JP2017106078A - 真空バルブ用接点材料、その製造方法、この接点材料を有する接点ならびに真空バルブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Crを25〜65原子%含有し少なくともCuを過飽和に固溶してなる、体心立方構造を有する過飽和固溶体によって表面が覆われてなることを特徴とする真空バルブ用接点材料、その製造方法、真空バルブ用これを搭載した真空バルブ。
【選択図】図2
Description
前記の過飽和固溶体を、気相状態のCuおよび気相状態のCrの両者を固化させることによって形成すること、を特徴とする。
本発明の実施形態による真空バルブ用接点材料は、Crを25〜65原子%含有し少なくともCuを過飽和に固溶してなる、体心立方構造を有する過飽和固溶体によって、表面が覆われてなること、を特徴とするものである。
本発明の実施形態における上記に「過飽和固溶体」の好ましい一具体例としては、Crを25〜65原子%、特に好ましくは35〜60原子%、含有し、Cuを35〜75原子%、好ましくはCuを40〜65原子%、を含んでなるものを挙げることができる。
本発明の実施形態による真空バルブ用接点材料は、前記の所定の「過飽和固溶体」によって、表面が覆われて被覆されてなるものである。従って、本発明の実施形態による真空バルブ用接点材料は、(イ)その全てが所定の「過飽和固溶体」のみから構成されているもの、ならびに(ロ)所定の「過飽和固溶体」と、真空バルブ用接点材料を構成する「他の材料ないし資材」とを具備してなり、この「過飽和固溶体」によって表面が覆われてなるもの、等が包含される。ここで、「他の材料ないし資材」の特に好ましい具体例としては、好ましくは、例えば、「Cu相およびCr相を含んでなる複合材料」(詳細後記)を挙げることができる。
本発明の実施形態による真空バルブ用接点材料1における複合材料20としては、好ましくは、図1に示されるような、「Cuを含有するマトリクス相21を、好ましくは35〜75原子%、特に好ましくは55〜72原子%、含み、Crを含有する分散相22を、好ましくは25〜65原子%、特に好ましくは28〜45原子%、含んでなる複合材料20」を挙げることができる。この分散相22は、平均粒径または平均幅が、好ましくは5〜200μm、特に好ましくは10〜50μm、の範囲内のものである。ここで、「平均粒径」は、原料Cr粉末の粒度分布測定によって定められるものであり、「平均幅」は、断面組織の光学顕微鏡観察によって求められたものである。
本発明の実施形態による真空バルブ用接点材料の製造方法は、Crを25〜65原子%含有し少なくともCuを過飽和に固溶してなる、体心立方構造を有する過飽和固溶体によって表面が覆われて被覆されてなる真空バルブ用接点材料を製造する方法であって、
前記の過飽和固溶体を、気相状態のCuおよび気相状態のCrの両者を固化させることによって形成すること、を特徴とする。
本発明の実施形態による真空バルブ用接点は、Crを25〜65原子%含有し少なくともCuを過飽和に固溶してなる、体心立方構造を有する過飽和固溶体を、接点の極表面に有すること、を特徴とするものである。
下記の各実施例および各比較例において、Cu−Cr合金の製造方法については、一般に焼結法、溶浸法、真空溶解法、アークメルト法などが知られており、いずれの方法によって製造しても素材は二相組織を有しており、Cr相の幅または粒径は焼結法や溶浸法では数百μmのオーダーであり、真空溶解法やアークメルト法では数十μmのオーダーである。この素材を用いて作製した接点から発生するアークプラズマで過飽和固溶相を形成する場合、アークプラズマの発生源である陰極点が熱的に影響を及ぼす領域が直径数十〜数百μm程度のオーダーであることから、均質な組成の表面層を形成するには、より微細な二相組織を下地としていることが望ましい。そこで、下地の素材は真空溶解法により製造したCu−35wt%Cr合金を使用した。さらに均質な表面層を形成するには、アーク溶解、真空溶解といった急冷凝固や電子ビーム、レーザー照射といった液相領域まで急熱急冷することにより、より微細な二相組織を形成しておくことがより望ましい。そこで、真空溶解によって作製した素材を所定の接点形状に加工した後、場合によっては表面に電子ビームを照射して急熱、急冷を行い、二相組織をより微細化し、Cr相の幅または粒径を0.1μm以下とした。このような状態とした後、接点を真空バルブに組み込み、交流50Hz−1kA半波のアーク放電を繰り返し印加することによって、発生したアークプラズマから凝固した過飽和Cu−Cr相の表面層を形成した。凝固は、主として陰極側に生じるため、アーク放電の印加は極性を変えながら行った。形成した凝固層の結晶構造は、極表面近傍の断面の透過電子顕微鏡観察と電子線回折パターンに基づく結晶方位解析で調べ、体心立方格子であることを確認した。
真空バルブに接点を組み込んだ状態で接点間のギャップを3mmとしてインパルス電源から電圧を印加し、絶縁破壊電圧を測定した。
真空溶解Cu−35wt%Cr材の下地(分散相の平均粒径が20μm)の表面に、同じ組成の過飽和Cu−Cr相をアーク放電によって形成した接点材料を実施例1として、および真空溶解Cu−35wt%Cr材の下地表面に電子ビームを照射し、下地より微細な2相組織(分散相の平均粒径が0.1μm)を表面に形成した上から、さらに最表面層として過飽和固溶体層をアーク放電によって形成した接点材料を実施例2として、それぞれ作製した。過飽和固溶体層の厚さは、0.2μm(実施例1)、0.3μm(実施例2)であった。
真空溶解で作製したCu−21wt%Cr−11wt%V材についても、実施例1と同様にCu−Cr−V過飽和固溶体層(厚さ0.2μm)を有する接点材料(実施例3)を作製した。
アークプラズマ中の物質の凝固は、陰極側と陽極側で異なるため、極性を反転させて均等に過飽和固溶体を形成することがより望ましい。本実施例のように、1kA程度の電流でアークプラズマを発生させた場合では、主として陰極側に凝固による過飽和固溶体の形成が見られる。
3 過飽和固溶体
20 複合材料
21 マトリクス相
22 分散相
200 複合材料20の表層部
201 マトリクス相
202 微細化された分散相
A 真空容器
B 固定電極
C 可動電極
D アークシールド
E アークシールド
F ベローズ
Claims (13)
- Crを25〜65原子%含有し少なくともCuを過飽和に固溶してなる、体心立方構造を有する過飽和固溶体によって、覆われてなることを特徴とする、真空バルブ用接点材料。
- 前記の過飽和固溶体が、さらにV、Ta、Nb、Moから選ばれた一種または二種以上の元素を含んでなる、請求項1に記載の真空バルブ用接点材料。
- 前記の過飽和固溶体によって、Cu相およびCr相を含んでなる複合材料の表面が覆われてなる、請求項1または2に記載の真空バルブ用接点材料。
- 前記の複合材料が、Cuを含有するマトリクス相35〜75原子%と、Crを含有する分散相25〜65原子%とからなるものである、請求項3に記載の真空バルブ用接点材料。
- 前記の分散相は、その平均粒径または平均幅が0.01〜1.0μmである、請求項4に記載の真空バルブ用接点材料。
- 前記の複合材料が、さらにV、Ta、Nb、Moから選ばれた一種または二種以上の元素を含んでなる、請求項3〜5のいずれか1項に記載の真空バルブ用接点材料。
- Crを25〜65原子%含有し少なくともCuを過飽和に固溶してなる、体心立方構造を有する過飽和固溶体によって表面が覆われて被覆されてなる真空バルブ用接点材料を製造する方法であって、
前記の過飽和固溶体を、気相状態のCuおよび気相状態のCrの両者を凝固させることによって形成することを特徴とする、真空バルブ用接点材料の製造方法。 - 前記の過飽和固溶体を、Cuを含有するマトリクス相35〜75原子%と、Crを含有する分散相25〜65原子%とからなる複合材料から発生させた、気相状態のCuおよび気相状態のCrの両者を凝固させることによって形成する、請求項7に記載の真空バルブ用接点材料の製造方法。
- 前記の過飽和固溶体を、前記の複合材料を電極とするアーク放電によって、前記の複合材料から生成させたプラズマ中の物質を凝集させることにより形成する、請求項8に記載の真空バルブ用接点材料の製造方法。
- 前記の過飽和固溶体を、極性を変えて実施された複数回のアーク放電によって生成されたプラズマ中の物質からの凝集物の累積によって形成する、請求項9に記載の真空バルブ用接点材料の製造方法。
- 前記の複合材料が、その表面を液相状態になるまで加熱した後、冷却することによって、前記複合材料の表層部に平均粒径または平均幅が0.01〜1.0μmの微細化された分散相を生成させたものである、請求項8〜10のいずれか1項に記載の真空バルブ用接点材料の製造方法。
- Crを25〜65原子%含有し少なくともCuを過飽和に固溶してなる、体心立方構造を有する過飽和固溶体を、接点の極表面に有することを特徴とする、真空バルブ用接点。
- 請求項12に記載の真空バルブ用接点を具備することを特徴とする、真空バルブ。
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