JP2017105746A - テストステロン増加剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性の高いテストステロン増加剤を提供することである。【解決手段】トマトの乾燥粉末、抽出物又はそれらの処理物を含有するテストステロン増加剤。【選択図】なし

Description

本発明は、トマト由来のテストステロン増加剤に関する。
男性ホルモンの95%を占めるテストステロンは精巣から分泌され、男性の性腺機能はもとより骨や筋肉をつくる強力な働きがあり、女性でも卵巣等でつくられる。また、脳にも影響し、気力や認知機能に関係している。テストステロンは加齢とともに減少することが知られており、性腺機能のみならず記憶、やる気等が減退する男性更年期障害といわれる症状があらわれる。男性更年期障害は緩やかに進行する分、手遅れとなりやすい。また、男性ホルモンはストレスにより低下する。超高齢化ストレス社会において、この解決に男性ホルモン低下を予防するための食品等による男性ホルモンの強化が望まれている。
テストステロン生合成の主原料は「コレステロール」であり、その他ビタミン、亜鉛などの各種ミネラル、必須アミノ酸、アルギニンなどの血行促進成分など、様々な成分により複雑な過程を経て合成される。そのため、テストステロン生合成には、なかなか普段の食事では十分摂れないミネラル、ビタミンなどの「補酵素」と呼ばれる栄養素を意識して補給することが最も効果的である。
特許文献1には、ビタミンKを有効成分として含有するテストステロン増加剤が記載されており、ビタミンK1は、青しそ、エゴマ、モロヘイヤ、パセリ、春菊等の他、トマトに含有されていることが記載されている。
しかしながら、非特許文献1によると、食品100g当たりのビタミンKの含有量は、パセリが850μg、しそが690μg、モロヘイヤが640μg、春菊(ゆで)が460μgであるのに対して、トマトでは4μgであり、トマトを用いる場合には、ビタミンKの含有量が高くなるように精製しない限り、ビタミンKの効果は期待できない。
また、特許文献2には、トマト果実の2−メチル−1,3−プロパンジオール抽出物が皮膚中の活性型TGFβ−1濃度を増加させ、繊維芽細胞の増殖の促進により、抗老化効果を奏することが記載されている。
特許文献3には、トマト果実由来の非水溶性成分及びアラニンを含有する飲食品が血中アルコール濃度低減効果を奏することが記載されている。
特許文献4には、トマト果実由来の水溶性成分を含有し、実質的にリコペン含有しないトマト由来の組成物が抗血栓剤として有用であることが記載されている。
しかしながら、トマトの乾燥粉末、トマト果実由来の水溶性成分等とテストステロン増加作用の関係についてはこれまで報告されていない。
特許第5110478号公報(請求項1、段落0019) 特許第5511284号公報(請求項1〜3、段落0001) 特許第5801515号公報(請求項1、8〜11) 特許第4975902号公報(請求項1〜3)
ビタミンKの多い食品と、食品のビタミンKの含有量一覧表、インターネット<URL:http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/vitamin_k.html>
本発明の課題は、安全性の高いテストステロン増加剤を提供することである。
前記課題を解決すべく、本発明者らは、安全性が確立されているトマトから調製したトマトの乾燥粉末、抽出物又はそれらの処理物を摂取することにより、テストステロンの低下を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)トマトの乾燥粉末、抽出物又はそれらの処理物を含有するテストステロン増加剤。
(2)トマト果実由来の水溶性成分を含有する前記(1)に記載のテストステロン増加剤。
(3)実質的にリコペンを含有しない前記(2)に記載のテストステロン増加剤。
(4)実質的にトマト果実由来の非水溶性成分を含有しない前記(2)に記載のテストステロン増加剤。
(5)トマト果実由来の水溶性成分を含有し、実質的にリコペンを含有しないテストステロン増加剤。
(6)実質的にトマト果実由来の非水溶性成分を含有しない前記(5)に記載のテストステロン増加剤。
(7)食品として用いる前記(1)〜(6)のいずれかに記載のテストステロン増加剤。
本発明によれば、安全性の高いテストステロン増加剤を提供することができる。
図1は精巣障害モデルにおける精巣初代培養細胞からのテストステロン分泌量を示す。 図2は慢性ストレスモデルにおける精巣初代培養細胞からのテストステロン分泌量を示す。 図3はPAO活性の測定結果を示す。 図4は慢性ストレスモデルにおける精巣初代培養細胞からのテストステロン分泌量を示す。 図5は慢性ストレスモデルにおける精巣のグルタチオンペルオキシダーゼ活性を示す。 図6は慢性ストレスモデルにおける精巣初代培養細胞からのテストステロン分泌量を示す。
本発明において、トマト(Solanum lycopersicum)としては、通常、果実の乾燥粉末、抽出物又はその処理物が用いられる。原料として用いるトマト果実としては、PAO(potential anti oxidant)活性が高いものを用いることが好ましい。このようなトマトは、極少培地多頻度少量給液法により栽培することにより得ることができる。極少培地多頻度少量給液法における一株当たりの培地量は、通常1000ml未満、好ましくは200〜500mlである。
トマト果実の乾燥粉末としては、例えば、トマト果実を丸ごとピューレ化後、必要に応じて、濾過して不溶物を除去した後、乾燥粉末化して得られる粉末、トマト果実を乾燥後、常法により粉砕して得られる粉末、抽出物の乾燥粉末が挙げられる。
トマト抽出物を得るために用いる溶媒としては、水;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール;エステル類、例えば酢酸エチル等の酢酸エステル;エーテル類、例えばエチルエーテル、ジオキサン;ケトン類、例えばアセトン等が挙げられる。抽出物を一旦溶媒除去して乾燥物として用いる場合には、前述した任意の溶媒を単独で又は混合して用いることができる。一方、抽出物を溶媒に溶解した状態で用いる場合には、人体に対して有害な作用を示さない溶媒を用いる必要があり、この場合には、水、エタノール又はこれらの混合物を用いることが好ましい。抽出に際して、トマト果実は、そのまま用いることができ、また乾燥後に破砕又は粉砕して溶媒との接触を高めることもできる。
トマト果実1kg当り溶媒2〜4Lで抽出する。抽出温度は、室温ないし溶媒の常圧下での沸点の範囲内であり、抽出時間は、抽出温度等により異なるが、好ましくは、室温の場合24〜30時間、溶媒の常圧下での沸点で行う場合0.5〜2時間である。
このようにして得られた抽出液は、必要に応じて、布、ステンレスフィルター、濾紙、濾過滅菌用フィルター等で濾過して不溶物、不純物等を除去して用いてもよい。また、濾過後の抽出液に、スプレードライ処理、フリーズドライ処理、超臨界処理等の処理を施してもよい。
前記のようにして得られる乾燥粉末、抽出物又はその処理物は、そのまま本発明のテストステロン増加剤の有効成分として用いることができる。また、当該抽出物等をイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、透析等の各種精製手段により処理し、更に活性を高めた処理物として用いてもよい。
また、トマトの乾燥粉末、抽出物又はそれらの処理物を含有する本発明のテストステロン増加剤は、リコペン等のトマト果実由来の非水溶性成分を含有してもよいが、製剤上の理由等の点から、リコペン等のトマト果実由来の非水溶性成分を除去して、当該非水溶性成分を実質的に含有しない組成物として用いてもよい。
ここで、リコペン等のトマト果実由来の非水溶性成分を「実質的に含有しない」とは、当該非水溶性成分による影響がない程度に夾雑物として含有する場合を除外するものではない。
リコペン等のトマト果実由来の非水溶性成分を除去する方法としては、特に制限はないが、例えば、トマトの乾燥粉末、抽出物又はそれらの処理物を含有する組成物を遠心分離して、固形分を沈殿、除去して上澄み液を採取すればよい。
本発明のテストステロン増加剤は、トマトの乾燥粉末、抽出物又はそれらの処理物、あるいはこれらの組成物からリコペン等のトマト果実由来の非水溶性成分を除去して得られる、当該非水溶性成分を実質的に含有しない組成物を公知の食品用担体又は医薬用担体と組合せて製剤化することができる。投与形態としては、特に制限はなく、必要に応じ適宜選択されるが、一般には錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤等の経口剤として使用される。また、本発明のテストステロン増加剤は、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤、軟膏剤等の非経口剤として使用してもよい。また、本発明のテストステロン増加剤は、食品、チューインガム、飲料等に添加して、いわゆる特定保健用食品又は機能性表示食品(例えば、男性ホルモン増加用食品、ストレス改善用食品、疲労回復用食品、男性更年期障害予防用食品)等とすることもできる。
本発明のテストステロン増加剤の投与量は、患者の年令、体重、疾患の程度、投与経路により異なるが、経口投与では、トマトの乾燥粉末及び抽出物等では、乾燥粉末として、通常1日15〜500mgであり、投与回数は、通常、経口投与では1日1〜3回である。
経口剤は、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等の賦形剤を用いて常法に従って製造される。
前記の製剤には、適宜前記賦形剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することができる。
結合剤の具体例としては、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴールが挙げられる。
崩壊剤の具体例としては、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガントが挙げられる。
界面活性剤の具体例としては、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールが挙げられる。
滑沢剤の具体例としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコールが挙げられる。
流動性促進剤の具体例としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムが挙げられる。
また、本発明のテストステロン増加剤は、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤として投与する場合には、矯味矯臭剤、着色剤を含有してもよい。
本発明のテストステロン増加剤の製造原料であるトマトは、食用に供されており、安全性は確立されている。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(製造例1)トマト粉末の調製
トマト(Solanum lycopersicum)果実を丸ごとピューレ化した後、乾燥粉末化してトマト粉末を得た。
ここで用いたトマト果実は、極少培地多頻度少量給液法による栽培(一株当たりの培地量:300ml、培地の種類:ココナツの実の繊維や粉末を乾かして粉砕したヤシガラ培地)で得られたものであり、株式会社うまヘルシーから入手した。
(実施例1)トマト粉末によるテストステロン分泌能の増加効果
加齢やストレスにより精巣(睾丸)からの男性ホルモン(テストステロン)分泌能が低下することが知られている。そこで、以下の試験では、精巣障害モデル及びストレスモデルのマウスによる2つのモデル実験おいて、トマト粉末によるテストステロン分泌能の増加効果を検討した。
(試験方法1)精巣障害モデル
マウス(ddY系、オス、7週齢)を3群に分け、第1群は、通常食(MF,オリエンタル酵母)を摂取させ、何も処置しない群、第2群は、通常食を摂取させ、シスプラチン(2.5mg/kg)を腹腔に投与した群、第3群は、10%トマト粉末(製造例1で得られたトマト粉末)を含む試験食を摂取させ、シスプラチン(2.5mg/kg)を腹腔に投与した群とした。各群はn=3とした。飼育開始1週間後、精巣を取り出し、初代培養法にて精巣細胞を培養した。一夜、培養後、刺激剤としてヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)(1U)を添加して、精巣からのテストステロン分泌量を、EIA法にて定量測定した。
(試験方法2)ストレスモデル
マウス(ddY系、オス、7週齢)を3群に分け、第1群は、通常食(MF,オリエンタル酵母)を摂取させ、何も処置しない群、第2群は、通常食を摂取させた群、第3群は、10%トマト粉末(製造例1で得られたトマト粉末)を含む試験食を摂取させた。第2群と第3群は、飼育5〜7日目に、拘束ストレス処理を行った。拘束は、通気孔を多数開けたプラスチックチューブ(50ml)に約12時間入れた。各群はn=3とした。飼育開始1週間後、精巣を取り出し、初代培養法にて精巣細胞を培養した。一夜、培養後、刺激剤としてヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)(1U)を添加して、精巣からのテストステロン分泌量を免疫測定(EIA)法にて定量測定した。
(試験結果)
精巣障害モデルの結果を図1に示す。精巣障害を起こさせたところ、精巣からのテストステロン分泌量は、シスプラチンを投与し、通常食を摂取させた群では、無処置群に比して、有意に低下し、シスプラチンによる精巣障害がおこりテストステロン分泌量の低下がみられた。一方、シスプラチンを投与し、トマト粉末を摂取させた群では、シスプラチンを投与し、通常食を摂取させた群に比し、有意に増加し、シスプラチン非投与の無処置群とほぼ同レベルまで、精巣障害を抑制できることが示された。
慢性ストレスモデルの結果を図2に示す。精巣からのテストステロン分泌量は、通常食を摂取後、拘束ストレス処理を行った群(慢性ストレス群、第2群)では、慢性ストレスを与えない無処置群(第1群)に比し、テストステロン分泌量が有意に低下し、精巣機能低下が観察された。一方、拘束ストレス負荷とともにトマト粉末を摂取させておいた群(トマト粉末摂取群)では、通常食を摂取後、拘束ストレス処理を行った群(慢性ストレス群、第2群)に比し、テストステロン分泌量が有意に増加し、ストレスによる精巣機能低下を抑制できることが示唆された。
(効果)
加齢により男性ホルモン量は徐々に低下し、性腺機能のみならず筋力低下、活力低下等の男性更年期障害といわれる様々な症状があらわれる。トマト粉末の摂取により、これら更年期症状の防止が期待できる。また、慢性ストレスによる男性ホルモン量低下に対しても同様に効果があることから、ストレス軽減効果も認められる。
超高齢・ストレス社会において、寝たきり防止のための方策には、まずサルコペニアといわれる筋力低下を防止することが必要とされ、男性ホルモン低下の防止が重要と考えられている。また、女性においても副腎アンドロゲンといわれるホルモンが同様の作用を担うとされる。更に、意欲・活力等の精神的活動に対しても男性ホルモンが影響することから、トマト粉末摂取がこれらQOLを維持する効果が期待される。
(参考例1)PAO活性に対するトマトの栽培法の影響
PAO(potential anti oxidant)活性に対するトマトの栽培法の影響を検討するため、以下の2つの条件で栽培を行った。
試験区:極少培地多頻度少量給液法による栽培(一株当たりの培地量:300ml)
対照区:バック栽培(一株当たりの培地量:4000ml以上)
試験区は、根域を極端に制限することで根に自然にストレスが掛かり、トマト栽培の熟練者でなくても比較的容易にトマトの品質が上がるとされている栽培である。
試験区で栽培されたトマトのPAO活性が慣行栽培(対照区栽培)によってできたトマトに比べどれほど上がるかを分析した。
(1)試料の調製
トマト(試験区、対照区、それぞれ12個ずつ)を4つ切りにし、その4分の1を秤量後、ポリ試験管(50ml)に入れ、ポリトロンホモジナイザーで均一化させ、遠心分離機(5,000rpm,10分)にて、固形分を沈殿させた。上澄み液を採取し、−20℃にて保存した。測定前に、その一部をとり、0.45μmのフィルターにて濾過し、僅かに残る不溶物を除去し、これをPAO活性測定用試料とした。
(2)PAO活性の測定
PAO抗酸化能測定キット(日研ザイル(株)日本老化制御研究所)により、使用説明書に記載された方法によりPAO活性の測定を行った。
標準物質2mM尿酸を適宜希釈し、希釈系列を作製した。試験管6本に濃度の異なる標準物質10μl、及び水390μlを添加し希釈した。また別途、試験管に前記トマト試料(果汁)10μl及び水390μlをとり希釈した。マイクロプレートに、これら希釈標準物質及び希釈試料を添加し、各ウェルに銅試薬50μlを添加撹拌し、3分反応させた。反応停止薬を各ウェルに添加撹拌し、マイクロプレートリーダーで490nmにおける吸光度を測定した。標準物質の検量線に基づき、試料の尿酸相当濃度を求め、これに銅還元力係数2189を乗し、これをPAO活性値として表した。
結果を図3に示す。
PAO抗酸化活性は、試験区と対照区で有意の差がみられた。試料(果汁)は測定の都合上、濾過が必要であったため、ほぼ無色かつ水溶性であり、リコペン、カロテン、ビタミンK等の脂溶性物質のPAO抗酸化活性に対する寄与は少ないと推測される。水溶性の抗酸化物質によるものと考えられる。
PAO抗酸化活性をトマト平均1個重量あたりに換算したところ、試験区と対照区で有意の差がみられた。試験区でトマトの重量が減少した分を水分と仮定して、平均重量をPAO活性に乗じたところ、この分を考慮してもPAO活性は高かった。
対照区のPAO活性の最大値が2.16μmol/gであるのに対し、試験区のPAO活性の最大値は3.07μmol/gであった。
したがって、PAO活性が2.3〜3.5μmol/gのトマトを用いるのが好ましく、2.5〜3.5μmol/gのトマトを用いるのが更に好ましい。
(実施例2)トマトの男性ホルモン分泌増加効果
(試験方法1)ストレスモデル
マウス(ddY系、オス、7週齢)を3群に分け、第1群は、無処置群とし、第2群と第3群は、飼育5〜7日目に、拘束ストレス処理を行った。拘束は、通気孔を多数開けたプラスチックチューブ(50ml)に約12時間入れた。第3群は、トマト果汁を飲水の代わりに摂取させた。トマト果汁は、市販ミキサーにてトマトを粉砕した後、遠心分離し、果肉等の不溶物を除去した透明な黄色の果汁とした。なお、これにはリコペンが殆ど含まれていない。いずれの群も、通常食(MF,オリエンタル酵母)を摂取させた。各群はn=4とした。1週間後、精巣を取り出し、初代培養法にて精巣細胞を調製した。一夜、培養後、細胞を洗浄後、3時間培養して培地を採取し、培地中のテストステロン分泌量を免疫測定(EIA)法にて定量測定した。また、精巣の一部をリン酸緩衝液にて抽出し、Flohe とGunzlerらの方法(Flohe,L., Gunzler,W.A., Schock, H.H., Glutathione peroxidase:a selenoenzyme.FEBS Lett., 32:132-134 (1973))により、グルタチオンペルオキシダーゼ活性(GPx)を測定した。
(試験方法2)ストレスモデル
マウス(ddY系、オス、7週齢)を3群に分け、第1群は、無処置群とし、第2群と第3群は、飼育5〜7日目に、拘束ストレス処理を行った。拘束は、通気孔を多数開けたプラスチックチューブ(50ml)に約12時間入れた。第3群は、飲水として1%ビタミンC水溶液を摂取させた。いずれの群も、通常食(MF, オリエンタル酵母)を摂取させた。各群はn=4とした。1週間後、精巣を取り出し、初代培養法にて精巣細胞を調製した。一夜、培養後、細胞を洗浄後、3時間培養して培地を採取し、培地中のテストステロン分泌量を免疫測定(EIA)法にて定量測定した。
(試験結果)
トマト果汁摂取の効果をストレスモデルで調べたところ、図4に示すように、ストレス負荷により精巣細胞からのテストステロン分泌量は、無処置群に比して低下したが、その間、トマト果汁を摂取させた群ではテストステロン分泌量が有意に増加し、ストレスによる精巣機能低下を抑制していることが示唆された。精巣のグルタチオンペルオキシダーゼ活性を調べたところ、果汁摂取群では慢性ストレス群より、有意の増加がみられた(図5)。
また、ビタミンC摂取の効果を同様のストレスモデルで調べたところ、図6に示すように、ストレス負荷により精巣細胞からのテストステロン分泌量は、無処置群に比して低下したが、ビタミンCを摂取させた群ではテストステロン分泌量が僅かに増加した。
(考察)
実施例1のリコペンを含むトマト粉末摂取によるテストステロン分泌低下抑制効果に加え、本実施例では、リコペンをほとんど含まないトマト果汁について、ストレスモデルにおいて、同様のテストステロン分泌低下抑制(増加)効果が認められた。そのうち、果汁に含まれるビタミンCを摂取させた同様の試験で、僅かに効果がみられたことから、トマト果汁のテストステロン増加作用はビタミンCが一部、寄与していると考えられるが、ビタミンC以外の水溶性成分の寄与も示唆された。本実施例の条件下では、抗酸化活性をもつビタミンCでは有意の増加を認めなかったが、精巣の抗酸化活性のうちグルタチオンペルオキシダーゼ活性が、果汁摂取により有意に増加したことから、果汁に含まれる抗酸化活性をもつ水溶性成分がテストステロン分泌に影響したことが示唆された。

Claims (7)

  1. トマトの乾燥粉末、抽出物又はそれらの処理物を含有するテストステロン増加剤。
  2. トマト果実由来の水溶性成分を含有する請求項1記載のテストステロン増加剤。
  3. 実質的にリコペンを含有しない請求項2記載のテストステロン増加剤。
  4. 実質的にトマト果実由来の非水溶性成分を含有しない請求項2記載のテストステロン増加剤。
  5. トマト果実由来の水溶性成分を含有し、実質的にリコペンを含有しないテストステロン増加剤。
  6. 実質的にトマト果実由来の非水溶性成分を含有しない請求項5記載のテストステロン増加剤。
  7. 食品として用いる請求項1〜6のいずれか1項に記載のテストステロン増加剤。
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