JP2017109314A - 積層体及び包装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非塩素含有且つ有機溶媒系(非水系)のためOPPフィルム、延伸ナイロンフィルム等の延伸フィルムへのコートの操作が容易で、且つOPPには酸素を中心としたガスバリア機能を、ナイロンフィルムには酸素バリアの強化と水蒸気バリア機能を一定レベルで付与するできるコーティングを延伸フィルムにコートした積層体を提供すること。【解決手段】 ポリエステルポリオール(A)を含有する蒸着面保護用コーティング材が延伸フィルムに塗工されたコート層を有する積層体において、ポリエステルポリオール(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物と、多価アルコールとの反応物であって、多価アルコールが含有する3価アルコールと2価アルコールのモル比率(%)が3価アルコール/(2価アルコール+3価アルコール)=50/100〜100/100であることを特徴とする積層体により、上記課題を解決する。【選択図】 なし

Description

本発明は、積層体及びそれを用いた包装材に関する。
食品等の包装材料は各種のフィルムを用いることがあるが、中でも延伸ポリプロピレン(以降OPPと称することがある)は高い水蒸気バリア特性があるために、内容物が乾物である場合では乾燥維持、湿潤物では湿潤状態維持のため広く用いられている。しかし、その一方で酸素バリア等の気体のバリア性は乏しい。OPPフィルムに酸素バリア特性を付与する方法としては酸素バリア性能が高いポリビニールアルコール樹脂(以降PVAと称する場合がある)をコーティングする方法が知られているが、PVAはOPPへの密着性が低く、一般にはプライマーを必要とするが、OPPへの接着性の問題より環境対応としては好適ではない塩素含有のプライマーが用いられる場合がある。(特許文献1、2)。または、乾燥性が低い高プロセスコストである水系エマルジョンがプライマーとして用いられる場合もある。しかしながらこれらプライマーには酸素バリア機能は無い。いずれにせよ、OPPには単層で密着強度が良くバリア機能も付与できる非塩素系のコーティング材を設置した積層体は極めて少ない。
一方、一般にフィルムにガスバリアを付与する蒸着法は、ガスの種類によらずに容易にバリア機能を付与できる優れた方法であるが、OPPでは表面張力が低いことにより、蒸着層の密着力が低く、特にOPPを基材とした透明蒸着フィルムは市販品として実用化されていない。また、アルミ蒸着フィルムでは蒸着層の厚みは一般に10〜50nmと薄いため、ピンホールが生じやすい上、基材フィルムに酸素バリア性がないため、酸素を中心としたガスバリア機能が安定しないことがある。
また、蒸着フィルム程の酸素バリア性が必要はないが、一定レベルの酸素バリア性が必要な場合には、延伸ナイロンフィルムが用いられる場合があるが、延伸ナイロンには水蒸気バリア性がほとんどない。延伸ナイロンは耐突き刺し性に優れるために、内容物として含水物に使用される場合が多いため、延伸ナイロンにも一定の水蒸気バリア機能があればより汎用性を高めることができる。しかしながら、ナイロンに対して単層で酸素バリアの強化と水蒸気バリアの強化ができる非塩素系のコーティング層を施した積層体は極めて少ない。
特許3363332号 特許3418230号
発明が解決しようとする課題は、非塩素含有且つ有機溶媒系(非水系)のためOPPフィルム、延伸ナイロンフィルム等の延伸フィルムへのコートの操作が容易で、且つOPPには酸素を中心としたガスバリア機能を、ナイロンフィルムには酸素バリアの強化と水蒸気バリア機能を一定レベルで付与するできるコーティングを延伸フィルムにコートした積層体を提供することにある。また、該積層体が用いられた包装を提供することにある。
さらに本発明では蒸着延伸フィルムに前記コーティング層を付与した高い酸素、水蒸気バリアを付与した積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、種々の積層体について検討を行った結果、
ポリエステルポリオール(A)を含有する蒸着面保護用コーティング材が延伸フィルムに塗工されたコート層を有する積層体において、ポリエステルポリオール(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物と、多価アルコールとの反応物であって、多価アルコールが含有する3価アルコールと2価アルコールのモル比率(%)が3価アルコール/(2価アルコール+3価アルコール)=50/100〜100/100であることを特徴とする積層体が課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、各種延伸フィルム特に、OPPでは酸素バリア性、延伸ナイロンでは水蒸気バリア性の向上能力に優れた積層体を提供することができる。また本発明の積層体では、PVA等のバリアコーティングが容易なOPPベースの積層体を提供することができる。
本発明の積層体は延伸フィルムと、特定のポリエステルポリオール(A)とを含有するコーティング層から構成される。
本発明の積層体で用いられるコーティング層を構成する材の成分として、ポリエステルポリオール(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物と、多価アルコールとの反応物であって、多価アルコールが含有する3価アルコールと2価アルコールのモル比率(%)が3価アルコール/(2価アルコール+3価アルコール)=50/100〜100/100であることに特徴を有する。
即ち、本発明は以下の項目から構成される。
1.ポリエステルポリオール(A)を含有する蒸着面保護用コーティング材が延伸フィルムに塗工されたコート層を有する積層体において、
ポリエステルポリオール(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物と、多価アルコールとの反応物であって、多価アルコールが含有する3価アルコールと2価アルコールのモル比率(%)が3価アルコール/(2価アルコール+3価アルコール)=50/100〜100/100であることを特徴とする前記積層体。
2.蒸着面保護用コーティング材が、ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物を含有する1.に記載の積層体、
3.オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、2,3−アントラセンカルボン酸又はその無水物からなる群から選ばれる1.又は2.に記載の積層体、
4.3価アルコールがグリセリントリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2価アルコールがエチレングルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びトリシクロデカンジメタノールからなる群から選ばれ、2価アルコールがエチレングルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びトリシクロデカンジメタノールからなる群から選ばれる1.〜3.の何れかに記載の積層体、
5.ポリイソシアネート化合物(B)が、メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、及びイソホロンジイソシアネートのヌレート体、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、及びトルエンジイソシアネートのヌレート体からなる群から選ばれる1.〜4.の何れかに記載の積層体、
6.ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度(Tg)が、15℃以上である1.〜5.の何れかに記載の積層体。
7.さらに、シランカップリング剤又は粉末シリカを含有する1.〜6.の何れかに記載の積層体、
8.1.〜7.の何れかに記載の積層体が用いられた包装材。
(フィルムの種類)
本発明の積層体を構成するフィルムは延伸フィルムであれば、特に限定はなく、所望の用途に応じた樹脂フィルムを適宜選択することができる。例えば食品包装用としては、延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、ポリアミド(ナイロン)フィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、延伸ポリエチレンフィルムや延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等のポリオレフィンフィルム、延伸ポリ乳酸フィルム等が例示される。これらの延伸処理をほどこしているフィルム類は寸法安定性、剛性よりコーティング操作が容易でコーティングによりフィルムに特性を付与しやすい利点がある。特に積層体に用いる延伸フィルムがOPPである場合にはOPPが固有でもつ高い水蒸気バリア機能に加えて一定の酸素バリア機能を付与することがでる。一方、延伸フィルムがナイロンである場合にはコート層がないナイロンに比べて水蒸気バリア機能を付与することができる。尚、使用するフィルムも延伸操作は、1軸延伸でも2軸延伸でも良い。
(蒸着フィルム)
本発明の積層体を構成する延伸フィルムは蒸着フィルムであっても良い。蒸着フィルムを用いた場合には更に、ガスバリアが高い積層体を提供できる。蒸着フィルムの蒸着層の種類としては、特に限定されない。現在包装用に広く用いられている金属蒸着、または金属酸化物蒸着が好適に例示される。金属蒸着としては各種金属が例示できるが、特に安価で広く用いられているアルミニウムが好ましい。また、金属酸化物としては、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ケイ素(SiOx)が、汎用性が高い材料として好ましく例示される。これ以外にも各種有機化合物、無機化合物を蒸着したフィルムや、複数種の材料を蒸着したものを用いても良い。蒸着方法としては特に制限はなく物理的蒸着法である真空蒸着法や、化学的蒸着法であるCVD法が例示できる。蒸着層の厚みにも特に制限はないが、一般には5〜60nm間であることが多い。また、これら蒸着フィルムには蒸着の保護として、オーバーコートやアンダーコートが予め施されていても、施されていなくても用いることができる。
[ポリエステルポリオール]
本発明の積層体を構成するコーティング層にコーティング材として用いるポリエステルは、多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分を重縮合することにより製造される。ポリエステルの分子量としては、コーティング材として十分な膜の靭性や塗工適性、溶媒溶解性が付与できるのであれば特に制限はないが数平均分子量で1000〜50000、さらに好ましくは、1500〜30000である。ポリエステル末端の官能基としても特に制限はなく、アルコール末端でも、カルボン酸末端でも、これらの両方を持っていても良い。但し、イソシアネート系硬化剤を併用する場合には、アルコール末端が主体であるポリエステルポリオールとする必要がある。
[ポリエステルポリオールのガラス転移温度(Tg)]
本発明の積層体を構成するコーティング層にコーティング材として用いるポリエステルのTgは15℃以上であることが好ましい。これ以上温度が低いと、樹脂がコーティング操作後に粘着性を持ち、ブロッキングを生じやすくなり、コーティング後の巻き取り操作がしにくくなるためである。Tgが15℃以下になるとブロッキング防止材の添加によっても巻き芯付近の圧力が高い状況下でもブロッキング防止対応が困難になるためである。Tgのより好ましい温度は18℃以上、さらに好ましくは25℃以上である。
本発明の積層体を構成するポリエステルポリオールは、多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分とを重縮合して用いる。
[多価アルコール成分]
本発明の積層体に用いられるポリエステルポリオール(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物と、多価アルコールとの反応物であって、多価アルコールが含有する3価アルコールと2価アルコールのモル比率(%)が3価アルコール/(2価アルコール+3価アルコール)=50/100〜100/100である。
3価アルコールのモル比率は、前記比率より少ないと、酸素バリア性、もしくは、水蒸気バリア性が不充分であったり、耐ブロッキング性が乏しくなって好ましくない。
前記多価アルコールは特に制限なく使用が可能であるが、2価アルコールとしては、酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコールを主成分として使用することが特に好ましく、3価アルコールとしては、2価アルコールと同様の理由により、酸素原子間の炭素原子数が少ない、グリセロールやトリメチロールエタン、トリヒドロキシエチルイソシアヌレート等を好ましく用いることができる。
本発明の積層体に用いられるポリエステルポリオール(A)では、前述の多価アルコール成分を用いることが好ましいが、このほか、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価アルコール成分を共重合させてもよい。具体的には、ジオールとしては1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールが、3価以上のアルコールとしては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等があげられる。但し3価以上のアルコールは合成の際にゲル化を生じやすい点に注意を要する。
[多価カルボン酸成分]
本発明の積層体に用いられるポリエステルポリオール(A)はオルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含むことに特徴を有する。
カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していてもよい。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。また、これらのポリカルボン酸全成分に対する使用率が70〜100質量%であるポリエステルポリオールであると、バリア性の向上効果が高い上に、コーティング材として必須の溶媒溶解性に優れることから特に好ましい。
本発明の積層体に用いられるポリエステルポリオール(A)では、発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸及びその無水物、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。中でも、有機溶剤溶解性とガスバリア性の観点からコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタル酸、ジフェン酸が好ましい。
本発明の積層体に用いられるポリエステルポリオール(A)を得る反応に用いられる触媒としては、モノブチル酸化錫、ジブチル酸化錫等錫系触媒、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等のチタン系触媒、テトラ−ブチル−ジルコネート等のジルコニア系触媒等の酸触媒が挙げられる。エステル反応に対する活性が高い、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等の上記チタン系触媒と上記ジルコニア触媒を組み合わせて用いることが好ましい。前記触媒量は、使用する反応原料全質量に対して1〜1000ppm用いられ、より好ましくは10〜100ppmである。1ppmを下回ると触媒としての効果が得られにくく、1000ppmを上回るとイソシアネート硬化剤を用いる場合にウレタン化反応を阻害する問題が生じる場合がある。
[コート層を構成するコーティング材としてポリエステルのみを用いた場合の特徴]
本発明の積層体を構成するコート層のコーティング材には、ポリエステル単独を用いてもよいし、ポリエステルと反応する硬化剤を添加しても良い。ポリエステル単独をコーティング材として用いた場合は、利点として単純なオーバーコートワニスとして例えば、塗工液の増粘の恐れがなく塗工製造の管理が容易、コーティング液を希釈再利用可能であり、加えて硬化工程(いわゆるエージング工程)が不要である点が例示できる。このとき、使用するポリエステルの末端は、ポリオールでもポリカルボン酸でも、この両者の混合物であっても問題なく用いることができる。その一方で、耐ブロッキング性、耐摩耗性が十分ではない場合や、ボイルやレトルト包装に使用しにくい問題が生じる場合がある。
[コート層を構成するコーティング材として硬化剤を併用した場合の特徴]
一方、コーティング層に硬化剤を用いる場合にはフィルムへのコーティングであるためフィルムの耐熱性の観点からイソシアネート硬化系が好ましく、この場合にはコーティング材の樹脂成分がポリエステルポリオールである必要がある。一方、エポキシ系化合物を硬化剤として用いる場合にはポリエステルポリカルボン酸である必要がある。これらの場合ではコーティング層が架橋系になるため耐熱性や、耐摩耗性、剛性が向上する利点がある。従って、ボイルやレトルト包装にも使用しやすい。その一方で硬化剤を混合した後では液を再利用できない、塗工後に硬化(エージング)工程が必須になる問題点もある。
従って、本発明の積層体のコート層用のコーティング材での硬化剤の有無は、これらの利点、欠点を踏まえた上で適宜決定すると良い。
[ポリイソシアネート化合物]
本発明の積層体のコート層用のコーティング材では、前述の通りポリイソシアネート化合物を含有してもよい。本発明で用いられるポリイソシアネート化合物は、ポリエステルが水酸基を有する場合、少なくとも一部が反応し、ウレタン構造を作ることで樹脂成分として高極性化し、ポリマー鎖間を凝集させることでガスバリア機能を更に強化できる。また、コーティング材の樹脂が直鎖型の樹脂である場合に、3価以上のポリイソシアネートで架橋することで、耐熱性や、耐摩耗性を付与することができる。さらに、コート層の架橋密度を高めることで耐ブロッキング性を高めることもできる。本発明で用いられるポリイソシアネート化合物としてはジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよいが、骨格の一部に芳香族環、または脂肪族環を含有するとガスバリア向上機能の観点から好ましい。たとえば、芳香族環を持つイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、脂肪族環を持つイソシアネートとしては、水素化キシリレンジイソシアネート、水素化トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルンジイソシアネート、あるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
[ポリイソシアネート化合物の3官能化部分の構造]
ラミネート用接着剤の主成分である直鎖型のポリオールの硬化剤としては3官能のポリイソシアネートが広く用いられている。これらの3官能化のための分岐構造を付与する骨格としては、アロファネート、ヌレート、ビュレット、アダクト体が挙げられる。本発明ではいずれの3官能化部分の構造をもつポリイソシアネートを用いてもよいが、中でもヌレート骨格はコーティング塗膜に乾燥後の粘着性がでにくくコーティング材に適しているため特に好ましく用いられる。
(ブロックイソシアネート)
また、芳香族環、脂肪族環を含有しているポリイソシアネート化合物であれば、ブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えば芳香族を含有しているものであれば、フェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。
[ポリエステルポリウレタン型コーティング材]
本発明の積層体のコート層用のコーティング材では、ポリエステルとポリイソシアネート化合物とは、ガスバリアコーティング材料としての諸特性を満たせば、2液混合型として使用してもよいし、予めポリエステルとポリイソシアネート化合物とを反応させた、ポリエステルポリウレタンを予め合成した上で使用してもよい。
(コーティングに用いる溶媒)
本発明の積層体のコート層用のコーティング材では、速乾燥性や水蒸気バリア機能も補填できれば好ましい観点から非水系であり、有機溶媒を主成分とする必要がある。また、主成分であるポリエステルを溶解させる必要がある。加えて、残留溶媒や即乾燥性の観点から沸点が100℃以下である方が好ましい。好ましく用いられる溶媒としては、エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ケトン系溶媒としては、アセトン、4−ブタノン、エーテル系としてはテトラヒドロフラン、脂肪族系溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、芳香族系溶媒としてはトルエン等を例示することができる。アルコール系溶媒や水を混合しても差し支えないが、イソシアネート化合物を硬化剤として併用する場合はこれらを含有させることに注意を要する。
[コーティング材への添加材]
(板状無機化合物)
本発明の積層体のコート層用のコーティング材では、板状無機化合物を含有させてもよい。本発明に板状無機化合物が用いられる場合には、粘着性の低減によるコーティング後の巻き取り適性の向上とガスバリア性を向上させる効果を有する。
板状無機化合物を併用した場合には形状が板状であるとバリア性が向上する特徴がある。板状無機化合物の層間の電荷はバリア性に直接大きく影響しないが、樹脂組成物に対する分散性が、イオン性無機化合物、或いは水に対して膨潤性無機化合物では大幅に劣り、添加量を増加させると樹脂組成物の増粘やチキソ性となることより塗工適性が課題となる。これに対して、無電荷(非イオン性)、或いは水に対して非膨潤性の場合は、添加量を増加させても、増粘やチキソ性となり難く塗工適性が確保できる。本発明で使用される板状無機化合物としては、例えば、板状無機化合物としては、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。板状無機化合物は単独又は二種以上組み合わせて使用される。これら板状無機化合物のアスペクト比、コーティング材内での含有率、粒子径、粒径分布としては、バリア向上機能や、耐ブロッキング適性が付与できていれば特に制限はない。
本発明で板状無機化合物を併用する場合に、ポリエステルを主成分とするコーティング材に分散させる方法としては公知の分散方法が利用できる。例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントコンディショナー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、ナノミル、SCミル、ナノマイザー等を挙げることができ、更により好ましくは、高い剪断力を発生させることのできる機器として、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、二本ロール、三本ロール等が上げられる。これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
(酸無水物)
本発明の積層体のコート層用のコーティング材では、コート層の耐酸性を向上させる方法として公知の酸無水物を添加剤として併用することもできる。酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、コハク酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドラフタル酸無水物、テトラプロムフタル酸無水物、テトラクロルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸2無水物、5−(2,5−オキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
(ガス捕捉成分)
また、必要に応じて、更にガス捕捉機能を有する材料を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する材料としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。水蒸気補足機能を有する材料としては、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、炭酸カルシウム等の材料を挙げることができる。これら以外にも遮断したい対象ガスの捕捉成分を添加することができる。
(その他の成分)
本発明の積層体のコート層用のコーティング材では、ガスバリア補助機能を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、無機材料を用いる場合には分散剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、レベリング剤、スリップ向上剤等が例示できる。
[コート層を設置する部位]
本発明の積層体では、コート層を片面に積層しても両面に積層しても良い。しかし、延伸フィルムが蒸着フィルムであり、蒸着層を保護したい場合には。これは、本発明で用いられるコーティング材が蒸着のピンホールやクラック等の欠陥部分を効率よく穴埋めすることにより、極めて優れたバリア向上機能を付与するためである。コーティング材が蒸着面の逆側のフィルム面に設置された場合はこのような補強効果を付与することはできずバリアの向上効果が限定的となる。
本発明では、さらに高いバリア機能を付与するためにポリビニールアルコー(PVA)ルや、エチレン・ビニールアルコール共重合体、塩化ビニリデン等を含有するガスバリアコーティング層をさらに積層させても良い。特に本発明で用いられるコーティング材により設けたコート層はプライマー層としても有効であり、OPP基材のような表面張力が低い基材にコート層を設置した際には、PVA等のバリアコート層の接着力を高めることもできる。加えて、延伸フィルム上に印刷を施す場合にはインキの密着を良くすることもできる。
[コート層の設置方法(コーティング方法)]
本発明の積層体のコート層のコーティング方法としては、延伸フィルムにコーティングができるのであれば特に制限はない。具体的な方法としては、コールコート、グラビアコート等の各種コーティング方法を例示することができる。また、コーティングに用いる装置についても特に限定はない。
[コート層の膜厚]
本発明の積層体中のコート層を塗布する膜厚は特に制限はない。積層体の用途によって所望の厚みにすることができる。コート層により非蒸着OPPに一定の酸素バリアを付与したい場合や、非蒸着ナイロンに一定の水蒸気バリアを付与したい場合にはバリア性能がコート層の厚みに比例するので、2〜8μmと厚めであることが好ましい。その一方、非蒸着OPPにたとえばPVA等のバリアコートを施すことを目的としたプライマーとして、コート層を設置したい場合には、2μm>の薄い厚みでも機能させることができる。また、延伸フィルムが蒸着フィルムであり、蒸着層のバリアを高めることが目的の場合は蒸着欠陥さえ塞ぐことができれば厚い必要がなく、0.1μm以上あればバリア向上効果を出すことができる。好ましい厚み範囲としては、コーティング欠陥が生じにくいことと、乾燥性とのバランスより好ましくは0.2μm〜5μmの範囲、さらに好ましくは0.3〜3μmの範囲である。
[本発明の主要な積層体の構成]
下記に本発明の積層体の構成を例示する。
1)コート層/OPP:高い水蒸気バリアと、一定の酸素バリアを持つ積層体
2)コート層/ナイロン:一定の酸素、水蒸気バリアとナイロン特有の耐つき刺し機能を持つ積層体
3)透明蒸着延伸フィルム/コート層:高い酸素、水蒸気バリアを持ち内容物が見える積層体
4)アルミ蒸着延伸フィルム/コート層:高い酸素、水蒸気バリアに加えて、遮光性を持つ積層体
5)PVA/コート層/OPP:高い酸素、水蒸気バリアを持ち、PVA層の密着が良い積層体
さらにいずれの積層体も未延伸フィルム(シーラントフィルム)とラミネートすることにより包装材料として用いることができる。
(透過を遮断できるガス成分種類)
本発明の積層体をガスバリア用フィルムとして使用する場合、積層体が遮断できるガスとしては、酸素、水蒸気の他、二酸化炭素、窒素、アルゴン等の不活性ガス、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール成分、フェノール、クレゾール等のフェノール類の他、低分子化合物からなる香気成分類、例えば、醤油、ソース、味噌、レモネン、メントール、サリチル酸メチル、コーヒー、ココアシャンプー、リンス、等の香り成分を例示することができる。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明をする。例中断りのない限り、「部」「%」は質量基準である。
(製造例1)
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸1364部、エチレングリコール332.6部、グリセロール462.6部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.22部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が20mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量2020のポリエステルポリオールを得た。
(製造例2〜5)
以下の表1の組成に従って製造例1と同様にして行った。これらは、多価アルコールが含有する3価アルコールと2価アルコールのモル比率(%)が3価アルコール/(2価アルコール+3価アルコール)=50/100〜100/100である、実施例用の樹脂に供する製造例である。尚表中のアルコールの内、グリセロール及び、トリメチロールエタンが3価アルコール、それ以外が2価アルコールに相当する。
Figure 2017109314
(製造例6〜10)
以下の表2の組成に従って製造例1と同様にして行った。これらは、多価アルコールが含有する3価アルコールと2価アルコールのモル比率(%)が3価アルコール/(2価アルコール+3価アルコール)=50/100〜100/100の範囲から外れる、比較例用に供する樹脂の製造例である。
Figure 2017109314
(使用フィルム)
実施例、比較例、参考例で使用したフィルムは以下の通りである。尚、蒸着フィルムにはオーバーコートは施されていない。
<延伸非蒸着フィルム>
・延伸ポリプロピレン(OPP):FOA、30μm、(フタムラ化学(株)製)
・延伸ナイロン:エンブレムON、15μm(ユニチカ(株)製)
<延伸蒸着フィルム>
・透明蒸着PET:バリアロックス1011HG(東レフィルム加工(株)製)
・アルミ蒸着PET:1510(東レフィルム加工(株)製)
(使用硬化剤)
・D−110N:三井化学(株)製「タケネートD−110N(NB)」(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、不揮発成分:75%、NCO%:11.5%、溶媒:酢酸エチル)
・T−1890:EVONIC社製「VESTANATT−1890/100」(イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、不揮発成分:100%を酢酸エチルで希釈し、不揮発成分:70%、NCO%:12.1%に調製したもの)
・D204EA:三井化学(株)製「タケネートD204EA−1」(トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、不揮発成分:50%、NCO%:、溶剤:酢酸エチル)
・L−75:住化バイエルウレタン社製「デスモジュールL−75」(トリメチロールプロパンと2,6−トリレンジイソシアネートとのアダクト体(不揮発分は75.0%、NCO%は13.4%、溶媒酢酸エチル)
(実施例1)
製造例2で合成したポリエステルを2-ブタノンに表3の配合で添加し、常温にてスターラーで撹拌し溶媒に溶解したコーティング液を調製した。得られたコーティング液をOPPフィルムのコロナ面に、バーコーター#20番で塗工し、120℃設定の乾燥機中に90秒間設置し、得られた塗膜のブロッキング試験(後述)を行った。さらに、40℃で3日間乾燥させることで、OPPとポリエステル層からなる積層体を得た。これを後述の評価に供した。
(実施例2)
実施例1とは使用したポリエステルを変更した以外は、表3の配合に則り、実施例1と同様な方法でOPPとポリエステル層からなる積層体を得て、これを後述の評価に供した。
(実施例3)
製造例2で合成したポリエステルを2-ブタノンに表3の硬化剤を除いた配合で添加し、常温にてスターラーで撹拌し溶媒に溶解した溶液を調製した。得られた溶液に引き続き表3の配合で硬化剤を添加し、常温にてスターラーで撹拌し均一のコーティング液を調製した。得られたコーティング液をOPPフィルムのコロナ面に、にバーコーター#20番で塗工し、120℃設定の乾燥機中に90秒間設置し、得られた塗膜のブロッキング試験を行った。また、乾燥機から取り出したコーティング塗膜を、さらに40℃で3日間エージングすることで、硬化剤の反応を促進させ、OPPとポリイソシアネートと反応したポリエステルポリオールとの積層体を得て、これを後述の評価に供した。
(実施例4〜7)
表3で示す配合、及び延伸フィルムを用いた以外は、実施例3と同様にしてコーティング液を調製し、乾燥およびエージングを行い、得られた積層体を後述の評価に供した。
(実施例8,9)
表3で示す配合、及び延伸蒸着フィルムを用い且つ塗工を蒸着面にバーコーターの#4を用いて実施した以外は、実施例3と同様にしてコーティング液を調製し、乾燥およびエージングを行い、得られた積層体を後述の評価に供した。
また、以上実施例1〜9の積層体のコート層は緻密で密着力も極めて強かった。
(比較例1)
製造例6で合成したポリエステルを2-ブタノンに表4の配合で添加し、常温にてスターラーで撹拌し溶媒に溶解したコーティング液を調製した。得られたコーティング液をOPPフィルムのコロナ面にバーコーター#20番で塗工し、120℃設定の乾燥機中に90秒間設置し、得られた塗膜のブロッキング試験を行った。しかしながら、表面の粘性が高く、ブロッキング試験に供することができなかった。引き続き、40℃で3日間乾燥させたが、表面の粘性が高い状況には変化がなかった。そのため、得られた積層体の評価はできなかった。
(比較例2)
製造例7で合成したポリエステル用いた以外に表4の配合に従い比較例1と同様な方法で積層体を得た。本例でも比較例1と同様に乾燥直後、及び40℃での3日間の乾燥後も表面の粘性が高く引き続きの評価に供することができなかった。
(比較例3)
製造例8で合成したポリエステルを2-ブタノンに表4の硬化剤を除いた配合で添加し、常温にてスターラーで撹拌し溶媒に完全に溶解した溶液を調製することができた。得られた溶液に引き続き表4の配合で硬化剤を添加し、常温にてスターラーで撹拌し均一のコーティング液を調製した。
得られたコーティング液を、OPPフィルムのコロナ面に、バーコーター#20番で塗工し、120℃設定の乾燥機中に90秒間設置し設置し、得られた塗膜のブロッキング試験を行った。また、乾燥機から取り出したコーティング塗膜を、さらに40℃で3日間エージングすることで、硬化剤の反応を促進させたオーバーコートが施された積層体を得た。本積層体を後述の評価に供した。
(比較例4〜6)
表4で示す配合、及び延伸フィルムを用いた以外は、比較例3と同様にしてコーティング液を調製し、乾燥およびエージングを行い、得られた積層体を後述の評価に供した。
(比較例7,8)
表4で示す配合、及び延伸蒸着フィルムを用い且つ塗工を蒸着面にバーコーターの#4を用いて実施した以外は、比較例と同様にしてコーティング液を調製し、乾燥およびエージングを行い、得られた積層体を後述の評価に供した。
(参考例1〜4)
以上の、実施例及び、比較例で用いた各種延伸フィルムをそのままで後述の方法で酸素透過率、水蒸気透過率を測定した。
(評価方法)
(1)酸素透過率
各種実施例、比較例で得られたフィルム及び、参考例として未処理の各種延伸フィルムを、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21MHを用いてJIS−K7126(等圧法)に準じ、23℃0%RH、23℃90%RHの雰囲気下で測定した。なお、RHは湿度を示す。
(2)水蒸気透過率
各種実施例、比較例で得られたフィルム及び、参考例として未処理の各種延伸フィルムを、Illinois社製水蒸気透過率測定装置7012を用いて、伝導度法「ISO−15106−3」に準じ、40℃90%RHの雰囲気下で測定した。
(3)ブロッキング試験
ポリエステル樹脂が塗工された積層体を6cm×18cmの大きさに切出し、塗工面を内側にして三つ折りした後、40℃雰囲気下荷重2kg/cmをかけ、24時間後に剥がす操作を行い、コート面とフィルム裏面が剥離するか否かで評価した。
◎:剥離音の発生、剥離帯電、フィルムの汚れいずれもなし
○:剥離音の発生がなく、剥離帯電がややあり、フィルムの汚れなし
△〇:ごく僅かに剥離音か、剥離帯電があるが、フィルムの汚れなし
△:剥離音の発生及び、剥離帯電があるが、フィルムの汚れなし
△×:剥離音の発生及び、剥離帯電に加えてフィルム汚れ有り
×:剥離音の発生、剥離帯電、フィルムの汚れのいずれか一つ以上が激しくあり
以上の評価結果の場合は積層体として扱うことができ、(1)、(2)の評価に供することができた。
××:表面の粘性が高くブロッキング試験及び、(1)、(2)の評価に供することができなかった。
各実施例での評価結果を表3に、各比較例、及び参考例での評価結果を表4、5に示した。また、表3〜5では使用したポリエステル、溶媒、硬化剤の種類及び量を記した。
Figure 2017109314
Figure 2017109314
Figure 2017109314
以上、コート層の成分としてオルト配向芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物と、多価アルコールとの反応物であって、多価アルコールが含有する3価アルコールと2価アルコールのモル比率(%)が3価アルコール/(2価アルコール+3価アルコール)=50/100〜100/100であるポリエステルポリオール(A)を用いた積層体は、実施例1、2での硬化剤を用いない場合では、OPPの単層の場合と比べ、酸素透過率が相対湿度が0%では1/50>、相対湿度が90%でも1/10近くまで低下し、一定の酸素バリア機能を付与することができ、OPPが固有で持つ水蒸気バリア機能とあわせてガスバリア機能を持つ積層体とできた。
また、実施例3〜7の通り、硬化剤を併用すると、更に耐ブロッキング性が向上すると同時に、OPP基材では相対湿度0〜90%間で酸素透過率を1/25以下となり、固有の水蒸気バリアと共に一定の酸素バリア機能がある積層体とできた。ナイロン基材の場合には酸素透過率を半分以下に出来た上、水蒸気透過率も1/4近くにできた。
更に実施例8,9の通り蒸着延伸フィルムとの積層体では酸素透過率1cc>、水蒸気透過率1g>と単独の延伸蒸着フィルムと比べて高バリアフィルムとできた。また、以上すべてで積層体の密着力が強い上、耐ブロッキング性が良好でロールで扱える積層体であった。
その一方、表4の比較例1、2で示された本発明での必須構造とは異なるポリエステルポリオールを用いたポリエステルを硬化剤無しで用いた積層体では、塗工層が乾燥後も粘着性が高く耐ブロッキング性が全くなかった。硬化剤を併用した比較例3〜8でも耐ブロキング性が十分でなくロールで取り扱うのは困難な上、酸素、水蒸気バリアの向上効果も各実施例よりも劣った。
本発明の積層体は、水蒸気、酸素のバリア性を有するので、各種包装材料に加えて、例えば太陽電池用保護用のフィルム、表示素子用フィルム等の電子材料用の積層体の他、建築材料用フィルム、真空断熱材用フィルム等の工業材料用の積層体等、水蒸気、酸素のガスバリア性の強化を所望される用途であれば好適に使用できる。特に、蒸着延伸フィルムを基材として用いた場合には高バリア性の包装用の積層体とすることができる。

Claims (8)

  1. ポリエステルポリオール(A)を含有する蒸着面保護用コーティング材が延伸フィルムに塗工されたコート層を有する積層体において、
    ポリエステルポリオール(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物と、多価アルコールとの反応物であって、多価アルコールが含有する3価アルコールと2価アルコールのモル比率(%)が3価アルコール/(2価アルコール+3価アルコール)=50/100〜100/100であることを特徴とする前記積層体。
  2. 蒸着面保護用コーティング材が、ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物を含有する請求項1に記載の積層体。
  3. オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、2,3−アントラセンカルボン酸又はその無水物からなる群から選ばれる請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 3価アルコールがグリセリントリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2価アルコールがエチレングルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びトリシクロデカンジメタノールからなる群から選ばれ、2価アルコールがエチレングルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びトリシクロデカンジメタノールからなる群から選ばれる請求項1〜3の何れかに記載の積層体。
  5. ポリイソシアネート化合物(B)が、メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、及びイソホロンジイソシアネートのヌレート体、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、及びトルエンジイソシアネートのヌレート体からなる群から選ばれる請求項1〜4の何れかに記載の積層体。
  6. ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度(Tg)が、15℃以上である請求項1〜5の何れかに記載の積層体。
  7. さらに、シランカップリング剤又は粉末シリカを含有する請求項1〜6の何れかに記載の積層体。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の積層体が用いられた包装材。
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