以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る電源回路ユニット1の全体的な構成を説明する。本実施形態で説明する電源回路ユニットは、例えば、直流電圧の電圧変換(降圧)をおこなうスイッチング電源回路ユニット等である。図1及び図2に示されるように、電源回路ユニット1は、回路基板2と、電子部品3、4、5、6、10とを備えている。具体的には、電源回路ユニット1は、回路基板2上に、電源IC3、ダイオード4、コンデンサ5、スイッチング素子6、及びコイル部品10が搭載された構成となっている。
図3〜図7を参照して、コイル部品10の構成について説明する。図3は、コイル部品10の斜視図である。図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。図6は、コイル部品10の端子電極20A、20B側から見た平面図である。図7は、コイル部品の分解斜視図である。図7の分解斜視図では、図3の磁性樹脂層18の図示を省略している。
図3に示されるように、コイル部品10は、後述するコイル12が内部に設けられた素体7を備えている。素体7は、直方体形状の外形を有している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体7は、主面7aを有しており、主面7aは長辺及び短辺を有する矩形状をなしている。矩形状には、角部が丸められている矩形が含まれる。
矩形状の主面7aは、図6に示されるように4つの角部R1〜R4を有しており、角部R1〜R4に端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dが設けられている。端子電極20Aは、主面7aにおける一の角部R1に対応する位置に設けられており、端子電極20Bは、主面7aにおける他の角部R2に対応する位置に設けられている。ダミー電極20C、20Dは、端子電極20A、20Bが設けられていない、主面7aの残りの二つの角部R3、R4に対応する位置にそれぞれ設けられている。すなわち、ダミー電極20Cは、主面7aにおける角部R3に対応する位置に設けられており、ダミー電極20Dは、主面7aにおける角部R4に対応する位置に設けられている。端子電極20Aとダミー電極20Cとが主面7aの一の対角線上(角部R1、R3の対角線上)に並んでいると共に、端子電極20Bとダミー電極20Dとが主面7aの他の対角線上(角部R2、R4の対角線上)に並んでいる。換言すると、端子電極20A、20Bが主面7aの長辺に沿って隣り合っていると共に、ダミー電極20C、20Dが主面7aの長辺に沿って隣り合っている。端子電極20A、20Bとダミー電極20C、20Dとは、主面7aの短辺の二等分線に対して線対称の関係性を有している。
素体7は、例えば磁性材料で構成されている。具体的には、素体7は、磁性基板11と、磁性樹脂層18とで構成されている。
磁性基板11は、例えばフェライト等の磁性材料で構成された略平板状の基板である(図7参照)。磁性基板11は、素体7の、主面7aとは反対側に位置している。
磁性樹脂層18は、磁性基板11上に形成されており、後述するコイル12を内部に備えている。磁性樹脂層18の磁性基板11側の面18bとは反対側の面18aは、素体7の主面7aを構成している。磁性樹脂層18は、磁性粉とバインダ樹脂との混合物であり、磁性粉の構成材料は例えば鉄、カルボニル鉄、ケイ素、クロム、ニッケル、又はホウ素等であり、バインダ樹脂の構成材料は例えばエポキシ樹脂である。
素体7の主面7aに設けられた端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dはいずれも、膜状であり、平面視で略正方形形状を呈している。端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dの各面積は、略同じである。端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dは、例えばCu等の導電性材料によって構成されている。端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dは、めっき形成により形成されためっき電極である。端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dは、単層構造でも複数層構造でもよい。
図4〜図7に示されるように、コイル部品10は、素体7内(具体的には、磁性樹脂層18内)に、コイル12、被覆部17、及び引出導体19A、19Bを備えている。
コイル12は、例えばCu等の金属材料で構成されており、その軸心が主面7aに直交する方向に沿って延びている。コイル12は、二層のコイル導体層で構成されており、コイル導体層として下コイル部13及び上コイル部14を備えると共に連結部15、16を備える。下コイル部13と上コイル部14とは、主面7aに直交する方向(コイル12の軸心方向)に並んでおり、上コイル部14が下コイル部13よりも主面7a側に位置している。下コイル部13と上コイル部14とは、巻回方向が同じである。連結部15は、下コイル部13と上コイル部14との間に介在して、下コイル部13の最も内側の巻回部分と上コイル部14の最も内側の巻回部分とを連結している。連結部16は、下コイル部13から主面7a側に延び、下コイル部13と引出導体19Bとを連結している。
コイル12は、図6に示されるように、平面視において矩形状に巻回されている。コイル12は、主面7aの角部R1〜R4に沿って屈曲する複数の屈曲部(本実施形態では四つの屈曲部)12a〜12dと、屈曲部12a〜12d同士の間における直線状の部分12eとを有する。屈曲部12a〜12dは、矩形状の主面7aの各辺に沿っておらず、向きが変わる部分である。
端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dは、いずれも、屈曲部12a〜12dに対応する位置にある。具体的に、端子電極20Aは、主面7a側から見て、屈曲部12aの上に位置している。端子電極20Bは、主面7a側から見て、屈曲部12bの上に位置している。ダミー電極20Cは、主面7a側から見て、屈曲部12cの上に位置している。ダミー電極20Dは、主面7a側から見て、屈曲部12dの上に位置している。つまり、端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dは互いに離間している。その結果、端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dが形成されていない主面7aの部分では、屈曲部12a〜12d同士の間における直線状の部分12eが露出している。
被覆部17は、絶縁性を有し、絶縁性樹脂で構成されている。被覆部17に用いられる絶縁性樹脂としては、例えばポリイミド、又はポリエチレンテレフタレートが挙げられる。被覆部17は、素体7内において、コイル12の下コイル部13及び上コイル部14を一体的に覆っている。被覆部17は、下コイル部13、上コイル部14、及び連結部15のそれぞれを個別に覆っている。被覆部17は、積層構造を有し、本実施形態では五層の絶縁性樹脂層17a、17b、17c、17d、17eで構成されている(図7参照)。絶縁性樹脂層17aは、下コイル部13の下側(磁性基板11側)に位置し、平面視におけるコイル12の形成領域と略同じ領域に形成されている。絶縁性樹脂層17bは、下コイル部13の同一層内の周囲及び巻回部分の間を埋めており、コイル12の内径に対応する領域は開いている。絶縁性樹脂層17bは、磁性基板11に直交する方向に沿って延びている。絶縁性樹脂層17cは、下コイル部13と上コイル部14との間に挟まれる位置にあり、コイル12の内径に対応する領域が開いている。絶縁性樹脂層17dは、上コイル部14の同一層内の周囲及び巻回部分の間を埋めており、コイル12の内径に対応する領域が開いている。絶縁性樹脂層17eは、上コイル部14の上側(主面7a側)に位置し、コイル12の内径に対応する領域が開いている。
引出導体19A、19Bは、例えばCuで構成されており、コイル12の端部E1、E2から主面7aに直交する方向に沿って延び、コイル12と端子電極20A、20Bとを電気的に接続する。主面7aは、被搭載部品に搭載する際に被搭載部品に対向する搭載面である。
引出導体19A(第一引出導体)は、上コイル部14の最外の巻回部分に設けられたコイル12の一方の端部E1に接続されている。引出導体19Aは、磁性樹脂層18を貫通するようにしてコイル12の端部E1から素体7の主面7aまで延びて、主面7aに露出している。引出導体19Aの露出した主面7aの領域に、端子電極20A(第一端子電極)が設けられている。すなわち、引出導体19Aは、コイル12の端部E1から端子電極20Aまで延びて、端子電極20Aに接続されている。これにより、引出導体19Aを介して、コイル12の端部E1と端子電極20Aとが電気的に接続されている。
引出導体19B(第二引出導体)は、下コイル部13の最外の巻回部分に設けられたコイル12の他方の端部E2に接続されている。引出導体19Bは、磁性樹脂層18を貫通するようにしてコイル12の端部E2から素体7の主面7aまで延びて、主面7aに露出している。引出導体19Bの露出した主面7aの領域に、端子電極20B(第二端子電極)が設けられている。すなわち、引出導体19Bは、コイル12の端部E2から端子電極20Bまで延びて、端子電極20Bに接続されている。これにより、引出導体19Bを介して、コイル12の端部E2と端子電極20Bとが電気的に接続されている。
ダミー電極20C、20Dは、主面7aにおける端子電極20A、20Bとは異なる位置に設けられている。すなわち、ダミー電極20C、20Dは、引出導体19A、19Bが露出していない箇所に位置している。ダミー電極20C、20Dは、引出導体19A及び引出導体19Bのいずれとも導通されていない。すなわち、ダミー電極20C、20Dは、コイル12の一方及び他方の端部E1、E2のいずれとも電気的に接続されていない。
次に、図8〜図10を参照して、コイル部品10の製造方法について説明する。図8〜図10は、コイル部品10の製造工程を説明する図である。
まず、図8の(a)に示されるように、磁性基板11の上に絶縁性樹脂ペーストパターンを塗布して、被覆部17の絶縁性樹脂層17aを形成する。続いて、図8の(b)に示されるように、絶縁性樹脂層17aの上に、下コイル部13をめっき形成するためのシード部22を形成する。シード部22は、所定のマスクを用いてめっきやスパッタリング等により形成することができる。続いて、図8の(c)に示されるように、被覆部17の絶縁性樹脂層17bを形成する。この絶縁性樹脂層17bは、磁性基板11の全面に絶縁性樹脂ペーストを塗布した後、シード部22に対応する部分を除去することで得ることができる。すなわち、絶縁性樹脂層17bは、シード部22を露出させる機能を有する。この絶縁性樹脂層17bは、磁性基板11上に立設された壁状の部分であり、下コイル部13形成される領域を画成する。続いて、図8の(d)に示されるように、絶縁性樹脂層17bの間においてシード部22を用いて、めっき層24を形成する。このとき、絶縁性樹脂層17bの間に画成された領域を充たすように成長するめっきが、下コイル部13となる。その結果、下コイル部13の巻回部分が隣り合う絶縁性樹脂層17bの間に位置するようになる。
続いて、図9の(a)に示されるように、絶縁性樹脂ペーストパターンを下コイル部13の上に塗布することにより、被覆部17の絶縁性樹脂層17cを形成する。その際、絶縁性樹脂層17cに、連結部15、16を形成するための開口部15’、16’を形成する。続いて、図9の(b)に示されるように、絶縁性樹脂層17cの開口部15’、16’に、連結部15、16をめっき形成する。
続いて、図9の(c)に示されるように、上述した工程と同様にして、絶縁性樹脂層17cの上に、上コイル部14および被覆部17の絶縁性樹脂層17d、17eを形成する。具体的には、図8の(b)〜(d)に示す手順と同様に、上コイル部14をめっき形成するためのシード部を形成し、上コイル部14が形成される領域を画成する絶縁性樹脂層17dを形成し、絶縁性樹脂層17dの間において上コイル部14をめっき形成する。
そして、絶縁性樹脂ペーストパターンを上コイル部14の上に塗布することにより、被覆部17の絶縁性樹脂層17eを形成する。その際、絶縁性樹脂層17eに、引出導体19A、19Bを形成するための開口部19A’、19B’を形成する。以上のように、被覆部17は、複数の絶縁性樹脂層17a〜17eを含む積層構造を有し、これらの絶縁性樹脂層17a〜17eによって、下コイル部13及び上コイル部14が取り囲まれる。
続いて、図9の(d)に示されるように、めっき層24のうち、下コイル部13及び上コイル部14を構成していない部分(下コイル部13及び上コイル部14の内径部及び外周部に対応する部分)をエッチング処理によって除去する。換言すると、図9の(c)の被覆部17に覆われていないめっき層24除去する。続いて、図10の(a)に示されるように、絶縁性樹脂層17eの開口部19A’に対応する位置に引出導体19Aを形成すると共に、開口部19B’に対応する位置に引出導体19Bを形成する。具体的には、所定のマスクを用いてめっきやスパッタリング等により、開口部19A’、19B’上に引出導体19A、19Bのためのシード部を形成し、当該シード部を用いて引出導体19A、19Bをめっき形成する。
続いて、図10の(b)に示されるように、磁性基板11の全面に磁性樹脂を塗布すると共に所定の硬化処理をおこない、磁性樹脂層18を形成する。それにより、被覆部17及び引出導体19A、19Bの周りが磁性樹脂層18で覆われる。このとき、コイル12の内径部分に磁性樹脂層18が充填される。続いて、図10の(c)に示されるように、引出導体19A、19Bが磁性樹脂層18から露出するように研磨する。
上記工程により、素体7が形成され、素体7の主面7aから引出導体19A、19Bが露出する。そして、引出導体19A、19Bが露出した主面7a上にシード部を形成し、該シード部を用いて、端子電極20A、20Bおよびダミー電極20C、20Dをめっき形成する。このとき、端子電極20A、20Bは、主面7aにおける引出導体19A、19Bが露出している部分に形成する。ダミー電極20C、20Dは、主面7aにおける引出導体19A、19Bが露出していない部分に形成する。以上によって、コイル部品10が形成される。なお、主面7aにおける上記シード部が形成されていない部分にめっきが成長しないように、主面7a上に、絶縁性のオーバーコート層を成膜してもよい。
次に、図6、図11及び図12を参照して、本実施形態に係るコイル部品10の作用及び効果について説明する。図11は、二端子のコイル部品30の端子電極30A、30B側から見た平面図である。図11に示したコイル部品30は、主面7a上の電極配置が本実施形態に係るコイル部品10とは異なり、その他の構成はコイル部品10と同様である。すなわち、コイル部品30は、図11に示されるように、コイル部品10の四つの端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dに代えて、二つの端子電極30A、30Bを備えている。
端子電極30Aは、素体7の主面7aにおける各角部R1、R3だけでなく、角部R1と角部R3との間を跨ぐように一体的に設けられている。端子電極30Bも、端子電極30A同様、素体7の主面7aにおける各角部R2、R4だけでなく、角部R2と角部R4との間を跨ぐように一体的に設けられている。端子電極30A、30Bの各面積は、端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dの各面積よりも大きい。端子電極30A、30Bの各面積の和は、端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dの各面積の和よりも大きい。
発明者らは、コイル部品30では、素体7の主面7aを覆っている電極の総面積(以下、「端子面積」ともいう。)が大きいためにインダクタンスの低下が大きいとの知見を得た。そこで、発明者らは、インダクタンスの低下を抑制するため、まず端子面積を小さくすることを想到するに至った。図12は、コイル部品30よりも端子面積の小さい二端子のコイル部品40の端子電極20A、20B側から見た平面図である。コイル部品40は、ダミー電極20C、20Dを備えていない点でのみ、コイル部品10とは異なり、その他の構成はコイル部品10と同様である。すなわち、コイル部品40は、図12に示されるように、コイル部品10の四つの端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20Dのうち、二つの端子電極20A、20Bのみを備えている。
コイル部品40の端子電極20A、20Bは、コイル部品30の端子電極30A、30Bよりも面積が小さく、コイル部品40の端子面積は、コイル部品30の端子面積よりも小さい。ここで、発明者らは、更なる検討の結果、コイル部品30から、コイル部品40のように単に端子面積を小さくした場合には、インダクタンスの低下を抑制することができるものの、コイル部品40を被搭載部品に搭載する際の搭載性を十分に確保し難くなってしまうとの知見を得た。そこで、発明者らは、インダクタンスの低下を抑制するという検討にとどまらず、コイル部品の搭載性についても鋭意検討し、その結果、本実施形態に係るコイル部品10を想到するに至った。
本実施形態に係るコイル部品10によれば、端子電極20A、20Bはいずれも、一つの角部R1、R2に対応する位置に設けられている。このため、端子電極20A、20Bは、複数の角部R1〜R4に跨るように設けられた端子電極(例えば、図11に示す端子電極30A、30B)に比べて、素体7の主面7aを覆っている面積が小さい。よって、コイル12の磁束は、主面7aにおいて、端子電極20A、20Bによって遮断されにくく、それにより、インダクタンスの低下を抑制することができる。このとき、素体7の主面7a上には、端子電極20A、20Bの他に、引出導体19A、19Bのいずれとも導通されていないダミー電極20C、20Dが設けられている。このダミー電極20C、20Dは、コイル部品10の重心バランスが安定する位置に配置し得る。そのため、端子電極20A、20Bのみが設けられている場合に比べて、コイル部品10の重心バランスを安定させることができる。これにより、コイル部品10を、被搭載部品上に、主面7c側から搭載する際の搭載性を十分に確保することができる。以上により、上述したコイル部品10は、搭載性を十分に確保しつつ、インダクタンスの低下を抑制することができる。
本実施形態に係るコイル部品10によれば、矩形状の主面7aのすべての角部R1〜R4に電極(端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20D)が設けられているため、コイル部品10の重心バランスがさらに安定し、さらなる搭載性の向上が図られる。
コイル12の屈曲部12a〜12dは、磁束の衝突が生じ、その結果、磁束の発生効率が低下しやすい。本実施形態に係るコイル部品10によれば、主面7a側から見て、磁束の発生効率が比較的低い屈曲部12a〜12dに対応する位置に電極(端子電極20A、20B及びダミー電極20C、20D)が設けられていることで、当該電極による磁束遮断の影響を受けにくくなり、インダクタンスの低下の影響も受けにくくなる。
本実施形態に係る電源回路ユニット1によれば、上記コイル部品10を備えていることにより、コイル部品10の搭載性を確保しつつ、インダクタンスの低下を抑制することができる。このようなコイル部品19を備えた電源回路ユニット1によれば、電源回路ユニット1内の回路基板2上に搭載された電源ICのノイズを好適に抑制することができる。一般に、インダクタンスの値が電源ICの設計に対し適切でないと、ノイズが生じることが考えられる。電源回路ユニット1によれば、インダクタンスの意図しない低下を抑制することができる結果、インダクタンスの値を所望の値にすることができ、ノイズを好適に抑制することができる。ここで、共振周波数周辺では、インダクタンスの乱高下の影響により、ノイズが生じやすい。このとき、共振周波数を使用周波数帯よりも高周波数側に離し、インダクタンスの乱高下の影響を減らすことで、ノイズの抑制が可能と考えられる。
以下、図13及び図14を参照して、本実施形態に係るコイル部品10によりインダクタンスの低下が実際に抑制されることを、発明者らが実験により検証した結果を示す。図13は、端子数とL値変動率との関係を示すグラフである。図13のグラフの横軸は、端子数を示し、図13のグラフの縦軸は、L値変動率を示す。図13のグラフ中の「端子数」とは、素体7の主面7aに位置している電極の数を示す。図13のグラフ中のL値変動率とは、二端子を基準にした四端子のインダクタンスの増加割合である。なお、図13における端子数が二端子である場合とは、図11に示したコイル部品30の場合を示し、図13における端子数が四端子である場合とは、本実施形態のコイル部品10の場合を示す。図13のグラフに示されるように、二端子のコイル部品30よりも、四端子のコイル部品10の方が、インダクタンスが高くなり、インダクタンスの低下を抑制することができることが確認された。
図14は、端子面積とL値変動率との関係を示すグラフである。図14のグラフの横軸は、端子面積を示し、図14のグラフの縦軸は、L値変動率を示す。図14のグラフ中のL値変動率とは、端子面積の減少に伴うインダクタンスの増加割合である。図14に示されるように、端子面積が小さいほど、インダクタンスが高くなることが確認された。よって、端子面積が大きいコイル部品30よりも、より端子面積の小さいコイル部品10の方が、インダクタンスの低下を抑制することができることが確認された。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他に適用してもよい。
例えば、上記実施形態では、端子電極20A、20Bとダミー電極20C、20Dとがそれぞれ同じ対角線上に並んでいるが、これに限られない。例えば、一対の端子電極20A、20Bが同じ対角線上に並んでいてもよく、一対のダミー電極20C、20Dが同じ対角線上に並んでいてもよい。換言すると、端子電極20A、20Bのいずれかとダミー電極20C、20Dのいずれかとが、主面7aの長辺に沿って隣り合っていてもよい。
ダミー電極の数は、一つ又は三つ以上であってもよい。例えば、ダミー電極が一つの場合には、角部R1、R2に配置された端子電極20A、20Bに加え、角部R1と角部R2との距離が等しくなるような位置(例えば、角部R3と角部R4との間の中間部分)にダミー電極を配置することで、コイル部品の搭載性を十分に確保することができる。
コイル導体層の数等は、上記実施形態に限られない。例えば、コイル12を構成するコイル導体層の数は二つに限られず、一つ又は三つ以上であってもよい。