JP2017105662A - セラミック複合材 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い初期強度を有するとともに、酸化しても構造物自体が崩壊し難くすることのできるセラミック複合材の提供。
【解決手段】セラミック繊維からなる基材10と、基材10に浸透する炭素マトリックスとを含むセラミック複合材1であって、基材10が、一例として、経糸側では、1本の経糸側耐酸化性繊維糸12と2本の経糸側炭素繊維糸13の合計3本の糸が繰り返し単位を構成し、緯糸側では、1本の緯糸側耐酸化性繊維糸12と2本の緯糸側炭素繊維糸13の合計3本の糸が繰り返し単位を構成して、それらで平織りすることにより耐酸化性繊維糸12と炭素繊維糸13とが互いに交差した混織体11の織布を構成する。セラミック複合材。
【選択図】図3

Description

本発明は、セラミック複合材に関する。
炭素繊維と炭素マトリックスとからなるC/C複合材は、高い耐熱性を有し化学的に安定であるので、半導体製造装置、ホットプレス、原子炉、熱処理炉の構造材料などさまざまな用途で使用されている。しかしながら、従来のC/C複合材では2000℃以上の高温且つ高速ガス気流下で使用すると損傷が生じていた。
このような課題を解決するために、特許文献1には、樹脂を含浸して熱処理した炭素繊維のトウの表面に熱分解性黒鉛を被覆したC/C複合材が提案されている。このようにして製造されたC/C複合材を約2700℃の弱酸化雰囲気の超高速ガス流路中で3秒間暴露してもまったく損傷しなかったことが確認されている。
特開2001−163669号公報
しかしながら、前記記載された発明は、極めて特殊なごく短時間の条件における酸化の評価であり、半導体製造装置、ホットプレス、原子炉、熱処理炉の構造材料などにおいて有用なC/C複合材を提供するものであるとはいえない。
半導体製造装置、ホットプレス、原子炉、熱処理炉などの構造材料では、長期間の使用、炉体の損傷などにより、少しずつ酸化し強度が低下し、構造物そのものの破壊に至ることがある。本発明では、高い初期強度を有するとともに、酸化しても構造物自体が崩壊しにくくすることのできるセラミック複合材を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明のセラミック複合材は、
(1)セラミック繊維からなる基材と、前記基材に浸透する炭素マトリックスとを含むセラミック複合材であって、前記基材は、耐酸化性繊維糸と炭素繊維糸との混織体から構成される。
基材が耐酸化性繊維糸と炭素繊維糸との混織体から構成されると耐酸化性繊維糸は、たとえ炭素繊維糸、炭素マトリックスが劣化しても、酸化するおそれが低いので、構造物を構成するセラミック複合材が酸化を受けても、構造物自体が崩壊しにくくすることができる。
本発明のセラミック複合材は、炭素繊維糸を骨材として有しているので、高い耐熱性を有している。また、炭素繊維は、単一の元素からなるので表面の傷が形成されにくいので高い初期強度を有している。このため、構造物を構成するセラミック複合材が高い初期強度と耐熱性を有し、かつ酸化しても構造物自体が崩壊しにくいセラミック複合材を提供することができる。
本発明のセラミック複合材の炭素繊維糸を構成する炭素繊維は、どのようなものでも利用することができる。例えばピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維のいずれでもよく、特に限定されない。また、ピッチ系炭素繊維とPAN系炭素繊維の両方を用いてもよい。
本発明のセラミック複合材の炭素繊維糸を構成する炭素繊維の直径は、3〜20μmであることが好ましい。炭素繊維の直径が3μm以上であると、特定の炭素繊維に応力が集中しにくく破断を起こりにくくすることができる。炭素繊維の直径が20μm以下であると、曲げられた炭素繊維の表面に張力が発生しにくいので、破断しにくくすることができる。
1本の炭素繊維糸を構成する炭素繊維の本数は、100本〜5000本であることが好ましい。1本の炭素繊維糸を構成する炭素繊維の本数が100本以上であると、炭素繊維間に十分に炭素マトリックスを浸透させることができ、炭素繊維の強化作用を十分に発揮することができる。1本の炭素繊維糸を構成する炭素繊維の本数が5000本以下であると、炭素繊維糸が太くなり過ぎないようにすることができるので、織布を形成したとき起伏を小さくでき、炭素繊維にかかる張力を小さくすることができる。
(2)前記混織体は、前記耐酸化性繊維糸の織布に前記炭素繊維糸が織り込まれて構成されている。
耐酸化性繊維糸だけで織布を構成すると、耐酸化性繊維糸は、それ自体のみで織布を構成していることになる。このようなセラミック複合材は、炭素繊維糸が酸化しても耐酸化性繊維糸は劣化しにくく、セラミック複合材の全体の形状を維持することができ、セラミック複合材の破損を防止することができる。
(3)前記耐酸化性繊維糸は、炭化物系セラミック繊維または酸化物系セラミック繊維からなる。
前記耐酸化性繊維糸は、炭化物系セラミック繊維または酸化物系セラミック繊維を複数本束ねて用いられる。これらの繊維は、高い耐熱性を有しているとともに強度を有しているので、炭素繊維糸および炭素マトリックスの少なくともいずれかが酸化しても、強度の低下を抑え構造材料の形状を維持することができる。
炭化物系セラミック繊維としてはSiC繊維、酸化物系セラミック繊維としてはジルコニア、アルミナ、シリカ、ムライト、バサルトなどの繊維が挙げられる。
耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の直径は、3μm〜20μmであることが好ましい。3μm以上であると、特定の耐酸化性繊維に応力が集中しにくく破断を起こりにくくすることができる。耐酸化性繊維の直径が20μm以下であると、曲げられた耐酸化性繊維の表面に張力が発生しにくいので、破断しにくくすることができる。
1本の耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の本数は100〜5000本であることが好ましい。1本の耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の本数が100本以上であると、耐酸化性繊維間に十分に炭素マトリックスを浸透させることができ、耐酸化性繊維の強化作用を十分に発揮することができる。1本の耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の本数が5000本以下であると、耐酸化性繊維糸が太くなり過ぎないようにすることができるので、織布を形成したとき起伏を小さくでき、耐酸化性繊維にかかる張力を小さくすることができる。
(4)前記耐酸化性繊維糸は、SiC繊維からなる。
SiC繊維は、高い耐熱性、強度を有している上に、炭素繊維糸と反応しにくいので耐酸化性繊維糸として好適に利用することができる。
(5)前記炭素繊維糸は、経糸側および緯糸側に備えられ、経糸側炭素繊維糸および緯糸側炭素繊維糸が互いに交差する。
炭素繊維糸は、炭素のみからなるので繊維表面の傷が少なく、高い破壊強度を有している。炭素繊維糸が、経糸側および緯糸側に備えられ、経糸側炭素繊維糸および緯糸側炭素繊維糸が互いに交差するように設けられることによって、炭素繊維糸自体でセラミック複合材の初期強度を確保することができる。
(6)前記耐酸化性繊維糸は、炭素繊維糸を挟んで互いに間隔をあけて設けられている。
耐酸化性繊維糸が、隣接しないよう炭素繊維糸を挟んで互いに間隔をあけて備えられているので、強度の高い炭素繊維糸を偏ることなく配置することができる。このため、セラミック複合材に強度の弱い部分ができにくくセラミック複合材の初期強度を確保することができる。
(7)前記基材は、複数の前記混織体が積層されて構成される。
複数の前記混織体が積層されることにより、混織体の厚さを十分に確保することができ、基材の強度が増加する。
(8)前記炭素マトリックスは、熱分解炭素またはガラス状炭素の少なくともいずれかより構成される。
熱分解炭素は気体、ガラス状炭素は液体を経て形成される素材であるので、基材の内部まで浸透しやすく、高い接合力を得ることができる。
ガラス状炭素は、炭素前駆体を基材に含浸したのち加熱し熱分解することによって得ることができる。
炭素前駆体としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、コプナ樹脂、ピッチなどが挙げられる。これらの樹脂を塗布、浸漬などの方法で基材の隙間に充填させ、熱分解させる。これらの樹脂は粘度を下げるため、溶媒に溶かし、溶液として使用してもよい。またピッチなど常温で固体の炭素前駆体は、加熱して溶融させて用いる。
本発明のセラミック複合材によれば、耐酸化性繊維糸は、炭素繊維糸、炭素マトリックスが酸化しても、劣化するおそれが低いので、構造物を構成するセラミック複合材が酸化を受けても、構造物自体が崩壊しにくくすることができる。
また、本発明のセラミック複合材は、炭素繊維糸を骨材として有しているので、高い耐熱性を有している。また、炭素繊維は、単一の元素からなるので表面の傷が形成されにくいので高い初期強度を有している。このため、本発明のセラミック複合材は、高い初期強度と耐熱性を有し、かつ酸化しても構造物自体が崩壊しにくいセラミック複合材を提供することができる。
本発明の実施例1のセラミック複合材であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。 本発明の実施例1のセラミック複合材の基材を示す斜視図。 本発明の実施例1のセラミック複合材の混織体の平面図。 図3の混織体から、炭素繊維糸を除いた耐酸化性繊維糸のみによる織布の平面図。 参考例のセラミック複合材の混織体の平面図。 図5の混織体から、炭素繊維糸を除いた耐酸化性繊維糸の配置を示す平面図。
[発明の詳細な説明]
本発明のセラミック複合材は、セラミック繊維からなる基材と、前記基材に浸透する炭素マトリックスとを含む。基材は、耐酸化性繊維糸と炭素繊維糸との混織体から構成される。
本発明のセラミック複合材の耐酸化性繊維糸は、たとえ炭素繊維糸、炭素マトリックスが酸化しても、酸化するおそれが低いので、構造物を構成するセラミック複合材が酸化を受けても、構造物自体が崩壊しにくくすることができる。
また、本発明のセラミック複合材は、炭素繊維糸を骨材として有しているので、高い耐熱性を有している。また、炭素繊維は、単一の元素からなるので表面の傷が形成されにくいので高い初期強度を有している。このため、高い初期強度と耐熱性を有するセラミック複合材を提供することができる。
本発明のセラミック複合材の混織体は、耐酸化性繊維糸の織布に炭素繊維糸が織り込まれて混織体が構成されている。このような構成にすることにより耐酸化性繊維糸は、それ自体のみで織布を構成することができる。耐酸化性繊維糸だけで織布を構成しているので、炭素繊維糸が酸化しても、セラミック複合材の全体の形状を維持することができ、セラミック複合材の破損を防止することができる。
本発明のセラミック複合材の耐酸化性繊維糸は、炭化物系セラミック繊維または酸化物系セラミック繊維からなる。これらの繊維は、高い耐熱性を有しているとともに強度を有しているので、炭素繊維糸および炭素マトリックスが酸化しても、強度の低下を抑え構造材料の形状を維持することができる。
本発明のセラミック複合材の耐酸化性繊維糸は、炭化物系セラミック繊維または酸化物系セラミック繊維を複数本束ねて用いられる。これらの繊維は、高い耐熱性を有しているとともに強度を有しているので、炭素繊維糸および炭素マトリックスの少なくともいずれかが酸化しても、強度の低下を抑え構造材料の形状を維持することができる。
炭化物系セラミック繊維としては例えばSiC繊維、酸化物系セラミック繊維としては例えばジルコニア、アルミナ、シリカ、ムライト、バサルトなどの繊維が挙げられる。
本発明のセラミック複合材の耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の直径は、例えば3μm〜20μmであることが好ましい。3μm以上であると、特定の耐酸化性繊維に応力が集中しにくく破断を起こりにくくすることができる。耐酸化性繊維の直径が20μm以下であると、曲げられた耐酸化性繊維の表面に張力が発生しにくいので、破断しにくくすることができる。
1本の耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の本数は例えば100〜5000本であることが好ましい。1本の耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の本数が100本以上であると、耐酸化性繊維間に十分に炭素マトリックスを浸透させることができ、耐酸化性繊維の強化作用を十分に発揮することができる。1本の耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の本数が5000本以下であると、耐酸化性繊維糸が太くなり過ぎないようにすることができるので、織布を形成したとき起伏を小さくでき、耐酸化性繊維にかかる張力を小さくすることができる。
本発明のセラミック複合材の耐酸化性繊維糸は、SiC繊維からなることが好ましい。
SiC繊維は、高い耐熱性、強度を有している上に、炭素繊維糸と反応しにくいので耐酸化性繊維糸として好適に利用することができる。
本発明のセラミック複合材の炭素繊維糸は、例えば、経糸側および緯糸側に備えられ、経糸側炭素繊維糸および緯糸側炭素繊維糸が互いに交差する。炭素繊維糸は、炭素のみからなるので繊維表面の傷が少なく、高い破壊強度を有している。炭素繊維糸が、経糸側および緯糸側に備えられ、互いに交差するように設けられることによって、炭素繊維糸自体でセラミック複合材の初期強度を確保することができる。
本発明のセラミック複合材の耐酸化性繊維糸は、例えば、炭素繊維糸を挟んで互いに間隔をあけて設けられている。耐酸化性繊維糸が、隣接しないよう炭素繊維糸を挟んで互いに間隔をあけて備えられているので、強度の高い炭素繊維糸を偏ることなく配置することができる。このため、セラミック複合材に強度の弱い部分ができにくくセラミック複合材の初期強度を確保することができる。
本発明のセラミック複合材の耐酸化性繊維糸は、例えば、経糸側および緯糸側に備えられ、経糸側耐酸化性繊維糸および緯糸側耐酸化性繊維糸が互いに交差する。
本発明のセラミック複合材の耐酸化性繊維糸が経糸側および緯糸側に備えられ、経糸側耐酸化性繊維糸および緯糸側耐酸化性繊維糸が互いに交差するとは、例えば以下のような構成がある。経糸側では、1本の経糸側耐酸化性繊維糸と2本の経糸側炭素繊維糸の合計3本の糸が繰り返し単位を構成してもよい。緯糸側では、1本の緯糸側耐酸化性繊維糸と2本の緯糸側炭素繊維糸の合計3本の糸が繰り返し単位を構成してもよい。
本発明のセラミック複合材の基材は、例えば、複数の混織体が積層されて構成される。このような構成により、基材の厚さを十分に確保することができ、十分な強度が得られる。混織体は、例えば平織りのものが用いられる。複数の混織体は、同じ織布から切り出されたものであってよい。
本発明のセラミック複合材の炭素マトリックスは、例えば、熱分解炭素またはガラス状炭素の少なくともいずれかより構成される。
熱分解炭素は気体、ガラス状炭素は液体を経て形成される素材であるので、基材の内部まで浸透しやすく、高い接合力を得ることができる。
本発明のセラミック複合材の炭素繊維糸を構成する炭素繊維は、どのようなものでも利用することができる。例えばピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維のいずれでもよく、特に限定されない。また、ピッチ系炭素繊維とPAN系炭素繊維の両方を用いてもよい。
本発明のセラミック複合材の炭素繊維糸を構成する炭素繊維の直径は、特に限定されない。例えば炭素繊維の直径は、3〜20μmであることが好ましい。炭素繊維の直径が3μm以上であると、特定の炭素繊維に応力が集中しにくく破断を起こりにくくすることができる。炭素繊維の直径が20μm以下であると、曲げられた炭素繊維の表面に張力が発生しにくいので、破断しにくくすることができる。
炭素繊維は、複数本束ねられて炭素繊維糸として用いられる。1本のストランドを構成する炭素繊維の本数は、100〜5000本であることが好ましい。1本の炭素繊維糸を構成する炭素繊維の本数が100本以上であると、炭素繊維間に十分に炭素マトリックスを浸透させることができ、炭素繊維の強化作用を十分に発揮することができる。1本の炭素繊維糸を構成する炭素繊維の本数が5000本以下であると、炭素繊維糸が太くなり過ぎないようにすることができるので、織布を形成したとき起伏を小さくでき、炭素繊維にかかる張力を小さくすることができる。
本発明のセラミック複合材の耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の直径は、特に限定されない。例えば耐酸化性繊維の直径は、3〜20μmであることが好ましい。3μm以上であると、特定の耐酸化性繊維に応力が集中しにくく破断を起こりにくくすることができる。耐酸化性繊維の直径が20μm以下であると、曲げられた耐酸化性繊維の表面に張力が発生しにくいので、破断しにくくすることができる。
耐酸化性繊維は、複数本束ねられて耐酸化性繊維糸として用いられる。1本の耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の本数は、100〜5000本であることが好ましい。
1本の耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の本数が100本以上であると、耐酸化性繊維間に十分に炭素マトリックスを浸透させることができ、耐酸化性繊維の強化作用を十分に発揮することができる。1本の耐酸化性繊維糸を構成する耐酸化性繊維の本数が5000本以下であると、耐酸化性繊維糸が太くなり過ぎないようにすることができるので、織布を形成したとき起伏を小さくでき、耐酸化性繊維にかかる張力を小さくすることができる。
本発明のセラミック複合材を構成する炭素マトリックスは、炭素であればどのようなものでもよく特に限定されない。例えば熱分解炭素、ガラス状炭素などが利用できる。
熱分解炭素は、CVD炉内に基材を入れ、加熱した後、原料ガスを導入し熱分解させることによって得ることができる。
CVD炉の温度は、例えば1200℃以上であることが好ましい。また、CVD炉の温度は、2000℃以下であることが好ましい。また原料ガスは、メタン、エタン、プロパン、エチレンなどの炭化水素ガスが利用できる。
本発明のセラミック複合材のガラス状炭素は、炭素前駆体を基材に含浸したのち加熱し熱分解することによって得ることができる。
本発明のセラミック複合材の炭素マトリックスを形成する炭素前駆体としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、コプナ樹脂、ピッチなどが挙げられる。これらの樹脂を塗布、浸漬などの方法で基材の隙間に充填させ、熱分解させる。これらの樹脂は粘度を下げるため、溶媒に溶かし、溶液として使用してもよい。またピッチなど常温で固体の炭素前駆体は、加熱して溶融させて用いる。
炭素前駆体の熱分解の方法は、特に限定されない。例えば乾燥、熱硬化、焼成の順に行うことができる。
溶媒を用いて含浸した場合、乾燥の温度は、例えば60℃以上であることが好ましい。また、乾燥の温度は、例えば120℃以下であることが好ましい。このような温度下で、効率よく溶媒を揮散させることができる。
溶媒を除去したあと、あるいは溶媒を用いなかった場合には、次に炭素前駆体を熱硬化、焼成させる。熱硬化は140℃〜300℃で行うことが好ましい。熱硬化の温度が140℃以上であると、充分に熱硬化することができ、焼成工程に移行した際の変形を抑えることができる。熱硬化の温度が300℃以下であると、熱硬化の初期段階に表面部分のみが先行して熱硬化することを防止できるので、変形を起こりにくくすることができる。
焼成は600〜2000℃で行うことが好ましい。焼成の温度が600℃以上であると、充分に炭素化を行うことができ、高い耐熱性を得ることができる。焼成の温度が2000℃以下であると、耐酸化性繊維と炭素繊維との反応を抑止できるので、耐酸化性繊維の劣化を防止することができる。
「経糸」と「緯糸」は、製造段階で区別されるものであり、経糸は織機での巻取り方向、緯糸はそれに直交する方向であり、原反において、緯糸は巾方向の両側で切断されることなく反転している。しかしながら原反の両側を切断すると、経糸と緯糸との区別はなくなる。本発明では、便宜的に経糸と緯糸との双方を表現しているが、経糸と緯糸とは特に区別がなく等価のものとして扱い、一方を経糸としたとき、他方は緯糸となる。
混織体とは、異なる種類の糸を用いて形成された織布であって、本発明においては、炭素繊維糸と耐酸化性繊維糸を用いて混織体を形成している。
以下、本発明のセラミック複合材について、実施例および参考例を用いて説明する。
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1のセラミック複合材1であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。図2は本発明の実施例1のセラミック複合材1の基材10を示し、基材10は5枚の混織体11が積層されて構成されている。図3は、本発明の実施例1のセラミック複合材1の混織体11を示し、矢印で示す糸は耐酸化性繊維糸12、それ以外の糸は炭素繊維糸13である。図4は、図3の混織体11から、炭素繊維糸13を除いた耐酸化性繊維糸12のみによる織布を示す。
図1に示すように、実施例1のセラミック複合材1は、平織りの混織体11の積層体が基材10を構成する。基材10は図2に示すように5枚の混織体11が積層されて構成されている。5枚の混織体11は、もともと同じ織布から切り出されたものであって、同一の構成である。複数の混織体11が積層されることにより、基材10の強度が増加する。積層される混織体11の数は特に限定されない。
混織体11は、経糸側、緯糸側ともに同様な糸の配置になっており、3本単位で1つの組み合わせを構成している。1本の耐酸化性繊維糸12と、2本の炭素繊維糸13とが繰り返し並んでいる。
図3は、1層の混織体11を示し、矢印で示す繊維が耐酸化性繊維糸12である。図3に示すように、経糸側では、1本の経糸側耐酸化性繊維糸12aと2本の経糸側炭素繊維糸13a、13bの合計3本の糸が、繰り返す一つの組み合わせの単位を構成している。緯糸側では、1本の緯糸側耐酸化性繊維糸12xと2本の緯糸側炭素繊維糸13x、13yの合計3本の糸が、繰り返す一つの組み合わせの単位を構成している。図4は、図3の混織体11から、耐酸化性繊維糸12のみを表示したものであって、耐酸化性繊維糸12だけでも織布を構成している。
図3からわかるように、炭素繊維糸13は、経糸側および緯糸側に備えられ、経糸側炭素繊維糸および緯糸側炭素繊維糸が互いに交差している。よって、炭素繊維糸自体でセラミック複合材1の初期強度を確保することができる。
また、図3および図4からわかるように、耐酸化性繊維糸12も、経糸側および緯糸側に備えられ、経糸側耐酸化性繊維糸および緯糸側耐酸化性繊維糸が互いに交差している。さらに耐酸化性繊維糸12は、炭素繊維糸13を挟んで互いに間隔をあけて設けられている。耐酸化性繊維糸12が、隣接しないよう炭素繊維糸13を挟んで互いに間隔をあけて備えられているので、強度の高い炭素繊維糸13を偏ることなく配置することができる。このため、セラミック複合材1に強度の弱い部分ができにくくセラミック複合材1の初期強度を確保することができる。
次に実施例1のセラミック複合材1の製造方法について説明する。
混織体11をまず準備する。上述した様に、混織体11は、経糸側、緯糸側ともに同様な糸の配置になっており、3本単位で1つの組み合わせを構成している。1本の耐酸化性繊維糸12と、2本の炭素繊維糸13とが繰り返し並んでいる。自動織機を用いてこのような経糸、緯糸の配列になるように製織する。
得られた混織体11を切断し、フェノール樹脂を含浸したのち、5枚重ね、加熱プレスを用いて硬化させる。硬化は150℃、10分で行う。次に、不活性雰囲気の炉に入れ、焼成する。焼成温度は1000℃である。フェノール樹脂が焼成され、基材10の内部にガラス状炭素からなる炭素マトリックスが形成される。
次に、CVD炉内にいれ、さらに熱分解炭素で覆う。CVD炉では、1500℃の温度で原料ガスにメタンを用いて基材10の内部および表面に熱分解炭素を沈積させる。
こうしてガラス状炭素と熱分解炭素とがそれぞれ炭素マトリックスを構成し、セラミック複合材1が成形される。
本例のセラミック複合材1では、図3、図4に示すように、その混織体11が、少なくとも耐酸化性繊維糸12の織布を含み、炭素繊維糸13が当該織布に織り込まれている構成になっている。たとえ酸化により炭素繊維糸13の強度が低下しても、耐酸化性繊維糸12が織布を構成しているので、セラミック複合材1自体は所定の強度を確保することができる。
<参考例>
参考例のセラミック複合材2は、実施例1のセラミック複合材1と異なる織り方である混織体11を基材とする。
図1と同様に、参考例のセラミック複合材2は、平織りの混織体11の積層体が基材10である。基材10は図2と同様に5枚の混織体11が積層されて構成されている。5枚の混織体11は、もともと同じ織布から切り出されたものであって、同一の構成である。
混織体11は、経糸側、緯糸側ともに同様な糸の配置になっており、2本単位で1つの組み合わせを構成している。1本の耐酸化性繊維糸12と、1本の炭素繊維糸13とが交互に並んでいる。
図5は、参考例のセラミック複合材2の混織体11であり、矢印で示す繊維が耐酸化性繊維糸12、それ以外の繊維が炭素繊維糸13である。図5に示すように、経糸側では、1本の経糸側耐酸化性繊維糸12aと1本の経糸側炭素繊維糸13aの合計2本の繊維が、一つの組み合わせ単位を構成している。緯糸側では、1本の緯糸側耐酸化性繊維糸12xと1本の緯糸側炭素繊維糸13xの合計2本の繊維が、一つの組み合わせ単位を構成している。図6は、図5の混織体11から、炭素繊維糸13を除いた耐酸化性繊維糸12のみの配置を示している。炭素繊維糸13を取り除くと、耐酸化性繊維糸12は、経糸と緯糸との交わりがなくなり、織布とはなっておらず、緯糸側耐酸化性繊維糸12xの上に、経糸側耐酸化性繊維糸12aが配置されている。
参考例のセラミック複合材2の製造においては、経糸側、緯糸側とも、1本の耐酸化性繊維糸12と、1本の耐酸化性繊維糸とが交互に並ぶ混織体を用いたほかは、実施例1と同様に製造する。
本例のセラミック複合材2では、実施例1とは異なり、耐酸化性繊維糸12のみで織布を構成していないが、基材10が耐酸化性繊維糸12と炭素繊維糸13との混織体11から構成されており、所定の強度が確保される。
尚、図示の例では、経糸側および緯糸側の繰り返しの単位における糸の数は、同じ数に設定されている(図3および図4の例では3本、図5および図6の例では2本)。しかしながら、このように同じ数に設定する必要は必ずしもなく、例えば、経糸側の繰り返しの単位における糸の数を3本、緯糸側の繰り返しの単位における糸の数を2本に設定してもよく、本数の組み合わせは任意である。
本発明によれば、高い強度を備えたセラミック複合材が実現され、当該セラミック複合材により、信頼性の高い種々の構造物を製造することが可能となる。
1、2 セラミック複合材
10 基材
11 混織体
12 耐酸化性繊維糸
13 炭素繊維糸

Claims (8)

  1. セラミック繊維からなる基材と、前記基材に浸透する炭素マトリックスとを含むセラミック複合材であって、
    前記基材は、耐酸化性繊維糸と炭素繊維糸との混織体から構成されるセラミック複合材。
  2. 前記混織体は、前記耐酸化性繊維糸の織布に前記炭素繊維糸が織り込まれて構成されている請求項1に記載のセラミック複合材。
  3. 前記耐酸化性繊維糸は、炭化物系セラミック繊維または酸化物系セラミック繊維からなる請求項1または2に記載のセラミック複合材。
  4. 前記耐酸化性繊維糸は、SiC繊維からなる請求項1または2に記載のセラミック複合材。
  5. 前記炭素繊維糸は、経糸側および緯糸側に備えられ、経糸側炭素繊維糸および緯糸側炭素繊維糸が互いに交差する請求項1から4のいずれか1項に記載のセラミック複合材。
  6. 前記耐酸化性繊維糸は、前記炭素繊維糸を挟んで互いに間隔をあけて設けられている請求項1から5のいずれか1項に記載のセラミック複合材。
  7. 前記基材は、複数の前記混織体が積層されて構成される請求項1から6のいずれか1項に記載のセラミック複合材。
  8. 前記炭素マトリックスは、熱分解炭素またはガラス状炭素の少なくともいずれかより構成される請求項1から7のいずれか1項に記載のセラミック複合材。
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