JP2017112273A - 高電圧保護部材形成用樹脂組成物、半導体装置および電子部品 - Google Patents

高電圧保護部材形成用樹脂組成物、半導体装置および電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】端子間領域への樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスに優れており、かつ過電圧保護機能を有した構造体を歩留りよく作製するために有用な高電圧保護部材形成用樹脂組成物、およびこれを利用した半導体装置および電子部品を提供する。【解決手段】硬化物が、電圧−電流特性がオームの法則に従わない非直線性を示す高電圧保護部材形成用樹脂組成物であって、熱硬化性樹脂と、粒界部と、前記粒界部によって離隔された複数の結晶部とを有する半導体セラミックス粒子と、を含み、前記半導体セラミックス粒子の平均粒径d50をD[μm]とし、当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物に関する25℃以上150℃以下の温度での最低溶融粘度の値をη[Pa・s]としたとき、S=D2/ηで表される沈降指標S[(μm)2/(Pa・s)]の値が、300(μm)2/(Pa・s)以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、高電圧保護部材形成用樹脂組成物、半導体装置および電子部品に関する。
近年、高密度に実装できる技術が進歩したことに伴い、電子部品の小型化および軽量化が進んでいる。それ故、電子部品内に実装されている回路は、高密度化される傾向にある。
ここで、電子部品内に実装されている回路を高密度化した場合には、静電気等の過電圧が印加されることにより、当該電子部品の誤作動が生じる、当該電子部品が損傷する等の不都合が生じる可能性は高まる傾向にある。
こうした事情に鑑みて、電子部品内に実装した回路中に搭載されている電子素子を、静電気等の過電圧から保護するための技術についていくつかの報告がなされている(特許文献1〜3等)
特許文献1〜3には、電子部品本体の外部端子全体にシールして覆うように用いる、バリスタ機能を有した樹脂材料に係る技術が記載されている。つまり、特許文献1〜3には、上述した電子素子を耐電圧保護部材により直接覆うことにより、過渡電圧が当該電子素子に印加された場合に上述した不都合が生じることを抑制する技術が開示されている。
特開平06−244001号公報 特開平06−244002号公報 特開平06−244003号公報
しかし、本発明者らは、第1の端子と第2の端子とを有する電子部品における上記2つの端子間領域を、特許文献1〜3に記載されている従来の樹脂材料により埋設して得られた構造体を作製した場合、かかる構造体が電圧−電流特性がオームの法則に従わない良好な非直線性(バリスタ特性)を発現しない場合があることを知見した。そこで、本発明者らは、従来の樹脂材料を用いて作製した構造体においてバリスタ特性が発現しない要因について鋭意検討した結果、端子間領域への樹脂の埋め込み不良や、端子間領域へのバリスタ粒子(バリスタ機能を発現する半導体セラミックス粒子)の充填不良等の問題が生じている可能性があることを見出した。
そこで、本発明は、端子間領域への樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスに優れており、かつ過電圧保護機能を有した構造体を歩留りよく作製するために有用な高電圧保護部材形成用樹脂組成物、およびこれを利用した半導体装置および電子部品を提供する。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、バリスタ粒子を含む樹脂組成物について、その樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスを向上させるためには、上記バリスタ粒子の沈降挙動を制御することが設計指針として有効であるという知見を得て、本発明を完成させた。
本発明によれば、硬化物が、電圧−電流特性がオームの法則に従わない非直線性を示す高電圧保護部材形成用樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂と、
粒界部と、前記粒界部によって離隔された複数の結晶部とを有する半導体セラミックス粒子と、
を含み、
前記半導体セラミックス粒子の平均粒径d50をD[μm]とし、当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物に関する25℃以上150℃以下の温度での最低溶融粘度の値をη[Pa・s]としたとき、S=D/ηで表される沈降指標S[(μm)/(Pa・s)]の値が、300(μm)/(Pa・s)以上である、高電圧保護部材形成用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、上記高電圧保護部材形成用樹脂組成物の硬化物を備えた半導体装置が提供される。
さらに、本発明によれば、上記高電圧保護部材形成用樹脂組成物の硬化物を備えた電子部品が提供される。
本発明によれば、端子間領域への樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスに優れており、かつ過電圧保護機能を有した構造体を歩留りよく作製するために有用な高電圧保護部材形成用樹脂組成物、およびこれを利用した半導体装置および電子部品を提供できる。
本実施形態に係る半導体セラミックス粒子の拡大断面図である。 本実施形態に係る構造体の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る構造体の一例を示す模式図である。 電流値の測定結果からバリスタ電圧を算出する方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<<高電圧保護部材形成用樹脂組成物>>
本実施形態に係る高電圧保護部材形成用樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」とも示す。)の硬化物は、電圧−電流特性がオームの法則に従わない非直線性を示すものである。
具体的に、本樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、粒界部と、前記粒界部によって離隔された複数の結晶部とを有する半導体セラミックス粒子と、を含むものである。そして、本樹脂組成物は、半導体セラミックス粒子の平均粒径d50をD[μm]とし、当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物に関する25℃以上150℃以下の温度での最低溶融粘度の値をη[Pa・s]としたとき、S=D/ηで表される沈降指標S[(μm)/(Pa・s)]の値が、300(μm)/(Pa・s)以上であるものである。
これにより、端子間領域への樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスに優れており、かつ過電圧保護機能を有した構造体を歩留りよく作製するために有用な高電圧保護部材形成用樹脂組成物を実現することができる。つまり、本樹脂組成物によれば、電子部品の回路内に配置される電子素子自体の内部に、静電気等の過電圧から保護する機能を有した構成を歩留りよく具備させることが可能となる。
なお、本樹脂組成物を適用可能な上記電子部品の具体例としては、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、パソコン、テレビのような民生機器、サーバー、ルーター装置、ロボットのような産業機器の他、自動車、航空機、列車、船舶のような移動体等の電子機器に備わる電子部品等が挙げられる。
ここで、本樹脂組成物を用いて作製することが可能な構造体が有する、電圧−電流特性がオームの法則に従わない非直線性(バリスタ特性)とは、少なくとも2つの電極端子を備えた電子部品に対して徐々に増大する電圧を印加した際に、一般的にバリスタ素子と呼ばれている過電圧保護素子に流れる電流が非直線的に増大する特性のことを指す。本実施形態において、上記バリスタ特性を有した構造体とは、具体的には、第1の端子と第2の端子とを有する電子部品に搭載させる構造体であり、上記構造体を電子部品に搭載させた時、第1の端子と第2の端子との間の電圧が装置の耐電圧以下である場合には絶縁性を示し、かつ第1の端子と第2の端子との間の電圧が装置の駆動電圧を超えた場合には導電性を示すものを指す。なお、本実施形態に係る構造体の有する特性が、上述したように絶縁性から導電性に変換される電圧や、導電性から絶縁性に変換される電圧のことを、以下、バリスタ電圧と称する。
以下、本実施形態に係る高電圧保護部材形成用樹脂組成物について、詳細に説明する。
本発明者らは、従来の樹脂材料を用いて電子部品に設けられた2つの端子間を埋設して得られた構造体を作製した場合には、かかる構造体が良好なバリスタ特性を発現しない場合があることを知見した。本発明者らは、従来の樹脂材料を用いて作製した構造体においてバリスタ特性が発現しない要因について鋭意検討した結果、2つの端子間領域を樹脂で十分に埋め込めていない(埋め込み不良が生じている)、2つの端子間領域にバリスタ粒子を十分に充填できていない(粒子の充填不良)等の問題が生じている可能性があることを見出した。
ここで、上述したバリスタ特性を示す部材(構造体)を作製するためには、以下の3つの特性を有する樹脂組成物を作製する必要がある。上記樹脂組成物に要求される第1の特性は、バリスタ特性を示す部材の使用対象である電子素子中に備わる電極端子の形状に対応できるように、上記部材の形状を制御できる程度に優れた成形性である。上記樹脂組成物に要求される第2の特性は、従来の電子部品において電極端子を保護するために使用されていた封止材の有する機能、すなわち、耐久性、耐湿性および密着性等の要求特性を保持していることである。上記樹脂組成物に要求される第3の特性は、当該樹脂組成物が十分なバリスタ特性を発現できることである。
本発明者らは、上述した3つの要求特性を満たすことを前提に、端子間領域への樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスに優れた樹脂材料を作製するための設計指針について鋭意検討した結果、バリスタ特性を備えた半導体セラミックス粒子の沈降挙動を制御することが有効であるとの知見を得た。具体的には、本発明者らは、かかる樹脂材料中に配合する半導体セラミックス粒子のサイズと、当該樹脂材料の粘性とのバランスを制御することがその設計指針として有効であることを見出した。
くわえて、本発明者は、上述した第1の特性を満たす観点、すなわち、十分な成形性を実現する観点から、上述したバリスタ特性を示す部材を作製する方法としては、ポッティング、スクリーン印刷、圧縮成形法またはトランスファー成形法、を採用することが望ましいことも知見した。それ故、本樹脂組成物は、液状、顆粒状、タブレット状またはシート状の形態に加工されたものを適用することができる。なお、シート状の形態に加工されたものを用いる場合には、ラミネーターを用いてラミネーションを行う方法を採用してもよい。
本樹脂組成物は、上述した通り、半導体セラミックス粒子の平均粒径d50の値D[μm]と、当該樹脂組成物に関する25℃以上150℃以下の温度での最低溶融粘度η[Pa・s]の値とから算出される沈降指標S(S=D/η)[(μm)/(Pa・s)]の値が、300(μm)/(Pa・s)以上となるように制御するものである。こうすることで、成形性を損なうことなく、過電圧保護機能を有した構造体を歩留りよく作製可能であり、かつ端子間領域への樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスに優れた樹脂組成物とすることができる。
本樹脂組成物に係る沈降指標S(S=D/η)[(μm)/(Pa・s)]の下限値は、300(μm)/(Pa・s)以上であるが、好ましくは、500(μm)/(Pa・s)以上であり、さらに好ましくは、600(μm)/(Pa・s)以上である。こうすることで、2つの電極端子間領域への半導体セラミックス粒子の充填性と樹脂埋め込み性とのバランスを向上させることができる。一方、本樹脂組成物に係る沈降指標S(S=D/η)[(μm)/(Pa・s)]の上限値は、好ましくは、100万(μm)/(Pa・s)以下であり、さらに好ましくは、10万(μm)/(Pa・s)以下であり、特に好ましくは、2万(μm)/(Pa・s)以下である。
こうすることで、2つの電極端子間の領域の樹脂埋め込み性、半導体セラミックス粒子の充填性を向上させることが可能である。また、樹脂組成物調製後の均一性や、室温あるいは低温における保存安定性に優れた樹脂組成物とすることができる。
また、本樹脂組成物は、25℃以上150℃以下の温度での最低溶融粘度の値が、0.001Pa・s以上10Pa・s以下であることが好ましく、0.01Pa・s以上5Pa・s以下であるとさらに好ましい。こうすることで、半導体セラミックス粒子の沈降速度を、速すぎず、かつ、遅すぎない範囲に収めることができる。そのため、最低溶融粘度が上記数値範囲内である場合には、結果として、成形性とともに、樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスに優れた樹脂組成物とすることができる。
なお、上記最低溶融粘度は、たとえば、粘弾性測定装置(Rheo stress RS−10 HAAKE、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を用い、昇温速度10℃/min、周波数0.1Hzの条件下、歪み一定−応力検知で測定することができる。
<熱硬化性樹脂>
本樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂、変性フェノール型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;ビスマレイミド化合物等のマレイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ジアリルフタレート樹脂;シリコーン樹脂;ベンゾオキサジン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等のシアネートエステル樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーとを併用してもよい。
熱硬化性樹脂の含有量は、本樹脂組成物全量に対して、好ましくは、10質量%以上80質量%以下であり、さらに好ましくは、15質量%以上75質量%以下である。熱硬化性樹脂の含有量を上記下限値以上とすることにより、熱硬化性樹脂の流動性低下を抑制することができる。また、熱硬化性樹脂の含有量を上記上限値以下とすることにより、熱硬化性樹脂の熱放散性の低下を抑制できるとともに、本樹脂組成物からなる構造体の備えるバリスタ特性が低下することを抑制することができる。
本樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂を用いることが好ましい。こうすることで、生産性、成形性および封止対象物への形状追従性という観点において優れた高電圧保護部材形成用樹脂組成物を実現することができる。また、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂を熱硬化性樹脂として配合した場合には、本樹脂組成物の硬化物との密着性に優れ、かつ耐熱性および耐湿性のバランスという観点において良好な特性を示す電子部品を実現することができる。
特に、本樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合には、生産性、成形性および封止対象物への形状追従性、耐熱性、耐湿性、密着性および電気特性等の観点において優れた高電圧保護部材形成用樹脂組成物とすることができる。
上記エポキシ樹脂としては、その分子量、分子構造に関係なく、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を使用することが可能である。このようなエポキシ樹脂の具体例としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、本樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂を用いた場合には、上述した3つの要求特性に加えて、Si由来の無機的性質に起因した無機系材料に対する良好な親和性という観点において優れた高電圧保護部材形成用樹脂組成物とすることができる。
硬化型シリコーン系樹脂の主剤および硬化剤は、1官能性シラン由来の繰り返し単位、2官能性シラン由来の繰り返し単位、3官能性シラン由来の繰り返し単位、および4官能性シラン由来の繰り返し単位のうちの少なくとも1種を繰り返し単位として含んでいてもよい。
ここで、1官能性シラン由来の繰り返し単位とは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(M単位)のことをいう。
SiO1/2 (1)
[ただし、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基等の非反応性官能基、またはビニル基、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エポキシ基等の反応性官能基を示す。]
また、2官能性シラン由来の繰り返し単位とは、下記一般式(2)で表される繰り返し単位(D単位)のことをいう。
SiO2/2 (2)
[ただし、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基等の非反応性官能基、またはビニル基、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エポキシ基等の反応性官能基を示す。]
また、3官能性シラン由来の繰り返し単位とは、下記一般式(3)で表される繰り返し単位(T単位)のことをいう。
RSiO3/2 (3)
[ただし、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基等の非反応性官能基、またはビニル基、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エポキシ基等の反応性官能基を示す。]
また、4官能性シラン由来の繰り返し単位とは、下記一般式(4)で表される繰り返し単位(Q単位)のことをいう。
SiO4/2 (4)
また、上記シリコーン樹脂の具体例としては、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー等が挙げられる。これらのシリコーン樹脂は、シリコーンゴムモノマー又はオリゴマーと硬化剤とを反応させることにより得られるものである。かかるシリコーンゴムモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、メチルシロキサン基、エチルシロキサン基、フェニルシロキサン基を含むものが挙げられる。
シリコーンゴムモノマー又はオリゴマーの具体例としては、ビニル基、水酸基等の官能基や水素原子を導入してなるものが好ましく用いられる。
本樹脂組成物には、環状オレフィン樹脂を含有させてもよい。かかる環状オレフィン樹脂の具体例としては、シクロヘキセン、シクロオクテン等の単環体、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロペンタジエン、ジヒドロトリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、ジヒドロテトラシクロペンタジエン等の多環体、これらのモノマーに官能基が結合した置換体などの環状オレフィンモノマーの重合体を挙げることができる。このような環状オレフィンモノマーの重合体の具体例としては、環状オレフィンモノマーの(共)重合体、環状オレフィンモノマ−とα−オレフィン類等の共重合可能な他のモノマ−との共重合体、およびこれらの共重合体の水素添加物等が挙げられる。上述した重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体および交互共重合体のいずれであってもよい。また、これら環状オレフィン系樹脂は、公知の重合法により製造することが可能であり、その重合方法としては、付加重合法と開環重合法とが挙げられる。そして環状オレフィン系樹脂の中でも、一般に、ノルボルネン系樹脂は、その主鎖骨格が脂環構造であるため低吸湿性を有するため好ましい。
本樹脂組成物には、離型剤を含有させてもよい。こうすることで、本樹脂組成物として顆粒状、タブレット状またはシート状の形態のものを用いる場合には、バリスタ特性を示す部材(構造体300)を歩留りよく作製することが可能となる。
本実施形態に係る離型剤の具体例としては、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸もしくはその金属塩類、パラフィン、酸化ポリエチレン等が挙げられる。離型剤の含有量は、本樹脂組成物全量に対して、好ましくは、0.01質量%以上1質量%以下であり、さらに好ましくは、0.03質量%以上0.8質量%以下である。
本樹脂組成物には、硬化剤を含有させてもよい。かかる硬化剤は、熱硬化性樹脂と反応して硬化させるものであればよい。ここで、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合に使用可能な硬化剤の具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜20の直鎖脂肪族ジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアノジアミド等のアミノ類;アニリン変性レゾール樹脂やジメチルエーテルレゾール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型フェノール樹脂等のフェノールアラルキル樹脂;ナフタレン骨格やアントラセン骨格のような縮合多環構造を有するフェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物等;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも構造体の耐湿性、信頼性を向上させる観点から、1分子内に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、その具体例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;レゾール型フェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型フェノール樹脂等が挙げられる。
本樹脂組成物には、硬化促進剤を含有させてもよい。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合に使用可能な硬化促進剤は、エポキシ基等の官能基と硬化剤との硬化反応を促進させるものであればよく、その具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体;トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等のアミン系化合物;2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ安息香酸ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイックアシッドボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイルオキシボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフチルオキシボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート;ベンゾキノンをアダクトしたトリフェニルホスフィン等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂を用いる場合に使用可能な硬化促進剤の具体例としては、HPtCl・mHO、KPtCl、KHPtCl・mHO、KPtCl、KPtCl・mHO、PtO・mHO(mは、それぞれ正の整数)や、これらの化合物と、オレフィン等の炭化水素、アルコールまたはビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等が挙げられる。
また、本樹脂組成物中には、当該樹脂組成物の硬化物が備える耐久性、耐湿性および密着性等の封止材特性を向上させる観点から、無機充填剤を含有させてもよい。この無機充填剤としては、溶融破砕シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、2次凝集シリカ等のシリカ;アルミナ;チタンホワイト;水酸化アルミニウム;タルク;クレー;マイカ;ガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、特に球状の溶融シリカないし合成シリカが好ましい。また、粒子形状は限りなく真球状であることが好ましい。また、粒子の大きさの異なるものを混合することにより無機充填量を多くすることができるが、その粒径としては、平均粒径d50が0.01μm以上150μm以下であることが望ましく、好ましくは、0.01μm以上50μm以下であり、より好ましくは、0.02μm以上40μm以下であり、さらに好ましくは、0.05μm以上30μm以下である。
また、本樹脂組成物には、カップリング剤を含有させてもよい。かかるカップリング剤は、樹脂組成物の調製時に直接添加することにより配合させてもよいし、無機充填剤もしくは後述する半導体セラミック粒子等にあらかじめ添加処理して配合させても良い。
カップリング剤の具体例としては、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、ジシラザン等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤等が挙げられる。これらは一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。これにより、樹脂と、無機充填剤もしくは半導体セラミック粒子等との親和性を向上させ、樹脂組成物の成型性を向上させることが出来る。
シランカップリング剤としては、公知のものを用いることができるが、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−6−(アミノヘキシル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ベンゼンジメタナン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうちの一種または二種以上を組み合せて用いることができる。これらのうちエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシランが好ましく、アミノシランとしては、1級アミノシラン又は2級アミノシランがより好ましい。
また、本樹脂組成物には、当該樹脂組成物の硬化物の被着体への接着性を向上させる観点から、たとえば、密着助剤を含有させてもよい。上記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合に好適に使用可能な密着助剤としては、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基のような反応性置換基を有する官能性シランカップリング剤等が挙げられる。一方、上記熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂を用いる場合に好適に使用可能な密着助剤としては、ケイ素原子に結合した水素原子、ケイ素原子に結合したアルケニル基、アルコキシシリル基、エポキシ基等の官能基を含むシロキサンモノマーやシロキサンオリゴマー等が挙げられる。
密着助剤の含有量は、熱硬化性樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは、10重量部以下であり、さらに好ましくは、0.1重量部以上8重量部以下である。
また、本樹脂組成物には、当該樹脂組成物の保存性を向上させる観点から、反応抑制剤を含有させてもよい。上記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合に好適に使用可能な反応抑制剤としては、トリメチルボレート、トリエチルボレートのようなホウ素化合物、硫酸、酢酸、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、バルビーツ酸、ホウ酸、ピロガロール、フェノール樹脂、カルボン酸無水物のような酸性化合物等が挙げられる。一方、上記熱硬化性樹脂としてシリコーン樹脂を用いる場合に好適に使用可能な反応抑制剤としては、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類、アセチレンアルコール類のシラン変性物、アセチレンアルコール類のシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
反応抑制剤の含有量は、熱硬化性樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは、0.001重量部以上1重量部以下であり、さらに好ましくは、0.005重量部以上0.5重量部以下である。
また、本樹脂組成物中には、上記の成分以外に、必要に応じて、カーボンブラック等の着色剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力剤;ハイドロタルサイト等のイオン捕捉剤;水酸化アルミニウム等の難燃剤;酸化防止剤;分散剤;レベリング剤;粘度調整剤;消泡剤;顔料、染料のような着色剤等の各種添加剤を配合させてもよい。
上記着色剤としては、たとえば、緑色、赤色、青色、黄色、黒色のような色を呈する染料、黒色のような色を呈する顔料、および色素等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記緑色の着色剤としては、例えば、アントラキノン系、フタロシアニン系、ペリレン系のような公知の着色剤を1種または2種以上含むものが挙げられる。
また、上記黒色染料としては、例えば、アゾ系等の金属錯塩黒色染料、または、アントラキノン系化合物等の有機黒色染料などが挙げられる。かかる黒色染料としては、例えば、Kayaset Black A−N(日本化薬株式会社製)、Kayaset Black G(日本化薬株式会社製)等を好適に使用することができる。これらは、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<半導体セラミックス粒子>
図1は、本実施形態に係る半導体セラミックス粒子の拡大断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る半導体セラミックス粒子100は、粒界部20と、上記粒界部20によって離隔された複数の結晶部10とを有する粒子である。言い換えれば、本実施形態に係る半導体セラミックス粒子100は、粒界部20と、上記粒界部20を介して互いに離間するように配置される2以上の結晶部10とからなる複数の結晶が凝集した粒子であるともいえる。かかる半導体セラミックス粒子100は、当該粒子に対してバリスタ電圧未満の電圧が印加された場合には、粒界部20が抵抗として作用するため電流を通さないが、バリスタ電圧以上の電圧が印加された場合には、トンネル効果が生じて図1に示す矢印のように電流を通すという特性を有した粒子である。なお、本実施形態に係る半導体セラミックス粒子100のようにバリスタ特性を備えた部材については、従来の電子部品において電子素子とともに同回路に搭載させる耐電圧保護素子(バリスタ素子等)中に含まれていた。しかし、以下の2つの要求特性を満たす上記半導体セラミックス粒子100を含む樹脂組成物からなる部材を歩留りよく製造する方法については、これまでに報告されていなかった。1つ目の要求特性は、電子部品内に実装される回路中に搭載する電子素子自体の内部に具備させることが可能なことである。2つ目の要求特性は、当該部材を電子素子自体の内部に具備させた場合に、静電気等の過電圧にくわえて、外部環境から加わる応力から上記電子素子を保護できる機能を備えていることである。
半導体セラミックス粒子100の平均粒径d50は、好ましくは、0.01μm以上150μm以下であり、より好ましくは、0.1μm以上120μm以下であり、さらに好ましくは、1μm以上90μm以下である。こうすることで、半導体セラミックス粒子100を含む高電圧保護部材形成用樹脂組成物により形成された構造体300の形状に依存することなく、バリスタ特性を発現することが可能となる。また、半導体セラミックス粒子100は、球状粒子であることが好ましい。これにより、バリスタ特性の制御を容易に行うことができる。
なお、半導体セラミックス粒子100が球状でない場合、本実施形態における上記半導体セラミックス粒子100の平均粒径d50の値は、真球近似した値を採用すればよい。
半導体セラミックス粒子100において結晶部10は、酸化亜鉛、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、および、チタン酸バリウムからなる群より選択される1種以上を含む材料により形成されていることが好ましい。結晶部10を上記材料で形成した場合、半導体セラミックス粒子100自体の非直線係数やエネルギー耐量を向上させるとともに、高電圧・高周波ノイズを抑制することが可能となる。中でも、酸化亜鉛を主成分として含む材料は、半導体セラミックス粒子100自体の非直線係数やエネルギー耐量を向上させる観点から好ましい。炭化ケイ素を主成分として含む材料は、絶縁破壊電圧が高いため、バリスタ電圧を高電圧に設定する場合には好適である。また、チタン酸ストロンチウムを主成分として含む材料は、高電圧・高周波ノイズの吸収や抑制という点において、好適である。
半導体セラミックス粒子100において粒界部20は、本樹脂組成物の非直線性抵抗特性を良好にする観点から、ビスマス、プラセオジム、アンチモン、マンガン、コバルトおよびニッケル、またはこれらの化合物からなる群より選択される1種以上を含む材料により形成されていることが好ましい。中でも、粒界部20は、非直線性抵抗特性が良好であるという観点から、ビスマス、プラセオジム、またはこれらの化合物からなる群より選択される1種以上を含む材料により形成されていることが好ましい。なお、これらの化合物としては、酸化物、窒化物、有機化合物、その他の無機化合物等の形態が挙げられるが、バリスタ特性を良好に発現させる観点から、酸化物であることが好ましい。
半導体セラミックス粒子100の含有量は、確実に構造体300のバリスタ特性を発現させる観点から、本樹脂組成物全量に対して、20質量%以上97質量%以下であるが、好ましくは、25質量%以上80質量%以下であり、さらに好ましくは、30質量%以上70質量%以下である。
半導体セラミックス粒子100の含有量を上記数値範囲内となるよう制御することにより、図2に示す模式図のように、互いに隣り合う2つの電極端子30間が、複数の粒子同士が互いに接するように半導体セラミックス粒子100により埋め尽くされた構造体300を実現しやすくなる。具体的には、半導体セラミックス粒子100の含有量を上記数値範囲内となるよう制御した場合、互いに隣り合う2つの電極端子30間に、複数の粒子同士が互いに接するように半導体セラミックス粒子100が充填され、かつその隙間領域を樹脂材料200で埋め尽くした構造体300を実現することができる。そのため、半導体セラミックス粒子100の含有量を上記数値範囲内となるよう制御した場合には、構造体のバリスタ特性を確実に発現させることが可能となる。
また、半導体セラミックス粒子100の含有量が、上述した30質量%以上70質量%以下である場合、本樹脂組成物を用いて電子部品における電極端子30間に対して当該半導体セラミックス粒子100を積極的に沈降させて充填することができる。
本樹脂組成物中には、導電粒子を含有させることができる。こうすることで、本樹脂組成物により形成された構造体300を備える電子部品に対して、バリスタ電圧を超える高電圧が印加された際に、当該構造体300の電気伝導性を良好なものとすることができる。具体的には、図3に示すように、2つの電極端子30間を埋め尽くすように配される複数の半導体セラミックス粒子100同士の隙間領域に、導電粒子50を入り込ませることが可能となる。この場合、樹脂材料200は、半導体セラミックス粒子100と導電粒子50との境目領域を埋め尽くすように配される。
導電粒子50の含有量は、確実に構造体300のバリスタ特性を発現させる観点から、本樹脂組成物全量に対して、好ましくは、1質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは、2質量%以上15質量%以下であり、最も好ましくは、2質量%以上10質量%以下である。導電粒子50の含有量を上記数値範囲内となるよう制御することにより、図3に示す模式図のように、2つの電極端子30間を埋め尽くすように配される複数の半導体セラミックス粒子100の隙間領域に、万遍なく導電粒子50を入り込ませることが可能となる。
導電粒子50の平均粒径d50は、確実に構造体のバリスタ特性を発現させる観点から、好ましくは、0.01μm以上50μm以下であり、より好ましくは、0.02μm以上40μm以下であり、さらに好ましくは、0.05μm以上30μm以下であり、最も好ましくは、0.1μm以上20μm以下である。
導電粒子50を形成する材料の具体例としては、ニッケル、カーボンブラック、アルミニウム、銀、金、銅、グラファイト、亜鉛、鉄、ステンレス鋼、錫、黄銅、及び、それらの合金からなる群より選択される導電材料や、酸化亜鉛、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、および、チタン酸バリウムからなる群より選択される半導電材料等が挙げられる。
また、本樹脂組成物に含まれる半導体セラミックス粒子100と、導電粒子50の大きさは、以下の条件を満たすものであることが好ましい。具体的には、半導体セラミックス粒子100の平均粒径d50をXとし、導電粒子50の平均粒径d50をYとした時、Y/Xの値が、0.05以上1未満であることが好ましく、0.1以上0.8以下であるとさらに好ましい。こうすることで、図3に示す模式図のように、2つの電極端子30間を埋め尽くすように配される複数の半導体セラミックス粒子100の隙間領域に、導電粒子50を入り込ませやすくなる。
本実施形態に係る高電圧保護部材形成用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂とともに、特定量のバリスタ特性を示す半導体セラミックス粒子を含む構成を採用している。かかる構成を採用した樹脂組成物を用いることによって、電子部品の回路内に配置される電子素子自体の内部に、静電気等の過電圧や外部環境から加わる応力の外的負荷から上記電子素子を保護する機能を有した構成を具備させることが可能となるため、従来の電子部品のように、電子素子と、耐電圧保護素子とを回路内に配置する必要がなくなり、結果として、電子部品の小型化を実現させることができる。
以下、本実施形態に係る高電圧保護部材形成用樹脂組成物を用いて、電子部品中にバリスタ特性を示す部材(構造体300)を成形して作製する方法について、説明する。
本実施形態に係る高電圧保護部材形成用樹脂組成物の成形方法としては、たとえば、ディスペンサーやインクジェットのような吐出装置を用いた方法、スキージのようなヘラを用いた方法、スクリーン印刷機のような印刷装置を用いた方法、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、等が挙げられる。このうち、吐出装置を用いた方法が好ましく用いられる。この方法によれば、目的とする位置に必要な量の樹脂組成物を高精度に効率よく塗布することができる。このため、本樹脂組成物の使用量を最小限に抑えつつ、短時間で塗布作業を行うことができる。その結果、塗布作業の低コスト化と高速化を図ることができる。
また、本実施形態に係る構造体300の一例としては、半導体素子と、この半導体素子を封止する本樹脂組成物の硬化物とを備えた半導体装置や、2つの電極端子間領域を本樹脂組成物の硬化物により覆った電子部品等が挙げられる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各実施例及び各比較例で用いた原料成分を下記に示した。
・熱硬化性樹脂1:ビスフェノールF型エポキシ樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂の混合物(DIC株式会社製、EPICLON EXA−830LVP、液状)
・熱硬化性樹脂2:ビニル基含有シリコーン樹脂(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、IVSM−4500(A)、液状)
・熱硬化性樹脂3:水素原子含有シリコーン樹脂(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、IVSM−4500(B)、液状)
・熱硬化性樹脂4:ヒドロキシ基含有シリコーン樹脂(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製、SILRES MK、固形)
・硬化剤:フェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製、MEH−8000H、液状)
・カップリング剤:3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−403)
・硬化促進剤:下記化学式(1)で表される化合物。なお、下記式(1)のPhは、フェニル基を表す。
・半導体セラミックス粒子1:株式会社セラオン製、マイクロバリスタ、平均粒径d50:47.7μm
・半導体セラミックス粒子2:株式会社セラオン製、マイクロバリスタ、平均粒径d50:70.7μm
・半導体セラミックス粒子3:株式会社セラオン製、マイクロバリスタ、平均粒径d50:28.4μm
(熱硬化性樹脂組成物ワニスの調製)
実施例1〜10および比較例1〜2について、下記表1に示す配合量に従って各成分をプラネタリーミキサーで混練し、高電圧保護部材形成用樹脂組成物を調製した。
(電極間封止)
次に、得られた高電圧保護部材形成用樹脂組成物を用いて電極間封止を行った。
基板として、FR−4基板(厚み0.15mm)と回路層(銅回路、厚み12μm、隣接する回路間の最短距離が200μm)を有するものを使用した。
上記回路間の間隙を埋めるように、調製した各樹脂組成物を塗布し、スキージを用いて均した。この塗布には、ディスペンサーを使用した。
次いで、樹脂組成物を基準にしたとき、FR−4基板が鉛直下方に位置するように保持した状態で、塗布した組成物を、100℃で2分間乾燥させた後、さらに、150℃で60分間加熱し、熱硬化性樹脂を硬化させた。これにより、電極間封止を行い、構造体を作製した。
実施例、比較例で得られた樹脂組成物および構造体について行った測定および評価を以下に詳説する。
<評価項目>
・溶融粘度:実施例および比較例で得られた各樹脂組成物それぞれについて、室温(25℃)での溶融粘度、熱時(150℃)での溶融粘度に加え、25℃以上150℃以下の温度での最低溶融粘度(η)を測定した。単位は、いずれも、Pa・sである。
また、溶融粘度の測定は、粘弾性測定装置(Rheo stress RS−10 HAAKE、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を用い、昇温速度10℃/min、周波数0.1Hzの条件下で、歪み一定−応力検知による測定方法にて実施した。
・バリスタ特性(初期):回路間の電流・電圧特性は、pA meter/DC VOLTAGE SOURCE 4140B(アジレントテクノロジー社製)を用いて隣接した回路間に0Vから100Vまで昇圧速度0.5V/secで印加した時に流れた電流値を測定した。このようにして得られた結果に基づいて、図4に示すように、対数軸でプロットしたグラフを作成した。次いで、得られたグラフから、バリスタ電圧を算出した。具体的には、得られたグラフの変曲点より低圧側のグラフの接線(b)と高圧側の接線(a)の交点を、バリスタ電圧として算出した。そして、バリスタ特性は、バリスタ電圧の算出可能な場合を(○)、不可能な場合を(×)と判定した。
・沈降指標S:実施例、比較例で得られた各樹脂組成物中に配合した半導体セラミックス粒子の平均粒径d50の値(D)[μm]と、上述した方法で測定した実施例、比較例で得られた各樹脂組成物に関する25℃以上150℃以下の温度での最低溶融粘度の値(η)[Pa・s]とを、S=D/ηの式に代入して算出した。
実施例の構造体は、いずれも、バリスタ特性を発現するものであったのに対し、比較例の構造体では、バリスタ特性が初期から発現しなかった。
10 結晶部
20 粒界部
30 電極端子
50 導電粒子
100 半導体セラミックス粒子
200 樹脂材料
300 バリスタ特性を示す部材(構造体)

Claims (8)

  1. 硬化物が、電圧−電流特性がオームの法則に従わない非直線性を示す高電圧保護部材形成用樹脂組成物であって、
    熱硬化性樹脂と、
    粒界部と、前記粒界部によって離隔された複数の結晶部とを有する半導体セラミックス粒子と、
    を含み、
    前記半導体セラミックス粒子の平均粒径d50をD[μm]とし、当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物に関する25℃以上150℃以下の温度での最低溶融粘度の値をη[Pa・s]としたとき、S=D/ηで表される沈降指標S[(μm)/(Pa・s)]の値が、300(μm)/(Pa・s)以上である、高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  2. 前記半導体セラミックス粒子の平均粒径d50が0.01μm以上150μm以下である、請求項1に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  3. 前記結晶部が、酸化亜鉛、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、およびチタン酸バリウムからなる群より選択される1種以上を含む材料により形成されている請求項1または2に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  4. 前記粒界部が、ビスマス、プラセオジム、アンチモン、マンガン、コバルトおよびニッケル、またはこれらの化合物からなる群より選択される1種以上を含む材料により形成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  5. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  6. 前記半導体セラミックス粒子を、当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物全量に対して、20質量%以上97質量%以下含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物の硬化物を備えた半導体装置。
  8. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物の硬化物を備えた電子部品。
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