JP2017106746A - 分析装置、分析装置の繰り返し性評価方法、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】校正モードにおいて、校正液Zの既知濃度Cz及び校正液Sの既知濃度Cs(但しCz≠Cs)、並びに校正液Zを試料液とした際の複数の吸光度データIzの平均値及び校正液Sを試料液とした際の複数の吸光度データIsの平均値に基づき、吸光度を濃度に換算するための検量線情報を作成する。また、校正のために得た校正液の吸光度データを、作成した検量線情報に基づき、濃度に換算する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、操作者が吸光度のばらつきを見ても、そのばらつきが、実際の濃度データにどの程度影響を与え得るものなのか、直感的に理解することは困難である。
そこで、実務上、繰り返し性を確認したい場合には、校正作業とは別に、校正液を試料液として濃度を複数回測定した時の濃度データのばらつきを確認することが行われている。
特に1回の測定に1時間程度を要する場合(例えば特許文献1)、繰り返し性確認のために校正液の測定作業を行うと時間的ロスが大きい。例えば、ゼロ校正液を試料液とした場合とスパン校正液を試料液とした場合の双方について繰り返し性を確認するには、4〜6時間程度を要することとなる。
[1]試料液に試薬を反応させて反応液を得る反応部と
得られた反応液の吸光度を測定する吸光光度計と、
前記反応部及び前記吸光光度計を制御すると共に、前記吸光光度計で得られる吸光度が入力される演算制御部を備え、
前記演算制御部は、校正モードにおいて、校正液Zの既知濃度Cz及び校正液Sの既知濃度Cs(但しCz≠Cs)、並びに校正液Zを試料液とした際の複数の吸光度データIzの平均値及び校正液Sを試料液とした際の複数の吸光度データIsの平均値に基づき、吸光度を濃度に換算するための検量線情報を作成すると共に、
作成した検量線情報に基づき、該検量線情報作成に用いた吸光度データIz及び吸光度データIsの何れか1以上を濃度に換算することを特徴とする分析装置。
[2]前記演算制御部は、前記校正液Z及び前記校正液Sの一方又は両方について、前記換算した濃度と既知濃度との差を求める[1]に記載の分析装置。
校正モード時に、校正液Zの既知濃度Cz及び校正液Sの既知濃度Cs(但しCz≠Cs)、並びに校正液Zを試料液とした際の複数の吸光度データIzの平均値及び校正液Sを試料液とした際の複数の吸光度データIsの平均値に基づき、吸光度を濃度に換算するための検量線情報を作成すると共に、
前記校正液Z及び前記校正液Sの一方又は両方について、作成した検量線情報に基づき、検量線情報作成に用いた吸光度データの1以上を濃度に換算し、前記換算した濃度と既知濃度との差を求めることを特徴とする分析装置の繰り返し性評価方法。
得られた反応液の吸光度を測定する吸光光度計と、
前記反応部及び前記吸光光度計を制御すると共に、前記吸光光度計で得られる吸光度が入力される演算制御部を備える分析装置において校正モードが選択された際に、
前記演算制御部に以下のステップを含む処理を実行させるプログラム。
[ステップA1]
前記反応部と前記吸光光度計を、校正液Zと校正液Sの各々を試料液として各々の反応液の吸光度データを複数得るように制御し、
校正液Zの既知濃度Cz及び校正液Sの既知濃度Cs(但しCz≠Cs)、並びに校正液Zを試料液とした際の複数の吸光度データIzの平均値及び校正液Sを試料液とした際の複数の吸光度データIsの平均値に基づき、吸光度を濃度に換算するための検量線情報を作成するステップ。
[ステップA2]
作成した検量線情報に基づき、該検量線情報作成に用いた吸光度データIz及び吸光度データIsの何れか1以上を濃度に換算するステップ。
[5]前記ステップA2が、さらに、前記校正液Z及び前記校正液Sの一方又は両方について、前記換算した濃度と既知濃度との差を求めるステップである[4]に記載のプログラム。
本発明の1実施形態に係る分析装置について図1を用いて説明する。本実施形態の分析計は、全窒素、全りん、CODの3項目をJIS法に準拠して求める分析装置である。この3項目の内、CODについては、試料液に試薬を反応させることなく、直接吸光度を測定することにより求められるが、全窒素、全りんについては、試料液に試薬を反応させることにより得られる反応液の吸光度を測定することにより求められる。
反応部10は、反応槽11と、加熱分解槽12と、反応槽11内の温度を測定する温度センサー13と、反応槽11内の反応液を吸光光度計20のフローセルに導入するためのポンプ14と、多数の流路を備えている。
反応部10には、ポンプや各種弁が設けられており、これら弁やポンプの動作を演算制御部30が制御することにより、試料液や試薬等が、各流路内を適宜移動できるようになっている。反応部10の加熱分解槽12も、演算制御部30により制御されるようになっている。
流路L2は試料液流路、流路L3〜L5は試薬流路である。流路L3は、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液を反応槽11に送る流路、流路L4は、水酸化ナトリウム溶液と塩酸を反応槽11に送る流路、流路L5はモリブデン酸アンモニウム溶液とL−アスコルビン酸溶液を反応槽11に送る流路である。なお、モリブデン酸アンモニウム溶液は、少量のタルトラトアンチモン(III)酸カリウムを含む硫酸酸性のモリブデン酸アンモニウム溶液である。
流路L8は、純水を反応槽11に送る流路、流路L9〜L10は廃液流路である。
演算制御部30は、反応部10と吸光光度計20を制御すると共に、吸光光度計で得られる吸光度が入力されるようになっている。演算制御部30には、本発明のプログラムが組み込まれている。
本実施形態の分析装置は、演算制御部30による制御の下、以下の手順により、試料液の全窒素、全りん、CODの3項目を求める。加熱分解槽12の温度は、加熱分解時以外は、全工程を通じて70℃の余熱状態とされており、加熱分解時には120℃とされる。各工程において行われる洗浄は、洗浄が必要な部分に純水を導入し、その後廃液することにより行われる。
なお、以下の説明において、吸光光度計20によって得られる試料液または反応液の吸光度は、ブランク測定値を差し引くことによってブランク補正した値であることが好ましい。ブランク測定値は、フローセルに純水を流した際の吸光度である。
まず、流路L2により、所定量の試料液を反応槽11に導入する。ここで、必要に応じて、流路L8から純水を反応槽11に導入して試料液を希釈する。次いで、流路L3、L4により、全窒素測定用の加熱分解試薬であるペルオキソ二硫酸カリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を反応槽11に導入する。その後流路L6にポンプをつないで、常閉弁SV1と常閉弁SV2を開とした状態で反応槽11内にバブリングすることにより、試料液と加熱分解試薬を混合し、全窒素サンプル液とする。そして、流路L6につながれたポンプを駆動させることにより、全窒素サンプル液の全量を流路L6の加熱分解槽12(余熱状態)に収容されている部分まで吸引して、常閉弁SV1と常閉弁SV2を閉状態に戻し、全りんサンプル調整を行っている間待機する。
反応槽11内を洗浄した後、流路L2により、所定量の試料液を反応槽11に導入する。ここで、必要に応じて、流路L8から純水を反応槽11に導入して試料液を希釈する。次いで、流路L3により、全りん測定用の加熱分解試薬であるペルオキソ二硫酸カリウム溶液を反応槽11に導入する。その後流路L7にポンプをつないで、常閉弁SV3と常閉弁SV4を開とした状態で反応槽11内にバブリングすることにより、試料液と加熱分解試薬を混合し、全りんサンプル液とする。そして、流路L7につながれたポンプを駆動させることにより、全りんサンプル液の全量を流路L7の加熱分解槽12(余熱状態)に収容されている部分まで吸引して、常閉弁SV3と常閉弁SV4を閉状態に戻す。
流路L6にポンプをつないで、常閉弁SV2を開とした状態でエアを圧送し、その後常閉弁SV2を閉状態に戻すことにより、流路L6の加熱分解槽12に収容されている部分の圧力を高める。
同様に、常閉弁SV4を開とした状態でエアを圧送し、その後常閉弁SV4を閉状態に戻すことにより、流路L7の加熱分解槽12に収容されている部分の圧力を高める。
加熱分解により、試料液中の窒素化合物はすべて酸化されて硝酸イオンとなる。また、試料液中のリン化合物はすべて酸化されてリン酸イオンとなる。
流路L6にポンプをつないで、常閉弁SV1と常閉弁SV2を開として、流路L6内の全窒素測定用の加熱分解液を反応槽11に圧送して戻す。ここに、流路L4により塩酸を導入してpHを2〜3に調整し、全窒素測定用の反応液を得る。
次いで、ポンプ14により、吸光光度計20のフローセルに反応槽11内の反応液を吸引して、吸光度を測定する。吸光度測定後、流路L1、L6と反応槽11を洗浄する。
流路L7にポンプをつないで、常閉弁SV3と常閉弁SV4を開として、流路L7内の全りん測定用の加熱分解液を反応槽11に圧送して戻す。ここに、流路L5によりL−アスコルビン酸溶液とモリブデン酸アンモニウム塩酸を導入してモリブデン青を生成させる。
次いで、ポンプ14により、吸光光度計20のフローセルに反応槽11内の反応液を吸引して、吸光度を測定する。吸光度測定後、流路L1、L7と反応槽11を洗浄する。
反応槽11と各流路の洗浄を行う。ここまでの工程に要する時間は約60分である。
分析装置において校正モードが選択された際に、演算制御部30は、以下のステップA1を含む処理を実行する。
校正モードは、操作者による入力指示によって選択されてもよいし、予めプログラムにされた所定のタイミングに従って選択されてもよい。所定のタイミングは、一定の期間毎でもよいし、試薬交換等、分析装置の使用状況が予め定めた条件を満たした時であってもよい。
反応部10と吸光光度計20を、校正液Zと校正液Sの各々を試料液として各々の反応液の吸光度データを複数得るように制御し、
校正液Zの既知濃度Cz及び校正液Sの既知濃度Cs(但しCz≠Cs)、並びに校正液Zを試料液とした際の複数の吸光度データIzの平均値及び校正液Sを試料液とした際の複数の吸光度データIsの平均値に基づき、吸光度を濃度に換算するための検量線情報を作成するステップ。
本実施形態では校正液Zとして純水を用いる。また、校正液Sとしては硝酸カリウム・りん酸二水素カリウム混合溶液が用いられる。この校正液Sは、全窒素、全りんの双方の校正液として共用できる。
各校正液の吸光度データを複数得るためには、校正液Zによる校正と校正液Sによる校正を、各々2回以上行えばよいが、高い精度を求める場合は、各々3回程度行うことが好ましい。例えば、校正液Zによる校正と校正液Sによる校正を各々3回行う場合、校正に要する時間は、合計で約6時間となる。
検量線の作成には校正液Zによる各吸光度データIzの平均値Izaを用いる。また、校正液Sによる各吸光度データIsの平均値Isaを用いる。
本発明における検量線情報は、平均値Iza及び平均値Isa、並びに既知濃度Cz及び既知濃度Csからなる情報でもよいし、これらから求めた検量線を示す式の情報でもよい。
検量線が作成されることにより、測定モードにおいて、試料液の反応液を得て吸光度を測定した際に、濃度未知の測定対象成分の濃度を検量線に基づき求めることができる。
分析装置において校正モードが選択された際に、演算制御部30は、上記ステップA1と共に、下記のステップA2を含む処理を実行する。これにより、本発明の繰り返し性評価方法が実施される。
[ステップA2]
作成した検量線情報に基づき、該検量線情報作成に用いた吸光度データIz及び吸光度データIsの何れか1以上を濃度に換算するステップ。
吸光度データIzを濃度に換算する場合、複数の吸光度データIzの内の1つ(例えば初回のデータ)でもよいし、複数のデータすべてでもよい。また、吸光度データIsを濃度に換算する場合、複数の吸光度データIsの内の1つ(例えば初回のデータ)でもよいし、複数のデータすべてでもよい。
以下、前者の場合について換算方法を詳述するが、後者の場合も、下記の計算の一部を検量線情報作成時に行っているだけで、本質的な違いはない。
Dz=(Iz−Iza)/(Isa−Iza)*(Cs−Cz)+Cz ・・・(1)
Ds=(Is−Isa)/(Isa−Iza)*(Cs−Cz)+Cs ・・・(2)
Dz=α*Iz+β ・・・(1)’
Ds=α*Is+β ・・・(2)’
但し、式(1)’、(2)’において、
α=(Cs−Cz)/(Isa−Iza)
β=(Cz*Isa−Cs*Iza)/(Isa−Iza)
Dz−Cz=(Iz−Iza)/(Isa−Iza)*(Cs−Cz) ・・・(3)
Ds−Cs=(Is−Isa)/(Isa−Iza)*(Cs−Cz) ・・・(4)
Dz=(Iz−Iza)/(Isa−Iza)*Cs ・・・(5)
Ds−Cs=(Is−Isa)/(Isa−Iza)*Cs ・・・(6)
[Dz−Cz](%)
=(Iz−Iza)/(Isa−Iza)*(Cs−Cz)/FS*100・・・(7)
[Ds−Cs](%)
=(Is−Isa)/(Isa−Iza)*(Cs−Cz)/FS*100・・・(8)
校正液Zの既知濃度Czがゼロであり、かつ校正液Sの既知濃度Csがフルスケール濃度(FS)である場合(Cz=0、Cs=FS)、式(7)と式(8)は、以下の式(9)と式(10)となる。
[Dz](%)=(Iz−Iza)/(Isa−Iza)*100 ・・・(9)
[Ds−Cs](%)=(Is−Isa)/(Isa−Iza)*100・・・(10)
上記式(3)〜(10)の計算を複数のIzないしはIsについて行った場合、各式で得られた値の絶対値を複数のIzないしはIsについて平均してもよい。
また、上記演算は、校正のために得たデータをそのまま転用して行えるので、繰り返し性確認のため、試料液と試薬との反応をわざわざ行う必要がない。
その場合、プログラムは、予めコンピュータに記録されていてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませてもよい。
また、予めコンピュータに記録されているプログラムと、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、コンピュータに読み込ませるプログラムとを組み合わせてもよい。
14…ポンプ、20…吸光光度計、30…演算制御部
Claims (5)
- 試料液に試薬を反応させて反応液を得る反応部と
得られた反応液の吸光度を測定する吸光光度計と、
前記反応部及び前記吸光光度計を制御すると共に、前記吸光光度計で得られる吸光度が入力される演算制御部を備え、
前記演算制御部は、校正モードにおいて、校正液Zの既知濃度Cz及び校正液Sの既知濃度Cs(但しCz≠Cs)、並びに校正液Zを試料液とした際の複数の吸光度データIzの平均値及び校正液Sを試料液とした際の複数の吸光度データIsの平均値に基づき、吸光度を濃度に換算するための検量線情報を作成すると共に、
作成した検量線情報に基づき、該検量線情報作成に用いた吸光度データIz及び吸光度データIsの何れか1以上を濃度に換算することを特徴とする分析装置。 - 前記演算制御部は、前記校正液Z及び前記校正液Sの一方又は両方について、前記換算した濃度と既知濃度との差を求める請求項1に記載の分析装置。
- 試料液に試薬を反応させて得られた反応液の吸光度を測定して試料液の濃度を求める分析装置の繰り返し性評価方法であって、
校正モード時に、校正液Zの既知濃度Cz及び校正液Sの既知濃度Cs(但しCz≠Cs)、並びに校正液Zを試料液とした際の複数の吸光度データIzの平均値及び校正液Sを試料液とした際の複数の吸光度データIsの平均値に基づき、吸光度を濃度に換算するための検量線情報を作成すると共に、
前記校正液Z及び前記校正液Sの一方又は両方について、作成した検量線情報に基づき、検量線情報作成に用いた吸光度データの1以上を濃度に換算し、前記換算した濃度と既知濃度との差を求めることを特徴とする分析装置の繰り返し性評価方法。 - 試料液に試薬を反応させて反応液を得る反応部と
得られた反応液の吸光度を測定する吸光光度計と、
前記反応部及び前記吸光光度計を制御すると共に、前記吸光光度計で得られる吸光度が入力される演算制御部を備える分析装置において校正モードが選択された際に、
前記演算制御部に以下のステップを含む処理を実行させるプログラム。
[ステップA1]
前記反応部と前記吸光光度計を、校正液Zと校正液Sの各々を試料液として各々の反応液の吸光度データを複数得るように制御し、
校正液Zの既知濃度Cz及び校正液Sの既知濃度Cs(但しCz≠Cs)、並びに校正液Zを試料液とした際の複数の吸光度データIzの平均値及び校正液Sを試料液とした際の複数の吸光度データIsの平均値に基づき、吸光度を濃度に換算するための検量線情報を作成するステップ。
[ステップA2]
作成した検量線情報に基づき、該検量線情報作成に用いた吸光度データIz及び吸光度データIsの何れか1以上を濃度に換算するステップ。 - 前記ステップA2が、さらに、前記校正液Z及び前記校正液Sの一方又は両方について、前記換算した濃度と既知濃度との差を求めるステップである請求項4に記載のプログラム。
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JP2015238677A JP2017106746A (ja) | 2015-12-07 | 2015-12-07 | 分析装置、分析装置の繰り返し性評価方法、及びプログラム |
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