JP2017109275A - 工作機械のテレスコピックカバー - Google Patents

Abstract

【課題】保守管理が容易で、コンパクトな工作機械のテレスコピックカバーを得る。【解決手段】複数のカバー片を順次入れ子状に重合させて伸縮自在に形成したテレスコピックカバーである。入れ子側のカバー片１０ｂの端部側面にクッションゴム１１を設ける。入れ子側のカバー片１０ｂを受け入れる受け入れ側カバー片１０ａの上面内側に、入れ子側のカバー片１０ｂの上面と接するようにワイパー１３を設けると共に、端部側面にワイパー位置よりオフセットし、かつクッションゴム１１と対向してストッパ１２を設ける。ワイパー１３、ストッパ１２、クッションゴム１１はそれぞれ別個に構成しているので保守管理が容易である。また、受け入れ側カバー片の端部面と入れ子側のカバー片の端部面が揃うまで収縮しても、ワイパー１３によりカバー片の間隙は閉鎖されるので、収縮率を高くしコンパクトに構成できる。【選択図】図２

Description

本発明は、工作機械の可動式カバーであるテレスコピックカバーに関する発明である。

工作機械においては、切粉や切削液から摺動面やボールネジ等の駆動部を保護する必要があり、かつ、工作機械の大きさを抑えるために、一般的にテレスコピックカバーと呼ばれる、軸移動の際に伸縮する可動式カバーが用いられている。このテレスコピックカバーは、それぞれ寸法の異なる複数のカバー片を順次入れ子状に重合させて全体を入れ子の向きに伸縮自在に形成して可動式カバーとしている。

テレスコピックカバーを伸縮させる機構には、たとえばパンタグラフを取り付けて、送り軸による機械の移動に同期して伸縮させる機構も広く用いられている（特許文献１参照）。また、テレスコピックカバーのカバー片の先端部にワイパーを配置し、カバー片間の隙間に切粉、塵埃、切削液等の侵入を防止するようにしたテレスコピックカバーも知られている（特許文献１、特許文献２参照）。

また、テレスコピックカバーのカバー片にストッパを設け、カバー片の移動量を制限してテレスコピックカバーの伸縮を抑制するものも公知である（特許文献３参照）。このテレスコピックカバーの伸縮を抑制するものとして、一般的に、入れ子側（収容される側）か、入れ子の受け入れ側（収容する側）のカバー片の一方にストッパを、他方に該ストッパトに対向してクッションゴム等の緩衝部材を設け伸縮抑制機構を構成している。

図３は従来から用いられているテレスコピックカバーの伸縮抑制機構の一例を示す図で、この例では、テレスコピックカバー１のカバー片上面にストッパとクッションゴムを設けて伸縮抑制機構としたものである。このテレスコピックカバー１は、第１のカバー片１０ａ、該第１のカバー片１０ａ内に受け入れられ入れ子となる第２のカバー片１０ｂ、第２のカバー片１０ｂに受け入れられ入れ子となる第３のカバー片１０ｃとで構成されている。図３（ａ）はテレスコピックカバー１を最少まで縮めた状態の正面図、図３（ｂ）は最大まで伸長させた状態の正面図である。

入れ子となるカバー片を受け入れる受け入れ側のカバー片には、入れ子受け入れ側端のカバー片上面内側にはクッションゴム１１が取り付けられ、入れ子のカバー片の受け入れ側のカバー片上面外側には、ストッパ１２、ワイパー１３が設けられている。図３においては、受け入れ側のカバー片である第１のカバー片１０ａと第２のカバー片１０ｂの左先端（入れ子受け入れ側端）のカバー片上面内側にはクッションゴム１１が取り付けられており、さらに、カバー片上面端にワイパー１３が設けられている。入れ子を形成する第２のカバー片１０ｂと第３のカバー片１０ｃの右先端（受け入れ側のカバー片側端）にはカバー片上面外側にはストッパ１２が設けられている。その結果、図３（ａ）状態から、第２のカバー片１０ｂは、ストッパ１２がクッションゴム１１と当接するまで左へ移動でき、さらに第３のカバー片１０ｃは、ストッパ１２がクッションゴム１１と当接するまで左へ移動でき、該テレスコピックカバー１は図３（ｂ）に示す状態まで伸ばすことができる。またワイパー１３は、入れ子側のカバー片１０ｂ、１０ｃの上面に付着した切粉等を払い落とし、カバー片の間隙に侵入することを防止している。通常、ストッパ（もしくはクッションゴム）とワイパーを一体的、もしくは、ワイパーがストッパ（もしくはクッションゴム）を兼ねるようにしたものが一般的である（特許文献２参照）。

また、図４は、伸縮抑制機構として、ストッパ１２、クッションゴム１１をテレスコピックカバー１のカバー片側面に設けた例を示す図であり、ストッパ１２、クッションゴム１１をカバー側面に設ける以外は、図３に示したカバー片の天板に伸縮抑制機構を設ける例と同じである。また、この場合もワイパーとストッパ（もしくはクッションゴム）の位置が同一ライン上に設けられているものが一般的である。

特開２００９−１８４０２６号公報 特開平７−６０５９３号公報 実開昭６３−１７６０４５号公報

ワイパーは、カバー片に付着した切粉、塵埃、切削液等を払いのけ、カバー片間の隙間に切粉、塵埃、切削液等の侵入を防止するためのものであるから、カバー片の先端部に設ける必要がある。そのため、ワイパーとストッパが一体の場合（又は、ワイパーがストッパを兼ねる場合）、ストッパの配設位置が非常に制限される。さらに、テレスコピックカバーは、速い軸移動に追従し、ストッパとクッションゴム（緩衝部材）は衝突することから、各カバー片間の衝撃が発生する。そのため、ストッパやクッションゴムは定期的な保守管理作業が必要な部品である。ストッパ（又はクッションゴム）とワイパーと一体であると、ストッパ（又はクッションゴム）を交換する際、ワイパーも一緒に交換する必要があり、保守性に問題がある。

また、ストッパ（又はクッションゴム）とワイパーとが一体型のものについては、テレスコピックカバーをコンパクトに構成しようとする際、ストッパ（又はクッションゴム）の配設位置が制限されるため、コンパクト化の変更が困難である。また、側面に設ける構造についても、通常、板金形状の都合でワイパーとストッパ（又はクッションゴム）が同一直線状に固定される場合が一般的である。ワイパーはカバー片と常に接する状態にありカバー片間の間隙を閉鎖しておく必要があるから、ワイパーの配設位置はカバー移動量に影響を与え、テレスコピックカバーの伸縮量に影響を与える。

そこで、本発明は、高い保守性を確保し、コンパクトに構成できるテレスコピックカバーを得ることを目的とするものである。

それぞれ寸法の異なる複数のカバー片を順次入れ子状に重合させて全体を伸縮自在に形成した工作機械のテレスコピックカバーにおいて、請求項１に係る発明は、受け入れ側カバー片の上面に設けられ、受け入れ側と入れ子側のカバー片間の間隙を閉鎖し入れ子側カバー片の上面の付着物を払い落とすワイパーと、前記受け入れ側カバー片の側面に、前記ワイパーの取り付け位置より入れ子側カバー片側にオフセットした位置に設けられ、前記入れ子側カバー片の移動を制限するための緩衝部材と、前記入れ子側カバー片に設けられ、前記緩衝部材と当接するストッパとを設けるテレスコピックカバーとすることによって、保守管理が容易でコンパクトに構成できる。

また、請求項２に係る発明は、カバー片に取り付けるストッパと緩衝部材を逆に取り付けたものであり、受け入れ側カバー片の上面に設けられ、受け入れ側と入れ子側のカバー片間の間隙を閉鎖し入れ子側カバー片の上面の付着物を払い落とすワイパーと、前記受け入れ側カバー片の側面に、前記ワイパーの取り付け位置より入れ子側カバー片側にオフセットした位置に設けられ、前記入れ子側カバー片の移動を制限するためのストッパと、前記入れ子側カバー片に設けられ、前記ストッパと当接する緩衝部材とを備えるものとした。また、請求項３に係る発明は、緩衝部材をクッションゴムで形成したものである。

本発明により、テレスコピックカバーをコンパクトに作成できる。加えて、ストッパや緩衝部材の交換時にも作業性が向上する。

本発明の一実施形態のテレスコピックカバーの概要図である。 同実施形態における要部拡大説明図である。 カバー上面に伸縮抑制機構を設けたテレスコピックカバーの従来例の概要図である。 カバー側面に伸縮抑制機構を設けたテレスコピックカバーの従来例の概要図である。 従来例の要部拡大説明図である。

以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図１は、本発明の一実施形態の概要図である。図１（ａ）はテレスコピックカバー１を最小に収縮した状態の正面図であり、図１（ｂ）は最大に伸長した状態の正面図である。この実施形態は、図４に示した従来のテレスコピックカバーと同様に、カバー片の側面にストッパ１２と緩衝部材としてクッションゴム１１を設けている。

このテレスコピックカバー１は、第１のカバー片１０ａ、第２のカバー片１０ｂ、第３のカバー片１０ｃで構成され、第２のカバー片１０ｂが第１のカバー片１０ａの入れ子、第３のカバー片１０ｃが第２のカバー片１０ｂの入れ子となっている。第１のカバー片１０ａの入れ子側端の側面内側にはクッションゴム１１が設けられている。また、第２のカバー片１０ｂの入れ子側端（図中左側端）の側面内側にはクッションゴム１１が、又、反対側の右側端（受け入れ側カバー片１０ａ側）の側面外側にはストッパ１２が設けられている。さらに、第３のカバー片１０ｃの右側端（受け入れ側カバー片１０ｂ側）の側面外側にはストッパ１２が設けられている。すなわち、第１のカバー片１０ａのクッションゴム１１と第２のカバー片１０ｂのストッパ１２が対向し、第２のカバー片１０ｂのクッションゴム１１と第３のカバー片１０ｃのストッパ１２が対向し、これらクッションゴム１１とストッパ１２が当接することによって、カバー片の移動を制限し、該テレスコピックカバー１は、図１（ａ）に示す最小の収縮状態から図１（ｂ）に示す最大に伸長した状態まで伸縮するものとしている。

なお、ストッパ１２とクッションゴム１１の取り付けを逆にしてもよいものである。すなわち、図１に示した例では、クッションゴム１１を受け入れ側のカバー片に、ストッパ１２を入れ子側のカバー片に設けているが、逆に、ストッパ１２を受け入れ側のカバー片に、クッションゴム１１を入れ子側のカバー片に設けるようにしてもよいものである。

さらに、受け入れ側カバー片を構成する第１のカバー片１０ａと第２のカバー片１０ｂの入れ子側端に、入れ子のカバー片（第２のカバー片１０ｂ、第３のカバー片１０ｃ）の上面と接するようにワイパー１３が配設されている。該ワイパー１３は、入れ子側カバー片の上面に付着した切粉、塵埃、切削液等の付着物を払い落とし、入れ子側と受け入れ側のカバー片間の間隙を閉鎖し、該間隙からこれら切粉、塵埃、切削液等の侵入を防止する。
図２は、第１のカバー片１０ａと第２のカバー片１０ｂの接合部の拡大説明図であり、カバー片１０ａ、１０ｂの上面である天板を取り除いた状態を示している。なお、ストッパ１２とクッションゴム１１を取り付けるカバー片を図１とは逆にし、ストッパを受け入れ側のカバー片に、クッションゴム（緩衝部材）を入れ子側のカバー片に取り付けている。第１のカバー片１０ａの入れ子側端部の側面内側にはストッパ１２が設けられている。さらに、第１のカバー片１０ａの入れ子側端部に第２のカバー片１０ｂの天板の上面と接するようにワイパー１３が取り付けられている。なお１３ａはカバー片に取り付けるためのベースである。１２ｐはストッパ取り付け位置を示し、１３ｐはワイパー１３の取り付け位置を示している。第１のカバー片１０ａに取り付けるストッパ１２とワイパー１３は別個に構成されており、ストッパ１２の取り付け位置１３ｐはストッパ取り付け位置１２ｐに制限されず、ストッパ１２がワイパー１３に対して第２のカバー片１０ｂ側に突出するようオフセットして取り付けられている。
入れ子の第２のカバー片１０ｂの端部側面外側（第１のカバー片１０ａ側）には、第１のカバー片１０ａのストッパ１２に対向して、クッションゴム１１が取り付けられている。なお、クッションゴム１１は、クッションゴム本体１１ａと該クッションゴム本体１１ａを取り付けたベース１１ｂで構成され、ベース１１ｂを留めねじ１１ｃで第２のカバー片１０ｂに固定されている。

第２のカバー片１０ｂと第３のカバー片１０ｃの接合部においても、同様の構成となっている。すなわち、受け入れ側のカバー片には側面内側にストッパ１２が、上面端部にはワイパー１３が取り付けられ、入れ子側のカバー片の受け入れ側カバー片側側面外側には受け入れ側カバー片のストッパと対向するように、クッションゴム１１が取り付けられている。そして、受け入れ側のカバー片に設けられるストッパ１２とワイパー１３の取り付け位置はオフセットされて取り付けられており、ストッパ１２は、受け入れ側カバー片の入れ子側の端部位置に、ワイパー１３は該ストッパ位置よりオフセットして、入れ子側の端部位置より内側の位置に取り付けられている。

その結果、このテレスコピックカバー１のどのような伸縮状態においても、入れ子側のカバー片の上面に受け入れ側のカバー片に設けたワイパー１３が接して、入れ子側と受け入れ側のカバー片の間隙は該ワイパー１３で閉鎖され、常に切粉、塵埃、切削液等の侵入を防止している。

図５は、従来のテレスコピックカバーにおける、受け入れ側カバー片（１０ａ）と入れ子側カバー片（１０ｂ）の接合部の拡大説明図である。ストッパ１２やクッションゴム１１は、図２に示す本発明の実施形態と同じであるが、ワイパー１３を設ける位置が異なる。
従来は、板金形状の都合でワイパーの取り付け位置１３ｐとストッパ（又はクッションゴム）１２ｐの取り付け位置が同一直線状に固定されていることから、ストッパ１２とワイパー１３は図５に示されているように、ワイパー１３がストッパ１２の位置よりオフセットして、入れ子側に突出している。

その結果、カバー間の間隙をワイパーで常に閉鎖しようとすると、テレスコピックカバーの収縮は入れ子側のカバー片の端部がワイパー位置に達する位置が限界である。その位置を越えると、ワイパーと入れ子側のカバー片の上面にずれが生じ間隙が発生する。

例えば、テレスコピックカバー１を図１（ａ）に示すように最大に収縮したとき、各カバー片の左側端部が同一面状になった場合でも、図２に示した本発明の実施形態では、ワイパー１３の配設位置が該左側端部より内側であるから、ワイパー１３は入れ子側のカバー片の上面と接し、カバー間の隙間を閉鎖する。一方、図５に示した従来例では、入れ子側のカバー片（１０ｂ）の左側端部はワイパー１３の位置を通過することになるから、入れ子側カバー片と受け入れ側カバー片間に間隙が発生することになる。よって、図５に示した従来例では、入れ子側のカバー片の左側端部がワイパー位置までしか後退（入れ子の収容）することができない。

よって、従来例より、本発明の実施形態の方が、テレスコピックカバーの伸縮度は高く、図１（ａ）のように最大に収縮した状態で同じ長さであれば、図１（ｂ）に示すように、最大に伸長したとき、本発明の実施形態の方が長い距離カバーでき、テレスコピックカバーをコンパクトに形成できる。さらに、ストッパ１２とクッションゴム１１は、テレスコピックカバー１の伸縮時にぶつかりあうことから、定期的に交換等の保守管理が必要であるが、ワイパー１３、ストッパ１２、クッションゴム１１とはそれぞれ別個に構成され、カバー片に取り付けられているものであるから、個別に保守管理ができ、ストッパ１２やクッションゴム１１を交換する際、ワイパーも交換する必要はない。

１ テレスコピックカバー
１０ａ 第１のカバー片
１０ｂ 第２のカバー片
１０ｃ 第３のカバー片
１１ クッションゴム
１２ ストッパ
１３ ワイパー

Claims (3)

1. それぞれ寸法の異なる複数のカバー片を順次入れ子状に重合させて全体を伸縮自在に形成した工作機械のテレスコピックカバーにおいて、
   受け入れ側カバー片の上面に設けられ、受け入れ側と入れ子側のカバー片間の間隙を閉鎖し入れ子側カバー片の上面の付着物を払い落とすワイパーと、
   前記受け入れ側カバー片の側面に、前記ワイパーの取り付け位置より入れ子側カバー片側にオフセットした位置に設けられ、前記入れ子側カバー片の移動を制限するための緩衝部材と、
   前記入れ子側カバー片に設けられ、前記緩衝部材と当接するストッパと、
   を有することを特徴とする工作機械のテレスコピックカバー。
2. それぞれ寸法の異なる複数のカバー片を順次入れ子状に重合させて全体を伸縮自在に形成した工作機械のテレスコピックカバーにおいて、
   受け入れ側カバー片の上面に設けられ、受け入れ側と入れ子側のカバー片間の間隙を閉鎖し入れ子側カバー片の上面の付着物を払い落とすワイパーと、
   前記受け入れ側カバー片の側面に、前記ワイパーの取り付け位置より入れ子側カバー片側にオフセットした位置に設けられ、前記入れ子側カバー片の移動を制限するためのストッパと、
   前記入れ子側カバー片に設けられ、前記ストッパと当接する緩衝部材と、
   を有することを特徴とする工作機械のテレスコピックカバー。
3. 前記緩衝部材をクッションゴムで構成した請求項１または請求項２に記載の工作機械のテレスコピックカバー。