以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る製本システム10の斜視図である。製本システム10は、丁合装置12、方向変換装置14、折り装置16、中綴じ装置18、小口断裁装置20、天地断裁装置22、ベルトスタッカ24、および統合制御装置26を備える。
本実施形態では、丁合装置12は3つ設けられている。丁合装置12は、それぞれ用紙収容部である複数の棚を有する。丁合装置12は、複数の棚の各々から用紙を給紙しながら用紙を重ね合わせる。3つの丁合装置12は直列に配置されており、上流側に配置された丁合装置12によって作成された用紙束に下流側に配置された丁合装置12によって作成された用紙束を重ね合わせることが可能となっている。以下、3つの丁合装置12の各々を、下流側から第1丁合装置12A、第2丁合装置12B、および第3丁合装置12Cという。
方向変換装置14は、丁合装置12から送られてきた用紙を搬入し、搬送方向を90度変換して折り装置16に搬出する。方向変換装置14は、搬送方向変換後の用紙または用紙束を搬出する際に、搬送しながらその搬送方向と直交する方向の略中央に折筋を付与する筋付機構(図1では図示省略・詳細は後述)を含む。以下、方向変換装置14に用紙を搬入する方向を「搬入方向」といい、方向変換装置14から用紙が搬出される方向を、「搬出方向」ともいう。
折り装置16は、丁合装置12によって重ね合わされた用紙を折りたたむ。具体的には、折り装置16は、頂部が上方に位置する逆V字形状のガイド板と、折り機構、1対の折りローラを有する。折り機構は、搬送方向と直交する方向の中央が頂部を通過するようガイド板の上において用紙または用紙束を搬送することにより、用紙または用紙束の搬送方向と直交する方向の略中央の、あらかじめ折筋を付与した個所を逆V字状に折り曲げる。一対の折りローラは、ガイド板の逆V字の頂部周辺において、軸が鉛直方向を向き且つ搬送方向と直交する方向に並ぶよう配置され、逆V字状に折り曲げられたその用紙または用紙束の搬送方向と直交する方向の略中央を当該方向に挟持しながら搬送することで、折り目が搬送方向と平行となるよう折りたたむ。このガイド板、折り機構、1対の折りローラの詳細は後述する。丁合装置12で用紙が重ね合わされ、用紙束が搬送されてきた場合、折り装置16は、用紙が重なった状態を維持したままその用紙束を折りたたむ。
折り装置16は、折りたたみ且つ重ね合わせて作成した1セットの用紙束を中綴じ装置18に搬出する。中綴じ装置18は、折り装置16で折りたたまれた用紙を、製本すべき1冊の冊子を構成する1セットの用紙束となるまで積載して重ね合わせる。中綴じ装置18は、作成された用紙束を折り目で綴じる綴じ処理を実行し、中綴じ折り冊子を作成する。以下、中綴じ折り冊子を単に「冊子」という。
小口断裁装置20は、搬入された冊子の小口を断裁し、天地断裁装置22に搬出する。天地断裁装置22は、搬入された冊子の天地を断裁し、ベルトスタッカ24に搬出する。ベルトスタッカ24は、作成された冊子を順次蓄積する。小口断裁装置20、天地断裁装置22、およびベルトスタッカ24の構成は公知であるため、これらに関する説明は省略する。
統合制御装置26は、PC(Personal Computer)28、ディスプレイ30、および入力装置32を有する。PC28は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。入力装置32は、キーボードまたはマウスを含む。なお、ディスプレイ30としてタッチパネル式ディスプレイが採用されてもよい。この場合、ディスプレイ30が入力装置としても機能する。
図2は、丁合装置12の構成を示す図である。丁合装置12の各々は、棚40、給紙機構42、および垂直搬送機構44を有する。棚40は、1つの丁合装置12に複数設けられている。本実施形態では、棚40の数は10個とされている。なお、棚40が10個以外の複数であってもよい。
複数の棚40は、略水平の状態で鉛直方向に並設される。なお、棚40は傾斜していてもよく、また棚40の並設方向は鉛直方向に限られない。給紙機構42は、複数の棚40の各々に対応して設けられ、対応する棚40から1枚ずつ用紙を送り出す給紙を実行する。本実施形態では、給紙機構42として、エアの吸引力を利用して最上位の用紙をそれより下位の用紙から分離して送り出す、いわゆるサクション式給紙機構が採用されている。このようなサクション式給紙機構は公知であるため説明を省略する。なお、給紙機構42はサクション式のものに限られず、例えば分離パッドや分離ローラなどを用いて最上位の用紙をそれより下位の用紙から分離して送り出す、いわゆるフリクション式の給紙機構が採用されてもよい。給紙機構42によって送り出された用紙は、垂直搬送機構44によって鉛直下方に搬送されながら重ね合わされる。
丁合装置12は、水平搬送機構46を有する。第1丁合装置12Aと第2丁合装置12Bとの間、および第2丁合装置12Bと第3丁合装置12Cとの間には、それぞれ中継搬送装置34が配置される。中継搬送装置34は搬送機構47を有し、上流の丁合装置12で作成された用紙束を下流の丁合装置12に搬送する。搬送機構47にはベルト搬送機構が採用されているが、例えばローラ搬送機構などが採用されてもよい。中継搬送装置34を介して上流の丁合装置12から搬送された用紙束は、水平搬送機構46によって丁合装置12の内部で搬送される。水平搬送機構46の下流側端部は垂直搬送機構44の下流側端部に合流しており、この合流地点にて、上流側から搬送された用紙束と、その丁合装置12で作成された用紙束とが重ね合わされる。
第1丁合装置12Aの下流側には中継搬送装置36が設けられている。中継搬送装置36は搬送機構48を有し、第1丁合装置12Aから搬出された用紙束を搬送して方向変換装置14に搬出する。搬送機構48にはベルト搬送機構が採用されているが、例えばローラ搬送機構などが採用されてもよい。
図3は、製本システム10に設けられる電子制御部148の構成を示す図である。製本システム10に含まれる第1丁合装置12A、第2丁合装置12B、第3丁合装置12C、方向変換装置14、折り装置16、中綴じ装置18、小口断裁装置20および天地断裁装置22には、それぞれサブシステム制御基板によって構成されるサブシステム制御部である、丁合制御部150A、丁合制御部150B、丁合制御部150C、整合制御部152、折り制御部154、綴じ制御部156、小口断裁制御部158、および天地断裁制御部160が設けられている。これらサブシステム制御部の各々はCPU、RAM、およびROMを有し、対応する装置に設けられたアクチュエータの作動を制御する。
PC28はインターフェースボックス162とUSB(Universal Serial Bus)を介して接続されている。インターフェースボックス162と各サブシステム制御部とは、LAN(Local Area Network)ケーブルを介して接続されている。PC28は、各サブシステム制御部にスタート信号、停止信号、その他各装置を作動させるための調整信号を送信する。各サブシステム制御部は、受信したこれらの信号にしたがって対応する装置のアクチュエータに制御信号を出力し、その作動を制御する。電子制御部148は、PC28およびこれら各サブシステム制御部を含む。
図4は方向変換装置14について、図1に示す矢印F方向から見た時の内部構造を示す模式図であり、図5は上面から見た図である。図4においては矢印X方向が搬入方向であり、搬出方向は図4の奥側に向かう方向となる。図5においては矢印X方向が搬入方向であり、矢印Y方向が搬出方向である。したがって、用紙は図5における左側から搬入され、搬送方向を90°変えて上側へ搬出される。以下搬入方向をX方向、搬出方向をY方向ともいう。
方向変換装置14は、X方向に直交する方向の両サイドにフレーム101,102が立設されるとともに、X方向の上流側の端部と下流側の端部でフレーム101、102をつなぐように、フレーム103,104が立設されている。フレーム101乃至104は鉛直方向に立てられた板状の部材であり、方向変換装置14を構成する部材を囲うように配置されている。
このフレーム101乃至104の内側に、サブフレーム201、301が、X方向に並置されている。サブフレーム201、301は水平な底面201a、301aからX方向に直交する方向の両サイドに鉛直方向に立ちあがった側面201b、201c、301b、301cを有するコの字型に形成されている(図4においては、図示手前側のフレーム101と手前側のサブフレーム側面201b、301bは図示省略)。
底面201a、301a上にはネジブロック202、302が固定されている。ネジブロック202,302にはX方向に平行にネジ穴が形成されている。ネジブロック202,302のネジ穴にはねじ軸106が貫通している。ねじ軸106には、ネジブロック202と螺合する第1ネジ部106aと、ネジブロック302と螺合する第2ネジ部106bが形成され、互いのネジの向きは逆になっている。ねじ軸106はフレーム104に設けられたモータ105で任意の回転方向に回転駆動可能になっている。従ってモータ105により、ねじ軸106が一方向に回転駆動されると、フレーム201,301が互いに近づく方向に水平移動し、他方向に回転駆動されると、互いに遠ざかる方向に水平移動する。
用紙は図4及び図5における図示左側から搬入される。搬入ローラ対49は、搬送機構48(図2参照)における最も下流側のローラ対であり、丁合装置12から送り出された用紙をX方向に搬送する。搬入ローラ対31で搬入されてきた用紙は、搬入搬送ベルト50の上搬送ベルト51と下搬送ベルト52の間に挟まれて、X方向にさらに搬送される。上搬送ベルト51は、プーリ53,54に掛けられており、用紙の搬入口からフレーム103、104の中央部まで延びている。
その一方で下搬送ベルト52はプーリ55,56,57とアイドラー58に掛けまわされて、逆L字型になるように引き回されている。プーリ53,54,55、アイドラー58を支持する軸はフレーム101,102に回転自在に支持されており、プーリ56を支持する軸は、サブフレーム201に回転自在に支持されている。従ってサブフレーム201が水平移動すると、プーリ56の位置も水平移動するので、下搬送ベルト52の、上搬送ベルト51と接触して用紙を挟む部分の長さが変化する。
プーリ57を支持する軸は、プーリ56が図示左側に水平移動すると、同じ移動量だけ下方に移動し、プーリ56が図示右側に水平移動すると、同じ移動量だけ上方に移動するように、サブフレーム201の水平移動に連動して上下動する部材(図示せず)に回転自在に支持されている。この構成により、プーリ56が水平移動しても、下搬送ベルト52の張力が一定に維持される。プーリ53,54,55,56,57は軸方向に4個並列して設けられており、その各々に上搬送ベルト51または下搬送ベルト52が掛けられている。アイドラー58は軸方向に1個が長く形成されており、その1個のアイドラー58に4本の下搬送ベルト52がかかっている。
プーリ54の下方には、ベルト107が水平に張られている。ベルト107はY方向に幅広に形成されたベルトである。ベルト107の一端はフレーム103に、他端はフレーム104に固定されている。その中間で、サブフレーム201に回転自在に支持されたプーリ203、204と、サブフレーム301に回転自在に支持されたプーリ303,304に掛けられている。
詳細には、フレーム103から水平に伸びるベルト107は、プーリ203により上方に、プーリ204により水平方向に、プーリ304により下方に、プーリ303により水平方向に各々転向して、フレーム104に至っている。フレーム103,104との接続部付近はともに水平であり、プーリ204,304間ではそれよりも高い位置に水平面を形成しており、その上面が搬入用紙を載置する載置面107aとして機能する。フレーム201,301が互いに離間する方向へ動くと、載置面107aのX方向寸法が拡大する。逆にフレーム201、301が互いに近接する方向へ動くと、載置面107aのX方向寸法が縮小する。
載置面107aのX方向上流側には、上方が開口したコの字型のブラケット205が、側面201b、201cの間全幅にわたって設けられている。このブラケット205のコの字の内側における、Y方向上流側端部に歯付プーリ206、Y方向下流側端部に歯付プーリ207が回転可能に支持されている。歯付プーリ206と歯付プーリ207との間には歯付ベルト208が掛けられている。歯付プーリ206と歯付プーリ207のいずれかには図示しない駆動源が接続されて回転駆動力が付与されており、歯付ベルト208の上側直線走行部分がY方向に向かって動くように周回駆動可能になっている。歯付ベルト208の上側直線走行部分の上面は、載置面107aと高さが略一致している。
ブラケット205は歯付ベルト208の両外側で外側に曲げられ、その曲げた部分の上面が、歯付ベルト208のX方向上流側においてガイド面205a、歯付ベルト206のX方向下流側においてガイド面205bを形成している。ガイド面205a、205bともに上面はX方向下流側が高くなるように傾斜している。
歯付ベルト208の外周面には、爪208aが2個立設されている。爪208aは、一方の爪208aと他方の爪208aとの間の歯付ベルト208の外周長が互いに等しくなる位置に設けられている。従って一方の爪208aが上側直線走行部分の上面側に位置するときは、他方の爪208aは下側直線走行部分の下面側に位置するようになっている。歯付ベルト208が周回すると、上側直線走行部の上面側に位置する爪208aがY方向に移動して、載置面107a上に載置された用紙を押し出す。
ガイド面205aのX方向上流側には、整合ガイド209が設けられている。整合ガイド209は、上方に整合部209aを有する。整合部209aは水平部分と鉛直部分とを有するL字形状となっており、水平部分のX方向下流側は、斜め下方に曲げられている。このL字の水平部分の上面側が、搬入用紙を載置する載置面209cとなる。
整合部209aの下方には、駆動部209bが取り付けられている。駆動部209bには水平方向にラックギヤが形成され、その下方の駆動ギヤ210と噛み合っている。駆動ギヤ210は図示しない駆動源から回転駆動力が付与され、一方向及び他方向に回転駆動される。この機構により、ギヤ210の回転駆動力が整合ガイド209が水平方向に移動するための駆動力となり、整合ガイド209は、ガイド面205aから所定距離離れた待機位置(図4における実線位置)と、ガイド面205aに近づいた整合位置(図4における一点鎖線位置)との間を、往復移動できるようになっている。
載置面107aの下流側に設けられているブラケット305、歯付プーリ306、307、歯付ベルト308、整合ガイド309、ギヤ310は、各々ブラケット205、歯付プーリ206、207、歯付ベルト208、整合ガイド209、ギヤ210に対して、載置面107aを挟んで対称となる位置に設けられており、ブラケット305を除いて、形状・構造も対称となっている。ブラケット305は、歯付ベルト308の両外側で外側に曲げられ、その曲げた部分の上面が、歯付ベルト308のX方向下流側においてガイド面305a、歯付ベルト306のX方向上流側においてガイド面305bを形成している点はブラケット205と同様であるが、ガイド面の傾斜の向きが対称ではなく、ガイド面305a、305bともに上面はX方向下流側が高くなるように傾斜している。
用紙は、図4、5における左側から、搬入ローラ対49により搬入搬送ベルト50の上搬送ベルト51と下搬送ベルト52の間に送り込まれ、図示右方に搬送される。用紙先端がプーリ56の上方を通過すると、搬入搬送ベルト50から開放される。送り込まれた用紙を載置する面として、プーリ56のX方向下流側に、載置面209c、ガイド面205a、歯付ベルト208上面、ガイド面205b、載置面107a、ガイド面305b、歯付ベルト308上面、ガイド面305a、載置面309cの順に、各々の面がX方向に連続的に配置され、全体で用紙を載置する載置面Zを形成している。
載置面Zは、より詳しくは次のように構成されている。ガイド面205aのX方向上流側の端部は整合ガイド209の載置面209cとほぼ同じ高さであり、X方向下流側の端部は歯付ベルト208の上面よりも高くなっている。ガイド面205bのX方向上流側の端部は、歯付ベルト208の上面よりも低く、X方向下流側の端部は載置面107aよりも高くなっている。ガイド面305bのX方向上流側の端部は載置面107aよりも低く、X方向下流側の端部は歯付ベルト308の上面よりも高くなっている。ガイド面305aのX方向上流側の端部は歯付ベルト308の上面よりも低く、X方向下流側の端部は整合ガイド309の載置面309cよりも高くなっている。
歯付ベルト208、308の上側走行部分に位置する爪208a、308aは、載置面Zに対して上方に突出している。搬入搬送ベルト50による用紙搬送ラインの高さは載置面Zよりも高く、その上方に突出している爪208a、308aよりも高い位置になっている。従って用紙先端がプーリ56の上方を通過すると、用紙先端は整合ガイド209、ブラケット205、爪208aを飛び越えて、載置面107a上に着地する。この時点で用紙のX方向上流側寄りの部分は搬入搬送ベルト50の搬送力を受けているので、用紙はそのままX方向に搬送され、先端が整合ガイド309の鉛直部分に当接して停止する。この時用紙先端と爪308aが用紙先端と干渉しないように、爪308aは少なくとも搬入用紙の先端が到来する以前に、搬入される用紙の通過範囲外に退避する。このようにして用紙は載置面Z上に載置される。
載置面Z上に1枚または複数枚載置された用紙は、整合ガイド209、309により、X方向の先後端の位置が決められる。用紙を搬入して載置するときには、整合ガイド209、309は待機位置にある。位置決め時にはギヤ210、310を駆動し、整合ガイド209、309を互いに近づく方向に移動させて整合位置とする。必要に応じてその後待機位置への戻りと整合位置への移動とを所定回数繰り返す。整合ガイド209、309が共に整合位置に移動したときに、その鉛直部分の面間距離が、用紙のX方向長さと等しくなるように、用紙のX方向長さに応じて予め、モータ105によりねじ軸106を回転駆動させ、フレーム201とフレーム301の位置を決めておく。
位置決め後、整合ガイド209、309が整合位置にある状態で、歯付ベルト208、308を周回開始すると、予め位置決めされる用紙のY方向上流側で待機している爪208a、308aがY方向に走行するので、載置面Z上の用紙をY方向へ押し出す。フレーム102には、載置面Zから押し出された用紙が通過できるように、開口(図示せず)が形成されているので、この開口を通過して用紙はフレーム102のY方向下流側へ送り出される。
フレーム102のY方向下流側には、筋付機構500と折り機構400が順に連設されている。載置面ZからY方向に送り出された1枚または複数枚重なった用紙は、そのままY方向に搬送されながら、筋付機構500と折り機構400を通過することにより、用紙の搬出方向(Y方向)に平行な方向に折筋が付与されるとともに、その折り筋に沿って折り曲げられる。以下この筋付機構500、折り機構400における用紙Pの搬送方向も「Y方向」と記載する。
図6は筋付機構500と、そのY方向下流側に接続されている折り装置16を、図1に示す矢印G方向から見た図である。筋付機構500の詳細については後述する。
図7は折り装置16の上面図である。図6及び図7を参照して折り機構400を説明する。折り装置16には折り機構400が設けられている。折り機構400は、用紙搬送路を挟んで下方に下丸ベルト401と、上方に上丸ベルト402が設けられている。下丸ベルト401はプーリ404、405に掛けられており、筋付ローラ対71、81とY方向と直交する方向において同一位置を、上側がY方向に走行するように設けられている。プーリ404、405の間には複数の中間プーリ406が、下丸ベルト401に上下を挟まれるように配置されている。中間プーリ406には外周面に下丸ベルト401をガイドする溝が形成されており、下丸ベルト401の振れを防ぐようにガイドする。
上丸ベルト402は、下丸ベルト401の両サイドに各々1本ずつ、計2本走行するように設けられている。上丸ベルト402は、Y方向と直交し、且つ水平な軸に支持されたY方向上流側のプーリ407と、鉛直な軸に支持されたY方向下流側のプーリ408との間に掛けられている。上丸ベルト402は、プーリ407の下側と、プーリ408の内側とを結ぶ部分がY方向に走行する。プーリ408の外側からはプーリ409により経路を屈曲させ、プーリ407の上側へ戻している。
図8(a)は図6におけるE−E断面図、図8(b)は図6におけるF−F断面図である。図8(a)では、下丸ベルト401のY方向走行部の上端と、上丸ベルト402のY方向走行部の下端の、高さ方向位置が略一致しているが、下流側に進むにつれて、上丸ベルト402の高さ位置が下丸ベルト401に対して下降し、図8(b)では、高さがほぼ一致している。従って、用紙Pはこの下丸ベルト401と上丸ベルト402の間を搬送される間、用紙Pの折り目がつけられた部分の下面が下丸ベルト401に支持される一方で、その両サイドが上丸ベルト402により、徐々に下方に押さえられて左右部分が下降することにより、折りラインL1で折り曲げられる。
筋付機構500で付与される折筋がこの折りラインL1と一致するように、筋付機構500と折り機構400とのY方向に直交する方向(以下、「幅方向」ともいう)の相対位置が決められている。したがって折り機構400において用紙Pは、筋付機構500において予め付与された折筋の位置で折り曲げられることになる。ローラ410、411により下丸ベルト402を上方をガイドし、用紙Pがより確実に折られるようになっている。その後折り曲げ線の頂部が下方から円板412で支持され、折りローラ対413により完全に折り曲げられて、中綴じ装置18に送り込まれる。この折り機構400の下方には、両サイドに逆V字型に広がるようにガイド板416が設けられている。折り曲げられた用紙Pはガイド板416に沿って搬送される。
続いて筋付機構500の詳細を説明する。筋付機構500は、幅方向の両サイドに立設されたフレーム501、502を有する。図6においては手前側端部に立設されているのがフレーム501、奥側端部に立設されているのがフレーム502である。図6では奥側端部に実質的に同形状の部材が配置されている場合、奥側の部材の付番に括弧をつけて示す。
フレーム501、502の間に筋付ローラユニット503が配置されている。筋付ローラユニット503は、幅方向の両サイドにサブフレーム504、505を有する。
フレーム501、502には、サブフレーム504、505とY方向と上下方向で同位置に、サブフレーム504、505よりも若干大きい開口501a、502aが形成されている。
筋付ローラユニット503は、用紙Pの搬送面Wを挟んで上下に対向配置した軸601、602がY方向上流側に、軸701、702がY方向下流側に連設されている。
図9は図6におけるA−A断面図により筋付ローラユニット503をY方向下流側から見た図である。図10は図9におけるB−B断面図である。図11は搬送面Wよりも上方の軸601、701と、この軸601、701に取り付けられているか、あるいは関連する部材を抜粋して示す上面図、図12は搬送面Wよりも下方の軸602、702と、この軸602、702に取り付けられているか、あるいは関連する部材を抜粋して示す上面図である。以下、図6、9、10、11、12を参照して、筋付ローラユニット503の構造を詳細に説明する。
図9において、サブフレーム504、505の間隔は、フレーム501、502の間隔と同一であるが、サブフレーム504、505はフレーム501、502に対し、Y方向に向かって左側(図9では右側)に距離D1だけずれた位置に配置されている。サブフレーム504、505は下端で幅方向外側に曲げられ、その曲げた部分がサブ架台506上に載置されている。サブ架台506は、フレーム501、502に固定されている。
軸602、702はサブフレーム504、505に回転自在に支持されている。軸602には、幅方向の中央から左右に振り分けて2個ずつ、計4個の搬送ローラ603が固定支持されている。同様に、軸702には、幅方向の中央から左右に振り分けて2個ずつ、計4個の搬送ローラ703が固定支持されている。搬送ローラ703は、幅方向で搬送ローラ603と同位置に配置されている。
支点軸604、704はサブフレーム504、505にその両端を固定され、幅方向に架設された軸である。支点軸604のサブフレーム504近傍にレバー605が、サブフレーム505近傍にレバー606が回転自在に支持されている。レバー605、606は、その下端側で軸601を回転自在に支持する。さらにレバー605、606は、その上端側でサブフレーム504、505に立設されたピン607、608との間にバネ609、610が各々掛けられている。したがってレバー605、606は支点軸604を中心に、図6で反時計方向に回動する方向に付勢されている。
このレバー605、606に支持された軸601には、幅方向の中央から左右に振り分けて2個ずつ、計4個の搬送ローラ611が固定支持されている。搬送ローラ611は、幅方向で搬送ローラ603と同位置に配置されている。すなわちバネ609、610の付勢力により、搬送ローラ611が搬送ローラ603に圧接している。
同様に、支点軸704のサブフレーム504近傍にレバー705が、サブフレーム505近傍にレバー706が回転自在に支持されている。レバー705、706は、その下端側で軸701を回転自在に支持する。さらにレバー705、706は、その上端側でサブフレーム504、505に立設されたピン707、708との間にバネ709、710が各々掛けられている。したがってレバー705、706は支点軸704を中心に、図6で反時計方向に回動する方向に付勢されている。このレバー705、706に支持された軸701には、幅方向の中央から左右に振り分けて2個ずつ、計4個の搬送ローラ711が固定支持されている。搬送ローラ711は、幅方向で搬送ローラ703と同位置に配置されている。すなわちバネ709、710の付勢力により、搬送ローラ711が搬送ローラ703に圧接している。
軸601、602、701、702はすべて駆動伝達機構により駆動源から回転駆動力が付与され、図10の矢印方向に、すべて同一の回転数で回転するように回転駆動されている。この駆動伝達機構と駆動源は図示省略している。
サブフレーム504、505間の上端近傍に、Y方向に間隔をおいて2本のステー507、508が、サブフレーム504、505にその両端を固定されて設けられている。このステー507、508の幅方向の略中央に、下方を開き側としたコの字形状の支持部材509がネジ510、511により固定されている。
支持部材509の下方では、支点軸604にレバー612が回転自在に支持され、そのY方向下流側に隣接して同様に、支点軸704にレバー712が回転自在に支持されている。支持部材509のコの字の開き側の下端は、支点軸604、704の近傍まで延在し、その下端付近のコの字の内側に、支点軸604、704を囲うように設けられた円筒形のスペーサ627、727が固定されている。スペーサ627はレバー612の幅方向の両サイドに1個ずつの計2個、スペーサ727はレバー712の幅方向の両サイドに1個ずつの計2個設けられ、レバー612、712と支持部材509との間の隙間を埋めるように配置されているので、支持部材509に対するレバー612、712の幅方向の位置が決まるように構成されている。
レバー612の上端は、支持部材509に固定されたピン613との間にバネ614が掛けられ、レバー612を図10における反時計方向に回動する方向に付勢している。その一方でレバー612の上方寄り部分の上面に偏心ローラ615の外周面が当接している。偏心ローラ615は軸616に対して偏心して支持され、軸616はツマミ617により手動回転可能になっている。すなわちツマミ617を手動で回転させることにより、偏心ローラ615が回転するので、レバー612の角度が調整できるようになっている。
同様に、レバー712の上端は、支持部材509に固定されたピン713との間にバネ714が掛けられ、レバー712を図10における反時計方向に回動する方向に付勢している。その一方でレバー712の上方寄り部分の上面に偏心ローラ715の外周面が当接している。偏心ローラ715は軸716に対して偏心して支持され、軸716はツマミ717により手動回転可能になっている。すなわちツマミ717を手動で回転させることにより、偏心ローラ715が回転するので、レバー712の角度が調整できるようになっている。
レバー612、712は共に、2枚の板状部材を上方で連結したコの字形状であり、偏心ローラ615、715は上方の連結した部分に当接している。そしてレバー612、712の下端付近を構成する2枚の板状部材の間に挟むように、筋付上ローラ618、718が各々回転自在に支持されている。
筋付上ローラ618、718に対し、搬送面Wを挟んで下方に対向して設けられた筋付下ローラ619、719が設けられている。この筋付下ローラ619、719は、軸602、702の下方に設けられた支持台514の幅方向の略中央部に立設された、支持板620、720に各々回転自在に支持されている。支持台514はサブフレーム504、505に固定して設けられている。すなわち筋付下ローラ619、719は位置が固定されており、筋付上ローラ618、718はツマミ617、717により、筋付下ローラ619、719との距離を調整することができる。
図13は図10におけるC−C断面図である。図13に示すように、筋付上ローラ618の外周面618aには、周方向に凹溝618bが形成されている。凹溝618bの底面は外周面618aよりも小径である。凹溝618bの両サイドには、外周面618aよりも大径の縁部618cが形成されている。また、凹溝618bに対して幅方向(軸方向)に所定の間隔をおいて、凸条618dが形成されている(筋付上ローラ618、筋付下ローラ619、筋付上ローラ718、筋付下ローた719は、その軸方向が幅方向と平行に配置されているので、以下、これらのローラの形状あるいは移動方向等の説明における「幅方向」とはすなわち軸方向のことである)。
同様に、筋付下ローラ619の外周面619aには、周方向に凹溝619bが形成されている。凹溝619bの底面は外周面618aよりも小径である。凹溝619bの両サイドには、外周面619aよりも大径の縁部619cが形成されている。また、凹溝619bに対して幅方向に所定の間隔をおいて、凸条619dが形成されている。
図13において、筋付上ローラ618、筋付下ローラ619ともに、左側に凸条、右側に凹溝であり、凸条と凹溝の幅方向の配置順序が互いに同一である。
筋付下ローラ619の凸条619dと、筋付上ローラ618の凹溝618bが、その幅方向の中央位置が一致するように対向し、かつ凸条619dの先端側の一部が凹溝618bに嵌入するように配置されている。この筋付上ローラ618と筋付下ローラ619の間を用紙Pが通過することにより、この凸条619dが凹溝618bの幅方向の中央位置である筋付ラインL2において、用紙Pに折筋が形成される。さらに外周面618aよりも大径の縁部618cにより、筋付ラインL2の両サイドを、各々筋付下ローラ619の外周面619aに押し当てることによって、用紙の折筋が付与される部分の両サイドの平面性が維持されるので、より安定した筋付が可能となる。
この凹溝618bと凸条619dが対向している幅方向位置に対し、凸条618dと凹溝619bは各々幅方向に異なる側に配置されている。凹溝618bの幅方向中央位置と凸条618dの幅方向中央位置との間隔D2は、凹溝618bの幅方向中央位置と外周面618aの図13における右端との間隔D3、及び凸条618dの幅方向中央位置と外周面618aの図13における左端との間隔D4よりも大きく形成されている。同様に、凹溝619bの幅方向中央位置と凸条619dの幅方向中央位置との間隔D5は、凹溝619bの幅方向中央位置と外周面619aの図13における右端との間隔D6、及び凸条619dの幅方向中央位置と外周面618aの図13における左端との間隔D7よりも大きく形成されている。
したがって、凹溝619bは幅方向で外周面618aとは重ならない位置にあり、同様に凸条618dは幅方向で外周面619aとは重ならない位置にあるので、用紙Pには凹溝619b、凸条618dによる跡が残ることは無い。また、間隔D2は間隔D5と等しく、かつ、サブフレーム504、505とフレーム501、502の幅方向のずれ量であるD1とも等しい。
筋付上ローラ618は、外周面618a、凹部618b、凸条618dよりも小径で、幅方向に互いに反対方向に突出した第1ボス部618e、第2ボス部618fを備える。第1ボス部618e、第2ボス部618fはその外周が、ベアリング621の内周に嵌め込まれている。ベアリング621の外周は、レバー621に嵌め込まれている。この構成によって、レバー621のコの字形状開き側の2枚の板形状の部分が、各々ベアリング621を介して第1ボス部618eと第2ボス部618fを回転自在に支持している。
同様に、筋付下ローラ619は、外周面619a、凹部619b、凸条619dよりも小径で、幅方向に互いに反対方向に突出した第1ボス部619e、第2ボス部619fを備える。第1ボス部619e、第2ボス部619fはその外周が、ベアリング622の内周に嵌め込まれている。ベアリング622の外周は、支持板620に嵌め込まれている。この構成によって、2枚の支持板620が各々ベアリング622を介して第1ボス部619eと第2ボス部619fを回転自在に支持している。
図14は図10におけるD−D断面図である。図14に示すように、筋付上ローラ718の外周面718aには、周方向に凹溝718bが形成されている。凹溝718bの底面は外周面718aよりも小径である。凹溝718bの両サイドには、外周面718aよりも大径の縁部718cが形成されている。また、凹溝718bに対して幅方向に所定の間隔をおいて、凸条718dが形成されている。
同様に、筋付下ローラ719の外周面719aには、周方向に凹溝719bが形成されている。凹溝719bの底面は外周面718aよりも小径である。凹溝719bの両サイドには、外周面719aよりも大径の縁部719cが形成されている。また、凹溝719bに対して幅方向に所定の間隔をおいて、凸条719dが形成されている。
図14において、筋付上ローラ718、筋付下ローラ719ともに、左側に凸条、右側に凹溝であり、凸条と凹溝の幅方向の配置順序が互いに同一である。
筋付下ローラ719の凸条719dと、筋付上ローラ718の凹溝718bが、その幅方向の中央位置が一致するように対向し、かつ凸条719dの先端側の一部が凹溝718bに嵌入するように配置されている。この筋付上ローラ718と筋付下ローラ719の間を用紙Pが通過することにより、この凸条719dが凹溝718bの幅方向の中央位置である筋付ラインL2において、用紙Pに折筋が形成される。さらに外周面718aよりも大径の縁部718cにより、筋付ラインL2の両サイドを、各々筋付下ローラ719の外周面719aに押し当てることによって、用紙の折筋が付与される部分の両サイドの平面性が維持されるので、より安定した筋付が可能となる。
この凹溝718bと凸条719dが対向している幅方向位置に対し、凸条718dと凹溝719bは各々幅方向に異なる側に配置されている。凹溝718bの幅方向中央位置と凸条718dの幅方向中央位置との間隔D8は、凹溝718bの幅方向中央位置と外周面718aの図14における右端との間隔D9、及び凸条718dの幅方向中央位置と外周面718aの図14における左端との間隔D10よりも大きく形成されている。同様に、凹溝719bの幅方向中央位置と凸条719dの幅方向中央位置との間隔D11は、凹溝719bの幅方向中央位置と外周面719aの図14における右端との間隔D12、及び凸条719dの幅方向中央位置と外周面718aの図14における左端との間隔D13よりも大きく形成されている。
したがって、凹溝719bは幅方向で外周面718aとは重ならない位置にあり、同様に凸条718dは幅方向で外周面719aとは重ならない位置にあるので、用紙Pには凹溝719b、凸条718dによる跡が残ることは無い。また、間隔D11は間隔D8と等しく、かつ、サブフレーム504、505とフレーム501、502の幅方向のずれ量であるD1とも等しい。すなわち、D1,D2、D5、D8、D11がすべて等しい。
筋付上ローラ718は、外周面718a、凹部718b、凸条718dよりも小径で、幅方向に互いに反対方向に突出した第1ボス部718e、第2ボス部718fを備える。第1ボス部718e、第2ボス部718fはその外周が、ベアリング721の内周に嵌め込まれている。ベアリング721の外周は、レバー721に嵌め込まれている。この構成によって、レバー721のコの字形状開き側の2枚の板形状の部分が、各々ベアリング721を介して第1ボス部718eと第2ボス部718fを回転自在に支持している。
同様に、筋付下ローラ719は、外周面719a、凹部719b、凸条719dよりも小径で、幅方向に互いに反対方向に突出した第1ボス部719e、第2ボス部719fを備える。第1ボス部719e、第2ボス部719fはその外周が、ベアリング722の内周に嵌め込まれている。ベアリング722の外周は、支持板720に嵌め込まれている。この構成によって、2枚の支持板720が各々ベアリング722を介して第1ボス部719eと第2ボス部719fを回転自在に支持している。
図13,14に示すように、凹溝618b、縁部618c、凸条618dは各々、凹溝619b、縁部619c、凸条619dと同形状に形成されている。したがって凹溝618bの幅D14と凹溝619bの幅D16は等しく、凸条618dの根元部の幅D15と凸条619dの根元部の幅D17は等しい。同様に、凹溝718b、縁部718c、凸条718dは各々、凹溝719b、縁部719c、凸条719dと同形状に形成されている。したがって凹溝718bの幅D18と凹溝719bの幅D20は等しく、凸条718dの根元部の幅D19と凸条719dの根元部の幅D21は等しい。
凹溝718bの幅D18と凹溝719bの幅D20は、凹溝618bの幅D14と凹溝619bの幅D16よりも小さく形成されている。また、凸条718dの根元部の幅D19と凸条719dの根元部の幅D21は、凸条618dの根元部の幅D15と凸条619dの根元部の幅D17よりも小さく形成されている。すなわち、Y方向の上流側の筋付上ローラ618、筋付下ローラ619よりも、Y方向の下流側の筋付上ローラ718、筋付下ローラ719の方が、凹溝の幅、凸条の最大幅がともに小さく形成されている。
そして図11,12に示すように、筋付上ローラ618、筋付下ローラ619による筋付ラインと筋付上ローラ718、筋付下ローラ719による筋付ラインは幅方向で同一位置の筋付ラインL2であって、この筋付ラインL2は折りラインL1と一致するように構成されている。したがって、下流側の筋付上ローラ718、筋付下ローラ719では、上流側の筋付上ローラ618、筋付下ローラ619よりも、筋付の際に用紙Pを変形させるためにより大きい力が加わる。このように、同一の筋付ラインL2上に、段階的に用紙Pに対する変形力が大きくなるようにすることにより、折筋が幅方向にずれたり、曲がったりすることなく、精度よく形成される。
なお本実施形態では、凹溝618b、619bと、凹溝718b、719bの深さは同一であり、凸条618d、619dと、凸条718d、719dの高さは同一であるが、凹溝718b、719bを凹溝618b、619bよりも深く形成してもよいし、凸条718d、719dを凸条618d、619dよりも高く形成してもよい。これらの形態によっても、上流側から段階的に用紙Pの変形が大きくなるように筋付を行うことができる。
図13において、筋付上ローラ618は、第1ボス部618e、第2ボス部618fも含めて幅方向に貫通する穴618gを有する。この穴618gは軸601よりも大径で、軸601は穴618gの内側に対し、所定の隙間を確保して挿通されている。同様に筋付下ローラ619は、第1ボス部619e、第2ボス部619fも含めて幅方向に貫通する穴619gを有する。この穴619gは軸602よりも大径で、軸602は穴619gの内側に対し、所定の隙間を確保して挿通されている。
また図14において、筋付上ローラ718は、第1ボス部718e、第2ボス部718fも含めて幅方向に貫通する穴718gを有する。この穴718gは軸701よりも大径で、軸701は穴718gの内側に対し、所定の隙間を確保して挿通されている。同様に筋付下ローラ719は、第1ボス部719e、第2ボス部719fも含めて幅方向に貫通する穴719gを有する。この穴719gは軸702よりも大径で、軸702は穴719gの内側に対し、所定の隙間を確保して挿通されている。
図15は、筋付上ローラ618と、穴618gの内側を貫通する軸601を、軸と直交する面で切断した断面図である。図15に示すように、筋付上ローラ618の中心は、軸601の中心に対してY方向下流側に距離D22だけずれて配置されている。筋付下ローラ619と軸602、筋付上ローラ718と軸701、筋付下ローラ719と軸702も同様に、筋付ローラの中心が軸の中心に対してY方向下流側に距離D22だけずれている。
搬送ローラ603、611、703、711は各々、軸601、602、701、702と中心が同一となるように支持されている。この構成により、用紙の先端は筋付上ローラ618、筋付下ローラ619に接触するよりも早く、軸601、602に支持された搬送ローラ603、611に保持される。同様に、用紙の先端は筋付上ローラ718、筋付下ローラ719に接触するよりも早く、軸701、702に支持された搬送ローラ703、711に保持される。用紙は搬送ローラに保持されてから筋付が開始されるので、スキューすることなく直進しながら筋付が行われる。
図13に示すように筋付上ローラ618の第1ボス部618eの図13における左端付近の外周に、プーリ溝618hが形成されている。また図14に示すように、筋付上ローラ718に幅方向に隣接して、プーリ723が設けられている。このプーリ723は軸701に固定支持され、軸701とともに回転駆動される。プーリ723の外周には、幅方向に広いプーリ溝723aが形成されている。そして図11に示すように、このプーリ溝723aと、プーリ溝618hとの間に、丸ベルト624が掛けられている。したがって、軸701の回転駆動力が、丸ベルト624により筋付上ローラ618に伝達されるようになっている。
さらに、図14に示すように、筋付上ローラ718の第1ボス部718eの図14における右端付近の外周に、プーリ溝718hが形成されている。また図13に示すように、筋付上ローラ618に幅方向に隣接して、プーリ623が設けられている。このプーリ623は軸601に固定支持され、軸601とともに回転駆動される。プーリ623の外周には、幅方向に広いプーリ溝623aが形成されている。そして図11に示すように、このプーリ溝623aと、プーリ溝718hとの間に、丸ベルト724が掛けられている。したがって、軸601の回転駆動力が、丸ベルト724により筋付上ローラ718に伝達されるようになっている。
さらに、図13に示すように筋付下ローラ619の第1ボス部619eの図13における左端付近の外周に、プーリ溝619hが形成されている。また図14に示すように、筋付下ローラ719に幅方向に隣接して、プーリ725が設けられている。このプーリ725は軸702に固定支持され、軸702とともに回転駆動される。プーリ725の外周にはプーリ溝725aが形成されている。そして図12に示すように、このプーリ溝725aと、プーリ溝619hとの間に、丸ベルト626が掛けられている。したがって、軸702の回転駆動力が、丸ベルト626により筋付下ローラ619に伝達されるようになっている。
さらに、図14に示すように、筋付下ローラ719の第1ボス部719eの図14における右端付近の外周に、プーリ溝719hが形成されている。また図13に示すように、筋付下ローラ619に幅方向に隣接して、プーリ625が設けられている。このプーリ625は軸602に固定支持され、軸602とともに回転駆動される。プーリ625の外周には、幅方向に広いプーリ溝625aが形成されている。そして図12に示すように、このプーリ溝625aと、プーリ溝719hとの間に、丸ベルト726が掛けられている。したがって、軸602の回転駆動力が、丸ベルト726により筋付下ローラ719に伝達されるようになっている。
この筋付ローラユニット503は、筋付上ローラ618と筋付下ローラ619が対向する部分、及び筋付上ローラ718と筋付下ローラ719が対向する部分において、筋付上ローラ618、718を幅方向に移動することにより、互いに対向する凸条と凹溝とが上下で入れ替えることができる移動機構を有する。以下、この移動を第1の移動とし、この第1の移動を行うための機構を第1の移動機構として、以下説明する。
図16は、第1の移動後の状態を図9と同一位置から見た図であり、図17は図11と同一の部品の第1の移動後の位置を示す上面図である。図9ではネジ511をネジ穴508aと螺合させて支持部材509をステー508に固定しているが、図16ではネジ511をネジ穴508aに幅方向に距離D23だけ離れて形成されたネジ穴508bと螺合させて支持部材509をステー508に固定している。したがって図16では、支持部材509及び支持部材509に取り付けられた各部材の位置が、図9に比べて距離D23だけ図示右側にずれている。
ネジ穴508bは、Y方向でネジ穴508aと同一位置であり、幅方向ではネジ穴508aに対して距離D23だけ、図9における右側に離れた位置に設けられている。この距離D23は、サブフレーム504、505とフレーム501、502の幅方向のずれ量であるD1の2倍に等しい。また、凹溝618bと凸条618dとの間隔D2、凹溝619bと凸条619dとの間隔D5、凹溝718bと凸条718dとの間隔D8、凹溝719bと凸条719dとの間隔D11の2倍に等しい。
同様に、ステー507にもネジ510が螺合されているネジ穴507aが形成され(図6参照)ている。このネジ穴507aから距離D23だけ幅方向に離れた位置に、ネジ穴507bが形成されている(図示省略)。ネジ穴507bはネジ穴508bと幅方向の位置が同一である。
第1の移動では、支持部材509を図9に示す位置から図16に示す位置に移動する。その手順は、まずツマミ617、717を回して偏芯ローラ615、715の大径部がレバー612、712に当接するようにする。すなわち筋付上ローラ618、718を筋付下ローラ619、719から離間させておく。次にネジ510、511をネジ穴507a、508aから取り外し、支持部材509を図示右方にスライド移動させ、支持部材509のネジ穴をステー507、508のネジ穴507b、508bに合わせて再度ネジ510、511を挿入して螺合固定する。支持部材509に設けられたネジ穴は、少なくともその幅方向の最大寸法がネジ510、511と略同一であるから、ネジ510、511で固定することにより、支持部材509の幅方向の位置が決まる。したがって、このスライド移動により、支持部材509のネジ穴が、ネジ穴507a、508aの位置から距離D23だけ離れたネジ穴507b、508bの位置に移動するから、支持部材509は図示右方に距離D23だけ移動することになる。
すると、支持部材509に取り付けられているスペーサ627、727も同方向に同距離だけ移動するので、スペーサ627、727に挟まれているレバー612、712も同方向に同距離だけ移動する。その移動距離D23は、筋付ローラ618、718、筋付下ローラ619、719の、各々で幅方向に隣り合う凸条と凹溝の間隔D2,D8、D5,D11の2倍である。その結果、凹溝618bと凸条619d、凹溝718bと凸条719dが対向した位置から、凸条618dと凹溝619b、凸条718dと凹溝719bが対向した位置となる。
したがって、筋付上ローラ618と筋付下ローラ619が対向する部分において、筋付上ローラ618が幅方向にスライド移動することにより、互いに対向する凸条と凹溝とが上下で入れ替わることになる。同様に、筋付上ローラ718と筋付下ローラ719が対向する部分において、筋付上ローラ718が幅方向にスライド移動することにより、互いに対向する凸条と凹溝とが上下で入れ替わることになる。スライド移動後、ツマミ617、717を再度回し、筋付上ローラ618、718と筋付下ローラ619、719を、用紙への筋付に適した位置に調整する。以上で第1の移動が完了する。
なお、軸601、701は各々、筋付上ローラ618、718の穴618g、718gの内側を貫通しているので、軸601、701の位置は不変のまま、筋付上ローラ618、718の移動を行うことができる。したがって、この移動の間、軸601、701に支持された搬送ローラ611、711、プーリ623、723の位置も不変である。が、図17に示すように、プーリ623、723に各々掛かっている丸ベルト724、624は、プーリ溝623a、723aの幅方向の一端から他端へ(図17では図示左端から右端へ)移動する。プーリ溝623a、723aはこの移動が可能な幅、すなわちかかっている丸ベルト724、624が距離D23だけ移動できる幅に形成されている。
ところで、上記第1の移動により、筋付ラインL2は図9,16に示す右側へ移動し、折りラインL1とずれてしまうことになる。したがって、筋付ラインL2を折りラインL1に合わせるための第2の移動を行う必要がある。図18はこの第2の移動を行った後の状態を、図9、16と同一位置から見た図である。 以下この第2の移動を説明する。
図9において、ステー508の右端上面にアングル材528がネジ513により取り付けられている。アングル材528は逆L字型形状の板材であり、その上方に立ち上がった部分がフレーム501に固定されている。図6に示すように、アングル材528は、ステー508とステー507にわたってY方向に長く形成され、ステー507にもステー508と同様にネジ512によってネジ止めされている(図示は省略)。ネジ513はステー508のネジ穴508cに螺合されている。
ネジ穴508cと、Y方向で同一位置かつ、幅方向ではネジ穴508cに対して距離D24だけ離れた位置に、ネジ穴508cと同形状のネジ穴508dが形成されている。図示は省略したが、ステー507にも同様に、ネジ穴508c、508dと幅方向同位置に並列してネジ穴507c、507dが形成され、このうちネジ穴507cにネジ512が螺合され、アングル材528とステー507とが固定されている。
距離D24は、図9、16におけるサブフレーム504、505とフレーム501、502の幅方向のずれ量であるD1に等しい。また、凹溝618bと凸条618dとの間隔D2、凹溝619bと凸条619dとの間隔D5、凹溝718bと凸条718dとの間隔D8、凹溝719bと凸条719dとの間隔D11にも等しい。
図16の筋付ラインL2を折りラインL1と一致させるには(図16から図18の状態とするには)、まずネジ512、513をネジ穴507c、508cから取り外す。次に、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材をすべて、サブ架台506上で図16における左方向へ距離D1だけ移動させる。すると図18に示すように、幅方向でサブフレーム504、505は各々フレーム501、502と同一位置となり、ネジ512、513が入っていたアングル材528のネジ穴は、ステー507、508のネジ穴507d、508dと合致する。次にそのネジ穴507d、508dにネジ512、513を入れて螺合させ、アングル材528とステー507、508とを固定する。アングル材528に設けられたネジ穴は、少なくともその幅方向の最大寸法がネジ512、513と略同一であるから、ネジ512、513で固定することにより、サブフレーム504、505で支持される部材全体の幅方向の位置が決まる。以上で第2の移動が完了する。
この作業により、筋付ラインL2が図16に示す左側に距離D1だけ移動するので、筋付ラインL2と折りラインL1とを一致させることができる。したがって、支持部材509のスライド移動に続けて、上記第2の移動を行うことにより、互いに対向する凸条と凹溝とが上下で入れ替え、さらにその入れ替えた筋付位置を、後段の折り装置16の折りラインL1と一致させることができるので、入れ替えの前後共に、筋付後、その筋付位置に折り目を付与させることができる。
この第1、第2の移動は、ネジを取り外して移動させる形態に限られず、各々の位置でクリックストップする機構を採用し、ネジなど取り外すことなく一方の位置から他方の位置に手動で切り替えることができるようにしてもよい。
また、上記では第1の移動の後、第2の移動を行っているが、その逆でもよい。すなわち、第2の移動を先に行い、その後第1の移動を行ってもよい。
なお、筋付上ローラ618、718と筋付下ローラ619、719の、互いに対向する凹溝と凸条の向きを、上が凸条、下が凹溝の状態から、上が凹溝、下が凸条の状態に入れ替えるときは、上記第2の移動の逆方向の移動(以下、第2の逆移動という)と、第1の移動の逆方向の移動(以下、第1の逆移動という)を行えばよい。
第2の逆移動は、まずネジ512、513をネジ穴507d、508dから取り外す。次に、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材をすべて、サブ架台506上で図18における右方向へ距離D1だけ移動させる。するとアングル材528に設けられたネジ穴の位置がネジ穴507c、508cの位置と一致する。このネジ穴507c、508cにネジ512、513を各々螺合させ、アングル材528とステー507、508を固定する。
第1の逆移動は、まずツマミ617、717を回して筋付上ローラ618、718を筋付下ローラ619、719から離間させる。次にネジ510、511をネジ穴507b、508bから取り外し、支持部材509を図16に示す左方に移動させ、支持部材509のネジ穴をステー507、508のネジ穴507a、508aに合わせて再度ネジ510、511を挿入して螺合固定する。この移動により、筋付上ローラ618、718も支持部材509と同方向に同距離(距離D23)だけ移動し、凸条618dと凹溝619b、凸条718dと凹溝719bが対向した位置から、凹溝618bと凸条619d、凹溝718bと凸条719dが対向した位置となる。すなわち互いに対向する凸条と凹溝とが上下で入れ替わる。最後にツマミ617、717を再度回し、筋付上ローラ618、718と筋付下ローラ619、719を、用紙への筋付に適した位置に調整する。
上記第1の逆移動と第2の逆移動を行うことにより、互いに対向する凸条と凹溝とが上下で入れ替わり、かつ筋付ラインL2と折りラインL1とが一致することになる。
図19は、電子制御部148の機能ブロック図である。図6において電子制御部148は、CPU、ROM、RAMなどのハードウェア、およびソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックが描かれている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェアおよびソフトウェアの組合せによって様々な形で実現することができる。
統合制御装置26は、処理内容取得部170およびスタート指示取得部171を有する。処理内容取得部170は、入力装置32を用いてユーザに入力された用紙サイズ、冊子の作成数、使用する棚、断裁の有無および断裁位置等を取得する。したがって処理内容取得部170は、用紙サイズ取得部として機能する。用紙サイズには、冊子の作成に用いられる用紙のX、Y方向長さが少なくとも含まれる。
丁合制御部150、整合制御部152、折り制御部154、綴じ制御部156、小口断裁制御部158、天地断裁制御部160、スタッカ制御部162は各々、丁合装置12、方向変換装置14、折り装置16、中綴じ装置18、小口断裁装置20、天地断裁装置22、ベルトスタッカ24の各部の駆動部を制御する。この制御の際、必要に応じ処理内容取得部170で取得された情報を参照する。
なお、丁合装置12の棚40の各々に、用紙サイズを検知する用紙サイズセンサが設けられていてもよい。丁合制御部150は、この用紙サイズセンサの検知結果を取得して用紙サイズを判定し、判定結果を統合制御装置26に出力してもよい。これによっても処理内容取得部170は、用紙サイズを取得することができる。
整合制御部152は、統合制御装置26から用紙サイズを取得し、この用紙サイズに基づいて、整合ガイド209,309の移動を制御する。また、搬入搬送ベルト50、歯付ベルト208,308の駆動制御も行う。
次に上記のように構成された製本システム10の動作について説明する。統合制御装置26は、処理内容取得部170により、予め用紙PのX方向とY方向の長さをユーザの入力等により取得する。整合制御部152は、取得された用紙PのX方向長さに基づき、整合ガイド209、309を駆動して、鉛直部209a、309a同士の間隔が、取得した用紙サイズのX方向長さよりも所定量長く余裕を持たせた待機位置とする。さらに、歯付ベルト208、308に各2個ずつ設けられた爪208a、308aのうち、各々1個が、搬入搬送ベルト50により搬入されてくる用紙PのY方向上流側の端縁よりも所定量上流側に退避した待機位置とするように、駆動源を駆動させる。
なお本実施形態の丁合装置12は、Y方向上流側の縁を基準として用紙Pを積載するようになっているので、用紙PのY方向長さが変化すると、搬入搬送ベルト50で搬入されてくる用紙のY方向下流側の端縁の位置は変化するが、Y方向上流側の端縁の位置は変化しないので、爪208a、308aの待機位置は常に一定位置となっている。しかしこの形態に限ることなく、用紙Pのセンターを基準に搬送されてくるように構成してもよい。その場合は統合制御装置26は用紙のY方向長さも用紙サイズとして取得し、搬出搬送制御部184はそのY方向長さに応じて変化するY方向上流側端縁の位置に応じて、爪208a、308aの待機位置を変化させるように制御する。
綴じ制御部156、小口断裁制御部158、天地断裁制御部160、スタッカ制御部162では、各々中綴じ装置18、小口断裁装置20、天地断裁装置22、ベルトスタッカ24において用紙サイズに応じてあらかじめ位置調整すべき部材を駆動して、位置設定を行う。
そして統合制御装置26によるユーザが製本システム10の処理スタートを指示する操作を行うと、スタート指示取得部171がこの指示を取得し、製本システム10が動作スタートする。すると丁合装置12から必要な用紙P送り出され、順次方向変換、折り、中綴じ、小口断裁、天地断裁が行われ、冊子が作成される。
図20乃至図22は、方向変換装置14において、X方向上流側から送り込まれてきた用紙Pの搬送方向が90°変換されて、Y方向下流側に向けて送り出される動作を示す図である。なお図20乃至図22では、用紙Pの動作の理解を容易にするために、搬入搬送ベルト50は図示省略している。
X方向上流側から送り込まれた用紙P(図20)は、そのX方向先端が整合ガイド309に当接して停止する。このとき、搬入搬送ベルト50の上搬送ベルト51と下搬送ベルト52の間に挟まれて搬送されてきた用紙Pは、プーリ56の上方を通過後、その下方が解放される。搬入搬送ベルト50による用紙搬送ラインは、載置面Zよりも高い位置に設けられているので、用紙Pの先端は整合ガイド209、ガイド面205a、歯付ベルト206上面、ガイド面205bを飛び越えて、ベルト107の載置面107a上に着地する。そのまま載置面Z上をX方向に搬送され、用紙Pの先端が整合ガイド309の鉛直部309aに当接して停止し、用紙Pは整合ガイド209、309の間の載置面Z上に載置された状態になる。このとき、整合ガイド209、309は待機位置にある。
次に整合ガイド制御部182は、ギヤ210、310を駆動して、整合ガイド209、整合ガイド309を整合位置へ移動させる。用紙PはX方向の上流側端縁と下流側端縁が整合ガイド209と整合ガイド309で挟まれる(図21)。このときの用紙Pの位置は、筋付機構500による筋付ラインL2が用紙PのX方向における中央となる位置である。
次に搬出搬送制御部184により歯付ベルト208、308が駆動され、上面側の爪208a、308aがY方向に移動開始する。爪208a、308aは用紙PのY方向上流側の端縁に当接し、用紙PをY方向へ押し出す。
Y方向に搬出された用紙Pは、筋付機構500に導入され、用紙Pの幅方向(X方向)の中央部に折筋が付与される(図22)。用紙Pが筋付機構500に突入するときは、そのX方向の前後端が整合ガイド209、309に挟まれているので、用紙PのX方向の位置が固定されている。従って、用紙Pの幅方向(X方向)中央部に精度よく折筋を付与させることができる。
そして筋付上ローラ618、718と筋付下ローラ619、719は、上方に凸条、下方に凹溝の組み合わせとするか、上方に凹溝、下方に凸条の組み合わせとするかを、あらかじめ選択できるように構成されている。すなわち、折筋の凸形状の向きをあらかじめ任意に選択できる。したがって、用紙Pが比較的薄い紙である場合には、上方に凹溝、下方に凸条を配置して、上に凸の折り筋を付与し、この凸の向きが折り機構400による折り目の外側を向くようにするとともに、用紙Pが比較的厚い紙である場合には、上方に凸条、下方に凹溝を配置して、下に凸の折り筋を付与し、この凸の向きが折り機構400による折り目の内側を向くようにすることにより、厚紙であっても薄紙であっても、背割れの無いまっすぐな折り目が得られることになる。
この厚紙、薄紙を切り分ける目安は、厚さであれば0.3mm程度、連量であれば200g/m2程度が望ましい。
なお本実施形態の折り機構400は、上側が外側になるように折り曲げる構成となっている。しかし折り機構400に代えて、下側が外側になるように折り曲げる折り機構を備えた場合は、用紙Pが比較的薄い紙である場合には、上方に凸条、下方に凹溝条を配置して、凸条の向きが折り機構よる折り目の外側を向くようにするとともに、用紙Pが比較的厚い紙である場合には、上方に凹溝、下方に凸条を配置して、この凸条の向きが折り機構による折り目の内側を向くようにするのが良い。要するに、薄い紙の場合は、その後の折り機構により折り外側となる方向に凸条が向くように、厚い紙の場合は、その後の折り機構により折り内側となる方向に凸条が向くように構成するのが望ましいということである。
加えて、搬送ローラ611、711、603、703を各々支持する軸601、701、602、702の中心は、筋付上ローラ618、718、筋付下ローラ619、719の中心よりもわずかにY方向上流側にずれて配置されているので、用紙Pが搬送ローラ611、711、603、703にくわえられた状態で筋付ローラに突入するので、用紙Pより確実に直進させ、折筋をY方向に平行な直線に形成することができる。
また、筋付ローラをY方向に2対配置し、上流側の筋付上ローラ618、筋付下ローラ619の凸条、凹溝よりも、下流側の筋付上ローラ718、筋付下ローラ719の凸条、凹溝の方が幅が狭く形成されているので、下流側の筋付ローラの方が、筋付の際に用紙Pを変形させるためにより大きい力が加わる。したがって、同一の筋付ラインL2上に、段階的に用紙Pに対する変形力が大きくなるように構成されているので、折筋が幅方向にずれたり、曲がったりすることなく、精度よく形成される。
また、本実施形態では、凸条と凹溝の組み合わせを上下入れ替える際に操作する操作部であるネジ510、511、512、513がいずれも一の方向(上方)を向いている。したがって、ユーザは上方からの操作だけで上下を入れ替えることができるので、操作性が良い装置を得ることができる。
爪208a、308aによる用紙Pの押し出し完了後、整合ガイド209、309は待機位置に戻り、次に搬入される用紙Pを待機する。
なおこの用紙方向変換装置14は、順次搬入されてくる用紙Pを載置面Zに蓄積して束を形成することも可能である。載置面Zに積み重ねる枚数は、予め統合制御装置26において、ユーザによる入力等により取得しておく。取得した枚数が1枚である場合は、用紙方向変換装置14は1枚ずつ送り込まれてくる用紙Pを1枚ずつ搬出する。取得した枚数が複数枚である場合は、1枚ずつ送り込まれてくる用紙Pを、載置面Z上で取得した枚数分積み重ねた束を搬出する。積み重ねた束は、そのX方向前後端を整合ガイド209、309で挟まれることにより、X方向が揃えられるとともに位置決めされて、筋付機構500に送り出される。
また丁合装置12は各々の給紙棚40に載置された用紙を1枚ずつ取出し、垂直搬送機構44において搬送しながら順次重ねて送り出すことが可能である。この場合は、丁合装置12で予め複数枚の用紙が重ねられた状態で方向変換装置14に送り込まれて方向変換され、この用紙が筋付機構500に送り込まれる。
このように、方向変換装置14からすでに複数枚重なった用紙が送り込まれた場合、筋付機構500では複数枚重なった用紙に1度に折筋が付与され、その後段の折り機構400においても、1度に折り目が付与される。この場合も、この複数枚の用紙が比較的薄い紙から構成される場合は、上に凸(凸条が折り機構による折り目の外側を向く)の折り筋が、比較的厚い紙から構成される場合は、下に凸(凸条が折り機構による折り目の内側を向く)の折り筋を付与するように、あらかじめ筋付ローラの凸条と凹溝の向きを設定することにより、背割れの無いまっすぐな折り目が得られる。
丁合装置12に代えて、シートフィーダ13を設けても良い。図20は上記第1の実施形態の丁合装置12に代えて、シートフィーダ13を設けた製本システム1010を示す図である。シートフィーダ13は、大容量の用紙束P0を積載する積載部が1つ設けられ、この用紙束P0から用紙Pを1枚ずつ分離して送り出す装置である。送り出した用紙Pは方向変換装置14に送り込まれる。方向変換装置14は、用紙PがX方向に1枚ずつ送り込まれるたびにY方向に1枚ずつ送り出して筋付機構500に送り込み、1枚ずつ筋付を行っても良い。その場合は、後段の中綴じ装置18で用紙が複数枚蓄積され、綴じて製本される。これに対し、載置面Zで重ねられる用紙の枚数を、あらかじめユーザが入力するなどして統合制御装置26に記憶しておき、その枚数ずつ載置面Zで積み重ねて用紙束を形成して送り出しても良い。その場合は、複数枚の用紙束を筋付機構500に送り込み、複数枚に一度に筋付を行う。載置面Zで重ねられる用紙の枚数を、用紙束ごとに異なる枚数として予め統合制御装置26に記憶しておき、その枚数ずつ載置面Zで積み重ねて用紙束を形成して送り出しても良い。さらにこの製本システム1010におけるシートフィーダ13の構成及び動作を、製本システム10の丁合装置12の棚40のうちの1つを使用して行っても良いことはいうまでもない。
なお第1の実施形態においては、整合ガイド209、309によりX方向の先後端が位置決めされてから、Y方向に搬出される用紙の幅方向の中央に折り筋が付与されるようになっている。すなわち、整合ガイド209、309の、X方向における中間ラインが、折りラインL1及び筋付ラインL2と一致するように構成されている。整合ガイド209、309はねじ軸106によりX方向に対象移動するようになっているから、用紙のX方向サイズに関わらず、用紙の幅方向(X方向)中央に折り筋が入るようになっている。
しかし、このような形態に限らず、整合ガイド209、309を個別にX方向に移動可能に構成し、支持部材509をスライド移動させたとき、その分だけ用紙がX方向上流側にずれた位置に位置決めするように整合ガイド209、309を駆動制御し、用紙の幅方向(X方向)中央に折り筋が付与されるようにすることにより、上記第2のスライド移動機構を省略してもよい。このとき、支持部材509やレバー612、712の位置を検知して取得することにより、凹溝と凸条が上下どちらにあるかを判断し、その場合の筋付ラインL2に合わせて用紙を筋付機構500に供給するように、整合ガイド209、309を制御してもよい。
また、上記第2のスライド機構を省略したとき、筋付ラインL2と折りラインL1とが一致するように、折り装置16全体、あるいは折り機構400を幅方向にスライド移動可能とし、支持部材509と同一の方向に距離D1だけスライド移動させることにより、筋付ラインL2と折りラインL1を一致させるようにしてもよい。
筋付機構500で折筋が付与された用紙は、折り装置16の折り機構400によりY方向に搬送されながら漸次折筋に沿って逆V字型に折り曲げられていく。折り装置16で折り曲げられた用紙Pまたは用紙束Pbは、中綴じ装置18に搬入される。中綴じ装置18には折りラインに沿って2か所、コの字型の針を打ち込んで綴じるステッチャー(図示せず)が設けられているとともに、綴じ部の上流側に折られた用紙を重ねて蓄積することが可能な蓄積部を有している。この蓄積部に1冊分の用紙を蓄積してから、ステッチャーで綴じることができるようになっている。 中綴じ装置18で綴じられた冊子は小口断裁装置20で小口側が、天地断裁装置22で天地側が断裁されて冊子を完成させ、ベルトスタッカ24上に送り出して並べられる。
続いて本発明の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同一の形状・機能の部材については原則として同一の付番を用い、詳細な説明は省略する。本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態における筋付機構500に代えて、筋付機構2500を備える。図23はこの筋付機構2500を、Y方向下流側から見た図(第1の実施形態における図9と同一の位置と方向から見た図)である。
以下、第1の実施形態における筋付機構500との相違点を中心に説明する。図23に示すように、筋付機構2500においては、筋付機構500におけるサブフレーム504、505に相当する部材が無く、フレーム501、502における開口501a、502aに相当する開口も形成されていない。支点軸704はフレーム2501、2502に固定され、軸702はフレーム2501、2502に回転自在に支持されている。また、ピン707、708は各々フレーム2501、2502に立設されている。
筋付上ローラ718に代えて、筋付上ローラ2718が設けられる。筋付上ローラ2718は、第1ボス部2718eが筋付上ローラ718の第1ボス部718eよりも幅方向寸法が短く形成されているほかは、筋付上ローラ718と同一形状である。すなわち外周面718a、凹溝718b、縁部718c、凸条718d、第2ボス部718fと各々同形状の、外周面2718a、凹溝2718b、縁部2718c、凸条2718d、第2ボス部2718fを備え、各部の寸法(D8,D9,D10,D18,D19)も同一である。この筋付上ローラ2718が、第1の実施形態と同形状の筋付下ローラ719とが対向配置されている。
ステー508に代えて、ステー2508が、フレーム2501、2502に固定されて架設されている。ステー2508にはネジ穴2508aと2508bが幅方向に並列して形成されている。ネジ穴2508aの中心とネジ穴2508bの中心との距離D25は、筋付上ローラ2718の凹溝2718bの幅方向中心と凸条2718dの幅方向中心との距離D8に等しい。このうちのネジ穴2508aにネジ511が螺合することにより、ステー2508に支持部材509を固定している。
筋付上ローラ2718に幅方向に隣接して、第1の実施形態におけるプーリ723に代えてプーリ2723が、軸701に固定支持されて設けられている。プーリ2723は、プーリ723のプーリ溝723aよりも幅が狭いプーリ溝2723aが形成されている。
筋付下ローラ719の両サイドの第1、第2ボス部719e、719fは、支持板720に代えて設けられた支持板2720に支持されている。支持板2720は2枚の板状部材で構成される。支持板2720の下方には、開き側を上方に向けた支持部材2515が設けられている。支持部材2515のコの字の開き側の端部の各々に、2枚の支持板2720の各々が固定されている。支持部材2515はネジ2516により、第1実施形態における支持台514に代えて設けられた支持台2514に固定されている。
支持台2514はフレーム2501、2502に固定されて架設されている。支持台2514にはネジ穴2514aと2514bが幅方向に並列して形成されている。ネジ穴2514aの中心とネジ穴2514bの中心との距離D26は、筋付下ローラ719の凹溝719bの幅方向中心と凸条719dの幅方向中心との距離D11に等しい。このうちのネジ穴2514aにネジ2516が螺合することにより、支持台2514に支持部材2515を固定している。
筋付下ローラ719に幅方向に隣接して、第1の実施形態におけるプーリ725に代えてプーリ2725が、軸702に固定支持されて設けられている。プーリ2725は、プーリ725のプーリ溝725aよりも幅が狭いプーリ溝2725aが形成されている。また軸702への固定位置は、筋付下ローラ719から見て、プーリ725よりも離れた位置である。
なお第1実施形態と同様に、筋付上ローラ5718、筋付下ローラ719及びこれらを支持あるいは駆動する部材の奥側(Y方向上流側)にも、同様の部材(以下奥側の部材という)が設けられている。奥側の部材は、筋付上ローラと筋付下ローラの、丸ベルトがかかっているボス部とプーリとが、筋付上ローラ2718、筋付下ローラ719に対し幅方向で逆向きになっている点、凸条と凹溝の幅が第1の実施形態における筋付上ローラ618、筋付下ローラ619と同一である点、支持部材509、支持部材2515、支持台2514、フレーム2501、2502が、奥側の部材の配置部分まで延在している点を除き、図23に表記した部材と同一の形状、同一の構成である(奥側の部材は図示していないが、第1実施形態と同一形状の部材には、第1実施形態と同一の付番を使用して説明する)。
支持部材509は第1実施形態と同様に、ステー2508の奥側に設けられた同一形状のステーにも、並列して設けられた2個のネジ穴のうち、図23における左側のネジ穴でねじ止めされており、奥側のピン613や軸616をも支持し、奥側のスペーサ627にも当接している。
丸ベルト624は、プーリ2723と奥側の筋付上ローラのボス部との間に、丸ベルト626はプーリ2725と筋付下ローラ619のボス部との間に、丸ベルト724は第1ボス部2718eと軸601に固定支持されたプーリとの間に、丸ベルト726は第1ボス部719eと軸602に固定支持されたプーリとの間に、各々掛けられており、奥側の筋付上ローラ、筋付下ローラ619には軸701、702から、筋付上ローラ2718、筋付下ローラ719には奥側の軸601、602から、駆動力が伝達される。第1の実施形態と同様に、軸601、602、701、702には、図示しない駆動源と駆動伝達手段による駆動力が付与されている。
支持台2514はフレーム2501、2502に固定されて架設されている。支持部材2515は、支持板2720の奥側に設けられた同一形状の部材をも支持する。支持部材2515には、支持版2720のコの時の立ち上がり部分が貫通可能な開口が適宜形成されている。
以下、この第2の実施形態において、筋付上ローラ2718と筋付下ローラ719が対向する部分において、互いに対向する凸条と凹溝とが上下で入れ替える機構と操作を説明する。第2実施形態においては、筋付上ローラ2718を筋付下ローラ719に対して幅方向に移動させる第3の移動を行うとともに、筋付下ローラ719も筋付上ローラ2718に対して幅方向に移動させる第4の移動を行う。
図24は、図23の状態から第3、第4の移動を行った後の状態を図23と同一位置から見た図である。図23では支持部材509をステー2508に固定するために、ネジ511をネジ穴2508aと螺合させているが、図24ではネジ穴2508bと螺合させている。したがって図24では、支持部材509及び支持部材509に取り付けられた各部材の位置が、図24に比べて距離D25だけ図示右側にずれている。
また、図23では支持部材2515を支持台2514に固定するために、ネジ511をネジ穴2514aと螺合させているが、図24ではネジ穴2514bと螺合させている。したがって図24では、支持部材2515及び支持部材2515に取り付けられた各部材の位置が、図23に比べて距離D26だけ図示左側にずれている。
ネジ穴2508aと2508bとの間の距離D25と、ネジ穴2514aと2514bとの間の距離D26は、凹溝2718bと凸条2718dとの間隔D8、凹溝719bと凸条719dとの間隔D11に等しい。また、そのY方向上流側(図23、24における奥側)に設けられた筋付上ローラ、筋付下ローラ619の凸条と凹溝との間隔にも等しい。
第3、第4の移動の手順を説明する。まず第3、第4の移動の前に、ツマミ617、717を回して奥側の筋付上ローラ及び筋付上ローラ2718を筋付下ローラ619、719から離間させておく。
第3の移動(支持部材509を図23に示す位置から図24に示す位置に移動)の手順は、次にネジ511をネジ穴2508aから取り外す。奥側のネジ510も取り外す。そして支持部材509を図示右方に移動させ、支持部材509のネジ穴をステー2508のネジ穴2508bに合わせて再度ネジ511を挿入して螺合固定する。同様に、奥側のネジ510も取り外したネジ穴に隣接するネジ穴に螺合固定する。以上で第3の移動が完了する。
第1の実施形態と同様に、ネジ510、511で固定することにより、支持部材509の幅方向の位置が決まる。したがって、この第3の移動により、支持部材509は図示右方に距離D25だけ移動することになり、第1の実施形態における第1の移動と同様に、支持部材509とともにレバー612、712と、これに支持されている筋付上ローラも同方向に同距離だけ移動する。
移動距離D25は、筋付上ローラ2718、及び奥側の筋付上ローラの各々で幅方向に隣り合う凸条と凹溝の間隔D8,D2に等しい。その結果、移動前の凹溝2718bの幅方向の中心が、移動後の凸条2718dの位置と一致することになる。
次に第4の移動(筋付下ローラの移動)を行う。まず、ネジ2516をネジ穴2514aから取り外す。そして支持部材2515を図示左方に移動させ、支持部材2515のネジ穴を支持台2514のネジ穴2514bに合わせて再度ネジ2516を挿入して螺合固定する。支持部材509と同様に、ネジ2516で固定することにより、支持部材2515の幅方向の位置が決まる。支持部材509と同様に、奥側にもネジ固定部を設け、同様に取り外したネジ穴に隣接するネジ穴に螺合固定するようにしてもよい。以上で第4の移動が完了する。
この第4の移動により、支持部材2515は図示左方に距離D26だけスライド移動することになり、支持部材2515とともに支持板2720と、これに支持されている筋付下ローラ719も同方向に同距離だけ移動する。同様に、奥側の筋付下ローラ619も同方向に同距離だけ移動する。
移動距離D26は、筋付下ローラ719、619の各々で幅方向に隣り合う凸条と凹溝の間隔D11,D5に等しい。その結果、移動前の凸条719dの幅方向の中心が、移動後の凹溝718bの位置と一致することになる。奥側の筋付下ローラ619についても同様である。
この第3、第4の移動の結果、凹溝2718bと凸条719dが対向した位置から、凸条2718dと凹溝719bが対向した位置となる。したがって、筋付上ローラ2718と筋付下ローラ719が対向する部分において、筋付上ローラ2718と筋付下ローラ719が幅方向で互いに逆方向に移動することにより、互いに対向する凸条と凹溝とが上下で入れ替わることになる。奥側の筋付上ローラと筋付下ローラ619についても同様である。
第3、第4の移動後、ツマミ617、717を再度回し、筋付上ローラ2718と筋付下ローラ719、及び奥側の筋付上ローラ、筋付下ローラ619を、用紙への筋付に適した位置に調整する。
なお上記は第3の移動の後、第4の移動を行っているが、その逆すなわち、第4の移動を行った後、第3の移動を行ってもよい。また、第3、第4の移動とは逆の手順で各々の移動を行うことにより、第3、第4の移動とは逆に、下が凹溝、上が凸条の状態から、上が凹溝、下が凸条の状態とすることができる。
この第2の実施形態においても、筋付上ローラ、筋付下ローラを、上方に凸条、下方に凹溝の組み合わせとするか、上方に凹溝、下方に凸条の組み合わせとするか(凸条の向きを、折り機構で形成される折り目の外側方向とするか内側方向とするか)を、あらかじめ選択できるように構成されている。したがって、厚紙であっても薄紙であっても、各々に適した凸条と凹溝の組み合わせとすることにより、背割れの無いまっすぐな折り目が得られる。
また、本実施形態においては、筋付上ローラ、筋付下ローラを個別に幅方向に移動させることができるので、第1実施形態のようなサブフレームが不要となるので、装置を簡単に構成することができる。
さらに、筋付上ローラ、筋付下ローラと軸601、602、701、702、との軸中心位置の関係も第1の実施形態と同様に、軸の方がY方向上流側にずれて配置されているので、用紙Pより確実に直進させ、折筋をY方向に平行な直線に形成することができる。
さらに、第1の実施形態と同様に、上流側の筋付上ローラ、筋付下ローラの凸条、凹溝よりも、下流側の筋付上ローラ、筋付下ローラの凸条、凹溝の方が幅が狭く形成されているので、折筋が幅方向にずれたり、曲がったりすることなく、精度よく形成される
続いて本発明の第3の実施形態を説明する。第1の実施形態と同一の形状・機能の部材については原則として同一の付番を用い、詳細な説明は省略する。本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態における筋付機構500に代えて、筋付機構3500を備える。筋付機構3500は筋付ローラユニット3503を備える。図25はこの筋付ローラユニット3503を、Y方向下流側から見た図(第1の実施形態における図9と同一の位置と方向から見た図)である。
以下、第1の実施形態における筋付機構500との相違点を中心に説明する。図25に示すように、筋付機構3500においては、支持部材509の上面にラック3517が形成され、このラック3517に、ピニオンギヤ3518が上方からかみ合っている。ピニオンギヤ3518と同軸にタイミングプーリ3519が設けられ、モータ3520の出力軸に設けられたタイミングプーリ3521との間に、タイミングベルト3522が掛けられている。
モータ3520が回転駆動すると、タイミングプーリ3521、タイミングベルト3522、タイミングプーリ3519を経て、ピニオンギヤ3518が回転駆動されるので、ラック3517が形成された支持部材509は幅方向に移動する。
また、支持台514の下面にはラック3523が形成され、このラック3523に、ピニオンギヤ3524が下方からかみ合っている。ピニオンギヤ3524と同軸にタイミングプーリ3525が設けられ、モータ3526の出力軸に設けられたタイミングプーリ3527との間に、タイミングベルト3528が掛けられている。ピニオンギヤ3524の軸はサブ架台506に固定された部材に支持されており、モータ3526もサブ架台506に固定されている。
モータ3526が回転駆動すると、タイミングプーリ3527、タイミングベルト3528、タイミングプーリ3525を経て、ピニオンギヤ3524が回転駆動されるので、ラック3523が形成された支持台514は幅方向に移動する。
さらに、偏心ローラ715が固定支持された軸716には、ツマミ717に代えて、モータ3717が設けられ、軸716を駆動可能に構成されている。また本実施形態においても第1実施形態と同様に、筋付上ローラ718、筋付下ローラ719及びこれらを支持あるいは駆動する部材の奥側(Y方向上流側)にも、同様の部材が設けられている。そして奥側の偏心ローラ615を駆動するモータ3617(図示無し)が設けられている。
すなわち本実施形態は、第1の実施形態において、筋付上ローラ、筋付下ローラの凸条、凹溝の上下の組み合わせを入れ替える際に、手動で動かしていた部分を自動化したものである。モータ3520を回転駆動することにより、支持部材509が幅方向に移動するので、筋付上ローラ618、718も幅方向に移動する。モータ3520は、筋付上ローラ618、718が図25の位置(以下第1位置という)にある状態と、第1実施形態における図16と同じ位置(以下第2位置という)にある状態の2通りの位置で停止するように回転駆動する。モータ3526を回転駆動することにより、支持台514が幅方向に移動するので、サブフレーム504、505と、これに支持された部材すべてが幅方向に移動する。モータ3526は、サブフレーム504、505と、これに支持された部材が図25の位置(あるいは、第1実施形態における図16と同じ位置)(以下第3位置という)にある状態と、図26に示した位置(以下第4位置という)にある状態の2通りの位置で停止するように回転駆動する。
なお上記第1位置、第2位置とは、サブフレーム504、505と、これに支持された部材が第3位置、第4位置のいずれにあるかに関わらず、支持部材509と、これを支持するステー3508との相対位置を示すものとする。同様に第3位置、第4位置は、支持部材509が第1位置、第2位置にいずれにあるかに関わらず、サブフレーム504、505と、フレーム501、502との相対位置を示すものとする。
図27は第3の実施形態に係る、用紙情報入力と、入力された用紙情報に応じてモータ3520、3526、3617、3717を制御する制御系を示すブロック図である。入力装置32はCPUを含むPC28に所定のデータを入力する。ディスプレイ30は、この入力に必要な画面表示を行う。筋付決定部28aは、入力装置32によりPC28に入力されたデータに基づいて、筋付上ローラ618、718、筋付下ローラ619、719の、互いに対向する凸条と凹溝の組み合わせが、上が凸条、下が凹溝であるのか、上が凹溝、下が凸条であるのか、いずれにするかを決定し、この決定結果を駆動制御部28bに送る。
具体的には、凸条と凹溝の組み合わせが、上が凹溝で下が凸条であるのか、上が凸条でしたが凹溝であるのかを識別するための筋付方向フラグFLを設定しておき、筋付決定部28では、上が凹溝で下が凸条と決定した場合はFL=0とし、上が凸条で下が凹溝と決定した場合はFL=1とするように、駆動制御部28bに情報を送る。駆動制御部28bは、以後必要に応じ筋付方向フラグFLを参照するようにする。
上側センサS1は筋付上ローラ618、718が第1位置、第2位置のいずれにあるのかを検知可能なセンサである(図25では図示省略)。例えば、支持部材509が第1位置にある時にこれを検知可能なセンサと、第2位置にあるときにこれを検知可能なセンサをステー3508に固定するなどして構成する。
下側センサS2はサブフレーム504、505と、これに支持された部材が、第3位置と第4位置のいずれにあるのかを検知可能なセンサである(図25では図示省略)。例えば、サブフレーム505が第3位置にあることを検知するセンサをフレーム502に、サブフレーム504が第4位置にあることを検知するセンサをフレーム501に固定するなどして構成する。
駆動制御部28bでは、筋付決定部28aの決定結果(筋付方向フラグFLの内容)と、上側センサS1、下側センサS2の検知結果により、モータ3520、3526、3617、3618の駆動の要否を判断し、駆動が必要な場合は駆動信号を送る。
図28はディスプレイ30に表示されている、紙厚選択画面30aを示す図である。紙厚選択画面30aは、薄い紙キー30b、厚い紙キー30cを備える。ユーザは、使用する紙の厚さに応じ、入力装置32のマウスあるいはキーボードにより、薄い紙キー30b、厚い紙キー30cのいずれかを選択入力する。
図29はこの選択入力後の設定動作を示すフローチャートである。「S02」等の番号は各々のステップを示す。以下「ステップ」は省略し、単に「S02」等の符号のみで表記する。まず入力装置32により厚い紙キー30cにより「厚い紙」が選択されたか、あるいは薄い紙キー30bにより「薄い紙」が選択されたか、を判断する(S02、S04)。「厚い紙」が選択された場合(S02のY)は、S206に進む。「薄い紙」が選択された場合(S04のY)は、S106に進む。入力が無い場合(S02のN,S04のN)はS02に戻り、入力を待機する。
まず「薄い紙」が入力された場合の動作を説明する。S106では、筋付決定部28aが、筋付方向フラグFL=0とする。FL=0とはすなわち、筋付上ローラ618、718、筋付下ローラ619、719の、互いに対向する凸条と凹溝の組み合わせが、上が凹溝、下が凸条ということであるから、駆動制御部28bはそのような組み合わせになるように、次ステップ以降、必要に応じ各所を駆動制御する。
次に上側センサS1により検知された筋付上ローラ618、718の位置が、第1位置であるか否かを判定する(S108)。筋付上ローラ618、718の位置が第1位置である場合は(S108のY)、すでに互いに対向する凸条と凹溝の組み合わせが、上が凹溝、下が凸条となっているので、以後動作することなく、設定動作を終了する。
筋付上ローラ618、718の位置が第1位置でない場合は(S108のN)、モータ3617、3717を駆動して偏心ローラ615、715を回動させることにより、レバー612、712を回動させ、筋付上ローラ618、718を上昇させて筋付下ローラ619、719から所定量離間させて停止する(S110)。この所定量とは、筋付上ローラ618と筋付下ローラ619、筋付上ローラ718と筋付下ローラ719の、各々の互いに凸条と凹溝とが対向する部分で、凸条の先端が凹溝の縁部先端よりも径方向で離間することにより、筋付上ローラ618、718、筋付下ローラ619、719が互いに干渉せずに幅方向に移動可能になるのに必要な量である。
次にモータ3520、3526を回転駆動させる(S112)。モータ3520、3526は正逆回転可能であり、モータ3520、3526ともに、図25において反時計方向の回転を正転、時計方向の回転を逆転と以後記載する。S112では、モータ3520、3526を共に
正転させる。
モータ3520の回転により、支持部材509が図25における右方に移動する。支持部材509に取り付けられているスペーサ627、727も同方向に移動するので、スペーサ627、727に挟まれているレバー612、712も同方向に移動する。さらに、モータ3526の回転により、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材がすべて、サブ架台506上で図25における左方向へ移動する。
上側センサS1により、支持部材509が第2位置に到達したことが検知されたら(S114のY)、モータ3520の回転を停止させる(S116)。この制御によって、支持部材509は第2位置で停止することになる。
下側センサS2により、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材が第4位置に到達したことが検知されたら(S118のY)、モータ3526の回転を停止させる(S120)。この制御によって、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材が第4位置で停止することになる。
モータ3520、3526のうち、少なくともいずれか一方が回転駆動している場合(S122のN)、S114に戻る。すなわち、支持部材509が第2位置に到達するまでモータ3520は回転を継続し、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材が第4位置に到達するまでモータ5326は回転を継続する。
モータ3520、3526ともに回転を停止している場合(S122のY)は、支持部材509が第2位置に、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材が第4位置に各々到達済みということであるので、モータ3617、3717をS110とは逆方向に駆動して(S24)、偏心ローラ615、715の回動によりレバー612、712を回動させ、筋付上ローラ618、718を下降させて筋付下ローラ619、719との間の距離が所定距離になるように近づける。この所定距離とは、その間に用紙が通過したときに、用紙が切れることなく、かつ確実に折り筋を付与できる距離である。通過する用紙の厚さ及び/または枚数によって異なるようにしてもよい。
次に、「厚い紙」が入力された場合の動作を説明する。S206では、筋付決定部28aが、筋付方向フラグFL=1とする。FL=1とはすなわち、筋付上ローラ618、718、筋付下ローラ619、719の、互いに対向する凸条と凹溝の組み合わせが、上が凸条、下が凹溝ということであるから、駆動制御部28bはそのような組み合わせになるように、次ステップ以降、必要に応じ各所を駆動制御する。
次に上側センサS1により検知された筋付上ローラ618、718の位置が、第2位置であるか否かを判定する(S208)。筋付上ローラ618、718の位置が第2位置である場合は(S208のY)、すでに互いに対向する凸条と凹溝の組み合わせが、上が凸条、下が凹溝となっているので、以後動作することなく、設定動作を終了する。
筋付上ローラ618、718の位置が第2位置でない場合は(S208のN)、モータ3617、3717を駆動して、筋付上ローラ618、718と筋付下ローラ619、719とを所定量離間させて停止する(S210)。この動作はS110と同一であり、すなわちこの動作により、筋付上ローラ618、718、筋付下ローラ619、719が互いに干渉せずに幅方向に移動可能になる。
次にモータ3520、3526を共に逆転させる(S212)。モータ3520の回転により、支持部材509が図25における左方に移動し、すなわち、スペーサ627、727、レバー612、712も同方向に移動する。さらに、モータ3526の回転により、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材がすべて、サブ架台506上で図25における右方向へ移動する。
上側センサS1により、支持部材509が第1位置に到達したことが検知されたら(S214のY)、モータ3520の回転を停止させる(S216)。この制御によって、支持部材509は第1位置で停止することになる。
下側センサS2により、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材が第3位置に到達したことが検知されたら(S218のY)、モータ3526の回転を停止させる(S220)。この制御によって、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材が第3位置で停止することになる。
モータ3520、3526のうち、少なくともいずれか一方が回転駆動している場合(S222のN)、S214に戻る。すなわち、支持部材509が第1位置に到達するまでモータ3520は回転を継続し、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材が第3位置に到達するまでモータ5326は回転を継続する。
モータ3520、3526ともに回転を停止している場合(S222のY)は、支持部材509が第1位置に、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材が第3位置に各々到達済みということであるので、S24に進み、筋付上ローラ618、718と筋付下ローラ619、719との間の距離を所定距離とする。
なお本実施形態では、本フローチャートの動作により、支持部材509は第1位置と第2位置との間を、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材は第3位置と第4位置との間を移動するので、その動作後は、支持部材509が第1位置にあるときは、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材は第3位置にあり、支持部材509が第2位置にあるときは、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材は第4位置にあることになる。
したがって、S108で支持部材509が第1位置にあれば、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材は第3位置にあるものとしてモータ3526を正転させるが、より確実な制御とするために、S108において下側センサS2により、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材が第3位置にあることをも、S110に進む条件としてもよい。S208についても同様に、サブフレーム504、505に支持されている部材が第4位置にあることをも、S210に進む条件としてもよい。
この時、支持部材509の第1、第2位置間の距離は、第1の実施形態における移動距離D23と同一であり、すなわち筋付上ローラ618、718、筋付下ローラ619、719の、各々で幅方向に隣り合う凸条と凹溝の間隔D2,D8、D5,D11の2倍である。したがって、この第1.第2位置間の移動により、互いに対応する凹溝と凸条とが入れ替わる。
また、サブフレーム504、505と、このサブフレーム504、505に支持されている部材の第3、4位置間の距離は、第1実施形態における第2の移動の移動距離D24に等しく、すなわち図9、16におけるサブフレーム504、505とフレーム501、502の幅方向のずれ量であるD1に等しく、さらに図25におけるサブフレーム504、505とフレーム501、502の幅方向のずれ量にも等しい。また、凹溝618bと凸条618dとの間隔D2、凹溝619bと凸条619dとの間隔D5、凹溝718bと凸条718dとの間隔D8、凹溝719bと凸条719dとの間隔D11にも等しい。したがって、この第3,第4位置間の移動により、筋付ラインL2が距離D1だけ移動するので、筋付ラインL2と折りラインL1とを一致させることができる。
本実施形態では、支持部材509の移動と、サブフレーム504、505に支持されている部材の移動が行われる。したがって、第1実施形態と同様に、互いに対向する凸条と凹溝とが上下で入れ替え、さらにその入れ替えた筋付位置を、後段の折り装置16の折りラインL1と一致させることができるので、入れ替えの前後共に、筋付後、その筋付位置に折り目を付与させることができる。
さらに本実施形態においては、支持部材509の移動と、サブフレーム504、505に支持されている部材の移動とが、同時に自動的に行われるので、移動時間が短縮でき、使い勝手の良い装置が得られるというメリットがある。さらに、入力装置32による紙厚さの入力に応じて動作するので、厚紙、薄紙に適した形態に自動的に変更することができる。
本実施形態において、ユーザは入力装置32の紙厚選択画面30aは、薄い紙キー30b、厚い紙キー30cのいずれかを選択するようになっているが、この形態に限らず、用紙厚さ、あるいは連量を入力するようにしてもよい。紙の厚さまたは連量が所定値以上であれば、上が凸条、下が凹溝の組み合わせとなるように、所定値未満であれば、上が凹溝、下が凸条の組み合わせとなるように、モータ3520、3526等を駆動制御する。この所定値は、紙の厚さであれば0.3mm程度、連量であれば200g/m2程度が望ましい。
また、ユーザが入力、あるいはネットワーク等を通じて外部から取得したジョブデータに含まれている用紙の厚さ、あるいは連量データに基づき、凸条及び凹溝の上下の組み合わせを決定してもよい。
また、給紙機構42から送り出された1枚の用紙の厚さを計測する計測装置を設け、その計測結果に従い、凸条及び凹溝の上下の組み合わせを決定してもよい。計測装置は、用紙搬送路を挟んで互いに外周面同士が接触する1対のローラの間に用紙が進入したときの、ローラの変位を測定するものや、用紙搬送路を挟んで一方側に発光素子、他方側に受光素子を設け、用紙を透過した光量を計測するもの等を採用すればよい。
また、順次送られてくる複数の用紙を連続的に筋付機構を通して折り筋をつける処理を行っているあいだに、送られてくる用紙の各々の厚さに合わせて、自動的に凸条及び凹溝の上下の組み合わせを変更するようにしてもよい。例えば、1枚ずつ、計5枚組の用紙が順次送り込まれてくる処理において、5枚目のみが厚紙であった場合、4枚目の筋付後に自動的に上が凹溝、下が凸条から上が凸条、下が凹溝に変更し、変更後の組み合わせで5枚目の筋付を行う。その後次の5枚組の1枚目が送られてくる前に、上が凹溝、下が凸条となるように再変更する。
4枚目と5枚目の間、及び5枚目と次の5枚組の1枚目との間に上記変更が可能であるように、時間間隔をあけて送り込むように制御する。また、1冊ごとにページ数や、その中での厚紙、薄紙の組み合わせが異なるものにつても、各々ページごとに厚紙であるのか薄紙であるのかをジョブデータ等から抽出し、自動的に凸条及び凹溝の上下の組み合わせを変更するようにしてもよい。