JP2017106105A - 硫黄添加鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶鋼に硫黄添加原料を添加した際、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化し、かつ、連続鋳造時、不純物に起因するノズル閉塞の発生を防止する。【解決手段】硫化鉄鉱を原料とし、酸素を10質量%以下含有する硫黄添加原料を用い、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化するとともに、連続鋳造ノズルの閉塞を防止して、硫黄添加鋼を製造することを特徴とする硫黄添加鋼の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、溶鋼の成分調整を行うために添加する硫黄添加原料を用いて硫黄添加鋼を製造する製造方法に関するものである。
硫黄(S)は、鋼材の切削加工性を高める元素であるので、特に複雑な形状に機械加工される機械構造用鋼の溶鋼に、製鋼工程で所要量添加する場合が多い。このとき、硫黄添加原料として、高純度に精製した純硫黄、工業的に製造した硫化鉄、又は、各種選鉱法によって得た黄鉄鉱、白鉄鉱、磁硫鉄鉱などが用いられる。
これらの硫黄添加原料は、工業プロセスを経て製造されるので、原料価格がどうしても高くならざるを得ない。これに対し、最近では、より安価な原料として、鉱山から採取される硫化鉄鉱を、そのまま使用している。
ところで、転炉や真空処理容器で精錬した溶鋼は、多量の酸素を含んでおり、この多量の酸素を、酸素との親和力が強い脱酸元素のAlを0.015〜0.100質量%程度添加して脱酸するのが、一般的な手法である。
しかし、Al脱酸によりAl23系介在物が生成し、これが凝集合して、粗大なアルミナクラスターが生成する。このアルミナクラスターは、溶鋼を、タンディシュからモールドへ注入するために使用するタンディッシュノズル及び浸漬ノズルの内壁に付着し、ノズル閉塞を発生させる。
特に、硫化鉄鉱を、そのまま、硫黄添加原料として使用した場合、硫黄添加原料中の不純物(酸化物や炭酸塩など)が酸素源となり、アルミナクラスターがより多く生成し、ノズル閉塞が頻繁に発生する。
このような、添加原料や添加合金からの酸素源混入の問題に対し、特許文献1には、真空脱ガス装置により溶鋼の脱炭、脱酸、及び、溶鋼への合金元素の添加を行う溶鋼の二次精錬方法において、合金元素の添加を脱炭処理中に行い、その後、脱酸処理を行うことが提案されている。
しかし、硫黄の場合、溶鋼と取鍋スラグとの反応により脱硫が進行するので、早い段階で、溶鋼に硫黄添加原料を添加すると、硫黄の歩留りが安定せず、硫黄の組成を安定的に確保することが困難である。
特開2000−087128号公報
本発明は、従来技術の現状に鑑み、溶鋼に硫黄添加原料を添加した際、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化し、かつ、連続鋳造時、不純物に起因するノズル閉塞の発生を防止することを課題とし、該課題を解決する硫黄添加鋼の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。その結果、破砕した硫化鉄鉱を主原料とし、酸素10質量%以下の硫黄添加原料を溶鋼に添加すれば、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化し、かつ、連続鋳造時、ノズル閉塞の発生を防止できることを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)硫化鉄鉱を原料とし、酸素を10質量%以下含有する硫黄添加原料を用い、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化するとともに、連続鋳造ノズルの閉塞を防止して、硫黄添加鋼を製造することを特徴とする硫黄添加鋼の製造方法。
(2)前記硫黄添加鋼がAl脱酸硫黄添加鋼であることを特徴とする前記(1)に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
(3)前記硫黄添加鋼が、S:0.012〜0.100質量%を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
(4)前記硫黄添加鋼が、Al:0.015〜0.100質量%を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の硫黄添加鋼の製造方法。
(5)前記硫黄添加鋼が、質量%で、C:0.07〜1.20%、Si:1.00%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、N:0.02%以下を含有し、残部が鉄及び不可避不純物からなることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の硫黄添加鋼の製造方法。
(6)前記硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Cu:2.00%以下、及び/又は、Ni:2.00%以下を含有することを特徴とする前記(5)に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
(7)前記硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Cr:2.00%以下、及び/又は、Mo:2.00%以下を含有することを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
(8)前記硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Nb:0.25%以下、及び/又は、V:0.25%以下を含有することを特徴とする前記(5)〜(7)のいずれかに記載の硫黄添加鋼の製造方法。
(9)前記硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Ti:0.30%以下、及び/又は、B:0.005%以下を含有することを特徴とする前記(5)〜(8)のいずれかに記載の硫黄添加鋼の製造方法。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の硫黄添加鋼の製造方法において、RH脱ガス処理工程にて、硫黄以外の成分の組成の調整が終了した後、又は、二次精錬処理が終了した後、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の硫黄添加原料を溶鋼に添加し、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化するとともに、連続鋳造ノズルの閉塞を防止することを特徴とする硫黄添加鋼の製造方法。
(11)前記硫黄添加原料を、ワイヤー又はプランジャーの形態で添加することを特徴とする前記(10)に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
本発明によれば、安価な硫黄添加原料を用い、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化し、かつ、連続鋳造時、不純物に起因するノズル閉塞の発生を防止して、硫黄添加鋼を製造することができる。
硫化鉄鉱の酸素濃度とノズル閉塞指標の関係を示す図である。
本発明の硫黄添加鋼の製造方法(以下「本発明製造方法」ということがある。)は、硫化鉄鉱を原料とし、酸素10質量%以下の硫黄添加原料を用い、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化するとともに、連続鋳造ノズルの閉塞を防止して、硫黄添加鋼を製造することを特徴とする。
以下、発想から本発明製造方法に至るまでの経過と、本発明製造方法について説明する。
本発明者らは、硫黄添加原料として安価な硫化鉄鉱を使用すべく、硫化鉄鉱の組成及び特性について詳細に調査した。
まず,硫化鉄鉱の組成を化学分析やX線回折法で調査した。その結果,硫化鉄鉱の主成分は黄鉄鉱であるが、それ以外に、ドロマイト、石英等の炭酸塩や酸化物が含まれていることが解った。これら不純物(ドロマイト、石英等の炭酸塩や酸化物、以下、単に「不純物」ということがある。)は、酸素濃度に換算すると、3〜20質量%程度含まれていることが解った。
次に、これらの不純物の存在形態を調査した。硫化鉄鉱を切断し、その断面を、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いて観察した結果,不純物は、(a)数ミリメートル以下の微細な粒子の集合体として存在すること、及び、(b)硫化鉄鉱中に均一に存在せず、偏在していることが解った。
本発明者らは、この結果に基づいて、「不純物の存在状態を特定できれば、ノズル閉塞の発生を防止できる」、そして、「不純物の存在状態は、硫化鉄鉱の酸素濃度を指標として特定すればよい」、と発想した。
そこで、本発明者らは、粒度の相違、銘柄の相違、選鉱の有無等により、不純物の存在状態が異なる種々の硫化鉄鉱粒子を準備して、酸素濃度を測定した。その結果、不純物量が多いものは酸素濃度が高く、不純物量が少ないものは酸素濃度が低いことが解った。
次に、各種の硫化鉄鉱を原料として、硫化鉄鉱85質量%以上を含有する硫黄添加原料を作製して溶鋼に添加し、溶鋼の酸素濃度の変動を調査した。硫黄添加原料の添加後に酸素濃度の上昇がみられたが、その変化量は、硫化鉄鉱の酸素濃度の影響を大きく受けることを確認した。
さらに、本発明者らは、所要量の硫化鉄鉱からなる硫黄添加原料を添加した溶鋼を連続鋳造し、連続鋳造時のノズル閉塞の発生状況を調査した。
図1に、硫化鉄鉱の酸素濃度とノズル閉塞指標の関係を示す。ノズル閉塞指標は、連続鋳造ノズルの開度を指標化したものであり、以下のように定義した指標である。連続鋳造ノズルの実際の開度と、溶鋼のスループットと溶鋼ヘッドから算出される本来開度との比を指標化したものであり、大きいほど、ノズル閉塞が頻発することを意味し、目標は1以下である。
図1に示す結果より,硫化鉄鉱の酸素濃度が低いほどノズル閉塞は生じ難く、酸素濃度が10質量%以下であれば、目標の1以下を達成できることが解った。
以上の検討結果に基づき、安価な硫化鉄鉱を原料とし、酸素を10質量%以下含有する硫黄添加原料を溶鋼に添加すれば、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化できるとともに、連続鋳造ノズルの閉塞を防止できることが解った。
なお,硫化鉄鉱の酸素濃度は,例えば、不活性ガス溶融−非分散型赤外線吸収法により測定することができる。
硫化鉄鉱の酸素濃度を10質量%以下に制御する方法は、例えば、(a)特定粒度の硫化鉄鉱を使用する、(b)特定粒度の硫化鉄鉱を適宜混合して使用する、(c)特定銘柄の硫化鉄鉱を使用する、(c)選鉱した硫化鉄鉱を使用する等の方法があるが、酸素濃度が10質量%以下を確保できればよく、この限りで、どのような方法でもよい。硫黄添加原料の形態は、粉末でもよく、粒状又は塊状でもよい。
次に、本発明製造方法について説明する。
まず、硫黄添加源を溶鋼に添加する時期について説明する。
溶鋼を連続鋳造する直前に、硫黄添加原料を溶鋼に添加した場合、硫黄添加原料中の酸素、即ち、硫化鐡鉱の不純物中の酸素により生成したAl23介在物の浮上分離が進行し難く、連続鋳造時、ノズル閉塞が生じ易い。このように、溶鋼の酸素濃度は、ノズル閉塞に対する影響が大きいので、硫黄添加原料の添加の時期には注意を要する。
具体的には、RH脱ガス処理工程にて、硫黄以外の成分の組成の調整を終了した後、又は、二次精錬を終了した後、硫黄添加原料を溶鋼に添加すると、溶鋼の酸素濃度を10質量%以下に低減する効果が顕著に発現する。
硫黄添加原料は、上方添加してもよいし、ワイヤー又はプランジャー等の形態で添加してもよい。
次に、硫黄添加原料の具体的な添加方法について説明する。
転炉や電気炉などで一次精錬した溶鋼の成分組成を調整する。必要であれば、RH式脱ガス精錬装置、取鍋加熱式精錬装置、簡易式溶鋼処理設備等で、二次精錬を行う。一次精錬後、又は、二次精錬途中で、Alによる脱酸を行う。一次精錬後に脱酸を行う場合は、取鍋出鋼時に、Al源を添加すればよい。二次精錬中に脱酸を行う場合は、Al源を添加する位置の取鍋スラグを除いておくと、Alの歩留りが安定する。
なお、Alは、なるべく早い段階で溶鋼に添加し、その後、溶鋼を撹拌し、Al23介在物を浮上分離するのが好ましい。
以上のように、Al脱酸後、二次精錬末期又は二次精錬後に、硫黄添加原料を添加するのが好ましい。二次精錬中に、硫黄添加原料を添加してもよいし、また、二次精錬後に、ワイヤー等を用いて、硫黄添加原料を添加することも可能である。
なお、二次精錬前や二次精錬前半に、硫黄添加原料を添加した場合、取鍋スラグと反応して脱硫が進行し、硫黄濃度を所要の範囲に制御できない恐れがある。
二次精錬末期又は二次精錬後に、硫黄添加原料を溶鋼に添加すると、硫黄添加原料中の酸素(硫化鉄鉱の不純物中の酸素)から生成したAl23介在物の浮上分離が進行し難く、連続鋳造時、ノズル閉塞が頻発するので、溶鋼に添加する硫黄添加原料の酸素濃度を10質量%以下に制限する効果は顕著である。
このように調製した溶鋼を、常法に従って連続鋳造して鋳片とする。連続鋳造時、溶鋼に、できるだけ酸素源が混入しないようにする。溶鋼に酸素源が混入すると、Al23介在物が生成するので、Al23介在物の生成を防止するためである。
なお、連続鋳造時に使用する連続鋳造ノズルは,安価なアルミナグラファイト材質のものでよいが、CaOを含有する難付着性のものを使用することも可能である。
本発明製造方法は、Al脱酸硫黄添加鋼の製造、特に、S:0.012〜0.100質量%を含むAl脱酸硫黄添加鋼の製造に好適である。Al脱酸硫黄添加鋼は、脱酸後、Al:0.015〜0.100質量%を含むものが好ましい。
以下、本発明製造方法で製造する硫黄添加鋼(以下「本発明添加鋼」ということがある。)の好ましい成分組成の限定理由について説明する。以下、%は質量%を意味する。
S:0.012〜0.100%
Sは、鋼の切削加工性の確保に必要な元素であり、また、連続鋳造時のノズル閉塞の発生に影響を及ぼす元素である。Sが0.012%未満であると、硫黄添加原料の添加量が少なくて済み、ノズル閉塞は発生しないが、所要の切削加工性を確保できないので、Sは0.012%以上とする。好ましくは0.015%以上である。
一方、Sが0.100%を超えると、取鍋スラグ中のCaと溶鋼中の硫黄が反応してCaSが生成し、連続鋳造時、ノズル閉塞が発生するので、Sは0.100%以下とする。好ましくは0.075%以下である。
Al:0.015〜0.100%
Alは、溶鋼中のOと反応してAl23を生成し、溶鋼を脱酸する元素である。Alが0.015%未満であると、脱酸効果が十分に発現しないので、Alは0.015%以上とする。好ましくは0.025%以上である。一方、Alが0.100%を超えると、Al23介在物が大量に生成し、連続鋳造時、ノズル閉塞が頻発するので、Alは0.100%以下とする。好ましくは0.070%以下である。
本発明添加鋼は、基本的には、S:0.012〜0.100%を含有し、さらに、Al:0.015〜0.100%を含有していればよく、他の元素の組成は特に限定されないが、硫黄添加による切削加工性の向上効果をより有効に発現させたい場合は、C:0.07〜1.20%、Si:1.00%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、N:0.02%以下に制御することが好ましい。以下、説明する。
C:0.07〜1.20%、
Cは、鋼の強度や溶接部の焼入れ性の確保に必要な元素である。Cが0.07%未満であると、機械構造用鋼に必要な強度を確保することが難しくなるので、Cは0.07%以上が好ましい。より好ましくは0.10%以上である。一方、Cが1.20%を超えると、靭性が低下するので、Cは1.20%以下が好ましい。より好ましくは1.00%以下である。
Si:1.00%以下
Siは、固溶強化で、鋼の強度の向上に寄与する元素である。Siが1.00%を超えると、靱性が低下するので、Siは1.00%以下が好ましい。より好ましくは0.70%以下である。下限は特に限定しないが、Siの添加効果を十分に得るには、0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.10%以上である。
Mn:2.50%以下
Mnは、鋼の焼入れ性を高め、強度の向上に寄与する元素である。Mnが2.50%を超えると、鋼の溶接性が低下するので、Mnは2.50%以下が好ましい。より好ましくは2.00%以下である。下限は特に限定しないが、Mnの添加効果を十分に得るには、0.30%以上が好ましい。より好ましくは0.50%以上である。
P:0.10%以下
Pは、偏析して、靭性を阻害する元素である。Pが0.10%を超えると、靭性が著しく低下するので、Pは0.10%以下が好ましい。より好ましくは0.05%以下である。下限は特に限定しないが、Pを0.001%未満に低減すると、製造コストが大幅に上昇するので、実用鋼上、0.001%が実質的な下限である。製造コストの点で、0.010%以上がより好ましい。
N:0.02%以下
Nは、固溶強化で、鋼の強度の向上に寄与する元素である。Nが0.02%を超えると、固溶N量が増大して、強度が上昇し、靱性が低下するので、Nは0.02%以下が好ましい。より好ましくは0.015%以下である。下限は特に限定しないが、Nを0.001%未満に低減すると、製造コストが大幅に上昇するので、実用鋼上、0.001%が実質的な下限である。製造コストの点で、0.002%以上がより好ましい。
本発明添加鋼は、さらに、特性向上のため、(a)Cu:2.00%以下、及び/又は、Ni:2.00%以下、(b)Cr:2.00%以下、及び/又は、Mo:2.00%以下、(c)Nb:0.25%以下、及び/又は、V:0.25%以下、及び、(d)Ti:0.30%以下、及び/又は、B:0.005%以下の元素群の1つ又は2つ以上を含有してもよい。
(a)群元素
Cu:2.00%以下
Ni:2.00%以下
CuとNiは、いずれも、鋼の強度の向上に寄与する元素である。Cuが2.00%を超えると、強度が上昇しすぎて、靱性が低下するので、Cuは2.00%以下が好ましい。より好ましくは1.60%以下である。下限は特に限定しないが、Cuの添加効果を十分に得るには、0.10%以上が好ましい。より好ましくは0.20%以上である。
Niが2.00%を超えると、Cuと同様に、強度が上昇しすぎて、靱性が低下するので、Niは2.00%以下が好ましい。より好ましくは1.60%以下である。下限は特に限定しないが、Niの添加効果を十分に得るには、0.10%以上が好ましい。より好ましくは0.30%以上である。
(b)群元素
Cr:2.00%以下
Mo:2.00%以下
CrとMoは、いずれも、鋼の強度の向上に寄与する元素である。Crが2.00%を超えると、強度が上昇しすぎて、靱性が低下するので、Crは2.00%以下が好ましい。より好ましくは1.60%以下である。下限は特に限定しないが、Crの添加効果を十分に得るには、0.15%以上が好ましい。より好ましくは0.25%以上である。
Moが2.00%を超えると、Crと同様に、強度が上昇しすぎて、靱性が低下するので、Moは2.00%以下が好ましい。より好ましくは1.60%以下である。下限は特に限定しないが、Moの添加効果を十分に得るには、0.02%以上が好ましい。より好ましくは0.10%以上である。
(c)群元素
Nb:0.25%以下
V:0.25%以下
NbとVは、いずれも、炭窒化物を形成し、炭窒化物のピン止め効果により、強度や靭性の向上に寄与する元素である。Nbが0.25%を超えると、炭窒化物が粗大化し、靱性が低下するので、Nbは0.25%以下が好ましい。より好ましくは0.20%以下である。下限は特に限定しないが、Nbの添加効果を十分に得るには、0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.02%以上である。
Vが0.25%を超えると、Nbと同様に、炭窒化物が粗大化し、溶接熱影響部の靱性が低下するので、Vは0.25%以下が好ましい。より好ましくは0.20%以下である。下限は特に限定しないが、Vの添加効果を十分に得るには、0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.02%以上である。
(d)群元素
Ti:0.30%以下
B:0.005%以下
Tiは、Nと結合して窒化物を形成して結晶粒を微細化し、靭性の向上に寄与する元素である。Tiが0.30%を超えると、切削加工性が低下するので、Tiは0.30%以下が好ましい。より好ましくは0.25%以下である。下限は特に限定しないが、Tiの添加効果を十分に得るには、0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.02%以上である。
Bは、粒界フェライトの生成を抑制して、靱性の向上に寄与する元素である。Bが0.005%を超えると、BNがオーステナイト粒界に析出し、靱性が低下するので、Bは0.005%以下が好ましい。より好ましくは0.003%以下である。下限は特に限定しないが、Bの添加効果を十分に得るには、0.0005%以上が好ましい。より好ましくは0.0010%以上である。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
容量300トンの転炉で一次精錬した溶鋼を取鍋に出鋼する際、金属Alを添加してAl脱酸を実施した。
表1に、発明例及び比較例の溶鋼の成分組成を示す。
Figure 2017106105
Al脱酸後、取鍋加熱式精錬装置で温度調整を行い、次いで、RH式脱ガス精錬装置を用いて脱ガス処理、成分調整を実施するとともに、溶鋼を撹拌して介在物を除去した。脱ガス処理、成分組成の調整の後、粒径の異なる硫化鉄鉱を含有する硫黄添加原料を、溶鋼に添加した。硫黄添加原料の添加後、均一混合時間以上の撹拌を行って介在物を除去した。
均一混合時間とは、添加した合金元素が、最終値近傍の所定の範囲内に漸近するのに要する時間で、撹拌力と相関する時間である。均一混合時間は、トレーサー実験で求めることができ、また、既知の撹拌動力密度との関係式(例えば、浅井滋生、岡本徹夫、赫冀成、鞭巌、鉄と鋼68、426)を用いて推算できる。
このように溶製した硫黄添加鋼を連続鋳造した。連続鋳造は、断面サイズ220mm×220mmのブルーム6ストランドの連鋳機で実施した。
連続鋳造時のタンディッシュ内の溶鋼の過熱度(溶鋼の温度から、この成分組成の鋼の液相線温度を減じた値)は10〜60℃であった。溶鋼のスループット(単位時間当りの鋳造溶鋼量)は0.3〜0.6t/分であった。
表2に、発明例及び比較例において使用した硫化鉄鉱の酸素濃度、ノズル閉塞指標、及び、ノズル閉塞成績を示す。
Figure 2017106105
ノズル閉塞指標は、前述したように、連続鋳造ノズルの開度を指標化したものであり、以下のように定義した指標である。連続鋳造ノズルの実際の開度と、溶鋼のスループットと溶鋼ヘッドから算出される本来開度との比を指標化したものであり、大きいほど、ノズル閉塞が頻発することを意味し、目標は1以下である。
ノズル閉塞成績は、ノズル閉塞指標を三段階評価した結果であり、ノズル閉塞指標1以下を◎、1を超え3以下を△、3超を×とした。
発明例1〜50では、いずれも、硫化鉄鉱の酸素濃度が10質量%以下であり、ノズル閉塞指標は1以下で、ノズル閉塞が発生することなく、連続鋳造を行うことができた。
比較例51〜65では、硫化鉄鉱の酸素濃度が10質量%を超えており、連続鋳造時、ノズル閉塞が発生した。
前述したように、本発明によれば、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化し、かつ、連続鋳造時、不純物に起因するノズル閉塞の発生を防止できる安価な硫黄添加原料を提供することができる。よって、本発明は、鉄鋼産業において利用可能性が高いものである。

Claims (11)

  1. 硫化鉄鉱を原料とし、酸素を10質量%以下含有する硫黄添加原料を用い、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化するとともに、連続鋳造ノズルの閉塞を防止して、硫黄添加鋼を製造することを特徴とする硫黄添加鋼の製造方法。
  2. 前記硫黄添加鋼がAl脱酸硫黄添加鋼であることを特徴とする請求項1に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
  3. 前記硫黄添加鋼が、S:0.012〜0.100質量%を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
  4. 前記硫黄添加鋼が、Al:0.015〜0.100質量%を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
  5. 前記硫黄添加鋼が、質量%で、C:0.07〜1.20%、Si:1.00%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、N:0.02%以下を含有し、残部が鉄及び不可避不純物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
  6. 前記硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Cu:2.00%以下、及び/又は、Ni:2.00%以下を含有することを特徴とする請求項5に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
  7. 前記硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Cr:2.00%以下、及び/又は、Mo:2.00%以下を含有することを特徴とする請求項5又は6に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
  8. 前記硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Nb:0.25%以下、及び/又は、V:0.25%以下を含有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
  9. 前記硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Ti:0.30%以下、及び/又は、B:0.005%以下を含有することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の硫黄添加鋼の製造方法において、RH脱ガス処理工程にて、硫黄以外の成分の組成の調整が終了した後、又は、二次精錬処理が終了した後、請求項1〜9のいずれか1項に記載の硫黄添加原料を溶鋼に添加し、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化するとともに、連続鋳造ノズルの閉塞を防止することを特徴とする硫黄添加鋼の製造方法。
  11. 前記硫黄添加原料を、ワイヤー又はプランジャーの形態で溶鋼に添加することを特徴とする請求項10に記載の硫黄添加鋼の製造方法。
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