以下、本発明に係る建物の実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
図1は、本発明に係る建物の一実施形態としての建物1を示す図である。まず、建物1の全体構成について説明する。建物1は、鉄骨造の軸組みを有する2階建ての工業化住宅である。換言すれば、建物1は複数の階層として2層を有するものである。建物1は、地盤に固定された鉄筋コンクリート造の基礎構造体(図示省略)と、柱部材や梁部材などの軸組部材で構成された軸組架構を有し、基礎構造体に固定された上部構造体と、で構成されている。なお、軸組架構を構成する軸組部材は、規格化(標準化)されたものであり、予め工場にて製造されたのち建築現場に搬入されて組み立てられる。
基礎構造体は、軸組架構の下方に位置し、軸組架構を支持している。具体的に、基礎構造体は、鉄筋コンクリート造の断面T字状の布基礎であり、フーチング部と、基礎梁としての立ち上がり部とを備える。また、基礎構造体の立ち上がり部の上端部には、露出型固定柱脚工法により軸組架構の柱部材の柱脚を固定するための柱脚固定部が設けられ、アンカーボルトが立ち上がり部の上面から突出している。
上部構造体は、複数の柱部材及び柱部材間に架設された複数の梁部材から構成される軸組架構と、この軸組架構の外周部に配置される外周壁と、を備えている。
外周壁は、外装部材と、断熱部材と、内装部材と、を含んでいる。外装部材は、例えば、軽量気泡コンクリート(以下、「ALC」と記載する。「ALC」とは「autoclaved light weight concrete」の略である。)のパネルにより構成することができ、軸組架構の周囲にALCパネルを複数連接させることにより、外周壁の外層を形成することができる。断熱部材は、例えば、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡樹脂系の材料で形成することができ、上述の外装部材により形成された外層の内面に沿って連接することにより、外周壁の断熱層を形成することができる。更に、内装部材は、例えば、石膏ボードを用いることができ、断熱層の内側に連接することにより、外周壁の内層を形成することができる。
各階の床は、床支持部材を含んでいる。床支持部材は、例えば、ALCパネルにより構成することができる。1階の床は、床支持部材を基礎構造体に架設することで形成することができる。また、2階の床及び屋上階の床は、床支持部材を梁部材間に架設することにより形成することができる。このようにして、各階の床支持層を形成することができる。なお、各階の床は、床支持部材の他に、フローリング等の床仕上げ層を構成する床仕上げ部材を含むものであってもよい。なお、2階の床のうち後述する床部40については、床支持部材として、鋼材で形成された複数の桟材41が用いられている。床部40の詳細は後述する(図3等参照)。
以下、建物1の間取り構成について、詳細に説明する。
図1に示すように、建物1は、1階及び2階に部屋を有している。1階に設けられた部屋10は、居間、食堂及び台所が一体となった空間であり、居住者が共同で利用する共用空間となっている。そして、この1階の部屋10は、図1に示す建物1内で最も大きい床面積を有する部屋である。
2階に設けられた部屋20は、寝室、子供部屋、書斎等の個室であり、居住者のうち特定の者が主に利用することが想定された専用空間となっている。
更に、建物1の2階にはベランダ30が設けられている。ベランダ30は、建物1の外周壁の外側に位置しており、外周壁には、2階の屋内とベランダ30とを行き来可能とする出入り口が設けられている。そして、後述するように、この出入り口には開閉可能な第2建具31が設けられている。
ここで、建物1の2階の床は、屋内空間を上部屋内空間40aと下部屋内空間40bとに隔てると共に、上部屋内空間40aと下部屋内空間40bとの間で光が往来可能な光通路45が設けられた床部40を備えている。なお、本実施形態の床部40により隔てられた建物1の「上部屋内空間40a」とは、床部40に対して鉛直方向上側に位置する2階の屋内空間であり、「下部屋内空間40b」とは、床部40に対して鉛直方向下側に位置する1階の屋内空間、すなわち居間、食堂及び台所が一体となった空間である。
そして、図1に示す建物1における2階の部屋20及びベランダ30は、上部屋内空間40aを介して行き来可能な間取りとなっている。換言すれば、建物1は、上部屋内空間40aと同じ階層である2階に、上部屋内空間40aを介して行き来可能な部屋20及びベランダ30を有している。
また、上述したように、床部40には光通路45が設けられているため、上部屋内空間40aの光は、床部40の光通路45を通じて、下部屋内空間40bとしての居間、食堂及び台所が一体となった空間へと入り込むことができる。
つまり、光通路45が設けられた床部40は、上部屋内空間と下部屋内空間との間で光の往来が不可能な床部と比較して、下部屋内空間40bとしての居間、食堂及び台所が一体となった空間の採光性を向上させると共に、上部屋内空間40aの有効活用を可能にするものであり、図1の上部屋内空間40aは、2階の部屋20とベランダ30とを繋ぐアプローチとして活用可能である。
なお、上部屋内空間40aを区画する区画壁には、外光が透過可能な採光部50が設けられている。そのため、採光部50から透過した外光を、床部40の光通路45を通じて、下部屋内空間40bへ取り込み易く、下部屋内空間40bでの外光の採光性を高くすることができる。
なお、本実施形態の上部屋内空間40aを区画する区画壁には、2階の部屋20へと通じる開閉可能な第1建具21と、ベランダ30へと通じる開閉可能な第2建具31と、が設けられており、第2建具31は、外光が透過可能な透過部32を有している。より具体的に、本実施形態の上部屋内空間40aを区画する区画壁は、部屋20との間を隔てる仕切壁と、ベランダ30との間を隔てる外壁と、を含んでおり、仕切壁に形成された出入り口に第1建具21が設けられ、外壁に形成された出入り口に第2建具31が設けられている。そして、本実施形態の採光部50は、第2建具31の透過部32により構成されている。透過部32は、例えば、ガラス等の透明部材により構成することが可能である。第1建具21及び第2建具31は、例えば、スライド式やヒンジ式の開閉扉とすることができる。
また、採光部50は、下部屋内空間40bから光通路45を通じて視認可能であることが好ましい。特に、下部屋内空間40bから、光通路45及び採光部50を通じて、屋外が視通可能であることが好ましい。このようにすれば、下部屋内空間40bの開放感を一層演出することができる。
更に、平面視における採光部50の位置は、外光の採光性が高い位置とすることが好ましい。本実施形態の採光部50は、上述したようにベランダ30に通じる第2建具31の透過部32により構成されている。そのため、本実施形態では、建物1のベランダ30を、平面視において南東から南西の間の範囲の方角に面する配置とすることが好ましい。
また、本実施形態では、採光部50を第2建具31の透過部32で構成しているが、この構成に限られるものではなく、例えば、上部屋内空間40aの鉛直方向上方に設けられた外光を取り込むことが可能な天窓等により採光部50を構成してもよい。また、天窓及び第2建具31の透過部32の両方により採光部50を構成してもよい。
図1に示す建物1における下部屋内空間40bは、上述したように、居間、食堂及び台所が一体となった空間であるが、このような空間に限られるものではなく、例えば、居間のみからなる空間、食堂及び台所のみからなる空間、子供部屋等の特定の個室空間など、の他の空間としてもよい。なお、台所とは、キッチンセット5がある空間を意味している。
また、建物1のベランダ30は、平面視において、下部屋内空間40bと重なっている。換言すれば、図1に示すように、建物1のベランダ30の鉛直方向下方には、下部屋内空間40bが位置している。このような配置とすれば、下部屋内空間40bのうち、ベランダ30から比較的遠い奥の位置まで、採光部50及び床部40の光通路45を通じて、外光を供給し易くなる。
次に、床部40の詳細について説明する。図2は、図1に示す建物1の2階平面図のうち床部40の近傍を示すものである。また、図3及び図4はそれぞれ、床部40の取付け詳細を示す縦断面図及び平面図である。なお、図2では、図4に示す床部40の取付け詳細は省略して描かれている。また、図4では、床部40と後述する梁部材2a及び2bとの間の取付け詳細を示しているが、その他の部材は省略して描かれている。
図1〜図4に示すように、床部40の光通路45は、床部40を上部屋内空間40aから下部屋内空間40bまで貫通する空隙である。より具体的に、本実施形態の床部40は、床支持部材として、間隔を空けて平行に配設された複数の棒状の桟材41を備えており、光通路45としての空隙は、複数の桟材41の間に形成されている。このように、光通路45を空隙とすれば、外光などの光のみならず、屋外からの風をも光通路45を通じて下部屋内空間40bへと供給することが可能となる。なお、本実施形態の桟材41は、上述したように鋼材により形成されている。
また、本実施形態の複数の桟材41は、平面視(図2参照)において、ベランダ30から屋内側に向かって延在している。換言すれば、桟材41は、平面視(図2参照)において、上部屋内空間40aとベランダ30とを隔てる外壁と直交する方向に延在している。そのため、桟材が平面視において上部屋内空間とベランダとを隔てる外壁に平行して延在する構成と比較して、上部屋内空間40aとベランダ30とを隔てる外壁に設けられた第2建具31を透過して屋内に入り込んだ外光が、複数の桟材41の間の光通路45を通じて下部屋内空間40bへと届き易くなる。なお、第2建具31が開放された状態であっても、第2建具31が設けられた出入り口から外光及び風が屋内へと入り込み、光通路45としての空隙を通じて、下部屋内空間40bへと供給される。
更に、図2に示すように、第1建具21と第2建具31とは、平面視において南北方向において対向して配置されている。そのため、第2建具31が設けられた出入り口から入り込んだ風は、第1建具21が設けられた出入り口を通じて、部屋20内へと入り込み易く、ベランダ30から離れた奥に位置する部屋20であっても通気性を確保することができる。
また更に、図2に示すように、本実施形態の上部屋内空間40aは、区画壁を介して複数の部屋と隣接している。具体的に、図2に示す上部屋内空間40aは、部屋20及び部屋60と区画壁を介して隣接しており、部屋20からは第1建具21が設けられた出入り口を通じて、部屋60からは第3建具61が設けられた出入り口を通じて、上部屋内空間40aに出入りすることができる。このような間取りとすれば、各部屋20及び60を利用する者の共用空間としても活用することが可能となる。
次に、桟材41の取付け構成の詳細について説明する。上述したように、本実施形態では、階層間を上部屋内空間40aと下部屋内空間40bとに隔てると共に、上部屋内空間40aと下部屋内空間40bとの間で光が往来可能な光通路45が設けられた床部40の床支持部材が、複数の桟材41により構成されている。
そして、図3及び図4に示すように、床支持部材の外縁部のうち所定の対向する両端部としての、平行に配列された複数の桟材41の両端部に、ブラケット部材42a及び42bが取り付けられている。ブラケット部材42a及び42bは、床支持部材の外縁としての、複数の桟材41の端部により形成される仮想外縁に沿って延在しており、各桟材41の端部が、ブラケット部材42a及び42bに取り付けられている。より具体的に、一方のブラケット部材42aは、複数の桟材41の一端部同士を繋ぐ仮想外縁に沿って延在しており、一方のブラケット部材42aに、各桟材41の一端部が取り付けられている。また、他方のブラケット部材42bは、複数の桟材41の他端部同士を繋ぐ仮想外縁に沿って延在しており、他方のブラケット部材42bに、各桟材41の他端部が取り付けられている。
また、図3及び図4に示すように、ブラケット部材42a及び42bは、建物1の軸組架構を構成する、1階と2階の階間に位置する梁部材2a及び2bに固定されている。つまり、梁部材2a及び2bは、床部40の床支持部材としての複数の桟材41の両端部を、ブラケット部材42a及び42bを介して支持している。このように、床部40の床支持部材としての複数の桟材41を、ブラケット部材42a及び42bを介して、梁部材2a及び2bに支持させることにより、床部40の床支持部材の梁部材2a及び2bに対する高さ位置をブラケット部材42a及び42bの構成により調整することが可能となる。そのため、床部40の床支持部材の梁部材2a及び2bに対する高さ位置の設計自由度を向上させることができる。また、床部40の床支持部材と梁部材2a及び2bとの間にブラケット部材42a及び42bを介する構成とすれば、床部40の床支持部材と梁部材2a及び2bとの間に一定の間隙を形成することができるため、このような間隙がない構成と比較して、床部40の床支持部材と梁部材2a及び2bとの間での熱移動を抑制することができる。そして、この間隙に断熱材を配置することも可能である。
更に、ブラケット部材42a及び42bを介在させることにより、床部40の床支持部材としての複数の桟材41を、梁部材2a及び2bと非接触の状態で、梁部材2a及び2bに対して位置を固定することができる。このような構成とした場合には、床部40の床支持部材と梁部材2a及び2bとの間での熱移動を一層抑制することができる。また、桟材41と梁部材2a及び2bとの間に、断熱材を配置してもよい。
また更に、床部40の床支持部材として複数の桟材41を用いる本実施形態の場合には、各桟材41の寸法誤差等により、梁部材2a及び2bに直接固定する構成を採用すると、各桟材41の踏み面となる面の高さ位置が若干ばらつくおそれがある。しかしながら、ブラケット部材42a及び42bを用いることにより、各桟材41の多少の寸法誤差を吸収することができ、各桟材41の踏み面となる面の高さ位置がばらつくことを抑制することができる。更に、床部40の床支持部材として複数の桟材41を用いる本実施形態の場合には、桟材41と梁部材2a及び2bとの取り付け構成を考慮することなく、間取りに合わせて規格化された所定の長さを有する複数の桟材41を形成すればよく、汎用性が高い床部40を実現することができる。
また、図3に示すように、本実施形態の床部40の床支持部材は、ブラケット部材42a及び42bを介して、梁部材2a及び2bよりも鉛直方向上側の位置で、梁部材2a及び2bに支持されている。
具体的に、本実施形態のブラケット部材42a及び42bは、梁部材2a及び2bの上面に固定されており、床部40の床支持部材としての複数の桟材41は、ブラケット部材42a及び42bの側面に固定されている。換言すれば、本実施形態のブラケット部材42a及び42bは、その鉛直方向下側の下面が梁部材2a及び2bの上面に当接した状態で、ボルト及びナット等の締結手段により、梁部材2a及び2bに対して固定されている。そして、複数の桟材41の端部は、ブラケット部材42a及び42bの側面に、ボルト及びナット等の締結手段又は溶接等により固定されている。
ここで、本実施形態のブラケット部材42a及び42bは、複数の桟材41の端部に取り付けられ、桟材41の延在方向と直交する方向に延在する長尺の第1連結部材43a及び43bと、この第1連結部材43a及び43bの延在方向において所定間隔を隔てて配置され、第1連結部材43a及び43bにボルト及びナット等の締結手段により固定されると共に、梁部材2a及び2bの上面に固定される第2連結部材44a及び44bと、を備えている。
なお、本実施形態のブラケット部材42a及び42bは、第1連結部材43a及び43bと、第2連結部材44a及び44bと、を備える構成であるが、この構成に限られるものではなく、例えば、単一の部材により各ブラケット部材を構成してもよく、3つ以上の部材を組み合わせて各ブラケット部材を構成してもよい。
図12は、単一の部材によりブラケット部材を構成した一例を示す図である。図12に示すように、ブラケット部材742a及び742bは、断面クランク形状の長尺の部材であり、上部水平片742a1及び742b1と、下部水平片742a2及び742b2と、これらを連結する垂直片742a3及び742b3と、を備えている。ブラケット部材742a及び742bは、下部水平片742a2及び742b2を、梁部材2a及び2bの上面にボルト及びナット等の締結手段で接合することにより固定されている。複数の桟材41の端部は、上部水平片742a1及び742b1に、ボルト及びナット等の締結手段又は溶接により固定されている。
また、上述したように、第2連結部材44a及び44bは、第1連結部材43a及び43bの延在方向において所定間隔を隔てて複数配置されており、隣り合う第2連結部材44aの間、及び隣り合う第2連結部材44bの間には空隙が形成されている。上述したように、このような空隙を形成すれば、桟材41と梁部材2a及び2bとの間の熱移動を抑制することができる。また、この空隙に断熱材を配置してもよい。
更に、図3及び図4に示すように、ブラケット部材42a及び42bは、梁部材2a及び2bの上面の一部のみに重なって配置されており、図3に示すように、梁部材2aの上面には、ブラケット部材42aの他に、床部40の床支持部材とは別の、床部40と共に同階の床を構成する床支持部材70が固定されている。なお、図3に示す、床部40の床支持部材とは別の床支持部材70は、ALCパネルにより構成されており、床支持部材70は、2階の部屋20の床を構成している。また、図3に示すように、床支持部材70の上面には、部屋20の床面となる、フローリング等の床仕上げ部材71が積層されている。
図3に示すように、梁部材2bの上面には、ブラケット部材42bの他に、ベランダ30への出入り口が形成された外壁を支持するL型の支持部材72が、ボルト及びナット等の締結手段(図示省略)により固定されている。ベランダ30の床支持部材75は、連結部材(図示省略)を介して梁部材2bに対してボルト及びナット等の締結手段(図示省略)により固定されている。本実施形態のベランダ30の床支持部材75は、ALCパネルにより構成されており、その上面には防水性の塗料やシート材により、表面層76が形成されている。また、図3に示すように、第2建具31が設けられた出入り口の床78と、床部40との間には板材により段差が形成されており、第2建具31が設けられた出入り口は、床部40よりも一段だけ高い位置に形成されている。
なお、下部屋内空間40bの天井面のうち床部40以外の部分は、内装部材79により覆われている。
図2〜図4に示すように、床部40の床支持部材としての複数の桟材41には、桟材41の延在方向の両側に位置するブラケット部材42a及び42bの間の位置で、複数の桟材41に連結された棒状部材77が取り付けられている。より具体的に、棒状部材77は、複数の桟材41の下面に当接した状態で、ねじ80(図3参照)等により、各桟材41に対して固定されている。そして、この棒状部材77は、梁部材2a及び2bのような軸組部材には支持・固定されていない。このような棒状部材77を設けることにより、各桟材41に加わる荷重を複数の桟材41へと分散することができ、各桟材41の振れを抑制することができる。なお、本実施形態では、棒状部材77を桟材41の延在方向の略中央に1つのみ設けているが、桟材41の長さ等に応じて、棒状部材77を桟材41の延在方向において所定間隔を空けて複数配置するようにしてもよい。
また、図2〜図4に示すように、本実施形態の桟材41は、横断面外形が四角形状である。そのため、床部40を踏み際の踏み心地がよい。
以上のとおり、本実施形態の床部40の床支持部材は、平行に配設された複数の桟材41により構成されているが、この構成に限られるものではなく、床部40の床支持部材を、例えば、上部屋内空間から下部屋内空間まで貫通する複数の開口が区画された格子部材としてもよい。かかる場合の光通路は、格子部材が区画する開口となる。また、本実施形態の床部40の床支持部材は、平行に配設された複数の桟材41の間に光通路としての空隙を有するものであるが、光通路は空隙に限られるものではなく、例えば、上部屋内空間から下部屋内空間へと光を透過可能な透明部により光通路を構成してもよい。透明部は、例えばガラスにより形成することができる。
以下、屋内空間を上部屋内空間と下部屋内空間とに隔てると共に、上部屋内空間と下部屋内空間との間で光が往来可能な光通路が設けられた床部、を利用した建物の別の間取りを説明する。
図5(a)は、建物100を示す図である。建物100は、上述した建物1と基本構造は共通するものであり、間取りのみが異なっている。図5(a)に示すように、建物100は、1階及び2階に部屋を有している。1階に設けられた部屋110は、居間、食堂及び台所が一体となった空間であり、居住者が共同で利用する共用空間となっている。そして、この1階の部屋110は、図5(a)に示す建物100内で最も大きい床面積を有する部屋である。また、図5(a)に示すように、1階の部屋110には、キッチンセット5が配置されている。2階には、部屋120aと広縁120bとが設けられている。部屋120aは、寝室、子供部屋、書斎等の個室であり、居住者のうち特定の者が主に利用することが想定された専用空間となっている。広縁120bは、部屋120aに隣接するスペースである。
ここで、建物100は、屋内空間を上部屋内空間140aと下部屋内空間140bとに隔てると共に、上部屋内空間140aと下部屋内空間140bとの間で光が往来可能な光通路145が設けられた床部140を備えている。具体的に、床部140は、上部屋内空間140aとしての広縁120bと、下部屋内空間140bとしての部屋110とを隔てている。なお、床部140の詳細構成は、上述した建物1の床部40と同様であるためここでは説明を省略する。
広縁120bを区画する区画壁には、外光が透過可能な採光部150が設けられている。より具体的に、広縁120bを区画する区画壁には、部屋120aへと通じる開閉可能な第1建具121と、外方へと通じる開閉可能な第2建具131と、が設けられており、第2建具131は外光が透過可能な透過部132を有している。そして、採光部150は、第2建具131の透過部132により構成されている。なお、第2建具131としては、例えばスライド式のガラス窓等とすることができ、透過部132は、例えばガラス窓のガラスにより構成される。
このような間取りとすることにより、採光部150から外光を広縁120b内に取り込むと共に、光通路145を通じて、1階の部屋110まで外光を取り込むことが可能となる(図5(a)の実線矢印参照)。
また、床部140の光通路145が、上述した床部40の光通路45のように、風の通過をも許容するものである場合には、第2建具131を開放した状態とすることにより、第2建具131が設けられた開口から光通路145を通じて、1階の部屋110に、光と共に風を取り込むことが可能となる(図5(a)の破線矢印参照)。このように、床部140の存在により、下部屋内空間の採光性を向上させることができ、特に、床部140の光通路145を風の通過が可能な構成とすれば、下部屋内空間の採光性の向上に加えて、下部屋内空間の通気性をも向上させることができる。なお、第1建具121を開放した状態とすれば、第2建具131が設けられた開口から第1建具121が設けられた出入り口を通じて、部屋120a内へと風を取り込むことも可能となる。
図5(b)は、図5(a)の1階及び2階の間取りを逆にした間取りを有する建物200を示す図である。具体的に、建物200は、上述した建物1及び100と基本構造は共通するものであり、間取りのみが異なっている。図5(b)に示すように、建物200は、1階及び2階に部屋を有している。2階に設けられた部屋220は、居間、食堂及び台所が一体となった空間であり、居住者が共同で利用する共用空間となっている。そして、この2階の部屋220は、図5(b)に示す建物200内で最も大きい床面積を有する部屋である。また、図5(b)に示すように、2階の部屋220には、キッチンセット5が配置されている。1階には、部屋210aと縁側210bとが設けられている。部屋210aは、寝室、子供部屋、書斎等の個室であり、居住者のうち特定の者が主に利用することが想定された専用空間となっている。縁側210bは、部屋210aに隣接するスペースである。
ここで、建物200は、屋内空間を上部屋内空間240aと下部屋内空間240bとに隔てると共に、上部屋内空間240aと下部屋内空間240bとの間で光が往来可能な光通路245が設けられた床部240を備えている。具体的に、床部240は、上部屋内空間240aとしての部屋220と、下部屋内空間240bとしての縁側210bとを隔てている。なお、床部240の詳細構成は、上述した建物1の床部40と同様であるためここでは説明を省略する。
部屋220を区画する区画壁には、外光が透過可能な採光部250が設けられている。より具体的に、部屋220を区画する区画壁には、外方へと通じる開閉可能な建具231が設けられており、建具231は外光が透過可能な透過部232を有している。そして、採光部250は、建具231の透過部232により構成されている。なお、建具231としては、例えばスライド式のガラス窓等とすることができ、透過部232は、例えばガラス窓のガラスにより構成される。
また、縁側210bを区画する区画壁には、部屋210aへと通じる開閉可能な建具211が設けられている。
このような間取りとすることにより、採光部250から外光を部屋220内に取り込むと共に、光通路245を通じて、1階の縁側210bまで外光を取り込むことが可能となる(図5(b)の実線矢印参照)。
また、床部240の光通路245が、上述した床部40の光通路45のように、風の通過をも許容するものである場合には、建具231を開放した状態とすることにより、建具231が設けられた開口から光通路245を通じて、1階の縁側210bに、光と共に風を取り込むことが可能となる(図5(b)の破線矢印参照)。更に、建具211を開放した状態とすれば、建具231が設けられた開口から、光通路245、縁側210b、及び建具211が設けられた出入り口を通じて、部屋210a内へと風を取り込むことも可能となる。このように、床部240の存在により、下部屋内空間の採光性を向上させることができ、特に、床部240の光通路245を風の通過が可能な構成とすれば、下部屋内空間の採光性の向上に加えて、下部屋内空間や下部屋内空間に隣接する部屋の通気性をも向上させることができる。
なお、図5(b)では、下部屋内空間として縁側210bを設ける間取りとしているが、縁側210bに限らず、例えば、図6(a)に示すように、書斎などの部屋210b´を設ける間取りとしてもよい。
また、図5(b)では、1階に部屋210a及び縁側210bを設ける間取りとしているが、この間取りに限られるものではなく、図6(b)に示すような、2階の部屋220と同程度の広さを有する、すなわち、2階の部屋220と床面積が略等しい部屋210´を1階に設ける間取りとすることも可能である。かかる場合には、下部屋内空間240bとしての1階の部屋210´及び上部屋内空間240aとしての2階の部屋220の一方を、居間、食堂及び台所が一体となった、居住者が共同で利用する共用空間とし、他方を、寝室、子供部屋、書斎等の個室で、居住者のうち特定の者が主に利用することが想定された専用空間とすることができる。また、1階の部屋210´及び2階の部屋220の両方を、寝室、子供部屋、書斎等の個室としてもよい。
図7は、建物300を示す図である。建物300は、上述した建物1、100及び200と基本構造は共通するものであり、間取りのみが異なっている。図7に示すように、建物300は、1階及び2階に部屋を有している。1階には部屋310aと廊下310bとが設けられている。2階には部屋320aと廊下320bとが設けられている。1階及び2階に設けられた部屋310a及び320aは、居間、食堂及び台所が一体となった居住者が共同で利用する共用空間であっても、寝室、子供部屋、書斎等の個室であり、居住者のうち特定の者が主に利用することが想定された専用空間であってもよい。1階の廊下310bと2階の廊下320bとは、階段330により繋がっている。
図7に示すように、建物300の1階の部屋310a及び廊下310bは、仕切壁を介して隣接しており、この仕切壁には、開閉可能な建具311が設けられている。また、図7に示すように、建物300の2階の部屋320a及び廊下320bは、仕切壁を介して隣接しており、この仕切壁には、開閉可能な建具321が設けられている。
ここで、建物300は、屋内空間を上部屋内空間340aと下部屋内空間340bとに隔てると共に、上部屋内空間340aと下部屋内空間340bとの間で光が往来可能な光通路345が設けられた床部340を備えている。具体的に、床部340は、上部屋内空間340aとしての廊下320bと、下部屋内空間340bとしての廊下310bとを隔てている。なお、床部340の詳細構成は、上述した建物1の床部40と同様であるためここでは説明を省略する。
2階の廊下320bを区画する区画壁には、外光が透過可能な採光部350が設けられている。より具体的に、廊下320bを区画する区画壁には、部屋320aへと通じる開閉可能な321と、外方へと通じる開閉可能な建具331と、が設けられており、建具331は外光が透過可能な透過部332を有している。そして、採光部350は、建具331の透過部332により構成されている。なお、建具331としては、例えばスライド式のガラス窓等とすることができ、透過部332は、例えばガラス窓のガラスにより構成される。
このような間取りとすることにより、採光部350から外光を廊下320b内に取り込むと共に、光通路345を通じて、1階の廊下310bまで外光を取り込むことが可能となる(図7の実線矢印参照)。
また、床部340の光通路345が、上述した床部40の光通路45のように、風の通過をも許容するものである場合には、建具331を開放した状態とすることにより、建具331が設けられた開口から光通路345を通じて、1階の廊下310bに、光と共に風を取り込むことが可能となる(図7の破線矢印参照)。更に、建具311及び321を開放した状態とすれば、建具331が設けられた開口から建具311及び321が設けられた出入り口を通じて、部屋310a及び320a内へと風を取り込むことも可能となる。このように、床部340の存在により、下部屋内空間の採光性を向上させることができ、特に、床部340の光通路345を風の通過が可能な構成とすれば、下部屋内空間の採光性の向上に加えて、下部屋内空間や下部屋内空間に隣接する部屋の通気性をも向上させることができる。
なお、図7に示す建物300は、1階の廊下310bと2階の廊下320bとの間に床部340が設けられた間取りであるが、例えば、図8に示すように、2階の廊下320bを部屋としての収納室320b´に変更すると共に、図7に示す階段330を無くした間取りとしてもよい。このような間取りとすれば、採光部350及び光通路345を通じて、1階の廊下310bに外光を取り込むことが可能であると共に、建具331が開放状態のときには建具331が設けられた開口から、衣服等が収納される収納室320b´へと風が入り込み易く、収納室320b´の通気性を向上させることができる。更に、床部340が、収納室320b´と、1階の廊下310bとを隔てる構成であるため、光通路345が風の通過をも許容するものである場合には、収納室320b´から1階の廊下310bへの通気のみならず、1階廊下310bから収納室320b´への通気も可能となり、収納室320b´の通気性を更に向上させることができる。なお、図8に示す例では、1階の廊下310bを区画する外壁にも、開閉式のガラス窓等で構成された採光部350´が設けられている。
図9は、建物400を示す図である。建物400は、鉄骨造の軸組みを有する3階建ての工業化住宅である。図9に示すように、建物400は、1階、2階及び3階に部屋を有している。1階に設けられた部屋410は、寝室、子供部屋、書斎等の個室であり、居住者のうち特定の者が主に利用することが想定された専用空間となっている。2階に設けられた部屋420は、居間、食堂及び台所が一体となった空間であり、居住者が共同で利用する共用空間となっている。そして、この2階の部屋420は、図9に示す建物400内で最も大きい床面積を有する部屋である。また、図9に示すように、2階の部屋420には、キッチンセット5が配置されている。3階には、部屋430が設けられている。部屋430は、寝室、子供部屋、書斎等の個室であり、居住者のうち特定の者が主に利用することが想定された専用空間となっている。
ここで、建物400は、屋内空間を上部屋内空間440aと下部屋内空間440bとに隔てると共に、上部屋内空間440aと下部屋内空間440bとの間で光が往来可能な光通路445が設けられた床部440を備えている。具体的に、床部440は、上部屋内空間440aとしての部屋420の上部吹き抜け空間420aと、下部屋内空間440bとしての部屋420の下部空間420bとを隔てている。なお、2階の部屋420の床面と、床部440の上面とは、階段490により繋がっている。また、床部440の詳細構成は、上述した建物1の床部40と同様であるためここでは説明を省略する。
上部吹き抜け空間420aを区画する区画壁には、外光が透過可能な採光部450が設けられている。より具体的に、上部吹き抜け空間420aを区画する区画壁には、外方へと通じる開閉可能な建具431が設けられており、建具431は外光が透過可能な透過部432を有している。そして、採光部450は、建具431の透過部432により構成されている。なお、建具431としては、例えばスライド式のガラス窓等とすることができ、透過部432は、例えばガラス窓のガラスにより構成される。
また、図9に示すように、3階の部屋430を区画する区画壁には、ガラス窓等の、部屋420の上部吹き抜け空間420aに通じる開閉可能な建具435が設けられている。
このような間取りとすることにより、採光部450から外光を上部吹き抜け空間420a内に取り込むと共に、光通路445を通じて、部屋420の下部空間420bまで外光を取り込むことが可能となる(図9の実線矢印参照)。
また、床部440の光通路445が、上述した床部40の光通路45のように、風の通過をも許容するものである場合には、建具431を開放した状態とすることにより、建具431が設けられた開口から光通路445を通じて、部屋420の下部空間420bに、光と共に風を取り込むことが可能となる(図9の破線矢印参照)。このように、床部440の存在により、下部屋内空間の採光性を向上させることができ、特に、床部440の光通路445を風の通過が可能な構成とすれば、下部屋内空間の採光性の向上に加えて、下部屋内空間の通気性をも向上させることができる。なお、3階の部屋430の建具435を開放した状態とすれば、建具431が設けられた開口及び建具435が設けられた開口を通じて、部屋120a内へと風を取り込むことも可能となる。
更に、図9に示す例では、部屋420の上部吹き抜け空間420aと下部空間420bとを隔てる床部440としているため、上部吹き抜け空間420aを区画する区画壁であっても、床部440を利用することにより、容易に清掃を行うことができる。また更に、上部吹き抜け空間420aを区画する区画壁に設けられた建具431の開閉作業についても、床部440を利用することにより、容易に行うことができる。
図10は、建物500を示す図である。建物500は、上述した建物1、100及び200、300と基本構造は共通するものであり、間取りのみが異なっている。図10に示すように、建物500は、1階及び2階に部屋を有している。1階に設けられた部屋510は、居間、食堂及び台所が一体となった空間であり、居住者が共同で利用する共用空間となっている。そして、この1階の部屋510は、図10に示す建物500内で最も大きい床面積を有する部屋である。また、図10に示すように、1階の部屋510には、キッチンセット5が配置されている。2階には、第1の部屋520aと、第2の部屋520bと、第1の部屋520a及び第2の部屋520bに挟まれた共用スペース520cと、が設けられている。第1及び第2の部屋520a及び520bは、寝室、子供部屋、書斎等の個室であり、居住者のうち特定の者が主に利用することが想定された専用空間となっている。
ここで、建物500は、屋内空間を上部屋内空間540aと下部屋内空間540bとに隔てると共に、上部屋内空間540aと下部屋内空間540bとの間で光が往来可能な光通路545が設けられた床部540を備えている。具体的に、床部540は、上部屋内空間540aとしての共用スペース520cと、下部屋内空間540bとしての部屋510とを隔てている。なお、床部540の詳細構成は、上述した建物1の床部40と同様であるためここでは説明を省略する。
共用スペース520cを区画する鉛直方向上側の天井部には、外光が透過可能な採光部550が設けられている。より具体的に、共用スペース520cを区画する天井部には、外方へと通じる開閉可能な建具531が設けられており、建具531は外光が透過可能な透過部532を有している。そして、採光部550は、建具531の透過部532により構成されている。なお、建具531としては、例えばスライド式のガラス窓等とすることができ、透過部532は、例えばガラス窓のガラスにより構成される。
また、共用スペース520cを区画する区画壁には、第1の部屋520aへと通じる開閉可能な建具521aと、第2の部屋520bへと通じる開閉可能な建具521bと、が設けられている。
このような間取りとすることにより、採光部550から外光を共用スペース520c内に取り込むと共に、光通路545を通じて、1階の部屋510まで外光を取り込むことが可能となる(図10の実線矢印参照)。
また、床部540の光通路545が、上述した床部40の光通路45のように、風の通過をも許容するものである場合には、第2建具131を開放した状態とすることにより、建具531が設けられた開口から光通路545を通じて、1階の部屋510に、光と共に風を取り込むことが可能となる(図10の破線矢印参照)。このように、床部540の存在により、下部屋内空間の採光性を向上させることができ、特に、床部540の光通路545を風の通過が可能な構成とすれば、下部屋内空間の採光性の向上に加えて、下部屋内空間の通気性をも向上させることができる。なお、建具521a及び521bを開放した状態とすれば、建具531が設けられた開口から建具521a及び521bが設けられた出入り口を通じて、第1の部屋520a内及び第2の部屋520b内へと風を取り込むことも可能となる。
図11(a)は、建物600を示す図である。建物600は、上述した建物1と基本構造は共通するものであるが、屋根部分の構成が異なっており、屋根裏空間Sを有するものである。図11(a)に示すように、建物600は、1階及び2階に部屋を有している。1階に設けられた部屋610及び2階に設けられた部屋620は、居間、食堂及び台所が一体となった、居住者が共同で利用する共用空間であってもよく、寝室、子供部屋、書斎等の、居住者のうち特定の者が主に利用することが想定された専用空間であってもよい。そして、図11(a)に示す建物600は、屋上階に三角屋根により区画された屋根裏空間Sを有している。
ここで、建物600は、屋内空間を上部屋内空間640aと下部屋内空間640bとに隔てると共に、上部屋内空間640aと下部屋内空間640bとの間で光が往来可能な光通路645が設けられた床部640を備えている。具体的に、床部640は、上部屋内空間640aとしての屋根裏空間Sと、下部屋内空間640bとしての部屋620とを隔てている。なお、床部640の詳細構成は、上述した建物1の床部40と同様であるためここでは説明を省略する。
屋根裏空間Sを区画する区画壁又は区画屋根には、外光が透過可能な採光部650が設けられている。より具体的に、屋根裏空間Sを区画する区画壁又は区画屋根には、外方へと通じる開閉可能な建具631が設けられており、建具631は外光が透過可能な透過部632を有している。そして、採光部650は、建具631の透過部632により構成されている。なお、建具631としては、例えばスライド式のガラス窓等とすることができ、透過部632は、例えばガラス窓のガラスにより構成される。
このような間取りとすることにより、採光部650から外光を屋根裏空間S内に取り込むと共に、光通路645を通じて、2階の部屋620まで外光を取り込むことが可能となる(図11(a)の実線矢印参照)。
また、床部640の光通路645が、上述した床部40の光通路45のように、風の通過をも許容するものである場合には、建具631を開放した状態とすることにより、建具631が設けられた開口から光通路645を通じて、2階の部屋620に、光と共に風を取り込むことが可能となる(図11(a)の破線矢印参照)。このように、床部640の存在により、下部屋内空間の採光性を向上させることができ、特に、床部640の光通路645を風の通過が可能な構成とすれば、下部屋内空間の採光性の向上に加えて、下部屋内空間の通気性をも向上させることができる。
なお、図11(b)は、図11(a)に示す建物600と比較して、屋根裏空間Sを区画する屋根形状が異なり、屋根裏空間Sが広いものであり、外光及び風を取り込む建具631が2つ設けられているものである。また、図11(c)は、図11(a)に示す建物600と比較して、階層が1つだけ多いものであり(3階の部屋630)、他の構成は同様である。