヘッドパイプ11から下方に延びた後に屈曲して後方に水平に延びる。これにより、シート3の前方に左右に開放する足置き空間4が形成される。
内燃機関10Eの近傍の左右一対のメインパイプ14には、それぞれステップブラケット14aが取付けられている。各ステップブラケット14aには、同乗者が足を載せるピリオンステップ14bが支持されている。ピリオンステップ14bは、後述するサイドカバー35の外面に沿って延びる収納位置と、車幅方向に延びる使用位置とに揺動可能に支持されている。
また、無段変速機の後端部とメインパイプ14との間にはリヤクッションユニット23が装着され、リヤクッションユニット23によりパワーユニット20及び後輪22が懸架される。パワーユニット20の上方で、左右一対のメインパイプ14間には、ヘルメットなどの荷物を収容する収容部25と燃料タンク26とが前後に隔てて支持されている。
フロントカバー32は、ヘッドパイプ11を前方から覆っている。レッグシールド33は、運転者の足を前方から覆うようにフロントカバー32に連なる。ステップフロア34は、レッグシールド33の下端部から後方に延びている。サイドカバー35は、ステップフロア34に連なって車体後部の左右を覆っている。
サイドカバー35の上方には、前後に延びて2人乗車可能なシート3が設けられ、シート3によって収容部25と燃料タンク26とが上方から覆われる。なお、符号38は地面である。
パワーユニット20の側部(詳しくは、右側部)には、前部を構成する内燃機関10Eを空冷する冷却装置40が設けられている。
内燃機関10E内には、クランクケース41(図2参照)に回転可能に支持されて車幅方向に延びるクランク軸71(図4参照)が収容されている。車両側面視において、クランク軸71の軸線であるクランク軸線L1(黒丸で示した部分)よりも、後輪22の車軸である後輪車軸21の軸線21aの方が低い位置となる。これによって、内燃機関10Eは、前上がりのレイアウトとなる。
内燃機関10Eは、そのクランクケース41からシリンダブロック42、シリンダヘッド43及びヘッドカバー44が水平に近い状態にまで前傾するように設けられた水平エンジンに形成されている。クランクケース41からヘッドカバー44に至る部分が、内燃機関10Eのシリンダ部45を構成する。なお、符号45Aはシリンダ部45のシリンダ軸線である。シリンダ軸線45Aは、シリンダブロック42内を往復動するピストンが挿入されたシリンダ穴の軸線である。
クランクケース41の前部下部には、前方に突出するハンガーアーム46が一体に設けられ、ハンガーアーム46がリンク部材19を介して車体フレーム10F(図1参照)のブラケット18に連結される。パワーユニット20は、リンク部材19を介して車体フレーム10Fに設けられたブラケット18に上下揺動可能に支持される。ハンガーアーム46には軸受孔46Eが開けられ、軸受孔46Eに内燃機関10Eの揺動軸135を回動可能に支持する軸受136が嵌合されている。揺動軸135にはリンク部材19が連結されている。このように、内燃機関10Eは、揺動軸135を中心にして揺動する。
シリンダヘッド43の下部には、排気管55が接続され、排気管55は、パワーユニット20の下方を後方に延びて、内燃機関10Eの後部に支持ブラケット56を介して支持されたマフラー57に接続される。
排気管55は、シリンダヘッド43から下方へ延びるとともに屈曲して後方に延び、車体右側に配置されたマフラー57に接続されるため、クランクケース41の右側部に取付けられたファンカバー61の下方を通るように配置される。
マフラー57は、内燃機関10Eの後方及び後輪22(図1参照)の右側方で且つサイドカバー35(図1参照)の下方に配置され、パワーユニット20と一体に上下に揺動する。
シリンダ部45は、その周囲がシュラウド58で覆われている。
ファンカバー61は、クランクケース41内に配置された冷却ファン62(図4参照)の冷却風取入口63を形成するカバーであり、冷却風取入口63は樹脂製のルーバー部材64によって覆われる。
ルーバー部材64は、ファンカバー61の冷却風取入口63を車幅方向外側から隙間を空けて覆う保護部材であり、ファンカバー61の外側面に複数の締結ボルト(不図示)で取付けられている。ルーバー部材64は、円筒枠形状を有するルーバー本体部64Aと、ファンカバー61の下部に設けられた動力伝達機構収容部61G(図3参照)の車幅方向外側の開口を覆うカバー部64Bとを一体に備える。
縦ルーバー64Dは、後述する第1回転軸111〜第3回転軸113(図3参照)と同方向に指向して第1回転軸111〜第3回転軸113に車体側面視で重なる軸上ルーバー64D1,64D2,64D3を備える。
軸上ルーバー64D1,64D2,64D3により、第1回転軸111〜第3回転軸113を外部の飛散物から保護するとともに、第1回転軸111〜第3回転軸113の車幅方向外側へのずれを抑制することができる。
図中の符号47はクランクケース41の右側面に設けられたオイル注入口、48はオイル注入口47を塞ぐキャップである。
ファンカバー61は、冷却ファン62(図4参照)の外周を覆う外周覆い部61Aと、外周覆い部61Aの車幅方向外側にて外周覆い部61Aよりも縮径された筒部61Bとを一体に備える。
筒部61Bは、冷却ファン62の車幅方向外側に冷却風取入口63が形成された部分であり、クランク軸線L1(図1参照)を略中心とする真円断面の円筒形状に形成される。
また、ファンカバー61は、冷却風取入口63が形成された可動ルーバー枠体部61Kと、可動ルーバー枠体部61Kの下端部に一体に設けられた動力伝達機構収容部61Gとを備える。
尚、本実施の形態では、可動ルーバー枠体部61Kと動力伝達機構収容部61Gとがファンカバー61に一体成形されているが、これらをファンカバーと別体に形成し、ファンカバーと別体に形成された可動ルーバー枠体部と動力伝達機構収容部とをファンカバーに一体的に取り付けるようにしても良い。つまり、可動ルーバー枠体部と動力伝達機構収容部とがファンカバーと別体に形成されていたとしても、これらがファンカバーに一体的に取り付けられる場合は、ファンカバーと別体に形成された可動ルーバー枠体部と動力伝達機構収容部は当然、ファンカバーの一部として含まれる。
可動ルーバー枠体部61Kは、筒部61Bと、筒部61Bから一体に上方及び下方に突出する上側枠部61K1及び下側枠部61K2とからなる。
動力伝達機構収容部61Gは、車両側面視では、上下方向に比べて前後方向に長い横長の枠形状に形成されている。
可動ルーバー機構100は、冷却風取入口63を開閉するための複数の羽板からなる可動ルーバー100Aと、可動ルーバー100Aの駆動源となるアクチュエータ104と、アクチュエータ104及び可動ルーバー100Aのそれぞれの間で動力伝達を行う動力伝達機構105とを備える。
可動ルーバー100Aは、第1可動羽板110A、第2可動羽板110B及び第3可動羽板110Cからなる。
一対の凹溝61P,61P、一対の凹溝61Q,61Q及び一対の凹溝61R,61Rのそれぞれの車幅方向外側(手前側)にはルーバー部材64(図2参照)が配置され、ルーバー部材64によって、第1回転軸111〜第3回転軸113は、凹溝61P,61P,61Q,61Q,61R,61Rからの脱落が防止される。即ち、第1回転軸111〜第3回転軸113は、ファンカバー61とルーバー部材64との間に回転自在に挟持される。
第1回転軸111は、冷却風取入口63の円中心C1を通る回転軸となるように配置される。また、第2回転軸112は、第1回転軸111と平行で円中心C1から一方側(後方側)へオフセットした回転軸となるように配置される。また、第3回転軸113は、第1回転軸111と平行で円中心C1から他方側(前方側)へオフセットした回転軸となるように配置される。なお、第2回転軸112及び第3回転軸113は、第1回転軸111を基準にして前後対称位置に配置されている。
第1回転軸111〜第3回転軸113のそれぞれの軸線111C,112C,113Cは、互いに平行に配置され、それぞれ上下方向に延びる。
円中心C1は、車両側面視でクランク軸線L1(図1参照)と重なるように配置されるが、車両側面視でクランク軸線L1に対してクランク軸線L1の周囲にオフセットするように配置されていても良い。
一方の羽部101Aは、第1回転軸111と第2回転軸112との間の冷却風取入口63の開口形状に相当する板形状に形成されている。また、他方の羽部101Bは、第1回転軸111と第3回転軸113との間の冷却風取入口63の開口形状に相当する板形状に形成され、第1回転軸111を基準にして羽部101Aと対照な形状とされている。
また、第3羽板103は、第3回転軸113を基準にして第1羽板101が配置される側と反対側(前方)に形成された羽部103Bからなる。羽部103Bは、第3回転軸113と冷却風取入口63の外縁との間に出来る前方に凸状とされた開口形状に相当する板形状に形成されている。
動力伝達機構105を構成する各部品(後で詳述する増幅リンク126、リンク部材127,連結部材125、回動リンク部材121〜123)は、動力伝達機構収容部61G内に収容される。このため、動力伝達機構収容部61Gによって上記した各部品を周囲の飛散物から保護することができる。また、動力伝達機構収容部61Gの車幅方向外側の開口は、ルーバー部材64(図2参照)によって覆われるので、ルーバー部材64によっても動力伝達機構105を構成する上記の各部品を保護することが可能である。
図2において、動力伝達機構収容部61Gの下方且つ動力伝達機構収容部61Gの下部に沿って、排気管55が前後方向、詳しくは前上がりに延びている。また、動力伝達機構105は、クランクケース41のハンガーアーム46に設けられた揺動軸135よりも後方且つ上方に設けられ、クランク軸線L1(図1参照)よりも下方に設けられる。
側壁61W,61Wには、上下方向に貫通する支軸挿通穴(不図示)が開けられ、支軸挿通穴には、増幅リンク126の軸部126E,126E間を貫通する支軸挿通穴126F(図5参照)と共に、支軸61Jが通される。支軸61Jにおいて側壁61Wから突出した先端部に止め輪(不図示)が装着され、止め輪によって、支軸挿通穴からの支軸61Jの抜けが防止される。
オイル注入口47は、オイルをオイルパン41P(図4参照)へ注ぎ入れるためのオイル注入孔47aが形成されている。
図中の符号41Bはクランクケース41の最下端であり、動力伝達機構収容部61Gはクランクケース41の最下端41Bよりも上方に設けられる。
ファンカバー61は、車幅方向外側方に開放する開口としての冷却風取入口63を有する略円筒状の樹脂製カバーであり、冷却ファン62の周囲を覆っている。
クランクケース41内には、車幅方向に延びるクランク軸71が複数の軸受を介して回転自在に支持され、内燃機関10Eの運転によりクランク軸71が回転駆動される。
クランク軸71は、左側軸部にVベルト式無段変速機の駆動プーリが設けられ、Vベルト式無段変速機を介して所定の変速比で後輪車軸21(図1参照)が回転駆動され、これにより後輪22(図1参照)が駆動される。
図3において、冷却ファン62は、車両側面視で動力伝達機構収容部61Gと重なっている。
このように、車両側面視で、冷却ファン62と動力伝達機構収容部61Gとを重ねることで、動力伝達機構収容部61Gの上方への突出量を抑えるとともに、可動ルーバー機構100の上下方向のコンパクト化を図ることができる。
図4において、ルーバー部材64の車幅方向外側端部の下部には、車幅方向外側へ向かうにつれて次第に上方に位置するように傾斜する傾斜部64X(ハッチングを施した部分)が形成されている。傾斜部64Xによって、車体を左右に倒した際の車体と地面との干渉を避けて車体左右への車体バンク角を大きくすることが可能になる。
可動ルーバー機構100は、第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103を有する可動ルーバー100Aを備える。第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103は、アクチュエータ104から動力伝達機構105を介して伝達される動力で開閉される。第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103に一体に設けられた第1回転軸111、第2回転軸112、第3回転軸113は、連結部材125で連動するように連結されている。連結部材125にはリンク部材127の一端が連結され、リンク部材127の他端には増幅リンク126を介してアクチュエータ107のシリンダロッド104Aが連結されている。
第1回転軸111、第2回転軸112及び第3回転軸113よりも車幅方向内側に連結部材125及びリンク部材127が配置され、連結部材125及びリンク部材127よりも車幅方向内側にアクチュエータ104が配置される。
アクチュエータ104は、ステー部材85を一体に備え、ステー部材85を介して締結ボルト86によりクランクケース41に取付けられている。アクチュエータ104は、その出力軸を構成するシリンダロッド104Aの軸線L3が、クランク軸71のクランク軸線L1と平行に配置される。
アクチュエータ挿入部46Aは、その内壁46Bに、オイルパン41Pに接続されるオイル流入口46Cと、クランクケース41の下部であってアクチュエータ挿入部46Aの近傍に設けられたオイルポンプ147側へ通じるオイル流出口46Dとが形成されている。
オイルは、矢印で示すように、オイルパン41Pからオイル流入口46Cを通ってアクチュエータ挿入部46A内に流入し、感温部104Cを温めた後は、オイル流出口46Dからオイルポンプ147側へ流出する。なお、符号141はアクチュエータ104とアクチュエータ挿入部46Aの内壁46Bとの間に設けられたOリングであり、アクチュエータ104とアクチュエータ挿入部46Aとの間をシールしている。
これによって、冷却ファン62に影響されずにアクチュエータ104を車幅方向内側に寄せて配置でき、連結部材125やリンク部材127よりも車幅方向内側に寄せて配置することができる。このように、アクチュエータ104を連結部材125やリンク部材127よりも更に車幅方向内側に寄せて配置するので、車体バンク角を確保し易くなる。
また、アクチュエータ104は、クランクケース41の下部側に設けられるため、アクチュエータ挿入部46Aにオイルパン41P及びオイルポンプ147から通じるオイル通路を短く且つ容易に形成することができる。
動力伝達機構105は、増幅リンク126、リンク部材127、連結部材125及び回動リンク部材121,122,123から構成されるリンク機構106と、オーバーストローク吸収機構130とからなる。
第1回転軸111〜第3回転軸113のそれぞれの下端部には、回動リンク部材121,122,123が回動自在に取付けられ、回動リンク部材121〜123は、単一の棒状とされた連結部材125を介して連動して回動するように連結されている。
回動リンク部材121〜123は、それぞれ車幅方向内側に延びる腕部121A〜123Aを有し、腕部121A〜123Aから一体に第1回転軸111〜第3回転軸113の軸方向に延びる連結ピン121B,122B,123B(図6参照)が、連結部材125に回動自在に連結される。
連結部材125が前方へ移動すると、回動リンク部材121〜123が、矢印Aで示す方向に同じ回転角度だけ回動する。また、連結部材125が後方へ移動すると、回動リンク部材121〜123が、矢印Aとは反対方向に同じ回転角度だけ回動する。
リンク部材127は、連結部材125と同様に、第1回転軸111〜第3回転軸113よりも車幅方向内側を前後方向に延びる棒状の部材に形成され、且つ、前端部が連結部材125に連結ピン121Bを介して回動自在に連結され、後端部が増幅リンク126の一端部に連結されている。
腕部126Aは、アクチュエータ104の可動部として機能するシリンダロッド104Aの先端部104Bが摺動自在に嵌る凹形状のフォーク部に形成され、シリンダロッド104Aの先端部104Bを容易に挿入する又は引き抜くことが可能である。腕部126Bは、その先端部に上方へ軸線L2と平行に延びるピン軸126C(図6参照)を一体に備え、ピン軸126Cがリンク部材127の後端部に設けられた孔部127A(図6参照)に回動可能に嵌合している。
回動リンク部材121側では、オーバーストローク吸収機構130は、第1回転軸111に一体に形成されたL字形状の係止部111Kと、回動リンク部材121に一体に形成された係止部121Kと、係止部111K,121Kのそれぞれを挟持するねじりコイルばね131とからなる。
回動リンク部材123側では、オーバーストローク吸収機構130は、第3回転軸113に一体に形成されたL字形状の係止部113Kと、回動リンク部材123に一体に形成された係止部123Kと、係止部113K,123Kのそれぞれを挟持するねじりコイルばね131とからなる。
第1回転軸111〜第3回転軸113には、ねじりコイルばね131の円形に巻かれた巻き付け部がそれぞれ嵌合され、ねじりコイルばね131の巻き付け部から延びる一端部131a及び他端部131bによって、係止部111Kと係止部121K、係止部112Kと係止部122K、係止部113Kと係止部123Kがそれぞれ回動方向両側から挟持される。
このように、本実施形態では、オーバーストローク吸収機構130を設けることで、第1羽板101〜第3羽板103に過大な負荷が作用することを防止するとともに、ねじりコイルばね131の弾性力により第1羽板101〜第3羽板103を、がたつきなく確実に全開又は全閉するようにしている。
アクチュエータ104のシリンダロッド104Aの先端部104Bが移動すると、この移動量に応じた回転角度だけ増幅リンク126が軸線L2を基準に回動する。そして、この回動に応じてリンク部材127が移動して連結部材125を介して回動リンク部材121,122,123を、第1回転軸111、第2回転軸112、第3回転軸113周りにそれぞれ回動させ、第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103を回動させる。
即ち、アクチュエータ104の駆動力は、増幅リンク126、リンク部材127、連結部材125及び回動リンク部材121,122,123を介して第1回転軸111、第2回転軸112及び第3回転軸113に順に伝達される。その結果、第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103が開閉される。
これにより、アクチュエータ104のシリンダロッド104Aの伸縮量を抑えてアクチュエータ104を小型化しながら、回動リンク部材121〜123の角度θBを大きく確保できるように構成されている。
即ち、本実施形態では、増幅リンク126を設けることで、アクチュエータ104のストローク量を抑えつつ第1羽板101〜第3羽板103の回動量を確保することができる。
第2回転軸112及び第3回転軸113には、冷却風取入口63を閉じた状態のときに、第1羽板101の羽部101A,101Bの先端が重なって当接する凹溝部112M,113Mが設けられている。
第2回転軸112の凹溝部112Mは、車幅方向外側且つ後方に凹んだ溝に形成され、第1羽板101の羽部101Aの後端が、冷却風取入口63を閉じる向きである車幅方向外側に向かって回動した際に凹溝部112Mに当接し、第1羽板101を閉じた状態に位置決めする。凹溝部112Mは、図3に示すように、第2回転軸112における冷却風取入口63の範囲全体に対応する範囲に渡って形成されている。凹溝部112Mに第1羽板101の羽部101Aが当った状態にすることにより、第2回転軸112と第1羽板101との間の隙間全体を塞ぐことができる。
凹溝部113Mは、図3に示すように、第3回転軸113における冷却風取入口63の範囲全体に対応する範囲に渡って形成され、凹溝部113Mに羽部101Bが当った状態にすることにより、第3回転軸113と第1羽板101との間の隙間全体を塞ぐことができる。
以上により、図6において、第1羽板101は、第2回転軸112及び第3回転軸113の凹溝部112M,113Mによって閉じた状態に位置決めされる。
また、羽部101Bの前端は、軸線111Cに対して、車幅方向外側にオフセットするように形成されるので、羽部101Bの前端が当る凹溝部113Mの車幅方向内側への深さをオフセットの分だけ浅くすることができ、第3回転軸113の剛性も確保し易くなる。
後ろ側の凸部61Mは、第2羽板102の羽部102Aの後端が車幅方向外側に向かって回動した際に重なって当たる凸形状に形成され、冷却風取入口63と羽部102Aの後端との間の全体に渡って形成され、羽部102Aと冷却風取入口63との間の隙間全体を塞ぐ。なお、羽部102Aの後端についても、軸線112Cに対して、車幅方向内側にオフセットして形成される。
また、筒部61Bには、第1羽板101の上下の縁部が重なって当たる凸部(不図示)が設けられ、第1羽板101と冷却風取入口63との間の隙間全体を塞いでいる。
上記の閉塞構造により、第1羽板101〜第3羽板103によって冷却風取入口63を隙間無く塞ぐことができる。このように、冷却風取入口63を塞ぐことにより、冷却ファン62(図4参照)が回転した場合に、クランクケース41(図4参照)内を大気圧よりも低い状態(真空状態)に近付けることができ、空気抵抗を減らすことができる。これによって、クランク軸71(図4参照)の回転フリクションを低減することができ、燃費向上に有利となる。
ルーバー部材64には、車幅方向内側に突出するストッパ部64D4,64D5が形成されている。ストッパ部64D4,64D5は、第1羽板101及び第3羽板103が全開したときに第1羽板101及び第3羽板103が当たる位置に設けられ、第1羽板101及び第3羽板103の全開位置を規制する。
第1羽板101〜第3羽板103を閉じた状態では、連結部材125とリンク部材127とは、底面視で上下に重なるように配置され、前後に一直線状に延びている。これにより、リンク機構106を車幅方向にコンパクトに構成することができる。
第1羽板101〜第3羽板103は、連結部材125によって、それぞれ図の反時計回りに回動して開く。第1羽板101の羽部101B及び第3羽板103の羽部103Bの先端は、想像線で示すように、車幅方向外側に向かって回動し、ルーバー部材64に設けられたストッパ部64D4,64D5に当たる位置まで開く。第1羽板101〜第3羽板103の実線で描かれている位置は回動途中の位置である。第1羽板101〜第3羽板103が回動途中の位置では、第1羽板101の羽部101B及び第3羽板103の羽部103Bが、それぞれ第1回転軸111、第3回転軸113から車幅方向外方斜め前方に延びているため、車両が走行中は、車両前方から流れてくる走行風を羽部101B,103Bで受け止めやすくなり、走行風を冷却風取入口63内に取り込みやすくすることができる。
例えば、上記実施形態において、図4に示したように、アクチュエータ104を、ワックスを用いた感温式のサーモアクチュエータとしたが、ワックス以外の感熱材を用いた感温式のサーモアクチュエータとしても良い。また、アクチュエータとして、感温式のサーモアクチュエータ以外に、モータ、ソレノイド等を用いた機械式のアクチュエータでも良い。
また、本実施形態の可動ルーバー機構100は、アクチュエータ104のシリンダロッド104Aを押し出したときに可動ルーバー100Aが開く構造であるが、シリンダロッド104Aを引いたときに可動ルーバー100Aを開くように、アクチュエータ及び動力伝達機構を構成しても良い。
また、本実施形態では、クランクケース41にアクチュエータ104の感温部104Cが挿入されるアクチュエータ挿入部46Aが形成され、アクチュエータ挿入部46Aには、オイルパン41Pからアクチュエータ挿入部46Aへオイルが流入するオイル流入口46Cと、アクチュエータ挿入部46Aからオイルポンプ147へオイルが流出するオイル流出口46Dとが形成されるようにしたが、これに限らず、アクチュエータ挿入部46Aの構成として、オイルポンプ147からアクチュエータ挿入部46Aへオイルが流入する流入口と、アクチュエータ挿入部46Aからオイルパン41Pへオイルが流出する流出口とが形成されるようにし、本実施形態に対してオイルの流れる方向を変更してもよい。
また、本実施形態に記載されたオイル流入口46Cおよびオイル流出口46Dに連なるオイル通路の形状や取り回しは一例であり、他のオイル通路の形状や取り回しを採用してもよい。
10E 内燃機関
10F 車体フレーム
40 冷却装置
41 クランクケース
41P オイルパン
45A シリンダ軸線
46A アクチュエータ挿入部(挿入部)
46C オイル入口孔(流入口)
46D オイル出口孔(流出口)
55 排気管
61 ファンカバー
61G 動力伝達機構収容部
61K 可動ルーバー枠体部
62 冷却ファン
63 冷却風取入口
71 クランク軸
100A 可動ルーバー
101 第1羽板(羽板)
102 第2羽板(羽板)
103 第3羽板(羽板)
104 アクチュエータ
104C 感温部
105 動力伝達機構
111 第1回転軸(支軸)
111C 軸線
112 第2回転軸(支軸)
112C 軸線
113 第3回転軸(支軸)
113C 軸線
125 連結部材(連動リンク部材)
135 揺動軸
L1 クランク軸線(クランク軸の軸線)
Claims (8)
- クランク軸(71)と連動して回転することで外気を吸引する冷却ファン(62)と、前記冷却ファン(62)を覆うとともに外気を取り込む冷却風取入口(63)が形成されたファンカバー(61)と、前記ファンカバー(61)の前記冷却風取入口(63)に設けられて前記冷却風取入口(63)の開口面に平行な支軸(111,112,113)を中心に羽板(101,102,103)が回動することにより前記冷却風取入口(63)を開閉する可動ルーバー(100A)と、動力源としてのアクチュエータ(104)からの動力を前記可動ルーバー(100A)へ伝達する動力伝達機構(105)とを備えたユニットスイング式内燃機関の冷却装置において、
前記支軸(111,112,113)は、その軸線(111C,112C,113C)が車両の上下方向に指向して前記ファンカバー(61)に支持されるとともに、前記動力伝達機構(105)が、前記支軸(111,112,113)の下部に連結されて前記冷却風取入口(63)の下方に設けられることを特徴とするユニットスイング式内燃機関の冷却装置。 - 前記クランク軸(71)を回転自在に支持するクランクケース(41)に前記ファンカバー(61)が取付けられ、前記ファンカバー(61)は、前記支軸(111,112,113)を支持する可動ルーバー枠体部(61K)と、前記可動ルーバー枠体部(61K)の下方に設けられるとともに前記動力伝達機構(105)が収容される動力伝達機構収容部(61G)とを含み、前記動力伝達機構収容部(61G)は前記クランクケース(41)の最下端よりも上方に設けられることを特徴とする請求項1に記載のユニットスイング式内燃機関の冷却装置。
- 前記ユニットスイング式内燃機関(10E)は、シリンダ軸線(45A)が前上がりとなるように前傾して車体フレーム(10F)に支持され、前記動力伝達機構(105)は、連動リンク部材(125)を含むとともに、前記連動リンク部材(125)によって複数の前記羽板(101,102,103)が連動するように構成され、前記連動リンク部材(125)の移動方向が、前記シリンダ軸線(45A)と略平行に前上がりとなるように、前記連動リンク部材(125)が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のユニットスイング式内燃機関の冷却装置。
- 前記動力伝達機構(105)は、連動リンク部材(125)を含むとともに、前記連動リンク部材(125)によって複数の前記羽板(101,102,103)が連動するように構成され、前記連動リンク部材(125)は前後方向に移動可能に構成されるとともに、車両側面視で、前記連動リンク部材(125)は、前記ユニットスイング式内燃機関(10E)を車体フレーム(10F)に対して揺動自在に支持するために前記ユニットスイング式内燃機関(10E)に設けられる揺動軸(135)よりも後方且つ上方に設けられるとともに、前記クランク軸(71)の軸線(L1)よりも下方に設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のユニットスイング式内燃機関の冷却装置。
- 前記羽板(101,102,103)の全閉位置から全開位置まで回動範囲の中の少なくとも一部の範囲では、前記羽板(101,103)の前部側が後部側よりも車幅方向外側へ位置するように、前記羽板(101,103)が設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のユニットスイング式内燃機関の冷却装置。
- 前記動力伝達機構(105)は、前後方向に移動可能な連動リンク部材(125)を含むとともに、前記連動リンク部材(125)によって複数の前記羽板(101,102,103)が連動するように構成され、前記ファンカバー(61)は、前記支軸(111,112,113)を軸支する可動ルーバー枠体部(61K)と、前記可動ルーバー枠体部(61K)の下方に設けられるとともに前記動力伝達機構(105)が収容される動力伝達機構収容部(61G)とを含み、前記ユニットスイング式内燃機関(10E)の下部から延びる排気管(55)が、前記動力伝達機構収容部(61G)の下方且つ前記動力伝達機構収容部(61G)の下部に沿って前後方向に延びることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のユニットスイング式内燃機関の冷却装置。
- 前記アクチュエータ(104)は温度変化により駆動力を発生させる感温式であり、前記クランク軸(71)を回転自在に支持するクランクケース(41)には前記アクチュエータ(104)の感温部(104C)が挿入される挿入部(46A)が形成され、前記挿入部(46A)には、前記挿入部(46A)へオイルが流入する流入口(46C)と、前記挿入部(46A)からオイルが流出する流出口(46D)とが形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のユニットスイング式内燃機関の冷却装置。
- 前記動力伝達機構(105)は、前後方向に移動可能な連動リンク部材(125)を含むとともに、前記連動リンク部材(125)によって複数の前記羽板(101,102,103)が連動するように構成され、前記連動リンク部材(125)は前記可動ルーバー(100A)の前記支軸(11,112,113)よりも車幅方向内側に設けられ、且つ前記アクチュエータ(104)は前記連動リンク部材(125)よりも車幅方向内側に設けられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のユニットスイング式内燃機関の冷却装置。
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