本発明の接着シートは、温度100℃及び周波数1Hzで測定された貯蔵弾性率(G’A100)が1×105Pa未満である接着剤層(A)を有する活性エネルギー線硬化性ポリウレタン接着シートであって、前記接着剤層(A)が硬化した層(A’)の温度100℃及び周波数1Hzで測定された貯蔵弾性率(G’A’100)が2×105Pa以上であり、温度60℃及び湿度90%の環境下に24時間放置された場合に気体を発生し得る被着体(b)の接着に使用することを特徴とする活性エネルギー線硬化性ポリウレタン接着シートである。なお、前記接着剤層及び接着シートは、いわゆる粘着剤層(感圧接着剤層)及び粘着シート(感圧接着シート)の概念を含むものである。
前記接着シートであれば、前記被着体(b)に対して良好な密着性と凝集力とを両立することができ、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制することができる。
前記接着シートとしては、前記接着剤層(A)の単層または2層以上によって構成されるものを使用することができ、前記接着剤層(A)とその他層とが積層されたものを使用することができるが、前記接着剤層(A)単層によって構成されるものを使用することが好ましい。
[接着剤層(A)]
前記接着剤層(A)としては、前記貯蔵弾性率(G’A100)が1×105Pa未満であるものを使用し、5×103Pa〜8×104Paの範囲であるものを使用することが好ましく、1×104Pa〜7×104Paの範囲であるものを使用することが、前記被着体(b)に対してより一層優れた密着性を備え、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制可能な接着シートを得るうえでさらに好ましい。
また、前記接着剤層(A)の貯蔵弾性率(G’A100)が1×105Pa未満であることは、被着体(b)として装飾部(段差部)を有する被着体を使用した場合に、その装飾部への好適な追従性を備えた接着シートを得るうえでも好ましい。
前記接着剤層(A)は、活性エネルギー線が照射されることによって、前記接着剤層(A)が硬化した層(A’)[以下、硬化層(A’)]を形成する。
前記硬化層(A’)としては、前記貯蔵弾性率(G’A’100)が2×105Pa以上であるものが挙げられ、3×105〜1×107Paの範囲であるものが、一層優れた凝集力を付与でき、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制するうえでさらに好ましい。
なお、上記100℃における貯蔵弾性率(G’A100)は、粘弾性試験機(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、商品名:ARES−G2)を用い、同試験機の測定部である平行円盤の間に試験片を挟み込み、温度100℃、及び、周波数1Hzでの貯蔵弾性率と損失弾性率とを測定することによって得ることができる。なお、上記測定で使用する試験片としては、前記接着剤層(A)を、厚さ1mm及び直径8mmの大きさからなる円状に裁断したものを使用する。
前記活性エネルギー線が照射されることによって形成された硬化層(A’)は、表面平滑なポリカーボネート基材に対する180°ピール接着強さが5〜50N/25mmの範囲であることが好ましく、7〜30N/25mmの範囲であることが、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制可能で、かつ、被着体(b)からのリワーク性にも優れた接着シートを得るうえでさらに好ましい。
また、前記活性エネルギー線を照射することによって形成された硬化層(A’)のゲル分率は、75質量%〜95質量%であることが好ましく、80質量%〜90質量%であることが、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制するうえでさらに好ましい。
ゲル分率(質量%)=[(硬化層(A’)のトルエン浸漬後の質量)/(硬化層(A’)のトルエン浸漬前の質量)]×100
前記接着剤層(A)は、例えば離型フィルム等の表面に接着剤組成物を塗工し乾燥等させることによって製造することができる。
前記接着剤組成物としては、例えば水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(a)を含有する接着剤組成物を使用することができる。
前記ウレタン樹脂(a)としては、例えば、ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、水酸基又はイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)を、水酸基が過剰となる条件で反応させて得られるものを用いることができる。
前記ポリオール(a1)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリアクリルポリオール、ダイマージオール、ポリイソプレンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。ポリエーテルポリオール及び/又はポリカーボネートポリオールを含有することが、優れた凝集力を付与でき、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制可能な接着シートを得るうえで好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレンポリオール等を用いることができる。これらのポリエーテルポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、2個以上の水酸基を有する化合物とを反応させて得られるものを用いることができる。
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等を用いることができる。これらの炭酸エステルは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、前記2個以上の水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族ポリオール;1,2−シクロブタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール等の脂環式ポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール等の芳香族ポリオールなどを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ポリオール(a1)の数平均分子量としては、優れた凝集力を付与でき、前記被着体(b)から発生する気体が原因となる発泡を抑制することができる点から500〜7,000の範囲であることが好ましく、700〜4,000の範囲がより好ましく、800〜3,000の範囲が更に好ましい。なお、前記ポリオール(a1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記条件で測定した値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
前記ポリオール(a1)としては、必要に応じて水酸基を有する鎖伸長剤を併用してもよい。
前記水酸基を有する鎖伸長剤としては、例えば、前記2個以上の水酸基を有する化合物と同様のものを用いることができる。
前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジイソシアナートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。優れた凝集力を付与でき、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制可能な接着シートを得るうえで、脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート及びジイソシアナートメチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる1種以上のポリイソシアネートを用いることがより好ましい。
前記水酸基又はイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)は、ウレタン樹脂(a)中に(メタ)アクリロイル基を導入する目的で用いるものである。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを示し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを示し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを示す。
前記化合物(a3)として用いることができる水酸基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレートなどを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、原料入手の容易性、紫外線硬化性及び粘着物性の点から、水酸基を有するアクリル酸(メタ)アルキルエステルを用いることが好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートを用いることがより好ましい。
また、前記化合物(a3)として用いることができるイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、原料入手の容易性の点から、 2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いることが好ましく、紫外線硬化性の点から、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いることがより好ましい。
前記化合物(a3)として水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合の前記ウレタン樹脂(a)の製造方法としては、例えば、無溶剤下で、前記ポリオール(a1)と前記(メタ)アクリル化合物(a3)とを反応系中に仕込んだ後に、前記ポリイソシアネート(a2)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法等を用いることができる。前記反応は、例えば20℃〜120℃の条件下で30分〜24時間行うことが好ましい。
前記化合物(a3)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合のウレタン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、無溶剤下で、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)とを仕込み、反応させることによって水酸基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、イソシアネート基を有する前記(メタ)アクリル化合物(a3)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法等を用いることができる。前記反応は、例えば20〜120℃の条件下で30分〜24時間行うことが好ましい。
前記ウレタン樹脂(a)の製造は、有機溶剤の存在下で行っても良い。
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエーテルエステル系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記ウレタン樹脂(a)を製造する際の、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)と前記(メタ)アクリル化合物(a3)との反応は、前記ポリオール(a1)が有する水酸基及び前記(メタ)アクリル化合物(a3)が有する水酸基の合計量と、ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基及び前記(メタ)アクリル化合物(a3)が有するイソシアネート基の合計量との当量割合[イソシアート基/水酸基]=0.75〜1の範囲で行うことが、得られるウレタン樹脂(a)の分子量を制御する上で好ましく、0.79〜0.995の範囲であることがより好ましい。また、前記当量割合が1を超える場合で反応させても良いが、その場合、ウレタン樹脂(a)のイソシアネート基を失活させることを目的として、1,2−プロピレングリコールや、1,3−ブチレングリコールなどの1級と2級の水酸基からなる2官能アルコール等を用いることが好ましい。その場合には、前記ポリオール(a1)が有する水酸基と前記(メタ)アクリル化合物(a3)が有する水酸基とアルコールが有する水酸基の合計量と、前記ポリイソシアネート基との当量割合[イソシアネート基/水酸基の合計量]が前記範囲内となるように調整することが好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(a)のイソシアネート基を失活させることを目的として使用可能なアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの1官能アルコールを併用しても良い。
ウレタン樹脂(a)を製造する際には、必要に応じて重合禁止剤、ウレタン化触媒等を用いてもよい。
前記重合禁止剤としては、例えば、3,5−ビスターシャリーブチル−4−ヒドロキシトルエン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(メトキノン)、パラターシャリーブチルカテコールメトキシフェノール、2,6−ジターシャリーブチルクレゾール、フェノチアジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジフェニルアミン、ジニトロベンゼン等を用いることができる。これらの重合禁止剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の含窒素化合物;酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の金属塩;ジブチルチンラウレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機金属化合物などを用いることができる。これらのウレタン化触媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ウレタン樹脂(a)は、光照射や加熱によってラジカル重合を進行させる(メタ)アクリロイル基を有するものである。前記ウレタン樹脂(a)の(メタ)アクリロイル基当量としては、粘着物性、及び、段差追従性をより一層向上できる点から、1,000〜200,000g/eq.の範囲であることが好ましく、3,000〜100,000g/eq.の範囲がより好ましく、5,000〜80,000g/eq.の範囲が更に好ましい。なお、前記(メタ)アクリロイル基当量は、前記ウレタン樹脂(a)の原料の合計質量を、前記ウレタン樹脂(a)中に存在する(メタ)アクリル基の当量で除した値を示す。
前記ウレタン樹脂(a)中のウレタン結合の質量割合としては、優れた凝集力を付与でき、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制可能な接着シートを得るうえで、ウレタン樹脂(a)の全量中4質量%〜20質量%の範囲であることが好ましく、5質量%〜15質量%の範囲であることがより好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(a)のウレタン結合量は、前記ウレタン樹脂(a)の原料の合計質量に対する、前記原料中に占めるウレタン結合構造の質量割合を示す。
前記ウレタン樹脂(a)の重量平均分子量としては、優れた凝集力を付与でき、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制可能な接着シートを得るうえで、5,000〜200,000の範囲であることが好ましく、15,000〜100,000の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量は、前記ポリオール(a1)の数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
また、前記接着剤組成物としては、必要に応じて公知のポリイソシアネート架橋剤及び多官能(メタ)アクリレート化合物を含有するものを使用することができる。
なお、本発明でいう「多官能」とは、重合性不飽和二重結合を分子中に2個以上有することを指す。
前記ポリイソシアネート架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、クロロフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等のポリイソシアネート;これらのトリメチロールプロパン付加物;これらのイソシアヌレート体;これらのビュレット体などを用いることができる。
前記ポリイソシアネート架橋剤の使用量としては、優れた凝集力を付与でき、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制可能な接着シートを得るうえで、前記ウレタン樹脂(a)100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部の範囲であること好ましく、0.5質量部〜7質量部の範囲がより好ましい。
前記多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1、10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)ジ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)トリ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の脂肪族多官能(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート骨格を有する多官能(メタ)アクリレートなどを用いることができる。これらの(メタ)アクリル化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。優れた凝集力を付与でき、前記被着体(b)から発生する気体が原因となる発泡を抑制することができる点から、脂肪族多官能(メタ)アクリレート及び/又はイソシアヌレート骨格を有する多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及び、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートからなる群より選ばれる1種以上の(メタ)アクリル化合物を用いることがより好ましい。
前記多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量としては、優れた凝集力を付与でき、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制可能な接着シートを得るうえで、前記ウレタン樹脂(a)100質量部に対して、1質量部〜30質量部の範囲であることが好ましく、2質量部〜20質量部の範囲がより好ましく、3質量部〜10質量部の範囲が更に好ましい。
前記接着剤組成物としては、ラジカル重合開始剤を含有するものを使用することができる。
前記ラジカル重合開始剤としては、公知のものが使用でき、例えば、光重合開始剤、過酸化物などが挙げられ、良好な生産性等を維持するうえで、光重合開始剤が好ましい。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン等のアルキルフェノン光重合開始剤、カンファーキノン光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド光重合開始剤、チタノセン光重合開始剤等の従来公知のものを使用できる。
前記光重合開始剤の市販品としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンや、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(例えば、BASF社製のダロキュア1173)、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(例えば、BASF社製のイルガキュア184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(例えば、BASF社製のイルガキュア2959)、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(例えば、BASF社製のイルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート(例えば、ストウファー社製のバイキュア55)、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン、クオンタキュアー(インターナショナル・バイオ−シンセティクス社製)、カイアキュアーMBP(日本化薬株式会社製)、エサキュアーBO(フラテリ・ランベルティ社製)、トリゴナル14(アクゾ社製)、イルガキュア(BASF社製)、ダロキュアー(同社製)、スピードキュアー(同社製)、ダロキュアー1173とFi−4との混合物(イーストマン社製)等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
前記光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって速やかに硬化させることのできるイルガキュア184、イルガキュア651等を使用することが好ましい。
また、前記ラジカル重合開始剤に使用可能な過酸化物としては、例えばケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、パーオキシエステル等の従来公知の過酸化物を使用できる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。これらの中でも、80〜120℃の高温条件下での硬化では、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートが好ましく、特にパーオキシジカーボネートが好ましい。前記パーオキシジカーボネートとしては、例えば、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、市販品では、パーロイルTCP(日本油脂株式会社製)等が挙げられる。なかでも、過酸化物としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって速やかに硬化させることのできるパーロイルTCPを使用することが好ましい。
前記ラジカル重合開始剤は、前記ウレタン樹脂(a)100質量部に対して0.01質量部〜10質量部の範囲で使用することが好ましく、0.05質量部〜5質量部の範囲で使用することがより好ましい。
本発明の接着剤組成物は、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、防錆剤、チキソ性付与剤、増感剤、重合禁止剤、レベリング剤、粘着付与剤、帯電防止剤、難燃剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明の接着シートが耐湿熱後に高い粘着物性を要求される用途に使用される場合には、シランカップリング剤を含有することが好ましい。また、本発明の接着シートが高い耐湿熱黄変性を要求される用途に使用される場合には、酸化防止剤及び光安定剤を含有することが好ましい。
前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジエトキシシラン等の脂環エポキシ基を有するシランカップリング剤;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、シリコーンアルコキシオリゴマーなどを用いることができる。これらのシランカップリング剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐湿熱後の粘着力をより一層向上できる点から、エポキシ基を有するシランカップリング剤及び/又は脂環エポキシ基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選ばれる1種以上のシランカップリング剤を用いることがより好ましい。
前記酸化防止剤としては、熱劣化で発生するラジカルの捕捉するヒンダードフェノール化合物(一次酸化防止剤)、及び、熱劣化で発生する過酸化物を分解するリン化合物、イオウ化合物(二次酸化防止剤)等を用いることができる。
前記ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンプロパン酸−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−C7−C9側鎖アルキルエステル、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス[2−〔3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)=エチル=ホスフィット、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキスブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリブチルフェノールのホスファイト等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記イオウ化合物としては、例えば、ジドデシル−3,3’−チオプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウジリルチオジチオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、テトラキス−メチレン−3−ラウリルチオプロピオネートメタン、ジステアリル−3,3’−メチル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド、β−ラウリルチオプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロチオネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、粘着力及び耐湿熱黄変性をより一層向上させるうえで、リン化合物を用いることが好ましく、トリフェニルホスフィン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)=エチル=ホスフィット及びトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトからなる群より選ばれる1種以上の酸化防止剤を用いることがより好ましく、トリフェニルホスフィン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)=エチル=ホスフィットを用いることがより好ましい。
前記酸化防止剤を用いる場合の使用量としては、耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、前記ウレタン樹脂(a)100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部の範囲であることが好ましい。
前記光安定剤は、光劣化で発生するラジカルを捕捉するものであり、例えば、チオール化合物、チオエーテル化合物、ヒンダードアミン化合物等のラジカル捕捉剤;ベンゾフェノン化合物、ベンゾエート化合物等の紫外線吸収剤などを用いることができる。これらの光安定剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、ヒンダードアミン化合物を用いることが好ましい。
前記ヒンダードアミン化合物としては、例えば、シクロヘキサンと過酸化N−ブチル2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン−2,4,6−トリクロロ1,3,5−トリアジンとの反応生成物と2−アミノエタノールとの反応生成物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物等のアミノエーテル基を有するヒンダードアミン化合物;N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン等のN−アセチル系ヒンダードアミン化合物;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)=デカンジオアート、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル){[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、プロバンジオイックアシッド[{4−メトキシフェニル}メチレン]−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エステルのN−アルキルヒンダードアミン化合物等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記光安定剤を用いる場合の使用量としては、耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、前記ウレタン樹脂(a)100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部の範囲であることが好ましい。
[接着シート]
本発明の接着シートは、例えば離型フィルムの片面に、前記接着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥等し接着剤層(A)を形成することによって製造することができる。
離型フィルムの表面に前記接着剤組成物を塗工する方法としては、例えばコンマコーターやリップコーターを用いて塗工する方法が挙げられる。前記乾燥は、例えば60℃〜90℃程度の温度に設定した乾燥機等を用いて行うことができる。
前記接着剤層(A)としては、25μm〜300μmの厚さのものを使用することが好ましく、50μm〜175μmの厚さのものを使用することがより好ましい。とりわけ、前記接着シートとして接着剤層(A)の単層からなるものを使用する場合には、上記範囲の厚さを有するものを使用することが好ましい。前記範囲の厚さを有する接着シートは、光学用途に使用可能なレベルの透明性を維持でき、前記被着体(b)の凹凸部に対して追従し、密着性を向上させることができ、その結果、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制可能である。
前記方法で得られた本発明の接着シートとしては、50μm〜300μmの厚さのものを使用することが好ましく、100μm〜250μmの厚さのものを使用することがより好ましい。前記範囲の厚さを有する接着シートは、光学用途に使用可能なレベルの透明性を維持でき、前記被着体(b)の凹凸部に対して追従し、密着性を向上させることができ、その結果、前記被着体(b)から発生しうる気体に起因した気泡の形成を抑制可能である。なお、上記厚さは、離型フィルムを含まない厚さを指す。
また、本発明の接着シートは、前記したような薄型であっても、優れた前記効果を奏することができ、また、被着体に由来する表面硬度を維持できることから、例えば薄型化の求められる情報表示装置等を製造する際に好適に使用することができる。
本発明の接着シートとしては、前記情報表示装置等の製造に使用する場合には、波長380nm〜780nmの光の透過率が85%以上、ヘイズが2.0以下であるものを使用することが好ましく、波長380nm〜780nmの光の透過率が90%以上、ヘイズが1.5以下であるものを使用することが、ディスプレイを画像表示部の透明性を維持するうえで好ましい。
また、本発明の接着シートとしては、前記情報表示装置等の製造に使用する場合には、温度85℃、相対湿度85%RHの環境下に500時間放置した後の、波長380nm〜780nmの光の透過率が85%以上、ヘイズが2.0以下であるものを使用することが好ましく、波長380nm〜780nmの光の透過率が90%以上、ヘイズが1.5以下であるものを使用することが、ディスプレイ等の画像表示部の良好な透明性を維持するうえで好ましい。
本発明の接着シートは、2以上の被着体(B)の貼り合せに好適に使用することができる。なかでも、本発明の接着シートは、温度60℃及び湿度90%の環境下に24時間放置した際に気体を発生し得る被着体(b)の接着に好適に使用することができる。
本発明の接着シートは、2以上の被着体(b)の貼り合せ、被着体(b)とその他の被着体との貼り合せに好適に使用することができる。
前記被着体(b)としては、例えばプラスチック製の透明部材等が挙げられる。
前記被着体(b)を構成する透明部材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ナイロン、アクリル樹脂等の樹脂基材を使用することができる。なかでも、前記樹脂基材としては、ポリカーボネート及びアクリル樹脂が、高い透明性と表面硬度とを両立するうえで好ましい。しかし、ポリカーボネートなどの樹脂基材は、およそ80℃で気体を発生させやすく、それが気泡を形成し、剥がれ等の原因となる。本発明の接着シートであれば、ポリカなどを使用した場合であっても気体に起因した気泡を形成しにくいため、剥がれを引き起こさず、また、ポリカなどに起因した優れた透明性や硬度を保持できる。
前記被着体(b)としては、具体的には意匠性や遮光性等を付与することを目的とした加飾層を備えた画像表示パネル等が挙げられる。
前記被着体(b)としては、0.3mm〜5mmの厚さのものを使用することが好ましく、0.7mm〜4mmの厚さのものを使用することがより好ましく、1mm〜3mmの厚さのものを使用することが、情報表示装置をはじめとする物品の保護をする上での剛性を付与できるため好ましい。
前記被着体(b)と貼りあわされるその他の被着体としては、例えば画像表示装置、タッチパネル装置等を使用できる。
前記被着体(B)としては、その表面の一部に加飾層(段差部)を有するものを使用することができる。
前記加飾層は、一般的な印刷法により印刷することによって設けた層が挙げられる。前記印刷法としては、例えば、シルク印刷法、スクリーン印刷法、熱転写印刷法、グラビア印刷法等が挙げられる。
上記加飾層は、透明部材に各種の意匠性を付与するものであれば特に制限されず、例えば、画像表示パネルとして使用する際の画像表示部の周囲に視認される文字や図形、あるいは、画像表示部に額縁状に設けられる黒色の縁取り状の加飾層などが挙げられる。
上記加飾層の厚さは、2μm〜50μmの範囲であることが好ましく、5μm〜40μmの範囲であることがより好ましく、10μm〜30μmの範囲であることが、加飾層の色抜けや印刷不良を抑制し、好適な意匠性を付与しやすく、前記情報表示装置等の物品の薄型化を図ることができる。
前記被着体(b)を含む2以上の被着体(B)を前記接着シートで接着し物品を製造する方法としては、例えば前記2以上の被着体(B)を、温度100℃及び周波数1Hzで測定された貯蔵弾性率(G’A100)が1×105Pa未満である接着剤層(A)を有する活性エネルギー線硬化性ポリウレタン接着シートを介して積層する工程、ならびに、前記活性エネルギー線硬化性ポリウレタン接着シートに活性エネルギー線を照射することによって温度100℃及び周波数1Hzで測定された貯蔵弾性率(G’A’100)が2×105Pa以上である硬化層(A’)を形成する工程を含む方法が挙げられる。その際、前記被着体の一部が透明である場合には、前記被着体の表面から活性エネルギー線を照射することができる。
前記活性エネルギー線は、前記接着シートを構成する接着剤層(A)を硬化させ硬化層(A’)を形成するために使用する。
前記活性エネルギー線としては、紫外線を用いることが好ましい。前記紫外線は、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。また、必要に応じて熱をエネルギー源として併用し、活性エネルギー線を照射した後、加熱してもよい。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LED等が挙げられる。また、活性エネルギー線を閃光的に照射することのできるキセノン−フラッシュランプは、前記基材への熱の影響を最小限に抑えることができるため好ましい。
上記活性エネルギー線の照射装置としては、前記したもののほかに、殺菌灯、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ、走査型、カーテン型電子線加速器等を使用することができる。
前記接着方法で接着された物品は、前記被着体(b)を含む2以上の被着体(B)が、前記活性エネルギー線硬化性ポリウレタン接着シートの硬化物を介して積層された構成を有する。
前記物品としては、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ等の情報表示装置は、例えば電子手帳、携帯電話、スマートフォン、携帯オーディオプレイヤー、PDA、タブレット端末等の携帯電子端末等に搭載される情報表示装置が挙げられる。
<ウレタン樹脂(a1)組成物の合成>
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた反応容器に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;1,000)を94.3質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレートを0.3質量部、1,4−ヘキサンジメタノールを19.5質量部、2,6−ジターシャリブチルクレゾールを0.5質量部、p−メトキシフェノールを0.1質量部、酢酸エチルを57.4質量部添加した。
反応容器内の温度を40℃に昇温した後、イソホロンジイソシアネートを50.3質量部添加した。
次に、ジオクチルスズジネオデカートを0.01質量部添加し、1時間かけて75℃まで昇温し、75℃で12時間ホールドした後、酢酸エチルを51.7質量部添加し、30分間均一になるまで攪拌、冷却することによってウレタン樹脂(a1)組成物を得た。
<アクリル樹脂(a2)組成物の合成>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート80質量部、メチルメタクリレート15質量部、アクリル酸4質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチルに溶解し、重合することによって、アクリル樹脂(a2)組成物を得た。
<接着剤組成物(b1)の調製>
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、前記ウレタン樹脂(a1)組成物の固形分100質量部に対し、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成株式会社製「アロニックスM−309」)10質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを0.3質量部、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルを0.5質量部、トリフェニルフォスフィン0.5質量部を順次添加し、均一になるまで攪拌した。
次に、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート化合物(DIC株式会社製「バーノックD−100S」、以下「100S」と略記する。)を1.2質量部、ジオクチルスズジネオデカネートを0.004質量部添加し、均一になるまで攪拌した後、200メッシュ金網で濾過することによって接着剤組成物(b1)を得た。
<接着剤組成物(b2)の調製>
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、前記ウレタン樹脂(a1)組成物の固形分100質量部に対し、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成株式会社製「アロニックスM−309」)5質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを0.3質量部、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルを0.5質量部、トリフェニルフォスフィンを0.5質量部を順次添加し、均一になるまで攪拌した。更に、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート化合物(DIC株式会社製「バーノックD−100S」を1.2質量部、ジオクチルスズジネオデカネートを0.004質量部添加し、均一になるまで攪拌した後、200メッシュ金網で濾過し、接着剤組成物(b2)を得た。
<接着剤組成物(b3)の調製>
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、前記アクリル樹脂(a2)の固形分100質量部に対し、エポキシ系架橋剤としてE−5XM(綜研化学株式会社製 固形分5質量%)を0.18質量部、及び、イソシアネート系架橋剤としてコロネートL−45(日本ポリウレタン工業株式会社製 固形分45質量%)を0.2質量部添加し、20分間攪拌機で攪拌することによって接着剤組成物(b3)を得た。
(実施例1)
上記接着剤組成物(b1)を、シリコーン化合物で片面を剥離処理した厚さ100μmのポリエステルフィルム(以下「#100剥離フィルム」)上に、乾燥後の厚さが100μmとなるように塗工し、85℃で5分間乾燥し、その表面に厚さ75μmのポリエステルフィルム(以下「#75剥離フィルム」)を貼り合せることで、活性エネルギー線硬化型ポリウレタン接着シート(c1)を作製した。
(実施例2)
接着剤組成物(b1)の代わりに接着剤組成物(b2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で接着シート(c2)を得た。
(比較例1)
上記接着剤組成物(b3)を、#100剥離フィルム上に乾燥後の厚さが50μmになるように塗工し、85℃で4分間乾燥した後、その表面に#75剥離フィルムを貼り合わせ、23℃で7日間熟成することによって接着シート(c3)を作製した。
(耐発泡性の評価方法)
実施例及び比較例で作成した接着シートの#75剥離フィルムを除去し、縦5cm、横5cm及び厚さ100μmの表面平滑なポリエチレンテレフタレートフィルムを貼付した。
次に、#100剥離フィルムを除去し、その表面に縦5cm及び横5cmのポリカーボネート板(三菱ガス化学社製、品番ユーピロン NF2000、厚み1.5mm)を貼付した。それを、5気圧及び50℃の環境下に30分放置した後、無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1500mJ/cm2照射することによって貼付物を得た。
前記貼付物を、100℃環境下に500時間放置した後、貼付物の外観を下記基準で評価した。
<気泡の有無の評価>
◎:微細な気泡は全くなかった。
〇:ごくわずかに微細な気泡があったが、実用上問題ないレベルであった。
×:わずかに気泡があった。
(接着力の評価方法)
実施例及び比較例で作成した接着シートの#75剥離フィルムを除去し、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに貼付し、幅25mm及び長さ100mmのサイズに切断したものを試験片とした。
次に、上記試験片の#100剥離フィルムを除去し、その表面に幅50mm及び長さ150mmのポリカーボネート板(三菱ガス化学社製、品番ユーピロン NF2000、厚み1.5mm)を貼付した。それを、気圧及び50℃の環境下に30分放置した後、無電極ランプ(フュージョンランプHバルブ)を用いて紫外線を1500mJ/cm2照射することによって貼付物を得た。
上記貼付物を温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に1時間静置した後、剥離速度300mm/minにおける180°引き剥がし接着力を測定した。
(全光線透過率及びヘイズの評価方法)
剥離フィルムを除去した接着シートをガラスに貼り合わせた後、85℃及び85%RHの環境下に500時間放置することによって貼付物を得た。前記貼付物の全光線透過率及びヘイズを(株)村上色彩技術研究所製「HR−100型」を使用し、測定した。
実施例1及び2の接着シートは、良好な耐発泡性を有し、かつ透明性に優れるものであった。一方、比較例1の接着シートは、気泡が生じたり、または高温高湿条件下放置後に白濁した。