JP2017111361A - 片面保護偏光板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光フィルムと剥離フィルムとを容易に剥離することができ、生産性の高い片面保護偏光板の製造方法を提供すること。【解決手段】偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合するとともに、前記偏光フィルムの他方の面に、揮発性液体からなる層を介して剥離フィルムを積層し、積層体を得る第1工程と、前記揮発性液体を揮発させる第2工程と、剥離点の後における前記剥離フィルムの搬送方向が、前記積層体の搬送方向に対して略水平となるようにして、前記剥離フィルムを剥離する第3の工程とを含む片面保護偏光板の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、片面保護偏光板の製造方法に関するものである。
近年、スマートフォンに代表される液晶モバイル端末の大型化に伴い、限られたバッテリー容量で長時間の駆動を実現するために、輝度向上フィルムを用いる方法などによりバックライト光の利用効率を高める試みがある。一方で、デザインや携帯性の面から、液晶モバイル端末の薄型化の要求が益々高まっており、限られた筐体に占めるバッテリーをできるだけ大きくするため、そこに使用される偏光板についても、さらなる薄型軽量化が要求されている。
このような要求の中で、偏光フィルムの片面にのみ保護フィルムを積層した偏光板〔例えば特開2009−109860号公報(特許文献1)〕が提案されている。特許文献1が開示する偏光板は、偏光板の薄型化に対しては有効な手段であるが、偏光フィルムや保護フィルムの厚みが薄くなるとともに、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合するときに十分な圧力をかけることができず、得られる偏光板に外観不良が発生する場合があった。
このような外観不良の対策としては、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合する際に偏光フィルムにおける保護フィルムとは反対側の面に剥離フィルムを配置して、全体の厚みを大きくするといった手法がとられる(特許文献2)。
この手法では、剥離フィルムとして様々なものを選択できる利点がある。特に、保護フィルムがセルロース系樹脂フィルムであれば剥離フィルムとして(メタ)アクリル系樹脂フィルムが好ましく用いられる。また、保護フィルムがポリオレフィン系樹脂フィルムであれば剥離フィルムとしてはセルロース系樹脂フィルムが好ましく用いられる。
特開2009−109860号公報 国際公開第2015/137250号
しかしながら、偏光フィルムと剥離フィルムの密着性を上げるために純水などの揮発性液体が好ましく用いられるが、時間経過とともに偏光フィルムと剥離フィルムとの密着力が高くなり、偏光フィルムと剥離フィルムと間の剥離が困難となることがあった。本発明の目的は、偏光フィルムと剥離フィルムとを容易に剥離することができ、生産性の高い片面保護偏光板の製造方法を提供することにある。
[1]偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合するとともに、前記偏光フィルムの他方の面に、揮発性液体からなる層を介して剥離フィルムを積層し、積層体を得る第1工程と、
前記揮発性液体を揮発させる第2工程と、
剥離点の後における前記剥離フィルムの搬送方向が、前記積層体の搬送方向に対して略水平となるようにして、前記剥離フィルムを剥離する第3の工程とを含む片面保護偏光板の製造方法。
[2]剥離点の後における前記剥離フィルムの搬送方向と前記積層体の搬送方向とのなす角度が15°以内である[1]に記載の偏光板の製造方法。
[3]剥離フィルムを剥離する工程の前に、保護フィルム、偏光フィルム及び剥離フィルムをこの順に有する積層体を巻き取り、ロールを得る工程を含む[1]又は[2]に記載の偏光板の製造方法。
[4]前記揮発性液体が、水を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
本発明の製造方法によれば、偏光フィルムと剥離フィルムとを容易に剥離することができ、生産性に優れた片面保護偏光板の製造方法を提供することができる。
剥離方法の一例を示す概略図である。 剥離方法の一例を示す概略図である。
本発明において「片面保護偏光板」とは、偏光フィルムの片面のみに保護フィルムを貼合した偏光板であり、この保護フィルムは通常、接着剤層を介して偏光フィルムに貼合される。以下本発明の製造方法について説明をする。
<片面保護偏光板の製造方法>
〔1〕第1の工程
第1の工程では、偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合するとともに、偏光フィルムの他方の面に、揮発性液体からなる層を介して剥離フィルムを積層し、積層体を得る。一般に、片面保護偏光板のような偏光板は、長尺のフィルムを連続的に巻き出して搬送しながら各工程における処理を施すことにより、長尺品として連続的に製造することができる。保護フィルムと偏光フィルムとの貼合、及び剥離フィルムと偏光フィルムとの積層は、それぞれを逐次的に行ってもよいし、同時に行なってもよい。
[偏光フィルム]
偏光フィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理して架橋させる工程、及びホウ酸水溶液による架橋処理後に水洗する工程を経て、製造される。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより製造できる。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体であることもできる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用可能である。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度であり、好ましくは1,500〜5,000程度である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂原反フィルムの膜厚は、例えば10〜100μm程度、好ましくは10〜50μm程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。もちろん、ここに示した複数の段階で一軸延伸を行うこともできる。一軸延伸には、周速の異なるロール間で一軸に延伸する方法や、熱ロールを用いて一軸に延伸する方法などが採用できる。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸により行ってもよいし、水等の溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸により行ってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法により行うことができる。二色性色素として、具体的にはヨウ素や二色性有機染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水に浸漬して膨潤させる処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり、通常 0.01〜1重量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常 0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性の有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性有機染料の含有量は、水100重量部あたり、通常1×10-4〜10重量部程度であり、好ましくは1×10-3〜1重量部である。この染料水溶液は、硫酸ナトリウムのような無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性有機染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬する方法により、行うことができる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部程度であり、好ましくは5〜12重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常 0.1〜15重量部程度であり、好ましくは5〜12重量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常 60〜1,200秒程度であり、好ましくは150〜600秒、さらに好ましくは200〜400秒である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、さらに好ましくは60〜80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬する方法により、行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度である。また浸漬時間は、通常1〜120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度であり、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒程度であり、好ましくは120〜600秒である。乾燥処理により、偏光フィルム中の水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常5〜20重量%程度であり、好ましくは8〜15重量%である。水分率が5重量%を下回ると、偏光フィルムの可撓性が失われ、乾燥後に損傷したり、破断したりすることがある。また水分率が20重量%を超えると、熱安定性が不足する傾向にある。
以上のようにして、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向した偏光フィルムを製造することができる。
高温環境下における偏光フィルムの収縮力を低く抑えるためには、偏光フィルムの厚さを15μm以下とすることが好ましい。良好な光学特性を付与できるという点で、偏光フィルムの厚みは通常3μm以上である。
偏光フィルムは、80℃の温度で240分間保持したときの、その吸収軸方向の幅2mmあたりの収縮力が、2N以下であることが好ましい。この収縮力が、2Nより大きいと高温環境下での寸法変化量が大きくなり、且つ、偏光フィルムの収縮力が大きくなるために、偏光フィルムに割れが発生しやすくなるという傾向にある。偏光フィルムの収縮力は、延伸倍率を下げると、また偏光フィルムの厚さを薄くすると2N以下となる傾向にある。
[保護フィルム]
保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、および位相差値の安定性等に優れる材料からなることが好ましい。このような透明保護フィルム用材料としては、特に限定されるものではないが、たとえば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリエチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、およびポリイミド系樹脂等からなるフィルムが挙げられる。なかでもセルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムを用いることが好ましい。
セルロース系樹脂は、セルロースの水酸基における水素原子の一部又は全部が、アセチル基、プロピオニル基及び/又はブチリル基で置換された、セルロースの有機酸エステル又は混合有機酸エステルでありうる。例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、それらの混合エステルなどからなるものが挙げられる。なかでも、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが好ましい。
これらの樹脂は、透明性を損なわない範囲で、適宜の添加物が配合されていてもよい。添加物として例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、位相差低減剤、安定剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、艶消し剤、抗菌剤、防かび剤などを挙げることができる。これらの添加物は、複数種が併用されてもよい。
以上のような樹脂からフィルムを製膜する方法としては、任意の最適な方法を適宜選択すればよい。例えば、溶剤に溶解させた樹脂を、金属製のバンド又はドラムに流延し、溶剤を乾燥除去してフィルムを得る溶剤キャスト法、樹脂をその溶融温度以上に加熱し、混練してダイから押し出し、冷却することによりフィルムを得る溶融押出法などが使用できる。溶融押出法では、単層フィルムを押し出すこともできるし、多層フィルムを同時押出することもできる。
これら樹脂のフィルムは、市販品を容易に入手することが可能である。市販されているフィルムの例を挙げると、セルロース系樹脂フィルムとして、それぞれ商品名で、富士フイルム株式会社から販売されている“フジタック(登録商標) TD” 、コニカミノルタ株式会社から販売されている“コニカミノルタ TAC フィルム KC”などがある。
オレフィン系樹脂とは、エチレンおよびプロピレン等の鎖状脂肪族オレフィン、またはノルボルネンやその置換体(以下、これらを総称してノルボルネン系モノマーとも称する)等の脂環式オレフィンから誘導される構成単位からなる樹脂である。オレフィン系樹脂は、2種以上のモノマーを用いた共重合体であってもよい。
中でも、オレフィン系樹脂としては、脂環式オレフィンから誘導される構成単位を主に含む樹脂である環状オレフィン系樹脂が好ましく用いられる。環状オレフィン系樹脂を構成する脂環式オレフィンの典型的な例としては、ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。ノルボルネンとは、ノルボルナンの1つの炭素−炭素結合が二重結合となった化合物であって、IUPAC命名法によれば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エンと命名されるものである。ノルボルネンの置換体の例としては、ノルボルネンの二重結合位置を1,2−位として、3−置換体、4−置換体、および4,5−ジ置換体等を挙げることができ、さらにはジシクロペンタジエンやジメタノオクタヒドロナフタレン等も挙げることができる。
環状オレフィン系樹脂は、その構成単位にノルボルナン環を有していてもよいし、有していなくてもよい。構成単位にノルボルナン環を有さない環状オレフィン系樹脂を形成するノルボルネン系モノマーとしては、たとえば、開環により5員環となるもの、代表的には、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1−または4−メチルノルボルネン、および4−フェニルノルボルネン等が挙げられる。環状オレフィン系樹脂が共重合体である場合、その分子の配列状態は特に限定されるものではなく、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
環状オレフィン系樹脂のより具体的な例としては、たとえば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの開環共重合体、それらにマレイン酸付加やシクロペンタジエン付加等がなされたポリマー変性物、およびこれらを水素添加した重合体または共重合体;ノルボルネン系モノマーの付加重合体、およびノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの付加共重合体等が挙げられる。共重合体とする場合における他のモノマーとしては、α−オレフィン類、シクロアルケン類、および非共役ジエン類等が挙げられる。また、環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーおよび他の脂環式オレフィンの1種または2種以上を用いた共重合体であってもよい。
前記具体例の中でも、環状オレフィン系樹脂としては、ノルボルネン系モノマーを用いた開環重合体または開環共重合体に水素添加した樹脂が好ましく用いられる。
このようなオレフィン系樹脂は、溶液からのキャスティング法や溶融押出法等により、フィルムに製膜し、公知の縦一軸延伸やテンター横一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸等で行うことで延伸フィルム得ることができる。このようなノルボルネン系モノマーを用いた環状オレフィン系樹脂フィルムは市販品を入手することができ、たとえば、いずれも商品名で、日本ゼオン株式会社の「ゼオノア(登録商標)」やJSR株式会社の「アートン(登録商標)」等がある。
保護フィルムの偏光フィルムとは反対側の表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を形成することもできる。保護フィルム表面に表面処理層を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
[接着剤]
偏光フィルムと保護フィルムとの貼合は、接着剤によりおこなうことができる。偏光フィルムと保護フィルムとを貼合する接着剤層は、その厚さを0.01〜30μm程度とすることができ、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.05〜5μmである。接着剤層の厚さがこの範囲にあれば、積層される保護フィルムと偏光フィルムとの間に浮きや剥がれを生じず、実用上問題のない接着力が得られる。
接着剤層の形成には、被着体の種類や目的に応じて、適宜、適切な接着剤を用いることができ、また必要に応じてアンカーコート剤を用いることもできる。接着剤として、例えば、溶剤型接着剤、エマルジョン型接着剤、感圧性接着剤、再湿性接着剤、重縮合型接着剤、無溶剤型接着剤、フィルム状接着剤、ホットメルト型接着剤などが挙げられる。
好ましい接着剤の一つとして、水系接着剤、すなわち、接着剤成分が水に溶解又は分散しているものを挙げることができる。水に溶解可能な接着剤成分の例を挙げると、ポリビニルアルコール系樹脂がある。また、水に分散可能な接着剤成分の例を挙げると、親水基を有するウレタン系樹脂がある。水系接着剤は、このような接着剤成分を、必要に応じて配合される追加の添加剤とともに、水に混合して調製することができる。水系接着剤となりうる市販のポリビニルアルコール系樹脂の例を挙げると、株式会社クラレから販売されているカルボキシル基変性ポリビニルアルコールである“KL−318”などがある。
水系接着剤は、必要に応じて架橋剤を含有することができる。架橋剤の例を挙げると、アミン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、水溶性エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、多価金属塩などがある。ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする場合は、グリオキザールをはじめとするアルデヒド化合物、メチロールメラミンをはじめとするメチロール化合物、水溶性エポキシ樹脂などが、架橋剤として好ましく用いられる。ここで水溶性エポキシ樹脂は、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応物であるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂であることができる。水溶性エポキシ樹脂の市販品の例を挙げると、田岡化学工業株式会社から販売されている“スミレーズレジン(登録商標) 650(30)”などがある。
偏光フィルム及び/又はそこに貼合される保護フィルムの接着面に、水系接着剤を塗布し、両者を貼り合わせた後、乾燥処理を施すことにより、偏光板を得ることができる。接着に先立って、保護フィルムには、ケン化処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、又はプライマー処理のような易接着処理を施し、濡れ性を高めておくことも有効である。乾燥温度は、例えば50〜100℃程度とすることができる。乾燥処理後、室温よりもやや高い温度、例えば30〜50℃程度の温度で1〜10日間程度養生することは、接着力を一層高めるうえで好ましい。
もう一つの好ましい接着剤として、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有する硬化性接着剤組成物が挙げられる。ここで硬化性のエポキシ化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものである。この場合、偏光フィルムと保護フィルムとの接着は、当該接着剤組成物の塗布層に対して、活性エネルギー線を照射するか、又は熱を付与し、接着剤に含有される硬化性のエポキシ化合物を硬化させる方法により行うことができる。エポキシ化合物の硬化は、一般に、エポキシ化合物のカチオン重合により行われる。また生産性の観点から、この硬化は活性エネルギー線の照射により行うことが好ましい。
耐候性、屈折率、カチオン重合性などの観点から、硬化性接着剤組成物に含有されるエポキシ化合物は、分子内に芳香環を含まないものであることが好ましい。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物として、水素化エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。このような硬化性接着剤組成物に好適に用いられるエポキシ化合物は、例えば、特開2004−245925号公報で詳細に説明されているが、ここでも概略を説明することとする。
水素化エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物の原料である芳香族ポリヒドロキシ化合物に触媒の存在下及び加圧下で選択的に核水素化反応を行うことにより得られる核水添ポリヒドロキシ化合物を、グリシジルエーテル化したものであることができる。芳香族エポキシ化合物の原料である芳香族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェールF、及びビスフェノールSのようなビスフェノール類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、及びヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラック樹脂のようなノボラック型の樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、及びポリビニルフェノールのような多官能型の化合物などが挙げられる。このような芳香族ポリヒドロキシ化合物に核水素化反応を行い、得られる核水添ポリヒドロキシ化合物にエピクロロヒドリンを反応させることにより、グリシジルエーテル化することができる。好適な水素化エポキシ化合物として、水素化されたビスフェノールAのグリシジルエーテルが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物である。「脂環式環に結合したエポキシ基」とは、次式に示される構造における橋かけの酸素原子−O−を意味し、この式中、mは2〜5の整数である。
Figure 2017111361
この式における (CH2)m 中の水素原子を1個又は複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合している化合物が、脂環式エポキシ化合物となりうる。また、脂環式環を形成する (CH2)m 中の1個又は複数個の水素原子は、メチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。脂環式エポキシ化合物のなかでも、オキサビシクロヘキサン環(上式においてm=3のもの)や、オキサビシクロヘプタン環(上式においてm=4のもの)を有するエポキシ化合物は、優れた接着性を示すことから好ましく用いられる。以下に、脂環式エポキシ化合物の具体的な例を掲げる。ここでは、まず化合物名を挙げ、その後、それぞれに対応する化学式を示すこととし、化合物名とそれに対応する化学式には同じ符号を付す。
A:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
B:3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
C:エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
D:ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、
E:ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、
F:ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
G:エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
H:2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン、
I:3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
J:4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、
K:リモネンジオキサイド、
L:ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、
M:ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
Figure 2017111361
脂肪族エポキシ化合物は、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルであることができる。より具体的には、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル;1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル;グリセリンのトリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル;エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンのような脂肪族多価アルコールにアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル(例えばポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル)などが挙げられる。
硬化性接着剤組成物において、エポキシ化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでもこのエポキシ化合物は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する脂環式エポキシ化合物を含むことが好ましい。
硬化性接着剤組成物に用いられるエポキシ化合物は、通常30〜3,000g/当量の範囲内のエポキシ当量を有し、このエポキシ当量は好ましくは50〜1,500g/当量の範囲である。エポキシ当量が30g/当量を下回るエポキシ化合物を用いた場合には、硬化後の偏光板の可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする可能性がある。一方、3,000g/当量 を超えるエポキシ当量を有する化合物では、接着剤組成物に含有される他の成分との相溶性が低下する可能性がある。
反応性の観点から、エポキシ化合物の硬化反応としてカチオン重合が好ましく用いられる。そのためには、エポキシ化合物を含む硬化性接着剤組成物には、カチオン重合開始剤を配合するのが好ましい。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、及び電子線のような活性エネルギー線の照射又は加熱によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させる。作業性の観点から、カチオン重合開始剤には潜在性が付与されていることが好ましい。以下、活性エネルギー線の照射によってカチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を「光カチオン重合開始剤」といい、熱によってカチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を「熱カチオン重合開始剤」という。
光カチオン重合開始剤を用い、活性エネルギー線の照射により接着剤組成物の硬化を行う方法は、常温常湿での硬化が可能となり、偏光フィルムの耐熱性又は膨張による歪を考慮する必要が減少し、保護フィルムと偏光フィルムとを良好に接着できる点において有利である。また、光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、エポキシ化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、鉄−アレン錯体などを挙げることができる。光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対し、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1重量部以上、また好ましくは15重量部以下である。光カチオン重合開始剤の配合量が、エポキシ化合物100重量部に対して0.5重量部を下回ると、硬化が不十分になり、硬化物の機械的強度や接着強度が低下する傾向にある。一方、光カチオン重合開始剤の配合量が、エポキシ化合物100重量部に対して20重量部を超えると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、耐久性能が低下する可能性がある。
光カチオン重合開始剤を用いる場合、硬化性接着剤組成物は、必要に応じてさらに光増感剤を含有することができる。光増感剤を用いることで、カチオン重合の反応性を向上させ、硬化物の機械的強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。光増感剤を配合する場合、その量は、硬化性接着剤組成物100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲内とすることが好ましい。また、硬化速度向上のために、ナフトキノン誘導体のような増感助剤を用いてもよい。
一方、熱カチオン重合開始剤としては、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどを挙げることができる。
エポキシ化合物を含有する硬化性接着剤組成物は、先述のとおり光カチオン重合によって硬化させることが好ましいが、上記の熱カチオン重合開始剤を存在させ、熱カチオン重合によって硬化させることもできるし、光カチオン重合と熱カチオン重合を併用することもできる。光カチオン重合と熱カチオン重合を併用する場合、硬化性接着剤組成物には、光カチオン重合開始剤と熱カチオン重合開始剤の両方を含有させることが好ましい。
また、硬化性接着剤組成物は、オキセタン化合物やポリオール化合物など、カチオン重合を促進させる化合物をさらに含有してもよい。オキセタン化合物は、分子内に4員環エーテルを有する化合物である。オキセタン化合物を配合する場合、その量は、硬化性接着剤組成物中に、通常5〜95重量%、好ましくは5〜50重量%である。またポリオール化合物は、エチレングリコールやヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを包含するアルキレングリコール又はそのオリゴマー、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールなどでありうる。ポリオール化合物を配合する場合、その量は、硬化性接着剤組成物中に、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
硬化性接着剤組成物は、ラジカル重合性である(メタ)アクリル系化合物を含有するものであってもよい。(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー;官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を挙げることができる。
この場合、硬化性接着剤組成物は、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、チオキサントン系開始剤、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン等を挙げることができる。
さらに、硬化性接着剤組成物は、その接着性を損なわない限り、他の添加剤、例えば、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、増感剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤などを含有することができる。イオントラップ剤としては、例えば、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、カルシウム系、チタン系、これらの混合系などを包含する無機化合物が挙げられ、酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。
エポキシ化合物を含有する硬化性接着剤組成物を、偏光フィルム又は保護フィルムの接着面、あるいはこれら双方の接着面に塗工した後、接着剤の塗工された面で貼合し、活性エネルギー線を照射するか又は加熱することにより未硬化の接着剤層を硬化させて、偏光フィルムと保護フィルムとを接着させることができる。接着剤の塗工方法としては、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が採用できる。
この硬化性接着剤組成物は、基本的には、溶剤を実質的に含まない無溶剤型接着剤として用いることができるが、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、粘度調整のために溶剤を含有させてもよい。溶剤は、偏光フィルムの光学性能を低下させることなく、エポキシ化合物をはじめとする各成分を良好に溶解する有機溶剤であることが好ましく、例えば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類などを用いることができる。
活性エネルギー線の照射により接着剤組成物の硬化を行う場合、活性エネルギー線としては先述した各種のものを用いることができるが、取扱いが容易で、照射光量などの制御もしやすいことから、紫外線が好ましく用いられる。活性エネルギー線、例えば紫外線の照射強度や照射量は、偏光フィルムの偏光度をはじめとする各種光学性能、及び保護フィルムの透明性や位相差特性をはじめとする各種光学性能に影響を及ぼさない範囲で、適度の生産性が保たれるように適宜決定される。
熱により接着剤組成物の硬化を行う場合は、一般的に知られた方法で加熱することができる。通常は、硬化性接着剤組成物に配合された熱カチオン重合開始剤がカチオン種やルイス酸を発生する温度以上で加熱が行われ、具体的な加熱温度は、例えば50〜200℃程度である。
[剥離フィルム]
剥離フィルムは、偏光フィルムに積層した後、所望のタイミングで剥離可能なフィルムである。「剥離可能」とは、偏光フィルムと剥離フィルムとを分離できることを意味する。偏光フィルム及び剥離フィルムを破損又は傷めることなく、剥離できることが好ましい。
剥離フィルムは、ハンドリング性、透明性、廉価性等に鑑み、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂のような鎖状ポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂又はこれらの混合物、共重合物等からなる透明樹脂フィルムであることができる。これらの1種又は2種以上を単層又は多層状に成形したフィルムを剥離フィルムとして用いることもできる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、セルローストリアセテート、ポリメタクリル酸メチル系樹脂からなるフィルムを好適に用いることができる。
第2の工程で、加熱により偏光フィルムと剥離フィルムとの積層に用いる揮発性液体を揮発させるために、保護フィルム及び剥離フィルムの少なくとも一方のフィルムの透湿度は、400g/m・24hr以上であることが好ましく、420g/m・24hr以上であることがより好ましい。透湿度がこの範囲であると、後の第2工程において揮発性液体を効率良く揮発除去させることができるため、生産性をより高めることができる。
例えば、保護フィルムとしてセルロース系樹脂フィルムを用いる場合は、剥離フィルムとしては(メタ)アクリル系樹脂フィルムを用いることが好ましく、保護フィルムとしてポリオレフィン系樹脂フィルムを用いる場合は、剥離フィルムがセルロース系樹脂フィルムを用いることが好ましい。
剥離フィルムの厚みは、例えば5〜100μm程度であり、好ましくは10〜80μm程度である。
剥離フィルムは、80℃にて5分間加熱したときの収縮率(加熱収縮率)が0.15%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。剥離フィルムの加熱収縮率が大きいと、第2工程での加熱処理において剥離フィルム10にシワが生じやすくなり、これに伴い、片面保護偏光板にシワが生じやすくなる。加熱収縮率が上記範囲内となる樹脂材料の例は、ポリエチレンテレフタレート、セルローストリアセテート、ポリメタクリル酸メチル系樹脂を含む。
なお、「加熱収縮率が0.15%以下である」とは、MD収縮率及びTD収縮率の双方が0.15%以下であることを意味する。
剥離フィルムの収縮率は、1辺が剥離フィルムのMD(フィルム長手方向)と平行になるように1辺100mmの正方形の試験片を切り出し、当該試験片の初期寸法A(MDの初期寸法)と、その試験片を80℃の乾熱環境下で5分保持した後の寸法B(MDの寸法)とから、下記式:
MD寸法変化率(%)=(A−B)/A×100
により、剥離フィルムのMD寸法変化率を算出し、これをMD収縮率とする。同様にして、初期寸法A’(TD(MDと直交する方向)の初期寸法)と、その試験片を80℃の乾熱環境下で5分保持した後の寸法B’(TDの寸法)とから、TD寸法変化率を算出し、これをTD収縮率とする。
[揮発性液体]
偏光フィルムと剥離フィルムとの間の積層に用いる揮発性液体は、第2工程での加熱処理によって揮発し得る液体であり、好ましくは偏光フィルムに悪影響を与えない液体である。悪影響を与えないのであれば、帯電防止剤等の添加剤を添加してもよい。本発明において使用し得る揮発性液体の例を挙げれば、例えば、水や、水と親水性液体との混合物等である。親水性液体は、第2工程での加熱処理後に残留しないものであることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、1−ブタノール、テトロヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、酢酸等が挙げられる。
本工程では、長尺の偏光フィルムのロール(巻回品)、長尺の保護フィルムのロール及び長尺の剥離フィルムのロールを用意し、これらを連続的に巻き出しながらフィルム搬送を行う。各フィルムは、それらの長手方向が搬送方向となるように搬送される。フィルムの搬送経路には適宜、走行するフィルムを支持するガイドロールが設けられる。通常、偏光フィルムの搬送方向(フィルム長手方向)と保護フィルムの搬送方向(フィルム長手方向)と剥離フィルムの搬送方向(フィルム長手方向)とは平行である。
本工程では、偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合するとともに、偏光フィルムのもう一方の面に、揮発性液体を介して剥離フィルムを積層する。保護フィルムの貼合及び剥離フィルムの積層は、保護フィルム、偏光フィルム及び剥離フィルムを、それらの長手方向(搬送方向)が平行となるように重ねて一対の貼合ロール間に通し、積層されたフィルムを上下から押圧することによって行うことができる。
この際、一対の貼合ロール間に通す手前で、偏光フィルムと保護フィルムとの間に接着剤を、偏光フィルムと剥離フィルムとの間に揮発性液体を塗布する。
ここでは、保護フィルム、偏光フィルム及び剥離フィルムを同時に貼合(積層)する例を説明したが、もちろん保護フィルムと偏光フィルムとの貼合、及び剥離フィルムと偏光フィルムとの積層は、それぞれを逐次的に行ってもよい。
従来の片面保護偏光板の製造方法においては、偏光フィルム面に特段の層を介在させることなく直接剥離フィルムを積層していたことに起因して、片面保護偏光板を製造する工程中に、偏光フィルムが破断しやすいという問題があった。偏光フィルムの片面に水系接着剤層を介して保護フィルムが貼合される場合、片面保護偏光板を得るためには、水系接着剤層を乾燥させる工程が必要になるが、従来の製造方法においては、とりわけこの乾燥工程において偏光フィルムの破断が生じやすかった。
これに対して、偏光フィルムと剥離フィルムとの間に揮発性液体からなる層を介在させて剥離フィルムを偏光フィルムに積層する製造方法によれば、接着剤や揮発性液体を乾燥・揮発させる工程(第2工程)においても、偏光フィルムの破断を効果的に抑制することができる。また、偏光フィルムと剥離フィルムとの間に揮発性液体を介在させることは、片面保護偏光板を製造する工程中に片面保護偏光板にシワが生じることを抑制する効果もある。
偏光フィルムに保護フィルムを貼合するにあたり、偏光フィルム及び/又は保護フィルムの貼合面には、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理のような易接着処理を行うことができる。これらの中では、プラズマ処理、コロナ処理又はケン化処理を行うことが好ましい。例えば保護フィルムが環状ポリオレフィン系樹脂からなる場合には、保護フィルムの貼合面にプラズマ処理やコロナ処理を施すことができる。また、保護フィルムがセルロースエステル系樹脂からなる場合には、保護フィルムの貼合面にケン化処理を施すことができる。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ水溶液に浸漬する方法が挙げられる。また、剥離フィルムに対しても揮発性液体の濡れ性を向上させるために保護フィルムと同様の処理を行うことも有用である。
本発明で水系接着剤もしくは加熱により硬化するエポキシ化合物を含有する硬化性接着剤を用いる場合は、次の第2工程で揮発性液体を揮発させるとともに接着剤層を乾燥または硬化させることが好ましい。また、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性接着剤を用いる場合には、第2工程の前に活性エネルギー線を照射し硬化させることが好ましい。
〔2〕第2の工程
本工程は、揮発性液体を揮発除去する工程である。揮発性液体は、加熱により揮発除去されることが好ましい。この加熱処理によって、剥離フィルムは、偏光フィルムの表面に直接、適度な密着力をもって積層される。
乾燥温度は、好ましくは30〜90℃である。30℃未満であると、乾燥にかかる時間が長く外観の不良が発生するおそれがある。また乾燥温度が90℃を超えると、熱によって偏光フィルムの偏光性能が劣化するおそれがある。乾燥時間は10〜1000秒程度とすることができ、生産性の観点からは、好ましくは60〜750秒、より好ましくは150〜600秒である。
偏光フィルムに揮発性液体からなる層を介して剥離フィルムを積層することにより、本工程における加熱温度を、例えば60℃超90℃以下程度まで高くできる。すなわち、加熱温度を高く設定しても、偏光フィルムの破断を抑制できることに加えて、当該高温加熱によって、偏光フィルムの収縮率が小さく、従って寸法安定性の高い片面保護偏光板を得ることができる。片面保護偏光板の収縮率を小さくすることにより、この偏光板を用いて液晶パネルを作製したときに当該液晶パネルの反りを低減することができる。従来においては、偏光フィルムが破断しやすいことから、乾燥温度を高く設定することができず、低収縮率の片面保護偏光板を得ることが難しかった。
揮発性液体を揮発除去した後、保護フィルム、偏光フィルムおよび剥離フィルムをこの順に有する積層体を巻き取り、ロールにすることが好ましい。
第2工程の後、室温以上の温度で少なくとも半日、通常は数日間以上の養生を施して十分な接着強度を得てもよい。かかる養生は、典型的には、ロール状に巻き取られた状態で行われる。好ましい養生温度は、30〜50℃の範囲であり、さらに好ましくは35〜45℃である。養生温度が50℃を超えると、ロール巻き状態において、いわゆる「巻き締まり」が起こりやすくなる。なお、養生時の湿度は、特に限定されないが、相対湿度が0〜70%RH程度の範囲となるように選択されることが好ましい。養生時間は、通常1〜10日程度、好ましくは2〜7日程度である。
養生した後で、さらに保管工程を設けてもよい。保管期間は通常1日以上であり、7日以上であってもよく、1ヶ月以上であってもよい。また通常、保管期間は1年以下である。後述のとおり、保管期間が1ヶ月以上の場合に、本発明は顕著に効果を奏する。保管温度は例えば10〜30℃の範囲であり、相対湿度は例えば0〜70%RHである。
〔3〕第3の工程
本工程は、積層体から剥離フィルムを剥離する工程である。第2工程で剥離フィルムは適度な密着力を持って積層されるが、第2工程から第3工程までの保管期間が7日以上の場合、特に第2工程から第3工程までの保管期間が1か月以上となる場合には、偏光フィルムと剥離フィルムの密着力が上昇し剥離が困難となることがある。
本工程では、この問題を解決するために、剥離点の後における剥離フィルムの搬送方向が、積層体の搬送方向に対して略水平となるようにして剥離フィルムの剥離を行う。剥離点の後における剥離フィルムの搬送方向と、積層体の搬送方向とのなす角度(搬送角度変化)が30°以内となるようにするのが好ましい。搬送角度変化は、15°以内となるように行うのがより好ましく、5°以内となるように行うのがさらに好ましい。図1を参照すると、本発明で言う搬送角度変化とは、剥離点31前の積層体の搬送方向13と剥離点31後の剥離フィルムの搬送方向14とのなす角20である。
また、剥離点の後における偏光フィルム及び保護フィルムの搬送方向と、積層体の搬送方向とのなす角度(片面保護偏光板の搬送角度変化)は、15°以上とすることが好ましく、30°以上とすることがより好ましい。このようにすることで、フィルム搬送時の保護フィルムのばたつきによる剥離不良の発生を抑えることができる。図1を参照すると、本発明で言う片面保護偏光板の搬送角度変化とは、剥離点31前の積層体の搬送方向13と剥離点31後の片面保護偏光板の搬送方向15とのなす角21である
すなわち、上記のとおり第3の工程は、積層体から片面保護偏光板を引き起こして、剥離フィルムを剥離することが好ましい。
メカニズムの詳細は不明であるが、剥離点の前後で剥離フィルムの搬送角度が15°を超えると剥離力が0.5N/25mm超となりやすい。第3の工程における偏光フィルムと剥離フィルムとの間の剥離力は、例えば0.01〜0.5N/25mmであり、好ましくは0.01〜0.2N/25mm、より好ましくは0.01〜0.15N/25mmである。剥離力が0.01N/25mm未満であると、偏光フィルムと剥離フィルムとの密着力が小さいため、剥離フィルムの部分的な剥がれが生じたり、片面保護偏光板をロール状にした状態で保管中に偏光フィルムが延伸方向に沿って(延伸方向と平行方向に)裂けたりすることがある。また、剥離力が0.5N/25mmを超えると、偏光フィルムから剥離フィルムを剥離するのが困難となるため、剥離フィルムを剥離する際に偏光フィルムが延伸方向に沿って裂けることがある。
ここで、上記剥離力は、剥離フィルムが積層された片面保護偏光板を25mm幅にカットして測定サンプルを取得し、株式会社島津製作所製の精密万能試験機「オートグラフAGS−50NX」を用いて測定できる。片面保護偏光板の搬送角度を変化させるときには、剥離フィルム面をガラスに固定して(図1における積層体の搬送方向13と剥離フィルムの搬送方向14とのなす角度20が0°に相当)、片面保護偏光板を掴み、第3の工程で採用する搬送角度変化と同じ角度で剥がすときの力を測定することにより求められる。
剥離フィルムの剥離角度(図2における積層体の搬送方向13と剥離フィルムの搬送方向14とのなす角度20に相当)を変化させるときには片面保護偏光板をガラスに固定し、剥離フィルムを掴み、第3の工程で採用する搬送角度変化と同じ角度で剥がすときの力を測定することにより求められる。
剥離フィルムの搬送方向、又は片面保護偏光板の搬送方向が、いずれも積層体の搬送方向に対して水平でない場合、積層フィルムの角度及び剥離フィルムの角度を固定する治具を使用することにより、剥離力の測定を行うことができる。
剥離力の測定は、剥離速度100mm/minで温度23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で行われる。
〔4〕その他の工程
本発明の片面保護偏光板は、偏光フィルム面に粘着剤層を形成しそのまま液晶セルに貼り合わせる形態で使用してもよい。また、偏光板の両面に保護フィルムが貼合された両面保護偏光板の製造中間体としても好適に利用可能である。
粘着剤としては、従来公知の適宜の粘着剤を用いることができ、例えば(メタ)アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤、ゴム系粘着剤などが挙げられる。中でも、透明性、粘着力、信頼性、リワーク性などの観点から、(メタ)アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤は、粘着剤を、例えば有機溶剤溶液の形態で用い、それを偏光フィルム5上にダイコーターやグラビアコーター等によって塗工し、乾燥させる方法によって設けることができる他、離型処理が施されたプラスチックフィルム(セパレートフィルムと呼ばれる。)上に形成されたシート状粘着剤を偏光フィルム5に転写する方法によっても設けることができる。いずれの方法をとっても、粘着剤の表面にセパレートフィルムが貼着されていることが好ましい。粘着剤の厚みは、例えば2〜40μmであることができる。
片面保護偏光板の偏光フィルム面にもう1つの保護フィルムを積層する場合にも、上記で説明した接着剤や粘着剤を用いることができる。ここで用いる保護フィルムは、上記の片面保護偏光板で使用した保護フィルムと同様のものでも異なるものでもよい。また、位相差フィルムや輝度向上フィルムのような機能性フィルムとすることも有用な技術である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって規定されるものではない。例中、含有量および使用量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。
(1)厚さの測定:
株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーター「MH−15M」を用いて測定した。
(2)剥離力の測定:
株式会社島津製作所製の精密万能試験機「オートグラフAG1−S」を用いて測定した。剥離力の測定は、剥離速度100mm/minで温度23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で行った。
(3)透湿度の測定:
JIS Z 0208に基づき透湿度を測定した。温湿度条件は、40度90%RHとした。
[製造例1]偏光フィルムの作製
厚み20μmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上)を、乾式延伸により約4倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、40℃の純水に40秒間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.052/5.7/100の水溶液に28℃で30秒間浸漬して染色処理を行った。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が11.0/6.2/100の水溶液に70℃で120秒間浸漬した。引き続き、8℃の純水で15秒間洗浄した後、300Nの張力で保持した状態で、60℃で50秒間、次いで75℃で20秒間乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している厚み7μmの偏光フィルムを得た。
[製造例2]水系接着剤の作製
水100重量部に対し、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール〔株式会社クラレから入手した商品名「KL−318」〕を3重量部溶解し、その水溶液に水溶性エポキシ樹脂であるポリアミドエポキシ系添加剤〔田岡化学工業株式会社から入手した商品名「スミレーズレジン(登録商標) 650(30)」、固形分濃度30重量%の水溶液〕を1.5重量部添加して、水系接着剤を調製した。
[保護フィルムA、B及び剥離フィルムC、D]
以下の4種類の保護フィルム及び剥離フィルムを用意した。
保護フィルムA:コニカミノルタ株式会社製のトリアセチルセルロースフィルムをケン化処理したフィルム;KC2UAW(厚み25μm、透湿度=1207g/m・24hr)
保護フィルムB:日本ゼオン株式会社製の環状ポリオレフィン系樹脂フィルム;ZF14−013(厚み13μm透湿度=30g/m・24hr)
剥離フィルムC:富士フイルム株式会社製のトリアセチルセルロースフィルム;TD80UL(厚み80μm透湿度=502g/m・24hr)
剥離フィルムD:住友化学株式会社製のポリメタクリル酸メチル樹脂フィルム(厚み80μm、透湿度=50g/m・24hr)
[実施例1]片面保護偏光板1の作製
製造例1で得られた偏光フィルムを連続的に搬送するとともに保護フィルムAのロールから保護フィルムAを連続的に巻出し、また、剥離フィルムDのロールから剥離フィルムDを連続で巻きだした。次いで、偏光フィルムと保護フィルムAとの間に水系接着剤を注入するとともに、偏光フィルムと剥離フィルムDとの間に純水を注入し、貼合ロールに通して保護フィルムA/水系接着剤層/偏光フィルム/純水/剥離フィルムDからなる積層フィルムとした(第1工程)。引き続き、積層フィルムを搬送し、乾燥炉で80℃、300秒の加熱処理を行うことにより、水系接着剤層の乾燥とともに、偏光フィルムと剥離フィルムDの間に介在する純水を揮発除去して、剥離フィルム付片面保護偏光板1を得た(第2工程)。剥離フィルム付片面保護偏光板1の製造中、偏光フィルムの破断及び偏光板のシワは生じなかった。こうして、作製した剥離フィルム付片面保護偏光板1のロールを温度23℃湿度55%の環境下に3ヶ月保管した。
保管の後、剥離フィルム付片面保護偏光板1から剥離フィルムDを剥離する際に、剥離点の前後の剥離フィルムDの搬送角度変化を0°として剥離フィルムDを剥離した。剥離力は、0.33N/25mmであり、剥離に問題はなかった。
[実施例2]
実施例1と同様に片面保護偏光板1を作製し、ロールに巻き取って温度23℃湿度55%の環境下に3ヶ月保管した。保管の後、剥離フィルム付片面保護偏光板1から剥離フィルムDを剥離する際に、剥離点の前後の剥離フィルムの搬送角度変化を3°として剥離フィルムDを剥離した。剥離力は、0.35N/25mmであり、剥離に問題はなかった。
[実施例3]
実施例1と同様に片面保護偏光板1を作製し、ロールに巻き取って温度23℃湿度55%の環境下に3ヶ月保管した。保管の後、剥離フィルム付片面保護偏光板1から剥離フィルムDを剥離する際に、剥離点の前後の剥離フィルムの搬送角度変化を10°として剥離フィルムDを剥離した。剥離力は0.42N/25mmであり、剥離でのジッピングが発生したものの剥離可能であった。
[比較例1]
実施例1と同様に片面保護偏光板1を作製し、ロールに巻き取って温度23℃湿度55%の環境下に3ヶ月保管した。保管の後、剥離フィルム付片面保護偏光板1から剥離フィルムDを剥離する際に、剥離点の前後の剥離フィルムの搬送角度変化を90°として剥離フィルムDを剥離した。剥離力は、1.36N/25mmであり、剥離が困難であった。
[実施例4]片面保護偏光板2の作製
製造例1で得られた偏光フィルムを連続的に搬送するとともに保護フィルムBのロールから保護フィルムBを連続的に巻出し、また、剥離フィルムCのロールから剥離フィルムCを連続で巻きだした。次いで、偏光フィルムと保護フィルムBとの間に水系接着剤を注入するとともに、偏光フィルムと剥離フィルムCとの間に純水を注入し、貼合ロールに通して保護フィルムB/水系接着剤層/偏光フィルム/純水/剥離フィルムCからなる積層フィルムとした(第1工程)。引き続き、積層フィルムを搬送し、乾燥炉で80℃、300秒の加熱処理を行うことにより、水系接着剤層の乾燥とともに、偏光フィルムと剥離フィルムCの間に介在する純水を揮発除去して、剥離フィルム付片面保護偏光板2を得た(第2工程)。剥離フィルム付片面保護偏光板2の製造中、偏光フィルムの破断及び偏光板のシワは生じなかった。こうして、作製した剥離フィルム付片面保護偏光板2のロールを温度23℃湿度55%の環境下に3ヶ月保管した。
保管の後、剥離フィルム付片面保護偏光板2から剥離フィルムCを剥離する際に、剥離点の前後の剥離フィルムC搬送角度変化を0°として剥離フィルムCを剥離した。剥離力は0.1N/25mmであり、剥離に問題はなかった。
[実施例5]
実施例4と同様に片面保護偏光板2を作製し、ロールに巻き取って温度23℃湿度55%の環境下に3ヶ月保管した。保管の後、剥離フィルム付片面保護偏光板2から剥離フィルムCを剥離する際に、剥離点の前後の剥離フィルムの搬送角度変化を3°として剥離フィルムCを剥離した。剥離力は0.3N/25mmであり、剥離に問題はなかった。
[実施例6]
実施例4と同様に片面保護偏光板2を作製し、ロールに巻き取って温度23℃湿度55%の環境下に3ヶ月保管した。保管の後、剥離フィルム付片面保護偏光板2から剥離フィルムCを剥離する際に、剥離点の前後の剥離フィルムの搬送角度変化を10°として剥離フィルムCを剥離した。剥離力は0.5N/25mmであり、剥離でのジッピングが発生したものの剥離可能であった。
[比較例2]
実施例4と同様に片面保護偏光板2を作製し、ロールに巻き取って温度23℃湿度55%の環境下に3ヶ月保管した。保管の後、剥離フィルム付片面保護偏光板2から剥離フィルムCを剥離する際に、剥離点の前後の剥離フィルムの搬送角度変化を90°として剥離フィルムCを剥離した。剥離力は1.2N/25mmであり、剥離が困難であった。
以上の結果を表1に示す。なお剥離試験の結果は、以下のような判定基準に基づいて評価した。
◎:フィルムの破断等の問題がなく、剥離をすることができた。
○:フィルムの剥離時にジッピングが発生するものの、剥離をすることができた。
×:フィルムの破断等が生じ、剥離が困難であった。
Figure 2017111361
10 積層体
11 片面保護偏光板
12 剥離フィルム
13 積層体の搬送方向
14 剥離フィルムの搬送方向
15 片面保護偏光板の搬送方向
20 搬送角度変化
21 片面保護フィルムの搬送角度変化
30 ロール
31 剥離点

Claims (4)

  1. 偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合するとともに、前記偏光フィルムの他方の面に、揮発性液体からなる層を介して剥離フィルムを積層し、積層体を得る第1工程と、
    前記揮発性液体を揮発させる第2工程と、
    剥離点の後における前記剥離フィルムの搬送方向が、前記積層体の搬送方向に対して略水平となるようにして、前記剥離フィルムを剥離する第3の工程とを含む片面保護偏光板の製造方法。
  2. 剥離点の後における前記剥離フィルムの搬送方向と前記積層体の搬送方向とのなす角度が15°以内である請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  3. 剥離フィルムを剥離する工程の前に、保護フィルム、偏光フィルム及び剥離フィルムをこの順に有する積層体を巻き取り、ロールを得る工程を含む請求項1又は2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 前記揮発性液体が、水を含む請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
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