JP2017115242A - 絶縁被膜付コイルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁被膜内の膜厚分布を小さくすることができる絶縁被膜付コイルの製造方法を提供する。【解決手段】絶縁被膜されるべきコイル部品1の両端部2を除き、両端部2の間の部分に電着により絶縁塗料を付着させる電着塗装工程と、電着塗装後のコイル部品1に付着した絶縁塗料を焼き付けることによりコイル部品1に絶縁被膜を形成する焼き付け工程とを有し、前記電着塗装工程前に、絶縁被膜されるべきコイル部品1を、その両端部2の間に形成された複数の巻回部4どうしの間隔をあけて伸長した状態に維持しておき、その伸長状態で電着塗装工程と焼き付け工程とを行う。【選択図】 図1

Description

本発明は、偏平な断面を有する平角導線を加工した偏平コイルに電着塗装技術により絶縁塗装を付着して焼き付けることにより、絶縁被膜付コイルを製造する方法に関する。
いわゆるエナメル線等の絶縁被膜電線は、電線に絶縁樹脂をベースとする絶縁塗料(ワニス)を塗布して焼き付けることにより製造され、その絶縁塗料を塗布する技術として、電着塗装技術が注目されている。また、その絶縁被膜電線がモータやトランス等に用いられるコイルである場合には、電線の状態で絶縁被膜した後にコイルの部品形状に加工する際に絶縁被覆にクラック等が生じる場合があるため、絶縁被覆していない裸電線をコイルの形態に加工した後に、絶縁被覆することが試みられている。
例えば、特許文献1には、平角導線をモータ用の電磁コイル形状に加工(エッジワイズ巻)したワークを電着塗装することが開示されている。この特許文献1では、ワークの両端部をチャックにより把持して吊り下げ状態に保持し、その吊り下げ状態で搬送しながら把持部分より下方部分を電着液に浸漬して塗装している。そして、塗装後、乾燥又は硬化により絶縁被覆を形成すると記載されている。
また、特許文献2においても、ハンガーにより、コイルの両端部を把持して吊り下げ状態に保持し、その把持部分より下方を電着液に浸漬して塗装しており、その後、焼付け乾燥炉の中に配置され、赤外線や熱風を用いて加熱された後に冷却されることにより、被膜を硬化することが記載されている。また、絶縁被膜の膜厚が大きくなると、表面に泡が発生し易いと記載されている。
一方、特許文献3には、被膜中に発生する泡を除去する技術が開示されており、電着塗装工程の途中で電着液からワークを複数回取り出して、ワークに付着した気泡を除去しながら電着塗装することが記載されている。この特許文献3によれば、ワークを取り出さずに電着液に浸けておく連続浸漬時間を電着塗装工程の開始からの経過時間に伴って長くすると、効率的に気泡を除去することができるとされている。
特開2012−117133号公報 特開2012−224924号公報 特開2012−180585号公報
ところで、特許文献2に記載されているように、気泡は被膜が厚い部分に生じ易い。このため、コイルに加工する前の線状の電線を電着塗装する場合は、均一な厚さの被膜を形成することが容易であるが、電線をコイル状の形態に加工した後に電着塗装する場合は、巻回されて重なり合う部分や屈曲部等を有する形状であるため、被膜の厚さにばらつきが生じ易いとともに、その乾燥焼き付けも不均一になり易い。このため、気泡が残存し易いという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、絶縁被膜内の膜厚分布を小さくすることができる絶縁被膜付コイルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の絶縁被膜付コイルの製造方法は、偏平な横断面を有する平角導線を螺旋状に巻回して形成されたコイル部品に、絶縁塗料を付着して焼き付けることにより、絶縁被膜付コイルを製造する方法であって、絶縁被膜されるべき前記コイル部品の両端部を除き、該両端部の間の部分に電着により絶縁塗料を付着させる電着塗装工程と、電着塗装後のコイル部品に付着した絶縁塗料を焼き付けることにより該コイル部品に絶縁被膜を形成する焼き付け工程とを有し、前記電着塗装工程前に、絶縁被膜されるべき前記コイル部品を、前記両端部の間に形成された複数の巻回部どうしの間隔をあけて伸長した状態に維持しておき、その伸長状態で前記電着塗装工程と前記焼き付け工程とを行うことを特徴とする。
コイル部品の巻回部どうしの間隔をあけた伸長状態で、すなわち、巻回部どうしを重なり合わせることなく線状の状態で電着塗装を施し、乾燥焼き付けを行うことで、導線の回りに均一な厚さの絶縁被膜を形成することができる。一般に膜厚が厚い部分に気泡が残存しやすいため、全体の膜厚分布が小さくなることで気泡の残存を低減でき、良質な絶縁被膜を形成することができる。
本発明の絶縁被膜付コイルの製造方法において、前記伸長状態を、絶縁被膜されるべき前記コイル部品の弾性変形範囲内で維持するとよい。
コイル部品の伸長状態を弾性変形範囲内で維持することにより、伸長状態を解除した際に自然に巻回部どうしの間隔が狭められ、巻回部どうしが重なり合わされた元の形状に容易に戻すことができる。したがって、絶縁被膜付コイル(コイル部品)の形状を元の状態に戻すための作業工程や、その作業工程に用いるテープ等の部材を省略でき、製造工程を簡略化できる。
本発明の絶縁被膜付コイルの製造方法において、絶縁被膜されるべき前記コイル部品の前記両端部を相互に平行な状態に把持して、前記伸長状態を維持するとよい。
コイル部品の両端部を相互に平行な状態に把持することにより、巻回部どうしを接触させることなく電着塗装、乾燥焼き付けを行うことができ、垂れ下がりを抑制して、一連の工程の取り扱いの際の他機器等への干渉も防止することができる。
本発明によれば、コイル部品の巻回部の間隔をあけた状態で、絶縁塗料を付着して乾燥焼き付けることとしたので、コイル部品に均一な厚さの絶縁被膜を形成でき、これにより気泡の残存を低減して良質な絶縁被膜を形成することができる。
本発明の絶縁被膜付コイルの製造方法の一実施形態に用いられる電着塗装用治具にコイル部品を保持した状態を示す斜視図である。 図1に示す電着塗装用治具ごとヒーターの上に載置した状態を示す斜視図である。 本実施形態の製造方法における電着塗装の例を模式的に示す断面図である。 本実施形態の製造方法に用いられる焼き付け装置の例を模式的に示す斜視図である。 本実施形態の製造方法により絶縁被膜が施されるコイル部品の例を示す斜視図である。 図5に示すコイル部品を伸長した状態の斜視図である。 絶縁被膜が施された絶縁被膜付コイルの例を示す平面図であり、絶縁被膜の膜厚観察断面位置を示したものである。 図7に示す各膜厚観察断面位置における絶縁被膜付コイルの横断面図であり、各膜厚観察断面位置における絶縁被膜の膜厚観察位置を示したものである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
この実施形態における絶縁被膜付コイル10は、電動機や発電機のステータに用いられるコイルセグメントであり、例えば図8に示すように、偏平な横断面(t:0.6mm×W:12mm)を有する平角導線を、図7に示すように螺旋状に巻回して偏平状に形成したコイル部品1からなり、その両端部2を除いた中央部分3(図7にハッチングした部分)が絶縁被膜5により絶縁被覆されている。図示は省略するが、この絶縁被膜付コイル10は、コイル部品1の平角導線が露出している両端部2が、ステータコアに結合される。
この絶縁被膜付コイル10は、平角導線を偏平状のコイル部品1の形状に加工する成形工程と、加工後のコイル部品1を洗浄する洗浄工程と、洗浄後コイル部品1の両端部2を除き、その両端部2の間の中央部分3に電着塗装技術により絶縁塗料を付着する電着塗装工程と、コイル部品1を加熱して、コイル部品1に付着した絶縁塗料を乾燥し焼き付ける焼き付け工程とを経て製造される。
成形工程では、平角導線をその面方向に曲げ成形して、図5及び図6に示すように、複数の巻回部4を有するコイル部品1に加工する。なお、図5はコイル部品1の自然状態であり、図6はコイル部品1の両端部2を相互に平行な状態でその弾性変形範囲内で伸長した伸長状態を示している。このように、コイル部品1は、自然状態では巻回部4どうしが密に配置されている。また、この図5及び図6に示す例では、コイル部品1の中央部分3に形成された巻回部4は長円状(巻き外径が100mm×50mm)に形成されており、その巻回部4の長手方向に両端部2が延出して設けられている。なお、本発明が適用されるコイル部品は、この図5に示される形状に限るものではなく、各種形状のコイル部品を採用することができる。
電着塗装工程は、コイル部品1を、図1に示す電着塗装用治具11により保持した状態で行われる。
この電着塗装用治具11は、コイル部品1の両端部2を除き、両端部2の間の中央部分3(図5及び図6にハッチングした部分)に電着塗装するための治具であり、平板状のベース12と、このベース12の片面に固定された複数対のクランプ13とから構成されている。各クランプ13は、コイル部品1の端部2を把持するものであり、図示例では、ベース12に固定された固定側クランプ部材14と、この固定側クランプ部材14にネジ15により固定される可動側クランプ部材16とを備えており、両クランプ部材14,16の対向部に、これらクランプ部材14,16を締結することによりコイル部品1の端部2を挿入状態に保持するスロット部17が形成されている。また、スロット部17には、挿入したコイル部品1の端部2に弾性接触するばね片18が設けられている。
この場合、各クランプ13は、ベース12上に複数の列をなすように固定されるとともに、隣り合う列の間で対をなして配置されており、図1の白抜き矢印で示すように、一対のクランプ13のスロット部17にコイル部品1の端部2をそれぞれ挿入して把持することにより、一対のクランプ13の間に架け渡すようにして、コイル部品1をベース12に対して垂直に、かつ両端部2を相互に平行な状態でコイル部品1の弾性変形範囲内で伸長して巻回部4どうしの間隔をあけて配置することができる。また、このようにコイル部品1の両端部2をクランプ13により把持することで、伸長状態、すわなち両端部2の間に形成された複数の巻回部4どうしを間隔をあけた状態を維持できる。また、ベース12上には、対をなすクランプ13が列状に並んで配置されているので、各コイル部品1も相互に間隔をおいて列をなして、かつ同じ姿勢で配置される(図2参照)。図示例では、ベース12上にコイル部品1が全部で4個配置されるようになっており、4個のコイル部品1で一列をなしている。
また、ベース12には、その中央部を除去するように、厚さ方向に沿う開口部19が形成されている。そして、電着塗装用治具11のベース12及び対をなすクランプ13の少なくとも一方は、電気伝導及び熱伝導が良好な材料、例えばアルミニウム、銅などの金属によって形成されている。なお、クランプ13は、図示したネジ15により可動側クランプ部材16を固定する形式のものに限らず、バネ等を用いて可動側クランプ部材16を付勢する形式のものとしてもよい。
このように、電着塗装工程前に、成形工程により加工されたコイル部品1の両端部2を電着塗装用治具11の各クランプ13に把持して、コイル部品1をベース12の上に垂直に立設するとともに、伸長状態に保持しておく。そして、コイル部品1は、この伸長状態で電着塗装工程が行われる。
具体的には、このコイル部品1を保持した電着塗装用治具11のベース12をハンガー(図示略)により支持して、コイル部品1を吊り下げた状態とする。つまり、コイル部品1は、クランプ13で把持された端部2が上方を向き、両端部2の間に配置される中央部分3が下方を向けた状態に支持される。また、ベース12にワニ口クリップ等により配線(ともに図示略)を接続する。なお、ハンガーは絶縁体により形成される。
そして、この吊り下げ状態のコイル部品1を、図3に示すように、絶縁塗料21を満たした電着槽22内に浸漬する。この際、クランプ13で把持されている端部2を除き、クランプ13から露出している中央部分3を電着槽22内に浸漬し、ベース12と電着槽22内の電極23との間に直流電源24から電流を流して電着塗装する。
電着槽22内に貯留される絶縁塗料21は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂等をベース樹脂とした絶縁塗料(ワニス)であり。硬化剤等が添加される。
電着槽22に所定時間浸漬した後、電着槽22からコイル部品1を引き上げ、コイル部品1に付着した塗料(絶縁塗料21)の焼き付け処理を行う。
そして、焼き付け工程では、図4に示す焼き付け装置31が用いられる。この焼き付け装置31は、トンネル状の断熱カバー32により囲まれた通路33の入口に、受け入れステーション34が設置され、断熱カバー32の内側に、乾燥ステーション35、焼き付けステーション36、冷却ステーション37が順次設置され、通路33の出口に取出しステーション38が設置される。そして、乾燥ステーション35及び焼き付けステーション36にヒーター39がそれぞれ設けられ、冷却ステーション37には冷風を供給する送風機(図示略)が設けられている。また、これら各ステーション34〜38は、シャッターで仕切られている。各ステーション34〜38の間の移送は、例えばウォーキングビーム等の間欠搬送手段(図示略)によりコイル部品1を間欠的に移動することにより行われる。
乾燥ステーション35及び焼き付けステーション36に設置されるヒーター39は、板状に形成されており、通路33上に水平に設置され、その上面が放熱面39aとされている。そして、焼き付け工程も、電着塗装工程と同様に、電着塗装用治具11によりコイル部品1を伸長状態に保持して行われる。これにより、絶縁塗料21に含まれる水や有機溶剤を均一に、かつ十分に除去できる。
まず、コイル部品1を上に向けた状態で、電着塗装用治具11のベース12を受け入れステーション34から各ヒーター39の上に順次搬送する。そして、図2に示すように、ヒーター39の放熱面39aの上に、コイル部品1を保持したベース12を載置すると、このベース12及びクランプ13は熱伝導が良好な材料(アルミニウム、銅等)により形成されているので、ヒーター39の熱が放熱面39aから速やかに伝わって、内部を伝導し、クランプ13からコイル部品1の端部2に伝わり、コイル部品1内を長さ方向に伝導する。この際、コイル部品1は電気良電体であり、熱伝導にも優れることから、速やかに加熱され、コイル部品1に付着した塗料を内側から加熱することができる。また、ベース12には開口部19が形成されているので、この開口部19に臨む部分のヒーター39からの輻射熱がコイル部品1に伝わり、コイル部品1に付着した塗料を外部からも加熱することができる。さらに、断熱カバー32により放熱が抑制された状態となっており、コイル部品1を効果的に加熱することができる。
このようにして、乾燥ステーション35では、乾燥用のヒーター39によりコイル部品1を例えば150℃に加熱して絶縁塗料を乾燥させ、焼き付けステーション36では、焼き付け用のヒーター39によりコイル部品1を例えば250℃に加熱して塗料を焼き付ける。そして、最後に冷却ステーション37で冷却した後、取出しステーション38から取り出し、電着塗装用治具11のクランプ13からコイル部品1の端部2を外すことで、絶縁被膜付コイルとして製品となる。
以上のように、この実施形態の電着塗装においては、電着塗装工程から焼き付け工程までの一連の工程中において、コイル部品1の弾性変形範囲内で巻回部4どうしの間隔をあけた伸長状態で、すなわち、巻回部4どうしを重なり合わせることなく線状の状態で電着塗装を施し、乾燥焼き付けを行うことができる。これにより、コイル部品1の導線の回りに均一な厚さの絶縁被膜5を形成でき、気泡の残存を低減して良質な絶縁被膜5を形成することができる。
また、コイル部品1は、その両端部2が巻回部4から側方に突出しているので、コイル部品1を吊り下げ状態としたときの巻回部4の自重によって巻回部4の中央部が垂れ下がった状態となる場合がある。この点、本実施形態では、コイル部品1の両端部2を相互に平行に拡げた状態に保持することにより、巻回部4どうしを接触させることなく電着塗装、乾燥焼き付けを行うことができるとともに、巻回部4の垂れ下がりを抑制して、一連の工程の取り扱いの際の他機器等への干渉も防止することができる。したがって、コイル部品1の取り扱いを容易にすることができる。
さらに、焼き付け工程においては、ヒーター39の熱をコイル部品1の端部2から長さ方向に伝達してコイル部品1を内部から加熱するので、コイル部品1に付着した塗料も内側から外側に向けて硬化していくことになり、コイル部品1に付着した塗料中に気泡が残存していた場合でも、徐々に厚くなる硬化層によって気泡も内側から外側に押されて該表面から抜け易くなる。したがって、気泡の残存をさらに低減でき、良質な絶縁被膜5を形成できる。
なお、上記実施形態では、電着塗装工程前に、絶縁被膜されるべきコイル部品1を弾性変形範囲内で伸長することにより、巻回部4どうしの間隔をあけて維持することとしていたが、コイル部品1を塑性変形させて、巻回部4どうしの間隔をあけた状態を維持してもよい。
コイル部品1の伸長状態を弾性変形範囲内で維持した場合には、焼き付け工程後に伸長状態を解除すると、自然に巻回部4どうしの間隔が狭められ、巻回部4どうしが重なり合わされた元の形状(電着塗装工程前の状態)に容易に戻すことができる。したがって、コイル部品1を塑性変形させた場合と比べて、絶縁被膜付コイル10(コイル部品1)の形状を元の状態に戻すための作業工程や、その作業工程に用いるテープ等の部材を省略でき、製造工程を簡略化できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、焼き付け工程において、ヒーター39の熱をコイル部品1の端部2から伝達してコイル部品1を内部から加熱することとしていたが、外部から加熱する構成としてもよい。また、実施形態では、電着塗装用治具11にコイル部品1の両端部2を保持し、その両端部2ともヒーター39の上に載置されるようにしたが、両端部2のうちの一方の端部のみをヒーター39の上に載置して、この一端部からコイル部品1の全体に熱伝導されるようにしてもよい。その場合、その一方の端部を把持するクランプが熱伝導材料により構成されていればよい。
本発明の効果確認のために、以下の実験を行った。
コイル部品は、図8に示すように、無酸素銅により偏平な横断面(t:0.6mm×W:12mm)を有する平角導線を螺旋状に10回巻回して、巻回部を長円状(巻外径が100mm×50mmの偏平状)に形成したものを作製した。電着塗装用治具として図1に示す構成のものを作製し、電着塗装用治具のベース及びクランプはアルミニウムを用いて作製した。そして、コイル部品を電着塗装用治具に装着し、巻回部どうしの間隔を表1の「コイル巻回部の間隔」に示す条件に維持し、ポリアミドイミド(PAI)を主体とする絶縁塗料とポリイミド(PI)の樹脂を主体とする絶縁塗料とを用いて電着塗装工程を行った。また、電着塗装工程後に、実施形態で述べたものと同様の方法でヒーターの上に電着塗装用治具を載置し、熱伝導により電線部品を加熱して焼き付け工程を行うことにより、絶縁被膜付コイルを作製した。
なお、実施例1〜8では、電着塗装工程及び焼き付け工程においてコイル部品を弾性変形範囲内で伸長状態に維持し、実施例9では、電着塗装工程及び焼き付け工程においてコイル部品を弾性変形範囲内を超えて塑性変形を生じさせで伸長状態に維持した。また、比較例1は、電着塗装工程及び焼き付け工程においてコイル部品を伸長状態とせず、つまり弾性変形や塑性変形させることなく自然状態で維持した。
また、焼き付け工程では、150℃まで昇温し、150℃で5分間保持して乾燥し、その後250℃で3分間保持して焼き付けた後、冷却した。昇温速度は、表1に示す通りとした。そして、焼き付け工程後に、絶縁被膜付コイルに形成された絶縁被膜の膜厚の測定と、気泡の残存状態を検査した。
絶縁被膜の膜厚の測定は、キーエンス社製のマイクロスコープ(VHX‐5000)を用いて行った。また、図7に二点鎖線a1〜a8で表したように、長円状の各巻回部(合計10回)の直線部と屈曲部の合計8箇所の断面を観察し、これらの8箇所の各断面において図8に二点鎖線b1〜b2で表したように平面部と角部の合計8箇所の絶縁被膜の膜厚を測定することにより、各絶縁被膜付コイルについて10×8=80箇所の絶縁被膜の膜厚を測定した。
そして、以下の(1)式を用いて、各絶縁被膜付コイルにおける絶縁被膜の膜厚のバラツキを算出した。なお、(1)式の平均値は、80箇所の絶縁被膜の膜厚の測定値を平均した値である。
[|{(平均値から最も離れた膜厚の測定値)−(平均値)}|/(平均値)]×100(%)…(1)
また、気泡の検査は、目視観察により行った。そして、目視確認できる気泡があり、その気泡が5ケ以上であったものを「×」、気泡が1〜4ケであったものを「△」とし、さらに目視観察において気泡が確認できなかった場合を「○」とした。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2017115242
表1から明らかなように、巻回部の間隔を1mm以上とした場合(実施例1〜7,9)は、いずれも絶縁被膜の膜厚のバラツキが20%以下となり、均一な厚さの絶縁被膜が形成でき、絶縁被膜に気泡の残存も認められなかった。なお、巻回部の間隔が1mm未満の場合(実施例8)は、小さな気泡が発生したが、実使用では問題のないレベルであった。
また、表1からわかるように、巻回部の間隔を大きくする程、絶縁被膜の膜厚のバラツキを小さくできる。なお、実施例7と実施例9の結果を比較してわかるように、巻回部の間隔を弾性変形範囲内(15mm以下)を超える大きさとしても、絶縁被膜の膜厚のバラツキの変化はなかった。
一方、コイル巻回部の間隔をあけずに(0mm)、巻回部どうしを接触させた状態とした比較例1では、絶縁被膜の膜厚のバラツキが大きくなり、5ケ以上の気泡が発生した。
これらの結果により、電着塗装工程及び焼き付け工程において、コイル部品の巻回部の間隔をあけて伸長状態に維持することにより、絶縁被膜の膜厚のバラツキを小さくでき、気泡の発生を抑制できることがわかる。また、巻回部の間隔を1mm以上設けることにより、絶縁被膜の膜厚のバラツキをさらに低減でき、気泡の残存ない良質な絶縁被膜を形成できることがわかる。
1…コイル部品
2…端部
3…中央部分
4…巻回部
5…絶縁被膜
10…絶縁被膜付コイル
11…電着塗装用治具
12…ベース
13…クランプ
14…固定側クランプ部材
15…ネジ
16…可動側クランプ部材
17…スロット部
18…ばね片
19…開口部
21…絶縁塗料
22…電着槽
23…電極
24…直流電源
31…焼き付け装置
32…断熱カバー
33…通路
34…受け入れステーション
35…乾燥ステーション
36…焼き付けステーション
37…冷却ステーション
38…取出しステーション
39…ヒーター
39a…放熱面

Claims (3)

  1. 偏平な横断面を有する平角導線を螺旋状に巻回して形成されたコイル部品に、絶縁塗料を付着して焼き付けることにより、絶縁被膜付コイルを製造する方法であって、
    絶縁被膜されるべき前記コイル部品の両端部を除き、該両端部の間の部分に電着により絶縁塗料を付着させる電着塗装工程と、
    電着塗装後のコイル部品に付着した絶縁塗料を焼き付けることにより該コイル部品に絶縁被膜を形成する焼き付け工程とを有し、
    前記電着塗装工程前に、絶縁被膜されるべき前記コイル部品を、前記両端部の間に形成された複数の巻回部どうしの間隔をあけて伸長した状態に維持しておき、その伸長状態で前記電着塗装工程と前記焼き付け工程とを行うことを特徴とする絶縁被膜付コイルの製造方法。
  2. 前記伸長状態を、絶縁被膜されるべき前記コイル部品の弾性変形範囲内で維持することを特徴とする請求項1に記載の絶縁被膜付コイルの製造方法。
  3. 絶縁被膜されるべき前記コイル部品の前記両端部を相互に平行な状態に把持して、前記伸長状態を維持することを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁被膜付コイルの製造方法。
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