JP2017084995A - 高電圧保護部材形成用樹脂組成物 - Google Patents

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貴至 西村
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俊明 渡邊
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【課題】良好な耐電圧保護特性を発現しつつ、成形性、耐熱性、耐湿性、密着性等に優れた高電圧保護部材形成用樹脂組成物の提供。【解決手段】硬化物が、電圧−電流特性がオームの法則に従わない非直線性を示す高電圧保護部材形成用樹脂組成物であって、熱硬化性樹脂と、粒界部と、粒界部によって離隔された複数の結晶部とを有する半導体セラミックス粒子を含み、シリコン基板の熱膨張係数αxが2〜7ppm/℃である場合、硬化物の25℃以上当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物のガラス転移温度Tg以下の温度領域における熱膨張係数をαy、25℃における貯蔵弾性率をEy、ガラス転移温度Tg以上の領域における熱膨張係数をαz、硬化温度Tmにおける硬化物の貯蔵弾性率をEzとしたとき、算出されるシリコン基板と硬化物との間の界面熱応力σ1が25MPa以下である樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、高電圧保護部材形成用樹脂組成物に関する。
近年、高密度に実装できる技術が進歩したことに伴い、電子部品の小型化および軽量化が進んでいる。それ故、電子部品内に実装されている回路は、高密度化される傾向にある。
ここで、電子部品内に実装されている回路を高密度化した場合には、静電気等の過電圧が印加されることにより、当該電子部品の誤作動が生じる、当該電子部品が損傷する、等の不都合が生じる可能性は高まる傾向にある。
こうした事情に鑑みて、電子部品内に実装されている回路中に搭載されている電子素子を静電気等の過電圧から保護するための技術について、いくつかの報告がなされている(特許文献1〜3等)
特許文献1〜3には、電子部品本体の外部端子全体にシールして覆うバリスタ機能を有した樹脂材料が記載されている。つまり、特許文献1〜3には、上述した電子素子を耐電圧保護部材により直接覆うことにより、過渡電圧が当該電子素子に印加された場合に上述した不都合が生じることを抑制する技術が開示されている。
特開平06−244001号公報 特開平06−244002号公報 特開平06−244003号公報
しかし、本発明者らは、第1の端子と第2の端子とを有する電子部品における上記2つの端子間領域を、特許文献1〜3に記載されている従来の樹脂材料により埋設して得られた構造体として片面封止型の半導体装置を作製した場合、かかる半導体装置が備える半導体ウエハに反りが生じ、結果として、電圧−電流特性がオームの法則に従わない良好な非直線性(バリスタ特性)を発現しないという不都合が生じる場合があることを知見した。そこで、本発明者らは、従来の樹脂材料を用いて作製した構造体について上述した不都合が生じる要因について鋭意検討した結果、従来の耐電圧保護部材を半導体封止材として使用した場合、実装時および実装後に加わる熱履歴により、封止材の界面剥離やクラック等の問題が生じている可能性があることを見出した。
そこで、本発明者らは、良好な耐電圧保護特性を発現しつつ、成形性、耐熱性、耐湿性、密着性などに優れた高電圧保護部材形成用樹脂組成物を提供する。
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、バリスタ粒子を含む樹脂組成物について、シリコン基板との界面熱応力という尺度を制御することが設計指針として有効であるという知見を得て、本発明を完成させた。
本発明によれば、硬化物が、電圧−電流特性がオームの法則に従わない非直線性を示す高電圧保護部材形成用樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂とともに、
粒界部と、前記粒界部によって離隔された複数の結晶部とを有する半導体セラミックス粒子と、
を含み、
シリコン基板の熱膨張係数をαxとし、前記熱膨張係数αxが2ppm/℃以上7ppm/℃以下である場合、
当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物の硬化物の、25℃以上当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物のガラス転移温度Tg以下の温度領域における熱膨張係数αyとし、
前記硬化物の25℃における貯蔵弾性率をEyとし、
前記硬化物の前記ガラス転移温度Tg以上の温度領域における熱膨張係数αzとし、
当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物の硬化温度Tmにおける前記硬化物の貯蔵弾性率をEzとしたとき、
前記ガラス転移温度Tgが25℃以上前記硬化温度Tm未満である場合に下記式(1)により算出され、前記ガラス転移温度Tgが前記硬化温度Tm以上の温度である場合に下記式(2)により算出され、前記ガラス転移温度Tgが25℃未満である場合に下記式(3)により算出される前記シリコン基板と前記硬化物との間の界面熱応力σ1が25MPa以下である、高電圧保護部材形成用樹脂組成物が提供される。
式(1):界面熱応力σ1=(αy−αx)×Ey×(Tg−25℃)+(αz−αx)×Ez×(Tm−Tg)
式(2):界面熱応力σ1=(αy−αx)×Ey×(Tm−25℃)
式(3):界面熱応力σ1=(αz−αx)×Ez×(Tm−25℃)
本発明によれば、良好な耐電圧保護特性を発現しつつ、成形性に優れた高電圧保護部材形成用樹脂組成物を提供できる。
本実施形態に係る半導体セラミックス粒子の拡大断面図である。 本実施形態に係る構造体の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る構造体の一例を示す模式図である。 電流値の測定結果から非直線係数を算出する方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<<高電圧保護部材形成用樹脂組成物>>
本実施形態に係る高電圧保護部材形成用樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」とも示す。)の硬化物は、電圧−電流特性がオームの法則に従わない非直線性を示すものである。具体的に、本樹脂組成物は、熱硬化性樹脂とともに、粒界部と、前記粒界部によって離隔された複数の結晶部とを有する半導体セラミックス粒子と、を含むものである。そして、本樹脂組成物は、シリコン基板の熱膨張係数をαxとし、上記熱膨張係数αxが2ppm/℃以上7ppm/℃以下である場合に、当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物の硬化物の、25℃以上当該組成物のガラス転移温度Tg以下の温度領域における熱膨張係数αyとし、上記硬化物の25℃における貯蔵弾性率をEyとし、上記硬化物のガラス転移温度Tg以上の温度領域における熱膨張係数αzとし、当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物の硬化温度Tmにおける硬化物の貯蔵弾性率をEzとしたとき、ガラス転移温度Tgが25℃以上硬化温度Tm未満(Tg<Tm)である場合に下記式(1)により算出され、ガラス転移温度Tgが硬化温度Tm以上の温度(Tg≧Tm)である場合に下記式(2)により算出され、ガラス転移温度Tgが25℃未満である場合に下記式(3)により算出されるシリコン基板と上記硬化物との間の界面熱応力σ1が25MPa以下となる構成を採用したものである。こうすることで、良好な耐電圧保護特性を発現しつつ、成形性に優れた構造体を実現することが可能となる。
式(1):界面熱応力σ1=(αy−αx)×Ey×(Tg−25℃)+(αz−αx)×Ez×(Tm−Tg)
式(2):界面熱応力σ1=(αy−αx)×Ey×(Tm−25℃)
式(3):界面熱応力σ1=(αz−αx)×Ez×(Tm−25℃)
ここで、本実施形態に係る製造方法により得られる構造体が有する、電圧−電流特性がオームの法則に従わない非直線性(バリスタ特性)とは、少なくとも2つの電極端子を備えた電子部品に対して徐々に増大する電圧を印加した際に、一般的にバリスタ素子と呼ばれている過電圧保護素子に流れる電流が非直線的に増大する特性のことを指す。本実施形態において、上記バリスタ特性を有した構造体とは、具体的には、第1の端子と第2の端子とを有する電子部品に搭載させる構造体であり、上記構造体を電子部品に搭載させた時、第1の端子と第2の端子との間の電圧が装置の耐電圧未満である場合には絶縁性を示し、かつ第1の端子と第2の端子との間の電圧が装置の駆動電圧以上である場合には導電性を示すものを指す。なお、本実施形態に係る構造体の有する特性が、上述したように絶縁性から導電性に変換される電圧や、導電性から絶縁性に変換される電圧のことを、以下、バリスタ電圧と称する。
以下、本実施形態に係る高電圧保護部材形成用樹脂組成物について、詳細に説明する。
本発明者は、従来の樹脂材料を用いて電子部品に設けられた2つの端子間を埋設して得られた構造体として片面封止型の半導体装置を作製した場合には、かかる半導体装置が備える半導体ウエハに反りが生じ、結果として、良好なバリスタ特性を発現しない場合があることを知見した。本発明者は、従来の樹脂材料を用いた場合に良好なバリスタ特性を発現しない場合がある要因について鋭意検討した結果、実装時および実装後に加わる熱履歴により、封止材の界面剥離やクラック等の問題が生じている可能性があることを見出した。
ここで、上述したバリスタ特性を示す部材(構造体)を作製するためには、以下の3つの特性を有する樹脂組成物を作製する必要がある。上記樹脂組成物に要求される第1の特性は、バリスタ特性を示す部材の使用対象である電子素子中に搭載されている電極端子の形状に対応できるように上記部材の形状を制御できる程度に優れた成形性である。上記樹脂組成物に要求される第2の特性は、従来の電子部品において電極端子を保護するために使用されていた封止材の有する機能、すなわち、耐久性、耐湿性および密着性等の要求特性を保持していることである。上記樹脂組成物に要求される第3の特性は、当該樹脂組成物が十分なバリスタ特性を発現できることである。
本発明者は、端子間領域への樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスに優れ、かつ上述した3つの要求特性の中でも特に成形性という観点において優れた樹脂材料を作製するための設計指針について鋭意検討した結果、界面熱応力という尺度を制御することが有効であるとの知見を得た。
くわえて、本発明者は、上述した第1の特性を満たす観点、すなわち、十分な成形性を実現する観点から、上述したバリスタ特性を示す部材を作製する方法としては、圧縮成形法またはトランスファー成形法、を採用することが望ましいことも知見した。それ故、本樹脂組成物は、顆粒状、タブレット状またはシート状の形態に加工されたものであることが望ましい。なお、シート状の形態に加工されたものを用いる場合には、ラミネーターを用いてラミネーションを行う方法を採用してもよい。また、成形性を向上させる観点からは、液状の樹脂組成物をスクリーン印刷する手法も採用可能である。
本樹脂組成物は、上述した通り、上記式(1)、上記式(2)または上記式(3)で表されるシリコン基板と当該樹脂組成物の硬化物との間の界面熱応力σ1が25MPa以下となるように制御するものである。
こうすることで、過電圧保護機能を有した構造体を歩留りよく作製可能な、端子間領域への樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスにくわえて、反りと電気特性という観点において特に優れた樹脂組成物とすることができる。具体的には、界面熱応力σ1の値を上記数値範囲とすることにより、成形した本樹脂組成物の硬化物の冷却に伴う収縮量(ひずみ)と、シリコン基板の収縮量(ひずみ)との差を最小限に抑えることが可能となるためウエハの反りを効果的に抑制することができ、更に当該硬化物の界面剥離やクラックを抑制することができるため、温度サイクル試験後も優れた電気特性を維持出来る。
本樹脂組成物に係る界面熱応力σ1の値は、25MPa以下であるが、好ましくは、15MPa以下であり、さらに好ましくは、12MPa以下である。こうすることで、樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスと、反りおよび電気特性との間に存在するトレードオフの関係を無視することができるようになる。
ここで、一般に、Tgより高い温度領域における上記硬化物の弾性率の値は、Tg以下の温度領域における値と比べて、無視できる程度に低い値を示す。そのため、シリコン基板と当該樹脂組成物の硬化物との間の界面熱応力の値についても、Tg以下の温度領域における値が、Tgより高い温度領域の値に比べて、極めて高い値を示すことになる。ただし、Tg<Tmである場合には、Tg以上Tm以下の温度領域においても硬化物の冷却に伴う収縮が発生する。こうした事情を踏まえると、本樹脂組成物による成形性を向上させるためには、上記式(1)、上記式(2)または上記式(3)で表されるシリコン基板と当該樹脂組成物の硬化物との間の界面熱応力σ1の値を制御することが特に重要である。
また、本樹脂組成物のガラス転移温度Tgは、好ましくは、50℃以上250℃以下であり、さらに好ましくは、70℃以上250℃以下であり、最も好ましくは、100℃以上250℃以下である。こうすることで、本樹脂組成物を用いて作製することが可能な構造体の反りを抑制することができるとともに、得られた構造体の耐熱性を優れたものとすることができる。
また、本樹脂組成物の硬化温度Tmは、好ましくは、50℃以上250℃以下であり、さらに好ましくは、50℃以上200℃以下であり、より好ましくは、50℃以上180℃以下であり、最も好ましくは、50℃以上160℃以下である。こうすることで、硬化物の冷却に伴う収縮量(ひずみ)を制御することができるため、結果として、本樹脂組成物を用いて作製することが可能な構造体の反りを抑制することができる。
また、本樹脂組成物の硬化物の25℃以上ガラス転移温度Tg以下の温度領域における熱膨張係数αyは、好ましくは、1ppm/℃以上30ppm/℃以下であり、さらに好ましくは、1ppm/℃以上20ppm/℃以下である。こうすることで、上記熱膨張係数αyと、シリコン基板の熱膨張係数αxとの差を小さくすることができるため、成形した本樹脂組成物の硬化物の冷却に伴う収縮量(ひずみ)自体を低減することができる。そのため、結果として、ウエハ反りの発生をより一層効果的に抑制することが可能となる。
また、本樹脂組成物は、高化式フローテスターを用いて測定される150℃における溶融粘度の値が、200Pa・s以上2000Pa・s以下であることが好ましく、200Pa・s以上1500Pa・s以下であるとさらに好ましい。こうすることで、成形性とともに、樹脂埋め込み性と粒子充填性とのバランスに優れた樹脂組成物とすることができる。
<熱硬化性樹脂>
本樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂;未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油などで変性した油変性レゾールフェノール樹脂などのレゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂などのトリアジン環を有する樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;ビスマレイミド化合物などのマレイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ジアリルフタレート樹脂;ベンゾオキサジン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂などのシアネートエステル樹脂;シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーを併用してもよい。
熱硬化性樹脂の含有量は、本樹脂組成物に対して、好ましくは、1質量%以上38質量%以下であり、さらに好ましくは、1.5質量%以上35質量%以下であり、より好ましくは、2質量%以上30質量%以下であり、最も好ましくは、3質量%以上25質量%以下である。熱硬化性樹脂の含有量を上記数値範囲以上とすることにより、熱硬化性樹脂の流動性低下を抑制することができる。また、熱硬化性樹脂の含有量を上記数値範囲以下とすることにより、熱硬化性樹脂の熱放散性の低下を抑制できるとともに、本樹脂組成物からなる構造体300の備えるバリスタ特性が低下することを抑制することが可能である。
本樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。こうすることで、生産性、成形性および封止対象物への形状追従性、耐熱性、耐湿性、密着性、電気特性などの観点において優れた高電圧保護部材形成用樹脂組成物とすることができる。
上記エポキシ樹脂としては、その分子量、分子構造に関係なく、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を使用することが可能である。このようなエポキシ樹脂の具体例としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本樹脂組成物は、環状オレフィン樹脂を含有していてもよい。かかる環状オレフィン樹脂の具体例としては、シクロヘキセン、シクロオクテン等の単環体、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロペンタジエン、ジヒドロトリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、ジヒドロテトラシクロペンタジエン等の多環体、これらのモノマーに官能基が結合した置換体などの環状オレフィンモノマーの重合体を挙げることができる。このような環状オレフィンモノマーの重合体には、例えば、環状オレフィンモノマーの(共)重合体、環状オレフィンモノマ−とα−オレフィン類等の共重合可能な他のモノマ−との共重合体、およびこれらの共重合体の水素添加物等が挙げられる。これらの公知の重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。これら環状オレフィン系樹脂は、公知の重合法により製造することが可能であり、その重合方法には付加重合法と開環重合法とが挙げられる。そして環状オレフィン系樹脂の中でも、一般に、ノルボルネン系樹脂は、その主鎖骨格が脂環構造であるため低吸湿性を有するため好ましい。
本樹脂組成物は、離型剤を含有していてもよい。こうすることで、バリスタ特性を示す部材(構造体300)を歩留りよく作製することが可能となる。この理由は、以下の通りである。本樹脂組成物は、上述したように、圧縮成形法またはトランスファー成形法によりバリスタ特性を示す部材(構造体300)を作製するための原材料として使用することを想定したものである。上記圧縮成形法またはトランスファー成形法を採用する場合には樹脂金型を用いて上記部材(構造体300)を作製することになる。この場合、本樹脂組成物を用いて上記部材(構造体300)を成形した後、金型から成形物を離型する必要がある。そして、成形金型から成形物を離型する際の離型力が強くなると、得られた成形物が破損するという不都合が生じやすくなる傾向にある。そのため、離型剤を含む樹脂組成物を使用した場合には、上述した不都合が生じることを抑制することが可能であり、結果として、バリスタ特性を示す部材(構造体300)を歩留りよく作製することが可能となる。
本実施形態に係る離型剤の具体例としては、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸もしくはその金属塩類、パラフィン、酸化ポリエチレン等が挙げられる。離型剤の含有量は、本樹脂組成物全量に対して、好ましくは、0.01質量%以上1質量%以下であり、さらに好ましくは、0.03質量%以上0.8質量%以下である。
本樹脂組成物中に含まれる樹脂材料200(図2および図3参照)には、硬化剤を含有させてもよい。上記硬化剤は、熱硬化性樹脂と反応して硬化させるものであればよく、ここで、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合に使用可能な硬化剤の具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜20の直鎖脂肪族ジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアノジアミド等のアミノ類;アニリン変性レゾール樹脂やジメチルエーテルレゾール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル樹脂;ナフタレン骨格やアントラセン骨格のような縮合多環構造を有するフェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物等;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも構造体300の耐湿性、信頼性を向上させる観点から、1分子内に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、その具体例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;レゾール型フェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型フェノール樹脂等が挙げられる。
本樹脂組成物中に含まれる樹脂材料200には、硬化促進剤を含有させてもよい。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合に使用可能な硬化促進剤としては、たとえば、エポキシ基等の官能基と硬化剤との硬化反応を促進させるものであればよく、その具体例としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体;トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等のアミン系化合物;2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ安息香酸ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイックアシッドボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイルオキシボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフチルオキシボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート;ベンゾキノンをアダクトしたトリフェニルホスフィン等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本樹脂組成物中に含まれる樹脂材料200には、低応力剤を含有させてもよい。こうすることで、本樹脂組成物を硬化させる際に発生する応力や、硬化物の加熱・冷却時に発生する応力を低減することが可能である。また、かかる低応力剤の具体例としては、ポリブタジエン、アクリロニトリル等の有機ゴム、シリコーンゲル、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーンレジン、シリコーンオイル等のシリコーン樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、シリコーン樹脂が、上述した界面熱応力σ1を低減させる観点から好適に用いることができる。
また、上述した低応力剤の含有量は、好ましくは、本樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは、0.2質量%以上8質量%以下である。こうすることで、電極端子を封止し保護するために必要な耐久性、耐湿性および密着性等の封止材特性に優れた硬化物とすることができる。
また、本樹脂組成物中に含まれる樹脂材料200には、当該樹脂材料200の硬化物が備える耐久性、耐湿性および密着性等の封止材特性を向上させる観点から、無機充填剤を含有させてもよい。この無機充填剤としては、溶融破砕シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、2次凝集シリカ等のシリカ;アルミナ;チタンホワイト;水酸化アルミニウム;タルク;クレー;マイカ;ガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、特に球状の溶融シリカないし合成シリカが好ましい。また、粒子形状は限りなく真球状であることが好ましい。また、粒子の大きさの異なるものを混合することにより無機充填量を多くすることができるが、その粒径としては、平均粒子径D50が0.01μm以上150μm以下であることが望ましく、好ましくは、0.01μm以上50μm以下であり、より好ましくは、0.02μm以上40μm以下であり、さらに好ましくは、0.05μm以上30μm以下である。
また、本樹脂組成物中に含まれる樹脂材料200は、カップリング剤を含んでいてもよい。かかるカップリング剤は、樹脂組成物の調製時に直接添加することにより配合させてもよいし、無機充填剤もしくは後述する半導体セラミック粒子等にあらかじめ添加処理して配合させても良い。
カップリング剤としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、ジシラザン等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
これにより、樹脂とフィラーの馴染み性を向上させ、樹脂組成物の成型性を向上させることが出来る。
シランカップリング剤としては、各種のものを用いることができるが、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−6−(アミノヘキシル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ベンゼンジメタナン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうちの一種または二種以上を組み合せて用いることができる。これらのうちエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシランが好ましく、アミノシランとしては、1級アミノシラン又は2級アミノシランがより好ましい。
また、本樹脂組成物中に含まれる樹脂材料200には、上記の成分以外に、必要に応じて、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロタルサイト等のイオン捕捉剤;水酸化アルミニウム等の難燃剤;酸化防止剤等の各種添加剤を配合させてもよい。
<半導体セラミックス粒子>
図1は、本実施形態に係る半導体セラミックス粒子の拡大断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る半導体セラミックス粒子100は、粒界部20と、上記粒界部20によって離隔された複数の結晶部10とを有する粒子である。言い換えれば、本実施形態に係る半導体セラミックス粒子100は、粒界部20と、上記粒界部20を介して互いに離間するように配置される2以上の結晶部10とからなる複数の結晶が凝集した粒子であるともいえる。かかる半導体セラミックス粒子100は、当該粒子に対してバリスタ電圧未満の電圧が印加された場合には、粒界部20が抵抗として作用するため電流を通さないが、バリスタ電圧以上の電圧が印加された場合には、トンネル効果が生じて図1に示す矢印のように電流を通すという特性を有した粒子である。なお、本実施形態に係る半導体セラミックス粒子100のようにバリスタ特性を備えた部材については、従来の電子部品において電子素子とともに同回路に搭載させる耐電圧保護素子(バリスタ素子等)中に含まれていた。しかし、以下の2つの要求特性を満たす上記半導体セラミックス粒子100を含む樹脂組成物からなる部材を歩留りよく製造する方法については、これまでに報告されていなかった。上述した1つ目の要求特性は、電子部品内に実装される回路中に搭載する電子素子自体の内部に具備させることが可能なことである。上述した2つ目の要求特性は、当該部材を電子素子自体の内部に具備させた場合に、静電気等の過電圧にくわえて、外部環境から加わる応力から上記電子素子を保護できる機能を備えていることである。
半導体セラミックス粒子100の平均粒子径d50は、好ましくは、0.01μm以上150μm以下であり、より好ましくは、0.1μm以上120μm以下であり、さらに好ましくは、1μm以上90μm以下であり、最も好ましくは5μm以上60μm以下である。こうすることで、半導体セラミックス粒子100を含む高電圧保護部材形成用樹脂組成物により形成された構造体300の形状に依存することなく、バリスタ特性を発現することが可能となる。
また、半導体セラミックス粒子100は、球状粒子であることが好ましい。これにより、バリスタ特性の制御を容易に行うことができる。
半導体セラミックス粒子100において結晶部10は、酸化亜鉛、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、および、チタン酸バリウムからなる群より選択される1種以上を含む材料により形成されていることが好ましい。結晶部10を上記材料で形成した場合、半導体セラミックス粒子100自体の非直線性係数やエネルギー耐量を向上させるとともに、高電圧・高周波ノイズを抑制することが可能となる。中でも、酸化亜鉛を主成分として含む材料は、半導体セラミックス粒子100自体の非直線性係数やエネルギー耐量を向上させる観点から好ましい。炭化ケイ素を主成分として含む材料は、絶縁破壊電圧が高いため、バリスタ電圧を高電圧に設定する場合には好適である。また、チタン酸ストロンチウムを主成分として含む材料は、高電圧・高周波ノイズの吸収や抑制という点において、好適である。
半導体セラミックス粒子100において粒界部20は、本樹脂組成物の非直線性抵抗特性を良好にする観点から、ビスマス、プラセオジム、アンチモン、マンガン、コバルトおよびニッケル、またはこれらの化合物からなる群より選択される1種以上を含む材料により形成されていることが好ましい。中でも、粒界部20は、非直線性抵抗特性が良好であるという観点から、ビスマス、プラセオジム、またはこれらの化合物からなる群より選択される1種以上を含む材料により形成されていることが好ましい。なお、上記これらの化合物としては、酸化物、窒化物、有機化合物、その他の無機化合物等の形態が挙げられるが、バリスタ特性を良好に発現させる観点から、酸化物であることが好ましい。
半導体セラミックス粒子100の含有量は、確実に構造体300のバリスタ特性を発現させる観点から、本樹脂組成物全量に対して、60質量%以上97質量%以下であるが、好ましくは、70質量%以上95質量%以下であり、さらに好ましくは、75質量%以上95質量%以下である。半導体セラミックス粒子100の含有量を上記数値範囲内となるよう制御することにより、図2に示す模式図のように、2つの電極端子30間が、複数の粒子同士が互いに接するように半導体セラミックス粒子100により埋め尽くされた構造体300を実現することができる。すなわち、半導体セラミックス粒子100の含有量を上記数値範囲内となるよう制御した場合には、構造体のバリスタ特性を確実に発現させることが可能となる。
ここで、本樹脂組成物を用いる電子部品における電極間距離が30μm以上である場合、本樹脂組成物中には、導電粒子を含有させてもよい。こうすることで、本樹脂組成物により形成された構造体300を備える電子部品に対して、バリスタ電圧を超える高電圧が印加された際に、当該構造体300の電気伝導性を良好なものとすることができる。具体的には、図3に示すように、2つの電極端子30間を埋め尽くすように配される複数の半導体セラミックス粒子100同士の隙間領域に、導電粒子50を入り込ませることが可能となる。これにより、構造体300のバリスタ特性を良好なものとすることができる。
導電粒子50の含有量は、確実に構造体300のバリスタ特性を発現させる観点から、本樹脂組成物全量に対して、好ましくは、1質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは、2質量%以上15質量%以下であり、最も好ましくは、2質量%以上10質量%以下である。導電粒子50の含有量を上記数値範囲内となるよう制御することにより、図3に示す模式図のように、2つの電極端子30間を埋め尽くすように配される複数の半導体セラミックス粒子100の隙間領域に、万遍なく導電粒子50を入り込ませることが可能となる。
導電粒子50の平均粒子径D50は、確実に構造体のバリスタ特性を発現させる観点から、好ましくは、0.01μm以上50μm以下であり、より好ましくは、0.02μm以上40μm以下であり、さらに好ましくは、0.05μm以上30μm以下であり、最も好ましくは、0.1μm以上20μm以下である。
導電粒子50を形成する材料の具体例としては、ニッケル、カーボンブラック、アルミニウム、銀、金、銅、グラファイト、亜鉛、鉄、ステンレス鋼、錫、黄銅、及び、それらの合金からなる群より選択される導電材料や、酸化亜鉛、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、および、チタン酸バリウムからなる群より選択される半導電材料等が挙げられる。
また、本樹脂組成物に含まれる半導体セラミックス粒子100と、導電粒子50の大きさは、以下の条件を満たすものであることが好ましい。具体的には、半導体セラミックス粒子100の平均粒子径d50をXとし、導電粒子50の平均粒子径d50をYとした時、Y/Xの値が、0.05以上1未満であることが好ましく、0.1以上0.8以下であるとさらに好ましい。こうすることで、図3に示す模式図のように、2つの電極端子30間を埋め尽くすように配される複数の半導体セラミックス粒子100の隙間領域に、導電粒子50を入り込ませやすくなる。
本実施形態に係る高電圧保護部材形成用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂とともに、特定量のバリスタ特性を示す半導体セラミックス粒子を含む構成を採用している。かかる構成を採用した樹脂組成物を用いることによって、電子部品の回路内に配置される電子素子自体の内部に、静電気等の過電圧や外部環境から加わる応力の外的負荷から上記電子素子を保護する機能を有した構成を具備させることが可能となるため、従来の電子部品のように、電子素子と、耐電圧保護素子とを回路内に配置する必要がなくなり、結果として、電子部品の小型化を実現させることができる。
以下、本実施形態に係る高電圧保護部材形成用樹脂組成物を用いて、電子部品中にバリスタ特性を示す部材(構造体300)を作製する方法について、説明する。
本実施形態に係る高電圧保護部材形成用樹脂組成物を用いる場合、圧縮成形法およびトランスファー成形法のいずれかの樹脂成形方法により、バリスタ特性を示す部材(構造体300)を電子部品中に歩留りよく作製することができる。そのため、電極端子の形状に対応した構造体300を作製することが可能である。ここで、構造体300を作製するために、高電圧保護部材形成用樹脂組成物を圧縮成形する手法を採用する場合には、上記高電圧保護部材形成用樹脂組成物は、顆粒状、粉末状またはシート状に加工されたものであることが好ましい。一方、構造体300を作製するために、高電圧保護部材形成用樹脂組成物をトランスファー成形する手法を採用する場合には、上記高電圧保護部材形成用樹脂組成物は、タブレット状に加工されたものであることが好ましい。
電子部品中にバリスタ特性を示す部材(構造体300)を作製する方法の一例としては、たとえば、第1の端子と第2の端子とを有する電子部品に対して、上記第1の端子と第2の端子の双方と接するように、本樹脂組成物を圧縮成形またはトランスファー成形することにより構造体300(高電圧保護部材)を形成する工程を含む方法が挙げられる。
以下、本実施形態に係る構造体300を電子部品内部に搭載させる方法の一例について、まずは、顆粒状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を用いて圧縮成形することにより構造体300を製造する場合を例に挙げて説明する。ただし、本実施形態に係る構造体300を電子部品内部に搭載させる方法については、以下の例に限定されない。
まず、圧縮成形金型の上型と下型の間に、顆粒状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物が収容された樹脂材料供給容器を設置する。次いで、第1の端子と第2の端子とを有する電子素子を、クランプ、吸着のような固定手段により圧縮成型金型の上型と下型の一方に固定する。以下では、上記電子素子における第1の端子と第2の端子とを有する面が樹脂材料供給容器に対面するように電子素子を圧縮成型金型の上型に固定した場合を例に挙げて説明する。
次に、減圧下、金型の上型と下型の間隔を狭めながら、樹脂材料供給容器の底面を構成するシャッター等の樹脂材料供給機構により、秤量された顆粒状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を下型が備える下型キャビティ内へ供給する。これにより、顆粒状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物は、下型キャビティ内で所定温度に加熱され、溶融状態となる。次いで、金型の上型と下型を結合させることにより、溶融状態の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を上型に固定された電子素子に備わる第1の端子と第2の端子とに対して押し当てる。こうすることで、第1の端子と第2の端子間に形成された間隔を溶融状態の高電圧保護部材形成用樹脂組成物で埋めることができる。その後、金型の上型と下型を結合させた状態を保持しながら、所定時間をかけて高電圧保護部材形成用樹脂組成物を硬化させる。これにより、高電圧保護部材形成用樹脂組成物が確実にバリスタ特性を発現することができる。ここで、圧縮成形を行う場合には、金型内を減圧しながら樹脂封止を行うことが好ましく、真空条件下で行うとさらに好ましい。これにより、少なくとも第1の端子と第2の端子を取り囲む領域については高電圧保護部材形成用樹脂組成物の未充填部分を残さずに良好に充填することができる。
また、顆粒状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を用いて圧縮成形する場合における成形温度は、特に限定されるわけではないが、50〜250℃が好ましく、50〜200℃がさらに好ましく、80〜180℃が特に好ましい。また、成形圧力は、特に限定されるわけではないが、0.5〜12MPaであることが好ましく、1〜10MPaが特に好ましい。成形温度および圧力を上記範囲とすることで、溶融状態の樹脂組成物が充填されない部分が発生することと第1の端子と第2の端子とを有する電子素子が位置ずれしてしまうことの両方を防止することができる。
次に、本実施形態に係る構造体300を電子部品内部に搭載させる方法の一例について、シート状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を用いて圧縮成形することにより構造体300を製造する場合を例に挙げて説明する。
まず、第1の端子と第2の端子とを有する電子素子を、クランプ、吸着のような固定手段により圧縮成形金型の上型と下型の一方に固定する。以下では、上記電子素子における第1の端子と第2の端子とを有する面が樹脂材料供給容器に対面するように電子素子を圧縮成型金型の上型に固定した場合を例に挙げて説明する。
次に、金型の上型に固定した電子素子の第1の端子と第2の端子に対応する位置となるように、金型の下型キャビティ内にシート状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を配置する。次いで、減圧下、金型の上型と下型の間隔を狭めることにより、シート状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物は、下型キャビティ内で所定温度に加熱され、溶融状態となる。その後、金型の上型と下型を結合させることにより、溶融状態の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を上型に固定された電子素子に備わる第1の端子と第2の端子とに対して押し当てる。こうすることで、第1の端子と第2の端子間に形成された間隔を溶融状態の高電圧保護部材形成用樹脂組成物で埋めることができる。その後、金型の上型と下型を結合させた状態を保持しながら、所定時間をかけて高電圧保護部材形成用樹脂組成物を硬化させる。これにより、高電圧保護部材形成用樹脂組成物が確実にバリスタ特性を発現することができる。ここで、圧縮成形を行う場合には、金型内を減圧しながら樹脂封止を行うことが好ましく、真空条件下で行うとさらに好ましい。これにより、少なくとも第1の端子と第2の端子を取り囲む領域については高電圧保護部材形成用樹脂組成物の未充填部分を残さずに良好に充填することができる。
また、シート状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を用いて圧縮成形する場合における成形温度は、特に限定されるわけではないが、50〜250℃が好ましく、50〜200℃がさらに好ましく、80〜180℃が特に好ましい。また、成形圧力は、特に限定されるわけではないが、0.5〜12MPaであることが好ましく、1〜10MPaが特に好ましい。成形温度および圧力を上記範囲とすることで、溶融状態の樹脂組成物が充填されない部分が発生することと第1の端子と第2の端子とを有する電子素子が位置ずれしてしまうことの両方を防止することができる。
また、シート状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物は例えば以下の方法によりラミネーションして使用することもできる。
まず、ロール形状で準備したシート状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を、真空加圧式ラミネーターの巻き出し装置に取り付け、巻き取り装置まで接続する。次に、第1の端子と第2の端子とを有する電子素子をダイアフラム(弾性膜)式ラミネーター部まで搬送する。次いで、減圧下、プレスを開始するとシート状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物は、所定温度に加熱され、溶融状態となり、その後、溶融状態の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を、ダイアフラムを介してプレスすることにより電子素子に備わる第1の端子と第2の端子とに対して押し当てることで、上記第1の端子と第2の端子との間の領域を高電圧保護部材形成用樹脂組成物で埋めることができるとともに、電子素子における第1の端子と第2の端子とを有する面を溶融状態の高電圧保護部材形成用樹脂組成物で覆うことができる。その後、オーブン等で所定時間をかけて加熱することにより高電圧保護部材形成用樹脂組成物を硬化させる。これにより、高電圧保護部材形成用樹脂組成物が確実にバリスタ特性を発現することができる。
なお、高電圧保護部材形成用樹脂組成物に対し、より高精度な平坦性が要求される場合は、ダイアフラム式ラミネーターでのプレスの後に、高精度に調整された平坦プレス装置によるプレス工程を追加して成型することもできる。
次に、本実施形態に係る構造体300を電子部品内部に搭載させる方法の一例について、タブレット状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を用いてトランスファー成形することにより構造体300を製造する場合を例に挙げて説明する。
まず、第1の端子と第2の端子とを有する電子素子を設置した成形金型を準備する。ここで準備する成形金型は、タブレット状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を仕込むポットと、その後、圧力をかけて高電圧保護部材形成用樹脂組成物を溶融させるためにポットに挿入する補助ラムを備えたプランジャーと、溶融させた高電圧保護部材形成用樹脂組成物を成形空間内に送り込むスプルーとが設けられているものである。
次いで、成形金型を閉じた状態で、ポット内にタブレット状の高電圧保護部材形成用樹脂組成物を仕込む。ここで、ポット内に仕込む高電圧保護部材形成用樹脂組成物の形態は、予め、プレヒーター等によって予熱することにより半溶融の状態にされていてもよい。次に、ポット内に仕込んだ高電圧保護部材形成用樹脂組成物を溶融させるために、高電圧保護部材形成用樹脂組成物に対して、補助ラムを備えたプランジャーをポットに挿入して圧力をかける。その後、溶融した高電圧保護部材形成用樹脂組成物を、スプルーを介して成形空間内に導入する。次に、成形空間内に充填された高電圧保護部材形成用樹脂組成物は、加熱加圧されることにより硬化する。高電圧保護部材形成用樹脂組成物が硬化した後、成形金型を開くことにより、高電圧保護部材形成用樹脂組成物が確実にバリスタ特性を発現する構造体300を備えた電子部品を得ることができる。
また、トランスファー成形における成形温度は、特に限定されるわけではないが、50〜250℃が好ましく、50〜200℃がさらに好ましく、80〜180℃が特に好ましい。成形温度を上記範囲とすることで、溶融状態の樹脂組成物が充填されない部分が発生することと第1の端子と第2の端子とを有する電子素子が位置ずれしてしまうことの両方を防止することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各実施例及び各比較例で用いた原料成分を下記に示した。
・熱硬化性樹脂1:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000)
・熱硬化性樹脂2:トリフェノールメタン型エポキシ樹脂(三菱化学社製、E−1032H60)
・熱硬化性樹脂3:テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製、YX4000K)
・熱硬化性樹脂4:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学社製、YL6810)
・硬化剤1:トリフェノールメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーターケミカル社製、HE910−20)
・硬化剤2:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製、MEH−7851SS)
・硬化剤3:フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型フェノール樹脂(新日鉄住金化学社製、SN485)
・離型剤:モンタン酸エステル系ワックス(クラリアントジャパン社製、WE−4)
・低応力剤:シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社製、FZ−3730)
・硬化促進剤:下記化学式(1)で表される化合物
・フィラー1:半導体セラミックス粒子(セラオン社製、マイクロバリスタ、平均粒子径D50:50μm)
・フィラー2:球状シリカ (電気化学工業社製、FB−74、平均粒子径D50:30μm)
・フィラー3:球状シリカ (マイクロンカンパニー社製、HS−311、平均粒子径D50:2μm)
(熱硬化性樹脂組成物ワニスの調製)
実施例1〜4および比較例1〜4について、下記表1に示す配合量に従ってフィラー以外の各成分を溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)に溶解させ、熱硬化性樹脂組成物のワニスを得た。
(顆粒状の樹脂組成物の作成)
得られた熱硬化性樹脂組成物のワニスとフィラーを、下記表1に示す配合量となるようにプラネタリミキサーに導入し、混練した。その後、得られた混練物から溶剤を除去し、造粒を経て、顆粒状の樹脂組成物を得た。
(電極間封止)
得られた顆粒状の樹脂組成物を用いて電極間封止を行った。
まず、表面上に20μmtの銅回路が配線されている8inchウエハ(0.725mmt)を準備した。次いで、上記8inchウエハの回路形成面上を封止するために、圧縮成型機(TOWA社製)を用いて150℃、100kN、5minで隣接する回路を覆うように上記樹脂組成物を1mm厚となるように成形した。その後、150℃で2時間加熱して樹脂組成物を硬化させた。
次に、ウエハを10mm×10mmの大きさとなるようにダイシングを行って個片化することによりチップを作製した。なお、個片化して得られたチップは、2端子電極の配線を有しており、配線間の最短距離は50μmであった。
そして、硬化させた樹脂組成物をレーザーにて開孔を形成することにより2端子を配した目的の片面封止型の電子装置を作製した。
実施例、比較例で得られた樹脂組成物および電子装置について行った測定および評価を以下に詳説する。
<評価項目>
(1)バリスタ特性(初期)
回路間の電流・電圧特性は、pA meter/DC VOLTAGE SOURCE 4140B(アジレントテクノロジー社製)を用いて隣接した回路間に0Vから100Vまで昇圧速度0.5V/secで印加した時に流れた電流値を測定した。このようにして得られた結果に基づいて、図4に示すように、対数軸でプロットしたグラフを作成した。次いで、得られたグラフから、非直線係数を算出した。そして、実施例、比較例で得られた樹脂組成物の硬化物が示すバリスタ特性については、算出した非直線係数の値から以下の基準で評価を行った。
◎:非直線係数が20以上である。
○:非直線係数が10以上20未満である。
△:非直線係数が2以上10未満である。
×:非直線係数が2未満であり、バリスタ電圧が発現しなかった。
(2)バリスタ特性(TC1000サイクル処理後)
実施例、比較例で得られた電子装置について、JEDEC standardのB条件に準じて1000サイクルの温度サイクル処理を実施した。具体的には、上記温度サイクル処理は、−55℃の温度条件で15分間保持の処理と、125℃温度条件で15分間保持の処理とを1000サイクル実施した。このようにして1000サイクルの温度サイクル処理を実施した電子装置について、上記(1)で説明した方法で非直線係数を算出した。そして、実施例、比較例で得られた樹脂組成物の硬化物が示すTC1000サイクル処理後のバリスタ特性については、算出した非直線係数の値から以下の基準で評価を行った。
◎:非直線係数が20以上である。
○:非直線係数が10以上20未満である。
△:非直線係数が2以上10未満である。
×:非直線係数が2未満であり、バリスタ電圧が発現しなかった。
(3)ウエハ反り
実施例、比較例で得られた電子装置について、レーザー三次元反り測定器(日立テクノロジーアンドサービス社製、形式LS220−MT100MT50)を用いて、8inchウエハに樹脂組成物が成形され硬化された後の反りの大きさを測定した。なお、単位は、mmである。
(4)シリコン基板の熱膨張係数αx
シリコン基板の熱膨張係数αxは、Seiko instruments社製のTMA6100を用いて、JIS C 2161に準拠して、TMA法(圧縮モード)で測定した。このとき、サンプルサイズは、長さ×幅×厚みが、15mm×5mm×3mmとした。また、昇温速度は、10℃/min、荷重は100mNに設定した。なお、単位は、ppm/℃である。
(5)樹脂組成物の硬化物の25℃以上ガラス転移温度Tg以下の温度領域における熱膨張係数αy
樹脂組成物の硬化物の25℃以上ガラス転移温度Tg以下の温度領域における熱膨張係数αyは、Seiko instruments社製のTMA6100を用いて、JIS C 2161に準拠して、TMA法(圧縮モード)で測定し、25℃以上Tg以下の領域における熱膨張係数の平均値を算出した。このとき、サンプルサイズは、長さ×幅×厚みが、15mm×5mm×3mmとした。また、昇温速度は、10℃/min、荷重は100mNに設定した。なお、単位は、ppm/℃である。
(6)樹脂組成物の硬化物の前記ガラス転移温度Tg以上の温度領域における熱膨張係数αz
樹脂組成物の硬化物の前記ガラス転移温度Tg以上の温度領域における熱膨張係数αzは、Seiko instruments社製のTMA6100を用いて、JIS C 2161に準拠して、TMA法(圧縮モード)で測定し、Tg以上の領域における熱膨張係数の平均値を算出した。このとき、試験片のサイズは、長さ×幅×厚みが、15mm×5mm×3mmとした。また、昇温速度は、10℃/min、荷重は100mNに設定した。なお、単位は、ppm/℃である。
(7)樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率Ey、上記硬化温度Tmにおける貯蔵弾性率Ez、およびガラス転移温度Tg
実施例、比較例で得られた電子装置に含まれる樹脂組成物の硬化物から、長さ×幅×厚みが、32mm×10mm×1mmとなるように切り出した試験片を作製した。この試験片について、DMA装置(TAインスツルメント社製、動的粘弾性測定装置RSA3、3点曲げモード)を用いて、スパン幅25mm、周波数10Hz、歪み0.1%にて、5℃/分で昇温し、目的の温度での貯蔵弾性率を測定した。またtanδのピーク位置をガラス転移温度Tgとした。なお、貯蔵弾性率の単位は、GPaであり、Tgの単位は、℃である。
(8)界面熱応力σ1
上記(4)〜(7)の方法で得られた結果を参照して、下記式(1)または式(2)から界面熱応力σ1を算出した。なお、単位は、MPaである。
式(1):界面熱応力σ1=(αy−αx)×Ey×(Tg−25℃)+(αz−αx)×Ez×(Tm−Tg)
式(2):界面熱応力σ1=(αy−αx)×Ey×(Tm−25℃)
上記評価項目に関する評価結果を、以下の表1に各成分の配合比率と共に示す。
実施例の電子装置は、いずれも、比較例と比べて界面熱応力σ1が低いため、ウエハ反りの発生が低減するとともに、バリスタ特性が初期のみでなく温度サイクル処理後も維持されていた。一方、比較例1および2の電子装置は、界面熱応力σ1の値が25MPaより大きな値を示しているため、結果として、温度サイクル処理後のバリスタ特性が初期のバリスタ特性よりと比べて悪化してしまった。また、比較例3および4の電子装置では、半導体セラミック粒子を含まない封止材を形成したため、バリスタ特性が初期から発現しなかった。
10 結晶部
20 粒界部
30 電極端子
50 導電粒子
100 半導体セラミックス粒子
200 樹脂材料
300 バリスタ特性を示す部材(構造体)

Claims (10)

  1. 硬化物が、電圧−電流特性がオームの法則に従わない非直線性を示す高電圧保護部材形成用樹脂組成物であって、
    熱硬化性樹脂とともに、
    粒界部と、前記粒界部によって離隔された複数の結晶部とを有する半導体セラミックス粒子と、
    を含み、
    シリコン基板の熱膨張係数をαxとし、前記熱膨張係数αxが2ppm/℃以上7ppm/℃以下である場合、
    当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物の硬化物の、25℃以上当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物のガラス転移温度Tg以下の温度領域における熱膨張係数αyとし、
    前記硬化物の25℃における貯蔵弾性率をEyとし、
    前記硬化物の前記ガラス転移温度Tg以上の温度領域における熱膨張係数をαzとし、
    当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物の硬化温度Tmにおける前記硬化物の貯蔵弾性率をEzとしたとき、
    前記ガラス転移温度Tgが25℃以上前記硬化温度Tm未満である場合に下記式(1)により算出され、前記ガラス転移温度Tgが前記硬化温度Tm以上の温度である場合に下記式(2)により算出され、前記ガラス転移温度Tgが25℃未満である場合に下記式(3)により算出される前記シリコン基板と前記硬化物との間の界面熱応力σ1が25MPa以下である、高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
    式(1):界面熱応力σ1=(αy−αx)×Ey×(Tg−25℃)+(αz−αx)×Ez×(Tm−Tg)
    式(2):界面熱応力σ1=(αy−αx)×Ey×(Tm−25℃)
    式(3):界面熱応力σ1=(αz−αx)×Ez×(Tm−25℃)
  2. 前記結晶部が、酸化亜鉛、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、およびチタン酸バリウムからなる群より選択される1種以上を含む材料により形成されている請求項1に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  3. 前記粒界部が、ビスマス、プラセオジム、アンチモン、マンガン、コバルトおよびニッケル、またはこれらの化合物からなる群より選択される1種以上を含む材料により形成されている請求項1または2に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  4. 当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物の前記硬化温度Tmが50℃以上250℃以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  5. 前記硬化物の25℃以上当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物のガラス転移温度Tg以下の温度領域における前記熱膨張係数αyが、1ppm/℃以上30ppm/℃以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  6. 当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物の前記ガラス転移温度Tgが50℃以上250℃以下である、請求項1に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  7. 前記半導体セラミックス粒子を、当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物全量に対して、60質量%以上97質量%以下含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  8. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  9. 当該高電圧保護部材形成用樹脂組成物が、低応力剤をさらに含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
  10. 前記低応力剤がシリコーン樹脂である、請求項9に記載の高電圧保護部材形成用樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113423753A (zh) * 2019-02-21 2021-09-21 松下知识产权经营株式会社 半导体封装材料和半导体器件

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