JP5985437B2 - 高マンガンクロム含有鋼の溶製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高マンガンクロム含有鋼の溶製方法に関する。
従来より、高マンガンを含有する非磁性鋼を製造するにあたっては、様々な方法が開発されている(特許文献1〜3)。
特許文献1では、製鋼炉で低炭素、低燐の溶鋼を溶製し、除滓後取鍋に出鋼し、つづいて真空アーク脱ガス装置によりアーク加熱撹拌を行いつつ、合金鉄を添加して[C]=1.5質量%以下、[Si]=0.1〜1.5質量%、[Mn]=5〜30質量%、[N]=0.005〜0.5質量%の所定成分に成分調整することにより高マンガン非磁性鋼を製造している。
特許文献2では、真空脱ガス設備の真空槽内の溶鋼に酸ガスと不活性ガスとの混合ガスを供給しつつ、溶鋼に対して真空脱炭処理を施して低炭素高マンガン鋼を溶製する際に、真空脱炭処理前の溶鋼中の溶存酸素濃度を0.01質量%以下とするとともに、混合ガスの混合ガス濃度比(不活性ガス濃度/酸素ガス濃度)を真空脱炭処理中に、真空脱炭処理の前半に比較して真空脱炭処理の後半で高くなるように、変更することにより低炭素マンガンを製造している。
また、特許文献3では、転炉から取鍋に出鋼中又は出鋼した溶鋼に高炭素フェロマンガンを投入し、その後RH真空脱ガス槽内で溶鋼を取鍋と該槽間を還流させつつ脱炭、脱ガスを施して脱酸を行った後、引き続き、該脱ガス槽内にフラックスを投入して、脱ガス槽を介して取鍋側にフラックスを供給することにより、溶鋼とスラグとのスラグ・メタル界面にフラックスによるスラグ・メタル反応の遮断層を形成させることで高マンガンを溶製している。
特開昭57−082452号公報 特許第4844552号公報 特開2003−155517号公報
特許文献1〜3を用いた場合、高マンガン鋼を溶製(製造)することができるものの、例えば、鋼中のMnのバラツキが大きく、生産性も良いものとは言えず、新しい溶製方法が必要であるのが実情である。
そこで、本発明は上記問題点を鑑み、MnやCrのバラツキを抑制することができて且つ生産性も向上させることができる高マンガンクロム含有鋼の溶製方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る高マンガンクロム含有鋼の溶製方法は、成分として[C]=0.6〜0.7質量%、[Si]=0.6〜0.9質量%、[Mn]=13.0〜15.0質量%、[Cr]=1.5〜2.5質量%、残部Fe及び不可避不純物からなる高マンガンクロム含有鋼を溶製するにあたって、転炉においてMn及びCrを含有する合金鉄を添加すると共に溶銑の脱炭精錬を行う第1工程と、脱炭精錬後の溶鋼を転炉から取鍋へ出鋼する際に前記合金鉄を添加する第2工程と、二次精錬設備において第2工程後の溶銑に前記合金鉄を添加すると共に二次精錬を行う第3工程とを有しており、前記第1工程から第3工程に亘って添加する全体の合金鉄を100%としたとき、前記第1工程においては前記全体の合金鉄に対して30〜45%の合金鉄を添加し、前記第2工程においては前記全体の合金鉄に対して30〜45%の合金鉄を添加し、前記第3工程においては全体の合金鉄に対して10〜40%の合金鉄を添加することを特徴とする。
前記第2工程において添加する合金鉄の粒径に関して、粒径が1〜5mmであるものを粉状合金Aとし、粒径が10〜50mmであるものを塊状合金Bとしたとき、粉状合金Aと塊状合金Bとの添加比率(質量%での比率)が「60:40」〜「50:50」の範囲となるように、前記合金鉄を添加することが好ましい。
本発明によれば、高マンガンクロム含有鋼の溶製するに際して、MnやCrのバラツキを抑制することができて且つ生産性も向上させることができる。
高マンガンクロム含有鋼の溶製方法の流れを示した図である。 溶製した高マンガンクロム含有鋼のMn濃度の実績値の分布図である。 溶製した高マンガンクロム含有鋼のCr濃度の実績値の分布図である。 第3工程の処理時間を、実施例や比較例毎にまとめた図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、高マンガンクロム含有鋼、即ち、非磁性鋼の溶製方法の流れを示したものである。
図1に示すように、高クロムマンガン含有鋼を溶製(製造)するにあたっては、溶銑1を上底吹き転炉(転炉)2に装入して溶銑1の脱炭処理(第1工程)を行い、脱炭処理を終了した溶鋼を取鍋3に出鋼する(第2工程)。取鍋3に溶鋼を出鋼した後は、取鍋3を二次精錬設備4に搬送して、当該二次精錬設備4にて二次精錬処理を行う(第3工程)を行う。
詳しくは、脱炭処理(第1工程)では、脱りん処理後の溶銑1を転炉2に装入すると共に、スクラップや冷鉄源等の主原料やMn及びCrを含有する合金鉄(Mn、Cr系合金鉄)を添加して溶解する。転炉2では上吹きランス5等を用いて酸素を吹き込むと共に底吹きガスを吹き込んで脱炭処理(脱炭精錬)を行う。なお、転炉における脱炭処理は当業者常法通りに行う。また、高クロムマンガン含有鋼を溶製するにあたって、希釈脱炭機能(AOD)や真空脱炭(VOD)を用いて製造することができるが、本発明は、転炉を用いて溶製することとし、これらAODやVODは対象としていない。
第1工程が終了すると、転炉2を傾動して取鍋3に溶鋼を出鋼する第2工程に移行する。この第2工程では、溶鋼を取鍋3に出鋼する(差し替える)際に合金鉄を添加する。第2工程における合金鉄の添加は、出鋼前に予め取鍋に合金鉄を入れ置きすることにより行ってもよいし、出鋼中に合金鉄を取鍋に入れることにより行ってもよい。また、合金鉄の入れ置きと、出鋼中の合金鉄の添加との両方を行っても良い。
第2工程が終了すると、取鍋3を二次精錬設備4に移動させて、二次精錬設備4にて溶鋼の成分調整等を行う第3工程(精錬工程)に移行する。二次精錬設備4では溶鋼の昇温(加熱)を行うと共に溶鋼の撹拌を行いながら溶鋼中の介在物の除去や成分調整等を行う。また、二次精錬処理においても合金鉄の添加を行っている。二次精錬設備における二次精錬処理では溶鋼を撹拌するため比較的多くの合金鉄を添加することが可能である。二次精錬処理における溶鋼の撹拌は限定されず、ガス撹拌や電磁撹拌等であってもよい。二次精錬処理は当業者常法通りに行う。なお、二次精錬設備は限定されず、加熱及び撹拌を行うものであったり、溶鋼の脱ガスを行う脱ガス機能を有するものであってもよい。
以上のように、本発明では、第1工程(脱炭処理)、第2工程(出鋼)、第3工程(二次精錬)のいずれの工程でもMn及びCrを含有する合金鉄を添加することにより高マンガンクロム含有鋼を溶製している。
以下、高マンガンクロム含有鋼の溶製について詳しく説明する。
高マンガンクロム含有鋼は、[C]=0.6〜0.7質量%、[Si]=0.6〜0.9質量%、[Mn]=13.0〜15.0質量%、[Cr]=1.5〜2.5質量%を含んでいると共に、残りの残部はFe及び不可避不純物を含有している。
Cは、非磁性相であるオーステナイト相の安定化に有効な元素である。また、強度向上に寄与するCrの微細炭窒化物を得るために必要な元素である。C量は好ましくは0.5
5質量%以上であり、より好ましくは0.60質量%以上としている。一方、C量が過剰になるとオーステナイト地の加工硬化性を増大させ、鍛造性や被削性が大幅に低下するとともに、粗大な炭窒化物が生成することによって非磁性特性と靭性の劣化を招く。C量は好ましくは0.75質量%以下であり、より好ましくは0.70質量%以下である。溶製においては、上記性質を満足し、かつチャージ毎の成分ばらつきを抑えつつも調整可能な規格範囲として[C]=0.6〜0.7質量%の範囲に定めている。
Siは、鋼の溶製時に脱酸剤として作用する他、オーステナイト相を安定化させるのに有効な元素である。また強度の向上にも有効である。Si量は好ましくは0.55質量%以上であり、より好ましくは0.6質量%以上である。一方、Si量が過剰になると熱間加工性を損ない、鋼材の製造性が大幅に低下する。Si量は好ましくは0.9質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下である。溶製においては、上記性質を満足し、かつチャージ毎の成分ばらつきを抑えつつも調整可能な規格範囲として[Si]=0.6〜0.9質量%の範囲に定めている。
Mnは、Cと同様にオーステナイト相の安定化に有効な元素である。上記したC量の範囲でオーステナイト相を安定化させるため、Mn量は8質量%以上とする。Mn量は好ましくは9質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。一方、Mn量が過剰になると熱間加工性が著しく低下し、鋼材の製造性の悪化を招く。Mn量は好ましくは14.55質量%以下、より好ましくは14.5質量%以下である。溶製においては、上記性質を満足し、かつチャージ毎の成分ばらつきを抑えつつも調整可能な規格範囲として[Mn]=13.0〜15.0質量%の範囲に定めている。
Crは、オーステナイト相の安定化に有効な元素であり、また特にCrの微細な炭窒化物を形成することにより高強度化に寄与する元素である。Cr量は好ましくは2.0質量%以上であり、より好ましくは2.2質量%以上である。一方、Cr量が過剰になるとδフェライト相が生成しやすくなるとともに、Cr炭化物が結晶粒界上に析出しやすくなり、非磁性特性と靭性を損なう。Cr量は好ましくは2.8質量%以下であり、より好ましくは2.6質量%以下である。溶製においては、上記性質を満足し、かつチャージ毎の成分ばらつきを抑えつつも調整可能な規格範囲として[Cr]=1.5〜2.5質量%の範囲に定めている。
さて、高マンガンクロム含有鋼を溶製するに際しては、Mn及びCrを含む合金鉄を転炉における精錬時(第1工程)と、溶鋼の出鋼時(第2工程)と、二次精錬時(第3工程)の3回に分けて添加することとしている。ここで、これら第1工程から第3工程に亘って添加する目標の合金鉄、即ち、全体の合金鉄(全合金鉄という)を100質量%としたとき、第1工程においては全合金鉄の30〜45質量%の合金鉄を添加し、第2工程においては全合金鉄の30〜45質量%の合金鉄を添加し、第3工程においては全合金鉄の10〜40質量%の合金鉄を添加している。全合金鉄に対する合金鉄の割合は「質量%」であるが、説明の便宜上「%」として表記する。
次に、各工程における合金鉄の供給について説明する。
第1工程においては、溶鋼に酸素ガスを供給することによって脱炭反応が進行していく。ここで、脱炭反応が進行することによって、溶鋼中の[C]が溶鋼中の[Mn]や[Cr]より少なくなると、転炉(炉内)に供給した酸素は溶鋼中のCとの反応に寄与する以外にMnやCrの酸化に寄与する比率が次第に増加することになり、第1工程における溶鋼中の[Mn]及び[Cr]の微調整は難しい。しかしながら、第1工程において合金鉄を添加しないと、第2工程や第3工程における合金鉄の溶解の負荷、成分調整の負荷が掛かることから、第1工程では、添加する合金鉄は、少なくとも30%以上にする必要がある。一方、第1工程において、添加する合金鉄が45%以下である場合は転炉における脱炭処理に影響がなく、溶鋼中の[Mn]及び[Cr]のバラツキを抑えることができる。しかしながら、添加する合金鉄が45%を超えてしまうと、転炉(炉内)で合金鉄を溶解するのに時間が掛かって吹錬時間が長くなると共に、溶鋼中の[Mn]及び[Cr]のバラツキが大きくなる。このようなことから、第1工程では、添加する合金鉄を全合金鉄の30%〜45%としている。
第2工程では、転炉から溶鋼を出鋼する際に合金鉄を添加することとしているが、第2工程において合金鉄を投入できる量は、出鋼時の溶鋼温度の低下を考慮すると共に添加した合金鉄の溶解熱により溶鋼が凝固しない範囲でなければならない。第2工程において、添加する合金鉄が全合金鉄の45%を超えてしまうと、合金鉄による温度低下により溶鋼が凝固し易くなり、第3工程における溶鋼の加熱の負荷が高まってしまう。一方で、添加する合金鉄が全合金鉄の30%を下回ってしまうと、第3工程における合金鉄の溶解の負荷、成分調整の負荷が掛かり、生産性が低下する。このようなことから、第2工程では、添加する合金鉄を全合金鉄の30%〜45%としている。
第3工程において、添加する合金鉄が全合金鉄の40%を超えてしまうと、合金鉄の溶解に多くの時間を要して二次精錬処理が長くなり、所定時間内に溶鋼を連続鋳造設備に搬送するのが難しくなる。一方、添加する合金鉄が全合金鉄の10%未満であると、最終的なMn及びCrの濃度にすることが難しく、バラツキが大きくなる。このようなことから、第3工程では、添加する合金鉄を全合金鉄の10%〜40%としている。
以上のように、高マンガンクロム含有鋼を溶製するに際して、第1工程においては全合金鉄に対して30〜45%の合金鉄を添加し、第2工程においては全合金鉄に対して30〜45%の合金鉄を添加し、第3工程においては全合金鉄に対して10〜40%の合金鉄を添加することによって、生産性の良い高マンガンクロム含有鋼を溶製(製造)することができる。
さて、二次精錬工程(第2工程)において、合金鉄を添加するに際しては合金鉄の大きさを考慮することが望ましい。詳しくは、合金鉄に関して、粒径が1〜5mmであるものを「粉状合金A」、粒径が10〜50mmであるものを「塊状合金B」に分類したとき、第2工程では、粉状合金A及び塊状合金Bの添加比率は、「60質量%:40質量%」〜「50質量%:50質量%」の範囲となるように、粉状合金A及び塊状合金Bを添加することが望ましい。
例えば、第2工程において、添加する合金鉄を全て粉状合金Aとした場合、高温の溶鋼が粉状合金Aに接触した時点で表面のみが溶解してしまい、内部部分と溶鋼との接触がし難くなる。その結果、粉状合金Aは、大きな固まり状となり、溶鋼の表面に浮上し易くなる。一方、添加する合金鉄を全て塊状合金Bとした場合、塊状合金Bは取鍋の底部に堆積して、粒径の大きな合金鉄が底部で凝固するという現象が発生し易い。この場合(凝固した場合)、第2工程の後に行う第3工程において、溶鋼の加熱処理を実施し、Mn濃度を目標範囲に入れるための作業が必要となる。このようなことから、粉状合金A及び塊状合金Bの添加比率を設定する必要があり、これらのことを考慮して第2工程では、粉状合金A及び塊状合金Bの割合(添加比率)は「60:40」〜「50:50」にするこが望ましい。
表1及び2は、本発明の高マンガンクロム含有鋼の溶製方法を行った実施例と、この実施例とは別の方法により溶製を行った比較例とをまとめたものである。
実施例及び比較例において、高マンガンクロム含有鋼するにあたっては、まず、転炉型精錬容器によって溶銑の脱りん処理を行い、脱りん処理後の溶銑を転炉に装入することとしている。転炉型精錬容器(脱りん用精錬容器)は、90tonクラスであって、粉体吹き込み用耐火物ランスを有する上吹き転炉で構成されたものを使用した。また、転炉型精錬容器の内容積(煉瓦内容積)は54m、溶銑量は87.0〜92.0tonとした。
脱りん処理における溶銑温度は1325℃〜1350℃とした。脱りん処理前の溶銑の[C]=4.5〜4.8質量%、[P]=0.10〜0.12質量%、[Si]=0.2〜1.0質量%とした。脱りん処理では、脱珪吹錬も行うこととし、この際のCaO等の副原料は当業者常法通りに決定した。例えば、CaO等の副原料の量は、脱珪吹錬後スラグの塩基度を考慮して決定した。また、脱りん処理時には固体酸素源として酸素含有量が0.22質量%のミルスケールを用いた。
脱炭処理における転炉は、90tonクラスであって、上底吹き(上下吹き)を行うことができるものを使用した。また、転炉の内容積(煉瓦内容積)は83mである。底吹きではCOガスを吹き込むとし、一層環状管である羽口を使用した。第1工程〜第3工程のいずれも合金鉄として、Mn純分が約75質量%、Cr純分が69質量%ものを使用した。その他の操業条件は、当業者常法通りに決定した。
脱炭処理(1次精錬)において、必要な酸素量は当業者常法のスタティック制御により決定した。例えば、脱炭処理前の溶銑の[C]と鋼種毎に設定する目標[C]との差であるΔ[C]を、COガスとして排出するとして酸素量を設定した。CO以外の昇熱、冷却用の副原料は、当業者常法通りに副原料の制御を考慮して決定した。例えば、出鋼時の溶鋼の目標温度や上吹きによる酸素量に応じて副原料の量を設定した。また。吹錬末期におけるダイナミック制御は、当業者常法の通りに実施した。
二次精錬処理では、精錬用フラックスを添加すると共に、溶鋼の電極加熱、成分調整を当業者常法通りに実施した。二次精錬処理後は、溶鋼を連続鋳造工程に搬送して、連続鋳造工程にて、430mm×300mmの鋳型でブルームを当業者常法通りに鋳造した。連続鋳造後、連続鋳造にて得られた鋼塊(鋳片)を600〜800℃の温度で加熱炉へ装入して1200〜1300℃まで加熱後、分塊圧延を行った。分塊圧延後の鋳片(155mm角)を熱間加工前に1000〜1200℃で2〜5時間均熱処理を行った後、当業者常法通りに熱間圧延した。
実施例及び比較例では、オーステナイト相の安定化、熱間加工性の確保という性質を満足し、かつチャージ毎の成分ばらつきを抑えつつも調整可能な規格範囲として、[Mn]の範囲を13.0〜15.0%と定めると共に、[Cr]の範囲を1.5〜2.5%とした。実施例及び比較例では、Mnの目標値を14.0%とし、Crを2.25%とした。後述するように、溶鋼の成分を測定して[Mn]のばらつき、[Cr]のばらつきについて評価を行った。
また、第1工程において、転炉に原料を装入開始してから脱炭処理の吹錬完了までの経過時間(処理時間)を測定した。また、第2工程において、転炉から取鍋(溶鋼鍋)へ溶鋼出鋼開始から出鋼完了までの経過時間(処理時間)を測定した。また、第3工程において、二次精錬開始後から終了(取鍋搬出)後までの経過時間(処理時間)を測定した。複数のチャージの合計処理時間をチャージ数で割ることにより、各処理毎の1チャージ当たりの処理時間を求めた。また、第1工程、第2工程、第3工程のうち、最も時間の掛かる第3工程が生産性の律速となるため、当該第3工程の処理時間を用いて生産性の評価を行った。
実施例1〜27(実施例I)では、第1工程においては全合金鉄に対して30〜45%の合金鉄を添加し、第2工程においては全合金鉄に対して30〜45%の合金鉄を添加し、第3工程においては全合金鉄に対して10〜40%の合金鉄を添加している。実施例28〜36(実施例I+II)では、上述した条件に加え、粉状合金Aと塊状合金Bとの添加比率を「60:40」〜「50:50」にしている。
一方、比較例1〜20では、第1工程、第2工程、第3工程のいずれかにおいて、全合金鉄に対する合金鉄の割合が本発明の条件から外れている。例えば、比較例1及び2では、第1工程における全合金鉄に対する合金鉄は26%、21%となっており、30%未満となっていて本発明の条件から外れている。
図2は、溶製した高マンガンクロム含有鋼のMn濃度([Mn]鋼材成分%)の実績値の分布を示したものである。図3は、溶製した高マンガンクロム含有鋼のCr濃度([Cr]鋼材成分%)の実績値の分布を示したものである。
Mn濃度に関し、実施例I及びI+IIでは、図2(a)に示すように、Mn濃度の標準偏差σは0.2質量%とすることができ、狙いとする14.0質量%付近にすることができた。一方、比較例では、図2(b)に示すように、Mn濃度のバラツキが見られた。
Cr濃度に関し、実施例I及びI+IIでは、図3(a)に示すように、Cr濃度の標準偏差σは0.06質量%とすることができ、狙いとする2.25質量%付近にすることができた。一方、比較例では、図3(b)に示すように、Mn濃度のバラツキが見られた。
図4は、第3工程の処理時間を、実施例や比較例毎にまとめたものである。図4に示すように、実施例I、実施例I+II、比較例のうち、実施例I+IIが最も処理時間が短く、しかも、比較例に比べて処理時間のバラツキも少なく生産性が良かった。実施例Iにおいても比較例に比べて処理時間が短くバラツキも少なく生産性が良かった。
以上、本発明によれば、高マンガンクロム含有鋼を溶製するにあたって、MnやCrのバラツキを抑制することができ、生産性も向上させることができた。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 溶銑
2 上底吹き転炉(転炉)
3 取鍋
4 二次精錬設備
5 上吹きランス

Claims (2)

  1. 成分として[C]=0.6〜0.7質量%、[Si]=0.6〜0.9質量%、[Mn]=13.0〜15.0質量%、[Cr]=1.5〜2.5質量%、残部Fe及び不可避不純物からなる高マンガンクロム含有鋼を溶製するにあたって、
    転炉においてMn及びCrを含有する合金鉄を添加すると共に溶銑の脱炭精錬を行う第1工程と、脱炭精錬後の溶鋼を転炉から取鍋へ出鋼する際に前記合金鉄を添加する第2工程と、二次精錬設備において第2工程後の溶銑に前記合金鉄を添加すると共に二次精錬を行う第3工程とを有しており、
    前記第1工程から第3工程に亘って添加する全体の合金鉄を100%としたとき、前記第1工程においては前記全体の合金鉄に対して30〜45%の合金鉄を添加し、前記第2工程においては前記全体の合金鉄に対して30〜45%の合金鉄を添加し、前記第3工程においては全体の合金鉄に対して10〜40%の合金鉄を添加する
    ことを特徴とする高マンガンクロム含有鋼の溶製方法。
  2. 前記第2工程において添加する合金鉄の粒径に関して、粒径が1〜5mmであるものを粉状合金Aとし、粒径が10〜50mmであるものを塊状合金Bとしたとき、粉状合金Aと塊状合金Bとの添加比率(質量%での比率)が「60:40」〜「50:50」の範囲となるように、前記合金鉄を添加することを特徴とする請求項1に記載の高マンガンクロム含有鋼の溶製方法。
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