JP2012120302A - コイルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電着塗装技術を適用することでコイルを構成する導線間の絶縁と固定を保証し、かつコイル体格の増大と導線周りの絶縁被膜のコイル加工時の加工劣化を抑制しながら、形成された絶縁被膜内にボイドが生じ難いコイルの製造方法を提供する。
【解決手段】導線1を巻装して導線1,1間に隙間Kを設けるステップ、導線1周りに熱硬化性樹脂を含有する塗料を電着塗装するステップ、100℃以上の温度で、かつ熱硬化性樹脂の軟化点以上の温度であって、該熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度未満の温度にて塗料を熱処理して熱硬化性樹脂を半硬化状態とするステップ、導線1,1間の隙間を狭め、熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度以上の温度で熱処理して熱硬化性樹脂を硬化させることで導線1,1間が硬化した熱硬化性樹脂からなる絶縁被膜2で絶縁され、かつ導線1,1同士が絶縁被膜2で固定されたコイル10を製造するステップからなる製造方法である。
【選択図】図6

Description

本発明は、モータのティース周りに配設されるコイルの製造方法に関するものである。
モータを構成するステータは、円環状のヨークと、ヨークから径方向内側に突出する複数のティースと、隣接するティース間に形成されるスロットを備えた鋼板が積層されてなるステータコアから形成されており、コイルがこのスロット内に挿入されながら、ティースに巻装されたり(集中巻き)、あるいはティース間に巻装されること(分布巻き)によってステータが製造される。
従来のコイル形成用の巻線は、たとえば特許文献1に開示されるように、銅素材の導線の周りに、熱硬化性のエナメル樹脂を溶剤に溶かして数μmの厚みで塗布し、熱処理して塗布層を固め、この処理を複数回繰り返して所望厚のエナメル被膜(絶縁被膜)を形成して製造されており、この巻線を巻装してコイルが加工される。
上記する絶縁性確保に加えて、モータ駆動時のコイルの振動を抑止するべく、ティース周りに配設されたコイルには、ワニスが含浸されたり、樹脂モールドによってコイル全体が被覆されることでコイルの固定が一般に図られている。なお、この樹脂モールドには、一般にBMC( Bulk Molding Compoundで、不飽和ポリエステルに各種添加剤が混入された樹脂)などが使用される。
ところで、昨今のモータとこれを構成するステータの小型化にともない、断面円形の導線に代わって平角線を適用して占積率の向上を図るアプローチや、コイルエンドに加工を施してコンパクト化を図るアプローチなどがおこなわれている。
この平角線を使用したコイルの固定においては、断面円形の導線の場合に比して平角線間にワニスを十分に含浸するのが困難であり、樹脂モールドで固定する場合にはステータ体格が大きくなり過ぎるなどの課題があり、したがって平角線同士の固定に従来のコイル固定法をそのまま適用するのは得策とは言えない。なお、従来のエナメル被膜付きの導線を巻装してコイルを加工する方法においても、導線を巻装してコイルを加工する過程での被膜の損傷や変形といった加工劣化を避けることができず、加工劣化を考慮して安全代を見込んだ厚めの被膜を形成する等の措置を講じる結果、加工後のコイルの体格が増加するといった課題も生じている。このような場合、寸法が規定されているステータスロット内にコイルが挿入できないといった課題が生じ、逆にコイルの挿入を確保するためにたとえば銅素材の導線の断面を小さくする必要が生じるといった課題も生じ得る。
このようなコイル加工時の絶縁被膜の加工劣化を防止するべく、絶縁被膜形成を後工程とする技術がたとえば特許文献2に開示されている。具体的には、コイル加工後にこれを伸長して導線間隔を広げ、導線周りに絶縁被膜を形成した後に圧縮して導線間隔を狭めてコイルを形成するというものである。この技術によれば、コイル加工の際に絶縁被膜が損傷するといった加工劣化の課題は解消されるものの、導線周りに絶縁被膜を形成した後に圧縮して導線間隔を狭めた際に、絶縁被膜は既に硬化していることから導線間の固定を十分に図ることができない。
したがって、占積率を向上させるためにたとえば平角線を使用する場合であっても、容易に導線間の絶縁性を確保でき、コイル固定後のステータの体格が大きくなり過ぎないコイルの製造方法が当該技術分野で切望されている。また、コイル加工前に絶縁被膜を形成する際の課題を解消するべく、絶縁性と導線間の固定が保証された絶縁被膜をコイル加工後に導線周りに形成することのできる技術の開発も同様に切望されている。
これらの要求に対し、電着塗装を適用して、加工されたコイルの絶縁性と固定を保証するとともに固定後のコイルの体格を大きくさせない加工方法を挙げることができる。この電着塗装とは、電荷を持つ塗料粒子を含む水などの溶媒中に被塗物を浸漬し、被塗物と対極との間に直流電流を流し、被塗物に塗料粒子を析出させる塗装法のことである。塗料粒子中に加工されたコイルを浸漬させることで導線間に効果的に塗料が入り込み、これが硬化することで導線間の絶縁性と導線同士の固定の双方が保証される。
しかし、この電着塗装を適用した場合であっても、電極を成すコイルから発生する水素ガスによって塗膜中にガス抜け穴が生じたり、溶媒として使用している水の揮発によって塗膜中にボイドが生じ、導線周りに形成された塗膜を硬化させて絶縁被膜を形成した際にこのボイドが導線間の絶縁性を低下させるという課題があるのも事実である。
以上より、本発明者等は、電着塗装技術を適用することでコイル体格の増大と導線周りの絶縁被膜のコイル加工時における加工劣化を抑制しながら、形成された絶縁被膜内に生じ得るボイド等を効果的に解消して絶縁性能に優れ、導線同士の固定性に優れたコイルの製造方法に関する技術の発案に至ったものである。
特開2008−186709号公報 特開2005−51846号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、電着塗装技術を適用しながらも絶縁被膜内に生じ得るボイド等を効果的に解消して絶縁性能に優れ、導線同士の固定性に優れたコイルの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるコイルの製造方法は、導線を巻装し、隣接する導線間に隙間を設けるように広げる第1のステップ、導線周りと前記隙間に熱硬化性樹脂を含有する塗料を電着塗装する第2のステップ、100℃以上の温度で、かつ前記熱硬化性樹脂の軟化点以上の温度であって、該熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度未満の温度にて前記塗料を熱処理して該熱硬化性樹脂を半硬化状態とする第3のステップ、導線間の隙間を狭め、前記熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度以上の温度で熱処理して熱硬化性樹脂を硬化させることで、導線間が硬化した熱硬化性樹脂からなる絶縁被膜で絶縁され、かつ導線同士が該絶縁被膜で固定されたコイルを製造する第4のステップからなるものである。
本発明のコイルの製造方法では、導線周りに絶縁被膜を形成する前に、まず導線を所望に巻装加工して絶縁被膜を具備しないコイルを形成する。ここで、使用される導線は、断面円形の丸線であってもよいし、占積率の高い平角線であってもよいが、本発明の製造方法ではコイルを治具等で引っ張って所望幅の隙間を導線間に形成することから、導線間に一定の隙間が形成され易い平角線を使用するのが望ましい。そして、この平角線を使用する場合の導線の巻装はエッジワイズ曲げ加工となる。
導線を巻装してコイル状とし、これを適宜の治具やロボットハンド等で引っ張って隣接する導線間に隙間を設けるように広げ、この状態を保持する(第1のステップ)。
次に、導線周りと導線間に形成された隙間に熱硬化性樹脂を含有する塗料を電着塗装する。
軟化点が100℃以上の熱硬化性樹脂を含む水などの溶媒からなる塗料に第1のステップで形成されたコイルを被塗物として浸漬し、被塗物と対極との間に直流電流を流すことで、導線周りに正電荷の塗料粒子が析出する(第2のステップ)。
ここで、「軟化点」とは、JIS C 2105で規定される、樹脂が溶融して規定量変形する温度のことである。軟化点が100℃以上の熱硬化性樹脂を使用するのは、100℃以上の熱処理をおこなうことで絶縁被膜内の水分の揮発性を保証することと、100℃以上の軟化点の樹脂を適用することで絶縁被膜の高い耐熱性を保証するためであり、このような熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。
この第1,第2のステップにおいて、コイル状の導線間の隙間幅は、最終的に熱硬化性樹脂が硬化して形成される絶縁被膜の膜厚以上であり、さらには、引っ張られた状態の導線が塑性変形しない程度の幅、すなわち、引張力を開放した際に弾性的に元のコイル状態に戻ることのできる幅に調整されるのがよい。
電着塗装をおこなって導線周りに塗料を塗装したら、100℃以上の温度で、かつ塗料中の熱硬化性樹脂の軟化点以上の温度であって、かつこの熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度未満の温度にて塗料を熱処理して熱硬化性樹脂を半硬化状態とする(第3のステップ)。
100℃以上の融点の熱硬化性樹脂を使用することから、その軟化点は100℃以上の温度となり、熱硬化性樹脂の軟化点〜軟化点より高い熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度未満の温度範囲で熱硬化性樹脂は半硬化状態となり、架橋反応開始温度以上の温度で熱硬化性樹脂は硬化が進行することになる。
電着塗装された塗料の熱処理に際し、100℃以上の熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度以上としてその硬化を一気におこなってしまうと、電着塗装時にできたガス抜け孔や塗料中の水分が絶縁被膜中に残ってしまう可能性が高い。また、導線間に当初の隙間が存在した状態でこの隙間を塗料で閉塞させても、熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度以上の温度で一気に熱処理してその硬化を図る段階で熱硬化性樹脂は収縮しながら硬化し、導線間に隙間が生じてしまう。
したがって、100℃以上の熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度以上としてその硬化を一気におこなう代わりに、熱硬化性樹脂の軟化点以上で架橋反応開始温度未満の温度で塗料(塗膜)を熱処理することにより、電着塗装時にできたガス抜け孔を効果的に解消でき、塗料中の水分を効果的に揮発させることができる。
そして、熱硬化性樹脂を半硬化状態として塗膜中の水分を十分に揮発させ、導線間の隙間を狭めた後に熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度以上の温度で熱処理して熱硬化性樹脂を硬化させることにより、熱硬化性樹脂が収縮硬化しても導線間に隙間が形成されることなく、導線周りを硬化した熱硬化性樹脂で絶縁しながら導線同士をそれぞれの導線に密着して硬化した熱硬化性樹脂を介して固定することができ、絶縁性に優れ、導線間の固定性に優れたコイルを製造することができる(第4のステップ)。
上記する本発明のコイルの製造方法によれば、導線周りに絶縁被膜を形成した後にコイル加工するものでないことから、絶縁被膜の加工劣化の問題は生じ得ず、したがって、予め厚めの絶縁被膜を形成しておくといった措置も必要ない。
また、導線間の絶縁と固定を保証する100℃以上の軟化点の熱硬化性樹脂をまず半硬化状態として導線表面の塗膜内部から水分を十分に取り除いた後に導線間の隙間を狭め、完全に塗膜を形成する熱硬化性樹脂を硬化させて導線間の絶縁と固定を図るというステップを経ることで、絶縁性に優れ、導線間の固定性に優れたコイルを製造することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明のコイルの製造方法によれば、巻装した導線を広げて導線間に隙間を形成した状態で電着塗装をおこなって導線周りに塗料を塗装し、100℃以上の軟化点の熱硬化性樹脂の軟化点以上で架橋反応開始温度未満の温度で塗料を形成する熱硬化性樹脂を半硬化状態として塗料内のガス抜け孔の解消と塗料中の水分の揮発を促進させ、次いで導線間の隙間を狭めた後に熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度以上の温度で熱硬化性樹脂を完全に硬化させることにより、絶縁被膜を含むコイル全体の体格を増大させることなく、さらには製造過程で絶縁被膜を劣化させることなく、導線間の絶縁性と固定性の双方に優れたコイルを製造することができる。
導線を巻装してコイル状に加工した状態を示す第1のステップを説明した図である。 図1に次いで、コイル状の導線を引っ張り、導線間に隙間を形成してその姿勢を保持した状態を示す第1のステップを説明した図である。 コイル状の導線に電着塗装をおこなう第2のステップを説明した図である。 塗料を形成する熱硬化性樹脂の温度と弾性率(弾性係数)の関係を示すグラフである。 コイル状の導線周りに塗料が塗装されたものを引っ張ったままの状態で熱処理して塗料中の熱硬化性樹脂を半硬化状態としている第3のステップを説明した図である。 コイル状の導線の引っ張り状態が開放された状態を示す第4のステップを説明した図である。 図6に続いて、熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度以上の温度で熱処理してコイルを製造する第4のステップを説明した図である。 図7のVIII−VIII矢視図である。
以下、図面を参照して本発明のコイルの製造方法の実施の形態を説明する。なお、図示例の巻線は平角線からなるものであるが、本発明の巻線は平角線以外にも断面円形の丸線からコイルを製造するものであってもよいことは勿論のことである。
図1は導線を巻装してコイル状に加工した状態を示す第1のステップを説明した図であり、図2は図1に次いで、コイル状の導線を引っ張り、導線間に隙間を形成して保持した状態を示す第1のステップを説明した図であり、図3はコイル状の導線に電着塗装をおこなう第2のステップを説明した図である。また、図5はコイル状の導線周りに塗料が塗装されたものを引っ張ったままの状態で熱処理して塗料中の熱硬化性樹脂が半硬化状態となっている第3のステップを説明した図であり、図6はコイル状の導線の引っ張り状態が開放された状態を示す第4のステップを説明した図であり、図7は図6に続いて、熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度以上の温度で熱処理してコイルを製造する第4のステップを説明した図である。
まず、図1で示すように、銅素材の平角導線1を巻装してコイル状に加工(エッジワイズ曲げ加工)し、このコイル状の平角導線1の両端を不図示の治具もしくはロボットハンドなどによって図2で示すように所定の引張力Pで引っ張ることにより、隣接する平角導線1,1間に所望の隙間Kを形成し、この隙間Kが形成されたコイル状態をそのまま保持する(第1のステップ)。
この隙間Kの幅は、平角導線1,1間に十分に塗料が提供される幅であり、かつ最終的に熱硬化性樹脂が硬化して形成される絶縁被膜の膜厚以上であって、平角導線1が塑性変形しない程度の幅、すなわち、引張力Pを開放した際に弾性的に元のコイル状態に戻ることのできる幅に調整されている。
次に、図3で示すように、容器Y内に軟化点温度が100℃以上の熱硬化性樹脂と水からなる塗料Tを満たし、この塗料T内に、図2で示す平角導線1,1間に隙間Kが形成された状態が保持されたコイル状の平角導線1を浸漬してこれを負極とし、別途正極を設けて直流電流を流して平角導線1の周りに電着塗装をおこなう。
ここで、軟化点温度が100℃以上の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができ、これらのうちのいずれか一種を絶縁被膜形成用の熱硬化性樹脂として使用することができる。
この電着塗装により、塗料T内に浸漬された平角導線1の周りに正電荷の塗料粒子が電気析出する(第2のステップ)。
より詳細には、熱硬化性樹脂成分が平角導線1の表面で放電して電荷を失い、不溶化して電気析出する。この電気析出に次いで電気浸透が進行し、親水塗膜、疎水塗膜の脱水によって緻密化され、さらに電着が完了した際の平角導線1の表面に形成された塗膜内部はガス抜け孔によるポーラス状を呈している。
ここで、次のステップ、すなわち熱処理をおこなって平角導線1の周りおよび平角導線1,1間に絶縁被膜を形成するステップを説明するに当たり、熱硬化性樹脂の温度−弾性率(弾性係数)の一般的な関係グラフを示す図4を参照して塗料を形成する熱硬化性樹脂の軟化点、架橋反応開始温度の関係と、熱硬化性樹脂の半硬化状態、架橋反応進行状態を説明する。
図示するコイルの製造方法において、電着塗装で使用する塗料中の熱硬化性樹脂の軟化点温度は100℃以上であり、したがって、熱処理して100℃以上の温度雰囲気とした段階で平角導線1の周りに形成された塗膜中の水分は揮発される。
軟化点の温度T1〜架橋反応開始温度T2の範囲が熱硬化性樹脂を半硬化状態とする温度範囲であり、架橋反応開始温度T2を超えて架橋反応が進行し、熱硬化性樹脂の硬化に伴ってその弾性係数が急激に増加する。なお、軟化点T1,架橋反応開始温度T2の両温度付近に弾性率(弾性係数)の変曲点1,2があり、熱硬化性樹脂が完全に硬化してその弾性係数がサチュレートする温度付近にも別途の変曲点3が存在する。
平角導線1の表面に塗膜が形成されたものに対し、100℃以上の温度で、かつ使用する熱硬化性樹脂の軟化点T1以上の温度であって、この熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度T2未満の温度(図4のT1とT2の間の温度)にてその塗膜を熱処理することにより、図5で示すように、平角導線1の表面に半硬化状態の熱硬化性樹脂2’を形成する(第3のステップ)。なお、この段階でも、コイル状の平角導線1には当初の引張力Pが作用し、平角導線1,1間の隙間が保持されている。
塗膜を半硬化状態にすることなく、架橋反応開始温度以上の温度で熱処理して一気にその硬化を図ろうとすると、塗膜中に上記するガス抜け孔や水分が残ってしまい、これが絶縁被膜の絶縁性を低下させる要因となってしまう。
そこで、平角導線1の表面の塗膜を形成する熱硬化性樹脂をまず半硬化状態とし、ガス抜け孔や水分を完全に解消した後に、図6で示すように引張力開放をおこなって平角導線1,1間の隙間を閉塞もしくは狭めるようにする。なお、同図において、熱硬化性樹脂が半硬化状態の場合の当該半硬化状態の被膜を有する平角導線1の幅はs’である。この引張力開放に伴う平角導線1,1同士の接着(貼り合わせ)に際しては、最終的に半硬化状態の熱硬化性樹脂が完全硬化する際にその表面がレベリングして膜厚が減少するのを考慮した位置で隣接する平角導線1,1同士を固定するのが望ましい。
次に、図6で示すコイルを熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度T2以上の温度で熱処理して熱硬化性樹脂を完全に硬化させることにより、図7で示すように、平角導線1,1間が硬化した熱硬化性樹脂の絶縁被膜2で絶縁され、かつ固定されたコイル10が製造される。なお、半硬化状態の熱硬化性樹脂2’が熱収縮しながら完全硬化することにより、熱硬化性樹脂の絶縁被膜2を有する平角導線1の幅はs’よりも狭いsとなっている。
コイル10の断面構造を模擬する図8からも明らかなように、コイル10を構成する隣接した平角導線1,1間には、ガス抜け孔や水分が残存していない熱硬化性樹脂の絶縁被膜2が形成されており、この絶縁被膜2によって平角導線1,1間の良好な絶縁性が保証され、かつ平角導線1,1間の強固な固定が保証される。
また、平角導線1をエッジワイズ曲げ加工した後に電着塗装を経て絶縁被膜を形成することから、製造過程で絶縁被膜が加工劣化する危険性もなく、この加工劣化を考慮して厚めの膜厚で絶縁被膜を形成する必要もない。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…平角導線、2…絶縁被膜、2’…半硬化状態の絶縁被膜、10…コイル

Claims (2)

  1. 導線を巻装し、隣接する導線間に隙間を設けるように広げる第1のステップ、
    導線周りと前記隙間に熱硬化性樹脂を含有する塗料を電着塗装する第2のステップ、
    100℃以上の温度で、かつ前記熱硬化性樹脂の軟化点以上の温度であって、該熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度未満の温度にて前記塗料を熱処理して該熱硬化性樹脂を半硬化状態とする第3のステップ、
    導線間の隙間を狭め、前記熱硬化性樹脂の架橋反応開始温度以上の温度で熱処理して熱硬化性樹脂を硬化させることで、導線間が硬化した熱硬化性樹脂からなる絶縁被膜で絶縁され、かつ導線同士が該絶縁被膜で固定されたコイルを製造する第4のステップからなるコイルの製造方法。
  2. 前記導線が平角線からなる請求項1に記載のコイルの製造方法。
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