JP6455287B2 - 連続鋳造鋳片の製造方法 - Google Patents
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Description
湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて、鋼の連続鋳造鋳片を製造する方法であって、
鋳型内に収容されB含有量が3ppm未満の溶鋼の上に、Bを含有するB供給源を投入する工程と、
表面から内部へ5mmまでの表層のB含有量が3ppm以上に濃化された鋳片を、前記鋳型内で形成して、前記鋳型から引き抜く鋳造工程と、
前記引き抜かれた鋳片に水を吹き付けて、前記鋳片の前記表層を、酸化スケールとして除去する工程と、を含む連続鋳造鋳片の製造方法。
(イ) Niを含有する鋼の高温延性の低下は、粒界偏析したSおよび粒界析出した微細な炭窒化物(AlN、NbC、BN等)に起因する。
(ロ) 粒界強化元素であるBを添加すると、粒界偏析したSの影響が低減され、鋼の高温延性が著しく高くなる。
0.5≦3×XB×P/Q≦5 (1)
ただし、
P:Bを含有する合金の投入量(kg/min)
XB:Bを含有する合金のB含有量(質量%)
Q:溶鋼のスループット(t/min)
本発明において、連続鋳造する鋼の化学組成は、B含有量を除き、特に限定されないが、好ましい化学組成の例として、下記のものを挙げることができる。以下、含有量についての「%」は、「質量%」を意味するものとする。
炭素(C)は、鋳造された鋳片である鋼、そして、これを素材として得られる鋼材(たとえば、鋼板)の強度を高める。C含有量が0.03%未満では、鋼材の十分な強度が得られない。一方、C含有量が0.2%を超えると、スポット溶接性が低下する。したがって、C含有量は、0.03〜0.2%であることが好ましい。鋼の高い強度を保ち、かつ良好な靱性および溶接性を確保するためには、C含有量は、より好ましくは、0.05〜0.15%である。
マンガン(Mn)は、鋼の強度を顕著に高める元素である。Mn含有量が1.0%未満では、鋼の強度が低下する。一方、Mn含有量が3.0%を超えると、鋼の組織が低温変態相主体となるため、鋼の伸びが低下する。したがって、Mn含有量は、0.1〜3.0%であることが好ましい。鋼の高い強度を保ち、かつ靱性を確保するためには、Mn含有量は、より好ましくは、0.5〜2.5%である。
ニッケル(Ni)は、鋼の強度と低温靱性とを高めるのに重要な元素である。強度と低温靱性とはNi含有量が0.2%以上で顕著に上昇する。一方、Ni含有量が2.0%を超えると、溶接熱影響部の靭性を低下させる。したがって、Ni含有量は0.2〜2.0%であることが好ましい。鋼の高い強度を保ち、かつ高い靱性を確保するために、Ni含有量は、より好ましくは、0.5〜1.5%である。
チタン(Ti)は、溶接熱影響部の靭性を向上させる元素である。Ti含有量が0.005%未満では、この効果が得られない。一方、Ti含有量が0.1%を超えると、生成するTiNやTiCが粗大となり、靭性および加工性が低下する。したがって、Ti含有量は0.005〜0.1%であることが好ましい。鋼の高い靱性および加工性を確保するために、Ti含有量は、より好ましくは、0.008〜0.05%である。
アルミニウム(Al)は、鋳造の際の脱酸元素として含有される。Al含有量が0.001%未満であると脱酸効果が不十分となる。一方、Al含有量が0.05%を超えると、粗大なAl酸化物が生成し、溶接熱影響部の靱性が低下する。したがって、Al含有量は、0.001〜0.05%であることが好ましい。本明細書では、「Al含有量」は、sol.Al(酸可溶Al)の含有量を意味する。
りん(P)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。しかし、鋼の強度上昇等を目的として、意図的に含有させてもよい。P含有量が0.04%を超えると、溶接性が著しく低下する。したがって、P含有量は0.04%以下であることが好ましい。Pを含有することによる鋼の強度上昇の効果は、P含有量が0.02%を超えると飽和する。このため、P含有量の上限は、好ましくは、0.02%である。
硫黄(S)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。S含有量が0.01%を超えると、製品の加工性および溶接性が著しく低下し、さらに、高温延性にも影響を与え、鋳造時の表面割れを引き起こす。したがって、S含有量は、0.01%以下であることが好ましい。製品の加工性、および溶接性を高くするため、S含有量の上限は、より好ましくは、0.005%である。
窒素(N)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。N含有量が0.01%を超えると、鋼の強度および伸びが著しく低下する。したがって、N含有量は、0.01%以下であることが好ましい。製品の強度および靱性確保のため、N含有量の上限は、より好ましくは、0.006%である。
ホウ素(B)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。B含有量が0.0003%を超えると、焼き入れ性が高くなり、鋼材の特性に多大な影響を与える。本発明では、鋼のB含有量は、0.0003%未満とする。
シリコン(Si)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。Siは、含有される場合、鋼の強度を高め伸び特性を向上させる。しかし、Si含有量が0.5%を超えると、製品表面にいわゆる「赤スケール」と呼ばれる外観の劣化が発生しやすくなり、鋼の化成処理性が顕著に低下する。したがって、Si含有量は0〜0.5%であることが好ましい。強度向上効果の飽和と赤スケール発生との観点から、Si含有量のより好ましい上限は、0.4%である。
銅(Cu)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。Cuは、含有される場合、鋼の強度および耐候性を高める。しかし、Cu含有量が2.0%を超えると、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、Cu含有量は、0〜2.0%であることが好ましい。鋼の強度および耐候性向上の効果は、Cu含有量が、0.2%以上で顕著になり、1.5%以上ではほぼ飽和する。したがって、Cu含有量は、より好ましくは、0.2〜1.5%である。
ニオブ(Nb)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。Nbは、含有される場合、鋼の強度を高める。しかし、Nb含有量が0.05%を超えると、鋼の靱性が顕著に低下する。したがって、Nb含有量は、0〜0.05%であることが好ましい。強度向上の効果は、Nb含有量が0.005%以上で顕著になり、0.03%以上でほぼ飽和する。したがって、Nb含有量は、好ましくは、0.005〜0.03%である。
クロム(Cr)およびモリブデン(Mo)は、いずれも任意元素であり、含有されなくてもよい。CrおよびMoは、いずれも、含有される場合は、鋼の焼入れ性を高め、また、鋼の強度および靭性を高める。しかし、Cr含有量およびMo含有量の少なくとも一方が0.1%を超えると、鋼の溶接熱影響部の靭性を低下させる。したがって、Cr含有量は0〜0.1%であることが好ましく、Mo含有量は0〜0.1%であることが好ましい。鋼の強度および靱性を向上させる効果は、Cr含有量およびMo含有量のいずれか一方が0.01%以上で顕著になり、0.05%以上でほぼ飽和する。したがって、Cr含有量およびMo含有量は、より好ましくは、それぞれ、0.01〜0.05%である。
比較例1の製造方法により得られた鋳片の割れ指数は2であり、割れは、鋳片の長辺面全体に渡って散見された。この鋳片から、割れ部を含む試料を切り出し、詳細な調査を行ったところ、割れは旧オーステナイト粒界に沿って発生しており、旧オーステナイト粒界には、偏析したSと、粒界析出物とが存在した。
Claims (4)
- 湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて、鋼の連続鋳造鋳片を製造する方法であって、
鋳型内に収容されB含有量が3ppm未満の溶鋼の上に、Bを含有するB供給源を投入する工程と、
表面から内部へ5mmまでの表層のB含有量が3ppm以上に濃化された鋳片を、前記鋳型内で形成して、前記鋳型から引き抜く鋳造工程と、
前記引き抜かれた鋳片に水を吹き付けて、前記鋳片の前記表層を、酸化スケールとして除去する工程と、を含む連続鋳造鋳片の製造方法。 - 請求項1に記載の連続鋳造鋳片の製造方法であって、
前記B供給源が、B2O3を2〜12質量%含有するモールドフラックスである、連続鋳造鋳片の製造方法。 - 請求項1に記載の連続鋳造鋳片の製造方法であって、
前記B供給源が、Bを含有する合金であり、
前記B供給源を投入する工程では、下記(1)式を満たすように、前記合金を投入する、連続鋳造鋳片の製造方法。
0.5≦3×XB×P/Q≦5 (1)
ただし、
P:Bを含有する合金の投入量(kg/min)
XB:Bを含有する合金のB含有量(質量%)
Q:溶鋼のスループット(t/min) - 請求項1〜3のいずれかに記載の連続鋳造鋳片の製造方法であって、
前記鋳造工程で、前記鋳型内の溶鋼のメニスカス部に、前記鋳型の周方向の流れを与える、連続鋳造鋳片の製造方法。
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