JP2017103107A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】非水電解液がガス発生剤を含むリチウムイオン二次電池において、過充電時のガスの発生量が多く、且つサイクル特性が良好なリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】ここに開示されるリチウムイオン二次電池100は、正極30、負極40、およびセパレータ50を有する電極体20と、ガス発生剤を含有する非水電解液と、電極体20および非水電解液を収容する電池ケース10と、電池ケース10に設けられ、電極体20に接続された電極端子60と、電池ケース10の内圧が予め定められた圧力以上に上昇した際に、電極端子60から電極体20に至る導電経路を切断する電流遮断機構80とを備える。セパレータ50は、ビニルエーテル化合物の重合体のグラフト鎖を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、既存の電池に比べて軽量かつエネルギー密度が高いことから、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として用いられている。リチウムイオン二次電池は、特に、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両の駆動用高出力電源として今後ますます普及していくことが期待されている。
リチウムイオン二次電池は、その安全性、特に過充電時の安全性が高いことが求められている。リチウムイオン二次電池は、一般的に密閉型電池であり、何らかの原因で充電時に所定以上の電流が流れて過充電状態になると、電池電圧が高くなり、電池内圧の上昇や電池温度の上昇が起こる。リチウムイオン二次電池では、過充電に対して様々な安全策が講じられている。
安全策の一つは、電流遮断機構とガス発生剤の併用である。例えば、特許文献1には、正極、負極、および当該正負極間に介在するセパレータを備える電極体と、電極体を収容する電池ケースと、電池ケースに設けられ、電極体に接続された外部端子と、電池ケースに収容され、予め定められた電圧以上の電圧で反応し、ガスを発生させるガス発生剤を含む非水電解質と、電池ケースの内圧が予め定められた圧力以上に高くなると、電極体と外部端子との電気的な接続を遮断する電流遮断機構とを備える非水電解質二次電池が開示されている。電流遮断機構とガス発生剤とを併用した非水電解質二次電池では、過充電時にガス発生剤よりガスが発生する。それにより電池ケースの内圧が上昇して電流遮断機構が作動する。これにより、電流が遮断されてそれ以上の過充電を防止することができる。特許文献1においては、セパレータとして、多孔性ポリオレフィン系樹脂で構成されたシート材が使用可能であることが開示されている。
特開2015−060670号公報
電流遮断機構は過充電の初期に作動した方が、過充電時の安全性が高くなる。そのため、過充電時にガス発生剤から多量のガスが速やかに発生することが好ましい。本発明者の検討によれば、特許文献1に記載の技術において、過充電時のガス発生量に改善の余地があることがわかった。一方で、リチウムイオン二次電池は、充放電を繰り返した際に容量の劣化が小さいこと、即ちサイクル特性が良好であることが望まれている。
そこで本発明は、非水電解液がガス発生剤を含むリチウムイオン二次電池において、過充電時のガスの発生量が多く、且つサイクル特性が良好なリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、正極、負極、および当該正負極間に介在するセパレータを有する電極体と、予め定められた電圧以上の電圧で反応し、ガスを発生させるガス発生剤を含有する非水電解液と、前記電極体および前記非水電解液を収容する電池ケースと、前記電池ケースに設けられ、前記電極体に接続された電極端子と、前記電池ケースの内圧が予め定められた圧力以上に上昇した際に、前記電極端子から前記電極体に至る導電経路を切断する電流遮断機構とを備える。前記セパレータは、ビニルエーテル化合物の重合体のグラフト鎖を有する。
このような構成によれば、セパレータに親水性が付与されているので、ガス発生剤がセパレータの空孔内に蓄積されることを防止することができ、過充電時に反応可能なガス発生剤の量が多くなる。よって、リチウムイオン二次電池の過充電時のガスの発生量が多い。また、親水性のグラフト鎖の中でもビニルエーテル化合物の重合体のグラフト鎖は、還元されにくく、リチウムイオンを捕捉し難い。よって、グラフト鎖によるサイクル特性への悪影響がほとんどなく、リチウムイオン二次電池のサイクル特性は良好である。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池に用いられる電極体の構成を示す模式図である。 作製したNo.1〜No.4のリチウムイオン二次電池の過充電時の内圧上昇量を示すグラフである。 作製したNo.1〜No.4のリチウムイオン二次電池の充放電1000サイクル後の容量維持率を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けないリチウムイオン二次電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、いわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、リチウムイオン二次電池100は、正極30、負極40、および正極30と負極40との間に介在するセパレータ50を有する電極体(本実施形態では捲回電極体)20と、非水電解液(図示せず)とを備え、電極体20および非水電解液は、電池ケース10内に収容されている。
電池ケース10は、例えば、アルミニウムおよびその合金、鉄およびその合金などからなる金属製、ポリアミド等の樹脂製、ラミネートフィルム製等の各種のものを好適に用いることができる。図1の例では、電池ケース10は、アルミニウム合金製の角型であり、上端が開放された有底の扁平な箱型形状(典型的には直方体形状)のケース本体(外装ケース)12と、該ケース本体12の開口部を塞ぐ蓋体14とを備えている。
電池ケース10の上面(すなわち蓋体14)には、捲回電極体20の正極30と電気的に接続された正極端子60および捲回電極体20の負極40と電気的に接続された負極端子70が設けられている。また、蓋体14には、典型的には、捲回電極体20が収容されたケース本体12内に非水電解液を注入するための注入口(図示せず)が形成されている。さらに、蓋体14には、安全弁82が設けられている。安全弁82は、電池ケース10内で発生したガスによって内圧が所定値(例、0.3〜1.0MPa程度)以上に上昇した場合に、該内圧を開放するように構成されている。
電池ケース10の内部には、電池ケース10内の圧力が予め定められた圧力以上に上昇した際に作動する電流遮断機構(CID)80が設けられている。CID80は、電池ケース10の内圧が上昇した場合に少なくとも一方の電極端子から電極体20に至る導電経路(例えば、充電経路)を切断するように構成されていればよく、特定の形状に限定されない。典型的には、正極端子60と電極体20との間に設けられ、電池ケース10の内圧が上昇した場合に正極端子60から電極体20に至る導電経路を切断するように構成されている。通常、CID80が作動する圧力は、安全弁82が作動する圧力よりも低く設定される。
図2は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100に用いられる電極体20の構成を示す模式図である。図2では、長尺な正極(正極シート)30、長尺な負極(負極シート)40および長尺なセパレータ(セパレータシート)50により、捲回電極体20が構成されている。
正極シート30は、典型的には、正極集電体32と、正極活物質層34とを備えている。図2に示すように、正極集電体32には、正極活物質層34が形成される部位と、正極活物質層34が設けられずに集電体32が露出される正極集電体露出部33とが設けられる。この正極集電体露出部33は、正極集電体32の一の端部に設けられる。図には明示していないが、本実施形態では、正極集電体32の両面に正極活物質層34が設けられている。しかしながら、正極活物質層34はいずれか一方の面にのみ設けられていてもよい。
負極シート40は、典型的には、負極集電体42と、負極活物質層44とを備えている。図2に示すように、負極集電体42には、負極活物質層44が形成される部位と、負極活物質層44が設けられずに集電体42が露出される負極集電体露出部43とが設けられる。この負極集電体露出部43は、負極集電体42の一の端部に設けられる。図には明示していないが、本実施形態では、負極集電体42の両面に負極活物質層44が設けられている。しかしながら、負極活物質層44はいずれか一方の面にのみ設けられていてもよい。
本実施形態においては、図2に示すように、捲回電極体20は、扁平形状を有する。このような捲回電極体20は、正極シート30と負極40シートとを計二枚のセパレータシート50を介在して積層させた状態で、長手方向に捲回して(換言すると、長手方向に直交する幅方向を倦回軸として捲回して)、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって構築される。
積層の際には、正極シート30の正極集電体露出部33と、負極シート40の負極集電体露出部43とが、セパレータシート50の幅方向の両側からそれぞれ互いに異なる側にはみ出すように、正極シート30と負極シート40とを幅方向でややずらして重ね合わせる。その結果、捲回電極体20の捲回軸方向では、正極集電体露出部33と負極集電体露出部43とが、それぞれ捲回コア部分(すなわち正負の活物質層34,44が対向した部分)から外方にはみ出している。
図1に示すように、正極集電部材62を介してかかる正極集電体露出部33に正極端子60(例えばアルミニウム製)が接合されており、捲回電極体20の正極30と正極端子60とが電気的に接続されている。同様に、負極集電部材72を介して、負極集電体露出部43に負極端子70(例えばニッケル製)が接合されており、負極40と負極端子70とが電気的に接続されている。なお、正負の集電部材62,72と、正負極端子60,70および正負極集電体32,42とは、超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。このようにして、蓋体14に捲回電極体20が固定されて、ケース本体12内に収容されている。ケース本体12の開口部と蓋体14とは、溶接等によって接合されることにより封止されている。
非水電解液には、有機溶媒(非水溶媒)中に、支持塩、および予め定められた電圧以上の電圧で反応し、ガスを発生させるガス発生剤を含有させたものが用いられる。非水電解液は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、その他の成分として、例えば、被膜形成剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤を含み得る。
非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類等の非プロトン性溶媒を用いることができる。なかでも、カーボネート類、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を好適に採用し得る。あるいは、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F−DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)のようなフッ素化カーボネート等のフッ素系溶媒を好ましく用いることができる。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等のリチウム塩を好適に用いることができ、特にLiPFが好ましい。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。
ガス発生剤としては、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、ビフェニル(BP)などを用いることができる。CHBおよびBPは、例えば、凡そ4.35Vから4.6V程度の過充電時において重合反応が活性化し、水素ガスを発生させる。非水電解液に対するガス発生剤の添加量は、例えば、凡そ0.05質量%以上4.0質量%以下である。
正極シート30を構成する正極集電体32としては、例えばアルミニウム箔等が挙げられる。正極活物質層34に含まれる正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属酸化物(例、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等)、リチウム遷移金属リン酸化合物(例、LiFePO等)等が挙げられる。正極活物質層34は、活物質以外の成分、例えば導電材やバインダ等を含み得る。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。
負極シート40を構成する負極集電体42としては、例えば銅箔等が挙げられる。負極活物質層44に含まれる負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。負極活物質層44は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
セパレータ50としては、ビニルエーテル化合物の重合体のグラフト鎖を有するものが用いられ、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンからなる多孔性シート(フィルム)に、ビニルエーテル化合物の重合体のグラフト鎖が導入されたものを用いることができる。多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。ビニルエーテル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル等の低級アルキルビニルエーテル化合物、フラン(1−オキサ−2,4−シクロペンタジエン)、2,3−ジヒドロフラン等の環状ビニルエーテル化合物が挙げられる。これらのうち、環状ビニルエーテル化合物が好ましい。
セパレータ50の平均厚みは特に限定されないが、通常、10μm以上、典型的には15μm以上、例えば17μm以上とすることができる。一方で、通常、40μm以下、典型的には30μm以下、例えば25μm以下とすることができる。
ビニルエーテル化合物の重合体のグラフト鎖を有するセパレータ50は、例えば、多孔性ポリオレフィンシート基材に、電子線等を照射してラジカルを生成させ、これをビニルエーテル化合物を含む溶液中に浸漬して、ビニルエーテル化合物をグラフト重合させることにより作製することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、過充電時のガスの発生量が多く、サイクル特性が良好である。その理由は次のように考えられる。
リチウムイオン二次電池に過充電が起きた場合、電圧上昇により非水電解液中のガス発生剤が反応して水素ガスが発生する。この水素ガスの発生により電池ケースの内圧が即座に上昇し、CIDが作動して電流が遮断されることになる。ここで、ガス発生剤は、疎水性化合物である。そして従来より一般的に用いられているセパレータは、多孔性ポリオレフィンシート等の疎水性のセパレータである。そのため、ガス発生剤が、セパレータの空孔内に捕捉され易く、セパレータの空孔内に蓄積され易い。セパレータの空孔内に蓄積されたガス発生剤は、過充電が起きたときに反応し難いため、水素ガスを発生し難い。一方、本実施形態においては、ビニルエーテル化合物の重合体のグラフト鎖を有するセパレータが用いられる。ビニルエーテル化合物の重合体は親水性であるため、本実施形態において用いられるセパレータには、親水性のグラフト鎖によって親水性が付与されている。そのため、疎水性化合物であるガス発生剤が、セパレータの空孔内に捕捉され難くなっており、よってセパレータの空孔内に蓄積され難くなっている。このため、本実施形態では、従来技術に比べて、過充電が起きたときに反応可能なガス発生剤の量が多くなり、水素ガスの発生量が多くなる。
ここで、リチウムイオン二次電池とは異なる種類の電池であるが、アルカリ二次電池の分野においては、アクリル酸等のカルボン酸化合物をグラフト重合させたセパレータが知られている。そこで、リチウムイオン二次電池においても、親水性が付与されたセパレータとして、カルボン酸化合物の重合体のグラフト鎖を有するセパレータを使用することも考えられる。しかしながら、本発明者の検討によれば、カルボン酸化合物をセパレータにグラフト重合させた場合には、サイクル特性(繰り返し充電時の容量維持率)が低下することがわかった。一方で、ビニルエーテル化合物の重合体のグラフト鎖を有するセパレータでは、グラフト鎖の導入によるサイクル特性の低下がほとんど見られないことがわかった。これは、親水性基であるカルボン酸化合物のカルボキシ基は、リチウムイオン二次電池の負極電位により還元され易いが、親水性基であるビニルエーテル化合物のエーテル基は、リチウムイオン二次電池の負極電位により還元され難いためであると考えられる。また、カルボキシ基や、カルボキシ基の還元によって生成するヒドロキシル基は、極性が特に高いためリチウムイオンを捕捉し易く、これにより不可逆容量が発生し易いが、エーテル基は、比較的リチウムイオンを捕捉し難いためであると考えられる。
以上のように、電流遮断機構80を備えるリチウムイオン二次電池100において、非水電解液がガス発生剤を含み、且つセパレータ50が、ビニルエーテル化合物の重合体のグラフト鎖を有することにより、過充電時のガス発生量が多くなるため、迅速に電流遮断機構を作動させることができる。即ち、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、過充電時の安全性が特に高いものである。また、サイクル特性も良好である。
以上のようにして構成されるリチウムイオン二次電池100は、各種用途に利用可能であり、好適な用途としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。リチウムイオン二次電池100は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
以上、例として扁平形状の捲回電極体を備える角型のリチウムイオン二次電池について説明した。しかしながら、ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、他のタイプのリチウムイオン二次電池として構築することができる。例えば、積層型電極体を備えるリチウムイオン二次電池として構築することもできる。また、円筒型リチウムイオン二次電池、ラミネート型リチウムイオン二次電池等として構築することもできる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<セパレータの準備>
[セパレータA]
窒素雰囲気下で、PP/PE/PPの三層構造の多孔性セパレータ基材に、200kGyの電子線を照射した。これを20℃で2,3−ジヒドロフランのN,N−ジメチルホルムアミド溶液(濃度20wt%)に0.5時間浸漬して、2,3−ジヒドロフランを多孔性セパレータ基材にグラフト重合させた。これを溶液から取り出して、80℃で10時間真空乾燥させて、2,3−ジヒドロフラン重合体のグラフト鎖を有するセパレータAを得た。
[セパレータB]
2,3−ジヒドロフランに代えて、フランを用いた以外はセパレータAの作製方法と同様にして、フラン重合体のグラフト鎖を有するセパレータBを得た。
[セパレータC]
2,3−ジヒドロフランに代えて、アクリル酸を用いた以外はセパレータAの作製方法と同様にして、アクリル酸重合体のグラフト鎖を有するセパレータCを得た。
[セパレータD]
セパレータAの作製の際に基材として用いたPP/PE/PPの三層構造の多孔性セパレータを、グラフト処理することなくそのままセパレータDとして用いた。
<リチウムイオン二次電池の作製>
[No.1のリチウムイオン二次電池]
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンと、導電材としてのアセチレンブラックとを、質量比89:8:3でNMP中で混練して、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥した後、所定の厚みおよび幅に加工して、正極シートを得た。
負極活物質としての黒鉛と、バインダとしてのSBRと、増粘剤としてのCMCとを、質量比98:1:1でイオン交換水中で混練して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥した後、所定の厚みおよび幅に加工して、負極シートを得た。
正極シートおよび負極シートを2枚のセパレータAを介して捲回して捲回体を作製し、該捲回体を横方向から押しつぶすことによって扁平形状の捲回電極体を得た。得られた捲回電極体に電極端子を取り付け、電池ケースに挿入し、非水電解液を注入してNo.1のリチウムイオン二次電池を得た。なお、非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させ、さらに、ガス発生剤としてCHBを4質量%添加したものを用いた。
[No.2のリチウムイオン二次電池]
セパレータAに代えてセパレータBを用いた以外は、No.1のリチウムイオン二次電池の作製方法と同様にして、No.2のリチウムイオン二次電池を得た。
[No.3のリチウムイオン二次電池]
セパレータAに代えてセパレータCを用いた以外は、No.1のリチウムイオン二次電池の作製方法と同様にして、No.3のリチウムイオン二次電池を得た。
[No.4のリチウムイオン二次電池]
セパレータAに代えてセパレータDを用いた以外は、No.1のリチウムイオン二次電池の作製方法と同様にして、No.4のリチウムイオン二次電池を得た。
<過充電時ガス発生量評価>
各リチウムイオン二次電池に内圧センサを取り付け60℃の環境下に置いた。そして、過充電が起きてガス発生剤が反応を起こすまで150Aで定電流充電(CC充電)した。そしてこのときの電池内圧と充電開始前の電池内圧との差(内圧上昇量)を求めた。内圧上昇量が多いほど、ガス発生量が多いことを意味する。結果を図3に示す。
<充放電サイクル試験>
各リチウムイオン二次電池を30Aで4.1Vまで定電流定電圧充電(CCCV充電)した。10分間休止後、30Aで3Vまで定電流定電圧放電(CCCV放電)した。このときの電池容量(放電容量)を測定し、これを初期容量とした。続いて、30Aで4.1Vまで定電流充電(CC充電)、10分間休止、30Aで3Vまで定電流放電(CC放電)、10分間休止を1サイクルとする充放電を1000サイクル繰り返した。1000サイクル充放電後の電池容量を、初期容量と同様の方法により測定した。(1000サイクル充放電後の電池容量/初期容量)×100より、容量維持率(%)を算出した。結果を図4に示す。
図3より、親水性の2,3−ジヒドロフラン重合体のグラフト鎖を有するセパレータAを用いたNo.1のリチウムイオン二次電池、親水性のフラン重合体のグラフト鎖を有するセパレータBを用いたNo.2のリチウムイオン二次電池、および親水性のアクリル酸重合体のグラフト鎖を有するセパレータCを用いたNo.3のリチウムイオン二次電池においては、グラフト処理を行わなかったセパレータDを用いたNo.4のリチウムイオン二次電池と比べて、内圧上昇量が大きかったことがわかる。すなわち、ガス発生量が多かったことがわかる。
また、図4より、親水性のアクリル酸重合体のグラフト鎖を有するセパレータCを用いたNo.3のリチウムイオン二次電池では、グラフト処理を行わなかったセパレータDを用いたNo.4のリチウムイオン二次電池と比べて、容量維持率が小さかったことがわかる。一方、親水性の2,3−ジヒドロフラン重合体のグラフト鎖を有するセパレータAを用いたNo.1のリチウムイオン二次電池、および親水性のフラン重合体のグラフト鎖を有するセパレータBを用いたNo.2のリチウムイオン二次電池では、グラフト処理を行わなかったセパレータDを用いたNo.4のリチウムイオン二次電池と同等の容量維持率を示したことがわかる。すなわち、グラフト処理による容量維持率の悪化がほとんど起きなかったことがわかる。
以上の結果より、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、過充電時のガスの発生量が多く、サイクル特性が良好であることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 電池ケース
12 ケース本体
14 蓋体
20 電極体
30 正極(正極シート)
32 正極集電体
33 正極集電体露出部
34 正極活物質層
40 負極(負極シート)
42 負極集電体
43 負極集電体露出部
44 負極活物質層
50 セパレータ(セパレータシート)
60 正極端子
70 負極端子
80 電流遮断機構(CID)
82 安全弁
100 リチウムイオン二次電池

Claims (1)

  1. 正極、負極、および当該正負極間に介在するセパレータを有する電極体と、
    予め定められた電圧以上の電圧で反応し、ガスを発生させるガス発生剤を含有する非水電解液と、
    前記電極体および前記非水電解液を収容する電池ケースと、
    前記電池ケースに設けられ、前記電極体に接続された電極端子と、
    前記電池ケースの内圧が予め定められた圧力以上に上昇した際に、前記電極端子から前記電極体に至る導電経路を切断する電流遮断機構と
    を備えるリチウムイオン二次電池であって、
    前記セパレータが、ビニルエーテル化合物の重合体のグラフト鎖を有する、
    リチウムイオン二次電池。
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