以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
まず、本発明に係る画像投写装置の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像投写装置としてのプロジェクタ1とスクリーンなどの投写面Sとを示す外観斜視図である。なお、以下の説明では、プロジェクタ1の投写面S側を後側として説明する。
プロジェクタ1は、パソコンやビデオカメラ等から入力される画像データに基づいて投写画像を形成し、その投写画像をスクリーンなどの投写面Sに投写表示する装置である。特に、液晶プロジェクタは、近来、液晶パネルの高解像化、光源(ランプ)の高効率化に伴う明るさの改善、低価格化などが進んでいる。また、微小駆動ミラー装置であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を利用した小型軽量なプロジェクタ1が普及し、オフィスや学校のみならず家庭においても広くプロジェクタ1が利用されるようになってきている。また、フロントタイプのプロジェクタは、携帯性が向上し、数人規模の小会議にも使われるようになってきている。このようなプロジェクタでは、大画面の画像を投写できること(投写面の大画面化)とともに、「プロジェクタ外に必要とされる投写空間」をできるだけ小さくできることが要請されている。後述のように、本実施形態のプロジェクタ1は、投写レンズ等の投写光学系を投写面Sと平行に設定し、折り返しミラーで光束を折り返した後、自由曲面ミラーで光束を投写面Sに対して拡大投写するように構成されている。この構成により、光学エンジン部を縦型で3次元的に小型化を図ることができる。
投写画像の光束が、プロジェクタ1の上面から出射し、光束が投写面Sに投写される。また、プロジェクタ1の側面には、ピント調整のためのフォーカスレバー4aが設けられている。
図2はプロジェクタ1の外装カバーを外した状態の斜視図である。図2(a)は、前側から見た斜視図であり、図2(b)は、後側から見た斜視図であり、図2(c)は、前側から見て光学エンジン部配置側である右側の側面図である。
プロジェクタ1は、後述する光学エンジン部100や、バラスト基板12aなどの各種基板などを保持する本体筐体14を有している。本体筐体14は、上側板金部14aと、前側板金部14bと、後側板金部14cと、下側板金部14dと、右側板金部14eとを有している。各板金部同士をねじにより固定することで、筐体14を形成している。上側板金部14aには、投写画像の光束が通過するための投写開口部141が形成されている。前側板金部14bは、バラスト基板ユニットや、後述するメイン電源ユニット8a(図26参照)などを保持している。後側板金部14cは、サブ電源ユニット8bなどを保持している。また、下側板金部14dは、光学エンジン部などを保持している。また、右側板金部14eには、図2(c)に示すように、複数の吸気口10a〜10cと、フォーカスレバー4aを操作可能とする操作用開口部18とが設けられている。
図3は、プロジェクタ1の本体筐体14の下側板金部14d以外を取り外した内部斜視図である。図3(a)は前側から見たプロジェクタ1の内部の斜視図、図3(b)は後側から見たプロジェクタ1の内部の斜視図である。
プロジェクタ1は、光学エンジン部100と、白色光を発する光源を有する光源ユニット15とを備えている。光学エンジン部100は、光源からの光を用いて画像を形成する画像形成手段としての画像形成部3と、画像形成部3で形成した画像の光束を投写面Sに投写するための投写光学ユニット2とを備えている。
図4は、プロジェクタ1の内部に設けられた光学エンジン部100などを示す斜視図である。
画像形成部3は、反射面の傾きを変化させるように駆動可能な多数の微小ミラーを有する微小駆動ミラー装置であるDMDを有する光変調部30と、光源からの光を折り返してDMDに照射する照明部20とを用いて構成されている。光学エンジン部100を構成している光変調部30と照明部20と投写光学ユニット2とが上下方向に並べて配置されている。また、照明部20の図中右側には、光源ユニット15が収納される光源ハウジング70が配置されている。光源ハウジング70の上面部には、光源冷却後の空気が排気されるハウジング排気口70aが設けられている。
図5は、光源ユニット15を本体筐体に装着する様子を示す斜視図である。
図5に示すように、光源ユニット15は、プロジェクタ1に対して着脱可能に構成されている。具体的には、本体筐体14の左側側面には、光源着脱用開口部141fが形成されている。この光源着脱用開口部141fは、本体筐体14の前側板金部14b、後側板金部14c、下側板金部14dおよび排気ファン7により形成されている。光源ユニット15は、本体筐体に対して図中矢印K方向に押し入れることで、プロジェクタに装着される。また、光源着脱用開口部141fの上部には、排気ファン7が設けられている。図5に示すように、本実施形態においては、筐体の排気口が、排気ファンの排気口となっている。
図6(a)は、光源ユニット15の概略斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示す矢印b方向から見た斜視図である。
光源ユニット15は、光源160を収納した樹脂からなる光源筐体151を有している。光源筐体の上面部151aには、光源冷却後の空気が、排気される光源排気口152が設けられている。また、図6(b)に示すように、光源筐体151の下面部151bには、後述するように光源筐体内に空気を取り込むための第二光源吸引口153が設けられている。また、下面部151bには、装置本体に設けられた電源コネクタに接続するコネクタ154が設けられている。
また、光源筐体151の光出射側面部151cには、光源の光が通過するための開口部156を有し、その開口部156には、ガラス板157が取り付けられている。また、光出射側面部151cには、2つの光源位置決め突起155a,155bが、対角線上に設けられている。これら光源位置決め突起155a,155bは、照明部に設けられた光源位置決め穴26c(図9参照)に挿入され、光源ユニット15が、照明部20に位置決めされる。また、光源ユニット15の両側面の光出射側と反対側端部には、筐体取り付け部151dが設けられている(図5参照)。これら筐体取り付け部151dには、嵌合突起151eが設けられており、この嵌合突起151eが、先の図5に示す本体筐体の光源取り付け凹部141gに設けられた嵌合穴部に嵌ることで、光源ユニット15が本体筐体14に取り付けられる。
また、光源筐体151の光出射側面部151cには、光源160のリフレクタ内に空気を流入させる流入口158aが設けられている。この流入口158aには、光源の発光管が破裂したときの破片の拡散を防ぐ防爆メッシュ159が設けられている。
図7は、光源筐体の光出射側面部151c以外を取り外した状態を示す斜視図である。
図7に示すように、光源160のリフレクタ161は、光出射側面部151cに取り付けられており、この光出射側面部151cによりリフレクタ161の開口部が塞がれている。また、光出射側面部151cの上部には、リフレクタ161内の空気が流出する流出口158bが設けられている。この流出口158bにも防爆メッシュ159が設けられている。
図8は、図6(a)の一点鎖線Aで切った断面図である。
光源160は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプなどの放電ランプであり、高圧の気体を閉じ込めた発光部162aを有する発光管162を備えている。また、光源160には、発光部162aが発した光を反射する反射部材としてのリフレクタ161を備えている。リフレクタ161は、すり鉢形状(略円錐形状)をしており、そのリフレクタ161の底部に発光管162が取り付けられている。また、発光管162に接続された電極端子163a(図7参照)を備えた電極部163を有している。電極端子163aは、導線を164介して、コネクタ154に接続されている。
光源160の発光部162aから出射した光は、リフレクタ161により、光出射側面部151cの開口部156に集光され、ガラス板157を透過して光源ユニット15から出射する。
図9は、照明部20と投写レンズ部4と光変調部30とを後側から見た斜視図であり、図10は、照明部20に収納された光学系部品を光変調部30とともに示す図である。
照明部20は、図10に示すように、カラーホイール21、ライトトンネル22、2枚のリレーレンズ23、シリンダミラー24、凹面ミラー25を有しており、これらは、図9に示す照明ブラケット26に保持されている。
カラーホイール21は、円盤形状のものであり、カラーモータ21aの回転部に固定されている。カラーホイール21には、回転方向にR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)などのフィルタが設けられている。ライトトンネル22は、四角筒形状であり、その内周面が鏡面となっている。
図9に示すように、照明ブラケット26の後側側面には、OFF光板27が取り付けられている。また、照明ブラケット26には、4つの脚部26bを有しており、光源ユニット15側とは反対側の脚部26bは、図4に示すように、光変調部30を貫通している。これら4つの脚部26bが、本体筐体14の下側板金部14dに取り付けられ、光学エンジン部100の重量を支持している。また、脚部を設けることにより、光変調部30のDMD32を冷却するための冷却手段としてのヒートシンク33(図11参照)に、外気が流入するための空間を形成する。
投写レンズ部4は、照明部20の上方に配置されており、複数のレンズで構成されている。投写レンズ部4は、レンズホルダー41により保持されており、このレンズホルダー41には、ネジが貫通する複数の貫通孔41aが設けられている。投写レンズ部4は、これら貫通孔41aにネジを挿入して、後述する投写光学ユニット2のベース部材54(図13(a)参照)にネジ止めされる。
また、照明ブラケット26の光源ユニット側端部には、光源筐体151の光出射側面部151cに設けられた光源位置決め突起155a,155b(図6参照)が挿入される光源位置決め穴26cが設けられている。
また、照明ブラケット26にはカラーホイール21を覆い、カラーホイール21やカラーモータ21aの熱を放熱するアルミニウムからなる冷却部材28が設けられている。また、カラーホイール21の光源160と対向する面を覆うホイールカバー29が設けられている。ホイールカバー29には、光源160からの光を通過させるための貫通孔29aが設けられている。
図10に示すように、リフレクタ161により集光された光は、ガラス板157を通って、カラーホイール21の周端部に到達する。カラーホイール21の周端部に到達した光は、カラーホイール21の回転により時分割でR,G,Bの光に分離される。
カラーホイール21により分離された光は、ライトトンネル22へ入射する。ライトトンネル22は、四角筒形状であり、その内周面が鏡面となっている。ライトトンネル22に入射した光は、ライトトンネル22内周面で複数回反射しながら、均一な面光源にされてリレーレンズ23へ向けて出射する。
ライトトンネル22を抜けた光は、2枚のリレーレンズ23を透過し、シリンダミラー24、凹面ミラー25により反射され、DMD32の画像生成面上に集光して結像される。
図11は、光変調部30の斜視図である。
図11に示すように光変調部30は、DMD32が装着されるDMDボード31を備えている。DMD32は、マイクロミラーが格子状に配列された画像生成面を上向きにしてDMDボード31に設けられたソケット31aに装着されている。DMDボード31には、DMDミラーを駆動するための駆動回路などが設けられている。DMDボード31の裏面(ソケット31aが設けられた面と反対側の面)には、DMD32を冷却するための冷却手段としてのヒートシンク33が固定されている。DMDボード31のDMD32が装着される箇所は、貫通孔が形成されており、ヒートシンク33には、この貫通孔に挿入される突起部が形成されている。突起部の先端は、平面状になっており、突起部を貫通孔に挿入して、DMD32の裏面(画像生成面と反対側の面)に突起部先端の平面部を当接させている。この平面部やDMD32の裏面のヒートシンク33が当接する箇所に弾性変形可能な伝熱シートを貼り付けて、突起部の平面部とDMD32の裏面との密着性を高めて、熱伝導性を高めてもよい。
ヒートシンク33は、固定部材34により、DMDボード31のソケット31aが設けられた面と反対側の面に加圧されて固定される。
DMD32の画像生成面には、可動式の複数のマイクロミラーが格子状に配列されている。各マイクロミラーは鏡面をねじれ軸周りに所定角度傾斜させることができ、「ON」と「OFF」の2つの状態を持たせることができる。マイクロミラーが「ON」のときは、先の図10に示すように、光源160からの光を投写レンズ部4に向けて反射する。「OFF」のときは、先の図9に示す照明ブラケット26の側面に保持されたOFF光板27に向けて光源160からの光を反射する(図10の紙面と直交する方向)。従って、各ミラーを個別に駆動することにより、画像データの画素ごとに光の投写を制御することができ、画像を生成することができる。
OFF光板27に照射された光は、熱となってOFF光板27に吸収され外側の空気の流れで冷却される。
図12は、光学エンジン部100を示す斜視図である。
投写光学ユニット2は、折り返しミラー52および防塵ガラス51を保持するミラーブラケット53、凹面ミラー5(図13参照)を覆うように保持する自由ミラーブラケット6とを有している。自由ミラーブラケット6の左右両端には、後方向に延びる穴部6aが、上下方向に所定の間隔を開けて2個設けられている。ミラーブラケット53に設けられた爪部53aを、これら穴部6aに嵌め込むことで、自由ミラーブラケット6は、スナップフィットによりミラーブラケット53に取り付けられている。ミラーブラケット53は、ベース部材54に取り付けられている。上記レンズホルダー41やミラーブラケット53が取り付けられたベース部材54が、照明ブラケット26にネジ止めされる。
図13は、投写光学ユニット2のミラーブラケット53と自由ミラーブラケット6とを取り除いた状態を示す斜視図である。投写光学ユニット2は、投写レンズ部4、折り返しミラー52、凹面ミラー5、防塵ガラス51などを備えている。凹面ミラー5の光を反射する凹状の反射面は、球面、回転対称非球面、自由曲面形状などにすることができる。
図14は、投写レンズ部4から投写面S(スクリーン)までの光路を示す斜視図である。
DMDにより形成された投写画像は、第1光学系である投写レンズ部4を透過し、折り返しミラー52と凹面ミラー5との間で、DMD32で生成された画像に共役な中間像を形成する。この中間像は、第二光学系である折り返しミラー52と凹面ミラー5との間に曲面像として結像される。次に、中間像を結像した後の発散する光束は、凹面ミラー5に入射し、収束光束になり、凹面ミラー5により中間像を「さらに拡大した画像」にして投写面Sに投写結像する。
このように、投写光学系を、第1光学系と、第二光学系とで構成し、第1光学系と第二光学系の凹面ミラー5との間に中間像を形成し、凹面ミラー5で拡大投写することで、投写距離を短くでき、狭い会議室などでも使用することができる。
次に、光源ユニット15の冷却について説明する。
図15(a)は、光源ユニット15を冷却する光源冷却機構と、光学エンジン部100と示す斜視図であり、図15(b)は、光源冷却機構を示す斜視図である。
光源冷却機構は、光源ブロワ71、光源排気ダクト80、排気ファン7などで構成されている。本実施形態では、光源ブロワ71として両面吸気シロッコファンを用いており、光源ブロワ71の排気口は、光源ハウジングに設けられた吸気ダクト部70cに接続されている。光源排気ダクト80は、光源ハウジング70の上面部を覆うように、光源ハウジング70に取り付けられている。
光源ハウジング70の底面70dの前後方向両端には、下方へ延びる側壁が設けられており、これら側壁には、所定の間隔を開けて2箇所、取り付け部70eが設けられている。これら取り付け部には、ネジが貫通する貫通孔が設けられている。光源ハウジングは、各取り付け部の貫通孔にネジを挿入し、下側板金部のネジ穴にネジを止めることで、底面70dが下側板金部14dに対して所定の隙間を有して、下側板金部14dに取り付けられる。また、この底面70dには、後述するように、光源のリフレクタ外側の領域を冷却するための空気を取り込むための空気取り込み口70bが設けられている(図20、図21参照)。
図16(a)は、光源排気ダクト80を示す斜視図でり、図16(b)は、光源排気ダクト80を、図16(a)の一点鎖線Eで切った断面図である。
光源排気ダクト80は、樹脂で形成され、排気ファンを保持するファン保持部81、光源ユニットを冷却した冷却後の空気をガイドする排気ガイド部82、排気ファン7が取り付けられるファン取り付け部86、光源160冷却後の空気が流入する流入部85などを有している。ファン保持部81は、排気ファンの下面と対向する底面部81aと、その底面部81aの前後方向両端から上方に真直ぐ延びて、排気ファンの側面と対向する対向面部81bとを有している。ファン保持部81は、排気ファンの吸気口と排気口以外の下部を囲うように、排気ファンを保持する。
また、ファン保持部81の各対向面部81bの上端には、排気ファン7が取り付けられるファン取り付け部86が設けられている。各ファン取り付け部86には、ネジ穴が設けられており、排気ファン7は、これらファン取り付け部86にネジ止めされる。
排気ガイド部82は、4つのダクト部82a,82b,82c,82dを備えており、これら4つのダクト部は、排気ファンの回転軸方向に並べて配置されている。また、各ダクト部82a,82b,82c,82d空気取り入れ口たる吸気口を光源161に向けて配置している。各ダクト部には、ダクト部に流れる空気案内する導風壁部83a,83b,83c,83dが設けられている。4つのダクト部のうち、最も排気ファン側に配置された第一ダクト部82aと、この第一ダクト部82aに隣接する第二ダクト部82bとは、第二ダクト部に流れる空気を案内する第二導風壁部83bにより仕切られている。また、上記第二ダクト部82bと、第二ダクト部82bに隣接する第三ダクト部82cとは、第三ダクト部82cに流れる空気を案内する第三導風壁部83cにより仕切られている。また、第三ダクト部82cと、排気ファンから最も離れた位置に配置された第四ダクト部82dとは、第四ダクト部82dに流れる空気を案内する第四導風壁部83dにより仕切られている。
また、図16(b)に示すように、導風壁部の上端の位置は、排気ファンから離れるに従い、高い位置に位置しており、第一ダクト部82aの長さをL1、第二ダクト部82bの長さをL2、第三ダクト部82cの長さをL3、第四ダクト部82dの長さをL4としたとき、L1<L2<L3<L4となっている。すなわち、ダクト部の長さが、排気ファンから離れるに従って長くなりより、排気ファンから離れるダクト部ほど、高い位置からダクト内の空気が排気ファンに向けて排出されるようになっている。
また、第一ダクト部82aの吸気口の開口面積をd1、第二ダクト部82bの吸気口の開口面積をd2、第三ダクト部82cの吸気口の開口面積をd3、第四ダクト部82dの吸気口の開口面積をd4としたとき、d1>d2>d3>d4となっている。すなわち、排気ファンから離れるダクト部ほど、吸気口の開口面積が小さくなっており、空気が流れこみ難くなっている。
また、第一ダクト部82aの流路最小断面積をD1、第二ダクト部82bの流路最小断面積をD2、第三ダクト部82cの流路最小断面積をD3、第四ダクト部82dの流路最小断面積をD4としたとき、D1>D2>D3>D4となっている。すなわち、排気ファンから離れるダクト部ほど、流路断面積が小さくなっており、排気ファンから離れるダクト部ほど、空気が流れにくく、排気ファン7の吸気力の影響が弱くなっている。
第一ダクト部82aに流れ込んだ空気を案内する最も排気ファン側に配置された第一導風壁部83aは、排気ファンに回転軸方向と直交する方向である上下方向に延びている。また、第一導風壁部83aは、第一ダクト部内の空気流れ方向下流側である上方が下方に比べて排気ファンから遠ざかるように傾斜している。第二、第三、第四導風壁部83b,83c,83dは、上方に真直ぐ延び、途中で、排気ファンから離れる方向に傾斜するような形状となっている。
各導風壁部の排気ファンから遠ざかる方向に傾斜する部分の表面には、光拡散部として微細な凹凸模様であるシボが形成されている(以下、シボが形成された面をシボ面Zという)。本実施形態では、この傾斜する部分の両面をシボ面Zとしている。
また、流入部85の排気ファン側の壁部84も、上部が排気ファンから離れるように傾斜しており、後述するように、流入部に流れ込む、光源のリフレクタの外側を冷却した後の空気を第一ダクト部や第二ダクト部に導くガイドとしての機能を有している。この壁部84にも、両面をシボ面Zとしている。
図17は、光源排気ダクト80を成型する金型の一部を示す断面図ある。
光源排気ダクト80は、樹脂の射出成型品であり、図17に示すように、少なくとも、各ダクト部は、第一金型701と第二金型702とにより成型される。流路の断面が矩形状で、排気ファン7の回転軸方向と直交する方向にある程度の長さを有する各ダクト部を備える光源排気ダクト80を成型するためには、金型の構造上、各金型の移動方向X1,X2を、ダクト部の延びる方向と同方向にする必要がある。各導風壁部に形成するシボは、金型のシボを施す部分に対応する箇所を、サンドブラスなどにより粗すことにより形成する。この場合、シボ面Zは、金型の抜け性の問題から金型の移動方向X1,X2に対して所定角度傾ける所謂抜け勾配を設ける必要がある。そのため、各導風壁部のシボを施す箇所を、ダクト部の延びる方向に対して傾斜させる必要がある。図17に示すように、導風壁部の排気ファンと対向するシボ面Zは、図中X1方向移動する第一金型701により形成される。一方、導風壁部の排気ファンと対向する面と反対側のシボ面Zは、図中X2方向移動する第二金型702により形成される。
導風壁部にシボ面Zを形成するには、導風壁部のシボを形成する箇所を、金型の移動方向に対して所定の角度傾いていればよい。従って、導風壁部のシボを形成する箇所を、排気ファンに近づくように傾けてもシボを形成することができる。しかし、導風壁部のシボを形成する箇所を、本実施形態のように、排気ファンから遠ざかる方向に傾けることで、排気ファンに近づくように傾けた場合に比べて、次のような利点を得ることができる。
図18は、光源ユニットから漏れ出す光について説明する図である。
図18に示すように、発光部162aで発光し、リフレクタ161に向った光の一部は、リフレクタ161を透過する。このようなリフレクタ161を透過した光は、光源ユニットの光源排気口152や、ハウジング排気口70aを通過して、ダクト部に入射する。また、光出射側面部151cの上部の流出口158bからも、発光部162aで発光した光が漏れ出し、ダクト部に入射する。
図18の鎖線で示すように、導風壁部のシボが形成された部分を排気ファンに近づくように傾けた場合、ユーザーが外装ケースの排気口から筐体内部をのぞきこんだとき、光源のリフレクタ161までのぞきこめてしまう。その結果、図中実線の矢印に示すように、ダクト部に入射した強い光が、一度も導風壁部に反射せずに、直接、排気ファンから漏れ出してしまうおそれがある。すなわち、ダクト部に入射した強い光は、シボ面Zに一度も入射せずに、漏れ出すおそれがあり、シボ面Zを形成する意味がないおそれがある。
一方、本実施形態のように、導風壁部のシボが形成された部分を排気ファンから遠ざかるように傾けた場合、導風壁部のシボ形成部で、ダクト部内を覆うような形となる。その結果、ユーザーが外装ケースの排気口から筐体内部をのぞきこんだとしても、ユーザーは、導風壁部の排気ファンと対向する側のシボ面Zしか見ることができない。これにより、排気ファンから漏れ出る光は、少なくとも、1回は、導風壁部の排気ファンと対向する側のシボ面で反射された光となる。シボ面Zに入射した光は、表面の微細な凹凸形状により乱反射して拡散されて光の強度が弱められた光となる。よって、ユーザーが外装ケースの排気口から筐体内部をのぞきこんだとしても、ユーザーの目に届くのは、弱い光であり、ユーザーがまぶしいと感じることなく、使用時において、不快に感じることがないという利点を得ることができるのである。
また、本実施形態では、導風壁部の両面にシボを形成している。これにより、ダクト部を抜けるまでの間に、シボ面Zに複数回入射する光を増やすことができる。これにより、複数回、光を拡散させることができ、ダクト部から漏れ出し、排気ファンに向かう光をさらに弱めることができる。
また、導風壁部のシボが形成された部分を排気ファンから遠ざかるように傾けることで、排気ファンと対向する面と反対側のシボ面Zに入射する光の入射角を、導風壁部が上下方向に真直ぐ延びる場合に比べて狭まることができる。これにより、ダクト部内で反射する回数を増やすことが可能となる。光は、樹脂からなる導風壁部を反射する度に減衰していくため、ダクト部から漏れ出し、排気ファンに向う光をさらに弱めることができる。さらに、複数回シボ面Zに入射する光を増やすことができ、排気ファンから漏れ出す光をさらに弱めることができる。
次に、光源冷却の空気の流れについて説明する。
図19は、図15(a)のC断面図であり、図20は、図15(a)のB断面図である。また、図21は、図15(b)のD断面図である。
図19に示すように、光源ブロワ71により本体筐体の光源ブロワ周辺の空気を吸引する。この吸引により、本体筐体内の光源ブロワ71周辺が負圧となり、先の図2(c)に示す右側板金部14eの下側の第三吸気口10cから外気が取り込まれる。取り込まれた外気は、DMD32を冷却するヒートシンク33(図11参照)に流れ、ヒートシンク33を冷却する。これにより、ヒートシンク33が、効率よくDMD32の熱を逃がすことができ、DMD32の温度上昇を抑制することができる。
光源ブロワ71により吸引された空気(以下、第一の空気という)は、光源ブロワ71の排気口から光源ハウジング70の吸気ダクト部70cに流れ、光源筐体151の流入口158aを通って、リフレクタ161の内側に流れ込む。リフレクタ161の内側には、風向板158cが配置されている。光源筐体151の流入口158aからリフレクタ161の内側に流れ込んだ第一の空気の一部は、この風向板158cにより、発光管162の発光部162aに向って流れ、残りが、発光管162の先端に向って流れる。これにより、発光管162をバランスよく空冷することができる。発光管162を冷却した後の第一の空気は、光源ブロワからの押し出しと、排気ファンの引き込みにより、図20、図21に示すように、流出口158bからリフレクタ161の外側に流れ込む。
また、図20、図21に示すように、排気ファン7の吸引力により、光源ハウジング70の底面70dと本体筐体の下側板金部14dとの間から、空気取り込み口70bに本体筐体内の空気が流れ込む。空気取り込み口70bに流れ込んだ空気(以下、第二の空気という)は、第二光源吸引口153を通って、光源筐体151のリフレクタ外側の空間に流れ込み、光源の電極部163などを冷却する。
リフレクタ161の内部を冷却した第一の空気および光源の電極部163を冷却した第二の空気は、光源筐体の光源排気口152、ハウジング排気口70aを通って光源排気ダクト80の流入部85へ流れ込む。
光源として、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプなどの放電ランプを用いた場合、発光管162の温度が1000℃にも達するため、この発光管162を冷却した後の第一の空気は高温となる。仮に、光源排気口152が流出口158bの真上に配置されていた場合、発光管162の冷却により高温化された第一の空気が、そのまま、第一ダクトたる第三ダクト部82cや第四ダクト部82dに流れることになる。そして、第三ダクト部82cや第四ダクト部82dの排気口から流れ出て、第二ダクトたる第一ダクト部82aや第二ダクト部82bを流れてきた低温の第二の空気と、光源排気ダクト80の上方で混合されて、排気ファン7を通って機外へ排気されることになる。
しかし、第一の空気は、高温の発光管162を良好に冷却するために、光源ブロワ71の押し出しと、排気ファンの吸い込みの両方で流しているのに対し、第二の空気は、排気ファン7の吸い込みのみで流している。よって、第一の空気は、第二の空気に対して、流速が速く、流量も多い。そのため、光源排気ダクト80の上方で第一の空気と第二の空気とを十分に混合できず、装置外へ排出されることになる。また、排気ファン7に近い第一ダクト部82aや第二ダクト部82bに流れる第二の空気は、主に排気ファン7の回転軸部よりも下方の領域から機外へ排気される。一方、第三、第四ダクト部82c,82dに流れる第一の空気は、主に排気ファンの回転軸部よりも上方の領域から機外へ排気される。その結果、外装カバーの排気口から排気される排気温度の分布に明らかな偏りが生じることが懸念される。
また、本出願人は、高温の第一の空気と低温の第二の空気とを、排気ファン7の軸部に当てて、第一の空気と低温の第二の空気とを混合させ、本体筐体内で温度低下させてから排気する画像投写装置を提案した(特許第5637469号公報)。しかしながら、かかる構成においては、発光管162を冷却した後の高温の第一の空気を排気ファン7の回転中心部にぶつけるため、排気ファン7の回転軸部の温度が上昇する。回転軸部には、軸受けなどが設けられており、回転軸部の温度が上昇すると、軸受の熱劣化が進み、早期に排気ファンが寿命を向かえてしまう。すなわち、特許第5637469号公報に開示されている構成は、排気ファンの寿命を犠牲にしながらホットスポットの抑制を実現している構成であると言える。
これに対し、本実施形態の構成は、高温の第一の空気を、全てのダクト部に流すようにして第一の空気を分散させて、外装カバーの排気口から排気される排気温度の分布に偏りが生じるのを抑制している。
本実施形態においては、図21に示すように、光源収納部たる光源筐体151の光源排気口152は、流出口158bよりも光源の光出射方向上流側(図中右側)に配置されている。そのため、流出口158bと、第三ダクト部82cや第四ダクト部82dとの間が、光源筐体の上面部151aにより仕切られるような形となる。その結果、流出口158bから光源筐体151に流れ出た第一の空気は、その流れの向きが、上方から光源の光出射方向の上流方向へ急激に変化せしめられる。そして、排気ファンの吸引力により、光出射方向の上流方向から上方に流れ方向が急激に変化して光源排気口152へ流れることになる。
流れの向きが急激に変化することにより、流体抵抗が増し、第一の空気の流れが遅くなる。これにより、第二の空気との流速差が減少し、第二の空気と混ざりやすくなる。また、第二の空気は、上方に流れて光源排気口152に向う。そのため、第一の空気が、第二の空気の流れ方向と直交する方向から流れてきて、光源排気口152に向う。その結果、光源排気口152の手前で、第一の空気の一部が第二の空気とが混合され、その温度が低下する。そして、第一の空気、第二の空気が、光源排気口152、ハウジング排気口70aを通って、光源排気ダクト80の流入部85へ流れ込む。
図21に示すように、第一の空気は、主に、光源排気口152、ハウジング排気口70aの排気ファン7から遠い側(図中左側)の縁付近を通って、光源排気ダクト80の流入部85へ流れ込む。ハウジング排気口70aおよび光源排気口152の排気ファン7から遠い側の縁は、第三ダクト部82cの中央部よりも第二ダクト部82b寄りに位置している。このため、第一の空気は、流入部85の第二ダクト部82bと第三ダクト部82cの間に流れ込むような形となる。一方、第二の空気は、主に、光源排気口152、ハウジング排気口70aの排気ファンに近い側(図中右側)を通って、光源排気ダクト80の流入部85へ流れ込む。その結果、第二の空気は、流入部85の第一ダクト部82aと第二ダクト部82bとの間に流れ込むことなる。
本実施形態では、図16に示したように、各ダクト部の吸気口の開口面積を、排気ファンから離れるダクト部ほど小さくしており、排気ファンから離れるダクト部ほど空気が流入し難くなっている。また、排気ファンから離れるダクト部ほど、流路断面積が小さくなっており、排気ファンから離れるダクト部ほど、空気が流れにくくなっている。排気ファンから遠いダクト部ほど、排気ファンの吸引力が弱くなり、空気が流れ込みにくくなるが、本実施形態では、各ダクト部の排気口の開口面積や最小流路断面積を、排気ファンから離れるダクト部ほど小さくし、さらに、排気ファンから離れるダクト部ほど、空気が流入し難くなっている。
流入部85の第一ダクト部82aと第二ダクト部82bとの間に流れ込んだ第二の空気は、第一ダクト部82aおよび第二ダクト部82bに流れ込む。これは、以下の3つの理由からである。
1.第三ダクト部82cや第四ダクト部82dに空気が流入し難くなっていること。
2.第二の空気よりも排気ファンから遠い側から流れ込む第一の空気により第三ダクト部82cや第四ダクト部82dに流れ込むのを阻止されていること。
3.第一ダクト部82aや第二ダクト部82bは空気が流入しやすいこと。
これら3つの理由から、第二の空気は、第一ダクト部82a、第二ダクト部82bに流れ込む。また、本実施形態において、流入部85の排気ファン側の壁部84が、上部が排気ファンから離れるように傾斜しているため、流入部85の排気ファン側に流れ込んだ第二の空気を、案内して、第一ダクト部82aや第二ダクト部82bにスムーズに流れ込ませている。これにより、流速の低下を抑えて、第二の空気を、第一ダクト部82a、第二ダクト部82bに流すことができる。
一方、流入部85の第二ダクト部82bと第三ダクト部82cとの間に流れ込んだ第一の空気は、全てのダクト部82a〜82dに流れ込む。これは、上述したように、第三ダクト部や第四ダクト部は、空気が流れ難くなっており、また、排気ファンの吸引力も弱くなっている。一方、第一、第二ダクト部は、空気が流れやすく、排気ファンの吸引力も強い。その結果、流入部85の第二ダクト部82bと第三ダクト部82cとの間に流れ込んだ第一の空気の一部は、排気ファンの吸引力が強く作用し、吸気口の開口面積が広く、空気が流れやすくなっている第一ダクト部82aおよび第二ダクト部82bに流れ込む。そして、残りの第一の空気が、第三ダクト部82cや第四ダクト部82dへ流れ込む。このように、第一の空気は、各ダクト部に分散して流れ、各ダクト部に流れ込む空気の流量が低下する。
ここで、発光管冷却後の高温の空気の温度を下げて、装置外へ排気する方法として、
(I)低温の空気と混ぜることで高温の空気を低温化する
(II)流路を長くすることで高温の空気を低温化する
(III)高温の空気を広い面積で排気することで単位面積当たりの熱量を低減させる
の3つが挙げられる。
上記第一ダクト部82a、第二ダクト部82bには、高温の第一の空気と、低温の第二の空気とが混ざりあいながら流れ込み、さらにそれらダクト部内で混ざりあいながら移動する。そして、これらダクト部から出た第一の空気と第二の空気との混合空気は、排気ファン7の回転軸部7aより下側の領域から装置外へ排気される。すなわち、第一ダクト部82a、第二ダクト部82bにおいては、上述の(I)方法で、高温の空気を低温化させて、装置外へ排気している。
高温の発光管162を良好に空冷するには、発光管162に流す空気の流速を速くし、冷却空気を次から次へと発光管162に流す必要がある。そのため、発光管162を冷却する第一の空気は、光源ブロワ71による押し出しと、排気ファン7による空気の吸引の両方を用いて流している。一方、第二の空気は、排気ファン7の吸引でのみ流しており、第一の空気の流量が、第二の空気よりも多い。しかし、本実施形態においては、第一の空気を4つのダクト部に分散させることで、各ダクト部へ流す第一の空気の流量を少なくしている。これにより、第一ダクト部82a,第二ダクト部82bにおいて、第二の空気との混合で、良好に温度を低下させることができる。
また、上述したように第一の空気は、流入部85へ流れ込むまでに急激に流れの方向を変更せしめられて流速が低下した状態で、流入部85に流れ込み、そして、その一部が第一ダクト部82aや第二ダクト部82bに流れ込む。これに対し、第二の空気は、急激な流れ方向の変化が生じずに、流入部85に流れ込み、さらに、流入部85の排気ファン側の壁部84に案内されて、第一ダクト部82aや第二ダクト部82bへ流れ込む。そのため、第二の空気は、流速の低下を抑えて、第一ダクト部82aや第二ダクト部82bへ流れ込むことになる。よって、リフレクタ内部を流れている時点では、第二の空気よりも流速が早かった第一の空気は、第一ダクト部82aや第二ダクト部82bへ流れ込む時点では、第一の空気と第二の空気との流速差が低減されている。これにより、第一ダクト部82a、第二ダクト部82bで、第一の空気を、第二の空気と良好に混合させることができ、良好に温度を低下させて、排気することができる。
一方、第三ダクト部82c、第四ダクト部82dには、ほぼ高温の第一の空気しか流れ込まず、上記(I)の方法で高温の空気を低温化させることができない。そこで、本実施形態では、この第三ダクト部82c、第四ダクト部に流れてきた残りの第一の空気を、上記(II)、上記(III)の方法で、温度を下げて装置外へ排気する。
具体的には、上記(II)の流路を長くするために、ダクト部の長さを排気ファンから離れるに従って長くして、第三ダクト部82cおよび第四ダクト部82dの長さを、第一ダクト部82aや第二ダクト部82bよりも長くしている。また、第三ダクト部82cの空気を案内する第三導風壁部83c、第四ダクト部82dの空気を案内する第四導風壁部83dの上端の位置を、第一ダクト部82aの空気を案内する第一導風壁部83a、第二ダクト部82bの空気を案内する第二導風壁部83bよりも高くしている。これにより、第三ダクト部82cおよび第四ダクト部82dに流れた空気が、排気ファンの回転軸部7aよりも上部から排気されるようになる。排気ファンの回転軸部7aよりも上部に排気することにより、排気ファンの回転軸部7aよりも下部に排気する場合に比べて、機外へ排気されるまでの流路を長くすることができる。
このように、流路を長くすることで、排気されるまでの間に熱が逃げていく。これにより、第三ダクト部82c,第四ダクト部82dに流れた残りの第一の空気の温度を低下させることができる。
また、第三ダクト部82cおよび第四ダクト部82dの排気口は、第一ダクト部、第二ダクト部の排気口よりも排気ファンから離れた位置にある。第一ダクト部、第二ダクト部の排気口は、排気ファンに近い位置にある。そのため、第一ダクト部、第二ダクト部から排気された空気は、排気ファンの吸引力により強く引き込まれ、拡散することなく勢いよく排気ファンに向って流れ、回転軸部7aの下部の所定のスポットから排気される。
これに対し、第三ダクト部82c、第四ダクト部82dから排気される残りの第一の空気は、排気ファン7から離れた位置で排気されるため、排気ファン7の吸引力が弱く、徐々に排気ファン7に向う。さらに、第三ダクト部82c、第四ダクト部82dの流路が長いため、流路抵抗により十分減速され、第三ダクト部82c、第四ダクト部82dから排気される残りの第一の空気の流速が著しく低下している。従って、第三ダクト部82c、第四ダクト部82dから排気される残りの第一の空気は、拡散しながら、排気ファン7へ徐々に向っていき、排気ファン7の回転軸部7aより上部の全体から排気される。このように、第三ダクト部82cや第四ダクト部82dから排気された残りの第一の空気は、広く拡散されることで、単位面積当たりの熱量が低下し、排気ファン7から排気される空気の温度を低下することができる。このように、第三ダクト部82c、第四ダクト部82dに流れた高温の残りの第一の空気は、上記(II)の方法で、筐体内で温度低下させる。また、上記(III)の方法で、単位面積当たりの熱量を低下させる。これにより、残りの第一の空気は、温度が低下した状態で、排気ファンにより排気される。
このように、本実施形態では、排気ファン7が引く力の強い第一ダクト部、第二ダクト部に関しては吸気口の開口面積の大きくして、低温の第二の空気のみならず高温の第一の空気も引き込めるようにして温度の異なる2つの空気が混ざり合う構成とする。そして、排気ファン7の引く力が弱い第三ダクト部82cおよび第四ダクト部82dに関しては吸気口の開口面積を小さくし、流入する高温の第一の空気の流量を絞る。また、第三,第四導風壁部83c,83dの高さを高くして流路を稼ぎ低温化しやすい環境を作っている。さらには、第三ダクト部82cおよび第四ダクト部82dから排気された高温の第一の空気が、排気ファンへ向う間に拡散するようにして、排気ファン7の上半分という広い面積で排気することで単位面積当たりの熱量を低下させる工夫がなされている。その結果、排気ファン7より排気される空気の温度分布において、大きな偏りが生まれることなく均一な温度分布で装置外に熱風を排気することが可能となるのである。
なお、各ダクト部の吸気口の開口面積や、光源排気口152、ハウジング排気口70aの排気ファンから遠い側(図中左側)の縁の位置により、各ダクト部に流す第一の空気の流量を調整することができる。具体的には、第一、第二ダクト部に流す第一の空気の流量を増やしたい場合は、第一、第二ダクト部の吸気口の開口面積を大きくしたり、第三、第四ダクトの吸気口の開口面積を絞ったりする。また、光源排気口152およびハウジング排気口70aの排気ファンから遠い側(図中左側)の縁の位置を、排気ファンに近づけてもよい。こうすることで、流入部85に流入する第一の空気を、排気ファン側にすることができ、第一の空気を、第一、第二ダクト部へ流れやすくすることができる。これにより、第一、第二ダクト部へ流す第一の空気の流量を増やすことができる。
また、第三、第四ダクト部に流す第一の空気の流量を増やしたい場合は、上記とは逆に、第一、第二ダクト部の吸気口の絞ったり、第三、第四ダクトの吸気口の広げたりする。また、光源排気口152およびハウジング排気口70aの排気ファンから遠い側(図中左側)の縁の位置を、排気ファンから遠ざける。
また、本実施形態では、第一の空気と第二の空気とが流れ込むダクト部を2つ(第一、第二ダクト部)設けているが、第一の空気と第二の空気とが流れ込むダクト部をひとつとしてもよいし、3つ以上設けてもよい。また、第一の空気のみが流れ込むダクト部を2つ(第三、第四ダクト部)設けているが、第一の空気のみが流れ込むダクト部をひとつとしてもよいし、3つ以上設けてもよい。
また、本実施形態では、排気ファン7から離れるダクト部ほど、吸気口の開口面積が小さくなっているが、第三ダクト部と第四ダクト部の吸気口の開口面積を等しくしてもよい。また、第四ダクト部に第一の空気がほとんど流れない場合は、第四ダクト部の吸気口の開口面積を、第三ダクト部の吸気口の開口面積よりも大きくしてもよい。しかしながら、このような構成でも、第三ダクト部、第四ダクト部の吸気口の開口面積は、第一、第二ダクト部の吸気口の開口面積よりも狭くする。また、例えば、第二の空気の多くが、第一ダクト部に流れ、第二ダクト部に流れ難い場合は、第二ダクト部の吸気口の開口面積を第一ダクト部の吸気口の開口面積と等しくしたり、大きくしたりしてもよい。
また、本実施形態では、ダクト部の長さが、排気ファンから離れるに従って長くなっているが、第三、第四ダクト部は、第一、第二ダクト部よりも長ければよく、第三ダクト部、第四ダクト部の長さは、同じでもよい。また、第一ダクト部、第二ダクト部の長さも同じでもよい。
また、筐体内には、複数の基板が配置されている。具体的には、ユーザーが操作する操作部を制御するための操作基板、パーソナルコンピュータなどの外部機器との接続を制御する接続回路基板、光源160に安定的な電力(電流、電圧)を供給し、光源を駆動するための光源駆動回路基板たるバラスト基板、プロジェクタ全体の制御を司る制御基板、装置内の各基板などに電力を供給する電源回路基板などが配置されている。これら基板には、コイル、コンデンサー、抵抗器などの電気素子が実装されている。これら電気素子の中には、発熱量が多かったり、定格温度が低かったりする電気素子もあり、冷却しないと、定格温度以上となってしまう電気素子がある。特に、光源には、最大で380Vの高電圧を印加するため、商用電源(100V)を最大で380Vに昇温する回路を備えた電源回路基板や、最大で380Vの電圧が供給される光源を駆動するバラスト基板には、発熱量が多く、定格温度に達しやすい電気素子が実装されている。
通常、冷却しないと定格温度に達するおそれがある電気素子が実装された基板を、空冷により冷却している。しかしながら、ホームシアターなどの静かな環境下でプロジェクタが使用される場合、ファンの風切音などが騒音となるため、ファンの数や、ファンの回転数などを抑える必要がある。本実施形態では、プロジェクタの低騒音化のために、排気ファン7の吸引力のみで、基板を冷却する冷却風を発生させ基板を冷却するようにした。また、静音化のためには、排気ファンの回転数を極力抑えることが好ましい。また、排気ファンを大きくすれば、低回転で多くの空気を排気することができ、基板冷却空気の流量を増やすことができ、良好に基板の冷却を行うことが可能である。しかし、排気ファンの大型化による装置の大型化に繋がってしまう。その結果、プロジェクタの持ち運び性に支障をきたすおそれがあり好ましくない。排気ファンの大型化を抑え、かつ、排気ファンの回転数を抑えて、基板を良好に抑制するためには、効率的な基板の冷却が求められる。そこで、本実施形態においては、基板の配置位置を工夫して、効率的に基板を冷却できるようにした。以下、図面を用いて具体的に説明する。
図22(a)は、本体筐体14の上側板金部14aと、後側板金部14cと、右側板金部14eとを取り外したプロジェクタを後側から見た斜視図であり、図22(b)は、プロジェクタの本体筐体内部を示す前側斜視図である。また、図22(c)は、投写光学ユニットのミラーブラケット53を取り外したプロジェクタの本体筐体内部を示す後側斜視図である。
本実施形態では、制御基板やバラスト基板に電力を供給するための電源ユニット8は、光源ユニット15の上方に配置されている。電源ユニット8は、メイン電源回路基板を備えたメイン電源ユニット8aと、サブ電源回路基板を備えたサブ電源ユニット8bとを有している。メイン電源ユニット8aは、図22(a)に示すように、本体筐体の前側板金部14bに取り付けられており、サブ電源ユニット8bは、本体筐体の後側板金部14cに取り付けられている。本実施形態においては、排気ファン7の空気吸い込み口と対向しない位置にメイン電源ユニット8a、サブ電源ユニット8bが取り付けられている。これにより、メイン電源ユニット8a、サブ電源ユニット8bが排気ファン7の吸気を阻害することなく、排気ファンの回転数を抑えて、所望の排気量を得ることができる。これにより、排気ファンの回転数を抑えて、光源などの本体筐体内の発熱部品を冷却することができる。
また、本体筐体の前側板金部14bの投写光学ユニット2と対向する面には、光源駆動回路基板たるバラスト基板を備えた光源駆動ユニット12が取り付けられている。また、図22(c)に示すように、投写光学ユニット2と電源ユニット8配置空間とを仕切るように、樹脂板170が設けられている。
図23は、電力供給のブロック図である。
図23に示すように、サブ電源ユニット8bが備えるサブ電源回路基板80bには、電源スイッチ182、PFCスイッチ部183と電源ケーブル190から供給された交流電圧を直流電圧に変換して、制御基板200に3.3Vの直流電圧を供給するための起動電圧変換部184を有している。
また、メイン電源ユニット8aが備えるメイン電源回路基板80aには、電源ケーブル190から供給された交流電圧を直流電圧に変換して、制御基板200に12Vの直流電圧を供給するための制御電圧変換部185を有している。また、バラストスイッチ部186と、100Vの交流電圧を所定の電圧に変更する変圧部187と、変圧部187により調整された交流電圧を直流電圧に変換して、バラスト基板12aに所定の直流電圧を供給するためのバラスト電圧変換部188とを有している。本実施形態では、変圧部187で、80V〜380Vに電圧を調整しており、この変圧部187を構成する回路には、電気素子としての電界効果トランジスタ(FET)284(図26参照)を備えている。
電源ケーブル190のプラグをコンセントに差し込んで、電源スイッチ182をONにして、サブ電源回路基板80bに交流電圧が印加されると、起動電圧変換部184から制御基板200に3.3Vの直流電圧が印加される。制御基板200は、3.3Vの直流電圧が印加されたら、例えば、装置の所定の位置に設けられたサーミスタなどの温度検知手段で検知した温度などを調べたりして、装置が正常な状態であると判断したら、サブ電源回路基板80bのPFCスイッチ部183をONにする。
PFCスイッチ部183がON状態となると、電源ケーブル190からの交流電圧がメイン電源回路基板80aに供給される。メイン電源回路基板80aに交流電圧が供給されると、制御電圧変換部185から制御基板200に12Vの直流電圧が印加される。制御基板200は、12Vの直流電圧が印加されたら、例えば、光源160の温度などチェックして、光源160などに異常がなかったら、メイン電源回路基板80aのバラストスイッチ部186をONにする。
メイン電源回路基板80aのバラストスイッチ部186がON状態となると、電源ケーブル190からの交流電圧が変圧部187に印加され、変圧部187で交流電圧を380Vまで昇圧する。次に、バラスト電圧変換部188により直流電圧に変換して、バラスト基板12aに供給される。そして、バラスト基板12aで光源160に安定した電力(電流・電圧)が供給されるよう制御して、光源160に380Vの直流電圧を印加する。これにより、光源が点灯する。光源点灯後は、バラスト基板12aの制御部121により変圧部187が制御され、変圧部187は、80〜90Vに調整された交流電圧をバラスト電圧変換部188に供給する。そして、上述同様、バラスト電圧変換部188で直流電圧に変換された後、バラスト基板12aで光源に安定した電力(電流・電圧)が供給されるよう制御する。例えば、光源の定格電力が270Wの場合は、電圧80〜90V、電流3.0A〜3.4Aが、光源に供給される。
図24は、前側板金部14bと、光源駆動ユニット12とを示す斜視図であり、図25は、光学エンジン部100と光源駆動ユニット12とを示す側面図である。
図24に示すように、光源駆動ユニット12は、光源駆動回路基板であり、電力安定化回路基板であるバラスト基板12aと、バラスト基板12aを保持するバラストホルダ13とを有している。バラストホルダ13は、バラスト基板12aが取り付けられる基板取り付け部13aと、基板取り付け部13aの下端から後側に延びる固定部13bとを有している。
前側板金部14bは、上面部114aが、下面部114bに比べて前側に出ている。バラストホルダ13の基板取り付け部13aが、前側板金部14bの上面部114aにネジ止めされ、前側板金部14bの上面部114aと下面部114bとを繋ぐ上下方向に対して直交する段差面部114cに固定部13bがネジ止めされる。
また、バラストホルダ13の基板取り付け部13aの四すみには、基板取り付け部13aに対して後ろ側に延びるネジ止め部113aが設けられている。これにより、バラスト基板12aは、図25に示すように、基板取り付け部13aに対して所定の隙間Jを有して、基板取り付け部13aにネジ止めされる。
バラスト基板12aに実装されている電気素子のうち、定格温度に早期に達してしまう電気素子112bには、放熱板112aが取り付けられており、電気素子112bの熱を放熱板112aにより放熱して、電気素子112bが定格温度に達してしまうのを抑制している。また、バラスト基板12aをバラストホルダ13に取り付けたとき、放熱板112aが、基板の最上部に位置するように配置されている。図25のAに示すように、バラスト基板12aをバラストホルダ13に取り付けたとき、バラスト基板12aの上部と、凹面ミラーの裏側(自由ミラーブラケット6)との隙間が最も狭い箇所となり、その狭い箇所に放熱板112aが配置されることになる。空気の流れは、広い空間から狭い空間に流れ込むときに流速が速くなる。従って、開口面積が広い第一吸気口10aから取り込まれた基板冷却空気は、図25のAで囲った狭い空間を通過するとき流速が速くなる。これにより、放熱板112aの表面を通る基板冷却空気の流れを速くすることができ、良好に基板冷却空気で放熱板112aを冷却することができ、放熱板112aの放熱効率を高めることができる。これにより、定格温度に早期に達してしまう電気素子112bの熱を放熱板112aで良好に放熱することができ、電気素子112bが定格温度以上に達するのを抑制することができる。
また、図22(c)に示すように、凹面ミラー5は、入射した投写画像を、後ろ斜め上方に反射するため、下部側が、上部側に比べて、筐体内部側に位置するように、上下方向に対して傾斜して配設されている。また、凹面ミラー5を保持する自由ミラーブラケット6は、図22(b)凹面ミラー5の裏面の湾曲に沿うような凹形状となっており、凹面ミラー5と同様、上下方向に対して傾斜してミラーブラケット53に取り付けられている。その結果、凹面ミラー(自由ミラーブラケット6)の下側の部分と、上下方向に対して平行な前側板金部14b(正確には、前側板金部の上面部114a)との間には、大きなデットスペース(隙間)が生まれている。このような大きなデットスペースが開いているため、右側板金部14eに設けられた第一吸気口10a(図2(b)、図2(c)参照)から取り込まれた冷却空気が、前側板金部14bと凹面ミラーの裏側の隙間に流れやすい。
本実施形態においては、光源駆動ユニット12を、凹面ミラー(自由ミラーブラケット6)の下側の部分と、前側板金部14b(正確には、前側板金部の上面部114a)との間の大きなデットスペース(隙間)に配置している。このように冷却空気が流れやすい大きなデットスペースに、光源駆動ユニット12を配置することで、装置の大型化を抑制して光源駆動ユニット12のバラスト基板12aを良好に空冷することができる。
また、図24に示すように、前側板金部14bの上面部114aには、上面部114aに対して傾斜して設けられたメイン電源ユニット固定部114dが、4つ設けられている。
図26は、前側板金部14bと、メイン電源ユニット8aとを示す斜視図である。
図26に示すように、メイン電源ユニット8aは、メイン電源回路基板80aと、このメイン電源回路基板80aが取り付けられるメイン電源ホルダ16とを有している。メイン電源ホルダ16は、前側板金部14bの上面部114aに設けられたメイン電源ユニット固定部114dにネジ止めされることで、メイン電源ユニット8aが前側板金部14bに取り付けられる。メイン電源回路基板80aのおもて面には、コイル281、コンデンサー282、トランス283が実装されている。また、メイン電源回路基板80aの裏面には、電界効果トランジスタ(FET)284が実装されている。電界効果トランジスタ284の本体部は、メイン電源回路基板80aの裏面と所定の間隔を開けて対向する放熱板285に固定されている。早期に定格温度に達するおそれがある変圧部187を構成する回路に実装される電界効果トランジスタ284に放熱板285が固定されているので、電界効果トランジスタ284の熱を放熱板285により放熱して、電界効果トランジスタ284が定格温度に達してしまうのを抑制している。
メイン電源ホルダ16は、メイン電源回路基板80aを保持している。また、メイン電源回路基板80aの裏面と所定の間隔を開けて対向するように、放熱板285がメイン電源ホルダ16に保持されている。
図27は、メイン電源回路基板の傾斜について説明する図である。
メイン電源回路基板80aは、前側板金部14bの上面部114aに対して傾斜した状態で前側板金部14bに取り付けられる。具体的には、図27に示すように、メイン電源回路基板80aの基板面が、排気ファン7の回転中心O3を通る自由ミラーブラケット6の接線Fに対して略平行となるように、前側板金部14bの上面部114aに対して傾斜して取り付けられる。
また、樹脂板170と、メイン電源回路基板80aとの間の断面積Gが、第一吸気口10a(図2(b)、図2(c)参照)の断面積よりも小さくなっている。
図28は、本体内での基板冷却空気の流れを示す図であり、図29は、図25のK−K断面図である。排気ファン7の吸引力により、先の図2(b)、(c)に示した本体筐体14に設けられた第一吸気口10a、第二吸気口10bから外気が取り込まれる。第一吸気口10aは、右側板金部14eの前後方向中央部よりも前側(凹面ミラー側)に設けられている。そのため、第一吸気口10aから取り込まれた外気は、凹面ミラー5の裏側と前側板金部14bとの間の隙間で構成された第一基板冷却流路R1に流れる。また、第二吸気口10b、操作用開口部18の前側端部付近から取り込まれた外気も、光学エンジン部の右側側面に沿って流れた後、第一基板冷却流路R1に流れ込む。
また、第二吸気口10b、操作用開口部18、第三吸気口10cは、右側板金部14eの後側端部付近まで延びており、第三吸気口10cの後側端部付近の開口が大きくなっている。第二吸気口10b、操作用開口部18、第三吸気口10cの後ろ側端部付近から取り込まれた外気は、投写光学ユニットと、後側板金部14cとの隙間で構成された第二基板冷却流路R2に流れる。
図25に示すように、第一基板冷却流路R1は、第二基板冷却流路R2よりも広いため排気ファン7の吸引力は、第二基板冷却流路R2よりも第一基板冷却流路R1に強く作用する。また、図2(c)に示すように、開口面積の広い第一吸気口10aが、右側板金部14eの中央(図中一点鎖線)よりも凹面ミラー5側に設けられており、右側板金部の吸気口の総開口面積は、右側板金部14eの凹面ミラー側の方が大きくなっている。そのため、多くの空気が第一基板冷却流路R1に取り込まれ、第一基板冷却流路R1に流れ込む。その結果、第一基板冷却流路R1の方が、第二基板冷却流路R2に比べて、基板冷却用空気の流量が多くなる。
本実施形態では、この流量の多い第一基板冷却流路R1に、早期に素子の定格温度に達するおそれがある電気素子112bが実装されているバラスト基板12aを備えた光源駆動ユニット12や、早期に定格温度に達するおそれがある変圧部187を構成する回路に実装される電界効果トランジスタ284を有するメイン電源回路基板80aを配置している。これにより、バラスト基板12aやメイン電源回路基板80aを良好に冷却することができ、電気素子112bや電界効果トランジスタ284が定格温度以上となるのを抑制することができる。
また、上述したように、バラスト基板12aは、バラストホルダ13の基板取り付け部13aに対して所定の隙間Jを有して、基板取り付け部13aにネジ止めされる。これにより、図29に示すように、第一吸気口10aなどから取り込まれた外気の一部は、この隙間Jに流れる。これにより、バラスト基板12aの裏面(電気素子実装面と反対側の面)を空冷することができ、バラスト基板12aをさらに良好に空冷することができる。
図28に示すように、第一基板冷却流路R1に流れ込んできた基板冷却用空気は、自由ミラーブラケット6の湾曲形状に沿って流れ、排気ファン7の吸引力により電源ユニット8が配置された空間に流れ込む。第二基板冷却流路R2に流れ込んできた基板冷却用空気は、投写光学ユニットのミラーブラケット53に沿って流れた後、排気ファン7の吸引力により、電源ユニット8が配置された空間に流れ込む。
本実施形態においては、電源ユニット8が配置された空間と投写光学ユニット2とを仕切る樹脂板170が設けられている。この樹脂板170を設けることで、樹脂板170の排気ファン7の排気方向上流側の周囲の丸で囲ったTの領域で排気ファン7の吸引力の影響が作用しなくなる。その結果、第一基板冷却流路R1に流れ込んできた基板冷却用空気は、自由ミラーブラケット6の空気流れ方向下流側端部T1まで、自由ミラーブラケット6の湾曲形状に沿って流れず、これよりも上流側で、排気ファン7の吸引力によって、メイン電源回路基板80aに沿って流れていく。これにより、図28の鎖線で示すように、メイン電源回路基板80aから離れて、流れてしまう空気が生じる抑制することができ、第一基板冷却流路R1は、メイン電源回路基板80aに沿って流れる流路となる。その結果、メイン電源回路基板80aを良好に冷却することができる。
メイン電源回路基板80aへ流れてきた基板冷却用空気の一部は、メイン電電源回路基板80aのおもて面に沿って流れ、このおもて面に実装されたコイル281、コンデンサー282、トランス283などを冷却する。また、残りの基板冷却用空気が、メイン電源回路基板80aの裏面と、放熱板285との間の隙間に流れる。メイン電源回路基板80aの裏面と、放熱板285との間の隙間に流れた基板冷却用空気により、メイン電回路基板80aの裏面、放熱板285、電界効果トランジスタ284を冷却することができる。そして、メイン電源回路基板沿って流れた空気は、排気ファン7により機外へ排気される。
また、第二基板冷却流路R2を流れる空気は、サブ電源回路基板80bに沿って流れ、サブ電源回路基板80bを冷却した後、排気ファン7により機外へ排気される。
本実施形態においては、メイン電源回路基板80aに変圧部187を備えており、この変圧部187を構成する回路に実装された電界効果トランジスタ284が、電源回路基板(メインおよびサブ電源回路基板)に実装される電気素子の中で最も早く定格温度に達する電気素子である。このように、電源回路基板の中で最も早く定格温度に達する電気素子である電界効果トランジスタ284を有する変圧部187を備えるメイン電源回路基板80aを、空気の流量の多い第一基板冷却流路R1に配置している。これにより、メイン電源回路基板80aを、良好に冷却することができ、電界効果トランジスタ284が、定格温度に達するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、メイン電源回路基板80aの裏面と所定の間隔を開けて、電界効果トランジスタ284の熱を放出する放熱板285を設けている。そして、このメイン電源回路基板80aの裏面と放熱板285との間の狭い隙間に基板冷却用空気を流し込み、電界効果トランジスタ284を空冷している。上述したように、空気は、狭い空間を通過するとき流速が速くなるため、このメイン電源回路基板80aの裏面と放熱板285との狭い隙間に流れ込む基板冷却用空気の流速は速まる。その結果、良好に基板冷却空気で放熱板285と電界効果トランジスタ284とを冷却することができ、電界効果トランジスタ284が定格温度に達するのを抑制することができる。
また、本実施形態においては、放熱板285が、メイン電源回路基板80aと同等の大きさをしている。これにより、広い面積で、電界効果トランジスタの熱を放熱することができ、電界効果トランジスタの温度上昇を良好に抑制することができる。また、電界効果トランジスタの本体部を、メイン電源回路基板を裏面から離している。これにより、メイン電源回路基板80aのおもて面に実装されたコイル281やコンデンサー282などの電気素子の熱が、基板を介して電界効果トランジスタ284の本体部に移動するのを抑制することができる。その結果、電界効果トランジスタ284の温度上昇を抑制することができる。
また、電界効果トランジスタ284を、メイン電源回路基板80aの下側に実装している。メイン電源回路基板80aの下側は、凹面ミラー(自由ミラーブラケット6)の下側の部分と、前側板金部14bとの間大きなデットスペース(隙間)に流れてきた基板冷却用空気が流れるため、流量が多い。そのため、電界効果トランジスタ284を良好に空冷することができる。
また、電界効果トランジスタ284を、メイン電源回路基板80aの上側に実装してもよい。図24に示すように、光源駆動ユニット12は、前側板金部14bの上面部114aの下側に取り付けられているため、メイン電源回路基板80aの上側を流れる空気は、バラスト基板21aの熱により温度上昇していない低温の空気が流れこむ。従って、定格温度に達しやすい電気素子である電界効果トランジスタ284を、メイン電源回路基板80aの上側に実装することにより、バラスト基板21aの熱により温度上昇していない基板冷却空気で、電界効果トランジスタ284を冷却することができる。
一方、サブ電源回路基板80bには、3.3Vの直流電圧を供給するための起動電圧変換部184しか備えておらず、電気素子の発熱量が比較的少なく、定格温度に達しにくい。そのため、流量が少ない側にサブ電源回路基板を配置しても良好にサブ電源回路基板の電気素子を冷却することができる。これにより、電源ユニット8の各電源回路基板を効率よく冷却することができ、筐体内に流す基板冷却用空気の流量を落としても、良好の電源ユニット8の各電源回路基板を冷却することができる。よって、大型の排気ファン7を用いず、排気ファン7の回転数を抑えることができ、装置の騒音を抑えることができ、かつ、装置の大型化を抑制することができる。また、排気ファン7の吸気のみで電源ユニット8の各電源回路基板を効率よく冷却することができ、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
また、本実施形態においては、先の図27に示すように、メイン電源回路基板80aの基板面が、排気ファン7の回転中心O3を通る自由ミラーブラケット6の接線Fに対して略平行となるように、前側板金部14bの上面部114aに対して傾斜して取り付けられる。電源ユニット8が配置された空間に流れてきた第一基板冷却流路R1の基板冷却用空気は、排気ファン7の吸引力により排気ファン7の回転中心O3に向って流れていく。このため、本実施形態では、メイン電源回路基板80aの基板面が、排気ファン7の回転中心O3を通る自由ミラーブラケット6の接線Fに対して略平行としている。これにより、第一基板冷却流路R1の自由ミラーブラケット6の湾曲形状に沿って流れてきた空気の流れ方向に沿って、メイン電源回路基板80aを配置することができる。その結果、空気の流速を落とさずに、メイン電源回路基板80aに流すことができる。よって、効率よくメイン電源回路基板80aを空冷することができ、排気ファン7の回転数を低下させたり、ファンの数を減らしたりしても、良好にメイン電源回路基板80aを冷却することができ、装置の低騒音化を図ることができる。
さらに、本実施形態においては、図27に示したように、自由ミラーブラケット6の湾曲形状に沿って流れる流路の出口である樹脂板170と、メイン電源回路基板80aとの間の断面積Gが、この第一基板冷却流路R1の吸引口としての第一吸気口10aの断面積よりも小さくなっている。これにより、第一基板冷却流路R1の基板冷却用空気が樹脂板170とメイン電源回路基板80aとの間の隙間を抜けるときの流速を速めることができる。その結果、メイン電源回路基板80aに沿って流れる流速を高めることができ、効率よくメイン電源回路基板80aを冷却することができる。
また、本実施形態においては、流量が少ない第二基板冷却流路R2にサブ電源回路基板を配置しているが、サブ電源回路基板に替えて、操作パネルを制御するための操作基板、制御基板200またはパーソナルコンピュータなどの外部機器との接続を制御する接続回路基板を配置させてもよい。また、メイン電源回路基板80aと、バラスト基板12aとの位置を変更してもよい。また、バラスト基板12aを2つに分割し、放熱板112aにより冷却されている電気素子112bを備えるメインバラスト基板を、第一基板冷却流路R1側に配置し、サブバラスト基板を、第二基板冷却流路R2側に配置してもよい。
また、本実施形態においては、排気ファン7を本体筐体の左側側面に設け、排気ファン7の排気方向を、防塵ガラス51から投写される投写画像の投写方向(後ろ斜め上方)に対して略直交する方向としている。排気ファン7からは、上述したように、基板や光源などを冷却した後の空気が排気されるため、外気よりも温度の高い空気が排気される。例えば、排気ファン7を本体筐体の後側板金部14cに設けた場合、排気が上昇して、防塵ガラス51から投写面Sまでの間の投写画像の光路を横切るおそれがある。排気ファン7の排気は、周囲の空気の温度よりも高く、密度が低い。そのため、この排気の周辺を通る光は、通常と異なる経路をとることになり、投写面Sに投写された投写画像に陽炎のような揺らぎが発生してしまう。これに対し、排気ファン7の排気方向を、防塵ガラス51から投写される投写画像の投写方向(後ろ斜め上方)に対して略直交する方向とすることで、排気が上昇しても、防塵ガラス51から投写面Sまでの間の投写画像の光路を横切ることがない。その結果、投写面Sに投写された投写画像に揺らぎが発生するのを防止することができる。
本実施形態では、排気ファン7を本体筐体の左側側面に設けているが、排気ファンの排気が、防塵ガラス51から投写面Sまでの間の投写画像の光路を横切らないようにすればよい。例えば、本体筐体の前側板金部14bに設けて、排気ファンの排気方向を前方としてもよい。
また、本実施形態においては、光学エンジン部100が配置された側の右側板金部14eに吸気口を設け、光学エンジン部100が配置された側と反対側の本体筐体の左側側面に排気ファン7を設けている。これにより、各吸気口から取り込まれた外気が、投写光学ユニット2の外周面を沿うように流れ、投写光学ユニット2の温度上昇を抑制することができる。その結果、凹面ミラーや投写レンズ部などの投写光学系の熱膨張を抑制することができ、良好な投写画像を維持することができる。
また、本実施形態においては、光源駆動ユニット12を前側板金部14bに取り付けているので、バラスト基板12aの熱の一部が前側板金部14bに伝導して、前側板金部から放熱することができ、より効果的にバラスト基板12aを冷却することができる。メイン電源ユニット8aも前側板金部に取り付けているので、メイン電源回路基板80aの熱の一部が前側板金部14bに伝導して、前側板金部から放熱することができ、より効果的にメイン電源回路基板80aを冷却することができる。また、サブ電源回路基板80bは、後側板金部14cに取り付けられていることで、サブ電源回路基板80bの熱の一部が後側板金部14cに伝導して、後側板金部から放熱することができ、より効果的にサブ電源回路基板80bを冷却することができる。
また、光源ブロワ71として片面シロッコファンを用いてもよい。
図30は、光源ブロワ71として、片面シロッコファンを用いたプロジェクタの内部斜視図である。
図30に示すように、光源ブロワ71は、吸気口が設けられた吸気面71aを、照明部20と対向するように配置している。
光源ブロワ71の吸引により、先の図2(c)に示す右側板金部14eの下側の第三吸気口10cから外気を取り込み、この取り込んだ外気をヒートシンク33に流し、ヒートシンク33を冷却している。上述では、光源ブロワ71として両面吸気シロッコファンを用いている。ヒートシンク33に空気を流すための光源ブロワ71の吸引力は、主に、光源ブロワの照明部20と対向する側の吸気口からの吸引力である。両面シロッコファンを用いた場合、吸引力が両面の吸気口に分散される。そのため、ヒートシンク33に流れる空気の流量が十分でなくヒートシンク33を十分に冷却できないおそれがある。
図30に示すように、光源ブロワ71を片面シロッコファンとし、吸気面71aを照明部20と対向するように配置することで、ヒートシンク33に空気を流すための光源ブロワ71の吸引力が高まる。これにより、ヒートシンク33に流れる空気の流量が増え、ヒートシンク33を良好に空冷できる。
図31は、図30のF断面図であり、図32は、図30のG断面図である。
図32に示すように、ヒートシンク33を挟んで前後方向には、樹脂板35a,35bが設けられている。装置の前側に設けられた樹脂板35bは、右側板金部14eから、光源ハウジング70の内部側端部まで延びており、装置の後側に設けられた樹脂板35aは、右側板金部14eから、光源ブロワ71の配置箇所まで延びている。各樹脂板35a,35bの上端は、DMDボード31の裏面に両面テープなどにより固定されており、下端は、下側板金部14dに当接している。これら樹脂板35a,35bにより、先の図2(c)に示す右側板金部14eの下側の第三吸気口10cからヒートシンクを通って光源ブロワに向かう流路を形成している。
外装カバーの排気ファンと対向する箇所に排気口を備え、また、その反対側の面に吸気口を備えている。また、外装カバーの排気口が設けられた側面の光源ハウジング70の底面70dと本体筐体の下側板金部14dとの間の隙間に対向する箇所に、吸気口が形成されている。
光源ブロワ71の吸気により外装カバーの排気口を備えた側面と反対側の側面に設けられた吸気口を介して先の図2(c)に示す右側板金部14eの下側の第三吸気口10cへ外気が取り込まれる。取り込まれた外気は、樹脂板35a,35bにより前後方向に流れるのが規制され、図31、図32の矢印Q1に示すように、ヒートシンク33に向って流れる。ヒートシンク33には、複数の下方に向かって延びる放熱板が形成されており、第三吸気口10cから取り込まれた外気は、これら放熱板の隙間を縫って流れるため、ヒートシンク33を通過する際の流路抵抗が大きい。しかし、前後方向は、樹脂板35a,35bで塞がれているため、空気が、前側板金部とヒートシンク33との間の隙間や、後側板金部とヒートシンクとの間の隙間へ逃げることがない。これにより、第三吸気口10cから取り込まれた外気は、ヒートシンク33を通過し、ヒートシンク33が良好に冷却される。そして、ヒートシンク33を抜けた空気は、光源ブロワ71に流れ込む。
光源ブロワ71を片面吸気とすることで、図32に示すヒートシンク33と光源ハウジング70との間の空間Rの負圧を高めることができる。そして、ヒートシンク33を挟んで前後方向を樹脂板35a,35bにより塞いでいる。このため、ヒートシンク33を通る流路抵抗が大きくても、第三吸気口10cから所定量の空気を取り込むことができ、ヒートシンク33を良好に空冷することができる。
しかし、ヒートシンク33の流路抵抗が大きいため、第三吸気口10cから、発光管162の発光部162aを良好に空冷できる流量を取り込むことができない。また、この空間Rの上方は、装置の小型化により部品を密集して配置したことにより図30に示すように、投写光学ユニットにより塞がれている。よって、上方から上記空間Rへ空気が流れ込み難くなっている。
また、下側板金部14dの下面には、カラーホイール21やDMDの各々に同期信号を送り、これらを同期させて駆動させるなどの処理を行うメイン制御基板が取り付けられている。このため、下側板金部14dに光源ブロワに空気を送り込むための開口を設けることができない。
このため、この例では、図31、図32に示す矢印Q2に示すように、先の図5に示した光源着脱用開口部141fから光源ハウジング70の底面70dと本体筐体の下側板金部14dとの間の隙間に流れ込んだ空気の一部をヒートシンク33と光源ハウジング70との間の空間Rへ流して、発光部162aへ流す流量を補うようにした。
上述したように、光源ハウジング70の底面70dが下側板金部14dに対して所定の隙間を有して、光源ハウジング70が下側板金部14dに取り付けられており、この底面70dと下側板金部14dとの隙間は、ヒートシンク33と光源ハウジング70との間の空間Rに連通している。
外装カバーの排気口を有する側面に設けられた吸気口を介して光源着脱用開口部141fから取り込まれた空気の一部は、上述したように、排気ファン7の吸引力により、空気取り込み口70b、第二光源吸引口153を通って、光源筐体151のリフレクタ外側の空間に流れ込み、光源の電極部163などを冷却する。残りの空気は、図中矢印Q2に示すように、光源ブロワ71の吸引力により光源ハウジングの底面70dと下側板金部14dとの間の隙間を通って、ヒートシンク33と光源ハウジング70との間の空間Rへ流れ込む。そして、光源ブロワ71に取り込まれ、先の図19に示したように、発光管162の発光部162aへと流れ込む。これにより、光源ブロワ71として、片面吸気を用いて、照明部20側からのみ空気を吸引するように構成しても、規定量の空気を、発光部162aへ流すことができ、発光部162aを良好に空冷することができる。
本体筐体の吸気側に配置される光学エンジン部100は、投写光学ユニット2と画像形成部3とで構成され、装置内で最も大きい部品である。特に、本実施形態では投写画像の解像度を1920×1080に対応可能となっているため、光学エンジン部100の構造が大きい。光学エンジン部100を排気側に設けると、光源160や電源ユニット8aを冷却して温度上昇した空気により光学エンジン部が温度上昇してしまう。光学エンジン部が温度上昇すると、投写レンズなどが熱膨張するなどして、焦点ずれなどを起こして良好な投写画像を得ることができない。そのため、光学エンジン部100は、本体筐体14の吸気側に配置し、発熱源である光源ユニット15や電源ユニット8を、本体筐体14の排気側に配置している。光源ユニット15や電源ユニット8は、光学エンジン部100に比べて小さい。装置の小型化のため本体筐体内の部品を密集させても、本体筐体の排気側には、ある程度のスペースがある。
上述したように、本体筐体14の排気口である、排気ファン7の排気口が設けられた右側側面の光源着脱用開口部141fを吸気口としてから空気を取り込み、光源ユニット15と本体筐体14との間を流して、光源ブロワ71に空気を流し込む。これにより、排気側のスペースを有効活用して、外気を光源ブロワ71に流し込むことができる。これにより、装置の小型化を阻害せずに、光源ブロワ71に流し込む流路を確保することができる。
また、上述では、光源ブロワ71によりリフレクタ内の発光部162aに向けて空気を送風しているが、排気ファンの吸引力で、リフレクタ内の発光部162aに向けて空気を送風できるように構成してもよい。
以上に説明したものは一例であり、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
吸気口(第一吸気口10a,第二吸気口10b,第三吸気口10c)を有する右側板金部14eなどの吸気側側面および該吸気側側面と対向し排気口を有する排気側側面を備えた本体筐体14と、本体筐体14の排気側に設けられ、吸気側に向けて光を照射するように配設された光源160と、前記本体筐体14の吸気側に設けられ、前記光源の光を用いて投写画像を生成し、該投写画像を投写面に投写する光学エンジン部100と、本体筐体内の空気を前記排気口から排気する排気ファン7とを備えたプロジェクタ1などの画像投写装置において、光源160のリフレクタ161よりも排気側から本体筐体内に空気を取り入れ、吸気側へ向けて流した後、リフレクタ内に配設された発光部162へ流す空気の流路を設けた。
リフレクタ161内の発光部162へ空気を流すための流路は、本体筐体内で吸気口から排気口へ向かう空気の空気の流れに沿って、空気が流れるように設けるのが一般的である。本体筐体14の吸気側は、光学エンジン部100が配置されており、この光学エンジン部100は、光変調部30、照明部20および投写光学系ユニット2で構成され、本体筐体内で最も大きな構成部品である。そして、本体筐体14の吸気側の空間は、この大きな構成部品である光学エンジン部100でほぼ占められおり、本体筐体14の吸気側は、光学エンジン部100と本体筐体14との隙間くらいしか空気が流れる空間がない。
一方、本体筐体14の排気側は、光学エンジン部100に比べて小さな部品である光源160や電源ユニット8などしか配置されておらず、本体筐体14の排気側には、空気が流れるための十分な空間が存在する。
そこで、(態様1)では、リフレクタ162よりも排気側から本体筐体内に空気を取り入れ、その取り入れた空気を、リフレクタ161内の発光部162aへ流すように流路を設けた。これにより、装置の小型化によって、吸気側側面の吸気口から光源へ向かう空気の流量が低下しても、その低下した流量を、排気側から本体筐体内に取り込んだ空気により補うことができる。その結果、発光部162aに流れる空気の流量の低下を抑制でき、装置を小型化しても、光源の発光部162aを良好に冷却することができる。
(態様2)
(態様1)において、前記空気の流路は、光源の光を照射する側と反対側よりも排気側から本体筐体内に取り入れられ、光源160と前記本体筐体14の下側板金部14dなどの底面との間を光源160の光を照射する側へ向けて流れる流路である。
これによれば、光源160と前記本体筐体14の下側板金部14dなどの底面との間のスペースを有効活用して、排気側から本体筐体内に取り込んだ空気を、発光部へ流すことができる。
(態様3)
(態様1)または(態様2)において、前記流路には、前記発光部162aへ向けて空気を流す光源ブロワ71などの送風ファンが配設されており、前記送風ファンの吸気により、前記光源のリフレクタよりも排気側から前記本体筐体内に空気を取り入れ、吸気側へ向けて空気を流す。
これにより、排気側から本体筐体内に空気を取り込んで、その空気を吸気側へ向けて流して、発光部162aへ流すことができる。
(態様4)
(態様1)乃至(態様3)いずれかにおいて、光源160のリフレクタ161よりも排気側から本体筐体内に取り入れられた空気の一部が、電極部163などの光源160の光照射側と反対側の外周面に沿って流れ、残りの空気が、リフレクタ内に配設された発光部162aへ流れるように、空気の流路を構成した。
これによれば、排気側から本体筐体内に取り込んだ空気により、発光部162aへ流す空気を補うことができるとともに、電極部163などの光源160の光照射側と反対側を、空冷することができる。
(態様5)
(態様4)において、光源160の電極部163などの光照射側と反対側の外周面に沿って流れた空気は、排気ファン7により装置外へ排気される。
これによれば、排気ファン7の吸引力により、光源160のリフレクタ161よりも排気側から本体筐体内に取り入れられた空気の一部を、光照射側と反対側の外周面に沿って流すことができる。
(態様6)
(態様1)乃至(態様5)いずれかにおいて、排気側側面に、前記空気の流路へ流す空気を取り込むための光源着脱用開口部141fなどの吸気口が設けられている。
排気側側面に光源着脱用開口部141fなどの吸気口を設けることで、リフレクタ162よりも排気側から発光部162aへ流すための空気を本体筐体内に取り入れることができる。
(態様7)
(態様1)乃至(態様6)いずれかにおいて、光源160の光を用いて画像を形成する画像形成部を備え、画像形成部を冷却した空気が、リフレクタ内に配設された発光部へ流れるように構成した。
これによれば、画像形成部を冷却した空気を、光源の発光部の冷却に用いることができる。
(態様8)
(態様1)乃至(態様7)いずれかにおいて、前記光源のリフレクタ内に流れた空気は、排気ファン7により装置外へ排気される。
これによれば、発光部を冷却した空気を、装置外へ排気することができる。
(態様9)
(態様1)乃至(態様8)いずれかにおいて、排気ファン7により、吸気側側面の吸気口から空気を取り入れ、前記本体筐体内で、吸気側から排気側へ向けて空気を流し、本体筐体内の電源ユニット8などの電源部を空冷する。
これにより、排気ファン7により、電源部を空冷することができ、吸気ファンを無くすことができ、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。