JP2006320821A - アニオン性化合物の吸着方法 - Google Patents

アニオン性化合物の吸着方法

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Abstract

【課題】 高強度、高吸水性などの優れた特質を有する高分子ゲルに、アニオン性化合物を吸着する方法を提供すること。
【解決手段】 アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルと、カチオン性化合物を臨界ミセル濃度以上含む水溶液とを接触させてカチオン性化合物を吸着させた高分子ゲルに、アニオン性化合物を含む溶液を接触または透過させることを特徴とする高分子ゲルへのアニオン性化合物の吸着方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は高分子ゲルを吸着剤として用いるアニオン性化合物の吸着方法に関する。
一般に、イオン性化合物の吸着方法としては、イオン交換性高分子を用いる方法、活性炭を用いる方法、ゼオライトを用いる方法などが知られており、イオン性化合物の電荷(イオン性)や分子の大きさの違いに基づく吸着が行われている。このように数多くの材料がイオン性物質の吸着に用いられるのは、用途に応じて幅広い性能が必要とされるためで、例えば、イオン性化合物の吸着性と共に、耐熱性、耐溶剤性、機械的強度、柔軟性、低汚染性、高選択性、大容量性などの性質を有する材料が用途に応じて用いられている。
高分子ゲルは素材が多量の溶媒(例:水)を含むことができるため、吸水性、透過性、及び柔軟性に優れており、医療分野を始めとする多くの分野で吸着材として用いることが期待されている。イオン性化合物の吸着能を有する高分子ゲルとしては、これまで高分子電解質ゲルが知られている。例えば、カチオン性化合物の吸着にはカルボキシル基やスルホン基などのアニオン性基を含む電解質高分子(例:ポリアクリル酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸))をゲル化させたものが広く用いられ、大きい吸水性やイオン吸着能、イオン交換能を有することが特徴である。一方、アニオン性化合物の吸着には3級アミン塩や4級アンモニウム塩などのカチオン性基を含む電解質高分子をゲル化させたものが用いられている。しかし、いずれの場合も、かかる高分子電解質ゲルは、有機架橋剤を用いたり、放射線を照射してゲル化される、高分子鎖間が共有結合で架橋された有機架橋ゲルであるため、ゲルとしての強度・柔軟性に劣るなどの欠点を有していた。
一方、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(以下、PNIPAと略称する)やポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)(以下、PDMAAと略す)のような非電解質高分子のゲルは、吸水性は有するが、イオン性分子などの溶質を吸着する性能はない。またこの内、PNIPAからなるゲルは温度やPH等の外部刺激により体積変化を示し、ゲル内部の水や溶質を外部に放出する性能を有する。しかし、該高分子ゲルも、放出に際して溶質の選択性はなく、また選択的に吸収することもなかった。更に、これらの非電解質高分子ゲルもまた、有機架橋剤を使用したり放射線照射により得られる有機架橋ゲルであるため、力学的に弱い、脆いという欠点を有していた。
本発明者らはこれまでに、PNIPAやPDMAAなどのアミド基含有高分子化合物とクレイからなる三次元網目を形成させることで、高強度、高吸水性の高分子ゲルとなることを報告している(特許文献1)。さらに、該高分子ゲルは、クレイの表面が負に帯電しているため、選択的にカチオン性化合物を吸着する性質を有することを報告している(特許文献2)。このように、該高分子ゲルは高強度、高吸水性の特徴と共にカチオン性化合物を吸着する性質を有している。しかし、一般に、生体関連高分子や、有機排水や汚泥に含まれる懸濁粒子などは負に帯電している(アニオン性である)場合が多く、該高分子ゲルでは吸着されない問題点があった。
特開平2002−053762号公報 特開2004−195289号公報
本発明が解決しようとする課題は、高強度、高吸水性などの優れた特質を有する高分子ゲルに、アニオン性化合物を吸着する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究に取り組んだ結果、アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルを用い、特定のカチオン性化合物を特定の条件で予め吸着させた後、アニオン性化合物を含む溶液を接触または透過させることで、アニオン性化合物を吸着できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の吸着方法によれば、均一性、膨潤性、温度応答性、力学的性質などに優れた、アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルを用いて、アニオン性化合物を吸着させることができ、アニオン性化合物の選択的除去、取り出しなどに用いられる。本発明におけるアニオン性化合物の吸着方法は、柔軟且つ強靱で繊維状、微粒子状、膜状、又は中空糸状などの形態に成形可能な高分子ゲルが用いられることから、分析、医療、廃物処理、その他の種々の分野で広く応用できる。
本発明で溶質分離材として用いる高分子ゲルは、アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルであり、好ましくは高分子を架橋するのに通常用いられる有機架橋剤や放射線による架橋を用いることなく前記三次元網目を形成したものである。
高分子ゲルを形成するアミド基含有高分子化合物は、水に溶解するアミド基含有モノマーを重合して得られるものであり、水に溶解するアミド基含有ビニルモノマーを重合して得られるものが好ましく、得られるアミド基含有高分子化合物が水に溶解または膨潤するものは特に好ましい。また、アミド基含有高分子化合物はアミド基以外に水と親和性を有する官能基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボン酸基など)を併せて有するものであってもよい。
アミド基含有高分子化合物の例としては、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、アクリルアミドなどのアミド基含有重合性モノマーの中から選択される1種又は2種以上を重合して得られる高分子が挙げられる。
アミド基含有高分子化合物の具体例として、例えば、ポリ(N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(N−メチルメタクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピロリディン)、ポリ(N−アクリロイルモルフォリン)、ポリ(N−アクリロイルピペリディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルホモピペラディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルピペラディン)、ポリ(アクリルアミド)等が例示される。
また上記アミド基含有重合性モノマーとその他の重合性モノマーの併用も本発明に言う高分子ゲルが形成される限りにおいて可能である。また、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)やポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)などのように相転移を示す臨界温度を有し、外部刺激でゲル体積を変化させるような刺激応答性水溶性高分子からなるものは特に好ましく用いられる。
高分子ゲルを形成する粘土鉱物としては、粘土層表面に荷電を有し、且つ水中で膨潤または層状に解離する水膨潤性粘土鉱物であることが好ましく、より好ましくは単層または複数層の小さい単位に水中で微細に分散するものである。好ましい粘土鉱物の具体例としては、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
本発明で用いる高分子ゲルを形成するアミド基含有高分子化合物と粘土鉱物の量は、アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物が三次元網目を形成出来れば良く、特に限定されないが、粘土鉱物/アミド基含有高分子化合物の質量比が0.001〜10であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5、特に好ましくは0.1〜1である。
本発明で用いる高分子ゲルはその三次元網目の中に多量に溶媒を含有でき、該含有する溶媒を可逆的に吸収、放出できる。その溶媒として、水または水と混和する有機溶媒またはそれらの混合溶媒などの溶媒が用いられる。好ましくは水または水を主成分とする溶媒である。
本発明に使用する高分子ゲルは、強度、伸び、タフネスなどの優れた力学物性を有する。特に上記の高い水吸収性と共に、優れた機械的性質を併せ持つものが含まれることが特徴である。高分子ゲルの力学物性としては、高分子ゲルの水含有率により異なるが、好適には、含水率90%の条件において、1kPa以上の引っ張り弾性率、20kPa以上の引っ張り強度、および50%以上の破断伸びを有するものが挙げられる。
本発明で用いる高分子ゲルは、前記アミド基含有重合性モノマーと必要に応じてその他の重合性モノマーとを粘土鉱物の共存下、好ましくは層状剥離した粘土鉱物の共存下において水性溶媒中で重合させることにより製造することができる。
本発明ではアニオン吸着性を高分子ゲルに誘発させる方法として、該高分子ゲルに、まずカチオン性化合物を含む溶液が接触させられる。ここで、カチオン性化合物は高分子ゲル中に含まれる粘土鉱物の陽イオン交換容量以上に吸着されることが重要であり、高分子ゲル中に含まれる粘土鉱物の陽イオン交換容量の3倍以上とすることが好ましく、5倍以上とすることがより好ましい。カチオン性化合物を陽イオン交換容量以下しか吸着しない場合は、該高分子ゲルにアニオン吸着性が発現されない。
本発明において用いるカチオン性化合物としては、該高分子ゲルに吸着されるものであって、吸着後に、該高分子ゲルにアニオン吸着性を発現させるものであれば良く、有機カチオンや無機カチオンまたこれらの混合物の中から選択して用いられる。本発明におけるカチオン性化合物としては、臨界ミセル濃度を有するカチオン界面活性剤が用いられる。また、カチオン基と共にアニオン基やノニオン基を含むもの、例えば、両性イオン界面活性剤なども用いられる。かかるカチオン性化合物を含む溶液の溶媒としては、水または水と混和する有機溶媒、またはそれらの混合溶媒などの溶媒が用いられる。水と混和する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンなどが例示される。
本発明において用いられるカチオン性化合物としては、具体的には、脂肪鎖やベンジル基などの疎水性基と共に4級アンモニウム塩基や3級アミン塩基を有するカチオン性界面活性剤が上げられる。例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキル(ヤシ)トリメチルアンモニウムクロライド、アルキル(牛脂)トリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキル(ヤシ)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−2−アルキル(牛脂)イミダゾリン4級塩、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、アルキルアンモニウムハイドロオキサイド、アルキルベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、アルキルイミダゾリンなどが上げられる。特に好ましくは、炭素数5以上の脂肪鎖を有するカチオン界面活性剤があげられる。この他のカチオン性化合物としては、メチレンブルー、ローダミンB、フタロシアニン、またアミン変性されたヘパリンやタンパク質やDNA分子などがあげられる。また無機のカチオン性化合物としては、アルミニウム、銅、亜鉛、カリウム、カルシウムなどの無機イオンがあげられる。なお、以上のカチオン性化合物を単独で用いるほか、二種以上併用して用いることも可能である。
上記カチオン性化合物のなかでも、炭素数3以上の脂肪鎖を有するカチオン界面活性剤を用いることが好ましく、より好ましくは炭素数5以上の脂肪鎖、特に好ましくは炭素数8以上の脂肪鎖を有するカチオン界面活性剤が用いられる。
本発明において行われるカチオン性化合物の高分子ゲルへの吸着においては、カチオン性化合物を臨界ミセル濃度以上含有する水溶液と高分子ゲルとを接触させる。臨界ミセル濃度以上のカチオン性化合物溶液を用いることにより、高分子ゲル中に含まれる粘土鉱物の陽イオン交換容量以上のカチオン性化合物が高分子ゲル中に吸着され、高分子ゲルが好適なアニオン吸着性を示す。
本発明において吸着させるアニオン性化合物としては、吸着対象となるアニオン性を有する物であれば良く特に限定されない。例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基などのアニオン性基を有する染料、顔料、生体高分子、界面活性剤、懸濁粒子などが上げられる。
本発明において高分子ゲルにアニオン性化合物を含む溶液を接触又は透過させて、対象のアニオン性化合物を高分子ゲルに吸着させるには、まず、高分子ゲルに前記の要領で、粘土鉱物の陽イオン交換容量以上のカチオン性化合物を吸着させ、その後、アニオン性化合物を含む溶液を接触または透過させることが必要である。カチオン性化合物吸着高分子ゲルとしては、カチオン性化合物を吸着後に洗浄したもの、及び未洗浄のもののいずれもが、目的に応じて選択して用いられる。より好ましくは、カチオン性化合物吸着後に高分子ゲルを洗浄して、カチオン性化合物が、それ以上放出されることなく、安定して該高分子ゲルに吸着されているものである。
このように、本発明では、予め高分子ゲルに所定量以上のカチオン性化合物を特定条件下で吸着させることにより、その後、アニオン性化合物を該高分子ゲルに吸着させることが可能となる。高分子ゲルの高い吸着能を実現するには、高分子ゲルを繊維状、微粒子状、膜状、又は中空糸状の形態に成形しておくことは好ましい。
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
(参考例1)
粘土鉱物として[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する水膨潤性合成ヘクトライト(商標ラポナイトXLG:カルシウムイオン(陽イオン)交換容量=104ミリ当量(meq)/100gヘクトライト)を用いた。有機モノマーはN−イソプロピルアクリルアミド(NIPA:興人株式会社製)をトルエンとヘキサンの混合溶媒を用いて再結晶し、無色針状結晶に精製してから用いた。重合開始剤は、ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS:関東化学株式会社製)をKPS/水=0.20/10(g/g)の割合で脱酸素した純水中に溶解し、水溶液にして使用した。触媒は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED:関東化学株式会社製)を使用した。純水は、全て高純度窒素をあらかじめ3時間以上バブリングさせ、含有酸素を除去してから使用した。
20℃の恒温室において、内部を窒素置換した丸底ガラス容器に、純水19.02g、ラポナイトXLG0.381g、NIPA2.26gからなる無色透明の溶液を調製した。次いで、KPS水溶液1.0gとTEMED16μlを加え、この溶液の一部を底の閉じた内径5.5mm、長さ150mmのガラス管容器に酸素に触れないようにして移した後、上部に密栓をし、20℃の恒温水槽中で20時間静置して重合を行った。これらの溶液調製から、重合までの操作は、全て酸素を遮断した窒素雰囲気下で行った。重合後に、均一・透明で弾力性のある高分子ゲルが得られた。なお、高分子ゲルおよびその乾燥物に対する熱重量分析(セイコー電子工業株式会社製TG−DTA220:室温〜600℃)、フーリエ変換赤外線吸収スペクトル測定(日本分光株式会社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−550)、乾燥重量測定により、得られた高分子ゲルはモノマー(NIPA)の99.8%が重合し、初期反応溶液と同じ割合の粘土鉱物(ラポナイトXLG)を含む高分子ゲルであることが確認された。広角X線回折(理学機器製:X線回折装置RINTULTIMA)および透過型電子顕微鏡観察(日本電子株式会社製JEM−200CX:加速電圧100KV)により、ゲル内部で粘土鉱物が層状剥離して分子状に分散していることが確認された。また、力学延伸試験(引っ張り試験装置、島津製作所製:卓上型万能試験機AGS−H)の結果、強度、弾性率、破断伸びがそれぞれ、50kPa、2.5kPa、1200%であり、柔らかさと強靱さを有していることが確認された。以上のことより、合成により得られたものは、ポリN−イソプロピルアクリルアミド(PNIPA)と粘土鉱物(ラポナイトXLG)と水からなり、合成過程において有機架橋剤を添加していないにもかかわらず、水に溶解することなく、水中で温度に応じて膨潤/収縮をする透明・均一な高分子ゲルであること、高分子ゲル中では、層状剥離した粘土鉱物とそれらを結合したPNIPAからなる三次元網目が形成されていると結論された。
本参考例で得られた高分子ゲルは、特定の温度(Tc)以下では膨潤し、Tc以上の温度では収縮する性質を示した。膨潤・収縮の体積変化から、Tcは32℃であった。
(実施例1〜3)
参考例1で得られた透明・均一な高分子ゲルを直径5.5mm、長さ約5mmの円盤状にきりとり、合計で約1gを20℃の純水300mlの中に投入して膨潤させ、次いで50℃の純水300mlの中に入れ収縮させた。この膨潤/収縮処理を新たな純水を用いて数回繰り返し、最後に20℃の純水中で高分子ゲルが初めの重量の3倍になるまで膨潤させた。以上の洗浄および膨潤を行った高分子ゲルを用いて、以下の実験を行った。
高分子ゲルを15mMの濃度のカチオン界面活性剤水溶液に20℃で20時間浸漬し、得られたカチオン界面活性剤を含有する高分子ゲルを20℃および50℃の純水中で計3回ずつ交互に膨潤および収縮させ、ゲル内部の未吸着カチオンを放出させて、カチオン界面活性剤吸着高分子ゲルを得た。用いたカチオン界面活性剤は、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(実施例1)、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(実施例2)、1−ラウリルピリジニウムクロライド(実施例3)であり、各界面活性剤水溶液の臨界ミセル濃度は各々0.9mM(実施例1)、14mM(実施例2)、15mM(実施例3)であった。カチオン界面活性剤の吸着量を熱重量分析(セイコー電子製SSC5200)または紫外線吸収スペクトル測定(日本分光製V−530)により評価した結果、いずれも高分子ゲルに含まれる粘土鉱物の陽イオン交換容量より多く(陽イオン交換容量の3〜10倍)吸着されていた。引き続き、このカチオン界面活性剤吸着高分子ゲルを、5mMのオレンジ2(アニオン性染料)水溶液に20時間浸漬させた。最後に、得られたオレンジ2含有高分子ゲルを、再び20℃および50℃の純水中で計3回ずつ交互に膨潤および収縮させ、ゲル内部の未吸着アニオンを放出させた。アニオン性染料の吸着による着色度合いを目視により確認したところ、得られた高分子ゲルは、いずれもオレンジ色に着色しており、アニオン性化合物(オレンジ2染料)が高分子ゲルに吸着されたことが明らかとなった。オレンジ色の着色度合いは、実施例1が最も濃く、実施例2と実施例3はほぼ同等であった。
(実施例4、比較例1)
カチオン界面活性剤の濃度が1.4mM(実施例4)および0.14mM(比較例1)である以外は実施例1と同じ条件でカチオン吸着高分子ゲルのアニオン吸着性を調べた。その結果、実施例4では最終の高分子ゲルはオレンジ色に着色し、アニオンを吸着していたが、比較例1では最終の高分子ゲルは無色透明でアニオン(オレンジ2)を吸着しなかった。
(比較例2)
カチオン界面活性剤の吸着過程およびその洗浄過程を含まない以外は、実施例1と同様にして、高分子ゲルへのオレンジ2の吸着試験を行った。即ち、洗浄された高分子ゲルを、カチオン界面活性剤を吸着させることなく、直接オレンジ2水溶液に浸漬し、その後、膨潤/収縮による洗浄を行った。その結果、得られた高分子ゲルはオレンジ2を一切吸着せず、無色透明であった。
(比較例3)
カチオン界面活性剤として、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドを用いる以外は実施例1と同様にして、高分子ゲルへのアニオン吸着性を調べた。なお、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドの臨界ミセル濃度は100mMまでで測定されず、無いか、それ以上と推定された。得られた高分子ゲルは、オレンジ2を一切吸着せず、無色透明であった。

Claims (4)

  1. アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルと、カチオン性化合物を臨界ミセル濃度以上含む水溶液とを接触させてカチオン性化合物を吸着させた高分子ゲルに、アニオン性化合物を含む溶液を接触または透過させることを特徴とする高分子ゲルへのアニオン性化合物の吸着方法。
  2. 前記カチオン性化合物が炭素数3以上の脂肪鎖を有するカチオン界面活性剤である請求項1又に記載の高分子ゲルへのアニオン性化合物の吸着方法。
  3. 前記三次元網目を形成してなる高分子ゲルが、含水率90%の条件において、1kPa以上の引っ張り弾性率、20kPa以上の引っ張り強度、および50%以上の破断伸びを有する高分子ゲルである請求項1又は2に記載の高分子ゲルへのアニオン性化合物の吸着方法。
  4. 前記三次元網目を形成してなる高分子ゲルが、水に均一に分散した粘土鉱物の存在下で、アミド基含有モノマーを重合させてなる高分子ゲルである請求項1〜3のいずれかに記載の高分子ゲルへのアニオン性化合物の吸着方法。
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