JP2017106288A - 橋梁構造物における吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場 - Google Patents

橋梁構造物における吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場 Download PDF

Info

Publication number
JP2017106288A
JP2017106288A JP2015242727A JP2015242727A JP2017106288A JP 2017106288 A JP2017106288 A JP 2017106288A JP 2015242727 A JP2015242727 A JP 2015242727A JP 2015242727 A JP2015242727 A JP 2015242727A JP 2017106288 A JP2017106288 A JP 2017106288A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
float
scaffold
bridge
suspended
suspension
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015242727A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6018691B1 (ja
Inventor
郁夫 江▲崎▼
Ikuo Ezaki
郁夫 江▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujimirai Co Ltd
Original Assignee
Fujimirai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujimirai Co Ltd filed Critical Fujimirai Co Ltd
Priority to JP2015242727A priority Critical patent/JP6018691B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6018691B1 publication Critical patent/JP6018691B1/ja
Publication of JP2017106288A publication Critical patent/JP2017106288A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bridges Or Land Bridges (AREA)
  • Movable Scaffolding (AREA)

Abstract

【課題】容易に橋梁に架設可能な吊足場を提供する。
【解決手段】橋梁構造物における足場の架設方法であって、吊足場部の下側にフロート部2を固定したフロート付き吊足場1を準備する工程と、フロート付き吊足場1を架設の対象となる橋梁構築物100の下方まで、水上に浮かべて移動させる工程と、橋梁構造物100の両側の側面の第一橋梁側面位置にフロート付き吊足場1を第一ワイヤ26で接続する工程と、第一ワイヤ26を引き上げて、フロート付き吊足場1を橋梁構造物100に吊す工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は橋梁構造物の検査用の吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場に関する。
橋梁やトンネルといった構造物は、設営後に適切に維持、修繕する必要がある。すなわち経年劣化による事故を未然に回避するため、道路管理者が構造物を定期的に点検することが求められる。特に平成24年12月2日に発生した中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故が発生したこと等を背景に、国土交通省は平成26年7月1日より、トンネルや2m以上の道路橋などを、5年に1回の頻度で点検することを義務付けている。その点検方法は、従来の遠望目視でなく、近接目視が基本とされている。
しかしながら、近接目視を橋の裏側で行うには、図20に示すように、橋梁構造物100の裏面側に作業者が入れるような足場500を組む必要があり、極めて時間とコストがかかるという問題がある。全国で2m以上の橋は約70万橋存在するといわれており、そのうち市町村に管理されているものは約48万橋存在しているとされ、道路管理者である地方公共団体、とりわけ町村には、点検のコストは大きな負担となることが懸念される。
一方で、図19に示すように専用の橋梁点検車400を用いて橋梁構造物100の側面からアームをせり出し、橋の裏側に回すことで、足場を組まずに裏面側の目視検査を可能とする方法も考えられる。しかしながらこの方法では、橋梁点検車400を道路に配置する必要があり、点検作業中は少なくとも一車線を閉鎖することとなって、交通の妨げとなる。これを交通渋滞を防ぐために、夜間に点検作業を行うことも考えられるが、この場合は目視の作業性を低下させ、点検の信頼性に影響を与えることが懸念される。さらに、橋の幅が広い、例えば四車線といった大型の橋では、裏面の中央側まで延びるような大型の橋梁点検車を用意する必要があり、このような橋梁点検車を安定的に固定するために、橋の上でさらに多くの面積を専有することとなる結果、交通への妨げも顕著となる。一般に車線数の多い橋は交通量も多いため、その移動や物流等の妨げによる経済的な影響も無視できなくなる。また、広幅員の橋梁構造物であれば足場が橋の中央部まで届かなくなり、近接目視による検査が不可能となる場合も想定される。
以上のように、従来の検査方法は交通規制が必要であったり、工数が多く人的コストが高くなる等の問題があり、交通の妨害にならない簡便かつ安価な検査方法は確立されていなかった。特に検査対象となる橋梁構造物の多い地域ではコストの高騰が懸念され、予算の捻出が社会的な問題となり、簡便で安価な検査方法が要求されている。
これに対して、例えば特許文献1、2には水上移動が可能な、水上構築物のメンテナンスに用いることのできる足場について記載されている。しかしながら、例えば特許文献1の足場は、足場の高さが予め定められており、足場より極端に高低差のある橋梁構造物の検査には用いることができない。一方、特許文献2の足場は、高さが可変であるものの、スパッドカンを水底にめり込ませる必要があり、例えば水底がコンクリートや岩盤であったり、あるいは水深が想定外に深い場合使用できないという問題がある。さらにいずれの特許文献も、検査中は水面上を占有する必要があり、船の往来に制限がかかるといった問題がある。さらにまた、その大きさも予め定められているため、河川や橋桁の形態によっては使用することができず、さらには陸上での運搬にも苦心するものであった。
特開平10−25731号公報 特開2000−320131号公報 特開2001−248298号公報
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、容易に利用可能な橋梁構造物の検査用の足場の架設方法と、その架設方法に用いる足場を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するために、本発明の第1の架設方法は、吊足場部の下側にフロート部を固定したフロート付き吊足場を準備する工程と、フロート付き吊足場を架設の対象となる橋梁構築物の下方まで、水上に浮かべて移動させる工程と、橋梁構造物の両側の側面の第一橋梁側面位置にフロート付き吊足場を第一ワイヤで接続する工程と、第一ワイヤを引き上げて、フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊す工程とを含む。
上記架設方法によれば、簡便な方法で、対象となる橋梁構造物の下方に配置することができる。特に、従来と異なり組み上げ前の足場や骨組みを橋梁構造物上の道路や水上の台船に待機させる必要がないため、橋梁構造物上や水上を長時間通行止めせずに吊足場を架設することができる。さらに、短時間で容易に吊足場を架設することができるため、人的コストを削減することができる。
また、本発明の第2の架設方法は、フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊り下げた後、フロート付き吊足場に備えられた橋桁固定具により、フロート付き吊足場を橋梁構造物の一部に固定する工程を含む。
上記架設方法によれば、フロート付き吊足場を橋桁の一部に機械的に固定できるため、風や作業中の振動による揺れを抑え、足場を安定させて安全に作業を行うことができる。
さらに、本発明の第3の架設方法は、フロート付き吊足場を準備する際、フロート付き吊足場を複数個連結する工程を含む。
上記架設方法によれば、フロート付き吊足場を連結することにより、吊足場の全長を架設したい橋梁構造物の幅にあわせて、容易に調整することができる。
さらにまた、本発明の第4の架設方法は、橋梁構造物の両側の側面であって、第一橋梁側面位置からみてフロート付き吊足場の移動方向に離間した第二橋梁側面位置に第二ワイヤでフロート付き吊足場を接続する工程と、第一ワイヤを弛める一方、第二ワイヤを引き上げ、フロート付き吊足場を第一橋梁側面位置から第二橋梁側面位置へ向けて移動させる工程を含む。
上記架設方法によれば、吊り下げたフロート付き吊足場を簡単に橋梁構造物の全長に渡って移動させることができる。また、移動の際に足場を水上に降ろさず、橋梁構造物に吊り下げたまま移動させることができるため、作業数を削減することができる。
さらにまた、本発明の第5の架設方法は、第一ワイヤでフロート付き吊足場と橋梁構造物とを接続する際に、第一ワイヤの一端に、引き上げ用の第一動力部を接続する工程を含む。
上記架設方法によれば、第一動力部により第一ワイヤを簡単に引き上げることができ、フロート付吊足場を吊り下げたり、第二橋梁側面位置へ向けて移動させる工程を、簡便かつ短時間で行うことができる。
さらにまた、本発明の第6の架設方法は、第二ワイヤでフロート付き吊足場と橋梁構造物とを接続する際に、第二ワイヤの一端に、引き上げ用の第二動力部を接続する工程を含む。
上記架設方法によれば、第二動力部により第二ワイヤを簡単に引き上げることができ、第二橋梁側面位置へ移動する工程を、簡便かつ短時間で行うことができる。
さらにまた、本発明の第7のフロート付き吊足場は、橋梁構造物の裏側に設けるための足場であって、浮力を有するフロート部と、フロート部の上面に設けられ、作業員が移動可能な平板状の足場板部と、足場板部の周囲を覆う柵部とを有する吊足場部と、フロート部及び/又は吊足場部の両端に設けられたワイヤ接続部とを備える。
上記構成によれば、フロート付き吊足場を水上から橋梁構造物の下部へ移動させ、橋梁構造物とワイヤ接続部とをワイヤで接続することで、簡単に橋梁構造物に吊足場を架設することができる。それにより、組み上げ前の足場や骨組みを橋梁構造物上の道路や、水上の台船に待機させる必要が無いため、橋梁構造物や水上を長時間通行止めにすることなく、吊足場を架設することができる。さらに、短時間で容易に吊足場を架設することができるため、人的コストを削減することができる。
さらにまた、本発明の第8のフロート付き吊足場は、フロート部は、浮力を有するフロート材と、フロート材の周囲を覆うフロート外周板とを備え、フロート材が合成発泡樹脂製である。
上記構成によれば、軽量なフロート材を安価に造ることができる。
さらにまた、本発明の第9のフロート付き吊足場は、フロート外周板及び/又は吊足場部がアルミニウム製である。
上記構成によれば、アルミニウム製であるため軽量であり、少人数でも運搬することができる。
さらにまた、本発明の第10のフロート付き吊足場は、ワイヤ接続部と橋梁構造物とを接続するワイヤの一端に、ワイヤを引く動力部を備える。
上記構成によれば、動力部によりフロート付き吊足場を自由に昇降することができる。
さらにまた、本発明の第11のフロート付き吊足場は、吊足場部上から操作可能な、動力部を電気的に制御するための制御装置を備える。
上記構成によれば、作業員の目視を伴いフロート付き吊足場を昇降ができるため、架設位置や作業内容に応じた適切な高さに調整することが容易となる。
さらにまた、本発明の第12のフロート付き吊足場は、柵部に、別のフロート付き吊足場と連結可能な吊足場連結部を備える。
上記構成によれば、フロート付き吊足場を連結してフロート付き吊足場の全長を橋梁構造物の幅員に合わせて調整することができる。それにより、様々な幅員の橋梁構造物に本発明のフロート付き吊足場を利用することができる。
さらにまた、本発明の第13のフロート付き吊足場は、水上に浮かせた状態でフロート付き吊足場を曳航させるための曳航用連結部を備える。
上記構成によれば、船外機を備えたボート等を連結して、フロート付き吊足場を検査対象の橋梁の下まで曳航することができる。
さらにまた、本発明の第14のフロート付き吊足場は、フロート付き吊足場を橋桁に固定するための橋桁固定具を備える。
上記構成によれば、橋桁固定具によりフロート付き吊足場を橋桁に機械的に固定することで、風や作業中の振動による揺れを抑え、足場を安定させて安全に作業を行うことができる。
さらにまた、本発明の第15のフロート付き吊足場は、吊足場部の下面に着脱式に固定されている。
上記構成によれば、水面からフロート付き吊足場を橋梁構造体の下面に向かって引き上げる際、フロート部を外して引き上げることで軽量化を図ることが可能となる。
図1は本発明の実施形態1に係る吊足場を示す正面図である。 図2は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場を示す斜視図である。 図3は本発明の実施形態1に係るフロート部を示す斜視図である。 図4は図3のIV−IV線における断面図である。 図5は本発明の実施形態1に係るフロート部の変形例である。 図6は本発明の実施形態1に係るフロート部に船外機を取り付けた状態を示す斜視図である。 図7は本発明の実施形態1に係る吊足場部を示す斜視図である。 図8は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場の分解図である。 図9は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場にワイヤ及びウィンチを接続している状態を示す斜視図である。 図10は本発明の実施形態1に係る架設方法を示すフローチャートである。 図11は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場の接続方法を示す断面図である。 図12Aは実施形態1に係るフロート付き吊足場の接続方法を示す平面図であり、図12Bは図12Aを正面から見た図である。 図13Aは実施形態1に係る水上移動工程を示す図である。 図13Bは実施形態1に係るワイヤ接続工程を示す図である。 図13Cは実施形態1に係る引き上げ工程を示す図である。 図14Aは図13Aを側面から見た図である。 図14Bは図13Bを側面から見た図である。 図14Cは図13Cを側面から見た図である。 図15Aは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図15Bは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図15Cは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図15Dは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図16は実施形態2に係る橋桁固定具を示す斜視図である。 図17Aは実施形態2に係るフロート付き吊足場を橋桁に固定した状態を示す正面図であり、図17Bは図17Aの要部拡大図である。 図18は実施形態3に係るフロート付き吊足場を橋桁に固定した状態を示す斜視図である。 図19は従来の橋梁点検車による橋梁構造物の検査方法を示す図である。 図20は従来の吊足場による橋梁構造物の検査方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部品を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場は、橋梁構造物の裏側を検査するために用いられるものである。すなわち、橋梁構造物の裏側を作業者が目視で検査できるように、吊足場を橋梁構造物の下方に、簡易な方法で架設可能としたものである。実施形態1に係る吊足場の架設方法は、図1に示すように、水上をボート200等により橋梁構造物100の下方へ曳航して、第一ワイヤ26を接続して引き上げることにより、橋梁構造物100の裏側の近接目視検査を行うことができる。この吊足場は、以下に説明するフロート付き吊足場1を一つから複数連結してなる。なお、図1及び図13A〜図15Dに図示される橋脚103は橋梁構造物100の一部である。図1及び図13A〜Cでは橋梁構造物100の形状を分かりやすく示すために図示している。図1及び図13A〜Cにおいてはフロート付き吊足場1とは同一面上に位置するように見えるが、実際には、図14A〜図15Dに示すように、フロート付き吊足場1とは離間している。
(フロート付き吊足場1)
図2に示すフロート付き吊足場1はフロート部2と、吊足場部4とを備える。このフロート付き吊足場1は、フロート部2により水上に浮かせることができる。さらに、吊足場部4は、橋梁構造物に設置された引き上げ用の第一動力部50の第一動力側ワイヤ53と第一ワイヤ26により接続し、第一動力部50で第一ワイヤ26を引き上げることにより、吊足場として橋梁構造物に吊り下げることができる。さらにこのフロート付き吊足場1は、長手方向に他のフロート付き吊足場1と連結することができ、架設対象となる橋梁構造物の幅員に合わせて、吊足場の全長を調整することができる。
(フロート部2)
図3にフロート部2の斜視図を示す。また、図4は図3のIV−IV線の垂直断面図である。フロート部2は浮力を有するフロート材10と、フロート材10の周囲を覆うフロート外周板11で構成される。
(フロート材10)
フロート材10は少なくともフロート部2や吊足場部4等の構成部材及び作業員の重量が加えられた状態で水上に浮かぶことができる浮力を備えている。実施形態1においては、フロート材10は直方体に形成された発泡合成樹脂を用いている。発泡合成樹脂は、例えば発泡スチロールを用いることができる。フロート材10は、水上に浮かぶことができればよく、材料や形状は特に特定されない。発泡合成樹脂以外にも例えば、内部を中空に処理した金属材や樹脂材等を用いることもできる。また、図5はこのフロート部2の変形例であるフロート部2’を示す図である。フロート部2は、図5の垂直断面図に示すように、複数のフロート材10’を積層したり、横方向に並べて形成されたフロート部2’としてもよい。複数のフロート材10’を用いることにより、フロート材10’の総体積を簡単に大きくし、浮力を向上させることができる。
(フロート外周板11)
図3及び図4に示すように、このフロート材10の周囲をフロート外周板11で覆うことにより、フロート部2が構成される。このフロート外周板11はアルミニウム等の軽量な金属部材からなる。このフロート外周板11は軽量であることが好ましいが、フロート部2が水上に浮かぶ状態を維持できるのであれば、部材は特定されず、鉄等のアルミニウム以外の金属製でもよい。その他にも例えば樹脂製や木製等でもよい。このフロート外周板11は、衝撃や水上の浮遊物等からフロート材10を保護する。また、フロート外周板11は吊足場部4と固定するための吊足場固定部12を備える。さらに、フロート外周板11は、他のフロート部2やボート200と連結可能な曳航用連結部13を備える。さらにまた、このフロート外周板11の各面は外縁部を除いて網状にしていることで、軽量化しつつフロート材10を保護している。フロート外周板11はフロート材10の全面を覆っていることが好ましいが、軽量化のために一部の面のみを覆ってもよい。
また、実施形態1においては、フロート材10及びフロート外周板11によりフロート部2を形成しているが、樹脂板や金属板等の板材を直方体状に形成し、内部を中空にして水上に浮かぶようにして、単一の部材でフロート部2を形成してもよい。あるいは、フロート材10とフロート外周板11との間に衝撃を吸収するための層や、フロート材10の表面を保護するための層等の介在層を設けてもよい。さらに、浮力を向上させるためにフロート材10とは別の浮体を設けてもよい。
(船外機210の接続)
また図6に示すように、フロート外周板11の吊足場固定部12は、柵部21を取り付ける代わりに、船外機210の取り付け先として兼用することもできる。船外機210を取り付けることで、フロート部2を、図1や図13Aに示すボート200の代わりにして曳航することができる。船外機210を取り付けたフロート部2は、曳航用連結部13で連結することによって、他のフロート部2と接続される。このフロート部2の連結には、ロープや鎖、治具等を利用することができる。
(吊足場部4)
図7に吊足場部4の斜視図を示す。吊足場部4は作業員の足場となる足場板20と、足場板20の周囲を覆う柵部21とを備える。この吊足場部4は、フロート部2の上部に固定される。
(足場板20)
図7に示す足場板20は、その上に作業員が乗って作業をするための板状の部材である。軽量なアルミニウム材が好ましいが、強度が十分であれば材質は特定しない。図2に示すように、足場板20はフロート部2の長手方向の長さよりも延伸されており、フロート付き吊足場1同士を連結した際に、足場板20同士を隙間無く配置することができる。足場板20は図7に示すように滑り止め穴29が複数設けられており、さらにこの滑り止め穴29の周囲は盛り上がっている。この滑り止め穴29により、足場板20を軽量化しつつ、さらに作業員が足を滑らすのを防止することができる。
(柵部21)
図7に示す吊足場部4は足場板20の上面の四方を覆うように柵部21を備える。柵部21は作業員の転落防止のための柵である。この柵部21は、上端面及び長手方向の両端面が開放されている。これにより橋梁構造物に架設した際、作業員は上部から体を出して橋梁構造物の裏側の検査をすることができる。また、両端面が開放されているため、足場板部20上を渡って他のフロート付き吊足場へ移動することができる。実施形態1では柵部21に軽量なアルミニウムを用いている。柵部21は軽量な部材が好ましいが、強度が十分であればよく、材質は特に特定しない。
また、柵部21の下端には吊足場部4とフロート部2を接続するための柵固定用締結孔31を備える。図8の分解図に示すように、柵部21とフロート部2はボルト30によって固定される。これにより、フロート部2と吊足場部4とは一体のフロート付き吊足場1として利用することができる。
さらに、図7に示す柵部21の長手方向の両端にはそれぞれ、フロート部2の長手方向の長さより突出するように吊足場連結部22a、22bとを備える。吊足場連結部22aは上半分が下半分より突出しており、吊足場連結部22bは下半分が上半分より突出している。これにより、フロート付き吊足場1を連結する際、吊足場連結部22a及び22bの凹凸を係合することにより、上下に揺れやすい水上でも、揺れる範囲を制限することができ、フロート付き吊足場1の連結を容易とする。また、吊足場連結部22a及び22bは他のフロート付き吊足場1の吊足場連結部22a又は22bと接続するための第一柵接続孔23を端面に、第二柵接続孔24を側面にそれぞれ備える。
さらにまた、柵部21は、橋梁構造物100に吊り下げた際に、フロート付き吊足場1に係る荷重を支えるために、斜材28により補強されている。斜材28は、柵部21の長手方向の中心上部から、両端下部へ向けて斜め向きに設けられる補強材である。斜材28により柵部21は、フロート付き吊足場1を吊り下げた際に柵部21の垂直方向に加わる力に対する耐久力が向上している。
以上の柵部21は、フロート付き吊足場1を連結して吊足場を形成する際に、吊足場の両端にある柵部21の開放された端面に、紐状体や棒状体等を配設し、端面から作業員が落下しないようにするのが好ましい。
(ワイヤ接続部25)
柵部21は長手方向の両端付近にそれぞれワイヤ接続部25を備える。フロート付き吊足場1を橋梁構造物100に吊り下げる際には、図9に示すように第一ワイヤ26の一端がワイヤ接続部25に接続され、第一ワイヤ26の他端は、橋梁構造物100上に設置された引き上げ用の第一動力部50から伸びる第一動力側ワイヤ53の先端に設けられた第一フック51に接続される。
第一動力部50には例えば電動ウインチを用いることができる。この第一動力部50によって引き上げることにより、吊足場の高さを自在に操作することができる。また、この第一動力部50は、動力の駆動・停止を指示するための制御装置52を備える。この制御装置は有線式のコンソールや、無線式のリモコンなど、電気的に信号を発信する装置を利用することができる。この制御装置52は、第一動力部50につき一つずつ設けてもよいが、一つの制御装置52で複数の第一動力部50をリンクさせて動作させることが好ましい。それにより、吊足場の両端に接続された第一動力部50の動作を同期させ、安全に吊足場を引き上げることができる。
本実施形態においては第一動力部50を橋梁構造物100に設置しているが、例えば、第一動力部50をフロート部2や吊足場部4に直接取り付けて、第一フック51側を橋梁構造物100の一部に固定してもよい。
また、フロート付き吊足場1の連結数が少なく、総重量が十分に軽量である場合は、第一動力部50を設置せず、橋梁構造物100上の作業員や吊足場上の作業員が第一ワイヤ26を引き上げる工具により吊足場を手動で引き上げてもよい。
(実施形態1に係る足場の架設方法)
以上のフロート付き吊足場部1吊足場として架設する方法を、図10のフローチャートに示す工程順に沿って説明する。図11及び図12は連結工程を示す図である。また、図13A〜Cはそれぞれ水上移動工程から引き上げ工程までを示す正面図であり、図14A〜Cはそれぞれ図13A〜Cを側面から見た図である。さらに図15A〜Dは移動工程を示す図である。
吊足場の架設方法は、フロート付き吊足場1を準備する工程であるステップS101と、フロート付き吊足場1を連結する工程であるステップS102と、フロート付き吊足場1を水上に浮かべて橋梁構造物100の下方へ移動する工程であるステップS103と、橋梁構造物100と吊足場をワイヤで接続する工程であるステップS104と、第一ワイヤ26を引き上げて橋梁構造物100に引き上げる工程であるステップS105と、吊り下げられた状態で橋梁構造物100の長手方向へ移動する工程であるステップS106とを含む。
(準備工程)
まずステップS101において、図8に示すように、フロート部2に吊足場部4を固定し、架設したい橋梁の幅員に合わせて、フロート付き吊足場1を一つから複数準備する。
(連結工程)
次にステップS102の連結工程について説明する。この連結工程では、ステップS101で準備されたフロート付き吊足場1を連結して、吊足場を形成する。
図11〜図12Bは、フロート付き吊足場1の柵部21の吊足場連結部22aと、別のフロート付き吊足場の柵部21’の吊足場連結部22b’との連結方法を示す図である。図11は、図7のXI−XI線における柵部21の垂直断面図における連結方法を示している。また、図12Aは、足場連結部22aと22b’の連結方法を示す平面図であり、図12Bは、図12Aを側面から見た図である。なお、柵部21’及び吊足場連結部22a’及び22b’は、フロート付き吊足場1の柵部21と同様の形態であるため、詳細な説明は省略する。
まず、図11に示すように、吊足場連結部22a及び22b’の凹凸部を噛み合わせ、それぞれの端面に設けられた第一柵接続孔23にボルト40を通して接続する。
次に、図12A及び図12Bに示すように、吊足場連結部22a及び22b’の上下に設けられた第二柵接続孔24を接続用板42で両面側から挟み、ボルト41により接続する。
以上の方法で、実施形態1のフロート付き吊足場1を連結することができる。連結する数は、橋梁構造物の幅に合わせた数を連結することができ、吊足場の全長を調整することで、様々な広さの橋梁構造物に対応することが可能である。
この連結工程は、以下の水上移動工程と前後してもよい。例えば、接岸中に必要な数の半分まで連結した吊足場を二つ用意し、橋梁構造物の下まで移動したあと、二つの吊足場を連結するといったことも可能である。
なお、橋梁構造物の幅に対してフロート付き吊足場1の長さが十分である場合、この連結工程は省略してもよい。
(水上移動工程)
次に、ステップS103の水上移動工程について説明する。以上のようにフロート付き吊足場1を連結すると、ステップS102の水上移動工程を行う。図13Aは水上移動工程を示す正面図であり、図14Aは図13Aの側面図である。水上移動工程では、図13A及び図14Aに示すようにフロート付き吊足場1を水上に浮かべて、検査対象となる橋梁構造物100の下方まで移動させる。移動するには、フロート部2に設けられた曳航用連結部13にボート200を接続して曳航することができる。また、図6に示すように、ボート200の代わりに、フロート部2に船外機210を取り付けて自走させてもよい。その他にも、オールを用いる等人力で移動してもよい。なお本明細書において曳航とは、水上を引いて移動する場合に限らず、押して移動する場合も含めて使用する。
(ワイヤ接続工程)
さらに、ステップS104のワイヤ接続工程について説明する。以上のようにして所定の位置まで移動すると、次にステップS104のワイヤ接続工程を行う。ワイヤ接続工程では、図13B及び図14Bに示すように、橋梁構造物100の両側面の第一橋梁側面位置101aにそれぞれ第一動力部50を設置し、吊足場の両端フロート付き吊足場1のワイヤ接続部25に第一ワイヤ26を取り付け、第一動力部50から伸びる第一動力側ワイヤ53の先端に取り付けられた第一フック51により、第一動力部50と第一ワイヤ26とを接続する。ここで、第一橋梁側面位置101aとは、橋梁構造物の側面であって、吊足場を最初に吊り下げて、検査を開始する位置を示す。第一動力部50を設置する先は、例えば欄干104などの橋梁構造物100の一部を利用することができる。
(引き上げ工程)
さらにまた、ステップS105引き上げ工程について説明する。引き上げ工程では、ステップS104で橋梁構造物100と接続した吊足場を、図13C及び図14Cに示すように、第一動力部50を駆動して吊足場を水面から橋梁裏面に向かって引き上げることにより、吊足場を橋梁構造物100に吊り下げることができる。この際、フロート付き吊足場1の柵部21の上端が、橋梁構造物100の橋桁102に接するまで引き上げることが好ましい。柵部21と橋桁102とを接触させることでフロート付き吊足場1が安定し、風や作業中の振動による吊足場の揺れを抑えることができる。また、引き上げ工程の際、第一動力部50を操作可能な制御装置52は、吊足場上から操作可能になるよう設けられることが好ましい。吊足場から第一動力部50を操作可能とすることで、フロート付き吊足場1の上昇移動中に作業員が吊足場と橋桁102の相対的な位置を逐次確認することができ、吊足場を架設位置や作業内容に応じた適切な高さに調整することが容易になる。
ただし、吊足場の総重量が十分に軽い場合、動力を利用せず手動や工具を用いて人力で吊足場を引き上げてもよい。
(橋梁下移動工程)
さらにまた、ステップS105で吊り下げられた吊足場を橋梁構造物の長さ方向への移動するステップS106についても説明する。図15A〜Dはそれぞれ吊足場の移動方法の一状態を側面から見た図である。図15A〜Dにおいて、吊足場の進行方向は右側とする。以下の移動方法には、第一動力部50及び第一ワイヤ26に加えて、第二動力部50’及び第二ワイヤ26’を用いる。
まず、ステップS105の引き上げ工程により、図15Aに示すように、吊足場は第一橋梁側面位置101aにある欄干104に設置した第一動力部50に接続される。次に、第一橋梁側面位置101aからみて移動したい方向にある第二橋梁側面位置101bの欄干104に第二動力部50’を設置し、第二ワイヤ26’をワイヤ接続部25と、第二動力部50’の第二動力側ワイヤ53’の先端に備えられた第二フック51’に接続する。
次に、図15Bに示すように、第一動力部50により第一動力側ワイヤ53を弛めると同時に、第二動力部50’により第二動力側ワイヤ53’を引き込むことにより、吊足場は進行方向へ向けて移動する。この第一動力部50及び第二動力部50’は、制御装置52によりリンクして駆動できることが好ましい。吊足場を水平な状態を維持したまま移動することができるからである。
第一動力部53により第一動力側ワイヤ53を弛め、第二動力側ワイヤ53’を引き続けると、図15Cに示すように、吊足場場は第二橋梁側面位置101bまで移動する。吊足場が第二橋梁側面位置101bの下まで移動したら、第一動力部50及び第二動力部50’を停止させる。
吊足場が第二橋梁側面位置101bの下まで移動したら、図15Dに示すように第一動力部50を第一橋梁側面位置101aの欄干104から取り外し、第二橋梁側面位置から見て移動したい方向にある第三橋梁側面位置101cに第一動力部50を取り付ける。
以下、第三橋梁側面位置101c、第四橋梁側面位置(図示無し)、第五橋梁側面位置(図示無し)…と同様の方法を繰り返すことで、橋梁構造物100の長さ方向へフロート付き吊足場1を移動し、その都度の位置で橋梁構造物100の裏側を順次点検、検査していくことができる。橋脚103がある場合、橋脚103まで辿り着くと、吊足場を水上へ降ろして第一ワイヤ26、第二ワイヤ26’から第一フック51,第二フック51’をそれぞれ取り外し、橋脚103の反対側へ移動し、次の橋梁側面位置に吊り下げ直すことで、連結した吊足場を分離することなく続けて検査をしていくことができる。
ただ、以上の架設方法は、吊足場上に作業員が吊足場上から第一動力部50及び第二動力部50’を操作するものとしたが、橋梁上から第一動力部50及び第二動力部50’を操作可能とし、吊足場上に作業員が乗っていない状態で引き上げたり、橋梁下を移動してもよい。例えば、吊足場上と橋梁上との間に梯子やロープ等を設けることで、作業員は架設された吊足場に自由に行き来することができる。作業員が梯子等を利用して橋梁上へ上った後、橋梁上から第一動力部50や第二動力部50’を操作することで安全に、吊足場を水上へ戻したり、橋梁構造物の裏側を移動することができる。
また、以上の架設方法は一例であり、他の工程によって吊足場を架設して橋梁構造物の裏側の検査を行ってもよい。例えば、連結工程にて2つ以上の吊足場を用意して、橋梁上の作業員が第一橋梁側面位置101aに一つ目の吊足場を固定し、吊足場上の作業員が橋梁構造物の裏側を検査する。次に、第一橋梁側面位置101aで吊足場上の作業員が検査を行っている間に、橋梁上の作業員は第二橋梁側面位置101bに二つ目の吊足場を固定する。第一橋梁側面位置101aでの検査が終わり次第、一つ目の吊足場上の作業員は、一つ目の吊足場に設けられた梯子等により橋梁上へ移動し、二つ目の吊足場に設けられた梯子等により二つ目の吊足場へ移動する。第二橋梁側面位置101bで吊足場上の作業員が橋梁構造物の裏側を検査している間に、橋梁上の作業員は一つ目の吊足場を水上へ降ろし、第三橋梁側面位置101cに移動させ、吊足場を固定する。以下、同様に第三橋梁側面位置101c、第四橋梁側面位置、第五橋梁側面位置…の検査をしていくことができる。この架設方法では、吊足場上の作業員が検査を行っている間に、橋梁上の作業員が次の橋梁側面位置に吊足場を架設することができるため、作業時間を短縮することができる。
以上の吊足場の架設方法とフロート付き吊足場1によれば、桟橋や浅瀬でフロート付き吊足場1を連結し、検査対象の橋梁構造物の下まで移動し、第一ワイヤ26及び第一動力部50で吊り下げることで、簡単に橋梁構造物の下に吊足場を架設することができる。さらに交通や船舶の運航の妨げになる懸念が解消される。加えて、架設方法も簡便であり、また、撤去も同様に容易であるため、作業期間を大幅に削減することができる。そのため、組み上げ前の足場や骨組みを橋梁構造物上の道路や、水上の台船に待機させる必要がなく、橋梁構造物上や水上の運行を長時間通行止めすることなく、吊足場を架設可能である。
また、吊り下げ時及び移動時においても、少なくとも吊足場上で第一動力部50と第二動力部50’を操作する要員と、橋上で橋梁側面位置に第一動力部50と第二動力部50’とを取り付ける要員がいれば、吊足場を移動させることができる。このように、最低限の人員で橋梁構造物の検査が可能となるため、人的コストを抑えることができる。
さらに、発泡合成樹脂からなるフロート材10と、アルミニウム等の軽量な部材で形成されたフロート外周板11、吊足場部4からなるため、全体として軽量であり、少人数で容易に運搬することができる。
さらにまた、非使用時には連結を解除し、フロート部2と吊足場部4とを分解すれば保管時や運搬時に嵩張ることがないため、適宜必要な場所に陸路で運搬して組み立てることもできる。
以上の吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場1は、水上の橋梁構造物の検査に最適であるが、陸上の橋梁構造物や高架道路の検査に用いてもよい。その場合、水上の移動に代えて、車両や台車等を用いてフロート付き吊足場1を検査対象の下まで運搬した後に連結し、水上の橋梁構造物と同様の工程で吊り下げることにより、検査を行うことができる。
(実施形態2)
以上の実施例形態1では、第一ワイヤ26でフロート付き吊足場1を固定する例を説明した。ただ本発明はこの構成に限られず、橋梁構造物の一部にフロート付き吊足場部1を、橋桁固定具60を用いて固定することもできる。このような例を実施形態2として、以下図16〜図17Bに基づいて説明する。
(実施形態2の架設方法)
本実施形態2の架設方法は、橋桁にH鋼や山形鋼、溝形鋼等のフランジ部分を有する部材を用いた橋梁構造物に好適に利用可能な架設方法である。実施形態2の架設方法は、吊り上げ工程の後に、さらに、吊足場の柵部21と橋梁構造物100の橋桁102とを固定するための橋桁固定具60を接続する工程を含む。図17Aは橋梁工程具60により、吊足場を橋桁102に固定した状態を示す図であり、図17Bは図17Aの要部拡大図である。橋桁固定具60により、吊足場の柵部21と、橋桁102のフランジ部分とが挟まれた状態で固定される。この工程では、橋桁固定具60を、吊足場の柵部の少なくとも一カ所に固定する。好ましくは、橋梁構造物100の幅方向の中央付近に位置するフロート付き吊足場1の柵部21に固定する。ただし、より安定させるため、必要に応じて複数の橋桁固定具60を中央以外の柵部21にも固定してもよい。
図16に橋桁固定具60を示す。橋桁固定具60は、橋桁102に掛けるための爪部61と、柵部21を押圧して柵部21と橋桁102とを固定する押圧用ボルト62とを備える。爪部62により柵部21と橋桁102とを挟んだ状態で、押圧用ボルト62を締めることで、柵部21と橋桁102とを押圧して固定する。ただし、ここで橋桁固定具60の具体的な形状を示したが、吊足場と橋桁102との固定方法は特に特定しない。橋桁102のフランジとフロート付き吊足場1の一部とを固定できるならば、その他の治具を固定具として用いることもできる。
以上の架設方法によれば、実施形態1の架設方法と同様の利点に加えて、橋桁固定具60により、吊足場と橋梁構造物100とが機械的に接続されているため、より強固な固定が得られ、吊足場への風や作業の振動への耐性を一層高めることができる。以上の実施形態2の架設方法は、橋桁にフランジ部分を有する橋梁構造物の検査に好適に利用できる。
(実施形態3)
一方で、橋梁構造体の下面側にH鋼等が設けられていない場合でも、橋桁に括れを有する場合には、これを利用した固定構造を実現することができる。このような例を実施形態3として、以下図18に基づいて説明する。
(実施形態3の架設方法)
本実施形態3の架設方法は、吊足場を吊り下げる工程の後に、さらに、吊足場の柵部21と橋梁構造物100とを固定するための橋桁固定具65を接続する工程を含む。図18に、橋桁固定具65により橋梁構造物100と吊足場とを固定している状態を示す。ただし図18は、橋桁固定具65の形態を分かりやすく説明するために、橋桁固定具65の両端にある橋桁102のうち一方の図示を省略している。
橋桁固定具65は、支持板66の両端に伸縮部67を備える。さらに、柵保持部68を備え、柵保持部68と支持板66は高さ調整ねじ69により接続される。まず、橋桁固定具65を橋桁102間に配置し、両側に設けられた伸縮部67の長さを調整することで、橋桁固定具65を橋桁102間に横架した状態で固定する。次に、高さ調整ねじ69により、柵保持部68を柵部21の高さに調整し、柵保持部68により柵部21を保持することで、橋梁構造物100と吊足場とを機械的に固定することができる。この工程では、橋桁固定具65を、吊り下げられた吊足場の柵部21の少なくとも一カ所に固定する。好ましくは、橋梁構造物100の幅方向の中央付近に位置するフロート付き吊足場1の柵部21に固定する。ただし、より安定させるため、必要に応じて橋桁固定具65を複数配置して、中央以外の柵部21にも固定してもよい。
以上、実施形態3の架設方法及びその架設方法に用いられる橋桁固定具65の説明をしたが、吊足場と橋桁102を固定する橋桁固定具の形態は以上のものに特定しない。以上の橋桁固定具65は橋桁102と吊足場の連結手段を具体的に説明をするための一例である。少なくとも、橋桁102間に橋桁固定具65を横架するための部材と、橋桁固定具65とフロート付き吊足場1の一部とを接続する部材があれば、実施形態3の架設方法を実現することができる。
以上の架設方法によれば、実施形態1の架設方法と同様の利点に加えて、橋桁固定具65により吊足場と橋梁構造物100とが機械的に接続されているため、より強固な固定が得られ、吊足場への風や作業の振動への耐性を一層高めることができる。以上の実施形態3の架設方法は、橋桁に括れを有する橋梁構造物の検査に好適に利用することができる。
以上説明したフロート付き吊足場部1は、吊足場部4の下面にフロート部2を固定した構造としている。ただ本発明は、フロート付き吊足場部の構造をこれに限定する物でなく、フロート部を吊足場部から着脱式としてもよい。このようにすることで、水上を移動させる際は、フロート部でフロート付き吊足場部を浮かせて、所望の位置まで移動させ、水面からフロート付き吊足場を橋梁構造体の下面に向かって引き上げる際には、フロート部を吊足場部から外して引き上げることで、吊足場部を軽量とし、引き上げや移動の負荷を低減できる。また、この構成においてはフロート部を足場部と固定する必要は必ずしもなく、例えばフロート部として、天面を平板状としたタグボートのような移動体を利用し、この移動体の上面に吊足場部を載置して移動させ、所望の位置で橋梁構造物の底面側に向かって吊足場部のみを引き上げる構成とすることもできる。本発明においてフロート部は、水面上を曳航する際に吊足場部がずれ落ちないように保持できれば足り、このようなフロート部上への吊足場部の載置も、本発明でいうフロート部と吊足場部の固定に含む。
本発明のフロート付き吊足場及び吊足場の架設方法によれば、水上に建築された橋梁の検査用の足場及びその架設方法として最適である。また、水上の橋梁構造物のみならず、陸上の高架道路や橋梁構造物の検査用の足場として利用することもできる。
1…フロート付き吊足場
2…フロート部
2’…フロート部
4…吊足場部
10…フロート材
10’…フロート材
11…フロート外周板
12…吊足場固定部
13…曳航用連結部
20…足場板
21…柵部
21’…柵部
22a…吊足場連結部
22a’…吊足場連結部
22b…吊足場連結部
22b’…吊足場連結部
23…第一柵接続孔
24…第二柵接続孔
25…ワイヤ接続部
26…第一ワイヤ
26’…第二ワイヤ
28…斜材
29…滑り止め穴
30…ボルト
31…柵固定用締結孔
40…ボルト
41…ボルト
42…接続用板
50…第一動力部
50’…第二動力部
51…第一フック
51’…第二フック
52…制御装置
53…第一動力側ワイヤ
53’…第二動力側ワイヤ
60…橋桁固定具
61…爪部
62…押圧用ボルト
65…橋桁固定具
66…支持板
67…伸縮部
68…柵保持部
69…高さ調整ねじ
100…橋梁構造物
101a…第一橋梁側面位置
101b…第二橋梁側面位置
101c…第三橋梁側面位置
102…橋桁
103…橋脚
104…欄干
200…ボート
210…船外機
400…橋梁点検車
500…足場
本発明は橋梁構造物の検査用の吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場に関する。
橋梁やトンネルといった構造物は、設営後に適切に維持、修繕する必要がある。すなわち経年劣化による事故を未然に回避するため、道路管理者が構造物を定期的に点検することが求められる。特に平成24年12月2日に発生した中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故が発生したこと等を背景に、国土交通省は平成26年7月1日より、トンネルや2m以上の道路橋などを、5年に1回の頻度で点検することを義務付けている。その点検方法は、従来の遠望目視でなく、近接目視が基本とされている。
しかしながら、近接目視を橋の裏側で行うには、図20に示すように、橋梁構造物100の裏面側に作業者が入れるような足場500を組む必要があり、極めて時間とコストがかかるという問題がある。全国で2m以上の橋は約70万橋存在するといわれており、そのうち市町村に管理されているものは約48万橋存在しているとされ、道路管理者である地方公共団体、とりわけ町村には、点検のコストは大きな負担となることが懸念される。
一方で、図19に示すように専用の橋梁点検車400を用いて橋梁構造物100の側面からアームをせり出し、橋の裏側に回すことで、足場を組まずに裏面側の目視検査を可能とする方法も考えられる。しかしながらこの方法では、橋梁点検車400を道路に配置する必要があり、点検作業中は少なくとも一車線を閉鎖することとなって、交通の妨げとなる。これを交通渋滞を防ぐために、夜間に点検作業を行うことも考えられるが、この場合は目視の作業性を低下させ、点検の信頼性に影響を与えることが懸念される。さらに、橋の幅が広い、例えば四車線といった大型の橋では、裏面の中央側まで延びるような大型の橋梁点検車を用意する必要があり、このような橋梁点検車を安定的に固定するために、橋の上でさらに多くの面積を専有することとなる結果、交通への妨げも顕著となる。一般に車線数の多い橋は交通量も多いため、その移動や物流等の妨げによる経済的な影響も無視できなくなる。また、広幅員の橋梁構造物であれば足場が橋の中央部まで届かなくなり、近接目視による検査が不可能となる場合も想定される。
以上のように、従来の検査方法は交通規制が必要であったり、工数が多く人的コストが高くなる等の問題があり、交通の妨害にならない簡便かつ安価な検査方法は確立されていなかった。特に検査対象となる橋梁構造物の多い地域ではコストの高騰が懸念され、予算の捻出が社会的な問題となり、簡便で安価な検査方法が要求されている。
これに対して、例えば特許文献1、2には水上移動が可能な、水上構築物のメンテナンスに用いることのできる足場について記載されている。しかしながら、例えば特許文献1の足場は、足場の高さが予め定められており、足場より極端に高低差のある橋梁構造物の検査には用いることができない。一方、特許文献2の足場は、高さが可変であるものの、スパッドカンを水底にめり込ませる必要があり、例えば水底がコンクリートや岩盤であったり、あるいは水深が想定外に深い場合使用できないという問題がある。さらにいずれの特許文献も、検査中は水面上を占有する必要があり、船の往来に制限がかかるといった問題がある。さらにまた、その大きさも予め定められているため、河川や橋桁の形態によっては使用することができず、さらには陸上での運搬にも苦心するものであった。
特開平10−25731号公報 特開2000−320131号公報 特開2001−248298号公報
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、容易に利用可能な橋梁構造物における吊足場の架設方法と、その架設に用いるフロート付き吊足場を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するために、本発明の第1の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、吊足場部の下側にフロート部を固定したフロート付き吊足場を、架設の対象となる橋梁構造物の幅員に合わせて一つから複数準備する工程と、フロート付き吊足場を架設の対象となる橋梁構築物の下方まで、水上に浮かべて移動させる工程と、前記フロート付き吊足場を、その長手方向が橋梁構造物の幅員と合致する姿勢となるよう、水面から橋梁裏面に向かって引き上げ、橋梁構造物の両側の側面の第一橋梁側面位置にフロート付き吊足場を第一ワイヤで接続する工程と、第一ワイヤを引き上げて、フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊す工程とを含む。
上記架設方法によれば、簡便な方法で、対象となる橋梁構造物の下方に配置することができる。特に、従来と異なり組み上げ前の足場や骨組みを橋梁構造物上の道路や水上の台船に待機させる必要がないため、橋梁構造物上や水上を長時間通行止めせずに吊足場を架設することができる。さらに、短時間で容易に吊足場を架設することができるため、人的コストを削減することができる。また、フロート付き吊足場を連結することにより、吊足場の全長を架設したい橋梁構造物の幅にあわせて、容易に調整することができる。
また、本発明の第2の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊り下げた後、フロート付き吊足場に備えられた橋桁固定具により、フロート付き吊足場を橋梁構造物の一部に固定する工程を含む。
上記架設方法によれば、フロート付き吊足場を橋桁の一部に機械的に固定できるため、風や作業中の振動による揺れを抑え、足場を安定させて安全に作業を行うことができる。
さらに、本発明の第3の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、さらに前記フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊り下げた後、前記フロート付き吊足場を、橋梁構造物の長手方向に移動させる工程を含む。
さらにまた、本発明の第4の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、前記フロート付き吊足場を、橋梁構造物の長手方向に移動させる工程が、橋梁構造物の両側の側面であって、第一橋梁側面位置からみてフロート付き吊足場の移動方向に離間した第二橋梁側面位置に第二ワイヤでフロート付き吊足場を接続する工程と、第一ワイヤを弛める一方、第二ワイヤを引き上げ、フロート付き吊足場を第一橋梁側面位置から第二橋梁側面位置へ向けて移動させる工程を含む。
上記架設方法によれば、吊り下げたフロート付き吊足場を簡単に橋梁構造物の全長に渡って移動させることができる。また、移動の際に足場を水上に降ろさず、橋梁構造物に吊り下げたまま移動させることができるため、作業数を削減することができる。
さらにまた、本発明の第5の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、第二ワイヤでフロート付き吊足場と橋梁構造物とを接続する際に、第二ワイヤの一端に、引き上げ用の第二動力部を接続する工程を含む。
上記架設方法によれば、第二動力部により第二ワイヤを簡単に引き上げることができ、第二橋梁側面位置へ移動する工程を、簡便かつ短時間で行うことができる。
さらにまた、本発明の第6の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、第一ワイヤでフロート付き吊足場と橋梁構造物とを接続する際に、第一ワイヤの一端に、引き上げ用の第一動力部を接続する工程を含む。
上記架設方法によれば、第一動力部により第一ワイヤを簡単に引き上げることができ、フロート付吊足場を吊り下げたり、第二橋梁側面位置へ向けて移動させる工程を、簡便かつ短時間で行うことができる。
さらにまた、本発明の第7のフロート付き吊足場は、橋梁構造物の裏側に、その長手方向が橋梁構造物の幅員と合致する姿勢で設けるための足場であって、浮力を有するフロート部と、フロート部の上面に設けられ、作業員が移動可能な平板状の足場板部と、足場板部の周囲を覆う柵部とを有する吊足場部と、フロート部及び/又は吊足場部の両端に設けられたワイヤ接続部とを備える。
上記構成によれば、フロート付き吊足場を水上から橋梁構造物の下部へ移動させ、橋梁構造物とワイヤ接続部とをワイヤで接続することで、簡単に橋梁構造物に吊足場を架設することができる。それにより、組み上げ前の足場や骨組みを橋梁構造物上の道路や、水上の台船に待機させる必要が無いため、橋梁構造物や水上を長時間通行止めにすることなく、吊足場を架設することができる。さらに、短時間で容易に吊足場を架設することができるため、人的コストを削減することができる。
さらにまた、本発明の第8のフロート付き吊足場は、フロート部は、浮力を有するフロート材と、フロート材の周囲を覆うフロート外周板とを備え、フロート材が合成発泡樹脂製である。
上記構成によれば、軽量なフロート材を安価に造ることができる。
さらにまた、本発明の第9のフロート付き吊足場は、フロート外周板及び/又は吊足場部がアルミニウム製である。
上記構成によれば、アルミニウム製であるため軽量であり、少人数でも運搬することができる。
さらにまた、本発明の第10のフロート付き吊足場は、ワイヤ接続部と橋梁構造物とを接続するワイヤの一端に、ワイヤを引く動力部を備える。
上記構成によれば、動力部によりフロート付き吊足場を自由に昇降することができる。
さらにまた、本発明の第11のフロート付き吊足場は、吊足場部上から操作可能な、動力部を電気的に制御するための制御装置を備える。
上記構成によれば、作業員の目視を伴いフロート付き吊足場を昇降ができるため、架設位置や作業内容に応じた適切な高さに調整することが容易となる。
さらにまた、本発明の第12のフロート付き吊足場は、柵部に、別のフロート付き吊足場と連結可能な吊足場連結部を備える。
上記構成によれば、フロート付き吊足場を連結してフロート付き吊足場の全長を橋梁構造物の幅員に合わせて調整することができる。それにより、様々な幅員の橋梁構造物に本発明のフロート付き吊足場を利用することができる。
さらにまた、本発明の第13のフロート付き吊足場は、水上に浮かせた状態でフロート付き吊足場を曳航させるための曳航用連結部を備える。
上記構成によれば、船外機を備えたボート等を連結して、フロート付き吊足場を検査対象の橋梁の下まで曳航することができる。
さらにまた、本発明の第14のフロート付き吊足場は、フロート付き吊足場を橋桁に固定するための橋桁固定具を備える。
上記構成によれば、橋桁固定具によりフロート付き吊足場を橋桁に機械的に固定することで、風や作業中の振動による揺れを抑え、足場を安定させて安全に作業を行うことができる。
さらにまた、本発明の第15のフロート付き吊足場は、吊足場部の下面に着脱式に固定されている。
上記構成によれば、水面からフロート付き吊足場を橋梁構造体の下面に向かって引き上げる際、フロート部を外して引き上げることで軽量化を図ることが可能となる。
図1は本発明の実施形態1に係る吊足場を示す正面図である。 図2は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場を示す斜視図である。 図3は本発明の実施形態1に係るフロート部を示す斜視図である。 図4は図3のIV−IV線における断面図である。 図5は本発明の実施形態1に係るフロート部の変形例である。 図6は本発明の実施形態1に係るフロート部に船外機を取り付けた状態を示す斜視図である。 図7は本発明の実施形態1に係る吊足場部を示す斜視図である。 図8は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場の分解図である。 図9は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場にワイヤ及びウィンチを接続している状態を示す斜視図である。 図10は本発明の実施形態1に係る架設方法を示すフローチャートである。 図11は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場の接続方法を示す断面図である。 図12Aは実施形態1に係るフロート付き吊足場の接続方法を示す平面図であり、図12Bは図12Aを正面から見た図である。 図13Aは実施形態1に係る水上移動工程を示す図である。 図13Bは実施形態1に係るワイヤ接続工程を示す図である。 図13Cは実施形態1に係る引き上げ工程を示す図である。 図14Aは図13Aを側面から見た図である。 図14Bは図13Bを側面から見た図である。 図14Cは図13Cを側面から見た図である。 図15Aは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図15Bは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図15Cは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図15Dは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図16は実施形態2に係る橋桁固定具を示す斜視図である。 図17Aは実施形態2に係るフロート付き吊足場を橋桁に固定した状態を示す正面図であり、図17Bは図17Aの要部拡大図である。 図18は実施形態3に係るフロート付き吊足場を橋桁に固定した状態を示す斜視図である。 図19は従来の橋梁点検車による橋梁構造物の検査方法を示す図である。 図20は従来の吊足場による橋梁構造物の検査方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部品を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場は、橋梁構造物の裏側を検査するために用いられるものである。すなわち、橋梁構造物の裏側を作業者が目視で検査できるように、吊足場を橋梁構造物の下方に、簡易な方法で架設可能としたものである。実施形態1に係る吊足場の架設方法は、図1に示すように、水上をボート200等により橋梁構造物100の下方へ曳航して、第一ワイヤ26を接続して引き上げることにより、橋梁構造物100の裏側の近接目視検査を行うことができる。この吊足場は、以下に説明するフロート付き吊足場1を一つから複数連結してなる。なお、図1及び図13A〜図15Dに図示される橋脚103は橋梁構造物100の一部である。図1及び図13A〜Cでは橋梁構造物100の形状を分かりやすく示すために図示している。図1及び図13A〜Cにおいてはフロート付き吊足場1とは同一面上に位置するように見えるが、実際には、図14A〜図15Dに示すように、フロート付き吊足場1とは離間している。
(フロート付き吊足場1)
図2に示すフロート付き吊足場1はフロート部2と、吊足場部4とを備える。このフロート付き吊足場1は、フロート部2により水上に浮かせることができる。さらに、吊足場部4は、橋梁構造物に設置された引き上げ用の第一動力部50の第一動力側ワイヤ53と第一ワイヤ26により接続し、第一動力部50で第一ワイヤ26を引き上げることにより、吊足場として橋梁構造物に吊り下げることができる。さらにこのフロート付き吊足場1は、長手方向に他のフロート付き吊足場1と連結することができ、架設対象となる橋梁構造物の幅員に合わせて、吊足場の全長を調整することができる。
(フロート部2)
図3にフロート部2の斜視図を示す。また、図4は図3のIV−IV線の垂直断面図である。フロート部2は浮力を有するフロート材10と、フロート材10の周囲を覆うフロート外周板11で構成される。
(フロート材10)
フロート材10は少なくともフロート部2や吊足場部4等の構成部材及び作業員の重量が加えられた状態で水上に浮かぶことができる浮力を備えている。実施形態1においては、フロート材10は直方体に形成された発泡合成樹脂を用いている。発泡合成樹脂は、例えば発泡スチロールを用いることができる。フロート材10は、水上に浮かぶことができればよく、材料や形状は特に特定されない。発泡合成樹脂以外にも例えば、内部を中空に処理した金属材や樹脂材等を用いることもできる。また、図5はこのフロート部2の変形例であるフロート部2’を示す図である。フロート部2は、図5の垂直断面図に示すように、複数のフロート材10’を積層したり、横方向に並べて形成されたフロート部2’としてもよい。複数のフロート材10’を用いることにより、フロート材10’の総体積を簡単に大きくし、浮力を向上させることができる。
(フロート外周板11)
図3及び図4に示すように、このフロート材10の周囲をフロート外周板11で覆うことにより、フロート部2が構成される。このフロート外周板11はアルミニウム等の軽量な金属部材からなる。このフロート外周板11は軽量であることが好ましいが、フロート部2が水上に浮かぶ状態を維持できるのであれば、部材は特定されず、鉄等のアルミニウム以外の金属製でもよい。その他にも例えば樹脂製や木製等でもよい。このフロート外周板11は、衝撃や水上の浮遊物等からフロート材10を保護する。また、フロート外周板11は吊足場部4と固定するための吊足場固定部12を備える。さらに、フロート外周板11は、他のフロート部2やボート200と連結可能な曳航用連結部13を備える。さらにまた、このフロート外周板11の各面は外縁部を除いて網状にしていることで、軽量化しつつフロート材10を保護している。フロート外周板11はフロート材10の全面を覆っていることが好ましいが、軽量化のために一部の面のみを覆ってもよい。
また、実施形態1においては、フロート材10及びフロート外周板11によりフロート部2を形成しているが、樹脂板や金属板等の板材を直方体状に形成し、内部を中空にして水上に浮かぶようにして、単一の部材でフロート部2を形成してもよい。あるいは、フロート材10とフロート外周板11との間に衝撃を吸収するための層や、フロート材10の表面を保護するための層等の介在層を設けてもよい。さらに、浮力を向上させるためにフロート材10とは別の浮体を設けてもよい。
(船外機210の接続)
また図6に示すように、フロート外周板11の吊足場固定部12は、柵部21を取り付ける代わりに、船外機210の取り付け先として兼用することもできる。船外機210を取り付けることで、フロート部2を、図1や図13Aに示すボート200の代わりにして曳航することができる。船外機210を取り付けたフロート部2は、曳航用連結部13で連結することによって、他のフロート部2と接続される。このフロート部2の連結には、ロープや鎖、治具等を利用することができる。
(吊足場部4)
図7に吊足場部4の斜視図を示す。吊足場部4は作業員の足場となる足場板20と、足場板20の周囲を覆う柵部21とを備える。この吊足場部4は、フロート部2の上部に固定される。
(足場板20)
図7に示す足場板20は、その上に作業員が乗って作業をするための板状の部材である。軽量なアルミニウム材が好ましいが、強度が十分であれば材質は特定しない。図2に示すように、足場板20はフロート部2の長手方向の長さよりも延伸されており、フロート付き吊足場1同士を連結した際に、足場板20同士を隙間無く配置することができる。足場板20は図7に示すように滑り止め穴29が複数設けられており、さらにこの滑り止め穴29の周囲は盛り上がっている。この滑り止め穴29により、足場板20を軽量化しつつ、さらに作業員が足を滑らすのを防止することができる。
(柵部21)
図7に示す吊足場部4は足場板20の上面の四方を覆うように柵部21を備える。柵部21は作業員の転落防止のための柵である。この柵部21は、上端面及び長手方向の両端面が開放されている。これにより橋梁構造物に架設した際、作業員は上部から体を出して橋梁構造物の裏側の検査をすることができる。また、両端面が開放されているため、足場板部20上を渡って他のフロート付き吊足場へ移動することができる。実施形態1では柵部21に軽量なアルミニウムを用いている。柵部21は軽量な部材が好ましいが、強度が十分であればよく、材質は特に特定しない。
また、柵部21の下端には吊足場部4とフロート部2を接続するための柵固定用締結孔31を備える。図8の分解図に示すように、柵部21とフロート部2はボルト30によって固定される。これにより、フロート部2と吊足場部4とは一体のフロート付き吊足場1として利用することができる。
さらに、図7に示す柵部21の長手方向の両端にはそれぞれ、フロート部2の長手方向の長さより突出するように吊足場連結部22a、22bとを備える。吊足場連結部22aは上半分が下半分より突出しており、吊足場連結部22bは下半分が上半分より突出している。これにより、フロート付き吊足場1を連結する際、吊足場連結部22a及び22bの凹凸を係合することにより、上下に揺れやすい水上でも、揺れる範囲を制限することができ、フロート付き吊足場1の連結を容易とする。また、吊足場連結部22a及び22bは他のフロート付き吊足場1の吊足場連結部22a又は22bと接続するための第一柵接続孔23を端面に、第二柵接続孔24を側面にそれぞれ備える。
さらにまた、柵部21は、橋梁構造物100に吊り下げた際に、フロート付き吊足場1に係る荷重を支えるために、斜材28により補強されている。斜材28は、柵部21の長手方向の中心上部から、両端下部へ向けて斜め向きに設けられる補強材である。斜材28により柵部21は、フロート付き吊足場1を吊り下げた際に柵部21の垂直方向に加わる力に対する耐久力が向上している。
以上の柵部21は、フロート付き吊足場1を連結して吊足場を形成する際に、吊足場の両端にある柵部21の開放された端面に、紐状体や棒状体等を配設し、端面から作業員が落下しないようにするのが好ましい。
(ワイヤ接続部25)
柵部21は長手方向の両端付近にそれぞれワイヤ接続部25を備える。フロート付き吊足場1を橋梁構造物100に吊り下げる際には、図9に示すように第一ワイヤ26の一端がワイヤ接続部25に接続され、第一ワイヤ26の他端は、橋梁構造物100上に設置された引き上げ用の第一動力部50から伸びる第一動力側ワイヤ53の先端に設けられた第一フック51に接続される。
第一動力部50には例えば電動ウインチを用いることができる。この第一動力部50によって引き上げることにより、吊足場の高さを自在に操作することができる。また、この第一動力部50は、動力の駆動・停止を指示するための制御装置52を備える。この制御装置は有線式のコンソールや、無線式のリモコンなど、電気的に信号を発信する装置を利用することができる。この制御装置52は、第一動力部50につき一つずつ設けてもよいが、一つの制御装置52で複数の第一動力部50をリンクさせて動作させることが好ましい。それにより、吊足場の両端に接続された第一動力部50の動作を同期させ、安全に吊足場を引き上げることができる。
本実施形態においては第一動力部50を橋梁構造物100に設置しているが、例えば、第一動力部50をフロート部2や吊足場部4に直接取り付けて、第一フック51側を橋梁構造物100の一部に固定してもよい。
また、フロート付き吊足場1の連結数が少なく、総重量が十分に軽量である場合は、第一動力部50を設置せず、橋梁構造物100上の作業員や吊足場上の作業員が第一ワイヤ26を引き上げる工具により吊足場を手動で引き上げてもよい。
(実施形態1に係る足場の架設方法)
以上のフロート付き吊足場部1吊足場として架設する方法を、図10のフローチャートに示す工程順に沿って説明する。図11及び図12は連結工程を示す図である。また、図13A〜Cはそれぞれ水上移動工程から引き上げ工程までを示す正面図であり、図14A〜Cはそれぞれ図13A〜Cを側面から見た図である。さらに図15A〜Dは移動工程を示す図である。
吊足場の架設方法は、フロート付き吊足場1を準備する工程であるステップS101と、フロート付き吊足場1を連結する工程であるステップS102と、フロート付き吊足場1を水上に浮かべて橋梁構造物100の下方へ移動する工程であるステップS103と、橋梁構造物100と吊足場をワイヤで接続する工程であるステップS104と、第一ワイヤ26を引き上げて橋梁構造物100に引き上げる工程であるステップS105と、吊り下げられた状態で橋梁構造物100の長手方向へ移動する工程であるステップS106とを含む。
(準備工程)
まずステップS101において、図8に示すように、フロート部2に吊足場部4を固定し、架設したい橋梁の幅員に合わせて、フロート付き吊足場1を一つから複数準備する。
(連結工程)
次にステップS102の連結工程について説明する。この連結工程では、ステップS101で準備されたフロート付き吊足場1を連結して、吊足場を形成する。
図11〜図12Bは、フロート付き吊足場1の柵部21の吊足場連結部22aと、別のフロート付き吊足場の柵部21’の吊足場連結部22b’との連結方法を示す図である。図11は、図7のXI−XI線における柵部21の垂直断面図における連結方法を示している。また、図12Aは、足場連結部22aと22b’の連結方法を示す平面図であり、図12Bは、図12Aを側面から見た図である。なお、柵部21’及び吊足場連結部22a’及び22b’は、フロート付き吊足場1の柵部21と同様の形態であるため、詳細な説明は省略する。
まず、図11に示すように、吊足場連結部22a及び22b’の凹凸部を噛み合わせ、それぞれの端面に設けられた第一柵接続孔23にボルト40を通して接続する。
次に、図12A及び図12Bに示すように、吊足場連結部22a及び22b’の上下に設けられた第二柵接続孔24を接続用板42で両面側から挟み、ボルト41により接続する。
以上の方法で、実施形態1のフロート付き吊足場1を連結することができる。連結する数は、橋梁構造物の幅に合わせた数を連結することができ、吊足場の全長を調整することで、様々な広さの橋梁構造物に対応することが可能である。
この連結工程は、以下の水上移動工程と前後してもよい。例えば、接岸中に必要な数の半分まで連結した吊足場を二つ用意し、橋梁構造物の下まで移動したあと、二つの吊足場を連結するといったことも可能である。
なお、橋梁構造物の幅に対してフロート付き吊足場1の長さが十分である場合、この連結工程は省略してもよい。
(水上移動工程)
次に、ステップS103の水上移動工程について説明する。以上のようにフロート付き吊足場1を連結すると、ステップS102の水上移動工程を行う。図13Aは水上移動工程を示す正面図であり、図14Aは図13Aの側面図である。水上移動工程では、図13A及び図14Aに示すようにフロート付き吊足場1を水上に浮かべて、検査対象となる橋梁構造物100の下方まで移動させる。移動するには、フロート部2に設けられた曳航用連結部13にボート200を接続して曳航することができる。また、図6に示すように、ボート200の代わりに、フロート部2に船外機210を取り付けて自走させてもよい。その他にも、オールを用いる等人力で移動してもよい。なお本明細書において曳航とは、水上を引いて移動する場合に限らず、押して移動する場合も含めて使用する。
(ワイヤ接続工程)
さらに、ステップS104のワイヤ接続工程について説明する。以上のようにして所定の位置まで移動すると、次にステップS104のワイヤ接続工程を行う。ワイヤ接続工程では、図13B及び図14Bに示すように、橋梁構造物100の両側面の第一橋梁側面位置101aにそれぞれ第一動力部50を設置し、吊足場の両端フロート付き吊足場1のワイヤ接続部25に第一ワイヤ26を取り付け、第一動力部50から伸びる第一動力側ワイヤ53の先端に取り付けられた第一フック51により、第一動力部50と第一ワイヤ26とを接続する。ここで、第一橋梁側面位置101aとは、橋梁構造物の側面であって、吊足場を最初に吊り下げて、検査を開始する位置を示す。第一動力部50を設置する先は、例えば欄干104などの橋梁構造物100の一部を利用することができる。
(引き上げ工程)
さらにまた、ステップS105引き上げ工程について説明する。引き上げ工程では、ステップS104で橋梁構造物100と接続した吊足場を、図13C及び図14Cに示すように、第一動力部50を駆動して吊足場を水面から橋梁裏面に向かって引き上げることにより、吊足場を橋梁構造物100に吊り下げることができる。この際、フロート付き吊足場1の柵部21の上端が、橋梁構造物100の橋桁102に接するまで引き上げることが好ましい。柵部21と橋桁102とを接触させることでフロート付き吊足場1が安定し、風や作業中の振動による吊足場の揺れを抑えることができる。また、引き上げ工程の際、第一動力部50を操作可能な制御装置52は、吊足場上から操作可能になるよう設けられることが好ましい。吊足場から第一動力部50を操作可能とすることで、フロート付き吊足場1の上昇移動中に作業員が吊足場と橋桁102の相対的な位置を逐次確認することができ、吊足場を架設位置や作業内容に応じた適切な高さに調整することが容易になる。
ただし、吊足場の総重量が十分に軽い場合、動力を利用せず手動や工具を用いて人力で吊足場を引き上げてもよい。
(橋梁下移動工程)
さらにまた、ステップS105で吊り下げられた吊足場を橋梁構造物の長さ方向への移動するステップS106についても説明する。図15A〜Dはそれぞれ吊足場の移動方法の一状態を側面から見た図である。図15A〜Dにおいて、吊足場の進行方向は右側とする。以下の移動方法には、第一動力部50及び第一ワイヤ26に加えて、第二動力部50’及び第二ワイヤ26’を用いる。
まず、ステップS105の引き上げ工程により、図15Aに示すように、吊足場は第一橋梁側面位置101aにある欄干104に設置した第一動力部50に接続される。次に、第一橋梁側面位置101aからみて移動したい方向にある第二橋梁側面位置101bの欄干104に第二動力部50’を設置し、第二ワイヤ26’をワイヤ接続部25と、第二動力部50’の第二動力側ワイヤ53’の先端に備えられた第二フック51’に接続する。
次に、図15Bに示すように、第一動力部50により第一動力側ワイヤ53を弛めると同時に、第二動力部50’により第二動力側ワイヤ53’を引き込むことにより、吊足場は進行方向へ向けて移動する。この第一動力部50及び第二動力部50’は、制御装置52によりリンクして駆動できることが好ましい。吊足場を水平な状態を維持したまま移動することができるからである。
第一動力部53により第一動力側ワイヤ53を弛め、第二動力側ワイヤ53’を引き続けると、図15Cに示すように、吊足場場は第二橋梁側面位置101bまで移動する。吊足場が第二橋梁側面位置101bの下まで移動したら、第一動力部50及び第二動力部50’を停止させる。
吊足場が第二橋梁側面位置101bの下まで移動したら、図15Dに示すように第一動力部50を第一橋梁側面位置101aの欄干104から取り外し、第二橋梁側面位置から見て移動したい方向にある第三橋梁側面位置101cに第一動力部50を取り付ける。
以下、第三橋梁側面位置101c、第四橋梁側面位置(図示無し)、第五橋梁側面位置(図示無し)…と同様の方法を繰り返すことで、橋梁構造物100の長さ方向へフロート付き吊足場1を移動し、その都度の位置で橋梁構造物100の裏側を順次点検、検査していくことができる。橋脚103がある場合、橋脚103まで辿り着くと、吊足場を水上へ降ろして第一ワイヤ26、第二ワイヤ26’から第一フック51,第二フック51’をそれぞれ取り外し、橋脚103の反対側へ移動し、次の橋梁側面位置に吊り下げ直すことで、連結した吊足場を分離することなく続けて検査をしていくことができる。
ただ、以上の架設方法は、吊足場上に作業員が吊足場上から第一動力部50及び第二動力部50’を操作するものとしたが、橋梁上から第一動力部50及び第二動力部50’を操作可能とし、吊足場上に作業員が乗っていない状態で引き上げたり、橋梁下を移動してもよい。例えば、吊足場上と橋梁上との間に梯子やロープ等を設けることで、作業員は架設された吊足場に自由に行き来することができる。作業員が梯子等を利用して橋梁上へ上った後、橋梁上から第一動力部50や第二動力部50’を操作することで安全に、吊足場を水上へ戻したり、橋梁構造物の裏側を移動することができる。
また、以上の架設方法は一例であり、他の工程によって吊足場を架設して橋梁構造物の裏側の検査を行ってもよい。例えば、連結工程にて2つ以上の吊足場を用意して、橋梁上の作業員が第一橋梁側面位置101aに一つ目の吊足場を固定し、吊足場上の作業員が橋梁構造物の裏側を検査する。次に、第一橋梁側面位置101aで吊足場上の作業員が検査を行っている間に、橋梁上の作業員は第二橋梁側面位置101bに二つ目の吊足場を固定する。第一橋梁側面位置101aでの検査が終わり次第、一つ目の吊足場上の作業員は、一つ目の吊足場に設けられた梯子等により橋梁上へ移動し、二つ目の吊足場に設けられた梯子等により二つ目の吊足場へ移動する。第二橋梁側面位置101bで吊足場上の作業員が橋梁構造物の裏側を検査している間に、橋梁上の作業員は一つ目の吊足場を水上へ降ろし、第三橋梁側面位置101cに移動させ、吊足場を固定する。以下、同様に第三橋梁側面位置101c、第四橋梁側面位置、第五橋梁側面位置…の検査をしていくことができる。この架設方法では、吊足場上の作業員が検査を行っている間に、橋梁上の作業員が次の橋梁側面位置に吊足場を架設することができるため、作業時間を短縮することができる。
以上の吊足場の架設方法とフロート付き吊足場1によれば、桟橋や浅瀬でフロート付き吊足場1を連結し、検査対象の橋梁構造物の下まで移動し、第一ワイヤ26及び第一動力部50で吊り下げることで、簡単に橋梁構造物の下に吊足場を架設することができる。さらに交通や船舶の運航の妨げになる懸念が解消される。加えて、架設方法も簡便であり、また、撤去も同様に容易であるため、作業期間を大幅に削減することができる。そのため、組み上げ前の足場や骨組みを橋梁構造物上の道路や、水上の台船に待機させる必要がなく、橋梁構造物上や水上の運行を長時間通行止めすることなく、吊足場を架設可能である。
また、吊り下げ時及び移動時においても、少なくとも吊足場上で第一動力部50と第二動力部50’を操作する要員と、橋上で橋梁側面位置に第一動力部50と第二動力部50’とを取り付ける要員がいれば、吊足場を移動させることができる。このように、最低限の人員で橋梁構造物の検査が可能となるため、人的コストを抑えることができる。
さらに、発泡合成樹脂からなるフロート材10と、アルミニウム等の軽量な部材で形成されたフロート外周板11、吊足場部4からなるため、全体として軽量であり、少人数で容易に運搬することができる。
さらにまた、非使用時には連結を解除し、フロート部2と吊足場部4とを分解すれば保管時や運搬時に嵩張ることがないため、適宜必要な場所に陸路で運搬して組み立てることもできる。
以上の吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場1は、水上の橋梁構造物の検査に最適であるが、陸上の橋梁構造物や高架道路の検査に用いてもよい。その場合、水上の移動に代えて、車両や台車等を用いてフロート付き吊足場1を検査対象の下まで運搬した後に連結し、水上の橋梁構造物と同様の工程で吊り下げることにより、検査を行うことができる。
(実施形態2)
以上の実施例形態1では、第一ワイヤ26でフロート付き吊足場1を固定する例を説明した。ただ本発明はこの構成に限られず、橋梁構造物の一部にフロート付き吊足場部1を、橋桁固定具60を用いて固定することもできる。このような例を実施形態2として、以下図16〜図17Bに基づいて説明する。
(実施形態2の架設方法)
本実施形態2の架設方法は、橋桁にH鋼や山形鋼、溝形鋼等のフランジ部分を有する部材を用いた橋梁構造物に好適に利用可能な架設方法である。実施形態2の架設方法は、吊り上げ工程の後に、さらに、吊足場の柵部21と橋梁構造物100の橋桁102とを固定するための橋桁固定具60を接続する工程を含む。図17Aは橋梁工程具60により、吊足場を橋桁102に固定した状態を示す図であり、図17Bは図17Aの要部拡大図である。橋桁固定具60により、吊足場の柵部21と、橋桁102のフランジ部分とが挟まれた状態で固定される。この工程では、橋桁固定具60を、吊足場の柵部の少なくとも一カ所に固定する。好ましくは、橋梁構造物100の幅方向の中央付近に位置するフロート付き吊足場1の柵部21に固定する。ただし、より安定させるため、必要に応じて複数の橋桁固定具60を中央以外の柵部21にも固定してもよい。
図16に橋桁固定具60を示す。橋桁固定具60は、橋桁102に掛けるための爪部61と、柵部21を押圧して柵部21と橋桁102とを固定する押圧用ボルト62とを備える。爪部62により柵部21と橋桁102とを挟んだ状態で、押圧用ボルト62を締めることで、柵部21と橋桁102とを押圧して固定する。ただし、ここで橋桁固定具60の具体的な形状を示したが、吊足場と橋桁102との固定方法は特に特定しない。橋桁102のフランジとフロート付き吊足場1の一部とを固定できるならば、その他の治具を固定具として用いることもできる。
以上の架設方法によれば、実施形態1の架設方法と同様の利点に加えて、橋桁固定具60により、吊足場と橋梁構造物100とが機械的に接続されているため、より強固な固定が得られ、吊足場への風や作業の振動への耐性を一層高めることができる。以上の実施形態2の架設方法は、橋桁にフランジ部分を有する橋梁構造物の検査に好適に利用できる。
(実施形態3)
一方で、橋梁構造体の下面側にH鋼等が設けられていない場合でも、橋桁に括れを有する場合には、これを利用した固定構造を実現することができる。このような例を実施形態3として、以下図18に基づいて説明する。
(実施形態3の架設方法)
本実施形態3の架設方法は、吊足場を吊り下げる工程の後に、さらに、吊足場の柵部21と橋梁構造物100とを固定するための橋桁固定具65を接続する工程を含む。図18に、橋桁固定具65により橋梁構造物100と吊足場とを固定している状態を示す。ただし図18は、橋桁固定具65の形態を分かりやすく説明するために、橋桁固定具65の両端にある橋桁102のうち一方の図示を省略している。
橋桁固定具65は、支持板66の両端に伸縮部67を備える。さらに、柵保持部68を備え、柵保持部68と支持板66は高さ調整ねじ69により接続される。まず、橋桁固定具65を橋桁102間に配置し、両側に設けられた伸縮部67の長さを調整することで、橋桁固定具65を橋桁102間に横架した状態で固定する。次に、高さ調整ねじ69により、柵保持部68を柵部21の高さに調整し、柵保持部68により柵部21を保持することで、橋梁構造物100と吊足場とを機械的に固定することができる。この工程では、橋桁固定具65を、吊り下げられた吊足場の柵部21の少なくとも一カ所に固定する。好ましくは、橋梁構造物100の幅方向の中央付近に位置するフロート付き吊足場1の柵部21に固定する。ただし、より安定させるため、必要に応じて橋桁固定具65を複数配置して、中央以外の柵部21にも固定してもよい。
以上、実施形態3の架設方法及びその架設方法に用いられる橋桁固定具65の説明をしたが、吊足場と橋桁102を固定する橋桁固定具の形態は以上のものに特定しない。以上の橋桁固定具65は橋桁102と吊足場の連結手段を具体的に説明をするための一例である。少なくとも、橋桁102間に橋桁固定具65を横架するための部材と、橋桁固定具65とフロート付き吊足場1の一部とを接続する部材があれば、実施形態3の架設方法を実現することができる。
以上の架設方法によれば、実施形態1の架設方法と同様の利点に加えて、橋桁固定具65により吊足場と橋梁構造物100とが機械的に接続されているため、より強固な固定が得られ、吊足場への風や作業の振動への耐性を一層高めることができる。以上の実施形態3の架設方法は、橋桁に括れを有する橋梁構造物の検査に好適に利用することができる。
以上説明したフロート付き吊足場部1は、吊足場部4の下面にフロート部2を固定した構造としている。ただ本発明は、フロート付き吊足場部の構造をこれに限定する物でなく、フロート部を吊足場部から着脱式としてもよい。このようにすることで、水上を移動させる際は、フロート部でフロート付き吊足場部を浮かせて、所望の位置まで移動させ、水面からフロート付き吊足場を橋梁構造体の下面に向かって引き上げる際には、フロート部を吊足場部から外して引き上げることで、吊足場部を軽量とし、引き上げや移動の負荷を低減できる。また、この構成においてはフロート部を足場部と固定する必要は必ずしもなく、例えばフロート部として、天面を平板状としたタグボートのような移動体を利用し、この移動体の上面に吊足場部を載置して移動させ、所望の位置で橋梁構造物の底面側に向かって吊足場部のみを引き上げる構成とすることもできる。本発明においてフロート部は、水面上を曳航する際に吊足場部がずれ落ちないように保持できれば足り、このようなフロート部上への吊足場部の載置も、本発明でいうフロート部と吊足場部の固定に含む。
本発明のフロート付き吊足場及び橋梁構造物における吊足場の架設方法によれば、水上に建築された橋梁の検査用の足場及びその架設方法として最適である。また、水上の橋梁構造物のみならず、陸上の高架道路や橋梁構造物の検査用の足場として利用することもできる。
1…フロート付き吊足場
2…フロート部
2’…フロート部
4…吊足場部
10…フロート材
10’…フロート材
11…フロート外周板
12…吊足場固定部
13…曳航用連結部
20…足場板
21…柵部
21’…柵部
22a…吊足場連結部
22a’…吊足場連結部
22b…吊足場連結部
22b’…吊足場連結部
23…第一柵接続孔
24…第二柵接続孔
25…ワイヤ接続部
26…第一ワイヤ
26’…第二ワイヤ
28…斜材
29…滑り止め穴
30…ボルト
31…柵固定用締結孔
40…ボルト
41…ボルト
42…接続用板
50…第一動力部
50’…第二動力部
51…第一フック
51’…第二フック
52…制御装置
53…第一動力側ワイヤ
53’…第二動力側ワイヤ
60…橋桁固定具
61…爪部
62…押圧用ボルト
65…橋桁固定具
66…支持板
67…伸縮部
68…柵保持部
69…高さ調整ねじ
100…橋梁構造物
101a…第一橋梁側面位置
101b…第二橋梁側面位置
101c…第三橋梁側面位置
102…橋桁
103…橋脚
104…欄干
200…ボート
210…船外機
400…橋梁点検車
500…足場
本発明は橋梁構造物の検査用の吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場に関する。
橋梁やトンネルといった構造物は、設営後に適切に維持、修繕する必要がある。すなわち経年劣化による事故を未然に回避するため、道路管理者が構造物を定期的に点検することが求められる。特に平成24年12月2日に発生した中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故が発生したこと等を背景に、国土交通省は平成26年7月1日より、トンネルや2m以上の道路橋などを、5年に1回の頻度で点検することを義務付けている。その点検方法は、従来の遠望目視でなく、近接目視が基本とされている。
しかしながら、近接目視を橋の裏側で行うには、図20に示すように、橋梁構造物100の裏面側に作業者が入れるような足場500を組む必要があり、極めて時間とコストがかかるという問題がある。全国で2m以上の橋は約70万橋存在するといわれており、そのうち市町村に管理されているものは約48万橋存在しているとされ、道路管理者である地方公共団体、とりわけ町村には、点検のコストは大きな負担となることが懸念される。
一方で、図19に示すように専用の橋梁点検車400を用いて橋梁構造物100の側面からアームをせり出し、橋の裏側に回すことで、足場を組まずに裏面側の目視検査を可能とする方法も考えられる。しかしながらこの方法では、橋梁点検車400を道路に配置する必要があり、点検作業中は少なくとも一車線を閉鎖することとなって、交通の妨げとなる。これを交通渋滞を防ぐために、夜間に点検作業を行うことも考えられるが、この場合は目視の作業性を低下させ、点検の信頼性に影響を与えることが懸念される。さらに、橋の幅が広い、例えば四車線といった大型の橋では、裏面の中央側まで延びるような大型の橋梁点検車を用意する必要があり、このような橋梁点検車を安定的に固定するために、橋の上でさらに多くの面積を専有することとなる結果、交通への妨げも顕著となる。一般に車線数の多い橋は交通量も多いため、その移動や物流等の妨げによる経済的な影響も無視できなくなる。また、広幅員の橋梁構造物であれば足場が橋の中央部まで届かなくなり、近接目視による検査が不可能となる場合も想定される。
以上のように、従来の検査方法は交通規制が必要であったり、工数が多く人的コストが高くなる等の問題があり、交通の妨害にならない簡便かつ安価な検査方法は確立されていなかった。特に検査対象となる橋梁構造物の多い地域ではコストの高騰が懸念され、予算の捻出が社会的な問題となり、簡便で安価な検査方法が要求されている。
これに対して、例えば特許文献1、2には水上移動が可能な、水上構築物のメンテナンスに用いることのできる足場について記載されている。しかしながら、例えば特許文献1の足場は、足場の高さが予め定められており、足場より極端に高低差のある橋梁構造物の検査には用いることができない。一方、特許文献2の足場は、高さが可変であるものの、スパッドカンを水底にめり込ませる必要があり、例えば水底がコンクリートや岩盤であったり、あるいは水深が想定外に深い場合使用できないという問題がある。さらにいずれの特許文献も、検査中は水面上を占有する必要があり、船の往来に制限がかかるといった問題がある。さらにまた、その大きさも予め定められているため、河川や橋桁の形態によっては使用することができず、さらには陸上での運搬にも苦心するものであった。
特開平10−25731号公報 特開2000−320131号公報 特開2001−248298号公報
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、容易に利用可能な橋梁構造物における吊足場の架設方法と、その架設に用いるフロート付き吊足場を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するために、本発明の第1の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、吊足場部の下側にフロート部を固定したフロート付き吊足場を、架設の対象となる橋梁構造物の幅員に合わせて一つから複数準備する工程と、フロート付き吊足場を架設の対象となる橋梁構築物の下方まで、水上に浮かべて移動させる工程と、前記フロート付き吊足場を、その長手方向が橋梁構造物の幅員と合致する姿勢となるよう、水面から橋梁裏面に向かって引き上げ、橋梁構造物の両側の側面の第一橋梁側面位置にフロート付き吊足場を第一ワイヤで接続する工程と、第一ワイヤを引き上げて、フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊す工程と、前記フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊り下げた後、前記フロート付き吊足場に備えられた橋桁固定具により、前記フロート付き吊足場を橋梁構造物の一部に固定する工程とを含む。
上記架設方法によれば、簡便な方法で、対象となる橋梁構造物の下方に配置することができる。特に、従来と異なり組み上げ前の足場や骨組みを橋梁構造物上の道路や水上の台船に待機させる必要がないため、橋梁構造物上や水上を長時間通行止めせずに吊足場を架設することができる。さらに、短時間で容易に吊足場を架設することができるため、人的コストを削減することができる。また、フロート付き吊足場を連結することにより、吊足場の全長を架設したい橋梁構造物の幅にあわせて、容易に調整することができる。
さらに上記架設方法によれば、フロート付き吊足場を橋桁の一部に機械的に固定できるため、風や作業中の振動による揺れを抑え、足場を安定させて安全に作業を行うことができる。
また、本発明の第の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、さらに前記フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊り下げた後、前記フロート付き吊足場を、橋梁構造物の長手方向に移動させる工程を含む。
さらに本発明の第の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、前記フロート付き吊足場を、橋梁構造物の長手方向に移動させる工程が、橋梁構造物の両側の側面であって、第一橋梁側面位置からみてフロート付き吊足場の移動方向に離間した第二橋梁側面位置に第二ワイヤでフロート付き吊足場を接続する工程と、第一ワイヤを弛める一方、第二ワイヤを引き上げ、フロート付き吊足場を第一橋梁側面位置から第二橋梁側面位置へ向けて移動させる工程を含む。
上記架設方法によれば、吊り下げたフロート付き吊足場を簡単に橋梁構造物の全長に渡って移動させることができる。また、移動の際に足場を水上に降ろさず、橋梁構造物に吊り下げたまま移動させることができるため、作業数を削減することができる。
さらにまた、本発明の第4の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、橋梁構造物における吊足場の架設方法であって、吊足場部の下側にフロート部を固定したフロート付き吊足場を、架設の対象となる橋梁構造物の幅員に合わせて一つから複数準備する工程と、前記フロート付き吊足場を架設の対象となる橋梁構築物の下方まで、水上に浮かべて移動させる工程と、前記フロート付き吊足場を、その長手方向が橋梁構造物の幅員と合致する姿勢となるよう、水面から橋梁裏面に向かって引き上げ、橋梁構造物の両側の側面の第一橋梁側面位置に前記フロート付き吊足場を第一ワイヤで接続する工程と、前記第一ワイヤを引き上げて、前記フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊す工程と、前記フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊り下げた後、前記フロート付き吊足場を、橋梁構造物の長手方向に移動させる工程とを含み、前記フロート付き吊足場を、橋梁構造物の長手方向に移動させる工程が、橋梁構造物の両側の側面であって、前記第一橋梁側面位置からみてフロート付き吊足場の移動方向に離間した第二橋梁側面位置に第二ワイヤでフロート付き吊足場を接続する工程と、前記第一ワイヤを弛める一方、前記第二ワイヤを引き上げ、前記フロート付き吊足場を第一橋梁側面位置から第二橋梁側面位置へ向けて移動させる工程を含む。
上記架設方法によれば、吊り下げたフロート付き吊足場を簡単に橋梁構造物の全長に渡って移動させることができる。また、移動の際に足場を水上に降ろさず、橋梁構造物に吊り下げたまま移動させることができるため、作業数を削減することができる。
さらにまた、本発明の第5の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、第二ワイヤでフロート付き吊足場と橋梁構造物とを接続する際に、第二ワイヤの一端に、引き上げ用の第二動力部を接続する工程を含む。
上記架設方法によれば、第二動力部により第二ワイヤを簡単に引き上げることができ、第二橋梁側面位置へ移動する工程を、簡便かつ短時間で行うことができる。
さらにまた、本発明の第6の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、第一ワイヤでフロート付き吊足場と橋梁構造物とを接続する際に、第一ワイヤの一端に、引き上げ用の第一動力部を接続する工程を含む。
上記架設方法によれば、第一動力部により第一ワイヤを簡単に引き上げることができ、フロート付吊足場を吊り下げたり、第二橋梁側面位置へ向けて移動させる工程を、簡便かつ短時間で行うことができる。
さらにまた、本発明の第7のフロート付き吊足場は、橋梁構造物の裏側に、その長手方向が橋梁構造物の幅員と合致する姿勢で設けるための足場であって、浮力を有するフロート部と、フロート部の上面に設けられ、作業員が移動可能な平板状の足場板部と、足場板部の周囲を覆う柵部とを有する吊足場部と、フロート部及び/又は吊足場部の両端に設けられたワイヤ接続部と、前記柵部に、別のフロート付き吊足場と連結するための吊足場連結部とを備える。
上記構成によれば、フロート付き吊足場を連結してフロート付き吊足場の全長を橋梁構造物の幅員に合わせて調整することができる。それにより、様々な幅員の橋梁構造物に本発明のフロート付き吊足場を利用することができる。
上記構成によれば、フロート付き吊足場を水上から橋梁構造物の下部へ移動させ、橋梁構造物とワイヤ接続部とをワイヤで接続することで、簡単に橋梁構造物に吊足場を架設することができる。それにより、組み上げ前の足場や骨組みを橋梁構造物上の道路や、水上の台船に待機させる必要が無いため、橋梁構造物や水上を長時間通行止めにすることなく、吊足場を架設することができる。さらに、短時間で容易に吊足場を架設することができるため、人的コストを削減することができる。
さらにまた、本発明の第8の橋梁構造物における吊足場の架設方法は、橋梁構造物の裏側に、その長手方向が橋梁構造物の幅員と合致する姿勢で設けるためのフロート付き吊足場であって、浮力を有するフロート部と、前記フロート部上面に設けられ、作業員が移動可能な平板状の足場板部と、前記足場板部の周囲を覆う柵部とを有する吊足場部と、前記フロート部及び/又は吊足場部の両端に設けられたワイヤ接続部と、前記フロート付き吊足場を橋桁に固定をするための橋桁固定具を備える。
上記構成によれば、橋桁固定具によりフロート付き吊足場を橋桁に機械的に固定することで、風や作業中の振動による揺れを抑え、足場を安定させて安全に作業を行うことができる。
さらにまた、本発明の第のフロート付き吊足場は、フロート部は、浮力を有するフロート材と、フロート材の周囲を覆うフロート外周板とを備え、フロート材が合成発泡樹脂製である。
上記構成によれば、軽量なフロート材を安価に造ることができる。
さらにまた、本発明の第10のフロート付き吊足場は、フロート外周板及び/又は吊足場部がアルミニウム製である。
上記構成によれば、アルミニウム製であるため軽量であり、少人数でも運搬することができる。
さらにまた、本発明の第11のフロート付き吊足場は、ワイヤ接続部と橋梁構造物とを接続するワイヤの一端に、ワイヤを引く動力部を備える。
上記構成によれば、動力部によりフロート付き吊足場を自由に昇降することができる。
さらにまた、本発明の第12のフロート付き吊足場は、吊足場部上から操作可能な、動力部を電気的に制御するための制御装置を備える。
上記構成によれば、作業員の目視を伴いフロート付き吊足場を昇降ができるため、架設位置や作業内容に応じた適切な高さに調整することが容易となる。
さらにまた、本発明の第13のフロート付き吊足場は、水上に浮かせた状態でフロート付き吊足場を曳航させるための曳航用連結部を備える。
上記構成によれば、船外機を備えたボート等を連結して、フロート付き吊足場を検査対象の橋梁の下まで曳航することができる。
さらにまた、本発明の第14のフロート付き吊足場は、吊足場部の下面に着脱式に固定されている。
上記構成によれば、水面からフロート付き吊足場を橋梁構造体の下面に向かって引き上げる際、フロート部を外して引き上げることで軽量化を図ることが可能となる。
図1は本発明の実施形態1に係る吊足場を示す正面図である。 図2は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場を示す斜視図である。 図3は本発明の実施形態1に係るフロート部を示す斜視図である。 図4は図3のIV−IV線における断面図である。 図5は本発明の実施形態1に係るフロート部の変形例である。 図6は本発明の実施形態1に係るフロート部に船外機を取り付けた状態を示す斜視図である。 図7は本発明の実施形態1に係る吊足場部を示す斜視図である。 図8は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場の分解図である。 図9は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場にワイヤ及びウィンチを接続している状態を示す斜視図である。 図10は本発明の実施形態1に係る架設方法を示すフローチャートである。 図11は本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場の接続方法を示す断面図である。 図12Aは実施形態1に係るフロート付き吊足場の接続方法を示す平面図であり、図12Bは図12Aを正面から見た図である。 図13Aは実施形態1に係る水上移動工程を示す図である。 図13Bは実施形態1に係るワイヤ接続工程を示す図である。 図13Cは実施形態1に係る引き上げ工程を示す図である。 図14Aは図13Aを側面から見た図である。 図14Bは図13Bを側面から見た図である。 図14Cは図13Cを側面から見た図である。 図15Aは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図15Bは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図15Cは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図15Dは実施形態1に係る橋梁下移動工程の一状態を示す側面図である。 図16は実施形態2に係る橋桁固定具を示す斜視図である。 図17Aは実施形態2に係るフロート付き吊足場を橋桁に固定した状態を示す正面図であり、図17Bは図17Aの要部拡大図である。 図18は実施形態3に係るフロート付き吊足場を橋桁に固定した状態を示す斜視図である。 図19は従来の橋梁点検車による橋梁構造物の検査方法を示す図である。 図20は従来の吊足場による橋梁構造物の検査方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部品を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るフロート付き吊足場は、橋梁構造物の裏側を検査するために用いられるものである。すなわち、橋梁構造物の裏側を作業者が目視で検査できるように、吊足場を橋梁構造物の下方に、簡易な方法で架設可能としたものである。実施形態1に係る吊足場の架設方法は、図1に示すように、水上をボート200等により橋梁構造物100の下方へ曳航して、第一ワイヤ26を接続して引き上げることにより、橋梁構造物100の裏側の近接目視検査を行うことができる。この吊足場は、以下に説明するフロート付き吊足場1を一つから複数連結してなる。なお、図1及び図13A〜図15Dに図示される橋脚103は橋梁構造物100の一部である。図1及び図13A〜Cでは橋梁構造物100の形状を分かりやすく示すために図示している。図1及び図13A〜Cにおいてはフロート付き吊足場1とは同一面上に位置するように見えるが、実際には、図14A〜図15Dに示すように、フロート付き吊足場1とは離間している。
(フロート付き吊足場1)
図2に示すフロート付き吊足場1はフロート部2と、吊足場部4とを備える。このフロート付き吊足場1は、フロート部2により水上に浮かせることができる。さらに、吊足場部4は、橋梁構造物に設置された引き上げ用の第一動力部50の第一動力側ワイヤ53と第一ワイヤ26により接続し、第一動力部50で第一ワイヤ26を引き上げることにより、吊足場として橋梁構造物に吊り下げることができる。さらにこのフロート付き吊足場1は、長手方向に他のフロート付き吊足場1と連結することができ、架設対象となる橋梁構造物の幅員に合わせて、吊足場の全長を調整することができる。
(フロート部2)
図3にフロート部2の斜視図を示す。また、図4は図3のIV−IV線の垂直断面図である。フロート部2は浮力を有するフロート材10と、フロート材10の周囲を覆うフロート外周板11で構成される。
(フロート材10)
フロート材10は少なくともフロート部2や吊足場部4等の構成部材及び作業員の重量が加えられた状態で水上に浮かぶことができる浮力を備えている。実施形態1においては、フロート材10は直方体に形成された発泡合成樹脂を用いている。発泡合成樹脂は、例えば発泡スチロールを用いることができる。フロート材10は、水上に浮かぶことができればよく、材料や形状は特に特定されない。発泡合成樹脂以外にも例えば、内部を中空に処理した金属材や樹脂材等を用いることもできる。また、図5はこのフロート部2の変形例であるフロート部2’を示す図である。フロート部2は、図5の垂直断面図に示すように、複数のフロート材10’を積層したり、横方向に並べて形成されたフロート部2’としてもよい。複数のフロート材10’を用いることにより、フロート材10’の総体積を簡単に大きくし、浮力を向上させることができる。
(フロート外周板11)
図3及び図4に示すように、このフロート材10の周囲をフロート外周板11で覆うことにより、フロート部2が構成される。このフロート外周板11はアルミニウム等の軽量な金属部材からなる。このフロート外周板11は軽量であることが好ましいが、フロート部2が水上に浮かぶ状態を維持できるのであれば、部材は特定されず、鉄等のアルミニウム以外の金属製でもよい。その他にも例えば樹脂製や木製等でもよい。このフロート外周板11は、衝撃や水上の浮遊物等からフロート材10を保護する。また、フロート外周板11は吊足場部4と固定するための吊足場固定部12を備える。さらに、フロート外周板11は、他のフロート部2やボート200と連結可能な曳航用連結部13を備える。さらにまた、このフロート外周板11の各面は外縁部を除いて網状にしていることで、軽量化しつつフロート材10を保護している。フロート外周板11はフロート材10の全面を覆っていることが好ましいが、軽量化のために一部の面のみを覆ってもよい。
また、実施形態1においては、フロート材10及びフロート外周板11によりフロート部2を形成しているが、樹脂板や金属板等の板材を直方体状に形成し、内部を中空にして水上に浮かぶようにして、単一の部材でフロート部2を形成してもよい。あるいは、フロート材10とフロート外周板11との間に衝撃を吸収するための層や、フロート材10の表面を保護するための層等の介在層を設けてもよい。さらに、浮力を向上させるためにフロート材10とは別の浮体を設けてもよい。
(船外機210の接続)
また図6に示すように、フロート外周板11の吊足場固定部12は、柵部21を取り付ける代わりに、船外機210の取り付け先として兼用することもできる。船外機210を取り付けることで、フロート部2を、図1や図13Aに示すボート200の代わりにして曳航することができる。船外機210を取り付けたフロート部2は、曳航用連結部13で連結することによって、他のフロート部2と接続される。このフロート部2の連結には、ロープや鎖、治具等を利用することができる。
(吊足場部4)
図7に吊足場部4の斜視図を示す。吊足場部4は作業員の足場となる足場板20と、足場板20の周囲を覆う柵部21とを備える。この吊足場部4は、フロート部2の上部に固定される。
(足場板20)
図7に示す足場板20は、その上に作業員が乗って作業をするための板状の部材である。軽量なアルミニウム材が好ましいが、強度が十分であれば材質は特定しない。図2に示すように、足場板20はフロート部2の長手方向の長さよりも延伸されており、フロート付き吊足場1同士を連結した際に、足場板20同士を隙間無く配置することができる。足場板20は図7に示すように滑り止め穴29が複数設けられており、さらにこの滑り止め穴29の周囲は盛り上がっている。この滑り止め穴29により、足場板20を軽量化しつつ、さらに作業員が足を滑らすのを防止することができる。
(柵部21)
図7に示す吊足場部4は足場板20の上面の四方を覆うように柵部21を備える。柵部21は作業員の転落防止のための柵である。この柵部21は、上端面及び長手方向の両端面が開放されている。これにより橋梁構造物に架設した際、作業員は上部から体を出して橋梁構造物の裏側の検査をすることができる。また、両端面が開放されているため、足場板部20上を渡って他のフロート付き吊足場へ移動することができる。実施形態1では柵部21に軽量なアルミニウムを用いている。柵部21は軽量な部材が好ましいが、強度が十分であればよく、材質は特に特定しない。
また、柵部21の下端には吊足場部4とフロート部2を接続するための柵固定用締結孔31を備える。図8の分解図に示すように、柵部21とフロート部2はボルト30によって固定される。これにより、フロート部2と吊足場部4とは一体のフロート付き吊足場1として利用することができる。
さらに、図7に示す柵部21の長手方向の両端にはそれぞれ、フロート部2の長手方向の長さより突出するように吊足場連結部22a、22bとを備える。吊足場連結部22aは上半分が下半分より突出しており、吊足場連結部22bは下半分が上半分より突出している。これにより、フロート付き吊足場1を連結する際、吊足場連結部22a及び22bの凹凸を係合することにより、上下に揺れやすい水上でも、揺れる範囲を制限することができ、フロート付き吊足場1の連結を容易とする。また、吊足場連結部22a及び22bは他のフロート付き吊足場1の吊足場連結部22a又は22bと接続するための第一柵接続孔23を端面に、第二柵接続孔24を側面にそれぞれ備える。
さらにまた、柵部21は、橋梁構造物100に吊り下げた際に、フロート付き吊足場1に係る荷重を支えるために、斜材28により補強されている。斜材28は、柵部21の長手方向の中心上部から、両端下部へ向けて斜め向きに設けられる補強材である。斜材28により柵部21は、フロート付き吊足場1を吊り下げた際に柵部21の垂直方向に加わる力に対する耐久力が向上している。
以上の柵部21は、フロート付き吊足場1を連結して吊足場を形成する際に、吊足場の両端にある柵部21の開放された端面に、紐状体や棒状体等を配設し、端面から作業員が落下しないようにするのが好ましい。
(ワイヤ接続部25)
柵部21は長手方向の両端付近にそれぞれワイヤ接続部25を備える。フロート付き吊足場1を橋梁構造物100に吊り下げる際には、図9に示すように第一ワイヤ26の一端がワイヤ接続部25に接続され、第一ワイヤ26の他端は、橋梁構造物100上に設置された引き上げ用の第一動力部50から伸びる第一動力側ワイヤ53の先端に設けられた第一フック51に接続される。
第一動力部50には例えば電動ウインチを用いることができる。この第一動力部50によって引き上げることにより、吊足場の高さを自在に操作することができる。また、この第一動力部50は、動力の駆動・停止を指示するための制御装置52を備える。この制御装置は有線式のコンソールや、無線式のリモコンなど、電気的に信号を発信する装置を利用することができる。この制御装置52は、第一動力部50につき一つずつ設けてもよいが、一つの制御装置52で複数の第一動力部50をリンクさせて動作させることが好ましい。それにより、吊足場の両端に接続された第一動力部50の動作を同期させ、安全に吊足場を引き上げることができる。
本実施形態においては第一動力部50を橋梁構造物100に設置しているが、例えば、第一動力部50をフロート部2や吊足場部4に直接取り付けて、第一フック51側を橋梁構造物100の一部に固定してもよい。
また、フロート付き吊足場1の連結数が少なく、総重量が十分に軽量である場合は、第一動力部50を設置せず、橋梁構造物100上の作業員や吊足場上の作業員が第一ワイヤ26を引き上げる工具により吊足場を手動で引き上げてもよい。
(実施形態1に係る足場の架設方法)
以上のフロート付き吊足場部1吊足場として架設する方法を、図10のフローチャートに示す工程順に沿って説明する。図11及び図12は連結工程を示す図である。また、図13A〜Cはそれぞれ水上移動工程から引き上げ工程までを示す正面図であり、図14A〜Cはそれぞれ図13A〜Cを側面から見た図である。さらに図15A〜Dは移動工程を示す図である。
吊足場の架設方法は、フロート付き吊足場1を準備する工程であるステップS101と、フロート付き吊足場1を連結する工程であるステップS102と、フロート付き吊足場1を水上に浮かべて橋梁構造物100の下方へ移動する工程であるステップS103と、橋梁構造物100と吊足場をワイヤで接続する工程であるステップS104と、第一ワイヤ26を引き上げて橋梁構造物100に引き上げる工程であるステップS105と、吊り下げられた状態で橋梁構造物100の長手方向へ移動する工程であるステップS106とを含む。
(準備工程)
まずステップS101において、図8に示すように、フロート部2に吊足場部4を固定し、架設したい橋梁の幅員に合わせて、フロート付き吊足場1を一つから複数準備する。
(連結工程)
次にステップS102の連結工程について説明する。この連結工程では、ステップS101で準備されたフロート付き吊足場1を連結して、吊足場を形成する。
図11〜図12Bは、フロート付き吊足場1の柵部21の吊足場連結部22aと、別のフロート付き吊足場の柵部21’の吊足場連結部22b’との連結方法を示す図である。図11は、図7のXI−XI線における柵部21の垂直断面図における連結方法を示している。また、図12Aは、足場連結部22aと22b’の連結方法を示す平面図であり、図12Bは、図12Aを側面から見た図である。なお、柵部21’及び吊足場連結部22a’及び22b’は、フロート付き吊足場1の柵部21と同様の形態であるため、詳細な説明は省略する。
まず、図11に示すように、吊足場連結部22a及び22b’の凹凸部を噛み合わせ、それぞれの端面に設けられた第一柵接続孔23にボルト40を通して接続する。
次に、図12A及び図12Bに示すように、吊足場連結部22a及び22b’の上下に設けられた第二柵接続孔24を接続用板42で両面側から挟み、ボルト41により接続する。
以上の方法で、実施形態1のフロート付き吊足場1を連結することができる。連結する数は、橋梁構造物の幅に合わせた数を連結することができ、吊足場の全長を調整することで、様々な広さの橋梁構造物に対応することが可能である。
この連結工程は、以下の水上移動工程と前後してもよい。例えば、接岸中に必要な数の半分まで連結した吊足場を二つ用意し、橋梁構造物の下まで移動したあと、二つの吊足場を連結するといったことも可能である。
なお、橋梁構造物の幅に対してフロート付き吊足場1の長さが十分である場合、この連結工程は省略してもよい。
(水上移動工程)
次に、ステップS103の水上移動工程について説明する。以上のようにフロート付き吊足場1を連結すると、ステップS102の水上移動工程を行う。図13Aは水上移動工程を示す正面図であり、図14Aは図13Aの側面図である。水上移動工程では、図13A及び図14Aに示すようにフロート付き吊足場1を水上に浮かべて、検査対象となる橋梁構造物100の下方まで移動させる。移動するには、フロート部2に設けられた曳航用連結部13にボート200を接続して曳航することができる。また、図6に示すように、ボート200の代わりに、フロート部2に船外機210を取り付けて自走させてもよい。その他にも、オールを用いる等人力で移動してもよい。なお本明細書において曳航とは、水上を引いて移動する場合に限らず、押して移動する場合も含めて使用する。
(ワイヤ接続工程)
さらに、ステップS104のワイヤ接続工程について説明する。以上のようにして所定の位置まで移動すると、次にステップS104のワイヤ接続工程を行う。ワイヤ接続工程では、図13B及び図14Bに示すように、橋梁構造物100の両側面の第一橋梁側面位置101aにそれぞれ第一動力部50を設置し、吊足場の両端フロート付き吊足場1のワイヤ接続部25に第一ワイヤ26を取り付け、第一動力部50から伸びる第一動力側ワイヤ53の先端に取り付けられた第一フック51により、第一動力部50と第一ワイヤ26とを接続する。ここで、第一橋梁側面位置101aとは、橋梁構造物の側面であって、吊足場を最初に吊り下げて、検査を開始する位置を示す。第一動力部50を設置する先は、例えば欄干104などの橋梁構造物100の一部を利用することができる。
(引き上げ工程)
さらにまた、ステップS105引き上げ工程について説明する。引き上げ工程では、ステップS104で橋梁構造物100と接続した吊足場を、図13C及び図14Cに示すように、第一動力部50を駆動して吊足場を水面から橋梁裏面に向かって引き上げることにより、吊足場を橋梁構造物100に吊り下げることができる。この際、フロート付き吊足場1の柵部21の上端が、橋梁構造物100の橋桁102に接するまで引き上げることが好ましい。柵部21と橋桁102とを接触させることでフロート付き吊足場1が安定し、風や作業中の振動による吊足場の揺れを抑えることができる。また、引き上げ工程の際、第一動力部50を操作可能な制御装置52は、吊足場上から操作可能になるよう設けられることが好ましい。吊足場から第一動力部50を操作可能とすることで、フロート付き吊足場1の上昇移動中に作業員が吊足場と橋桁102の相対的な位置を逐次確認することができ、吊足場を架設位置や作業内容に応じた適切な高さに調整することが容易になる。
ただし、吊足場の総重量が十分に軽い場合、動力を利用せず手動や工具を用いて人力で吊足場を引き上げてもよい。
(橋梁下移動工程)
さらにまた、ステップS105で吊り下げられた吊足場を橋梁構造物の長さ方向への移動するステップS106についても説明する。図15A〜Dはそれぞれ吊足場の移動方法の一状態を側面から見た図である。図15A〜Dにおいて、吊足場の進行方向は右側とする。以下の移動方法には、第一動力部50及び第一ワイヤ26に加えて、第二動力部50’及び第二ワイヤ26’を用いる。
まず、ステップS105の引き上げ工程により、図15Aに示すように、吊足場は第一橋梁側面位置101aにある欄干104に設置した第一動力部50に接続される。次に、第一橋梁側面位置101aからみて移動したい方向にある第二橋梁側面位置101bの欄干104に第二動力部50’を設置し、第二ワイヤ26’をワイヤ接続部25と、第二動力部50’の第二動力側ワイヤ53’の先端に備えられた第二フック51’に接続する。
次に、図15Bに示すように、第一動力部50により第一動力側ワイヤ53を弛めると同時に、第二動力部50’により第二動力側ワイヤ53’を引き込むことにより、吊足場は進行方向へ向けて移動する。この第一動力部50及び第二動力部50’は、制御装置52によりリンクして駆動できることが好ましい。吊足場を水平な状態を維持したまま移動することができるからである。
第一動力部53により第一動力側ワイヤ53を弛め、第二動力側ワイヤ53’を引き続けると、図15Cに示すように、吊足場場は第二橋梁側面位置101bまで移動する。吊足場が第二橋梁側面位置101bの下まで移動したら、第一動力部50及び第二動力部50’を停止させる。
吊足場が第二橋梁側面位置101bの下まで移動したら、図15Dに示すように第一動力部50を第一橋梁側面位置101aの欄干104から取り外し、第二橋梁側面位置から見て移動したい方向にある第三橋梁側面位置101cに第一動力部50を取り付ける。
以下、第三橋梁側面位置101c、第四橋梁側面位置(図示無し)、第五橋梁側面位置(図示無し)…と同様の方法を繰り返すことで、橋梁構造物100の長さ方向へフロート付き吊足場1を移動し、その都度の位置で橋梁構造物100の裏側を順次点検、検査していくことができる。橋脚103がある場合、橋脚103まで辿り着くと、吊足場を水上へ降ろして第一ワイヤ26、第二ワイヤ26’から第一フック51,第二フック51’をそれぞれ取り外し、橋脚103の反対側へ移動し、次の橋梁側面位置に吊り下げ直すことで、連結した吊足場を分離することなく続けて検査をしていくことができる。
ただ、以上の架設方法は、吊足場上に作業員が吊足場上から第一動力部50及び第二動力部50’を操作するものとしたが、橋梁上から第一動力部50及び第二動力部50’を操作可能とし、吊足場上に作業員が乗っていない状態で引き上げたり、橋梁下を移動してもよい。例えば、吊足場上と橋梁上との間に梯子やロープ等を設けることで、作業員は架設された吊足場に自由に行き来することができる。作業員が梯子等を利用して橋梁上へ上った後、橋梁上から第一動力部50や第二動力部50’を操作することで安全に、吊足場を水上へ戻したり、橋梁構造物の裏側を移動することができる。
また、以上の架設方法は一例であり、他の工程によって吊足場を架設して橋梁構造物の裏側の検査を行ってもよい。例えば、連結工程にて2つ以上の吊足場を用意して、橋梁上の作業員が第一橋梁側面位置101aに一つ目の吊足場を固定し、吊足場上の作業員が橋梁構造物の裏側を検査する。次に、第一橋梁側面位置101aで吊足場上の作業員が検査を行っている間に、橋梁上の作業員は第二橋梁側面位置101bに二つ目の吊足場を固定する。第一橋梁側面位置101aでの検査が終わり次第、一つ目の吊足場上の作業員は、一つ目の吊足場に設けられた梯子等により橋梁上へ移動し、二つ目の吊足場に設けられた梯子等により二つ目の吊足場へ移動する。第二橋梁側面位置101bで吊足場上の作業員が橋梁構造物の裏側を検査している間に、橋梁上の作業員は一つ目の吊足場を水上へ降ろし、第三橋梁側面位置101cに移動させ、吊足場を固定する。以下、同様に第三橋梁側面位置101c、第四橋梁側面位置、第五橋梁側面位置…の検査をしていくことができる。この架設方法では、吊足場上の作業員が検査を行っている間に、橋梁上の作業員が次の橋梁側面位置に吊足場を架設することができるため、作業時間を短縮することができる。
以上の吊足場の架設方法とフロート付き吊足場1によれば、桟橋や浅瀬でフロート付き吊足場1を連結し、検査対象の橋梁構造物の下まで移動し、第一ワイヤ26及び第一動力部50で吊り下げることで、簡単に橋梁構造物の下に吊足場を架設することができる。さらに交通や船舶の運航の妨げになる懸念が解消される。加えて、架設方法も簡便であり、また、撤去も同様に容易であるため、作業期間を大幅に削減することができる。そのため、組み上げ前の足場や骨組みを橋梁構造物上の道路や、水上の台船に待機させる必要がなく、橋梁構造物上や水上の運行を長時間通行止めすることなく、吊足場を架設可能である。
また、吊り下げ時及び移動時においても、少なくとも吊足場上で第一動力部50と第二動力部50’を操作する要員と、橋上で橋梁側面位置に第一動力部50と第二動力部50’とを取り付ける要員がいれば、吊足場を移動させることができる。このように、最低限の人員で橋梁構造物の検査が可能となるため、人的コストを抑えることができる。
さらに、発泡合成樹脂からなるフロート材10と、アルミニウム等の軽量な部材で形成されたフロート外周板11、吊足場部4からなるため、全体として軽量であり、少人数で容易に運搬することができる。
さらにまた、非使用時には連結を解除し、フロート部2と吊足場部4とを分解すれば保管時や運搬時に嵩張ることがないため、適宜必要な場所に陸路で運搬して組み立てることもできる。
以上の吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場1は、水上の橋梁構造物の検査に最適であるが、陸上の橋梁構造物や高架道路の検査に用いてもよい。その場合、水上の移動に代えて、車両や台車等を用いてフロート付き吊足場1を検査対象の下まで運搬した後に連結し、水上の橋梁構造物と同様の工程で吊り下げることにより、検査を行うことができる。
(実施形態2)
以上の実施例形態1では、第一ワイヤ26でフロート付き吊足場1を固定する例を説明した。ただ本発明はこの構成に限られず、橋梁構造物の一部にフロート付き吊足場部1を、橋桁固定具60を用いて固定することもできる。このような例を実施形態2として、以下図16〜図17Bに基づいて説明する。
(実施形態2の架設方法)
本実施形態2の架設方法は、橋桁にH鋼や山形鋼、溝形鋼等のフランジ部分を有する部材を用いた橋梁構造物に好適に利用可能な架設方法である。実施形態2の架設方法は、吊り上げ工程の後に、さらに、吊足場の柵部21と橋梁構造物100の橋桁102とを固定するための橋桁固定具60を接続する工程を含む。図17Aは橋梁工程具60により、吊足場を橋桁102に固定した状態を示す図であり、図17Bは図17Aの要部拡大図である。橋桁固定具60により、吊足場の柵部21と、橋桁102のフランジ部分とが挟まれた状態で固定される。この工程では、橋桁固定具60を、吊足場の柵部の少なくとも一カ所に固定する。好ましくは、橋梁構造物100の幅方向の中央付近に位置するフロート付き吊足場1の柵部21に固定する。ただし、より安定させるため、必要に応じて複数の橋桁固定具60を中央以外の柵部21にも固定してもよい。
図16に橋桁固定具60を示す。橋桁固定具60は、橋桁102に掛けるための爪部61と、柵部21を押圧して柵部21と橋桁102とを固定する押圧用ボルト62とを備える。爪部62により柵部21と橋桁102とを挟んだ状態で、押圧用ボルト62を締めることで、柵部21と橋桁102とを押圧して固定する。ただし、ここで橋桁固定具60の具体的な形状を示したが、吊足場と橋桁102との固定方法は特に特定しない。橋桁102のフランジとフロート付き吊足場1の一部とを固定できるならば、その他の治具を固定具として用いることもできる。
以上の架設方法によれば、実施形態1の架設方法と同様の利点に加えて、橋桁固定具60により、吊足場と橋梁構造物100とが機械的に接続されているため、より強固な固定が得られ、吊足場への風や作業の振動への耐性を一層高めることができる。以上の実施形態2の架設方法は、橋桁にフランジ部分を有する橋梁構造物の検査に好適に利用できる。
(実施形態3)
一方で、橋梁構造体の下面側にH鋼等が設けられていない場合でも、橋桁に括れを有する場合には、これを利用した固定構造を実現することができる。このような例を実施形態3として、以下図18に基づいて説明する。
(実施形態3の架設方法)
本実施形態3の架設方法は、吊足場を吊り下げる工程の後に、さらに、吊足場の柵部21と橋梁構造物100とを固定するための橋桁固定具65を接続する工程を含む。図18に、橋桁固定具65により橋梁構造物100と吊足場とを固定している状態を示す。ただし図18は、橋桁固定具65の形態を分かりやすく説明するために、橋桁固定具65の両端にある橋桁102のうち一方の図示を省略している。
橋桁固定具65は、支持板66の両端に伸縮部67を備える。さらに、柵保持部68を備え、柵保持部68と支持板66は高さ調整ねじ69により接続される。まず、橋桁固定具65を橋桁102間に配置し、両側に設けられた伸縮部67の長さを調整することで、橋桁固定具65を橋桁102間に横架した状態で固定する。次に、高さ調整ねじ69により、柵保持部68を柵部21の高さに調整し、柵保持部68により柵部21を保持することで、橋梁構造物100と吊足場とを機械的に固定することができる。この工程では、橋桁固定具65を、吊り下げられた吊足場の柵部21の少なくとも一カ所に固定する。好ましくは、橋梁構造物100の幅方向の中央付近に位置するフロート付き吊足場1の柵部21に固定する。ただし、より安定させるため、必要に応じて橋桁固定具65を複数配置して、中央以外の柵部21にも固定してもよい。
以上、実施形態3の架設方法及びその架設方法に用いられる橋桁固定具65の説明をしたが、吊足場と橋桁102を固定する橋桁固定具の形態は以上のものに特定しない。以上の橋桁固定具65は橋桁102と吊足場の連結手段を具体的に説明をするための一例である。少なくとも、橋桁102間に橋桁固定具65を横架するための部材と、橋桁固定具65とフロート付き吊足場1の一部とを接続する部材があれば、実施形態3の架設方法を実現することができる。
以上の架設方法によれば、実施形態1の架設方法と同様の利点に加えて、橋桁固定具65により吊足場と橋梁構造物100とが機械的に接続されているため、より強固な固定が得られ、吊足場への風や作業の振動への耐性を一層高めることができる。以上の実施形態3の架設方法は、橋桁に括れを有する橋梁構造物の検査に好適に利用することができる。
以上説明したフロート付き吊足場部1は、吊足場部4の下面にフロート部2を固定した構造としている。ただ本発明は、フロート付き吊足場部の構造をこれに限定する物でなく、フロート部を吊足場部から着脱式としてもよい。このようにすることで、水上を移動させる際は、フロート部でフロート付き吊足場部を浮かせて、所望の位置まで移動させ、水面からフロート付き吊足場を橋梁構造体の下面に向かって引き上げる際には、フロート部を吊足場部から外して引き上げることで、吊足場部を軽量とし、引き上げや移動の負荷を低減できる。また、この構成においてはフロート部を足場部と固定する必要は必ずしもなく、例えばフロート部として、天面を平板状としたタグボートのような移動体を利用し、この移動体の上面に吊足場部を載置して移動させ、所望の位置で橋梁構造物の底面側に向かって吊足場部のみを引き上げる構成とすることもできる。本発明においてフロート部は、水面上を曳航する際に吊足場部がずれ落ちないように保持できれば足り、このようなフロート部上への吊足場部の載置も、本発明でいうフロート部と吊足場部の固定に含む。
本発明のフロート付き吊足場及び橋梁構造物における吊足場の架設方法によれば、水上に建築された橋梁の検査用の足場及びその架設方法として最適である。また、水上の橋梁構造物のみならず、陸上の高架道路や橋梁構造物の検査用の足場として利用することもできる。
1…フロート付き吊足場
2…フロート部
2’…フロート部
4…吊足場部
10…フロート材
10’…フロート材
11…フロート外周板
12…吊足場固定部
13…曳航用連結部
20…足場板
21…柵部
21’…柵部
22a…吊足場連結部
22a’…吊足場連結部
22b…吊足場連結部
22b’…吊足場連結部
23…第一柵接続孔
24…第二柵接続孔
25…ワイヤ接続部
26…第一ワイヤ
26’…第二ワイヤ
28…斜材
29…滑り止め穴
30…ボルト
31…柵固定用締結孔
40…ボルト
41…ボルト
42…接続用板
50…第一動力部
50’…第二動力部
51…第一フック
51’…第二フック
52…制御装置
53…第一動力側ワイヤ
53’…第二動力側ワイヤ
60…橋桁固定具
61…爪部
62…押圧用ボルト
65…橋桁固定具
66…支持板
67…伸縮部
68…柵保持部
69…高さ調整ねじ
100…橋梁構造物
101a…第一橋梁側面位置
101b…第二橋梁側面位置
101c…第三橋梁側面位置
102…橋桁
103…橋脚
104…欄干
200…ボート
210…船外機
400…橋梁点検車
500…足場

Claims (15)

  1. 橋梁構造物における足場の架設方法であって、
    吊足場部の下側にフロート部を固定したフロート付き吊足場を準備する工程と、
    前記フロート付き吊足場を架設の対象となる橋梁構築物の下方まで、水上に浮かべて移動させる工程と、
    橋梁構造物の両側の側面の第一橋梁側面位置に前記フロート付き吊足場を第一ワイヤで接続する工程と
    前記第一ワイヤを引き上げて、前記フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊す工程と、
    を含む橋梁構造物における足場の架設方法。
  2. 請求項1に記載の足場の架設方法であって、さらに、
    前記フロート付き吊足場を橋梁構造物に吊り下げた後、前記フロート付き吊足場に備えられた橋桁固定具により、前記フロート付き吊足場を橋梁構造物の一部に固定する工程を含む橋梁構造物における足場の架設方法。
  3. 請求項1又は2に記載の足場の架設方法であって、さらに、
    前記フロート付き吊足場を準備する際、前記フロート付き吊足場を複数個連結する工程を含む橋梁構造物における足場の架設方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の足場の架設方法であって、さらに、
    橋梁構造物の両側の側面であって、前記第一橋梁側面位置からみてフロート付き吊足場の移動方向に離間した第二橋梁側面位置に第二ワイヤでフロート付き吊足場を接続する工程と、
    前記第一ワイヤを弛める一方、前記第二ワイヤを引き上げ、前記フロート付き吊足場を第一橋梁側面位置から第二橋梁側面位置へ向けて移動させる工程を含む橋梁構造物における足場の架設方法。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の足場の架設方法であって、さらに、
    前記第一ワイヤでフロート付き吊足場と橋梁構造物とを接続する際に、前記第一ワイヤの一端に、引き上げ用の第一動力部を接続する工程を含む橋梁構造物における足場の架設方法。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の足場の架設方法であって、さらに、
    前記第二ワイヤでフロート付き吊足場と橋梁構造物とを接続する際に、前記第二ワイヤの一端に、引き上げ用の第二動力部を接続する工程を含む橋梁構造物の足場の架設方法。
  7. 橋梁構造物の裏側に設けるための足場であって、
    浮力を有するフロート部と、
    前記フロート部上面に設けられ、
    作業員が移動可能な平板状の足場板部と、
    前記足場板部の周囲を覆う柵部とを有する吊足場部と、
    前記フロート部及び/又は吊足場部の両端に設けられたワイヤ接続部と
    を備えるフロート付き吊足場。
  8. 請求項7に記載のフロート付き吊足場であって、さらに、
    前記フロート部は、浮力を有するフロート材と、前記フロート材の周囲を覆うフロート外周板とを備え、前記フロート材が合成発泡樹脂製であるフロート付き吊足場。
  9. 請求項7又は8に記載のフロート付き吊足場であって、
    前記フロート外周板及び/又は前記吊足場部がアルミニウム製であるフロート付き吊足場。
  10. 請求項7乃至9の何れか一項に記載のフロート付き吊足場であって、さらに、
    前記ワイヤ接続部と橋梁構造物とを接続するワイヤの一端に、前記ワイヤを引く動力部を備えるフロート付き吊足場。
  11. 請求項10に記載のフロート付き吊足場であって、さらに、
    前記吊足場部上から操作可能な、前記動力部を電気的に制御するための制御装置を備えるフロート付き吊足場。
  12. 請求項7乃至11の何れか一項に記載のフロート付き吊足場であって、さらに、
    前記柵部に、別のフロート付き吊足場と連結するための吊足場連結部を備えるフロート付き吊足場。
  13. 請求項7乃至12の何れか一項に記載のフロート付き吊足場であって、さらに、
    水上に浮かせた状態でフロート付き吊足場を曳航させるための曳航用連結部を備えるフロート付き吊足場。
  14. 請求項7乃至13の何れか一項に記載のフロート付き吊足場であって、さらに、
    前記フロート付き吊足場を橋桁に固定をするための橋桁固定具を備えるフロート付き吊足場。
  15. 請求項7乃至14の何れか一項に記載のフロート付き吊足場であって、
    前記フロート部が、前記吊足場部の下面に着脱式に固定されてなるフロート付き吊足場。
JP2015242727A 2015-12-11 2015-12-11 橋梁構造物における吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場 Active JP6018691B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015242727A JP6018691B1 (ja) 2015-12-11 2015-12-11 橋梁構造物における吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015242727A JP6018691B1 (ja) 2015-12-11 2015-12-11 橋梁構造物における吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6018691B1 JP6018691B1 (ja) 2016-11-02
JP2017106288A true JP2017106288A (ja) 2017-06-15

Family

ID=57216858

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015242727A Active JP6018691B1 (ja) 2015-12-11 2015-12-11 橋梁構造物における吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6018691B1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6344879B1 (ja) * 2018-01-24 2018-06-20 株式会社フジみらい 橋梁構造物における吊足場の架設方法及び吊足場
CN108867324A (zh) * 2018-07-15 2018-11-23 胡俊 一种桥体维护过程补偿性浮桥装置
CN110396938A (zh) * 2019-08-07 2019-11-01 中铁二十四局集团有限公司 大跨度钢桁梁桥多点浮托顶推施工系统

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6792428B2 (ja) * 2016-11-24 2020-11-25 三井住友建設株式会社 橋梁点検装置
CN109797663B (zh) * 2019-01-15 2020-07-21 中铁大桥勘测设计院集团有限公司 一种桥梁结构浮托架设的施工方法
JP7463034B2 (ja) 2020-06-30 2024-04-08 中国電力株式会社 吊り足場設備および吊り足場運用方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001323415A (ja) * 2000-05-19 2001-11-22 Nippon Scuba Sensui Kk 水辺構造体に対する作業用足場構造体およびその移動操作機構
JP2002255090A (ja) * 2000-12-28 2002-09-11 Tasker Japan:Kk 繋船用浮き桟橋
JP5035505B2 (ja) * 2006-06-09 2012-09-26 東洋建設株式会社 杭式海上構造物用仮設足場
JP2012102468A (ja) * 2010-11-08 2012-05-31 Nippon Kasetsu Kk 橋梁下面補修用移動式足場および該足場の設置方法
JP6401937B2 (ja) * 2014-06-04 2018-10-10 東洋建設株式会社 作業用足場及びその設置方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6344879B1 (ja) * 2018-01-24 2018-06-20 株式会社フジみらい 橋梁構造物における吊足場の架設方法及び吊足場
JP2019127750A (ja) * 2018-01-24 2019-08-01 株式会社フジみらい 橋梁構造物における吊足場の架設方法及び吊足場
CN108867324A (zh) * 2018-07-15 2018-11-23 胡俊 一种桥体维护过程补偿性浮桥装置
CN108867324B (zh) * 2018-07-15 2020-08-04 王健 一种桥体维护过程补偿性浮桥装置
CN110396938A (zh) * 2019-08-07 2019-11-01 中铁二十四局集团有限公司 大跨度钢桁梁桥多点浮托顶推施工系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP6018691B1 (ja) 2016-11-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6018691B1 (ja) 橋梁構造物における吊足場の架設方法及びフロート付き吊足場
JP5097313B2 (ja) 吊り足場及びその架設方法
US4660680A (en) Means and methods for erecting a work platform under the deck of a structure
JP2018204427A (ja) 揚重装置を用いた部材更新方法
JPWO2015025565A1 (ja) 高層の建築物、及びそのメンテナンス方法
JP3440422B2 (ja) 橋の施工方法および橋の施工装置
US4098036A (en) Elevated train station
JP2011202406A (ja) 橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法
RU2668608C2 (ru) Подмости
JP2010047901A (ja) 吊り込み装置一体式吊り足場
JP5637480B2 (ja) 杭式桟橋構築におけるスラブ構築用支保工の解体方法
CN110080117B (zh) 移动式简易混凝土护栏模板车及其制作方法
JP2015229850A (ja) 作業用足場及びその設置方法
CN207876220U (zh) 用于拱肋k形撑装车运输胎架
CN212201400U (zh) 装配式钢结构外挂式防护架
US11326361B2 (en) Building debris containment system
JP3991067B1 (ja) 鉄道ホーム間仮設橋
CN104060809A (zh) 一种屋面采光玻璃钢架安装设备及其运行方法
JP6873435B2 (ja) 吊り足場及びその架設方法
JP2005171703A (ja) 吊り足場
KR101525557B1 (ko) 3개의 자동 앵커리지 및 유압 실린더를 구비한 빔 런처
JP7017927B2 (ja) 鋼橋拡幅架設装置および鋼橋拡幅架設工法
ES2624211B1 (es) Sistema para ampliar una estructura de puente atirantado, estructura de puente atirantado ampliada y su proceso constructivo
JP3671061B2 (ja) 吊り階段及びその仮設方法
JPH0312172B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160913

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160930

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6018691

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250