JP2017113709A - 界面活性剤の担持剤 - Google Patents

界面活性剤の担持剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2017113709A
JP2017113709A JP2015252309A JP2015252309A JP2017113709A JP 2017113709 A JP2017113709 A JP 2017113709A JP 2015252309 A JP2015252309 A JP 2015252309A JP 2015252309 A JP2015252309 A JP 2015252309A JP 2017113709 A JP2017113709 A JP 2017113709A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
surfactant
present
mass
polymerization
mol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015252309A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6937547B2 (ja
Inventor
結衣 池元
Yui Ikemoto
結衣 池元
由紀 小川
Yuki Ogawa
由紀 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2015252309A priority Critical patent/JP6937547B2/ja
Publication of JP2017113709A publication Critical patent/JP2017113709A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6937547B2 publication Critical patent/JP6937547B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】界面活性剤の吸液能力、保持能力に優れた界面活性剤担持剤を提供することを目的とする。【解決手段】界面活性剤吸液能力が10倍以上の界面活性剤担持剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、界面活性剤を担持することが可能な担持剤に関する。より詳しくは、界面活性剤を吸液し、担持することが可能な担持剤に関する。
界面活性剤は洗剤や洗浄剤等の各種薬剤として用いられている。これらは、使い勝手に優れることから、液体のものが好まれる傾向にある。しかしながら、例えば液体の洗剤等は、容器から小分けして使用する際に、液だれして床や機器などに付着する場合がある。このような際に、通常はある程度の部分を紙やウェス、おがくず等に吸収させて残った部分を乾拭きしたり、大量の水で洗い流したり、水に濡れたモップ等で何度も水拭きしたりして液だれを除去する。
しかし、紙やウェス、おがくずは界面活性剤の吸液能力が十分ではなく、乾拭きや水拭きしても界面活性剤の付着面積が広がる一方で完全に除去することは困難であり、大量の水を使用できない場合も多い。
一方、例えば特許文献1には、界面活性剤を担持する担持材であって、
一般式(1)
CH =CR−CO−(X)−Y ……(1)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Xは、全オキシアルキレン基に対するオキシエチレン基のモル分率が50%以上である炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、Yは、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェノキシ基、または、炭素数1〜9のアルキル基を置換基として1個〜3個有するオキシアルキルフェニル基を表し、nは、平均で3〜100 の整数を表す)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体を含有することを特徴とする界面活性剤の担持材が開示されている。特許文献1には、上記担持材は、界面活性剤をゲル化して担持すると共に、担持した際の賦形性に優れ、かつ、界面活性剤を徐々に放出する性質(徐放性)を有しており、つまり、担持材に界面活性剤を担持することにより、界面活性剤を例えば洗剤として用いる際における使い勝手を向上させることができることから、掃除や洗浄等を速やかにかつ簡便に行うことができるという効果を奏することが開示されている。
また、例えば特許文献2には、N−ビニルピロリドンに対し0.5〜10重量%の、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有しその中の少なくとも1個がアミド窒素原子に結合している環状アミドの存在下にN−ビニルピロリドンの重合を進行させ、そして反応を不働態となることなく、かつ透明性の酸化物層を形成しうる金属の表面において開始させることによるポリビニルピロリドンの架橋体の製造方法が開示されている。上記方法によれば、不溶性でかつ膨潤性の小さいポリビニルピロリドンの架橋体が得られることが開示されている。
さらに、特許文献3には、γ−ブチロラクトンの含有量が500ppm以下であるN−ビニルピロリドンまたはアセチレンを原料とせずに得られたN−ビニルピロリドンを含む重合性単量体成分を重合することにより、所望の分子量で、残存モノマーが少なく、例えば架橋させて吸水性樹脂とした場合にも優れた性能を発揮しうる、ビニルピロリドン系重合体を得ることができることが開示されている。
特開平9−157327号公報 特開昭47−11497号公報 特開2001−226431号公報
上記のとおり、界面活性剤は、液状で使用する形態が便利であるが、好ましくない場所に界面活性剤が付着した場合、その除去は煩雑である。よって、界面活性剤の除去作業を改善するために、界面活性剤の吸液性能の優れた材料が要望されていた。
本発明は、界面活性剤の吸液能力、保持能力に優れた界面活性剤担持剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、特定の構造単位を有する架橋重合体が、良好な界面活性剤の吸着能力と、保持能力を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の界面活性剤担持剤は、界面活性剤吸液能力が10倍以上の界面活性剤担持剤である。
本発明はまた、環状N−ビニルラクタム系架橋体を含み、該環状N−ビニルラクタム系架橋体はN−ビニルラクタムに由来する構造単位を50〜100モル%有する、界面活性剤担持剤でもある。
本発明の界面活性剤担持剤は、良好な界面活性剤吸液能力を有する。よって、液だれした界面活性剤の除去などに好ましく使用することができる。また本発明の界面活性剤担持剤は、化粧品用途において分散剤や増粘剤としても使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の界面活性剤担持剤は、界面活性剤吸液能力が10倍以上であることを特徴とし、これにより、界面活性剤を除去するための材料として好適に用いることができる。本発明の界面活性剤担持剤の界面活性剤吸液能力は、15倍以上であることが好ましく、より好ましくは、20倍以上である。
なお、界面活性剤吸液能力は、「(担持剤重量+吸液された界面活性剤量)/担持剤重量」で計算される値である。
<環状N−ビニルラクタム系架橋体>
本発明の第1の界面活性剤担持剤(以下、「本発明の界面活性剤担持剤(I)という」は、環状N−ビニルラクタム系架橋体(以下、「本発明の架橋体(I)」という)を含む。
本発明において、「環状N−ビニルラクタム系架橋体」とは、(i)N−ビニルラクタムに由来する構造単位を有する架橋体(以下、本発明の架橋体(I−1)ともいう)、(ii)N−ビニルラクタムを含む単量体成分を重合する工程を含み得られる架橋体(以下、本発明の架橋体(I−2)ともいう)、を表す。
上記「N−ビニルラクタムに由来する構造単位」とは、N−ビニルラクタムが重合して形成される構造単位と同じ構造の構造単位を表す。すなわち、N−ビニルラクタムが重合して形成される構造単位と同じ構造を有すれば、N−ビニルラクタムを重合する方法以外の方法で形成された構造単位も、N−ビニルラクタムに由来する構造単位に含まれる。
上記「N−ビニルラクタム」とは、環状N−ビニルラクタム構造を有する単量体であれば制限はなく、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタム、およびそれらに含まれる1または2以上の水素原子が他の置換基で置換された化合物等が例示される。上記他の置換基とは、アルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基等が例示される。上記他の置換基は、炭素数が0〜12の置換基が好ましく、1〜4の置換基が好ましい。これら環状N−ビニルラクタム系単量体は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を併用しても良い。環状N−ビニルラクタム系単量体の中でも界面活性剤担持剤の吸液能力が向上する傾向にあることから、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルピロリドンに含まれる1または2以上の水素原子が他の置換基で置換された化合物が特に好ましい。
本発明の架橋体(I)は、N−ビニルラクタムに由来する構造単位を有することが好ましく(本発明の架橋体(I−1)はN−ビニルラクタムに由来する構造単位を必須に有する)、N−ビニルラクタムに由来する構造単位を全単量体に由来する構造単位(N−ビニルラクタムに由来する構造単位と後述するその他の単量体に由来する構造単位)100モル%に対して、50モル%以上、100モル%以下有することがより好ましく、60モル%以上、100モル%以下有することがさらに好ましく、70モル%以上、100モル%以下有することが特に好ましい。
N−ビニルラクタムに由来する構造単位とは、例えばN−ビニルラクタムがN−ビニルピロリドンの場合、下記構造式で表すことができる。
Figure 2017113709
一般式(1)において、アステリスクマークは、N−ビニルラクタムに由来する構造単位が結合している原子を表す。
本発明の架橋体(I)は、その他の単量体に由来する構造単位を有していてもよい。上記その他の単量体とは、重合性の炭素炭素二重結合を構造中に1つだけ有する化合物であり、N−ビニルラクタムおよび後述する架橋性単量体はその他の単量体には含まれない。上記その他の単量体は、好ましくはラジカル重合可能な化合物である。
上記その他の単量体としては、具体的には、(i)アクリル酸、メタアクリル酸等の不飽和モノカルボン酸及びこれらの塩;(ii)フマル酸、マレイン酸、メチレングルタル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸及びこれらの塩(一塩であっても二塩であっても良い);(iii)3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸及びこれらの塩;(iv)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等不飽和アルコール及びこれらの水酸基にアルキレンオキシドを付加したアルキレンオキシド付加物;(v)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(vi)(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のN置換若しくは無置換の(メタ)アクリルアミド;(vii)スチレン、インデン、ビニルアニリン等のビニルアリール単量体;(viii)エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、オクテン等のアルケン類;(ix)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;(x)N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールおよびこれらの塩またはこれらの4級化物等の不飽和アミン;(xi)ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルオキサゾリドン等のビニルアミド類;(xii)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和無水物類;(xiii)ビニルエチレンカーボネート及びその誘導体;(xiv)(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル及びその誘導体;(xv)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられる。
これらの中でも、上記(i)〜(x)の単量体が好ましく、より好ましくは、上記(i)(vi)(vii)(ix)(x)の単量体である。
なお、上記(i)〜(iii)、(x)における塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が例示される。上記(iv)におけるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が例示され、炭素数1〜20のアルキレンオキシドが好ましく炭素数1〜4のアルキレンオキシドがより好ましい。上記(iv)におけるアルキレンオキシドの付加モル数としては、上記(iv)の化合物1モルあたり0〜50モルが好ましく、0〜20モルがより好ましい。
上記その他の単量体としては、炭素数2〜20の単量体が好ましい。より好ましくは、炭素数2〜15の単量体であり、更に好ましくは、炭素数2〜10の単量体である。なお、その他の単量体がアルキレンオキシド付加物である場合は、アルキレンオキシド構造部位以外の構造部位の炭素数がこれらの値であることが好ましい。
本発明の架橋体(I)がその他の単量体に由来する構造単位を有する場合、その他の単量体に由来する構造単位を1種有していてもよいし、2種以上有していてもよい。その他の単量体に由来する構造単位とは、その他の単量体が重合して形成される構造単位と同じ構造の構造単位であり、具体的には、その他の単量体の重合性の炭素炭素二重結合が単結合になった構造である。例えば、その他の単量体がアクリル酸ブチル(CH=CHCOOC)である場合、その他の単量体に由来する構造単位は、−CH−CH(COOC)−、で表すことができる。
本発明の架橋体(I)における、その他の単量体に由来する構造単位の含有割合は、全単量体に由来する構造単位100モル%に対して、0モル%以上、50モル%であることが好ましく、0モル%以上、40モル%以下であることがより好ましく、0モル%以上、30モル%以下であることがさらに好ましい。
本発明の架橋体(I)は、構造中に架橋構造を有する。本発明の架橋体(I)が構造中に架橋構造を有する場合には、(1)下記の架橋性単量体を含む単量体成分を重合して架橋構造を有する重合体を製造する場合、(2)反応性官能基を有する単量体を含む単量体成分を重合して得られた重合体に、該反応性官能基と反応する官能基を複数有する架橋剤を反応させて架橋構造を形成する場合、(3)反応性官能基を有する単量体1と、該単量体1が有する反応性官能基と反応する反応性官能基を有する単量体2とを共に含む単量体成分を重合した後、該単量体1の反応性官能基と単量体2の反応性官能基とを反応させて架橋構造を形成(自己架橋)する場合、(4)重合体にラジカルを発生させ、ラジカルが発生した重合体間で架橋構造を形成(自己架橋)する場合、(5)重合体にラジカルを発生させ、ラジカルが発生した重合体と下記の架橋性単量体を反応させて架橋構造を形成する場合がある。
本発明の架橋体(I)が有する架橋構造は上記(1)〜(5)のいずれによって形成されたものであってもよいが、上記(1)によって形成されたものであることが好ましい。
上記のとおり、本発明の架橋体(I)は、架橋性単量体に由来する構造単位を有することが好ましい。本発明において架橋性単量体とは、1分子あたりに少なくとも2個の重合性の炭素炭素二重結合基を有する化合物であり、好ましくは1分子あたりに少なくとも2個のラジカル重合性の炭素炭素二重結合基を有する化合物である。
上記架橋性単量体としては、具体的には、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の炭素数1〜4のアルキレン基を有するN,N’−アルキレンビス(メタ)アクリルアミド;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の炭素数1〜4のアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の炭素数1〜4のアルキレン基を有するアルキレンオキサイドで変性されていてもよいトリメチロールプロパン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート;グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート等のグリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ−ト等のジペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ)(メタ)アクリレ−ト;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アリルエーテル等のペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)(メタ)アリルエーテル;トリアリルシアヌレート(シアヌル酸トリアリル)、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン等の炭素数9〜20のトリアリル化合物;炭酸ジアリル、1,3−ビス(アリルオキシ)−2−プロパノール等の炭素数6〜20のジアリル化合物;ジビニルエーテル、ジビニルケトン、トリビニルベンゼン等の炭素数4〜20の(ジ、トリ)ビニル化合物;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の炭素数2〜20のジイソシアネート;ポリ(メタ)アリロキシアルカン等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記架橋性単量体の中でも、残存する環状N−ビニルラクタム系単量体及び可溶分が低下する傾向にあることから、アリル基を2個以上有する化合物を使用することが好ましい。具体的には、シアヌル酸トリアリル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、炭酸ジアリル、1,3−ビス(アリルオキシ)−2−プロパノール、ペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)(メタ)アリルエーテル等が好ましく、シアヌル酸トリアリル、ペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)(メタ)アリルエーテルが最も好ましい。
上記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、好ましくは1分子あたり2以上、50以下、より好ましくは2以上、20以下、さらに好ましくは2以上、10以下のオキシアルキレン基を有する。上記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが有するオキシアルキレン基100モル%に対し、オキシエチレン基が50〜100モル%であることが好ましく、80〜100モル%であることが好ましい。
上記トリメチロールプロパン(ジ、トリ)(メタ)アクリレートが炭素数1〜4のアルキレン基を有するアルキレンオキサイドで変性されたものである場合の、トリメチロールプロパン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート1分子あたりのアルキレンオキサイドの平均付加数も同様であることが好ましい。
上記架橋性単量体に由来する構造単位とは、上記架橋性単量体が有する重合性の炭素炭素二重結合基の少なくとも1以上が単結合になった構造単位と同じ構造の構造単位である。すなわち、上記架橋性単量体が有する重合性の炭素炭素二重結合基の少なくとも1以上が単結合になった構造単位と同じ構造であれば、例えば架橋性単量体以外の単量体を重合した後に、後架橋により形成された構造単位も架橋性単量体に由来する構造単位に含まれる。
上記架橋性単量体の使用量については、特に制限はなく、使用目的に応じて適宜調整すればよい。例えば、本発明の架橋体(I)は、架橋性単量体に由来する構造単位を、全単量体に由来する構造単位100モル%に対し、0.0001モル%以上、10モル%以下有することが好ましく、0.01モル%以上、1モル%以下有することがより好ましい。
架橋性単量体の使用量を調整することで、本発明の架橋体(I)が有する、界面活性剤や溶媒を吸収、保持する能力を調整することができる。本発明の架橋体(I)が溶媒を吸収し、膨潤してゲル化するものである場合、本発明の架橋体(I)は増粘剤としての効果を発揮することが期待でき、また、水を吸収、保持、徐放させることで保湿効果も期待できる。
本発明の架橋体(I)が、上記(2)又は(3)によって形成された架橋構造を有する場合、本発明の架橋体(I)は、上述したその他の単量体に由来する構造単位として、反応性官能基を有する単量体に由来する構造単位を有することになる。
反応性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基及びこれらのエステルや塩;アミノ基、水酸基等が挙げられる。
本発明の架橋体(I)の架橋構造が、上記(3)によって形成されたものである場合、互いに反応性を有する反応性官能基の組み合わせとしては、カルボキシル基(及びそのエステルや塩)と水酸基、スルホン酸基(及びそのエステルや塩)と水酸基、カルボキシル基(及びそのエステルや塩)とアミノ基、スルホン酸基(及びそのエステルや塩)とアミノ基等が挙げられる。本発明の架橋体(I)の架橋構造が上記(2)によって形成されたものである場合の、単量体が有する反応性官能基と、架橋剤が有する該反応性官能基と反応する官能基の組み合わせの例もこれと同様である。
本発明の架橋体(I)が、上記(2)又は(3)によって形成された架橋構造を有する場合、本発明の架橋体(I)が有する全構造単位100モル%に対する反応性官能基を有する単量体に由来する構造単位の割合は、0.0002モル%以上、20モル%以下有することが好ましく、0.02モル%以上、2モル%以下有することがより好ましい。
本発明の架橋体(I)は、特に制限はないが、好ましくは平均粒子径が0.1μm以上、100μm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1μm以上、80μm以下であり、さらに好ましくは、0.1μm以上、50μm以下である。上記範囲であることにより、本発明の界面活性剤担持剤の界面活性剤吸液能力が向上する傾向にある。
架橋体の平均粒子径は、実施例1に記載の方法により測定することができる。
<架橋体の製造方法>
本発明の架橋体(I)の製造方法は、任意であるが、N−ビニルラクタムを含む単量体成分を重合する工程(以下、「重合工程」ともいう)を含む製造方法で製造することが好ましい(本発明の架橋体(I−2)は上記重合工程を必須に含み製造される)。
上記重合工程における重合は、溶剤の不存在下で行ってもよいし、溶剤を使用してもよい。重合は、従来公知の種々の方法、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、乳化重合法、逆相乳化重合法、沈殿重合法或いは注型重合法、薄膜重合法、噴霧重合法等を採用することができる。尚、重合反応を行なう際の攪拌方法は、特に限定されるものではないが、ゲル状の架橋体が生成する場合には、双腕型ニーダーを攪拌装置として用い、該双腕型ニーダーの剪断力によって細分化しながら攪拌することがより好ましい。また、上記重合工程は、回分式でも連続式でも行うことができる。
上記重合工程において、N−ビニルラクタムを含む単量体成分の重合を開始する方法としては、重合開始剤を添加する方法、UVを照射する方法、熱を加える方法、光開始剤存在下に光を照射する方法等を採用することができる。
上記重合工程において、溶剤を使用する場合、溶剤としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール類等から選ばれる1種または2種以上が例示される。
上記重合工程において、重合を行なう際には、重合開始剤を用いることが好ましい。上記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド等の過酸化物;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩水和物、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アスコルビン酸と過酸化水素、スルホキシル酸ナトリウムとt−ブチルヒドロパーオキシド、過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤等が好適である。これらの重合開始剤のうち、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物が最も好ましい。中でも、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩水和物、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)がより好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよく、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記重合開始剤の使用量としては、単量体の使用量(N−ビニルラクタムと上述したその他の単量体と架橋性単量体の合計の使用量)1モルに対して、0.1g以上、10g以下であることが好ましく、0.1g以上、7g以下であることがより好ましく、0.1g以上、5g以下であることがさらに好ましい。
開始剤の使用量をこのような割合とすることで、得られる重合体に含まれる未反応の単量体の割合を充分に少なくすることができる。
上記重合工程は、上記架橋性単量体の存在下で行われることが好ましい。その場合、上記重合工程における架橋性単量体の使用量は、特に制限はなく、使用目的に応じて適宜調整すればよい。例えば、N−ビニルラクタムと上述したその他の単量体の合計使用量100モル%に対し、0.0001モル%以上、10モル%以下有することが好ましく、0.01モル%以上、1モル%以下有することがより好ましい。
上記重合工程におけるN−ビニルラクタムの使用量は、全単量体100モル%に対し、50モル%以上、100モル%以下であることが好ましく、60モル%以上、100モル%以下であることがより好ましく、70モル%以上、100モル%以下であることがさらに好ましい。上記重合工程におけるその他の単量体の使用量は、全単量体100モル%に対し、0モル%以上、50モル%以下であることが好ましく、0モル%以上、40モル%以下であることがより好ましく、0モル%以上、30モル%以下であることがさらに好ましい。
上記重合工程において、逆相懸濁重合法を採用する場合に好適な分散剤としては、具体的には、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、エチルセルロースやセルロースアセテート等のセルロースエステル、セルロースエーテル、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体等のカルボキシル基含有重合体等が挙げられる。これら分散剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。尚、逆相懸濁重合法を採用する場合に供される疎水性有機溶媒は、特に限定されるものではない。
上記重合工程において、重合温度は、特に限定されるものではないが、比較的低温の方が架橋体の分子量が大きくなるので好ましく、20℃〜100℃の範囲内が重合率が向上するのでさらに好ましい。尚、反応時間は、上記重合反応が完結するように、反応温度や、単量体成分、重合開始剤、および溶媒等の種類(性質)や組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すればよい。
上記重合工程を行う反応容器の材質は、重合工程を行うことができるものである限り特に制限されないが、ステンレス等の材質の反応容器を用いることが好ましい。これらの熱が伝わりやすい材質の反応容器を用いて重合反応を行うことで重合反応を充分に進行させ、得られる重合体中に含まれる未反応の単量体(N−ビニルラクタム等)の含有量を少なくすることができる。
また、ポリプロピレン等の鉄を溶出させない材質の反応容器を用いることも好ましく、これらの材質の反応容器を用いることで、得られる重合体中に含まれる鉄分の含有量を少なくすることができる。
本発明の架橋体は、上記重合工程に加え、任意の工程を含んで製造してもよい。例えば、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、造粒工程、後架橋工程等を含んでいてもよい。
上記本発明の架橋体(I)が溶剤を用いた重合で得られたものでゲル状である場合、すなわち溶剤を含むゲル状架橋体である場合、該ゲル状架橋体を、乾燥する工程を設けることが好ましい。なお、本発明において、乾燥とは固形分の上昇操作をいい、通常、架橋体全体の重量に対する固形分の割合が乾燥前と比較して上昇すればよいが、好ましくは架橋体全体の重量100質量%に対して固形分が95質量%以上、より好ましくは96質量%以上程度まで上昇させることが好ましい。なお、固形分の上限は99質量%程度であることが好ましい。乾燥は重合と同時に行ってもよく、重合時の乾燥と重合後の乾燥とを併用してもよいが、より好ましくは、重合後に乾燥装置を用いて乾燥する乾燥工程が設けられる。なお、ここで、架橋体の固形分は、後述する測定方法により測定される値をいう。
上記乾燥工程は、好ましくは乾燥工程の時間全体の50%以上の時間、より好ましくは実質すべての乾燥工程をとおして80℃〜250℃の範囲で行われる。上記範囲であることにより、架橋体の諸物性がより向上する傾向にある。
なお、乾燥温度は熱媒温度で規定するが、マイクロ波等熱媒温度で規定できない場合は材料温度で規定する。乾燥方法としては、乾燥温度が上記範囲内であれば特に限定されるものではなく、熱風乾燥、無風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥等を好適に用いることができる。中でも、熱風乾燥を用いることがより好ましい。熱風乾燥を用いる場合の乾燥風量は、好ましくは0.01〜10m/sec、より好ましくは0.1〜5m/secの範囲である。乾燥温度の範囲はより好ましくは110℃〜220℃、さらに好ましくは120℃〜200℃の温度範囲である。また、乾燥は、一定温度で乾燥してもよく、温度を変化させて乾燥してもよいが、実質、すべての乾燥工程は上記の温度範囲内でなされることが好ましい。
上記粉砕工程は、粉砕機を使用して行うことが好ましい。本発明の製造方法が乾燥工程を含む場合、粉砕は乾燥前、中、後のいずれに行っても良いが、好ましくは乾燥後である。上記粉砕機は特に限定されるものではないが、例えばロールミルのようなロール式粉砕機、ハンマーミルのようなハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、カッターミル、ターボグラインダー、ボールミル、フラッシュミル、ジェットミル等が用いられる。この中でも、粒度分布を制御するためにはロールミルを用いることがより好ましい。粒度分布を制御するため連続して2回以上粉砕することがより好ましく、連続して3回以上粉砕することがさらに好ましい。
また、2回以上粉砕する場合には、それぞれの粉砕機は同じであっても異なっていてもよい。異なる種類の粉砕機を組み合わせて使うことも可能である。
例えば本発明の架橋体を特定の粒度分布に制御するために、分級工程や造粒工程を設けてもよい。上記分級は、特定の目開きの篩を使用してもよい。篩で分級するために用いる分級機は特に限定されるものではないが、たとえば振動篩(アンバランスウェイト駆動式、共振式、振動モータ式、電磁式、円型振動式等)、面内運動篩(水平運動式、水平円−直線運動式、3次元円運動式等)、可動網式篩、強制攪拌式篩、網面振動式篩、風力篩、音波篩等が用いられ、好ましくは振動篩、面内運動篩が用いられる。
本発明の架橋体が上記(2)〜(5)によって形成された架橋構造を有するものである場合、該架橋体の製造方法では、単量体成分を重合させる重合工程を行った後に当該架橋構造を形成するための後架橋工程を行うことになる。
上記後架橋工程において後架橋させる(重合後に架橋させる)方法としては、例えば、(i)重合工程で得られたN−ビニルラクタム系重合体にUV、γ線、電子線を照射する方法、(ii)重合工程で得られたN−ビニルラクタム系重合体に縮合剤のような反応促進剤を加えて自己架橋させる方法、(iii)重合工程で得られたN−ビニルラクタム系重合体に熱を加えて自己架橋させる方法、(iv)重合工程で得られたN−ビニルラクタム系重合体にラジカル発生剤を含有させた後、熱を加えて自己架橋させる方法、(v)重合工程で得られたN−ビニルラクタム系重合体にラジカル重合性架橋剤(架橋性単量体)およびラジカル重合開始剤を含有させた後、加熱および/または光照射する方法等が挙げられる。
なお、後架橋工程に供される重合体としては、単量体成分から製造したものを用いてもよく、市販の重合体を用いてもよい。
本発明の架橋体が上記(2)によって形成された架橋構造を有するものである場合、架橋剤の使用量は、重合体が有する反応性官能基(架橋剤と反応する反応性官能基)100モル%に対して、架橋剤が有する官能基が30〜100モル%となる量であることが好ましい。より好ましくは、50〜100モル%である。このような割合で架橋剤を使用することで充分な架橋構造を形成することができるとともに、得られる架橋体中に残存する未反応の架橋剤の量も少なくすることができる。
上記(ii)の方法において用いる反応促進剤としては、硫酸、リン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基、N,N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記(iv)の方法において用いるラジカル発生剤としては、上述した重合工程において用いる重合開始剤と同様のものを用いることができる。重合開始剤のうち、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、オクタノイルパーオキサイド、サクシニックパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸等の過酸化物が好ましい。
本発明の架橋体が上記(5)によって形成された架橋構造を有するものである場合、後架橋の際に使用する架橋性単量体の使用量は、後架橋工程前の重合体100質量%に対して、0.1〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは、1〜30質量%である。このような割合で架橋性単量体を使用することで充分な架橋構造を形成することができるとともに、得られる架橋体中に残存する未反応の架橋性単量体の量も少なくすることができる。
<界面活性剤担持剤>
上記のとおり、上記本発明の界面活性剤担持剤(I)は、上記本発明の架橋体(I)を含む。本発明の界面活性剤担持剤(I)は、本発明の架橋体(I)のみを含んでいてもよいが、その他の成分を含んでいてもよい。
本発明の界面活性剤担持剤(I)は、本発明の架橋体(I)を、例えば界面活性剤担持剤(I)100質量%に対して10質量%以上、100質量%以下含んでいてもよい。好ましくは、50質量%以上、99.8質量%以下含む。
本発明の界面活性剤担持剤(I)は、水分の含有量が界面活性剤担持剤(I)100質量%に対して0.1〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上、4質量%以下であり、さらに好ましくは、2質量%以上、4質量%以下である。上記範囲であることにより、本発明の界面活性剤担持剤の界面活性剤吸液能力が向上する傾向にあり、取扱い性も良好となる傾向にある。なお、架橋体の水分含有量は、後述する方法により測定される。
本発明の界面活性剤担持剤(I)が本発明の架橋体(I)のみを含むものである場合についても、界面活性剤担持剤中の水分の含有量は上記範囲であることが好ましい。すなわち、本発明の架橋体(I)100質量%中の水分含有量も上記範囲であることが好ましい。
本発明の界面活性剤担持剤(I)は、鉄分の含有量が界面活性剤担持剤(I)100質量%に対して0〜50ppmであることが好ましい。より好ましくは、0ppm以上、40ppm以下であり、さらに好ましくは、0ppm以上、30ppm以下である。上記範囲であることにより、色調や保存安定性が良好になる傾向にある。なお、上記鉄分の含有量は、後述の方法で評価される。
本発明の界面活性剤担持剤(I)が本発明の架橋体(I)のみを含むものである場合についても、界面活性剤担持剤中の鉄分の含有量は上記範囲であることが好ましい。すなわち、本発明の架橋体(I)100質量%中の鉄分含有量も上記範囲であることが好ましい。
鉄分の含有量を上記のような範囲にするためには、本発明の架橋体(I)を製造する際の重合開始剤として鉄を含む重合開始剤以外のものを用いることが好ましく、また、反応容器も、鉄分の溶出がない材質の反応容器を使用することが好ましい。
本発明の界面活性剤担持剤(I)は、N−ビニルラクタムの含有量が界面活性剤担持剤(I)100質量%に対して1〜1000ppmであることが好ましい。より好ましくは、1ppm以上、800ppm以下であり、さらに好ましくは、1ppm以上、500ppm以下である。上記範囲であることにより、色調や保存安定性が良好になる傾向にある。また、化粧品用途に使用される材料には高い安全性が求められるため、N−ビニルラクタムの含有量が上記範囲であることで、本発明の界面活性剤担持剤(I)がより安全性が高く、化粧品用途に使用される材料としてより好適なものとなる。
本発明の界面活性剤担持剤(I)が本発明の架橋体(I)のみを含むものである場合についても、界面活性剤担持剤中のN−ビニルラクタムの含有量は上記範囲であることが好ましい。すなわち、本発明の架橋体(I)100質量%中のN−ビニルラクタム含有量も上記範囲であることが好ましい。
本発明の界面活性剤担持剤(I)は、好ましくは界面活性剤の吸液能力が10g/g以上(すなわち、10倍以上)である。より好ましくは、15g/g以上(すなわち、15倍以上)であり、さらに好ましくは20g/g以上(すなわち、20倍以上)である。界面活性剤の吸液能力の上限に関しては、例えば50g/g以下(すなわち、50倍以下)である。
本発明の界面活性剤担持剤(I)が本発明の架橋体(I)のみを含むものである場合についても、界面活性剤担持剤の吸液能力は上記範囲であることが好ましい。すなわち、本発明の架橋体(I)の吸液能力も上記範囲であることが好ましい。
本発明の第2の界面活性剤担持剤(以下、「界面活性剤担持剤(II)」ともいう)は、界面活性剤の吸液能力が10g/g以上(すなわち、10倍以上)、好ましくは15g/g以上(すなわち、15倍以上)、より好ましくは20g/g以上(すなわち、20倍以上)の界面活性剤担持剤である。
本発明の界面活性剤担持剤(II)は、界面活性剤担持剤(I)であってもよいが、界面活性剤担持剤(I)における環状N−ビニルラクタム系架橋体を(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル系架橋体に置き換えた界面活性剤担持剤であってもよい。
本発明の界面活性剤担持剤は、粉末状で使用してもよいが、分散媒に分散させ分散体として使用したり、フィルム等に担持させてシート状に成形して使用してもよい。上記分散体やシート全体に含まれる本発明の界面活性剤担持剤の含有量は、例えば1質量%〜80質量%とすることができる。
本発明の界面活性剤担持剤は、界面活性剤の担持に用いられるが、担持可能な界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、或いは、高分子界面活性剤、反応性界面活性剤等が挙げられるが、特に限定されるものではない。本発明の界面活性剤担持剤は、上記の界面活性剤のうち、アニオン性界面活性剤の担持に特に好適に用いられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルホン酸(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルメチルカルボン酸(塩)、リノール酸、オレイン酸等の高級脂肪酸およびその塩等が例示される。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等が例示される。
両性界面活性剤としては、例えば、N−アシルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニオベタイン、N−アシルアミドプロピル−N’,N’−ジメチル−N’−β−ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等が例示され、カチオン性界面活性剤としては、モノアルキルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、カチオン化セルロース等が例示される。
本発明の界面活性剤担持剤は、上記界面活性剤を単独で担持してもよく、また、二種類以上を担持してもよい。
本発明の界面活性剤担持剤を使用する場合、界面活性剤を担持(吸収)していない状態のものを使用してもよいが、予め界面活性剤や界面活性剤と相溶する溶剤を担持させた界面活性剤担持剤を使用することが好ましく、そのような界面活性剤担持剤を使用することで界面活性剤を吸収する速度を上げることができるようになる。
このように、本発明の界面活性剤担持剤が予め界面活性剤及び/又は界面活性剤と相溶する溶剤を担持したものであることは、本発明の界面活性剤担持剤の好適な形態の1つである。
また、本発明の界面活性剤担持剤に予め界面活性剤及び/又は界面活性剤と相溶する溶剤を担持させたものを界面活性剤の吸収材として使用する使用方法もまた本発明の1つである。
更に、N−ビニルラクタムを含む単量体成分を重合して環状N−ビニルラクタム系架橋体を得る重合工程と、該重合工程で得られた環状N−ビニルラクタム系架橋体に界面活性剤及び/又は界面活性剤と相溶する溶剤を担持させる工程とを含む界面活性剤の吸収材を製造する方法もまた、本発明の1つである。この吸収材の製造方法における、N−ビニルラクタムを含む単量体成分を重合して環状N−ビニルラクタム系架橋体を得る重合工程は、上述した本発明の架橋体(I)の製造方法と同様に行うことが好ましい。
上述したとおり、本発明の界面活性剤担持剤は、良好な界面活性剤の吸着能力と保持能力を有し、化粧品にも使用することができるが、溶媒として水を含むものが多い化粧品に本発明の界面活性剤担持剤を使用する場合、予め界面活性剤や界面活性剤と相溶する溶剤を担持させた界面活性剤担持剤を使用することで、界面活性剤担持剤を吸収しやすいものにして、界面活性剤担持剤により多くの界面活性剤を吸収させることができる。このような、本発明の第1又は第2の界面活性剤担持剤に予め界面活性剤や界面活性剤と相溶する溶剤を担持したものである化粧品用界面活性剤吸収剤、すなわち、界面活性剤吸液能力が担持剤重量の10倍以上の界面活性剤担持剤100質量%に対して、界面活性剤や界面活性剤と相溶する溶剤を担持させた化粧品用界面活性剤吸収剤、及び、環状N−ビニルラクタム系架橋体を含み、該環状N−ビニルラクタム系架橋体はN−ビニルラクタムに由来する構造単位を50〜100モル%含む、界面活性剤担持剤100質量%に対して、界面活性剤や界面活性剤と相溶する溶剤を担持させた化粧品用界面活性剤吸収剤もまた、本発明の1つである。
本発明の界面活性剤担持剤に予め担持させる界面活性剤や界面活性剤と相溶する溶剤の量は、界面活性剤担持剤100質量%に対して、0.01質量%以上、3質量%以下であることが好ましい。このような割合で担持させると、予め界面活性剤や界面活性剤と相溶する溶剤を吸収させることによる作用を充分に発揮しつつ、充分な量の界面活性剤を吸収することができる界面活性剤担持剤とすることができる。予め界面活性剤や界面活性剤と相溶する溶剤を担持させる量は、界面活性剤担持剤100質量%に対して、0.1質量%以上、3質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上、3質量%以下であることが更に好ましい。
上記界面活性剤担持剤に予め担持させる界面活性剤や界面活性剤と相溶する溶剤は、界面活性剤や界面活性剤と相溶する溶剤であれば特に制限されないが、アニオン性界面活性剤や炭素数2〜12の低級〜中級脂肪酸が好ましい。より好ましくは、リノール酸、オレイン酸等の25℃〜45℃、常圧(1気圧)下で液状の低級〜高級脂肪酸である。
本発明の界面活性剤担持剤に界面活性剤を担持させたものは、疎水成分を水系溶媒中で分散させる効果が期待できるため、水系溶媒を含む化粧品に本発明の界面活性剤担持剤を添加することで、化粧品の成分中の疎水成分の分散剤としての効果も期待できる。この場合、本発明の界面活性剤担持剤をそのまま化粧品に添加してもよく、本発明の界面活性剤担持剤に界面活性剤や界面活性剤と相溶する溶剤を予め担持させたものを化粧品に添加してもよいが、分散剤としての効果を充分に発揮させる点から、界面活性剤担持剤に界面活性剤を予め担持させたものを化粧品に添加することが好ましい。
また、本発明の界面活性剤担持剤を含む化粧品を人体に塗布した場合、界面活性剤担持剤が吸液した水を徐放して保湿機能を発揮することも期待される。
本発明の界面活性剤担持剤を使用する化粧品は特に制限されず、例えば、化粧下地、ファンデーション、口紅等の仕上げ用化粧品;化粧水、乳液、日焼け止め、洗顔料等の皮膚用化粧品;シャンプーリンス等の頭髪用化粧品等のいずれの化粧品にも使用することができる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<界面活性剤吸収能力の評価方法>
架橋重合体約0.1gを正確に秤量し(質量W1(g))、4cm×5cmの不織布製のティーバッグの中に入れ、ヒートシールにより封入した。このティーバッグを、界面活性剤としてのリノール酸中に室温で浸漬した。24時間後にティーバッグを引き上げ、キムタオル(日本製紙クレシア株式会社製)の上に乗せて10秒間液切りを行った後、上記ティーバッグの質量(W2(g))を測定した。別途、同様の操作を架橋重合体を用いないで行い、そのときのティーバッグの質量(W0(g))をブランクとして求めた。次式に従って算出した吸液倍率を界面活性剤吸収能力とした。
吸液倍率(g/g)=(W2(g)−W0(g))/W1(g)
<平均粒子径の測定方法>
篩を上から目開きの大きい順に組み合わせ、最上の篩に架橋重合体を入れ、ミクロ形電磁振動ふるい器(筒井理化学器械株式会社製、M−2型)にて10分間振とうした。各篩に残留した混合物の質量を測定してから、各篩の目開きのサイズと該篩を通過できなかった粒子(該篩上に残留した粒子と、より大きな目開きの篩に残留した粒子を合わせたもの)の全体に対する質量比(残留百分率)Rを片対数グラフ(横軸:粒子径(対数目盛)、縦軸:残留百分率)にプロットし、R=50%に相当する粒子径を求めて平均粒子径とした。
<鉄分の含有量の測定方法>
蛍光X線装置Philips PW2404(Panalytical製)を用いて架橋重合体のFeイオン濃度の定量分析し、鉄分の含有量とした。
蛍光X線装置のX線源はRh、出力は電圧60kV、電流値66mAであった。測定範囲は55.5°から59.5°であり、He雰囲気下で測定を行った。
Fe濃度が既知の試料と架橋重合体試料の、Fe−K線の蛍光X線の強度比較により算出した。
<水分含有量の測定方法>
架橋重合体において、150℃で揮発する成分が占める割合を水分含有量として表す。固形分との関係は以下の様になる。
水分含有量(質量%)=100−固形分(質量%)
固形分の測定は、以下のように行った。
底面の直径が約5cmの秤量缶(質量W3(g))に、約1gの架橋重合体を量り取り(質量W4(g))、150℃の無風乾燥機中において1時間静置し、乾燥させる。
乾燥後の秤量缶+架橋重合体の質量(W5(g))を測定し、以下の式より固形分を求めた。
固形分(質量%)=((W5(g)−W3(g))/W4(g))×100
<N−ビニルラクタム系単量体含有量の測定方法>
回転子を入れた容量110mlのスクリュー管に、約1.0gの重合体(質量W6(g))、約100gの脱イオン水(質量W7(g))を量り取り、密栓した。その後、室温下で、マグネチックスターラーを用いて16時間以上撹拌(回転数 600rpm)した。上記操作により、粒子状架橋重合体の残存N−ビニルラクタム系単量体を抽出した。この抽出液を、以下の条件で、液体クロマトグラフで定量分析した。
装置:資生堂「NANOSPACE SI−2」
カラム:資生堂「CAPCELLPAK C18 UG120」、20℃
溶離液:LC用メタノール(和光純薬工業株式会社製)/超純水=1/24(質量比)、1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム 0.4質量%添加
流速:100μL/min
N−ビニルラクタム含有量(ppm)=測定値(ppm)×(W6(g)+W7(g))/W6(g)
<実施例1>
N−ビニルピロリドン(株式会社日本触媒製)(以下、VPとも称する)50部、架橋性単量体としてシアヌル酸トリアリル(以下、CTAとも称する)0.2部(VPに対し0.18モル%)、脱イオン水117部を250mlポリプロピレン(以下「PP」とも称する)製容器に仕込んだ。次いで、マグネチックスターラーで撹拌を開始し、100ml/分で30分間窒素置換を行った。次いで、撹拌を継続しながら56℃まで昇温した。液温を56℃に安定させた後、開始剤として2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(以下、「VA−044」とも称する)の10質量%水溶液を1.13部(VPとCTAの合計の使用量1モルに対し0.25g)添加し、重合を開始した。重合反応が進み、ゲルが生成した後、90℃で30分間熟成を行い、重合を終了した。得られたゲルを卓上ニーダー(株式会社中央理化製PNV-1H型)で解砕し、120℃で2時間乾燥を行うことにより、VP架橋重合体乾燥物を得た。次いで、得られた架橋重合体を粉砕機で目開き38μmのJIS標準篩を通過するまで粉砕して、粒子状のVP架橋重合体1(本発明の界面活性剤担持剤(1))を得た。
本発明の界面活性剤担持剤(1)のVP含有量は500ppm、鉄分の含有量は10〜15ppmであった。
次に、上記VP架橋重合体1(本発明の界面活性剤担持剤(1))に対し、界面活性剤の吸液倍率、平均粒子径、水分量を上記の測定方法にしたがってそれぞれ測定した。測定した諸性能を表1に示す。
<実施例2>
VPを130.0部、架橋性単量体としてCTAを0.52部(VPに対し0.18モル%)、脱イオン水を304.6部、本体槽がステンレス(SUS304)製の卓上型ニーダー(株式会社中央理化製 PNV-1H型)に仕込んだ。次いで、100ml/分で30分間窒素置換を行った。次いで、窒素導入を30ml/分にし、56℃まで昇温した。液温を56℃に安定させた後、開始剤としてVA−044の15質量%水溶液を1.96部(VPとCTAの合計の使用量1モルに対し0.25g)添加し、重合を開始した。重合反応が進み、ゲルが生成した後、ニーダーのブレードを回転させてゲルを解砕しながら、90℃で60分間熟成を行い、重合を終了した。次いで、得られたゲルを120℃で2時間乾燥を行うことにより、VP架橋重合体乾燥物を得た。次いで、得られた架橋重合体を粉砕機で、目開き100μmのJIS標準篩を通過するまで粉砕して、粒子状のVP架橋重合体2(本発明の界面活性剤担持剤(2))を得た。
本発明の界面活性剤担持剤(2)のVP含有量は350ppm、鉄分の含有量10〜15ppmであった。
次に、上記VP架橋重合体2(本発明の界面活性剤担持剤(2))に対し、実施例1と同様の測定方法により各種物性(界面活性剤の吸液倍率、平均粒子径、水分量)を測定した。測定した諸性能を表1に示す。
<実施例3>
VPを130.0部、架橋性単量体としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー株式会社製、商品名:ネオアリルP−30M、ジエタノールアミン(株式会社日本触媒製)でpH6以上にして使用)を1.95部(VPに対し0.65モル%)、脱イオン水を307.9部、卓上型ニーダー(株式会社中央理化製 PNV-1H型)に仕込んだ。次いで、100ml/分で30分間窒素置換を行った。次いで、窒素導入を30ml/分にし、60℃まで昇温した。液温を60℃に安定させた後、開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(以下、「V−50」とも称する)の15質量%水溶液を3.52部(VPとペンタエリスリトールトリアリルエーテルの合計の使用量1モルに対し0.45g)添加し、重合を開始した。重合反応が進み、ゲルが生成した後、ニーダーのブレードを回転させてゲルを解砕しながら、90℃で60分間熟成を行い、重合を終了した。次いで、得られたゲルを120℃で2時間乾燥を行うことにより、VP架橋重合体乾燥物を得た。次いで、得られた架橋重合体を粉砕機で、目開き100μmのJIS標準篩を通過するまで粉砕して、粒子状のVP架橋重合体3(本発明の界面活性剤担持剤(3))を得た。
本発明の界面活性剤担持剤(3)のVP含有量は950ppm、鉄分の含有量は5〜10ppmであった。
次に、上記VP架橋重合体3(本発明の界面活性剤担持剤(3))に対し、実施例1と同様の測定方法により各種物性を測定した。測定した諸性能を表1に示す。
<比較例1>
不純物としてエチレングリコールジアクリレートを0.2質量%含有するアクリル酸2−ヒドロキシエチル(株式会社日本触媒製)(以下、HEAとも称する)90部、脱イオン水209部を600mlのPP製容器に仕込んだ。次いで、マグネチックスターラーで撹拌を開始し、100ml/分で30分間窒素置換を行った。次いで、撹拌を継続しながら40℃まで昇温した。液温を40℃に安定させた後、開始剤としてV−50の20質量%水溶液を1.12部添加し重合を開始した。重合反応が進み、ゲルが生成した後、90℃で30分間熟成を行い、重合を終了した。得られたゲルを卓上ニーダー(株式会社中央理化製PNV-1H型)で解砕し、120℃で2時間乾燥を行うことにより、HEA架橋重合体乾燥物を得た。次いで、得られた架橋体を粉砕機で粉砕、分級して、HEA架橋重合体(比較架橋重合体1)を得た。実施例1と同様の測定方法により各種物性を測定した。測定した諸性能を表1に示す。
<比較例2>
不純物としてエチレングリコールジアクリレートを0.2質量%含有するHEA30部、VP12.3部、架橋性単量体としてCTA0.05部、脱イオン水98.8部を250mlのPP製容器に仕込んだ。次いで、マグネチックスターラーで撹拌を開始し、100ml/分で30分間窒素置換を行った。次いで、撹拌を継続しながら50℃まで昇温した。液温を50℃に安定させた後、開始剤としてV−50の10質量%水溶液を1.5部添加し重合を開始した。重合反応が進み、ゲルが生成した後、90℃で30分間熟成を行い、重合を終了した。得られたゲルを卓上ニーダー(株式会社中央理化製PNV-1H型)で解砕し、120℃で2時間乾燥を行うことにより、HEA/VP架橋重合体乾燥物を得た。次いで、得られた架橋体を粉砕機で粉砕、分級して、HEA/VP架橋重合体(比較架橋重合体2)を得た。実施例1と同様の測定方法により各種物性を測定した。測定した諸性能を表1に示す。
<比較例3>
還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管、T.K.ホモジナイザー(撹拌機、特殊機化工業株式会社製)等を備えたフラスコに、分散安定剤としてのポリオキシエチレンアルキルスルホアンモニウム(第一工業製薬株式会社製、商品名:ハイテノールN−08)0.5部を脱イオン水400部に溶解してなる水溶液を仕込んだ。一方、ステアリルアクリレート99.5部と架橋性単量体としてのエチレングリコールメタクリレート(以下、EGDMAとも称する)0.5部を含む単量体組成物、重合開始剤(有機過酸化物)としての過酸化ラウロイル1.0部を混合してなる混合物を調製した。そして、フラスコ内の水溶液に上記混合物を添加した後、内容物を回転速度4000rpmで5分間、激しく撹拌することにより、均一な懸濁液を得た。次いで、フラスコ内に窒素ガスを吹き込みながら、該懸濁液を75℃に加熱し、同温度で2時間、撹拌しながらラジカル重合反応を行い、微粒子分散液を得た。次いで、微粒子分散溶液を自然沈降により固液分離した。得られたケーキを50℃で10時間乾燥熱風乾燥させることにより吸油性樹脂(比較架橋重合体3)を得た。実施例1と同様の測定方法により各種物性を測定した。測定した諸性能を表1に示す。ただし、比較架橋重合体3の平均粒子径はマルチサイザーIIIコールターカウンター(ベックマン・コールター株式会社製)を用いて、体積基準の粒度分布を計測し、得られた体積基準の粒度分布より算出した。
<比較例4>
従来の吸液性樹脂である市販のポリアクリル酸系吸液性樹脂(株式会社日本触媒製、商品名:アクアリックCA、以下、比較架橋重合体4と記す)について、実施例1と同様の測定方法により各種物性を測定した。尚、上記比較架橋重合体4は、実施例1と同様に粉砕、分級し、VP架橋重合体と平均粒子径を揃えた。
本発明の実施例1〜3で得られたVP架橋重合体、比較例1〜4で得られた比較架橋重合体の評価結果を表1にまとめた。
Figure 2017113709
表1の結果から、本発明の界面活性剤担持剤は、良好な界面活性剤の担持性を有することが明らかとなった。
<実施例4>
実施例1で得られた本発明の界面活性剤担持剤(1)と、予めリノール酸で3倍膨潤((担持剤重量+吸液されたリノール酸)/担持剤重量=3)させた界面活性剤担持剤(1)のリノール酸吸液速度を測定した。
(界面活性剤吸液速度の測定方法)
VP架橋重合体約0.1g(予め界面活性剤としてのリノール酸を担持させた場合は、VP架橋重合体分が約0.1g)を正確に秤量し(質量W8(g))、4cm×5cmの不織布製のティーバッグの中に入れ、ヒートシールにより封入した。このティーバッグを、リノール酸中に室温で浸漬した。0.5〜2時間の間の3点において、ティーバッグを引き上げ、キムタオル(日本製紙クレシア株式会社製)の上に乗せて10秒間液切りを行った後、上記ティーバッグの質量(W9(g))を測定した。別途、同様の操作を架橋重合体を用いないで行い、そのときのティーバッグの質量(W10(g))をブランクとして求めた。次式に従って算出した吸液倍率を界面活性剤吸液能力とした。
吸液倍率(g/g)=(W9(g)−W10(g))/W8(g)
経過時間と界面活性剤吸液倍率の結果を表2に示す。
Figure 2017113709
表2の結果から、本発明の界面活性剤担持剤は、予めリノール酸で3倍膨潤させると、吸液速度が格段に向上することが明らかとなった。
<実施例5>
水と溶剤の混合溶液に対して、予め界面活性剤(リノール酸)を吸液させた本発明の界面活性剤担持剤を水と溶剤の混合溶液へ配合させた場合(配合1)と、界面活性剤を吸液させていない本発明の界面活性剤担持剤を水と溶剤の混合溶液へ配合させた場合(配合2)とを以下のようにして比較した。
(配合1)
実施例1で得られた本発明の界面活性剤担持剤(1)1gに1gのリノール酸を吸液(界面活性剤担持剤(1)のリノール酸吸液倍率2倍)させた。次いで、リノール酸を吸液させた界面活性剤担持剤(1)2gを、流動パラフィン50gと脱イオン水50gの混合液(質量比1対1)に添加し、混合溶液(1)とした。
(混合溶液(1)の評価)
混合溶液(1)を室温で24時間静置後の界面活性剤担持剤(1)の質量増加は、9g(2gから11gに変化)であった。重量増加は、脱イオン水を吸液したことによるものであった。
室温で24時間静置後の混合溶液(1)にリノール酸10gを添加し、室温で5時間静置した。静置後の界面活性剤担持剤(1)の質量増加は、10gであった。重量増加は、リノール酸を吸液したことによるものであった。
(配合2)
本発明の界面活性剤担持剤(1)1gを、流動パラフィン50gと脱イオン水50gの混合液(質量比1対1)に添加し、混合溶液(2)とした。
(混合溶液(2)の評価)
混合溶液(2)を室温で24時間静置後の界面活性剤担持剤(1)の質量増加は、22g(1gから23gに変化)であった。
室温で24時間静置後の混合溶液(2)にリノール酸10gを添加し、室温で5時間静置した。静置後の界面活性剤担持剤(1)の質量増加はなかった。
以上の結果から、混合溶液(1)の様に、界面活性剤担持剤(1)に予め界面活性剤としてのリノール酸を担持させることで、水と溶剤の混合液中でも、界面活性剤担持剤(1)は界面活性剤を吸液できることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 界面活性剤吸液能力が10倍以上の界面活性剤担持剤。
  2. 環状N−ビニルラクタム系架橋体を含み、該環状N−ビニルラクタム系架橋体はN−ビニルラクタムに由来する構造単位を50〜100モル%有する、界面活性剤担持剤。
  3. N−ビニルラクタムの含有量が、界面活性剤担持剤100質量%に対して1〜1000ppmである、請求項1または2に記載の界面活性剤担持剤。
  4. 鉄分の含有量が界面活性剤担持剤100質量%に対して50ppm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の界面活性剤担持剤。
  5. 平均粒子径が0.1〜100μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の界面活性剤担持剤。
  6. 水分含有量が界面活性剤担持剤100質量%に対して0.1〜5質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の界面活性剤担持剤。
  7. アニオン界面活性剤用の担持剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の界面活性剤担持剤。
JP2015252309A 2015-12-24 2015-12-24 界面活性剤の担持剤 Active JP6937547B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015252309A JP6937547B2 (ja) 2015-12-24 2015-12-24 界面活性剤の担持剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015252309A JP6937547B2 (ja) 2015-12-24 2015-12-24 界面活性剤の担持剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017113709A true JP2017113709A (ja) 2017-06-29
JP6937547B2 JP6937547B2 (ja) 2021-09-22

Family

ID=59232959

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015252309A Active JP6937547B2 (ja) 2015-12-24 2015-12-24 界面活性剤の担持剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6937547B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018008759A1 (ja) * 2016-07-08 2018-01-11 株式会社日本触媒 N-ビニルラクタム系架橋重合体、化粧料、インク用吸収剤及び吸収性複合体

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04323213A (ja) * 1991-04-23 1992-11-12 Showa Denko Kk 微粒子状の架橋型n−ビニルアミド樹脂及びミクロゲル、その製造法及び用途
JP2000212048A (ja) * 1999-01-21 2000-08-02 Isp Japan Kk 新規な増粘剤を含有するシャンプ―組成物
JP2006320821A (ja) * 2005-05-18 2006-11-30 Kawamura Inst Of Chem Res アニオン性化合物の吸着方法
JP2012072277A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Nippon Shokubai Co Ltd 環状n−ビニルラクタム系架橋体およびその製造方法
US20120130028A1 (en) * 2010-11-23 2012-05-24 Basf Se Process for the preparation of low-peroxide crosslinked vinyllactam polymer
CN103881033A (zh) * 2014-02-26 2014-06-25 成都理工大学 一种农作物秸秆染料吸附材料的制备方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04323213A (ja) * 1991-04-23 1992-11-12 Showa Denko Kk 微粒子状の架橋型n−ビニルアミド樹脂及びミクロゲル、その製造法及び用途
JP2000212048A (ja) * 1999-01-21 2000-08-02 Isp Japan Kk 新規な増粘剤を含有するシャンプ―組成物
JP2006320821A (ja) * 2005-05-18 2006-11-30 Kawamura Inst Of Chem Res アニオン性化合物の吸着方法
JP2012072277A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Nippon Shokubai Co Ltd 環状n−ビニルラクタム系架橋体およびその製造方法
US20120130028A1 (en) * 2010-11-23 2012-05-24 Basf Se Process for the preparation of low-peroxide crosslinked vinyllactam polymer
CN103881033A (zh) * 2014-02-26 2014-06-25 成都理工大学 一种农作物秸秆染料吸附材料的制备方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018008759A1 (ja) * 2016-07-08 2018-01-11 株式会社日本触媒 N-ビニルラクタム系架橋重合体、化粧料、インク用吸収剤及び吸収性複合体
WO2018008760A1 (ja) * 2016-07-08 2018-01-11 株式会社日本触媒 N-ビニルラクタム系架橋重合体、化粧料、インク用吸収剤及び吸収性複合体
US11173472B2 (en) 2016-07-08 2021-11-16 Nippon Shokubai Co., Ltd. N-vinyl lactam-based crosslinked polymer, cosmetic, absorbent agent for ink, and absorbent composite
US11786763B2 (en) 2016-07-08 2023-10-17 Nippon Shokubai Co., Ltd. N-vinyl lactam-based crosslinked polymer, cosmetic, absorbent agent for ink, and absorbent composite

Also Published As

Publication number Publication date
JP6937547B2 (ja) 2021-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11173472B2 (en) N-vinyl lactam-based crosslinked polymer, cosmetic, absorbent agent for ink, and absorbent composite
EP1840137B1 (en) Method of Producing Polyacrylic Acid (Salt) Water-Absorbent Resin
JP2530668B2 (ja) 改良された吸水性樹脂の製造法
JPS648006B2 (ja)
JP5980325B2 (ja) 高い膨潤速度を有する吸水性ポリマー粒子の製造法
JPS62227904A (ja) 架橋された微粒状重合体の非連続的製法
JP5509525B2 (ja) 重合体微粒子の製造方法
KR102562511B1 (ko) 킬레이트제를 포함하는 흡수성 수지의 제조 방법
JPH03195713A (ja) 高吸水性ポリマーの製造法
JP6876394B2 (ja) N−ビニルラクタム系架橋重合体の製造方法及びn−ビニルラクタム系架橋重合体
JP5042674B2 (ja) ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法
JP6937547B2 (ja) 界面活性剤の担持剤
JP2009074025A (ja) 吸水性樹脂の製造方法
JP6706040B2 (ja) 徐放性薬剤用ゲル化剤
JP6368211B2 (ja) 新規架橋体組成物およびその製造方法
JP2012207139A (ja) 吸収性樹脂の製法及び吸収性樹脂
JP6694309B2 (ja) 重合体複合組成物
JP6938316B2 (ja) 吸収性複合体
JP2019026697A (ja) 重合性モノマー、並びに、それを用いたポリマー、ゲル及びゲル化方法
JP2024052478A (ja) 架橋重合体
JP2017185214A (ja) 消臭剤
JP2021107509A (ja) 皮脂捕捉用架橋ポリマー
JPH09111038A (ja) 親水性ゲルおよび吸放湿材
JPH03195708A (ja) 高吸水性ポリマーの製造法
JPS6375016A (ja) アルコ−ル吸収性多孔性ポリマ−

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180906

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190604

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191001

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200225

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200417

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200707

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20201002

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20210511

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20210629

C23 Notice of termination of proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23

Effective date: 20210727

C03 Trial/appeal decision taken

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03

Effective date: 20210831

C30A Notification sent

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012

Effective date: 20210831

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210831

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6937547

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150